作品集133

Last-modified: 2012-01-09 (月) 13:18:15
月夜に周に慮せず  Rスキー氏

【作品集】133
【タイトル】月夜に周に慮せず
【書いた人】Rスキー氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1292163505&log=133
【長さ】10.08KB 【ジャンル】シリアス 【メインキャラ】妹紅
【あらすじ】
同氏の『月夜に歴に怯え』『月夜に事に羨み』をお読みいただきたい。

【感想】
上記二作の続きとなる作品。ついに来ました妹紅視点。
輝夜編、慧音編と読んで、私は妹紅の動向如何でこの連作がクリティカルになるか陳腐になるか大きく変わってくる、と思っていた。而してこの作品を読んでみて、残念ながら後者に進んでしまったように感じられた。
実際妹紅の立場から見れば、慧音が利口で輝夜が我儘に思われるのかもしれない。それはある意味リアルではある。しかし、それではお話が進まない。慧音は物分かりがよくていいなあ、それに比べて輝夜は、と言っているだけでは、二人の気持ちを全く汲まない朴念仁ということで終わってしまうし、慧音編で張ったと思われる妹紅の精神的強さについての伏線も回収しないまま。
え、これで終わり?しかもゴール決まってないの?というあっけなさを覚え、先の二作を読んで期待が高まっていただけに、なんとも残念な気分になった。
結局、三作でそれぞれの心情を描写したに留まり何も物語が進んでいないので、個人的な願望としては三人の歯車が動く劇的な出来事を続きとして書いてほしいところ。
【ストーリー性】★★☆☆☆(作者の前二作とセットで。なんか惜しいなあ)
【おすすめ度】★☆☆☆☆(★×1.5。続きに期待)

勇儀姐さんの毛の話  智高氏

【作品集】133
【タイトル】勇儀姐さんの毛の話
【書いた人】智高氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1292444828&log=133
【長さ】13.73KB 【ジャンル】シリアスかと思いきやギャグ 【メインキャラ】勇儀・パルスィ・ヤマメ・キスメ
【あらすじ】
かつては嫌われ者たちの集まった旧都をまとめてきた勇儀だったが、ここのところは気心が知れ、諍いも無い。
地霊殿のペットが事件を起こした時も、勇儀は気付けなかったばかりか地上の人間を案内するに留まった。
自己の存在意義の崩壊を感じた勇儀は、更なる力を求めて河童の技術者、にとりの協力を得る。

【感想】
書き出しは、勇儀の虚無感を伝えるシリアス調である。肉体改造という文字を見て、あれ、大丈夫かなと思った人も多いかもしれない。だがここで引き返してはいけない。
いったいどこが改造されたのか?それを知るとまず一度腹筋にくる。続いてその部分の名称が繰り返されるたびに腹筋が痙攣する。そして勇儀がどういう体勢にあるのか脳裏に描いて腹を抱える。そしてラストまで来ると声が出る。
どのくらい笑えるかは人それぞれだと思うが、自分にとってはそのくらい面白かった。
【突っ走り度】★★★★★(清々しささえ感じる)
【おすすめ度】★★★★☆(みんな笑おうぜ!)

私達の眼球キッス  KASA様

【作品集】133
【タイトル】私達の眼球キッス
【書いた人】KASA様
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1292591805&log=133
【あらすじ】
親友だと思ってた奴に告白された!

【感想】
お互いを求めつつも、しかし生理的嫌悪感から最後の一線、
ルビコン川を越えられない蓮子の接近―回避型のコンフリクトが底流となった非常に硬派な作品であると断言します。

本作品は所謂、サッフィズムを題材とした物語ではありますが、
安易なちゅっちゅを求めてクリックする者を、この作品は決して赦しはしないでしょう。
その茨の道でも構わないと屍を乗り越えた者にこそ、読み終えた後の精神的達成感が得られるのです!

男女の恋物語と違って、肉体的な接触には嫌悪感すら伴う同性関係。
にも拘わらず! 相手を求めずにはいられない!
そんな同性愛でしか語ることの出来ないプラトニックラブ、真実の愛を、立派に書ききった傑作です。譬えるなら、カフカの『変身』にて、巨大な虫になっていた男を
精神的な慈しみのみに依って愛し続けることができるのか。
もっと具体的に表現すれば、半身不随になったパートナーに変わらぬ愛を
注ぎ続けることが出来るのかってことなんですよね! 美しい! だからこそ私はこの作品が大好きなのです!

【五段階評価】
文句なしの五つ星。成長著しいKASA様にはこれからも目を離せません。

羽衣は想いの如く  二度手間氏
最初はね、ギャグだと思ったんです。でもそうじゃなかった。

【作品集】133
【タイトル】羽衣は想いの如く
【書いた人】二度手間氏

【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1292667095&log=133

【長さ】161.78KB  【ジャンル】いくてん 【メインキャラ】衣玖
【あらすじ】
衣玖さんが恋をしました。

【感想】
最初はね、ギャグだと思ったんです。でもそうじゃなかった。
これはもう紛う事なき恋のお話でした。
皆カッコイイし、特に天子が天人らしいというか主人公気質だと痛感した。
恋する少女は無敵だね!
【五段階評価】
★★★★★(12月になって今年の1位が塗り替えられたよ)

熱い。ひたすら熱い。

「羽衣は想いの如く」 二度手間氏

ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1292667095&log=133

熱い。ひたすら熱い。
特に中盤から後半にかけての王道展開は手に汗握る。
かなりエキセントリックな設定なのに最後まで読むとストンと
心に落ちる感じ。

熱血ロボットアニメさながらに各人の意志が熱い。

【作品集】133
【タイトル】羽衣は想いの如く
【書いた人】二度手間氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1292667095&log=133
【あらすじ】
三途の河を訪れた衣玖に、小町は恋愛相談を持ちかけられる。
「異変の折、なにかと有名になられた御方」と聞き、ははぁあの天人かと当たりをつけるのだが……

【感想】
衣玖が非想天則に恋をするという出オチじみた冒頭から始まり、無機物への叶わぬ想いに衣玖さんが悩む話か……と最初あたりをつけた。のだが。
全然違った。
これでもかってくらい違った。
和気藹々とした序盤からは信じられないようなシリアスな異変が裏で起こっており、衣玖たちは幻想郷を滅ぼす規模のこの異変に立ち向かう。熱血ロボットアニメさながらに各人の意志が熱い。ともかく熱い。陳腐といえばそうなのかもしれないが、臆面なく王道を突き進むストーリーには一種の清清しさがあった。

【五段階評価】★★★★★(熱血好きな自分としてはこの評価にせざるを得ない)

秘剣剛槍  牡牛氏

【作品集】133
【タイトル】秘剣剛槍
【書いた人】牡牛氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1292765285&log=133

【あらすじ】

星「剣術三倍段って知ってます? 剣が槍に勝つには三倍の技術が要るんですよ」
椛「へぇ……? たった三倍でいいのですか?」

星と椛、剛槍と秘剣が激突する。

【感想】

あらすじのような会話は本編にはありませんが、大体そんなお話。

星と椛は両者ともに礼儀正しいキャラでありますが、闘いとなれば話は別。
しっかりと固められた地の文で、情景が目に映るような戦闘が繰り広げられます。
弾幕戦では無い戦闘で、槍使いの星のSSは初めて読んだので新鮮でした。かっこよすぎだろ常識的に考えて……。

ただ、椛と文の仲が悪いという詳細な原作設定を使っている反面、ナズーリンがちょっとヘタレだったりと微妙に二次設定が入っていたりするので、気になる人は気になるかもしれません。

初投稿なので、これからが楽しみな作者さんです。

【五段階評価】
★★★★☆

嫌な奴  えろーら氏

【作品集】133
【タイトル】嫌な奴
【書いた人】えろーら氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1292768429&log=133

【あらすじ】
冬の空を悠々と泳ぐ射命丸は大きな一本杉とそこに住むチルノに会いました。

【感想】
個人的にとても好きな文章でした。テンポが良いです。
まっすぐなチルノと、ひねた射命丸がとても「らしく」感じられました。
言葉はなくとも「この子」の存在感がとても好きです。
【五段階評価】
★★★★

踊る阿呆に見る阿呆  MG_Lie氏

【作品集】133

【タイトル】踊る阿呆に見る阿呆
【書いた人】MG_Lie氏

【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1293018593&log=133

【あらすじ&感想】
げっしょー後の時系列で、紫にしてやられた永琳の話。
台詞回し、特にラストあたりの会話が個人的に好きだ。独自設定の部分も楽しんで書いてそう。
ただ、不自然さは感じなかったものの、戦闘シーンの描写をもうちょっと頑張ってほしかった。展開も少し唐突気味。
ともあれ、読みやすく、斬新な視点からの物語で良かった。

【五段階評価】
★★★☆☆ 個人的にはもっと地の文がしっかりしてた方がよかった

彼女が幻想になる前  涅槃太郎 氏

【作品集】そそわ133
【タイトル】彼女が幻想になる前
【書いた人】涅槃太郎 氏
【URL】
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1292878180&log=133
【あらすじ】
早苗は高校を日々優等生として過ごしていたが孤独を感じていた。
しかし早苗の前に現れた新入生がその孤独を吹き飛ばし、彼女との日常に
安らぎを感じながら楽しく過ごしていたが、
信仰の薄れた現代では神奈子・諏訪子の2柱の力は既に限界間近であり、
ここへ残るか2柱と共に幻想郷へ行くかの2択を迫られる。
早苗が苦悩の末、起こした行動は――――。
【感想】
タイトルにもあるが早苗が幻想郷へ行く前後の話。
オリキャラは早苗の母親と新入生だが母親はちょい役、
新入生はしっかり描かれているので気にならなかった。
早苗の幻想郷へ行く前の苦悩が伝わって来たし幻想入りしたものの残酷な現実の描写もよかったです。
ただもうちょっと早苗の苦悩する描写をして欲しかったのと忘れたあとの夕子の様子をちょろっと書いて欲しかった。
ちょいちょい強引な点が目立ったのも惜しい。
【五段階評価】
★★☆ 2.5

時間のかかる念写  浅木原忍 氏

【作品集】133
【タイトル】時間のかかる念写
【書いた人】浅木原忍 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1292136349&log=133
【あらすじ&感想】
天狗の里の片隅に、空を飛べない鴉天狗の少女あり。
彼女が持ってるそのカメラ、想像の写真を実物に。
そして新聞完成し、誰かによって読まれだす。

良い話だった。
ネタバレになるので詳しく言えないが、見事に騙された。
真実かどうかは不明だが、もしこれは本当だとしたら
彼女は立派に達成して本当の新聞記者になれたと思う。
【五段階評価】
★★★★☆(酒の席での与太話、果たして真か偽りか)

友達のつくりかたとQED (全3話)  無在 氏

【作品集】133
【タイトル】友達のつくりかたとQED (全3話)
【書いた人】無在 氏
【長さ】■■■■■(346KB 読み応え抜群の大長編)
【あらすじ】
 「ねえ、フラン。今日はいいものをもってきたわ」
レミリアはフランにこう話しかける。
「さあ、友達百人つくりましょう」
彼女の手には白い札。それは、495年続いた悲劇を終わらせるために一歩踏み出した
妹思いの姉と主人思いの紅魔館の、紅霧異変前夜の物語。
【感想】
 作品集66~67に掛けて投稿された作品のリメイク版。
作者自身が至らないと思った箇所、書き損ねたと思った箇所を大きく手直した結果、
分量は5作145KBから3作346KBへと大幅に増加している。
 作りが物凄い丁寧だと思った。リメイク前の時点でも、原作を徹底的に読みこんだ上で
舞台設定を作り上げている作品だったけれど、今作はそれをさらに付き詰め、
シーンとシーンの間のキャラの行動を徹底的に補完している。
リメイク前は姉妹愛を描いた作品だと思ったが、本作は紅魔郷・スペルカードシステム、
特にフランドールのスペルカードの背景を、原作の設定を余す所なく汲み取って、
解釈した作品だなと、読んでいて思った。本筋や結末は同じながら、かなり異なる作風に仕上がっていると感じた。
 以上のように、読んだ感触が結構違うので、リメイク前と後のどちらが好みかというのは人それぞれだと思う。
個人的には、キャラクター・展開重視の人なら旧作、世界観重視の人なら本作をお勧めしたい。
【展開】       ★★★★☆ (咲夜やレミリアのカットが追加されてより深くなった。)
【文章】       ★★★☆☆ (リメイク前と同様。ただ、システムの説明が大きく増えたので、前作よりも重く感じた。)
【考証】       ★★★★★ (原作設定と見事に融合した世界観は一見の価値あり。)
【総合評価】   ★★★★☆ (紅魔館好きなら★5。)

聖輦船に、さよならを  もぐら氏

【作品集】133
【タイトル】聖輦船に、さよならを
【書いた人】もぐら氏
【URL】
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1293097638&log=133
【あらすじ】
 深夜、命蓮寺。皆が寝静まった後、村紗は手紙を書き始める。
聖救出の裏に隠された彼女の焦り、苦悩、そして決断。
聖輦船を巡るもう一つの物語が、今、語られる。

【感想】
 手紙形式の切ない話。村紗の揺れる心が簡潔な文章でよく描かれていて、読みやすい。題名・形式・話の筋が小説「アルジャーノンに花束を」を想わせる。
物語中に挿入される村紗の生前の話や、命蓮寺メンバーのエピソードもなかなか上手くできていて、話に深みを与えていると思う。
丁寧な文章によって村紗の切ない胸の内が伝わってくるようで、なかなかよかった。
割り切れない、すっきりとしない感じの作品を書く作者だが、本作品は綺麗に終わっていると思う。
そして読後はコメント欄に目を通すのも面白いかもしれない。続きを書くべきか・否か?
俺は続きは無い方がいいと思う。もし続きがでたら、この絶妙な読後感が失われてしまうから。

【五段階評価】
★★★★☆(サクッと読めるいい話)