作品集114

Last-modified: 2011-11-11 (金) 18:47:08
キャッチボール  ななし氏

【作品集】114
【タイトル】キャッチボール
【作者】ななし氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1274627902&log=114
【あらすじ】
いつもなら蓮子の方から私の所へやってきてサークル活動をやろうと言ってくる。
それに応えて私も蓮子と一緒にサークル活動をする。
それを今までずっと変えずに続いていた私達だけのサークル、秘封倶楽部の姿だ。
それがここ最近になって蓮子がぱったりと来なくなってきた。
一日二日ならまだしも、それが一週間以上続くのだ。
(本文より抜粋)

【感想・ここが面白い・私的評価】
カーブの様な愚痴、消える魔球の様な優しさ。
この文章にピンとこられた方はもうお分かりのように、とある楽曲を背景に書かれた作品です。
蓮子の不器用な一投をしっかりと受け取るメリー。
そんな二人のキャッチボールシーンを読んでいて、自分は思わず「いいなぁ」と呟いてしまいました。
ほっこりと心が暖かくなる、ステキな青春のお話だと思います。

★★★☆☆(楽曲に心当たりがある方、青春ものを読みたい方には躊躇無く勧められる作品です)

夢妖夜  柚季氏

【作品集】114
【タイトル】夢妖夜
【作者】柚季氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1274717020&log=114
【あらすじ】

「これは、何の肉ですか」
「さて、何でも良いでしょう。どうぞお食べになって下さいな。美味しいですよ」
 
(本文より抜粋)

【感想・ここが面白い・私的評価】
夢というものは本当におもしろいものです。特にメリーの観る夢は。一枚のCDのブックレットになってしまう位に。
そんなメリーの夢の一つを丁寧に書き表したのがこの作品です。
流麗に描かれる情景と細やかな心理描写によって読者はあたかもメリーの夢を追体験しているかのような感覚に陥ってしまうことでしょう。
しかし、それほどに丁寧に描写が為されているのにこの作品からは夢特有の浮遊感が感じられるのです。
リアルな情景が現、浮遊感が夢を表しているとすると、この作品はまさに夢現を両立させています。
メリーは夢違科学世紀のブックレットにて「夢と現なんて同じ物」と言っていますが、この作品を読めばその考えが納得できてしまうと思います。
というか、僕は納得してしまいました。

★★★★☆(夢の感覚を味わいたい方、『夢十夜』が好きな方は是非読んでみて下さい。ダイエット中の方は、夜中に読むのは止しておいた方が良いと思います。)

帰省語り  kayes(ケイ)氏

【作品集】114
【タイトル】帰省語り
【作者】kayes(ケイ)氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1274790852&log=114
【あらすじ】
音楽を買う際はインターネットでデータをダウンロードする時代。CDが消え失せてしまった時代。
そんな時代のそんなある日、蓮子の実家に遊びに来ていたメリーは偶然、埃を被ったCDラジカセを見つける。
前時代の遺物を前に、二人は果たして何を想うのだろうか。

【感想・ここが面白い・私的評価】
個人的に大好きな作品です。
インスタントミュージックが横行することが当たり前となった昨今、CDで音楽を聴く人というのはどれ程いることでしょうか。
かく言う自分も音楽を聴く際はほとんどミュージックプレイヤーで聴いています。
それがいけないと言うわけではありません。むしろ自分は色々なコストを考えるとデータの状態で扱う方が良いとすら思います。
ただ時々、なんとなく寂しく思うことがあります。
一つの媒体が、そしてその媒体の文化が過去のものとなっていくこと。たぶんそれが寂しさの原因じゃないかなぁと自分は愚考します。
そんな、ある種存在するのが仕方ない寂しさを上手に表現した作品であると思いました。

私情挟みまくりの感想で申し訳ありません。
しかしこの作品は本当に、好きな人なら思わず自分の音楽論を語りだしたくなるような力を持っていると思うのです。

★★★☆☆(CDを聴くのが好きな人は何も言わずに読んで下さい。)

ぶらり廃線下車の旅  UC氏

【作品集】114
【タイトル】ぶらり廃線下車の旅
【作者】UC氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1274792967&log=114
【あらすじ】
ある日、蓮子の下に一枚の招待状が届いた。
――今日だけ復活する廃線。定員は二人。どなたかを誘ってご乗車ください。
そんな奇怪な誘いに、蓮子の好奇心が疼かない筈がないのであった。

【感想・ここが面白い・私的評価】
謎が充満する電車の中でハンバーグ弁当をパクつく蓮子。
その情景はまさに“非日常を追い求める秘封倶楽部の日常”といったところでしょうか。
非日常と日常がない交ぜになった彼女達にとって狂気とは何なのか。
それを考えさせてくれる良い作品だと思います。
関係無いですけど、藍と綾波レイって髪型似てますよね。

★★★☆☆(非日常のワクワクを味わいたい方、蓮子とメリーの軽妙な掛け合いを見たい方は是非)

はらり、はらり  パレット氏

【作品集】114
【タイトル】はらり、はらり
【書いた人】パレット氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1274969736&log=114
【あらすじ】
もういなくなった十六夜咲夜やパチュリーやレミリアとの過去を回想しながら
フランドールスカーレットは投げやりに「みんないなくなった、わたしもいなくなるんだろう」と呟く。
【感想・考察】
一人ひとりいなくなっていく紅魔館。最後にフランドール一人が残る。
切なさを感じさせる文体と文章の質は高い。
四人が消えた紅魔館で、フランは一体何を思って逝ったのだろうか?
少し話は変わるが、この切なさ、この危うさこそが紅魔館だと思う。
紅魔館のバランスの危うさについて皆さんも少し考えて頂きたい。
パチュリーは図書館があるからいる。図書館は十六夜咲夜に存在を頼っている。
フランドールがいる。フランドールは狂気をいだいている。
レミリアがいる。彼女はわがままだ。幼稚でもある。咲夜に精神的に依存している面も作れる。
十六夜咲夜はいずれ死ぬ。レミリアに精神的に依存している面も作れる。
一人が死ねば、そして誰もいなくなる。だからこそ、この勢力は今までずっと愛されているのではないか。俺はそう思う。
[HE力]★★★☆☆(そして誰もいなくなった)
[鬱力]★★☆☆☆(どちらかというと切ない)
[グロ]☆☆☆☆☆(無し)
【総合評価】★★★★★(★4と迷ったが、紅魔館の良さに改めて気付かされたという意味で★5)

箱の中と箱の外が混ざれば良いのに?  らすねーる氏/nekojita氏

【作品集】114
【タイトル】箱の中と箱の外が混ざれば良いのに?
【書いた人】らすねーる氏/nekojita氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1274638638&log=114
【あらすじ】
霧雨魔理沙は宿敵アリス・マーガトロイドを殺すため、今日も行く。
立ちふさがる敵は全員退けろ。
彼女こそが私の敵で、世界の敵なのだから。
【感想・考察】
単純明快な箱庭もの。人形劇を繰り返し続けるSSは、ジェネのほうに、まりさが死んだ形のSSがあったと思うが
これはふたりとも生きている。
生きたまま、ずーっと主人公でいて、ずーっと彼女に殺される、そんな夢を見る。
なんてハッピーエンドなんだこれ。甘えすぎだろ。と思ったが、もう殺しちゃったか。もう繰り返せないか。
これから魔理沙が崩壊するのか。その崩壊するところが肝心なのに、そこを全部書かないでどうするんだろう。
勝手な期待であることは百も承知だが、火車考のnekojitaさんなら、ループ物にして、繰り返し続けて、徐々に崩壊して行くセカイとか
アリスが死んだ瞬間色彩を失う紙芝居のセカイまで描いてくれることを期待したかった。
ついでにいうと、作り込みも足らない。
二人をセカイに叩き込んだのは霊夢?霊夢がそんなことをできるのか?
こういう系統の話は好きだ。好きだが、好きゆえに次からはもっともっとものすごい物を期待したい。
[HE力]★★☆☆☆(幸せになれそうでした)
[鬱力]★★★★☆(ダメでした)
[グロ]☆☆☆☆☆(無い)
【総合評価】★★☆☆☆(物足りなさ過ぎる)

アリスさんと霊夢さんのなんてことない半日  パレット氏

【作品集】114
【タイトル】アリスさんと霊夢さんのなんてことない半日
【作者】パレット氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275104225&log=114
【あらすじ】
アリス宅にてダメ人間よろしく惰眠を貪る霊夢。
そんな霊夢に付き合って惰眠を貪るアリス。
二人の惰眠的な半日はそうしてほのぼのしく、されどクールに流れていくのであった。

【感想・ここが面白い・私的評価】
読んで驚かされた作品です。
とりあえずジャンルで言えば「ほのぼの百合」にあたる作品だと思います。二人でベッド、二人でシャワー、二人でマッサージ、二人でトーストなど、
やっていることは完璧にカップルのソレです。バカップルの如きイチャイチャ行為と言っても良いでしょう。
しかし、アリスの落ち着いた心情もあってか、その描写は何故か甘過ぎなものにはなっていないのです。
その不可思議な甘味のバランスがとにかく素晴らしい。
“ほのぼのしくクールに”というタグは伊達ではありませんでした。

★★★★☆(百合が好きな方に対してのみ、この評価をさせて頂きます。百合がダメな方にはお勧めできないです)

君はちっけーね  葉月ヴァンホーテン氏
慧 音 ち ゃ ん ち っ ち ゃ い ね う ふ ふ

【作品集】114
【タイトル】君はちっけーね
【作者】葉月ヴァンホーテン氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275189415&log=114
【あらすじ】
 近頃、何やら鬱陶しいのが纏わりつくようになった。
 そいつは、いつも偉そうに私に説教をたれる。

「もこねぇ!」

 来た。こいつだ。上白沢慧音。
 私の後ろをちょろちょろとくっついてきて、あれやこれやと世話を焼きたがる。面倒くさいやつだ。
(本文より抜粋)

【感想・ここが面白い・私的評価】

慧 音 ち ゃ ん ち っ ち ゃ い ね う ふ ふ

とまぁネタの方はさておき、良いお話です。とてもハートフルなお話です。
磨れた心をした大人が無垢な子供との交流によって希望を持つようになる、というお話は一種の王道と言っても良いものだと思いますが
それをしっかりと描いたものが今作だと思います。
しかし、王道とは言っても登場するのが“ちっちゃい慧音”。話のありがちさにうんざりするなんてことは決してないでしょう。
このふたりがどのような歴史を紡いでいくのか。それを想像するだけでも楽しい一作です。

★★★☆☆(もこけねが好きな方には★を一つプラスします。子供が好きな方、ハートフルなお話を読みたい方にもお勧めです)

慧音が妹紅を、妹紅が慧音を、どのように理解しているのか、その解釈のヒントをくれる一作

葉月ヴァンホーテン氏の『君はちっけーね』は心温まる
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275189415&log=114

料理=葉月氏だと思ってるが、料理を取り扱っていない両作品もまた多くある。
この作品は慧音がちびっ子という斬新な切り口が光る。いや本当にこれは心があたたまる
なるほど、こういう風に説明されればなぜ「慧音は妹紅の『理解者』である」のかよくわかる気がする
慧音が妹紅を、妹紅が慧音を、どのように理解しているのか、その解釈のヒントをくれる一作

伝説を創ろう!  ライア氏

【作品集】114
【タイトル】伝説を創ろう!
【作者】ライア氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275201274&log=114
【あらすじ】
これまでの歴史に存在しない、架空の霊剣を創ること。
それが依頼人、森近霖之助の望みだった。
そして、その望みを受けて集ったのは、レミリア、鈴仙、早苗という三人の英傑。
いずれ劣らぬブラックヒストリーに魅入られし匠の者達である。
果たして出来上がる霊剣はどのようなものになるのであろうか。

【感想・ここが面白い・私的評価】
黒歴史って作ってる最中は本当に楽しいですよね!
と、思ってしまうのは僕が現役の厨二病患者だからでしょうか。
しかし、現実ならば虚しいだけのその妄想も“実際に形になってしまう”幻想郷ではなんともワクワクしてしまうもの。
今作を読んでいて僕は、果たしてどんなモノが出てくるのか、という期待に胸を躍らせてしまいました。
あぁ、僕の傍にもハクタクがいてくれればあの頃ノートに書き綴った神葬の魔剣が具現してくれるのに!

★★☆☆☆(厨二病ネタで笑える方には★をもう一つ追加します。十四歳の心を失っていない方にお勧めしたい作品です)

紅霧異変が解決しない  桜田ぴよこ氏

【作品集】114
【タイトル】紅霧異変が解決しない
【作者】桜田ぴよこ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275227633&log=114
【あらすじ】
「異変とは、美少女とお近付きになるための絶好のチャンスだ」
それが恋色の魔法使い、霧雨魔理沙の持論である。
そしてそれ故に、彼女は紅い空へと飛び立ったのだ――。

【感想・ここが面白い・私的評価】
快楽主義者な魔理沙の冒険譚です。
しかし、快楽やら欲望に素直な者にとって弾幕ごっこは辛いものですよね。
目の前で女の子が胸を揺らしスカートを翻しながら遊びに興じる様を見てしまっては冷静でいられるわけがないです。
異変が解決しないのも仕方の無いことでしょう。
そういう意味でこの作品は非常に自然でシンプルなお話であると僕は感じました。
個人的にはルーミアのカップサイズをBとしたことに対して称賛の拍手を送りたいです。

★★☆☆☆(女性の肢体を求めている方、壊れギャグドンと来い!という方にお勧めします)

星の涙は恋しくて  月空氏

【作品集】114
【タイトル】星の涙は恋しくて
【書いた人】月空氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275063194&log=114
【あらすじ】
スターサファイアは星を見に出かけた。小さな傘を一本持って。
そして雨の降る夜を往くスターにかけられる声。声の元には小さな青い花が咲いていた。
【感想】
作者様も言うように、雰囲気を楽しむお話。
雨の中で楽しげにはしゃぐスター、青い花との心温まる会話、そして最後のシーン。
ぜひとも全編情景を頭に思い浮かべて読んで欲しいです。
劇的なことは何も起こってませんが、読んだ後はなんだかとても優しい気分になれました。

★★★☆☆(とことんほのぼのしたい人、かわいいスターを見たい人にオススメ)

くるり狂って私も貴女も  禿頭氏

【作品集】114
【タイトル】くるり狂って私も貴女も
【書いた人】禿頭氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1274792693&log=114
【あらすじ】
フランドールがレミリアを食していた。
【感想・考察】
きっとこの地下室は彼女たちにとってのセカイだから、セカイ系でも別に広義では間違ってないのかもしれない。
タイトルのせいで勘違いする人が多いとは思うが、別に彼女たちは狂っているわけではないと思うし、作者に狂わせるつもりも無いと思う。
フランドールは幼いだけで、レミリアは力が無いだけで、パチュリーは愚かなだけだ。
そう見えるのは、果たして日常の描写が無いからだろうか。俺はそうは思わない。
ただ俺としては、物語の体裁として、これらの問題の解決を図って欲しかった。
たぶん、この作品自体は、読者が「レミリアとフランはセカイ系ループのドツボにハマっているんだな」と気づくことを目的としているのだと思うけど
それだけじゃ物足りないし、分からない人には分からない。
続きがあれば絶対読む。
[HE力]★☆☆☆☆(ハッピーエンドとは程遠い)
[鬱力]★★☆☆☆(彼女たちは何も進まずとどまるだけだから、別に鬱というわけでもない)
[グロ]★☆☆☆☆(あらすじの通りの描写。でも、あまり具体的ではないといえばない)
【総合評価】★★★☆☆(解説編、解答編が欲しい)

夜を歩く  石動一氏

【作品集】114
【タイトル】夜を歩く
【書いた人】石動一氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275187394&log=114
【あらすじ】
とある夜、慧音の仕事がなかなか終わらないので、妹紅は一人で散歩に出る。
特に大きな事件はなく、輝夜やルーミアなどと出会い、なごやかな時間をすごす妹紅。

【感想】
妹紅が夜の散歩をして、出会った人とほのぼのする日常系SS。
短めなのでサクッと読めます。
妹紅でただほのぼのしたい、夜の空気を楽しみたい、散歩の楽しさを感じたい、他愛のない会話が見たい。
そんな人にお勧めできる良作。文章も安定してると思うよ。

仄赤い地獄の底から  ワレナベ氏

【作品集】114
【タイトル】仄赤い地獄の底から
【書いた人】ワレナベ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275120865&log=114

【あらすじ】

「カラスって生涯伴侶を変えないんだよ。この人って決めた相手とずぅっと一緒にいるんだ。一途でしょ。」(本文より抜粋)

空がさとりのところで厄介になるより、さらにいえば人型にもまだ化けられないころ。
地底と地獄が切り離され、外界と行き来が不可能になるという噂話で地獄はもちきり。
食料が減り、生存競争が激化する地獄の釜の底で、空は時に同属の骸をも食らいながら必死に生き抜いていく。
空の行動近辺に一匹の火炎猫が縄張りを張ったのは、そんな折だった。

【感想】

お空が主役の中篇。過去の地獄と燐、さとりとの出会いを描いたお話です。
獲物を取り合う宿敵としての出会いから始まり、さとりのところでもやっぱり喧嘩。
猫と鴉なのに、どうにも馬の合わない二人が果たしてどうなっていくのか?
そんな展開への期待がスクロールバーを動かしていきます。
抜粋した文章の意味は最後で明らかに。ぜひとも最後までお読みください。

ある夜の寝室での出来事  石動一氏

【作品集】114
【タイトル】ある夜の寝室での出来事
【書いた人】石動一氏
【URL】 ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1274590137&log=114
【あらすじ】
最初は布団がどかされていた。
次はパジャマがめくられていた。
今日、下着が脱がされていた。
段々とエスカレートしている行為に対し、安らかな目覚めと貞操を守るために
古明地さとりは困惑を振り払い犯人を捕まえるための策を練る。
【感想】
布団に入りながら本を読んでて、いつの間にか睡魔に負けて寝落ちするのは誰しも一度は通る道。
思わずあるあると頷いてしまった。
しかし今回は結果オーライ。
そのおかげで犯人を現行犯捕獲出来たんだし。
でもその動機は合っているような間違っているような。
その後犯人の目的は達成されたのか、続きが気になるところ。
【五段階評価】
★★★☆☆(一言でいえばskmdyなので、大丈夫な人向け)

あんかーくらうど  わおん氏

【作品集】114

【タイトル】あんかーくらうど
【書いた人】わおん氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1274670297&log=114
【あらすじ】
煙草を吹かしながら骨董屋の前でムラサを待つ一輪。
目的の物を手に入れた二人はぶらりと散歩をしながら命蓮寺へと帰っていく。

【感想】
創想話でムラいち作家といえば自分的にはこの人。
「いっちゃん」と「みつ」で呼び合う二人がいつも素敵。
この作品ではいつもの日常の中で一輪と水蜜の間に確かにある
友情なんだか愛情なんだかわからない絆が書かれている。
別にいちゃいちゃしているわけではないのだが、なんだか二人の絆にキュンとしてしまう話。

Dimension S 八雲紫の挑戦  あとんさん

【作品集】114
【作品名】Dimension S 八雲紫の挑戦
【作者名】あとんさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1274772228&log=114

【あらすじ】
萃香は苦悩していた、博麗の巫女の放つ色気に。
色気の原因は腋丸出しの衣装に原因がある、と考えた萃香はとある行動に出るのだが――。

【感想】
霊夢が妖怪に好かれる理由を題材にしたこの作品。
彼女の持つ魔力がある存在の放つ力に酷似しているから、としたのは非常に斬新。
霊夢を中心とした大妖怪達のドタバタ劇を読みたいなら是非。
また、くせが無く、非常に読みやすい文体なので時間が無い時でもさっと読めます。

……個人的には、ちょっとオチに納得出来ないような気がしないでもないですが。
とはいえ続編を読みたくなる、そんな作品でした。

【五段階評価】
★★★★☆
霊夢可愛いよ霊夢、という人におすすめ。

喉をも嗄らさん汽笛の音  紅雨 霽月 氏
外界から流れ着き、幻想郷の奥地にひっそりと現れた一台の蒸気機関車。

【作品集】114
【タイトル】喉をも嗄らさん汽笛の音
【書いた人】紅雨 霽月 氏
【ポイント】2930
【レート】11.82
【あらすじ】
(2010/09/28時点)
 外界から流れ着き、幻想郷の奥地にひっそりと現れた一台の蒸気機関車。
朽ちゆく覚悟を決めた機関車だったが、ふらっと迷い込んだこいしと出会う事で運命が変わり始める。
【感想】
 蒸気機関車が幻想入り。オリキャラである蒸気機関車を主人公に話は進む。
蒸気機関車を温かく迎える地霊殿組を見ると非常に心が和んだ。
固い口調でぶっきらぼうなオリキャラの蒸気機関車も良く描けている。
 その反面、描写は少し薄いと感じた。走る蒸気機関車は非常に絵になる光景だから、
機関車が走るシーンの風景描写はもっと濃く描くとよりシーンが盛り上がったのではないかと思う。
 あと、個人的な要望を言えば、幹線旅客用の主力機関車をわざわざ形式指定で登場させたのだから、
機関士との交流だけでなく、人を運んだエピソードも描いて欲しかったと思う。
【長さ】.   短□■□□□長 (48KB 中編)
【構成】     ★★★☆☆ (十分なレベル。引っ掛かるような個所は無い)
【描写】     ★★★☆☆ (よく言えば全体的に丁寧。悪く言えば緩急がついて無い)
【総合評価】 ★★★☆☆ (自分は楽しめました。SLと幻想郷って似合いますよね)

ネタはありがちだけど、次々と登場する登場人物の多彩さによって最後まで飽きずに読めた

紅雨 霽月氏の『喉をも嗄らさん汽笛の音』は傑作
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1274687612&log=114

いやこれはどうして万点行かなかったのか理解に苦しむ重量がある
ネタはありがちだけど、次々と登場する登場人物の多彩さによって最後まで飽きずに読めた
とりわけ、物語の芯になる古明地さとりの暖かさ、献身ぶりに胸を打たれる

そして何より、登場するシゴイチの朴訥で、不器用な存在の仕方が非常にいい
もう引退したロートルの親父が、最後の最後に若い世代との交流を通じて復活し、また日の光の下で生きてゆく
そんな回復への物語は『無法松の一生』みたいな感じで、これを読む人に切なくて暖かな気持ちを残すだろう

正体不明!怪盗アキュー! 総集編  ケチャ氏
この作品の何がいいかってホント、割とガチで怪盗アキューがカッコイイところ

ケチャ氏の「正体不明!怪盗アキュー! 総集編」がよかった
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1274614838&log=114

この作品の何がいいかってホント、割とガチで怪盗アキューがカッコイイところ
特に最後フランとレミリアを和解させて去って行く時の台詞とか振る舞いが面白い
決して出来がいいわけじゃないのはわかってるが、なんだか凄く好き

その言動のさりげなさ、カッコよさが阿求っぽい

阿求といえばケチャ氏の「正体不明!怪盗アキュー! 総集編」が面白い
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1274614838&log=114

最初はギャグかと思うけれど、後半はちょっと真剣に阿求がカッコイイのでオススメ
「総集編」と書いてはあるけれど、もうちょっと丁寧にやってれば満点ぐらいはイケたんじゃないかと思う
なんにせよフランとレミリアに怪盗アキューは何をしたか。その言動のさりげなさ、カッコよさが阿求っぽい

境界の見る夢  サメジマ氏

【作品集】114
【タイトル】境界の見る夢    【書いた人】サメジマ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275301346&log=114
【あらすじ】
 スキマ様なるものと、神主という人間との昔話。

【感想】
 八雲紫の起こりを丁寧に描いたという感じのお話。
 人と妖について妖の側から見たお話でもあり、光に焦がれてしまった闇のお話でもあり、そして闇が焦がれたのは本当にただ一つの光だったのだろうか、と疑問に思ったりもしないでもないお話。
 ここからは個人的な戯言なのですが、これはなんていうか、お話的には『妖怪』という存在への根本的な問題提起を孕んでいて、どう処理してくるのかなーと思っていたらわりとあっさり解決しちゃったんだけどそれがいいのだろうかというか、考えてみると「東方」の論理では確かにそうなのかなーと思ってみたりもするけど実際どうなのか、何が正しくあるのか、東方萃夢想にて伊吹萃香は人を萃めるだけでなく、人を攫う必要があった──それは、その『必要』は、誰に、なにごとに対して? そして、そして、です。それが失敗したのは霊夢の能力ゆえであり、そして「東方」には確かに、博麗霊夢がいる……。
 ……というのはあんまりこの作品そのものとは関係ない思考なのですがそれは置いといて、この作品における八雲紫のように在れるのならばそれはとても好いことなのだろうと思う一方、「(彼女と人間の関係に限らない、あるいは人と妖怪の)それまでの関係」を彼女が忘れ捨て去ってゆく過程のはじまりでもあり……幻想郷というのは果たしてどういう場所なのかな、と少し思ったりもしました。

【五段階評価では分け足りないので百段階評価】71/100点