作品集115

Last-modified: 2012-04-20 (金) 10:09:49
ナイトホワイトチョコレイト  深山咲氏
四季映姫と八雲紫。その関係は追う者と追われる者。罰する者と罰せられる者。

【作品集】115
【タイトル】ナイトホワイトチョコレイト
【作者】深山咲氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275414575&log=115
【あらすじ】
四季映姫と八雲紫。その関係は追う者と追われる者。罰する者と罰せられる者。
だがしかし、彼女達は決してお互いを悪く思っているわけではなく、むしろ認め合っている節がある。
それ故に彼女達は時折二人きりで会話をすることがある。
そんな二人の今日の会話の場は結界の外の市街地近郊にあるファミリーレストランであった。

【感想・ここが面白い・私的評価】
幻想郷を愛する八雲紫。そんな彼女の罪を減らしてあげたいと願う映姫。
されど重い空気なんてちっとも生まれず、軽妙に進んでいく会食。ドリンクバー。グリーンサラダ。五色ソーセージ。その他いっぱい。
凄い作品です。
たった18.93KBの中に映姫の想い、紫の愛情、二人の可愛らしさ、美味しそうなメニューの数々、他にも色んなモノが描かれているのに
それが全くもって自然で、嫌味がなくて、読み終わる頃には当たり前のように映姫のことが好きになっている。まるで魔法の様だと思いました。

★★★★☆(映姫が好きな方、紫が好きな方は是非読んでみて下さい。映姫の事が苦手な方も、この作品を読めば好きになるかもしれません)

彼女は時折、気まぐれに私と会いたがる。

【作品集】115
【タイトル】ナイトホワイトチョコレイト    【書いた人】深山咲氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275414575&log=115
【あらすじ】
 彼女は時折、気まぐれに私と会いたがる。狐の式神を使役して、面会の希望日時や場所を伝えてくる。小町が案内状を持ってくることもある。初めのうちは警戒していたが、危険な事態にはならなかった。棒や鏡や戦闘抜きで、二人で話した。堅苦しいことも、そうではないことも。次第に、彼女との約束の日付を待ち望むようになっていった。説諭と、純粋な会話の機会として。(本文より抜粋)

【感想】
 ゆかえーきの基本的なエッセンスをこれでもかというくらいに濃縮した掌編。ようするにゆかえーきデート。……と言いつつ、カップリングというほどのものでもない。単に、素直に、映姫と、紫。めんどくさいのでこのレビューではゆかえーきと言ってしまうけど。
 どんなところがいい感じなのかと具体的に考えてみると、作品内の映姫と紫の関係性がまずひとつ。パターンとしてはよくある形なのですが、『立場としては異なっているが(敵対しているが)個人的には互いに信頼を置いている』みたいなタイプ。なかなか萌える関係性だと思うのですが意外と幻想郷では(東方二次創作では)これはあまり見ないような気がします。
 ゆかえーきでこれを描くにあたって映姫様の視点を選ぶのはなかなかに必然的というか、これはおそらく『立場』の存在をしっかり描くにはおそらくその方が適しているために。『立場』をきっちり描き、それでいて相手に信頼も置きつつデート的なことをしちゃう……この作品においてゆかえーきを、カップリングとまではいかない穏やかな関係性を描くための、映姫様の柔らかなキャラ造形。そのバランスがとても好い。その柔らかさが紫にまでも及んで、紫が少々良い子すぎる感じになってる気もするのですが、ここはたぶん好みの違いかなという。
 また、この関係性を示すだけではないもうひとつの面白みとして導入されているのが、外の世界でのデートという舞台装置。これが唐突に差し込まれるだけでなく二人の関係性にも立脚していて、要するに上手く利き、調和してる。関係性と舞台装置をあわせて、拙い言葉ですが、いわゆる『いい雰囲気(カップリング的な意味とはちょっと違う)』を演出できてる。
 文量としても、足りないわけではないけどこれ以上があるならそれはそれで見たい、すなわち無駄に多くも少なくもなく、ひとつの作品として最適なレベルにまとめられている感。
 ゆかえーき作品として基本的かつ上手にまとまっています。基本的であるがゆえにゆかえーきに興味ない人にこそ読んでみてほしい。またゆかえーきに興味があるひとも無論読むべき。つまり読もうと言ってしまいたい。

【五段階評価では分け足りないので百段階評価】76/100点

ヒメサマノイヘンサワギ  ハリー氏

【作品集】115
【タイトル】ヒメサマノイヘンサワギ
【作者】ハリー氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275426983&log=115
【あらすじ】
蓬莱山輝夜は今日も今日とて暇であり、今日も今日とて暇をつぶす方法を求めていた。
適当に見つけたコピペごっこはもう飽き、畳でひたすらごろごろするのにも飽きていた。
ということで、異変でも起こしますかー。

【感想・ここが面白い・私的評価】
なにこの永遠亭可愛い。
ぽやぽやと流れていく輝夜の暇つぶしの時間がなんともチャーミング。こういう姫様、僕は大好きです。
そしてそれに付き合ってあげる従者たちも可愛らしい。
しかし、一見只のほのぼの系SSと見えるかもしれませんが、この作品には起承転結なりヤマなりオチなりがしっかりとあります。
何の気なしに入った喫茶店でモーニングセットを注文したら凄くフワフワなトーストと凄くコクのあるコーヒーを出された。
変な例えですけど、僕はこの作品を読んでそんな心地になりました。
読みごたえのある作品を求める方には物足りないかもしれませんが、軽く読める作品を探している方には
十二分に満足して頂ける作品であると思います。

★★★☆☆(永遠亭好きの方には★を一つ追加します。良質な小話を読みたい方に心からお勧めします)

さよならスカーレットヘヴン  ulea氏

【作品集】115
【タイトル】さよならスカーレットヘヴン
【書いた人】ulea氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275697677&log=115 (前編)
【あらすじ】
 咲夜がかえってきた。紅魔館のタイムキーパーが、完全で瀟洒な彼女が、かえってきた。一度は失われたはずの歯車を取り戻して今、紅の時計は止まっていた時間を再び刻み出そうとしている。奇跡、なのだろう。取り戻せなかったはずのものが取り戻された、起こり得なかったことが、起こったのだ。これはなににも代えがたい、いっとうの奇跡に違いない。
 ……だけれども、私はそれを、どうしてもしあわせなことだとは思えなくて。
 亡くしたものが還ってきたはずなのに、こんなにか胸の痛いのは、どうしてなんだろう。(本文より)
【レビュー】
氏の創想話初投稿作品にして未だ根強い支持を得る「スカーレットに恋して」、その作品に対する一つのアンサーとして書き上げられたSS。
恋してを彷彿とさせる鬱屈とした状況の中で、登場人物達は様々な悩みや葛藤を抱え、時にそれを爆発させる。氏の得意とする所の重厚な心理描写がそれらを生々しく縁取り、形を与えていく。それらの激情的な過程を経て最後に辿りつく結末は――前作に何かしらの感銘を受けた人であればあるほど、心に響かずにはいられない。
前作に似ているようでまったく違うもう一つのスカーレット。前作には無かった要素、あるいは前作とは異なる要素――フランドールの登場や、登場人物達の心情のわずかな違い。そういった仔細を感じ取りながら読み進めると、この物語をより一層楽しめるのではないかと思う。
【総合評価】
★★★★★

雨音語り  kayes(ケイ)氏

【作品集】115
【タイトル】雨音語り
【作者】kayes(ケイ)氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275580461&log=115
【あらすじ】
とある雨の夜。近場の公園にて佇む蓮子。そんな彼女を追いかけてきたメリー。

「昔、ね」
「うん」
「昔、小学生の頃なんだけど、猫を飼っていたの」
「うん」

そして二人は、霧雨の降る中で静かに語り始めた。

【感想・ここが面白い・私的評価】
あとがきにてkayes(ケイ)氏が
「彼女らには日常がよく似合うと思うのです。そんな雰囲気が少しでも伝わればいいな、と思います」
と仰っている通り、この作品はただ単純に蓮子とメリーの会話を描いただけのものです。
しかし、そのコンセプトを過不足無く丁寧に表したこの作品の空気感は本当に素晴らしく、掌編として非常に良い出来だと思います。
日常会話をサラッと描いただけ、という作品はそそわ内にたくさんありますが、その中でもこれはお手本作といっても良い程の
クオリティを有していると感じました。
自分が秘封倶楽部好きである為、少し言葉に誇張があるかもしれませんが……、雰囲気のある掌編として
今作が良作であることに間違いはないでしょう。

★★★☆☆(秘封倶楽部好きの方には★を一つ追加させて頂きます。かつてペットを飼っていた、という方にもお勧めの作品です)

契(きざむ)  katharsis氏

【作品集】115
【タイトル】契(きざむ)
【作者】katharsis氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275730738&log=115
【あらすじ】
ペットに指を噛まれてしまったさとり。
血管にまで至った傷からとめどなく滴る血をそのままに、朦朧とした頭で自室へと向かうと、
そこにはこいしがいた。

「……私以外がこれを傷つけるなんて許さない」

虚ろな表情で、こいしは言った。

【感想・ここが面白い・私的評価】
さとりとこいしの過去について書かれた作品です。
暗欝とした世界の中で刻まれる絆というものは本当に美しい。この作品を読んで僕は心からそう思いました。
古明地姉妹は危うい関係性がよく映える、とお考えになられてる方は多いかと思いますし
この作品もそのような描かれ方をしているのですが、しかし
今作品はこれまで、自分の知る限りでは、ほとんど描かれることのなかった“姉妹”の在り方を示しています。
読んでいて僕は自分の見識が広がるのを感じました。
姉妹好きの方に是非とも読んで頂きたい作品です。

★★★☆☆(古明地姉妹が好きな方に強くお勧めさせて頂きます)

PHANTOM VOICE SHOWER  ネコロビヤオキ氏
春のある日、メルランは偶然ミスティアと出会った。

【作品集】115
【タイトル】PHANTOM VOICE SHOWER
【作者】ネコロビヤオキ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275768516&log=115
【あらすじ】
春のある日、メルランは偶然ミスティアと出会った。
その時に聴いた、コーラスマスターの歌声。
その美麗な歌唱がメルランの心を捕えるのは、あまりに当然のことであった。

【感想・ここが面白い・私的評価】
歌はいいね。歌は心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みだよ。
某フィフスチルドレンの言葉を借りてみましたが、まさにそんな感じのお話です。
作中で紡がれるのは歌詞のある歌ではなくあくまでもスキャットの類なのですが……、いやぁ、歌って本当に良いものですよ。
ライブのラストシーンの盛り上がりが大変素晴らしく、とても楽しい気分になれました。

★★★☆☆(プリズムリバー楽団が好きな方、コーラスマスターな夜雀が好きな方にお勧めです)

まぁノリで楽しめ。それが出来るだけのパワーはある作品だと思う。

【作品集】 115
【タイトル】 PHANTOM VOICE SHOWER
【書いた人】 ネコロビヤオキ氏
【URL】 ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275768516&log=115
【あらすじ&感想】
歌え歌えよメルランよ。歌うメルランをメインとした作品である。

歌に関しては少し音痴だったメルランがどんどん上達していく様、認められていく過程。
それがどこか心地よく、また、心から歌うことを楽しんでいる登場人物達につられてしまう。
最後のライブは、とても楽しめた。みんなで歌おうよ!との問いかけから始まる大合唱。
成る程、歌のあるライブではあり得る光景だし、騒がしい幻想郷らしい。
ただ、少し音楽的な用語や描写が多いのは気になる。分からない人でも飛ばして読める範囲だから問題ないけど、ちょっと惜しい。
まぁノリで楽しむべき作品なので気にしたら負けか。
プリバで音楽扱う際のこの辺のバランスは難しいところやね。とことん徹底するか簡素にするか、が良いとは思うけど。

【五段階評価】
★★★★☆   まぁノリで楽しめ。それが出来るだけのパワーはある作品だと思う。

浴室  うるめ氏

【作品集】115
【タイトル】浴室
【作者】うるめ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275838692&log=115
【あらすじ】
蓬莱山輝夜が部屋で死んでいたので、鈴仙・優曇華院・イナバはいつものように、彼女の身体を浴室へと運んでいた。
(本文より抜粋)

【感想・ここが面白い・私的評価】
タイトルから永遠亭の皆がお風呂でキャッキャウフフするお話だと思ってワクワクしながらクリックしてみたら一行目から輝夜が死んでいてモニターにパンチをしようとする心を抑えて読み進めていったら非常におもしろいお話でビックリさせられた作品です。
要するに、おもしろい作品です。
こういう作品はジャンル付けが難しいですね。「世にも奇妙な物語」的なお話、と言うのがしっくりくるでしょうか。
まぁとにかく、そんな感じの作品なのです。
“浴室”の二文字からPeople In The Boxを想起できた人ならこの雰囲気を予想できたのかもしれませんが、
それでもこの纏め方は普通なら思い浮かばないでしょう。
うるめ氏のステキなセンスを感じられるお話だと自分は思いました。
2010年に入ってからの新人をチェックしていらっしゃる方にお勧めしたい一作です。

★★★☆☆(不思議な雰囲気のある掌編が好きな方は読んでみられることをお勧めします)

名探偵魔理沙 ―毘沙門光明消失事件―  FoFo氏
『事件』とタイトルにある通りミステリー風の作品。

【作品集】115
【タイトル】名探偵魔理沙 ―毘沙門光明消失事件―
【書いた人】FoFo氏
【URL 】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1276086688&log=115
【あらすじ&感想】
ひょんな事から阿求の手伝いをする事にした魔理沙。しかし訪れた命蓮寺は穏やかではない様子で……

『事件』とタイトルにある通りミステリー風の作品。347kbという長編ですが非常に読みやすく、気がつくと引きこまれています。またミステリー風でありながらも様々な要素が含まれており、二次創作SSとして非常に面白いと思います。笑あり涙あり弾幕あり謎解きありと、目を離せないです。とにかく登場人物が魅力的で、オリキャラも一人一人丁寧に作り込まれています。気にならない点が無いかと言われると人によってはあるかもしれませんが、それを差し引いても本当に素晴らしいです。

ぜひ多くの方に時間をとってゆっくりと読んでいただきたい作品です。

【五段階評価】
★★★★★
長さを感じさせない力作。多くの人に読んでほしいです。

諸々あって阿求の便利屋的なことをする羽目になった魔理沙だったが、その過程で訪れた命蓮寺で「宝塔の光」が盗まれるという事件が発生。

【作品集】115
【タイトル】名探偵魔理沙 ―毘沙門光明消失事件―    【書いた人】FoFo氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1276086688&log=115
【あらすじ】
 諸々あって阿求の便利屋的なことをする羽目になった魔理沙だったが、その過程で訪れた命蓮寺で「宝塔の光」が盗まれるという事件が発生。なんか諸々あってその事件を解決するために動くこととなる。

【感想】
 ネタバレ注意。
 まず良い点として、同作者の「東方文明ごっこ」などでも見られる、『原作から吹っ飛びすぎず、かつツボを押さえたキャラクター造形』が活きているというのがあります。このためうぎぎ計量327kbが長く感じない、というかむしろ長ければ長いほど(このキャラクターたちを眺めているだけで)面白いとすら感じられます。また、「それっぽい」キャラ造形だけでなく、それっぽさから一歩踏み出そうともしていてそれが良い……赤毛の町娘お梨沙ちゃんとか素敵過ぎる可能性です。……もちろんこのあたりは個々の東方キャラ認識によるでしょうけども。

 ここから完全にネタバレ。
 上述したような、良い意味でクセのないキャラクター造形が、たとえば全体の話運びを丁寧っぽくしていたり、ちょっとしたエピソードややり取りの魅力を増してくれてもいて、全体的に、「ただ読んでいるだけで楽しい」という感じの力を持った作品と思います。ただ、二点ほど気になるようなならないようなところがあるかも。
 まず一点は……私自身ミステリというものはほぼ読まない人間なのであまり強くは言えないのですが、これ、タイトルからミステリ臭するし前書きにもミステリー仕立てとあるのですが(ある意味でミステリー『仕立て』というのは正しいのかな)、たぶんミステリとして真面目に読んで考えにいくとかなり肩透かしをくらうだろうなということ。ただこれはそこまで問題ではないというか、実際に読んでみれば「これミステリが本筋じゃないわ」ってのがひしひしと感じられるだろうし、なんというか、変にミステリへの情熱を持って読みにいってもたぶんあんまりアレかも、といった程度。
 どちらかというと気になったのは、なんかこれ相当難しい問題を扱ってるはずだし少なくとも途中まではそれに真摯に取り組もうとしてるように見えるんだけどそしてどんな答えを出すのかと思ったら結局ノリ任せにしてごまかしてないか、という感じのことだったり。
 既に書いたように「ただ読んでるだけで楽しい」……すなわち面白さが分散しているので、最後らへんで引っかかっても作品全体として十分に面白くはあるのですが、やっぱり個人的には画竜点睛を欠いた感はあったかも。十分に面白くはあったのだけど、面白かったからこそ!

【五段階評価では分け足りないので百段階評価】83/100点

気合わず嫌わず  もえてドーン氏

【作品集】115
【タイトル】気合わず嫌わず
【作者】もえてドーン氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1276012517&log=115
【あらすじ】
なんてことのない用事から命蓮寺を訪れた咲夜は白蓮との気負わない会話に身を委ねる。
気が合わない、されど嫌わない二人の会話とは果たしていかなるものとなるのだろうか。

【感想・ここが面白い・私的評価】
おもしろい組み合わせだなぁ、と思いました。
魔の側に立った人間と魔の道に走った元人間。似たところがあるからこそ殊更に感じられやすい二人の価値観のズレがなんとも個性的です。
マイナーカップリングと言うと語弊がありますが、この二人の交流する作品が中々に珍しいものであることは確かでしょう。
そんなカタチが見え辛いものを違和感なく読ませてくれる今作は、流石のもえてドーン氏クオリティ、といったところでしょうか。

★★★☆☆(咲夜が好きな方、なんてことのないお話を読むのが好きな方にお勧めです)

Calling Calling.  芽八氏

【作品集】115
【タイトル】Calling, Calling.
【作者】芽八氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1276037703&log=115
【あらすじ】
着なくなった服の処分をしていたその時、ポケットから出てきたのは携帯電話だった。
懐かしい気持ちと共にボタンを押す早苗。だがしかし画面に光が灯ることはなかった。
バッテリーが切れていたのだ。

【感想・ここが面白い・私的評価】
携帯電話を持ってノスタルジックに佇む早苗。
泣けるシチュエーションだと思います。少なくとも僕は、その光景を想像しただけでウルッときてしまいます。
しかし今作はそんなお涙頂戴モノなどではなく、とても爽やかで前向きなお話です。
眩しかったあの頃の思い出をケータイと共に優しく閉じる早苗。過去を軽く振り返って、そうして今を生きようとするその姿。
それはウルッとくるものではなく、思わず笑みを浮かべてしまう様な、そんな綺麗な光景で、そしてそれがすごく早苗らしいと僕は感じました。
囚われないって、大切なことですよね。

★★★☆☆(早苗が好きな方の他、ケータイに思い出を詰め込んでる方にもお勧めしたい一作です)

ナズーリンを縛って目の前にチーズをぶら下げたらどうなるの?  浅木原忍氏

【作品集】115
【タイトル】ナズーリンを縛って目の前にチーズをぶら下げたらどうなるの?
【作者】浅木原忍氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1276116520&log=115
【あらすじ】

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                                   /         i

命蓮寺内、星の私室。
ナズーリンは後ろ手に縛られてベッドの上に座らされていた。

そして、彼女の目の前では紐にくくられたチーズがゆらゆらと揺れていた。

【感想・ここが面白い・私的評価】
「うずうずナズー」という、ナズーリンの前にチーズを吊るしてナズーリンを焦らすだけ、というステキな内容のゲームがあるのですが、
それをものの見事にSSとしたのが今作です。
「うずうずナズー」を知らない方でも、可愛らしいナズーリンの姿を見たい方であれば今作は確実に楽しめるでしょう。
というより、この作品から「うずうずナズー」にハマっていく人が大勢出てくるのでは、と思いました。
二点ばかり注意点を挙げるとすれば、今作の内では、ナズーリンの一人称が僕、そして星ナズ風味、ということ。
けれどそれがツボに入ってしまった方には今作は堪らないものである筈かと思います。その場合は、僕も付き合いますんで、一緒に悶えましょう。

★★★☆☆(「うずうずナズー」にハマった経験をお持ちの方には★を一つプラスさせて頂きます)

冬そうで秋くない少し夏いハーる  もるすあ氏

【作品集】115
【タイトル】冬そうで秋くない少し夏いハーる
【書いた人】もるすあ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275647278&log=115

【あらすじ】
『新商品 春屋の冬そうで秋くない少し夏いハーる 近日発売!!』
社運がかかったくだらない新商品に頭を抱える訪問販売員の私、リリーブラック。
さらに脳内お花畑のポワポワした新人、リリーホワイトの教育係も任され(押し付けられ)てしまう。
仕方が無く馬鹿げた新商品を引っさげてぼやっとした後輩とともに私たちは町へ繰り出した。

【感想】
面倒臭がりだがしたたかで仕事をそつなくこなすリリーブラック先輩。
要領は悪いが元気いっぱいで仕事に対する熱意は人一倍のリリーホワイト後輩。
この対極に位置する両者の掛け合いが非常にコミカルで爽やか。
また、ブラックの視点からの淡々とした語り口も味があり秀逸だ。
事実とちょっとの感情を述べているだけなのに所々にクスっとくる場面が散りばめられていて、
物語をさらに明るく楽しく読みやすくする要素となっている。
個人的にはこのポイントなのが信じられない。

【総合評価】
★★★☆☆(こんな職場で働きたい)

「はい、じゃあ二人一組作って」  猫透け氏

【作品集】115
【タイトル】「はい、じゃあ二人一組作って」
【書いた人】猫透け氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275881857&log=115
【あらすじ&感想】
"玉兎"タグのついている最初の作品。
タイトルから受ける印象とは違って、しっかり設定を作ってある過去話。
昔鈴仙が月にいたころに、パートナーとして訓練していた玉兎の話。
名前はないですがオリキャラではなく、レイセン(2号)が来たときに一人余ってた玉兎だと思われます。
雰囲気は非常にいいのですが、この分量だと少し物足りない気も。この設定でもっと深く描いてほしかった。
彼女は掘り下げれば面白くなるキャラだと思っているので、こういう作品がもっと増えてくれると嬉しい。

浅木原忍さんの『うみょんげ!』でいうとキュウちゃんですね。
儚月抄後の今でこそ鈴仙の月暮らし時代はもっと二次創作されるべき。

月曜日が幻想入り  もるすあ氏

もるすあ氏の『月曜日が幻想入り』は傑作
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1275822765&log=115

これぞストレートな書き方というもの。看板に偽りなしタイトルに誇張なし
月曜日がすべての日本人にとって恐怖の対象でしかないのって悲しいよね。そんなに休日に価値があるのだろうか
月曜日を「新しい一日」ではなく、単なる「仕事始めの嫌な日」にしてしまった労働大国・ニッポンってダメな国だなぁとか、そういうことまで考えた

首吊り霊夢  ケチャ氏

【作品集】115
【タイトル】首吊り霊夢   【書いた人】ケチャ氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1276211523&log=115

【あらすじ】
幻想郷の巫女、博麗霊夢は口下手で異変の時をのぞきほとんどしゃべらないのがチャームポイントである。
その日射命丸文が博麗神社に行くと、霊夢は首を吊っていた。

【感想】
タイトル通りの場面が本気であるのにまずびっくり。釣りだろうと思ったらガチで吊っていた。
機先を制されてちょっと混乱しているうちに話がどんどん進んでいき、それがまた思いも寄らないような方向で、
読みながらどこに運ばれるんだかわからない快感がある。10kbと短いながらも、読み終わったときは
「ほぉぉ」と息をついてしまった。
まぁ、あえていうと、シュールな感じです。あんまり内容に触れるような感想は書きにくいけども、
一言だけいうと、霊夢が最後までしゃべらないのがいいね。