作品集128

Last-modified: 2011-01-24 (月) 13:02:05
姿は見えども影見えず  コーラの王冠氏

【作品集】128
【タイトル】姿は見えども影見えず
【書いた人】コーラの王冠氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1285946889&log=128
【あらすじ】
 「傘と影……か」
 僕はもう一つの『答え』を頭の中に描き始めた。(本文より)

 幽香とレミリアの喧嘩に巻き込まれ、双方の傘を作ることになった霖之助。幽香の要求は「吸血鬼を叩き潰しても壊れない傘」。
 レミリアの要求は「花の妖怪よりも優れた傘」。はたして霖之助はどのような傘を作るのか……
【感想】
 プロット自体は霖之助スレでたまに見かけるものだが、傘と妖怪に関する考察が独特で話に上手く絡められているのが好感触。
 キャラにブレもなく、文章も多少会話文が多いきらいがあるが読みやすく仕上がっている。東方香霖堂を読んで霖之助に興味を
 持ったなら読んで損はないだろう。
【五段階評価】
 ★★★★☆(個人的には霖之助が咲夜に上手く釣られる所が好き)

思い出引き出し  riverside さん

【作品集】128
【タイトル】思い出引き出し
【書いた人】riverside さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1285947775&log=128

【あらすじ】
 ――幻想郷に入るためには他の人が持つ早苗の記憶を消さなきゃいけない。

 辺りは闇に包まれて何も見えない。

 ――早苗が来る必要はないよ、早苗は自分の人生を歩みな、ね?

 闇の中で二つだけ光がある。

 ――いいえ、私は神に仕える巫女ですから。

 そして笑いながら、私は光を発した。(本文より)

 幻想郷入りするために他の人の記憶を消した早苗が、ひょんなことから思い出されて外の世界へ戻るお話。
 
【感想】
 早苗の友達主観と早苗主観が交互に描かれていて、書き方に関しては中々ないような物だったと思う。
 しかし、作者も述べてるようにこの書き方をするには時期尚早すぎたかもしれないと思うが、空白の使い方は良かったと思う。
 内容に関しては、早苗の作品の中ではあまりない作品だった気がする(少なくとも自分が見てきた作品の中で)
 だから基準があまりないが、これは普通に良いお話だと思った。
 また、モブキャラを使った話になっているが、嫌悪はまったくない。オリキャラが嫌いな人も安心して読めると思われ。
 淡い、儚い、綺麗な話が好きな人にはオススメ。

【五段階評価】
★★★★★ 好みの話+これからの期待を込めて、星5つ

最近創想話が重いなぁと感じる貴方へ  イーノック氏

【作品集】128
【タイトル】最近創想話が重いなぁと感じる貴方へ
【書いた人】イーノック氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286112218&log=128

【あらすじ】
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/41116/1285515573/862-866

【感想】
まぁ……いい説明だったよ。

【五段階評価】
★★☆☆☆ 作品として評価はしづらいが、困っていた人には星5つ

ある雨の日に、二人  上泉 涼 氏

【作品集】128
【タイトル】ある雨の日に、二人
【書いた人】上泉 涼 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286026672&log=128
【あらすじ&感想】
妖夢が幽々子に傘を差してあげるお話
一生懸命な妖夢とそれを暖かく見守っている幽々子が良かった(って書くと普通に見えるかな)
とりあえずここで細かいこと書くよりも読んでみてって感じ
ゆゆみょんの話でここまでニヤニヤしたのは初めてだった

【五段階評価】
★★★★★(ニヤニヤがとまらないやばいたいほされる)

『花の号外』  rkm 氏

【作品集】128
【タイトル】『花の号外』
【書いた人】rkm 氏
【あらすじ】
メリーは最近『夢の世界』のものを持ち帰ってくるようになった。
今回は新聞紙を拾ってきたらしい。

「実はこれ、私もまだ中は読んでないのよ。だからさ、」
「一緒に読まないかって? 勿論よ!」

【感想】
秘封倶楽部の二人が文なんとか新聞らしきものを読みながらおしゃべりするという会話文中心の作品。
特にストーリーがあるわけでもなく、本当におしゃべりするだけのお話なのでボリューム不足の感は否めません。
ですが記事の内容に関する二人の会話はなんだかとても“らしい”と思いました。

【五段階評価】

★★★☆☆(原作ブックレットのような二人のおしゃべりが見たい方に)

十穀天槍‘アマランス‘  道標氏

【作品集】128
【タイトル】十穀天槍‘アマランス‘
【書いた人】道標氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1285871929&log=128
【あらすじ】

「私のご飯を邪魔する奴は、神様だってぶっとばす」(本文より)

【感想】
白米にかける霊夢の想いがひしひしと伝わってくる一作。
邪魔をしようものなら友にも神にも容赦しない壮絶な決意、そしてその後に訪れる霊夢の壮絶な可愛さは必見である。個人的に早苗も。
白米に対する描写も特筆に値する。読む前におにぎりを用意しておけ、食いたくなるから。あとアマランスもな。

【五段階評価】

★★★★☆

銀の月、銀の月、銀の月  異飾銃氏

【作品集】128
【タイトル】銀の月、銀の月、銀の月
【書いた人】異飾銃氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1285939551&log=128
【あらすじ】
「あ、咲夜さん」
「悪いけど急いでるの」
 前方を行く私が、素っ気なく美鈴の話を打ち切る。残念そうな顔がこちらを向き、眉はハの字に歪んでいく。
「咲夜……さん?」
「悪いけど急いでいるの」
 私もまた、彼女をあしらう。緊急事態なのだ、多少の冷たさは夏を乗り切る清涼剤と割り切って欲しい。
「………………」
「悪いけど急いでいるの」
 後ろの方から聞こえてくる会話。とうとう美鈴は何も言わなくなった。(本文より)

【感想】
過去、現在、未来の三人の咲夜がそれぞれの存亡をかけて戦うのだが、
 過去からの「記憶」、未来への「強制力」といった時間の法則を話の流れに盛り込んでおり、
 海外SFのような時間論理的駆け引きはそそわではあまり見られない独特の面白さがある意欲作。
ただクライマックスの部分が少し物足りず、もう何度か話を転がして欲しかったとは思った。

【五段階評価】

★★★★☆ 個人的評価

星蓮船儚月抄  重曹

【作品集】128
【タイトル】星蓮船儚月抄
【書いた人】重曹
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286011138&log=128
【あらすじ】

「外殻は河童印の特殊超硬合金、動力源は河童印の複式核融合エンジン、防御には河童印の特殊エネルギーフィールド、
 あらゆるテクノロジーを結集させたこのニュー聖輦船こそ、宇宙を翔け遥かな高みを目指すにふさわしい至高の船であるッ!」
「殆ど河童任せじゃないですか」
「あなたはどこを目指してるのよ」(本文より)

【感想】
月まで届け星蓮船。
命蓮寺ファミリーと月の少女達が並んで団子を食べればそりゃ絵になるに決まってるでしょう。
それぞれのキャラの個性あふれる言動も見どころである。白蓮さんマジ聖。村紗さんマジキャプテン。
個人的には綿月姉妹の会話があと30kbは欲しかった。

【五段階評価】

★★★☆☆

レミリア・スカーレットとカレーの石  梯子のぼり氏

【作品集】128
【タイトル】レミリア・スカーレットとカレーの石
【書いた人】梯子のぼり氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286025815&log=128
【あらすじ】
その石はにわかに信じがたいが水をカレーへと変化させるらしい。
それと、魔法で作ったカレーだから衛生面の方は安心して良いそうだ。(本文より)

【感想】
おい、ツッコミが追いつかねえぞ。
発想の勝利、どうやったら湖がカレーになるんだよ畜生。
どのキャラにも魅力があり、セリフや描写がいちいち面白い。読む前にカレーを用意しておけ、食いたくなるから。
これだけスラスラ読めるのだからあと20kbはあっても良かった気がする、個人的に。

【五段階評価】

★★★★★ 超個人的評価

驚き桃の木山椒の木  朝人氏

【作品集】128
【タイトル】驚き桃の木山椒の木
【書いた人】朝人氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286098124&log=128
【あらすじ】
「……」
 視界に何か茄子みたいなものが見える。緑色の中に不愉快なほど毒々しい茄子がある。そんなばかな、これぞ未確認か。
 なぁんて疑う必要はない。未確認どころかあまりにも見慣れたものである。
 あんな茄子、麻婆茄子にでもしてしまえ。でも麻婆茄子ってどこで食べられるのかしら。
 茄子が動いた。私が一歩近づくと同時に、動いて落ち着かない。ぼたりと何かが垂れている音がした。(本文より)

【感想】
話の流れ事体はよくある物であるが、それにうまく味付けしているのはぬえ独特の語り口と小傘の可愛さと小傘の可愛さである。
ぬえの大人びたように見えてやっぱりぬえぇなところがツボであった。こがぬえ増えろ。
前半がいい調子で読めていた分、後半やや失速していた感じではある。テンプレから抜け出す為には会話だけではなくもう一展開欲しいところ。

【五段階評価】

★★★☆☆

愛してるわ。冗談だけど  すねいく氏

【作品集】128
【タイトル】愛してるわ。冗談だけど
【書いた人】すねいく氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286201483&log=128
【あらすじ】
「あらあら。あなたって冷たいのね」
「別に。あなただからかもしれないわよ」
「つまり、私はあなたにとって特別な存在ということね」 (本文より)

【感想】
セリフだけ拾えば淑やかな女性達の会話。
しかしその裏に秘められた少女達の乙女っぷり想いを馳せれば俺の感情が有頂天。
透明さを感じさせられる空気が良く、互いにすれ違いながらもどかしさを感じさせる言葉の応酬はゆかアリ信者を増やすかもしれません。

【五段階評価】
★★★☆☆

とある悟り妖怪と普通の魔法使いの奇妙な逢引の話  半妖氏

【作品集】128
【タイトル】とある悟り妖怪と普通の魔法使いの奇妙な逢引の話
【書いた人】半妖氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286036602&log=128
【あらすじ】
「……聞こえてますよ。恥ずかしいので私の顔を思い返すのはやめてもらえませんか」
「こらこら、勝手に心の中をのぞくなだぜ。それに、私とさとりの仲なんだ、こんなことがあってもいいじゃないか」 (本文より)

【感想】
全体的に静かに物語が進んでいく印象があり、その落ち着いた雰囲気が魔理沙とさとりの二人の会話を味わい深いものにしている。
甘々な関係もいいが、こういった何気ない言動から感じられる絶妙な間柄は噛みしめるほど味が出ます。
二人の微妙な感情を細かく表している描写に心地良さが感じられる一作。

【五段階評価】
★★★★☆

今日は何の日⇒イタズラ曜日  遷都山氏

【作品集】128
【タイトル】今日は何の日⇒イタズラ曜日
【書いた人】遷都山氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1285984439&log=128
【あらすじ】
 お前達、誰に聞かせたいんだ。そんな風に皆で叫んだら、何言ってるか分かんないじゃないか。
 間抜けな奴らだなぁ。仕方のない、奴らだなぁ。

 くすりと漏れた笑いにつられ、私の頬を一筋だけ雨が伝った。(本文より)

【感想】
最初の数kbだけ読んで「ああ、ありきたりだな」と思ったお前、とりあえず半分までは読んでみろ。
衝撃に始まる後半からの流れるような展開は愉快痛快ちょっぴりホロリ。熱さと温かさが同居しております。
これだけ騒がしておきながら緩やかに静かに着地するオチも素晴らしく、読了感にしみじみと浸る事が出来た。
まさしくこれがこれが彼女達の幻想郷である。

【五段階評価】
★★★★★

突撃!八雲さん家の晩ご飯!  neriwasabi氏

【作品集】128
【タイトル】突撃!八雲さん家の晩ご飯!
【書いた人】neriwasabi氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286000646&log=128
【あらすじ】
「メンチボーでございませんこと?」
「いいや、トチメンボーだ」(本文より)

【感想】
あ、ああ、トチメンボーね。あれ美味しいよね。俺も実家に帰ったらよく食べるよ。
俺は読む前から知ってたからトチメンボーを求める八雲家の気持ちがよく分かったよ。うん、トチメンボーだ。

【五段階評価】
★★★☆☆

現代巫女のレズビアンナイト  KASA氏

【作品集】128
【タイトル】現代巫女のレズビアンナイト
【書いた人】KASA氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286183133&log=128
【あらすじ】
「東風谷早苗は高校生になりました。私は今でも神奈子様の事がほんとうに大好きです」(本文より)

【感想】
何これ甘酸っぱい。直視出来ねえ、良い意味で。タイトルから敬遠する人が多そうだが読めば分かる。
早苗の神奈子に対する想いを真正面から真摯に描き抜き、微妙な心情を丁寧に書き上げた繊細さに脱帽。
情景描写も光るものがあり、まさしく神社の境内で諏訪湖の風に吹かれながら読んでる気持ちになれます。
ただの百合だと侮る事勿れ。

【五段階評価】
★★★★★

この空にラブソングを  かたる氏

【作品集】128
【タイトル】この空にラブソングを
【書いた人】かたる氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286358225&log=128
【あらすじ】

「総領娘様は、天子は。私のことを覚えていてくれたんですね」(本文より)

【感想】
おいおい何だこの庇護欲が湧いて出る天子は。そして何だこの助けてあげたい衣玖は。
バラードのようにしっとりと、クラシックのように爽快に、
 時にはジャズのように緩やかに歌い上げられていくこの作品はまさしくラブソング。ちょこっと百合
透き通った雰囲気を堪能した後は心地よい読了感に身を沈められるでしょう。

【五段階評価】
★★★★☆

快傑!ナズーリン!  紅川寅丸氏

【作品集】128
【タイトル】快傑!ナズーリン!
【書いた人】紅川寅丸氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286016089&log=128
【あらすじ】

「真紅のバラ、なるほど貴方にこそふさわしい花かも知れんね。
その姿に自身を映せども、触れることの叶わないもどかしさ、なんとも歪で清雅な縁だな」

う、なに、この台詞。気障ったらしいはずなのに、胸が絞り上げられた。
それに、この涼やかで優しい表情、タイミング良すぎ、いえ、悪すぎ。
計算づくのはずなのに、こんちくしょう、もっと言って!(本文より)

【感想】
一面ボスらしいナズーリンと一面ボスらしからぬナズーリンがくるくる回りながらワイワイと騒ぎ踊る円卓。
話のオチは上手いところに落としたなあと思います。フランちゃんウフフ。
文体が少し独特。惜しむらくは展開が少し冗長なところか。

【五段階評価】
★★★☆☆

肩乗りこいし  紅雨 霽月氏

【作品集】128
【タイトル】肩乗りこいし
【書いた人】紅雨 霽月氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286367624&log=128
【あらすじ】

「私は、アリスに嘘をつかれました。
 それはもう、大きな嘘です。
 彼女は、確かに脱がしはしない、と言ったはずです。私は、彼女のことを信頼していたのです。
 なのに! アリスは、サイズが測りにくい、という理由で私の纏うタオルを剥いたのです!
 そして、私の柔肌へとメジャーを当てサイズを測ったのです!
 これはもはや裏切り! 許すまじ行為です!
 さあ、お姉ちゃんも立ち上がって!」
「こいし、少し落ち着きなさい」
「うん」 (本文より)

【感想】
ハム太郎なみにナデナデしたくなった。
お気楽なこいしのテンポの良い語り口がスキップのように進んでいく。そりゃあもう跳ねるように。
こいしの一つ一つのセリフ・行動に味があるために、長さを感じさせない軽快な物語となっております。
自然で微笑ましい姉妹愛とはかくも美しきものかな。

【五段階評価】

★★★★☆

教授限定いちごタルト事件  url氏

【作品集】128
【タイトル】教授限定いちごタルト事件   
【書いた人】url氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286017885&log=128
【あらすじ】
岡崎夢美と、その助手の北白河ちゆり。二人は<アリス>という店の、春季限定いちごタルトを宇佐見蓮子からおごられ、ご馳走になっていた
理由は、蓮子のレポートを、蓮子が勘を頼りに行くという岐阜の山奥へと、出発する直前にレポートを回収して代わりに提出してもらったからだ
そんな中、岡崎は朝倉理香子から手紙が届いて来ていたことを思い出す
【感想】
一応ミステリーなので、極力ネタばれを避けるように感想を。
物語の展開が良い意味で早くて、飽きが来ないまま読み終わることが出来ました。
季節限定シリーズを読んだことは無い人でも十分楽しめるはず。
それと、最初の注意書きに書いてあるとおり、物語の核心に迫るような部分は太文字になっていますが、これはもう一回読み返すのに結構便利だったり。
作品の内容はミステリーというより、オカルトに近いかも。でも、よく考えるとミステリーの要素がやっぱり強め。
まるで境界線に立っているかの様……これはちょっと言いすぎかな。でも私はそう錯覚しました。
物語の中には作者独自の解釈が含まれているけど、それがこの話の塩、コショウとなっていて、良い具合に調味されていておいしいです。
話の進行の仕方を例えるなら『24』? 
そんな感じで蓮子の視点と岡崎の視点が切り替わり、そして同時進行していてどう展開していくか、それを考えながら読むのも面白いかも。
60kbとちょっと長めですが、そんなの微塵も気になりません。むしろ物足りない、もっと続いて! そう感じるほどの密度です。
というか、この話、続編まだですか?

一言でこの話を紹介するなら……
そそわをケーキ屋に見立てたら、この話はきっとフルーツタルト。そんなお話。

【五段階評価】
★★★★☆(いちごタルトが食べたくなってきました)

サイダー色した夏の雲 一 ~ 四  PNS氏
「妖怪と友達になったのも、その年が初めてだった」(本文より)

【作品集】128
【タイトル】サイダー色した夏の雲 一 ~ 四
【書いた人】PNS氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286639211&log=128
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286639227&log=128
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286639252&log=128
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286639390&log=128
【あらすじ】
「何しろあの年は、初めてが多かった。地震もそうだし、木登りもそうだし、北里の少年達との喧嘩騒ぎ。そして……」

 そして、六十年近く隠していた秘密を、彼はついに孫に伝えた。

「妖怪と友達になったのも、その年が初めてだった」(本文より)

 地霊の異変から60年前、人里の少年草太は寺子屋の夏休みの初日に一人の妖怪少女に出会う。
 地底からきた土蜘蛛と名乗る彼女に、何の因果か苦手な木登りを教えてもらうことになった草太だったが……
【感想】
 王道的なボーイミーツガール+幻想郷風味な作品。読みやすい文章構成と嫌みなく生き生きと描かれるキャラクターで
 総計450KB以上でもサクサク読むことができた。鮮やかに描かれる幻想郷の風景と田舎くさい描写はどことなくジブリ作品
 を思わせる(自分はSSを読む時頭の中で情景をアニメにして動かしているのでそう感じるだけかもしれないが)。
 素直なプロット故に展開が読めてしまうのと、大波乱や強烈な刺激を求めている人には物足りないであろう部分があったのが
 残念ではあるが、重苦しい長編は苦手という人にはぜひ読んでもらいたい。今の創想話のライトな作風を好む風潮にあっても
 十分評価に値する作品であった。

【五段階評価】
 ★★★★★(まさにサイダーのような透明感のある爽やかな読後感でした)

長さを理由にして読まなかった過去の自分をグーパンチで殴ってやりたい。

【作品集】128

【タイトル】サイダー色した夏の雲 
【書いた人】PNS氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286639211&log=128(1)
   ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286639227&log=128 (2)
   ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286639252&log=128 (3)  
   ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286639390&log=128 (4)
【あらすじ&感想】
 124季。もはや忌むべき閉鎖空間ではなくなり、地上とも交流が増えてきた地底。
 地上嫌いの妖怪であるはずのヤマメは、キスメの持っていた新聞の、60年も前の記事を見て地上へと向かったらしい。
 その記事にはヤマメと同じ名の、『山女サイダー』について語る少年がいた。
 そこから舞台は第64季の夏へ。
 寺子屋に通う少年草太の、ひとりの妖怪とともに過ごすひと夏の出来事について、語られてゆく……。

(感想)
 絶対面白くないわけないけど、これだけ長いとちょっと……。と最初は思っていました。
 しかしこれは、長さを理由にして読まなかった過去の自分をグーパンチで殴ってやりたい。
 主人公の少年草太の目線や考え方が子供らしくまっとうで純粋で、それがとてもキラキラしている。
 人里の描写も臨場感とオリジナリティにあふれ、自分も一緒に、人里の路地裏を歩いたり、ヤマメと一緒にサイダーを飲んだり、雑木林を冒険している気分にさせてくれる。
 ストーリー展開は王道だが、ここで言う王道は、「お約束の展開」ではなく、「読者の期待する展開をその期待通りの方向性で、期待をはるかに上回る肉付けと描写力で綴っている」という意味合い。
 一か所もガッカリするところなんてなかった。
 そして作者の考える幻想郷に、こうであれかしと自分も思わずにいられない。
 名作ジュブナイルか古き良き時代の宮崎アニメのような雰囲気だなあと感じていたら、『八雲の式の式の式』のPNSさんだったのね。
 あっちは妖怪だったけど、子供の目線で世界を色鮮やかに描写することにかけてはホント右に出るものはいないですな。
 子供の頃の夏休みの、宝石のような思い出というキーワードにぐっとくる自分のような人間は、まさに全編を通してワクワクし通し、懐かしさと郷愁で胸がいっぱいになってたまらんかったです。
 

【五段階評価】

 ★★★★★(このとき神が降臨した。そして1000年先まで語り継がれることとなる)
 このテンプレ文を使いたいと思った作品は久しぶりである。

 参考になるかどうかはわかりませんが、
 1から4までノンストップで読んで自分は2時間弱でした。

傲慢  ulea氏

【作品集】128
【タイトル】傲慢
【書いた人】ulea氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286711342&log=128

【あらすじ】

結界に呼びこまれた、妖怪が叫ぶ。

「どうして、勝手なことしてくれたのよ?!」

こんな箱庭で死ねないと、外の世界で大切なあの人が待っているのだと。

【感想】
こういう感想を求められているSSでは無いということを理解した上でこの感想を言いたいです。

すげえスカッとした。

いや、本当にそういう話じゃないんですけれども。

私自身、幻想郷という世界が「いつも」妖怪にとって楽園であることが疑問に思っていました。
たとえば、怖い話ってものは現代にもしっかり『適応して』存在するじゃないですか。

電話を通じて来るメリーさん、工場という機械の世界で生み出された三本脚のリカちゃん人形。
ちょっと別作品になりますが、「ビデオ」を媒介にして増殖する亡霊や、「携帯」という近代社会の象徴を通じて感染する怨霊。
はたして彼ら彼女らが幻想郷にやってきたとき、そしてろくな近代科学が存在しない幻想郷の現状を知った時、
開口一番何というでしょうか? 私はこう言うと思います。

「こんなふざけた世界にいられるか! 私は元の世界に帰るぞ!」と。

幻想郷の方々はいつも言います。壊してはならない世界があると。
では外の世界で平穏に暮らしていた妖怪が、いきなり『古き良き世界』とやらに拉致されて、どう思うでしょう?
そのあげく逆ギレされて殺されたとなれば、とてもとても。

私自身が抱いていた疑問を思いっきり東方キャラにぶつけてもらえて、私はとても共感を得ることが出来ました。
『東方』という世界観に殴り込みをかけているSSなので人を選ぶかと思いますが、読んでいただければ幸いです。

このSSを読んだら万馬券が当たりました! ~博麗霊夢が死んだ  喚く狂人氏

【作品集】128
【タイトル】このSSを読んだら万馬券が当たりました! ~博麗霊夢が死んだ
【書いた人】喚く狂人氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286195233&log=128
【あらすじ】
神社を壊した天子に対し、霊夢は「私を金持ちにしなさい!」と無理難題をつきつける。
対する天子は自信があるようで……。
【感想】
天子の軽さが結構好き。霊夢との短いながらも軽快な会話のノリが、6kb弱という短さの中でも映えているのは特筆。
相変わらずくだらない(褒め言葉)。この作者じゃなければ間違いなく10点入れてる、コメントつきで。
狂人祝儀で点数が10倍になっている感。でも許せる、不思議。「狂人さんじゃ仕方ない」。
こういう作風が許される土壌を創り上げた作者のたゆまぬ努力にただ感服。
【五段階評価】
★★★☆☆(あとがきにオチ要素を入れるのは嫌いなので★2つ減点。狂人さんの作風が許せるなら★5つ)

狼少女の辿り着いた場所  軟骨魚類氏

【作品集】128
【タイトル】狼少女の辿り着いた場所
【書いた人】軟骨魚類氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286952228&log=128
【あらすじ】
 え、何? 信じちゃったの?
 まあいいんじゃないかな。信じるものは救われるっていうし?(本文より)

 人里のお茶会に参加する輝夜の護衛をすることになった鈴仙とてゐのお話。
【感想】
 山なしオチなしの日常物。何考えてるか判りにくい二人と何考えてるか判りやすい一匹に囲まれたてゐの一人称語りが軽快で
 ちょっと一息入れるときに読むのがちょうどいい掌編。読むとほんのちょっぴり幸せになれるかもしれない。
 
【五段階評価】
 ★★★☆☆(荒んだ心はほのぼの物で癒そうぜ)

ある雨の日に、二人  上泉 涼氏

【作品集】128
【タイトル】ある雨の日に、二人
【書いた人】上泉 涼氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286026672&log=128
【あらすじ】
雨の日に。妖夢と一緒に散歩をすると、思い出すことがある。

【感想】
雨をテーマとした、妖夢と幽々子の雰囲気SS。ちょうど、秋雨の降っている地域もあるのではないだろうか。
作品の中は、暖かく、そして柔らかい空気で包まれていて、とても居心地がよい。
作品を読んでいるというより、作品に浸る感覚になってしまった。
少女時代の妖夢の、どこかくすぐったい思い出をのぞくことができる。

水底の歯車は、止まることを知らず。  羊飼い氏

【作品集】128
【タイトル】水底の歯車は、止まることを知らず。
【書いた人】羊飼い氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286862264&log=128
【あらすじ】
何やら、命蓮寺からきゃいのきゃいのと騒がしい声が聞こえてくるが……。

【感想】
圧巻のタグ。ムラぬえ、むらぬえ、ムラヌエと三種の表記を用意するほど、ムラぬえなSS。
といっても、延々とラブラブちゅっちゅしているわけではないので、比較的すんなりと読むことができる。
子供っぽいぬえが可愛らしい作品であった。
ちなみに、羊飼い氏はこの作品が初投稿になるらしい。そのためか、読みにくく感じるところもあったりするので、そこは注意。

こいしが喚く狂人さんみたいになっちゃった! なぜだ!  超空気作家まるきゅー 氏

【作品集】128
【タイトル】こいしが喚く狂人さんみたいになっちゃった! なぜだ!
【書いた人】超空気作家まるきゅー 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286214509&log=128
【あらすじ】
 ふがいない姉のせいで家計が危ない地霊殿。そこに古明地こいしが立ち上がった。
【感想とか】
 タイトルから伝わるとおり、喚く狂人氏をリスペクトした作品。しかし建前上は偶然なんだとか。
 なお、この後スレで「狂人氏が100KBのSS書いたら面白いのにな」という流れになったとき、「フランちゃんが100kbの作品に挑戦したようです」で狂人氏の逃げ道を塞いでいたりもする。
 ジェネリックの「こーしょん」のような"尖った"作品の多いまるきゅー氏だが、無許可で公開に踏み切るというのは、これもある意味で尖っているのか? むしろ蛮勇か。
 内容に関して。リスペクトと銘打つ(建前上は偶然の一致だが)だけあって、彼がいつも使うパターンを踏襲している。
 本人曰く「やってみてはじめて気づく難しさって絶対あると思うよ」らしいが、それでも"らしさ"を感じるものにはなっている。ベテランの地力か。
 しかしクローンSSといえど作者の味は出てしまうものらしく、狂人氏のものに比べ、小ネタを削ってオチまで淡々と進行している印象を受けた。このあたりは好みの問題だが。
【五段階評価】
 ★★★☆☆

 この人の他のSSでは、「カミサマウサギ」や「イドの底」がオススメ。

こいしが喚く狂人みたいになっちゃった! なぜだ!  喚く狂人 氏

【作品集】128
【タイトル】こいしが喚く狂人みたいになっちゃった! なぜだ!
【書いた人】喚く狂人 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1286282964&log=128
【あらすじ】
 ふがいない姉のせいで水が足りない地底。そこに古明地こいしが立ち上がった。
【感想】
 無許可クローンを出された狂人氏のリアクションは寛容なもので、上のSSには「いいぞもっとやれ」という旨のコメントを残した。
 そしてまるきゅー氏版のSSを踏まえて一本書き上げた。和歌で言うところの本歌取りである。
 内容自体は、まるきゅー氏のプロットや本文を借用しつつシチュエーションとオチを変えた、という感じ。オチは二重になっている。
 注目すべきは投稿日時。まるきゅー氏の投稿が午前二時、狂人氏のコメントが午後四時で、このSSの投稿は午後九時。
 狂人氏は上のSSには関与してなかったわけだから、最長でも十七時間、場合によっては五時間以下でこれを仕上げたということになる。えらいジェバンニだが、さすがに本家ということか。
 スレで「爆発」の流れがあったときは自分の分を使ってSSを書いたし、幻想と空想の混ぜ人氏の連載停止時には「テリーマン」の名前で作品集ラストを飾ったりもした。リスペクトSSの許可もぽこじゃか出しているようだし、こういう事が好きなのかもしれない。

【五段階評価】
 ★★★☆☆

 この人のSSでオススメと言われるとあげづらいのだが、「こんなところで寝れるかってとこほど意外と寝れる。押入れとか。」や「(何故だ……何故橙は私と口をきいてくれなくなったのだ……紫様なら知っているはずッ……!)」は万点越えだから読んでおいて損はないだろう