作品集126

Last-modified: 2011-07-05 (火) 01:05:57
弱肉強殺  へたれ向日葵 さん

【作品集】126
【タイトル】弱肉強殺
【書いた人】へたれ向日葵 さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1284220022&log=126

【あらすじ】
「弱い者も強い者も死ぬのなら、私が一つ命を摘んだところで変わらないでしょう?」
妹・こいしのあまりにも素朴で残酷な質問に、姉であるさとりはどう命の大切さをどう教えるのか。

【感想】
誰でも一度は考えたことがある、命の大切さとやらについて思い悩む姉妹のSS。
さとりやこいしは妖怪であり、嫌われ者として生きてきた。こんな生活の中で、こいしはどのように命の尊厳を見失い、
さとりはどうして命の尊厳を失わずに入られたのか、その様が重く、丁寧に描かれる。

正直に言えばこのネタはありがちですし、ある意味この問いにはいまだ誰も答えを出せたものがいないでしょう。
その前提がある時点で、それまでどのようにストーリーが流れてゆくか、どのような仕掛けがあるか、
そういうところを主に評価せざるを得ないところが心苦しいところです。

しかし、その点このSSは覚という妖怪の特徴を料理することでそこを巧く補強していると思います。

先述しましたが、覚として生きる中で、姉妹は生命の尊厳について正反対の見解を育んできました。
姉であるさとりは、あまりにも残酷なこいしの言動に対してどのように姉としての務めを果たすのか。
そこはぜひとも各自がご自分の目で確認してほしいところです。

【五段階評価】
★★★☆☆(難しいテーマだったと思うけれど流石の筆力。次回作にも期待です)

不老不死アセクシュアル  yunta氏
「ドクトル、って呼んでくれるかしらん? 前に会ったのは確か200年くらい前だからねぇん、忘れててもしょうがないわぁ」

【作品集】126
【タイトル】不老不死アセクシュアル
【書いた人】yunta氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1284270476&log=126

【あらすじ】
「ドクトル、って呼んでくれるかしらん? 前に会ったのは確か200年くらい前だからねぇん、忘れててもしょうがないわぁ」

妹紅が誰もいないはずの家に帰ると、そこには変な人がいました――。

【感想】
オリカマってなんやねんと思った方はたぶん読むと思われるSS。妹紅と慧音と”ドクトル”の奇妙な夜譚。
個人的にはもうちょっと「死と生」というファクターから離れた妹紅SSが増えても良いと思っていたんですが
まさかまかり間違ってこういう強烈なオリキャラが登場するSSが来るとは思わなんだ。

一言で評するとオリキャラが強烈過ぎる。いくらなんでも妹紅と慧音が圧されすぎている印象を受けました。
オリキャラも書き方なんでしょうが、もう少し”ドクトル”来訪にそれなりの意味を付加して欲しかったです。
「進化」というネタもなんだか置き去りにされて、うまく料理できなくて却って雑味になってしまったような。

逆に、このSSが”ドクトル”に感情移入できるくらいの長さがあったらどんなものかなと思いました。

【五段階評価】
★★☆☆☆(個人的に嫌いじゃないですがどうしてもこれ以上は頑張れない)

色モノタグにつられて読んでみたら、意外に深くて、中身のある作品でした。

【作品集】126
【タイトル】不老不死アセクシュアル
【書いた人】yunta 氏
【URL】
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1284270476&log=126

【あらすじ】
妹紅の前に現れた謎の人物。
慧音を交えた三人の不老不死談義が始まった。

【感想】
色モノタグにつられて読んでみたら、意外に深くて、中身のある作品でした。
不老不死ということに関して、しっかりと考えられています。
すごいなぁと思ったのが「普通に幻想郷にこういうのいそう」と感じたことでした。

【五段階評価】★★★☆☆(さくっと読めました)

【印象に残ったセリフ抜粋】
オカマ口調で不老不死というキャラが原作にいなかったので、オリキャラで代用しました

グリモワールに大切なこと  ホテル「不夜城レッド」従業員氏

【作品集】126
【タイトル】グリモワールに大切なこと
【書いた人】ホテル「不夜城レッド」従業員氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1284215882&log=126
【あらすじ】

 そうして、ひと時の充足感に身を委ねた後、次なる欲求が湧きあがってくる。
 そう、それは

 ――誰かに見せてやりたいぜ……!(本文より)

 自分の見てきたスペルカードをまとめたオリジナルのグリモワールを完成させた魔理沙。
 最初に見せる候補を何人か検討した結果、どうやら射命丸文に見せに行くようだ。

【感想】
 テーマは「視点の違い」でしょうか。同じものを見ているとしても筆者と読者、人間と妖怪、魔理沙と文の間ではそれぞれ捉え方や感じ方に差異が出るのは当然ながら、どちらの視点にも相応の価値があるものだと再認識させて頂きました。

【五段階評価】
 ★★★☆☆(作品を投稿する前に「果たしてこれは皆に読んでもらう価値のあるものなのだろうか?」と悩んだことのある人なら+1)

妖怪の噺をしませう。(『ざしき童のはなし:童祭』)  スポポ 氏

【作品集】126
【タイトル】妖怪の噺をしませう。(『ざしき童のはなし:童祭』)
【書いた人】スポポ 氏
【URL】
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1284222378&log=126

【感想】
軽妙なテンポで進められていく、場面集。
それぞれの妖怪と出会った人間の反応が微笑ましいです。
同じ形式でそれぞれのシーンが構成されていますが、決して飽きはしないでしょう。

【五段階評価】★★★★☆(独特な文体が、よりらしさを引き立てていました。)

ふわりとただよって、にゃーんとなく  地底の雑草係 さん

【作品集】126
【タイトル】ふわりとただよって、にゃーんとなく   
【書いた人】地底の雑草係 さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1284674040&log=126
【あらすじ】
 これは、おわりのものがたり
 だから、切なく、哀しい
 けれども、切ない情景を、哀しい出来事を、じっと見詰め続ける、ずっと見届け続ける
 お燐の、ものがたり

【感想】
最初に一言
これは、死にものSS苦手な人に向けて書かれた死にものSS

そうです、いわゆる、死にもの、と言われる類の作品
この手の作品に求められる、一シーンごとの情景の濃さが、とっても良好なバランス
提示される情報の順番や強度が、いい具合に雰囲気の和音を奏でてくれているので、感情レベルで物語中の出来事が自然に染みこんでくる
そして、個人的に素敵と思ったのは、死にもの苦手な自分みたいな人種にも配慮が成された雰囲気であること
ハードボイルドっぽいな手法を取り入れてて、必要以上に読者を扇情しない
なんとうか、押しつけがましい「ほらほら哀しいでしょ、泣くんだよ泣いて良いんだよここで!」みたいな雰囲気を排除しつつも、シーンの濃さを保ってる
死にものというだけで敬遠しちゃう自分でも読みやすいのは、おどろいた
作者さんの構成力や文章センスの、充実した基礎体力を伺わせてくれる
テンプレ的な死にものを、しっかりきっかりクオリティ重視・誰でも読みやすい形で焼き直しました、といった印象の作品

それだけに、オリジナリティや目新しさといった物は、今回は感じられなかったけれど
なんとなく、これだ!とガツンとくる長編を書いてくれそうな予感というか、期待をしたい作者さんになった

【五段階評価】
主観的に
★★★★☆
お気に入りの作者さんになりそうな予感

客観的に
★★★☆☆
テンプレをハイクオリティに
良くも悪くもそれだけの作品なのだけど、故に人は選ばない
読んだ時の満足感は十分に得られるはず
あと、死にもの苦手ってひとにこそ、是非読んで貰いたい

囲われる  万年消しゴム氏

【作品集】126
【タイトル】囲われる
【書いた人】万年消しゴム氏

【あらすじ&感想】
 長く地下室に閉じ込められていたフランは、脱出の機会を窺っていた。
 咲夜やパチュリーの生き方に疑問を覚え、自由をより強く渇望するフラン。
 そこへやって来たのは……
 (ここまであらすじ)
 
 安部公房と島崎藤村を混ぜ合わせたような文体で、フランを取り囲む自由をテーマにした作品。
 合間合間の情景描写が、作品全体に自由の奇妙で不可解なイメージを植えつける。
 10KB前後に作者の自由観を書ききった、中々の名文だと思った。
 しかし、もっと深く掘り下げれば、味わい深さは増せたとも思う。これで終わらすのはもったいないような気も。

【五段階評価】

★★★☆☆

ありがとう  野田文七氏

【作品集】126
【タイトル】ありがとう
【書いた人】野田文七氏
【あらすじ&感想】
紫と幽々子と藍の三角関係な話、と言ってしまえば身も蓋もないか。
紫も含めて三者三様に怖いが、
どこまでも儚げだが底知れない幽々子と、鋭く猛々しくすらある藍の対比が秀逸。
その間に立つ紫が良い主人公になっている。
紫だけ性別反転してみるとまさに王道な話に見えてきたり。

脇役の橙も良いところを固めていて、ここでも配役のうまさを感じる。

いきなりグロから始まるので、得意じゃない人が不意打ちされるとそこで戻ってしまいそうだが、
そこさえ越えれば「何が起こったのか?」と引き込んでいく要素は十分にあると思う。
グロい場面にしても、凄絶さはこの話の演出装置として肝だと納得できる。

展開としては前半で激しく、後半にいくほど曖昧で幻想的になっていく。
次第に熱が冷めてぼんやりしていく感覚を楽しめるなら、最後まで一気に読んでしまうはず。

個人的な一番の感想はコメントの6番で言われてしまった感じ。
少し掘り下げればいくらでも深くなる、なんて東方じゃいくらでもあるが、
この3人も深いなあ、と改めて思ってしまう。
確実に神主の設定は逸脱してる気はするけど、それがまた良い。

十六夜に  nekojita氏

【作品集】126
【タイトル】十六夜に
【書いた人】nekojita氏

【五段階評価】
★★★☆☆  

【あらすじ&感想】
寂しがるレミリアが従者の名前を呼んで……なお話。
内容簡潔にするなら今北産業でもできる。
それを濃厚な情景描写でこれでもかと濃くしてる。その濃厚な描写はどれもとてもうまい。

ただし文章の流れに関する部分が情景描写に押され少ないため、どうしても詩的な流れに
それでいて情景描写が濃くハイレベルなので、何かすごくアンバランスな感じでした。
そのせいでうまく言えないけどなんかスゴイかも? みたいな印象でした

Re     fantasia  aho 氏

【作品集】126
【タイトル】Re     fantasia
【書いた人】aho 氏
【ポイント】10100
【レート】13.68
(※2010/09/27時点)
【あらすじ】
 鬱蒼とした魔法の森の中央に突如現れた電波塔。
危険なものではないということで放置していた霊夢だったが……
【感想】
 三月精の最新話のエピソードを元に作られた作品。
aho氏の作品の魅力は何かと聞かれたら、紫、霊夢、オリキャラだと自分は思う。
妖怪を愛し、幻想郷を愛する紫。真っ直ぐでちょっとツンな霊夢。
そして幻想郷では取るに足らない、弱く儚い存在ながらも精一杯生きているオリキャラ達。
氏の作品は数あれど、この3要素が根底に流れている。
 この作品も例外でなく、愛に溢れる紫と、文句を叫びながらもしっかり行動する霊夢、
そして弱気なオリキャラが文章の中を飛び跳ねている。
どのキャラも精一杯考えて行動している所が、自分は非常に魅力的に感じた。
そしてラストシーンが良い。凄く良い。創想話の中でも随一の爽やかさじゃないだろうか。
【長さ】.   短□□□■□長 (84KB 長編)
【構成】     ★★★★★ (絶妙な塩梅。小ネタも面白かった。)
【描写】     ★★★★★ (どのキャラも表情豊か)
【総合評価】 ★★★★★ (文句無し)

Mizerable Fate  あとん氏

【作品集】126
【タイトル】Mizerable Fate
【書いた人】あとん氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1284980765&log=126
【あらすじ】
 紅魔館への招待状を出したのにも拘らず、訪れない霊夢。
 そんな状況に痺れを切らしたレミリアは、自分から博麗神社へ向かうことを決めたのだった。
【感想】
 パーフェクトレミリアここに降臨す。
 読み終わった後、このような感想が脳裏をよぎりました。
 カリスマと可愛さを迸らせつつ、霊夢に甘えようとする姿。
 霊夢を手に入れるために、悪魔的甘言を弄する姿。
 まさにパーフェクト、まじお嬢様悪魔。
【五段階評価】
 ★★★★☆(悪魔なレミリアにうふふしたい人は是非)

金、金、金  yunta 氏

【作品集】126
【タイトル】金、金、金
【書いた人】yunta 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1284448310&log=126
【あらすじ】
 金、金、金。おかねがすべてを支配する幻想郷よ。(本文引用)
【感想】
 発想は面白いと感じた。しかしあまりに短すぎる。
 拝金主義に染まった幻想郷と、ただ一人過去の状態のままの魔理沙。どういうプロットにするにせよ設定の時点で相当重く、9kbでは到底足りない。十倍あっても足りない気がする。
 実際、世界観の概要をキャラクターに説明させただけのような内容になってしまった。
 それがまた面白そうなだけに、たいへん勿体無い。

【五段階評価】
 ★★☆☆☆

嘘のない世界  ら氏

ら氏の「嘘のない世界」は嘘偽りなく面白い
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1284300109&log=126

この作品のミソは割とマジメに公務員やってる花映塚コンビの素敵さにあると思う
いやぁいろいろ大変ですねぇ四季様も。地獄の鬼も公務員とはよく言ったもんで頭を下げるのも給料の内か
それにしても、ら氏のこのダメ押しにダメ押しを重ねる緻密なギャグの構成力は何作読んでも素晴らしい

巫女、引退  もぐら 氏

【作品集】126
【タイトル】巫女、引退
【書いた人】もぐら 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1284883264&log=126
【あらすじ】
いつものように博麗神社を尋ねたレミリアは、霊夢から引退を考えていると告げられる。
レミリアは語気を荒げ、霊夢に考えを変えるように促すのだが…

【印象的なフレーズ】
「今まで、絶えて気にすることも無かったな。日の沈みゆくはこれほどまでに速いか」

【感想】
抑制的で無駄をそぎ落とした文体。
キャラクター同士の短いやりとり。淡々と事実を簡潔に告げる地の文。
それらすべてが、ある妖怪とある人間の、永遠とも思えた関係が残酷にも終わったことを暗示する。
レミリアの台詞も簡潔ながら万感の思いが込められている。
5.57 KBと非常に短いながらも強い余韻を残す良作。

個人的には、幻想郷の人妖の関係はもう少し近しいものであるのが理想なのだが
ラストの2センテンスを前にして、そんな野暮な文句は何も言えなくなってしまった。

【五段階評価】
★★★☆☆
表現にも構成にもおかしなところはない。しかしこの作品はSSにしてはそっけなさ過ぎる。
だが、だからこそ、良かった。物足りなく感じる人は多いだろうが…。