作品集124

Last-modified: 2014-01-19 (日) 15:38:23
永遠亭、午後三時の永遠  葉月ヴァンホーテン氏

【作品集】124
【タイトル】永遠亭、午後三時の永遠
【書いた人】葉月ヴァンホーテン氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1282655950&log=124
【あらすじ】
姫様とてゐが変わったお菓子を食べながら自分達や人間達の生き方をだべる。

【感想】
和三盆というお菓子と長命や不死の者の生き方をうまく合わせたなと感じた作品。
なにか華があるといった作品ではないが、テーマと作風がマッチしていて読みやすい一品。
この作品を通じて幻想郷のスローライフを感じてみるのもいいじゃない。
お勧め。

搾乳の天子  KASA氏

【作品集】124
【タイトル】搾乳の天子
【書いた人】KASA氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1282656151&log=124
【あらすじ】
わがままに振舞う天子の事を思い悩む衣玖さん。天子は以前やられた事のしかえしをする為
八雲紫に頼みごとをするのだが……。
【感想】
タイトルホイホイ?な作品。迷わずクリックする人もいれば迷わずスルーしそうな人もいそう。
ちなみに自分は迷わずクリックした。
ホイホイなタイトルに反して、序盤は地の文による情景描写や状況説明が続く。
これには面食らう読者が多かったのではないだろうか?
話が加速するのは天子が紫に頼みごとをするあたりから。話と同時に読者のボルテージも有頂天。
やっぱり衣玖さんはエロいな。
ただそんなシーンで二人の関係を描写するのは上手いと思った。
ラストの天子へのネタ晴らしで笑いを誘いつつ終わるので読後感も良し。
序盤を乗り切れば面白くなるので最後まで読んで欲しいお勧め。

二人見た桜の様に・・・  タカハウス氏

【作品集】124
【タイトル】二人見た桜の様に・・・
【書いた人】タカハウス氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1282656599&log=124
【あらすじ】
山奥で1人踊る雛のところにある男が現れる。
ここは危険だと警告する雛に対し、男は君の踊りが見たいと答え二人の関係がはじまる。
【感想】
ある曲を元に作られた作品らしい。
その曲を知らない為、どこまで膨らませた作品なのかはわからないが、膨らませ方が足りないと思う。
コメントにもあるが、男が危険を冒してまでこの行為に及んだ理由がまったくわからない。
そしてそれを想像する材料も見当たらない。
雛とオリキャラとなると「おにんぎょうのロンド」が記憶にある為評価が厳しくなってるのかもしれないが
それにしても、もう少しなにか書いて欲しかったところ。
次回作に期待。

十四・六光年の天体観測  春風夜風氏

【作品集】124
【タイトル】十四・六光年の天体観測
【書いた人】春風夜風氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1282659192&log=124
【あらすじ】
神社で馬鹿話をしていたころから十四年。
霊夢と疎遠になっていた魔理沙は「星を見に行こう」という手紙を霊夢に送る。
【感想】
BUMPの曲元に作った作品。曲を元に作った作品が続くなぁ。
文章はしっかりしているし、途中の過去の魔理沙と霊夢のやりとりも雰囲気が出ていたと思う。
ただ、今までに作られた作品をこの人の文章で書き直しただけという印象が強い。
ありがちなテーマで書くことは否定しないが、そこに自分の色を出せないと埋もれちゃうだろうなと思う。
書く力はしっかりしていると思うので、もっと自分の色をだしてみたら良さそうな感じ。
次回作に期待。

砂漠の銀河  センテンス氏

【作品集】124
【作品名】砂漠の銀河
【作者】センテンス氏
【容量】45kb
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1282809685&log=124
【あらすじ】
ある秋の夕方、湖のほとりで大妖精は特徴ある珍しい石を拾った。眺めているとやってきたのはチルノ。
持ってきたのは自分で、欲しいのならたくさんある場所に連れて行くと言う。
すっかり夜になって到着したのは、立ち並んだ木々の合間に拓けた幻想的な場所だった。

大妖精の柔らかなですます調の一人称で語られる、チルノと早苗と三人の、少し未来のお話。

【感想】
何事に終わりは必ずある。当たり前のことと頭でわかってるけど、過程にいるときそれは見えにくい。
けれどふとしたきっかけで、もうここまで来てたと実感することがある。
秘密の場所があまり居心地よくなかったという早苗の感想と
また行きたいがもう行けないという大妖精の思いが
巻き戻せない、戻すべきでない時間の経過を物語ってるように思えた。
言葉足らずに見える文体の中に、長命な妖精らしい慧眼を感じさせる独特の一人称が素敵。

★★☆☆☆(センスある描写でご飯三杯軽い人は+1)

恋の囁き  神田たつきち氏

【作品集】124

【タイトル】恋の囁き

【書いた人】神田たつきち氏

【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1282716448&log=124

【あらすじ】
 ある博麗神社での宴会でのこと、新聞記者射命丸文は西行寺幽々子に「夜雀の屋台に新メニューが出来た」と聞かされる。
 なぜか始まった弾幕勝負に負けた罰ゲームとして文は、雛を連れて屋台へと赴く。
 というのも、どうやらその新メニューは2人でないと注文できないらしく…?

【感想】
 文雛&ゆゆれいむ(後書き)という珍カップルの魅力を短いながら存分に引き出した個人的良作。
 タグに一発ネタとあるが、ウケ狙いのギャグではなく読了後に「ああ、なるほど」と思わせほっこりさせてくれた。
 ただ、「なんでいきなりゆゆれいむ?」と思われた方は過去作を見返してからでないとわかりにくいかも。

【五段階評価】
 ★★★☆☆(百合嫌いな人なら-1.5、百合&珍カプいらっしゃいな人なら+1.5)

ぽてちをあなたに  監督氏
Theキングオブスナック

【作品集】124
【タイトル】ぽてちをあなたに   
【書いた人】監督氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1282850726&log=124

【あらすじ】

レミリアの一番の楽しみ
それは、博麗神社にお菓子を持って遊びに行くこと
霊夢を餌付けしているわけではなく、もちろん飼育してるわけでもなく
とっても気になるオトモダチだったのである
オトモダチと一緒にお菓子を食べる、確かにこれ以上楽しいことはあんまりない
だがある日、レミリアがザッハトルテを持って神社にいくと、早苗と霊夢が何やら見慣れないお菓子を食べている!
しかも何やら、すごく楽しそう!二人はポテチを食べていたのだ! 
「なによ、なによなによあの巫女モドキ! 新参者のくせに、こんな安っぽい菓子で私の霊夢をたぶらかそうだなんて!」
こうしてレミリアはポテチを自で作って霊夢に食べさせようと決意する
しかし、作りかたがわからない
困ったレミリアはパチュリーに相談。二人はポテチの空き袋の裏に書いてある原材料に注目した
馬鈴薯や食塩といった馴染みの食材のほか、甘味料、デキストリン、酸化防止剤、昆布エキスパウダー、野沢菜パウダーなど、夥しい数の意味不明な名詞が列挙されていた。
「さっき食べた時は、まるで薄切りの芋を揚げただけのお菓子みたいに思えたけれど、これほど多くの未知の材料が使われている以上、そんな単純なものではありえないという事よ。幸い、部分的には意味がわかる名前も多いから、似たような材料は用意できると思うわ。まずはそこを基点に、手持ちの知識と想像で補いながら作ってみましょう」
「わかった。やっぱりパチェは頼りになるね」
「とりあえずゾンビパウダーって何処に置いてあったかしら」と記憶を探りながら、パチュリーはぽてち作りの独自の手順を頭の中で構築し始めるのであった

そこから始まるのは、ポテチ作りという名の別の何か。
なにげなーーーーーく、神の領域への挑戦、だった

【感想】
あえて強引にジャンル分けするなら、ほのぼのに類される。が
コメントにもあったけど、星進一系のショートショートを彷彿とさせる展開を基板しているため読み応えがある
タグにある通り、若干ながら百合要素とも取れるモノが、物語りが進むエンジンとして扱われるので、ここら辺で戸惑う人も少しいるかもしれない
だが、そんな人にもポテチ作りを始めた後まで読んで欲しい。ぜんぜん百合がどうとか関係ない見所がある

月ロケットを幻想郷的なファンタジー理論で創り上げたパチュリーとレミリアがポテチをマジで作ったらどうなるのか?
ある種のSF的な探求心がこのSS最大の魅力だと感じた

【五段階評価】
主観的には
★★★☆☆
さくっと読めて、読んで良かったと思えるくらいは楽しい
では、読んだあとに何か残ったかと言えばそういう系ではない
だがポテチの名を冠する作品なだけに、この軽いスナック感覚こそが作者さんが書きたかったものじゃなかろうか、と勝手に思ってる
もしそうならば、その試みは実に成功している

客観的に
★★★★☆
Theキングオブスナック
とりあえず読んでみろと勧められる

生命の進化

【作品集】124
【タイトル】ぽてちをあなたに   【書いた人】監督 氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1282850726&log=124

【あらすじ】
生命の進化

【感想】
パッチェさんタグ。万点こえてるし、名作なので読んだ人も多いのではないでしょうか。
早苗さんが外から持ってきたぽてちを、霊夢と一緒に食べて、ごきげんとってるのを見てレミリアも
自分でぽてちを作ろうとするが。
中盤からの話の横滑りがまさに超展開と呼ぶにふさわしい。素で驚いた。
パッチェさんタグで選んだ作品ですが、それよりも意図せずこういうサプライズを起こしてしまうおぜうの
常識外れたポテンシャルに感銘を受ける作品。運命を操る能力とはこういうことなのかもしれない。
展開がスゴイことに目を奪われがちですが、おぜうとパッチェさんが両方らしくて、仲良しな様子なのが
とても良く、可愛く書かれていて良いですね。
おぜうやパッチェさんのファンのみならず、誰にもおすすめできる文字通りの名作。

援助交際  夜空氏
テーマの割りに読後感が爽やかな作品。

【作品集】124

【タイトル】援助交際
【書いた人】夜空氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1282907060&log=124
【あらすじ】
背景は風神録前。
自分の生き方と現実社会とのズレの苦悩していた早苗は逃避の為に援助交際サイトに登録する。
大量に送られてくるメッセージ、その中にユカリと名乗るメッセージがあった。

【感想】
テーマの割りに読後感が爽やかな作品。
少し青臭いと感じるかもしれないが、中盤からラストにかけて作者の描きたい事が伝わってくる。
この作品は百合だが、メインテーマは早苗が紫と出会うことで物事の捉え方がすこしづつ変化するところにある。
個人的には百合と信仰の混ざったものって印象だけど、しっかりと百合描写はあるんで駄目な人は駄目かな。
ただ作品としてはしっかりまとまっているし、序盤の重さが最後まで続くわけじゃないので
気になった人は読んで見て欲しい。

【五段階評価】★★★★☆(百合が気にならないなら)

現実世界から幻想郷へ行く早苗物。

【作品集】124
【タイトル】援助交際
【書いた人】夜空氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1282907060&log=124
【あらすじ】
現実世界にいる早苗。彼女はさまざまな現実の問題からの、逃避のための「愛」を求めていた。
援助交際サイトに登録し、「最後のメッセージの人にしよう」と決める早苗。それは刹那の「愛」ならば誰でも同じだろう、という諦念からだった。
しかし、最後のメッセージの差出人だったユカリと会い、やり取りすることで早苗の中で何かが変わっていく。
【感想】
現実世界から幻想郷へ行く早苗物。
同じ場面を切り取った物にはかなりの数があるわけだが、その中でこの作品が特筆されるべき点はやはり早苗の変化の描写と言えるだろう。
どこにでもいる俗物的な少女が、やがて繊細で詩的な愛の調べを綴り始める。曰く早苗はセカイ系らしい……「そう、わたし、魔法少女サナエよ」みたいな感じかな
その心象の変化を緻密に一人称で描き切った点を評価したい。
あとは、爽やかな読後感を生み出す演出と顛末。
こういう薄暗い百合はバッドエンド直行するものだとばっかり思っていたけど……まぁ、そこはちょっと不満な点のひとつ。
女子高生っぽい早苗が愛と理想を追い求め圧倒的に成功してしまうことが、青臭いと言われている理由で、俺が受け入れられなかった原因なのかなぁ。
逆にそうじゃないと爽やかな読後感にはなりえなかったわけで……うーん。
完成度が高いというのは、それだけ作品の匂いを強くする事なのかもしれない、と思った作品でした。
【五段階評価】★★★☆☆(青臭い!? ジョートーじゃねぇか夜露死苦ゥ! な人には是非ともオススメ)

ミステリーの楽しみ方  クラミ痔あ氏
紅茶を友に魔理沙とアリス、推論と反論で展開される日常系ミステリSS。

【作品集】124
【タイトル】ミステリーの楽しみ方
【書いた人】クラミ痔あ氏
【容量】56kb
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1282978342&log=124
【あらすじ】
持ち込んだ推理小説に飽き、退屈しのぎにアリスの読書趣味をからかう魔理沙。
ミステリこそご都合主義、机上の空論で物事を見通せるわけがないとアリスは反駁する。
否定するなら証明してみせろという挑戦を受けて立つ魔理沙。
勝負手法は、手元にあった新聞の事件記事から背景をどこまで推理できるかに決まった。
ランダムに指さした記事は知人の載せた伝言文だったが、アリスはこれにすると言う。
紅茶を友に魔理沙とアリス、推論と反論で展開される日常系ミステリSS。
【感想】
東方の世界観でも成り立つミステリー分類、日常系。
最終的に導き出した魔理沙の推論が、伝言を書いた人物の立場やキャラ像を踏まえて
唯一の解になるよう論理で構築されてて見事でした。
推論と反論を淡々でなく起伏を付けて展開する、読ませ方が上手い構成で書かれているなと思いました。
伝言の宛先予想は、どうしても先入観で……っと書くとネタバレになるのでここまで。

★★★☆☆(推理好きなら+1、詠唱組の皮肉応酬が好きな人は+1)

ミステリの基本にして、醍醐味を味わえるのは推理である。

【作品集】124
【作品】ミステリーの楽しみ方
【作者】クラミ痔あ さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1282978342&log=124

物語 14点
9マイルは遠すぎるという短編ミステリをご存知だろうか。
ある人が9マイルは遠すぎると何気に言った言葉から推理を重ねていくミステリの金字塔である。
この作品もその流れをくんでいて、なにげないワンフレーズから純粋に論理のみを積み重ねていくタイプのミステリである。
一種のアームチェアディテクティブとも言えるかもしれない。
ミステリの基本にして、醍醐味を味わえるのは推理である。この作品を読んで、ミステリの旨味を味わうのも良いかもしれない。

キャラクター 13点
魔理沙はわりと探偵役にあってるように思う。
背景としてはほんのりマリアリ風味で、ここも読み解けば面白い。
ただミステリとしてアンフェアな点をいわせてもらえれば、
あるキャラクターがある台詞を言ったとして、そのキャラクターを事前に知っているというのはかなり大きいということだ。

ストーリー 12点
正直に言えば、ありえるかありえないかという可能性の問題で捉えると、ちょっと無理があるようにも感じるが、
そこはミステリとしての様式美のようなものだと考えるべきなのだろう。
これはいわば、犯人役のキャラクターの弾性の問題と捉えることも可能だ。どう捉えるかは読者次第でもある。

構成 13点
構成がまずかったらミステリとして成立しないわけで、成立しているからまずくはなかったともいえる。

表現 14点
もってまわった言い回し。
これぞミステリーの醍醐味か。

総点 66点
ミステリ小説は東方とはあまり馴染みがよくない面もあって、それは言わずもがな様々な能力のせいだったりするわけだが、
今回のような見せ方、魅せ方もあるのだと提示したこの作品は、良い作品だと思う。

アリスの家で好きな本について語りあう魔理沙とアリス。

【作品集】124 【タイトル】ミステリーの楽しみ方  【書いた人】クラミ痔あ 氏
【URL】 ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1282978342&log=124
【長さ】■■■□□ (56KB。長めの中編)
【あらすじ】
 アリスの家で好きな本について語りあう魔理沙とアリス。
 好きなジャンルであるミステリーを否定され、その良さを力説する魔理沙に対し、
 アリスはこう言い放つ「そこまで言うんなら、証明してみなさいよ」。
 新聞の小さな伝言欄をめぐる、魔法使い達の推理劇場の始まり始まり。
【感想】
 冒頭にある通り、人が死なない、怪我しないミステリー。
 ほんのわずかな情報から推論を重ねていく事によって、
 文章を眺めただけでは見えてこなかったような出来事を導き出す、
 そんなミステリーというよりも推理ゲームみたいな作品。
 ホームズの導入でよくある話、というと分かりやすいと思う。
 考えを練りに練る魔理沙とアリスの会話を楽しむ作品。
【文章】       ★★★★☆
【展開】       ★★★★☆
【総合評価】   ★★★★☆ (面白かったなら、「机上論理の楽しみ方」もぜひ

ドキッ!水着だらけの水泳大会、その裏側  アデリーペンギン氏

【作品集】124
【タイトル】ドキッ!水着だらけの水泳大会、その裏側
【書いた人】アデリーペンギン氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1283062972&log=124
【あらすじ】

更衣室でのつつき合いを題材にした百合成分高めのドキドキウフフギリギリセーフ
えっ、そそわでここまでやっちゃっていいんですか?

【感想】
そんなわけなかった

主観的に
★★★★☆
そんなわけなかった

客観的に
★★★☆☆
そんなわけなかった

小さな小さな非逃避行  深山咲 氏
読んでいてまず情景に呑まれた。

【作品集】124
【タイトル】小さな小さな非逃避行
【書いた人】深山咲 氏
【ポイント】5060
【レート】14.03
(2010/08/30時点)
【あらすじ】
 聖が無い後も寺を守り続ける星とナズーリン。ある日、お香を切らした二人は山を降りバスに乗り、町へ買いに行くことにする。
【感想】
 読んでいてまず情景に呑まれた。山合い、バス、ショッピングセンター、海辺など、寂れた地方の情景がリアルに丁寧に描写されている。
 風景だけでなく二人のやり取りも良い。何気ないやり取りから考えたり悩んだり、深刻な話題まで、どれもが丁寧にしっかりと描かれている。聖たちのいない命蓮寺を描いた、文章全体に寂寥感が広がっている作品。
【長さ】.   ★★☆☆☆(17KB 短めの中編)
【総合評価】★★★★☆(外の世界での東方作品が好きなら★5)

どう捉えましてもデートです本当にありがとうなのだわ!

【作品集】124
【作品名】小さな小さな非逃避行
【作者名】深山咲さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1282833966&log=124

【あらすじ】
衰亡しつつある妖怪たちによる、寂れてゆく限界集落、
そして地方都市での買い出し紀行。

【感想】
どう捉えましてもデートです本当にありがとうなのだわ!

星蓮船の五年前を舞台に展開する、ある夏の日の妖怪同志の交流です。
未来に対する展望が定かでない状況と、近代化されてはいるものの
過疎化の一途を辿る地域との同時化が、読む者に哀感を覚えさせます。

【五段階評価】
★★★★☆
真面目に生きていれば、きっと良い事がある筈なのです。
明けない夜はないのです。

残暑お持ち致しました。  はちよん氏

【タイトル】残暑お持ち致しました。
【作者】はちよん氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1283206111&log=124
【あらすじ】
暑さの続く博麗神社に四つの人影が訪れる
彼女たちは口をあわせてこう言った『残暑お持ち致しました』と
こうして霊夢と四人は残暑を押し付けに幻想郷を駆け巡ることとなった
【感想】
ギャグのようで良い話と思いきや結局ギャグ
残暑を持ってきた連中の動機と押し付けられた面々の行動はらしいと思った(ただし前者はギャグ的な意味で)
幻想郷の四季の解釈もとてもユニークなものであり、なるほどと感じさせるものがあった
腹を抱えて笑える作品ではないし、ストーリーが凄いというわけでもない(作者さんすみません)
しかし、残暑が続く今年にぴったりな作品なのでまだ暑い日が続く今の内に是非とも読んでいただきたい

Blue Wish  通りすがりの○○氏
美鈴に突如下された青い薔薇を探してこいという命令

【タイトル】Blue Wish
【作者】通りすがりの○○氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1283112477&log=124
【あらすじ】
美鈴に突如下された青い薔薇を探してこいという命令
花の妖怪である幽香に聞きに行くもそんなものは無いと言う
だが、その夜レミリアが青い薔薇を探す目的を知ってしまった美鈴は―――
【感想】
非常に読後感が良い作品であった、美鈴と幽香の関係も読んでて好きになれるものであったし、ストーリーも王道的なものだった
随所に散りばめられているARMSネタもファンならニヤリとできるものがある(知らなくても話そのものの面白さは変わらないが)
しかし後書きで本人が人生初SSと言っていた通り粗が目立っていたとは思う
具体的に言えば、文章に多少変な部分があったり、展開が急な部分があったりという部分だ
しかしながらそれを差し引いても面白い作品であると言えるので是非とも読んでいただきたい

展開が軽すぎるというのが第一印象。

【作品集】124
【タイトル】Blue Wish
【書いた人】通りすがりの〇〇 氏
【ポイント】2310
【レート】10.86
(2010/09/09時点)
【あらすじ】
 「美鈴、青いバラを探してきなさい」 突然レミリアにそう言われた美鈴。
無理と分かっていても主の命令だから仕方が無い。
【感想】
 展開が軽すぎるというのが第一印象。確かに書く文章に不自然な点は無く、
構成も起承転結の明確な矛盾の無い物なのですが、
それ故に物語に波が無く、単調な物になってしまっていると感じました。
 何よりも、展開が王道かつ最短コースなのがマイナス点。
壁にぶつかったらすぐそこに爆破スイッチがあるような構成で、
長さはそれほど短くないにもかかわらず、かなり駆け足な印象。
 個々の文章を見れば十分なレベルに達しているので、
これらの構成の甘さが非常に勿体ないと感じました。厳しめの評価はそれ故の物です。
【長さ】.   短□■□□□長 (32KB 短編と中編の中間くらい)
【構成】     ★★★☆☆ (問題無いレベル。ただ、テンプレ通り過ぎる感)
【描写】     ★★★☆☆ (可も不可もなく)
【総合評価】 ★★☆☆☆ (定型的な感じ。もっと展開に波を)

デビュー作ということですが、友情ありバトルありと気合が入っている作品だと思います。

【作品集】124
【タイトル】Blue Wish
【書いた人】通りすがりの〇〇氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1283112477&log=124

【あらすじ】
梅雨のある日、薔薇の季節であることに気付いたレミリアは、青い薔薇を探せと美鈴に命じた。
困り果てた美鈴は、青い薔薇を求める内に幽香と出会い、有力な情報を耳にする。
だがそれには「人や妖怪が越えてはならない領域」を越えることが必要となり…。

美鈴は、無事に青い薔薇をレミリアに届けられるのか。

【感想】
デビュー作ということですが、友情ありバトルありと気合が入っている作品だと思います。
個人的には、お嬢様が美鈴に命じたことが「単なる気まぐれ」ではなかったというところが好印象でした。
本当の動機はすごく綺麗なものでしたし。

ただ、一人称と三人称が入り混じったり、読点が少なく少々文章が読み辛い場面も見受けられました。
特に人称なのですが、これまで美鈴の一人称だったのが突如三人称になったりし、加えて幽香の一人称の場面まであるので、面食らう人もいるかと思います。
まあ、そこら辺は訓練次第でいくらでも直せますし、アイデア自体はすごく良かったです。
初投稿ということですが、これからに期待しています。

印象としては、テーマが見えやすい作品だった。

【作品集】124
【作品】Blue Wish
【作者】通りすがりの〇〇さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1283112477&log=124

物語 14点
レミリアが美鈴に青い薔薇を探すように命ずる。その理由は青い薔薇の花言葉にあった。
というわけで、美鈴が奔走する話。
あ、うまいなと思ったのは動機の作り方。物語を駆動するための感情のエネルギーは高い。

キャラクター 14点
美鈴も幽香も良いキャラしているが、たぶん決定的に欠けているのはフランの描写。
まあなくても成り立つが、美鈴の選択をより説得的に説明するにはフランを早い段階で登場させたほうが良いかも。
チルノはたぶん削ろうと思えば削れる。だが美鈴のキャラに資する面もあるから一様にはいえないか。
幽香については、裏側から見ると、結局彼女も友情よりも花を優先しているじゃないかというふうに穿った見方もできるかも。
幽香のフォローは視点キャラである美鈴がすべきであるから、ここをもっとなにか言葉で埋めてほしい。
友情を壊したのではなく、あくまで苦渋の選択だったというような『重さ』を表現するというか……。

ストーリー 12点
早足すぎてよくない。中編の構造なのに短編の分量で済ませている。これでは明らかに分量不足。
短編ほど閉鎖した空間ではないから、たぶん中編を目指したのだろうと思うが、いろいろと省略してしまっている。
分量なんて一様ではないから、足る足りないも作品によって様々だろうが、おそらく今の三倍ぐらいはあったほうがいいかもしれない。

構成 12点
起承転結ははっきりしているが、例えば起はちょっと弱い。20k程度しか分量がないのに、インパクトのない緩やかな始まり方をして

しまっている。
転の部分はもうちょっと厚みが必要だろう。具体的に言えば、美鈴の選択に関わる描写はもっと必要。
結はいい。たぶんラストのイメージは明確だったのではないか。

表現 12点
読点少ないなぁと思ったが、別に死ぬほど読みにくいわけではなかった。
友情にまつわる機微を表してるところはうまかったり、いろいろと部分的に巧い。
全体的に見れば、文章をひとつの作品として定着させるまでにいたっておらず、たぶんナチュラルに書いているところがある。
だから、部分的に力をいれている部分とそうでない部分とで温度差が生じている。

総点 64点
印象としては、テーマが見えやすい作品だった。
あとは唯美的でありながら論理的で、けっこう面白いタイプ。
内面の書き方は論理的だが、青い薔薇のイメージは映像美という感じだ。

告死蝶の鎖は脆く、堅く  pys氏

【タイトル】告死蝶の鎖は脆く、堅く
【作者】pys氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1282993103&log=124
【あらすじ】
吸血鬼事変、吸血鬼の配下の"隊長”は八雲紫の友である西行寺幽々子を見つけた。
これは吉兆だと捉えようとする彼であったが、幽々子の能力を目の当たりにし――――
そして現在、あの危機を乗り越えた幽々子は別の危機に瀕していた
【感想】
前半のシリアスパートと後半のほのぼのパートの二部構成になっている作品
シリアスパートは隊長視点から絶望的なまでに圧倒的な西行寺幽々子という存在が描かれており、
難しいこと抜きでゆゆ様KAKKEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEという気分になれる
ほのぼのパートでは日常の中での穏やかな姿が描かれており、
前半の恐ろしい姿からのギャップもあって非常に和んだ気分になれる
そのギャップが気になる人もいるかもしれないが基本的にはおすすめの作品だ

さぁ~~~~~~センターの輝夜のところに飛んだ!輝夜が見上げているだけだ!ホームランか!?ホームランだ!恐ろしい!両手を挙げた!甲子園は!レミリアのためにあるのか!!!   超門番氏

【タイトル】さぁ~~~~~~センターの輝夜のところに飛んだ!輝夜が見上げているだけだ!ホームランか!?ホームランだ!恐ろしい!両手を挙げた!甲子園は!レミリアのためにあるのか!!!
【作者】超門番氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1282888645&log=124
【あらすじ】
幻想郷に甲子園球場ができた
続々と出来る野球チーム、ホームランだらけの試合展開
さぁ、優勝するのはどこのチームだ!?
【感想】
細かいこと気にしないで頭からっぽにしてみようぜ!
キャラの特徴を生かしたプレイ内容は必見かも
とんでも野球だけどだからこそ面白い
(以下本文から引用)
幻想郷での野球はとにかく派手だ。弾幕のようにホームランが飛び交う。
試合は打ち合いのような形になるのが幻想郷スタイルであった。1試合に10度近く打席が回ってくることも珍しくない。
各チームにはたった数試合で二桁本塁打を超える打者がゴロゴロしている有様だ。

童謡  haruka氏
タグにもある様に、夜に読むと涼しくなる質のいいホラー。

【作品集】124
【タイトル】童謡
【書いた人】haruka氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1283172033&log=124
【あらすじ】
霊夢と早苗に飛び込んだ不思議な依頼。
それは原因不明の奇病を治療する為であった。
解決のきっかけは図らずも早苗にあった。

【感想】
タグにもある様に、夜に読むと涼しくなる質のいいホラー。
私は、だんだんとずれて行く世界に恐怖を感じました。
また、早苗と霊夢の対比がとてもはっきりと書かれていて幻想郷というものを改めて実感しました。
彼岸花を見るたびに思い出すであろういい作品です。

【五段階評価】★★★★☆(寝苦しい夏の終わりにぴったり)

怖さと言うよりも、不気味さが際立つ。

童謡 haruka氏

ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1283172033&log=124

ホラー物の定番、子供とわらべ歌、そして水を題材にした作品。
怖さと言うよりも、不気味さが際立つ。
タグに夜間閲覧推奨とあるように、丁度時間も良い事だし読んでみてはいかがだろうか。

つまりは、話が面白い。

【作品集】124
【タイトル】童謡 【書いた人】haruka氏
【分類タグ】霊夢 早苗 夜間閲覧推奨
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/124/1283172033
【POINT】13040 【容量】37.52KB
【あらすじ&感想】
 ホラータグのついてないホラー。「かごめかごめ」が扱われているが、先述のSSとは違って、メインではなくスパイス的な扱い。
 描写や内容、つじつまについて、言いたくなることは所々あるけれども、それらはしょせん些事なのだろう。
 つまりは、話が面白い。
 何しろどんどん引き込まれる。花が咲きほこっていて、霊夢から魔理沙へそれの顛末が語られる。人気のない村へ呼ばれる霊夢。水に触るのを止める慧音。一緒に呼ばれた早苗に起こる異常。病気でもなく、呪いも感知できない。さあ、原因は……
 そんな感じで次々惹きつけられる要素が現れ、最後まで読めてしまう。
 全体として話が面白ければ、細かな不備はかえって想像の余地を作り、読後の充足を増す。これはそういうSSだと思う。

 ──そんなところで、レビューを終えておこうと思ったのだけど、やはり言いたいので、言う。以下、ネタバレ含む。
 「後味が良かった」「読後感は爽やか」という感想が多かったけれど、自分はそうは思えなかった。
 「無邪気」か「憎悪」か、その融合したもの?かわからないが、それにより霊が村人全員を殺したのは事実としてあって、それは「しょうがない」で片づけられるものではない。大きな罪として背負わねばならないことだろう。だけれど、霊夢たちはそれに言及していない。
 ということは、この話の中では、珍しいことではなかったということだ。間引かれ、とり殺された命が無数にあるということだ。それを思うと、胸の中の暗雲は残されたままになる。むしろますます垂れこめる。
 また、殺された村人たちが恨みを持つ霊になることもあるだろうが、それもノータッチだ。女の子は早苗に会いに来たが、実の母親には会ったのだろうか。実の母親は女の子にどういう感情を持ったのだろうか。それもわからない。
 語られないということはその価値がないということで、「忘れられている
」。幽々子の言う、一番残酷なことが行われているわけだ。
 それこそが怖さじゃないのだろうか。無意識的な残酷が普通に存在している世界観こそが。

 ……と、まあ、このようにいろいろ語りたくなってしまう面白さがこのSSの魅力だろう……と同じことを繰り返して筆を置く。

わたしのおねえちゃん  実里川果実さん
前半だけに騙されてはいけませんでしたね。

【作品集】124
【タイトル】わたしのおねえちゃん
【書いた人】実里川果実さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1282927179&log=124

【読み手として】
前半だけに騙されてはいけませんでしたね。
正直、危うくそのまま読むのをやめて投げ出してしまうところでした。
ただのミスリードで「実はこうでしたー」っていうオチはなんか悔しいだけですもの。
しかし誰かというところがわかってから、いい意味で裏切られました。
文の言うとおり、二人の相思相愛っぷり、あたたかい思いが存分にあふれています。
ほんわかしているのとはまた違う、言葉にできないあたたかみがあるのがいいですよね。

【書き手として】
特別文章がうまいというわけではないこの話、でも文体が二人の雰囲気に合っているのがとてもいいですね。
これは意図したものだと思うので、うまいですねえ。
でも何よりすごいと思うのは、前半と後半の対比。前半はブラフだけで終わっていなかったんですね。
対比とわかるのは最後の自分の名前を名乗るところでもわかりますが、如実に現れているのは「ゆーえつかん」「優越感」というところですね。
この構成は、地味ながらも実はすごくうまいと、心の中で唸ってしまう、私でした。

【満点をつけなかった理由】
作者様には完全に申し訳ないのですが、ひとつは私の好みです。
読み応えのあるものをつい期待してしまうのが私なので、ただあたたかい話で終わってしまうのは少し拍子抜けしてしまいました。
まあ……でもこれは私個人の問題ですが。

もうひとつは穣子のところ(前半)ですね。
「ゆーえつかん」を感じながらも、微妙に静葉に対してコンプレックスを抱いているようなところがあるかな、と。
「おねえちゃんは私の金色の髪の毛を撫でて、綺麗だって言うけど、あんまり嬉しくない。
 おねえちゃんの方が、綺麗にみえるんだもん。」
うん? と思わないでもないですが、細かいところっちゃあ細かいところ……。

【でもやっぱり】
この構成がうまいなあ、と何度も唸ってしまうんです。ああもう、羨ましい。
短編でありながら、良作です、間違いなく。
短いので、今すぐお読みくださいとお勧めしたくなる作品です。

大好きなおねえちゃんのお話を、私だけではない、あなたにも知って欲しいから。

【作品集】124
【作者名】実里川果実氏
【作品名】わたしのおねえちゃん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1282927179&log=124
【あらすじ】
 その日は雨が降っていた。ざあざあと浴びせるように降り頻る雨の音が耳にひどく煩わしい。
 雨は嫌いだった。だから、気を紛らわせたかった。おそらく突然の雨から逃げてきたのだろう、
 その日偶然出会ったその人に、少女は大好きな姉の話を、まるで恋焦がれるように語り始める。
 金糸のような髪を揺らしながら追いかけた、ルビーのような紅の瞳でその背中を見つめ続けた、
 大好きなおねえちゃんのお話を、私だけではない、あなたにも知って欲しいから。
 少女は謳う。大好きな姉に想いを馳せて。それは、世界でたった二人きりの姉妹に贈る思慕の賛歌であった。
【感想】
 ここから感想。読み始めたときは全く気付かなかったが、実は5kbしかなくすぐ読める。
 レベルの高い文章と言う訳ではないが、丁寧な書き方に好感が持てる。
 はじめは妹が姉を想う気持ちを語る一人称。子供らしい話し方で幼さが表現されていると思う。
 だけど、少々話に一貫性がないのが気になる。え、今の話どこいったの? みたいな。
 まぁ、子供って突然話が明後日の方向に脱線することもあるし、仕方ないね。
 差し詰め、妹様のお姉ちゃんお惚気話。いや、そういってしまえば身も蓋もありませんが。
 レトリックとは少し違うけど、子供なりに美しい言葉で巧みに姉への想いを紡いでいたと思う。
 ただ、少し短すぎて、え、これで終わり? と思ってしまったのも事実。そこだけが、実に惜しかった。

文章力  ★★★☆☆(充分なレベル。飛びぬけた部分はないが、しっかり読ませてくれる)
構成力  ★★★☆☆(色々とやられた。しかし、やはり短すぎたところが残念至極)
読み易さ ★★★★☆(短く、癖のない文章、構成に読みやすさは○。さっくり読める)
姉妹愛  ★★★★☆(私もね、本当は姉が欲しかったよ。おねえちゃーん!)
総合力  ★★★☆☆(読んで損はない。さっくり読めるので作業の合間の息抜きに如何?)

Dialogue  みをしんさん

【作品集】124
【タイトル】Dialogue
【書いた人】みをしんさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1283147431&log=124

【読み手として】
話としては非常に単純で、咲夜がアリスの家に来てひと眠りし、お茶をして帰るというもの。
それだけなのですが、咲夜が人間のままで歳を取ってゆくことに、紅魔館での瀟洒な姿ではなく一人の人間としての弱さを見せることに、読んでいる人の胸が疼きます。
そしてそれを優しく受けとめるアリス。彼女は魔法使いゆえに歳を取ることもありません。
そんな彼女が咲夜を受けとめるというのも、また小さな不思議ですね。
この先何十年と経ったときの二人の姿を想像させるラストがじんわりと読む人の心に何かを残してくれるのでしょう。
少し淋しげで、それでも優しい作品です。

【書き手として】
東方のSSとしてはよくある手法ですが、歳を取る人間と歳を取らない魔法使い。
やはりここの不思議さは書き手としても魅力的な部分です。それゆえによく使われてしまうものでもあります。
この作品でもそれが大きな部分を占めていますが、少なくとも悪いものとしてはとらえられていません。
むしろアリスは咲夜が歳を取ることを楽しみに待っているようにさえ思えます。
そこが私が今まで読んできた創想話のお話では珍しいものでした。
咲夜のオフモードでこんなに甘えているのも私は二次創作の中でも初めて読みました。
プライベートではいつもと違うというのは書き手として難しいところですが、この作品ではそこも難なく越えてしまい、うまいものだなあと感心してしまいます。

【満点をつけなかった理由】
この作品に100点をつけないのはすごく心苦しいんです。
95点というのがあったら、間違いなくそちらを選んでいたのですが、作者様には申し訳ないです。
でもたぶん、こういう理由になるんでしょう。この作品の中でアリスも咲夜も明確な変化がないかな、ということです。
一見何も変わっていないように見えて、実は結構ちゃんと変わっている、というのが私の好みだったりします。
これは私の好みなのでそれ以外に点数を減らす理由が私にはありません。
またケチをつけてしまうような理由で申し訳ないのですが……。
90点から先はやっぱり私の主観的な好みになってしまうのかなあ。

【それにしても】
この作品の咲夜さん、なんか可愛いですね……。本当に仔犬みたい。
身悶えしそうな、にやにやしそうなのを抑えて読んでいました。

新世紀  yuz さん

【作品集】124
【タイトル】新世紀  
【書いた人】yuz さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1283189503&log=124

【あらすじ】
(三石琴乃による次回予告風を想像してあらすじを読みましょう)

咲夜を失い、欠けてしまったレミリアの心
彼女は自らの喪失を補完すべく禁断の計画を進める
しかし、その計画は幻想郷のパワーバランスを乱してしまう懸念を八雲紫に抱かせ
幻想郷に新たな争いの種を蒔くことになる

来週もサービス、サービスぅ♪

【感想】
同氏作品の『ダーキニー』からの流れを汲む、シュール系の作風は相変わらずだが
彼の最近の作品は一般化から乖離が激しかったものの、今作品はわりとポップな印象
しかし、楽しみやすいかと言えばまた別で、氏の肉抜きされた絵本っぽい文章や、フワフワした雰囲気とストーリーの取り合わせがどう

にもミスマッチな印象を感じてしまった
そのミスマッチさ自体が狙ったものではあると思うのだけど、これが多くの人にとって魅力になってるかどうかというと、そうじゃない

ような
かなりyuzワールドが好きな人向けの趣向な気はした
でも読んでみれば、普通に良いお話でもある
人によってはとってつけたような、という印象を持ってしまうかも知れないな、という感想も持ってしまったが

【五段階評価】
主観的に
★★★★☆
元ネタが好きというのが大きい

客観的に
★★☆☆☆
変わった雰囲気のSSが読みたいという、少数派なあなたにお勧めしたい

掴めない勇儀さんの話  白麦さん

【作品集】124
【作品名】掴めない勇儀さんの話
【書いた人】白麦さん
【URL】
前篇:ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1283067090&log=124
後編:ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1283287795&log=124
【あらすじ】
ある日の地霊殿、そこに息を切らした勇儀がやってくる。
彼女はさとりに話があって来たというが……
【感想】
カオスなぶっ壊れギャグ、その一点に尽きるがそれがものすごく強い。
勇儀やさとり、地霊殿メンバーが軒並みキャラが強い。
更に様々なパロネタが散りばめられており、わかる人には更に楽しめる作品。
そして後編のオチは予想外でした……
【五段階評価】
★★★☆☆
カオス、パロが好きな方なら+1、嫌いな方は-1でしょうか。
点数は低いようですがとてもオススメできる作品です。

食う寝るアリス  超空気作家まるきゅーさん

【作品集】124
【作品名】食う寝るアリス
【作者名】超空気作家まるきゅーさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1283157995&log=124

【あらすじ】
私専用の奴隷が欲しい!
魔理沙は知己を訪ねて、自らにとって特別な
奴隷のような何かを創造したいと一途に奔走するのでしたが――。

【感想】
妖精大戦争が題材のこの作品。
そもそも奴隷の定義とはなんなのでしょう。
アリス、パチュリー、にとりの、しもべに対する考え方、
つまり自らの信奉するものへのアプローチが垣間みられて
大変興味深い内容へと仕上がっております。

三者の魅力と、そして魔理沙の可愛らしさも秀逸です。
魔理沙かわいいよ魔理沙。

【五段階評価】
★★★★☆
にとりの人懐っこさに君も胸きゅん。

紅の相棒  風峰さん

【作品集】124
【作品】紅の相棒
【作者】風峰さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1283101317&log=124

物語 12点
どっちつかず。例えばオチでサプライズならもっと慎重になるべきだし、そうでないならキャラを立たせてほしい。
たぶん、オチでサプライズを狙ったが、偽装しきれなかったんじゃないかというふうに読んだ。というか偽装なのかしら……。
あるいは迷いながら書いたのかも。

キャラクター 11点
視点キャラのキャラ性をもう少し突き詰めないと話としては面白くならないだろう。
サプライズ系としての旨味を残そうとした結果、キャラ方面を削ってしまった感もあって、ここらのバランスをとりきれていない感じ。
例えばの話。感情移入をさせるというのは具体的エピソードでなければならないところ、
彼女と彼女は共に戦った的な抽象的な言葉では足りない。
通り一遍の感情という意味では伝わっている。もっとかっこよさを拡大してほしい。

ストーリー 12点
一発ネタとして考えると手法としてまちがっているわけではない。問題となるのは落差を生むこと。サプライズというのは結局、一文でひっくり返すことにあるわけであるから、なんというかダムの水を溜めるような含みが足りなかった感じがする。
逆にきっちりしたストーリーを作りたかったとするのなら、これはもうエピソードの充実を図るしかないだろう。

構成 12点
最初のほうは何をしようとしているのか理解できる。美鈴か。
あとから曖昧になっていくのがラストのオチを弱めてしまっている。

表現 13点
読みやすいのだが、抽象的な事柄を俯瞰のイメージで語る場面が多いので感情移入とかはあまりしない。
麦茶みたいな感覚。

総点 60点
たぶん表現力をかなり要求されるタイプの作品を書こうとしている。
そこを薄い描写のまま突き進んで言ったのは一種の逃げのように感じる。
サプライズだとすると、例えばいろいろなことを『避けて』書かないといけないわけで、そこが困難なところであるが、
逆にそこを避けようとするあまりに道をそれていってしまっては驚きもくそもなく、面白味がなくなる。難しいのはバランスなのだと思う。
特に本作品の場合、その驚きの質も、想像力で簡単に埋めてしまえる類のものだったから、驚きを面白さに転化することが難しいのだと思う。
ギャップが足りないってことかもしれない。

尻尾ふりふりナズーリンの訓  愚迂多良童子氏

【作品集】124
【タイトル】尻尾ふりふりナズーリンの訓
【書いた人】愚迂多良童子氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1283161832&log=124
【あらすじ】
 ナズーリンと共に、食卓を囲んでいた星。
 彼女は猫科の妖怪としての宿命か、目の前で揺れる尻尾が気になって仕方がなかった。
 気を紛らわそうとしても、一度気になってしまえば視線を外すことができない。
 やがて彼女は、意を決してその尻尾に手を伸ばし……。
【感想】
 ナズーリンと星の、日常の一幕。
 食卓を囲む雰囲気、静かで味わいのある文章。
 文学的な雰囲気で楽しんでいると、クスリと笑わせてくれる。彼女たちの一時は、きっと
 こんな風景に溢れているのだろう。そんな気安さに、ほっこりできた。
 短いながらによく纏まっていて、面白い。
 ナズーリンと星の温かな一幕が見たいのなら、是非読んでみてはいかがだろうか。