作品集134

Last-modified: 2013-08-23 (金) 03:05:08
八雲のサンタクロース達~えばよんを求めて~  PNS 氏

【作品集】 そそわ134
【タイトル】 八雲のサンタクロース達~えばよんを求めて~
【書いた人】 PNS 氏
【URL】
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1293322286&log=134
【あらすじ】
今年の冬は珍しく紫が冬眠せずに起きており、藍と橙の3人でクリスマスを過ごしていた。
そして橙が寝静まった頃、二人は橙の枕元へ行きプレゼントカードを見るがそこには
「えばよん」と書かれていた。
【感想】
まずタグにもある「えばよん」ってなんぞ?と大半の人が疑問に感じると思いますが
「えばよん」にはとってもいい意味があるのでした。
ドタバタコメディーと思いきや途中からしんみりしたいい話になりいつの間にか引きこまれてしまいます。
橙の無邪気な優しさ、藍の真面目だがちょっとした未熟さと紫を思う気持ち、紫のあえて書かれていない様々な思い、レティの冬にしかいないからこその願いがしっかりと書かれていて凄く良い作品。
レティの台詞は必見!
読み終えたときにはなんだか暖かい気持ちになれます。

「――。――――――――。それが冬妖怪である私が、毎年願うプレゼント」
(ネタバレになるのであえて前半部分を伏字)

【五段階評価】
★★★★★ (文句なしの★5!八雲一家だけでなくレティスキーにもおすすめ)

クールな咲夜ちゃんがこんなに可愛いわけがない  葉月ヴァンホーラン 氏
終始ニヤニヤが止まらなかった。

【作品集】そそわ134
【タイトル】クールな咲夜ちゃんがこんなに可愛いわけがない
【書いた人】葉月ヴァンホーラン 氏
【URL】
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1293354677&log=134
【あらすじ】
ラーメン屋のオヤジは待っている。たまに来るあの子のことを思いながら。
冬の夜、清楚なメイドはその暖簾をくぐった。待ちかねていたようにオヤジは言う。

――何にしますか?

メイドは答える

――みそもやし。ネギ増し増しで。トッピングに味玉ね。

【感想】
終始ニヤニヤが止まらなかった。
オヤジ視点での咲夜さんは、モロ私たちの心境とマッチしているので共感できる。
そして少し背伸びをしようとしている咲夜さんが可愛いのなんのって。
作者の咲夜さんに対する愛が滲み出ていた作品でした。
【五段階評価】
★★★★ 4

いや本当に夜中に食うラーメンってなんであんなに美味いのか。

葉月ヴァンホーテン氏の『クールな咲夜ちゃんがこんなに可愛いわけがない』はもはやテロリズムの領域
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1293354677&log=134

夜中に読むと殺される。これは午後九時以降に読むとリピトール飲まなきゃいけなくなる
いや本当に夜中に食うラーメンってなんであんなに美味いのか。なにか特別な理由があるのか
「夜中にこんなもの食ったら太る」という危機感が絶妙なスパイスになってるのだろうか
ちょうど腹が減ってるからうまく感じるのだろうか。自分はそんなことを読みながらとんこつスープを啜った

『鬼ごっこ』  SPII氏

【作品集】134

【タイトル】『鬼ごっこ』
【書いた人】SPII氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1293370929&log=134
【あらすじ&感想】
 森近霖之助は伊吹萃香に迫られていた。彼が古道具屋の傍ら、趣味でやっている酒造りでできた逸品「三歩必殺」を萃香が熱烈に欲しがったのだ。
 どうしても欲しいと譲らない萃香はその酒をかけて、霖之助に勝負を挑む。
 嘘と卑怯なことが嫌いな鬼は霖之助に勝負の方法を決めさせる。
 さて、腕力でも弾幕でも敵わず、そして口先三寸の騙しあいも嫌う鬼相手に霖之助が選んだ勝負方法とは?

【感想】
 霖之助タグがあると読み手が限られる、という結論で〆るには惜しい良作。
 大部分は霖之助が鬼と人との関係について考える考察に割かれており、何よりそこから導き出された結論はまさに霖之助を主軸にしなくては書けないもので、
 そういう意味でこのキャラチョイスはまったくもって正しいのです。
 本作は霖之助に絡むのが萃香、あるいは阿求といった面々なのも良いと思います。
 妙齢な外見の女性だと、作者氏にそういう意図がなくても恋愛的にみられることがあり、そういう雰囲気を好まない読者氏の、それこそタグ避けに繋がることがありますし。
 萃香との勝負のシーンは、人間と妖怪との立場の違いと、そこを埋めるべく知恵を凝らし心を伝えることの大切さを描いた(半分)人間、森近霖之助の名シーンではないでしょうか。

【五段階評価】
 ★★★★☆(クライマックスで落涙。自分の中ではこの霖之助はベストに近い霖之助

神は天にあらないと世はすべてこともなしという訳にはいかない  へいすけ 氏

【作品集】そそわ134
【タイトル】神は天にあらないと世はすべてこともなしという訳にはいかない
【書いた人】へいすけ 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1293601833&log=134

【あらすじ】
 四季映姫は頭を抱える――早急に対策を練らなければいけません
 八雲紫は運命を嘆く――なぜこのようなことになったの?
 幻想郷の存亡に関わる一大プロジェクト。その衝撃は瞬く間に広まった。
 
 ――“あの”二人が、幻想郷を来訪する。
 
【感想】
 今回作者はそそわ初投稿らしい、有望なそそわ作家に期待大である。
 某聖人漫画が元ネタにあり、全巻揃えている私にとってかなり嬉しい話だった。
 普段冷静沈着に物事を運ぶ映姫様、紫様の右往左往ぶりが新鮮。
 また幻想郷住人の知られざる裏側も見れてお得な作品。
 

【五段階評価】
 ★★★★

てのひらのたいよう  みたらしいお団子氏

【作品集】134
【タイトル】てのひらのたいよう   
【書いた人】みたらしいお団子氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1293621210&log=134
【あらすじ】
 太陽の光。それを浴びた皆はとても気持ち良さそう。
 どういうものなのか気になったフランは紅魔館の皆に聞いて回る。

 「ねえ、貴方にとっての太陽とは何?」

【感想】
 あらすじの通りのお話。
 フランの質問に対する紅魔館メンバーの答えにそれぞれの個性が出ていて微笑ましい。
 そして皆の話を聞いてフランが出した答えに思わず顔がにやけてしまいます。
 少し甘めのメイフラとこあぱちぇ風味なのでその組み合わせが好きである人は是非!
 
 
 
【五段階評価】
 ★★★☆☆(優しい雰囲気のほのぼの短編。ただあとがきぇ……)

ムジナ殺しの静葉  監督氏
狸を一匹、殺してきた――と。

【作品集】そそわ134
【タイトル】ムジナ殺しの静葉
【書いた人】監督氏
【URL】
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1293548525&log=134
【あらすじ】
 狸を一匹、殺してきた――と。
 枯れ葉のくずと土に汚れた無様な姿で、寒さと疲労に掠れた弱々しい声で、静葉は穣子にそう告げた。
 そして、静かに、泣き崩れた。
【感想】
いきなり重い雰囲気で始まり、静葉の口からぽつぽつと状況が語られ最後にようやく理由が明かされるが
焦らされながらも作品にひきこまれ先へ先へと読み進めていけた。
静葉の寂しさと終焉の象徴たる所以、それを通して悲しく切なくもあるが優しい幻想郷を描いている。
読み終えたあとは悲しいだけでなくどこか温かい気持ちになれるはず。
最後の穣子の台詞にこの作品が集約されていると思うのでぜひとも最後まで読んで欲しい。

 だから、たかが狸一匹を送ってやることなんて、本当に、

 簡単すぎて、涙が出た。

【五段階評価】
★★★★★ (静葉スキーにはぜひとも読んでほしい作品の一つ)

タイトル、冒頭からも重い雰囲気がただよってくるように、残酷だが現実感のある幻想郷の自然が舞台となっている。

【作品集】134
【タイトル】ムジナ殺しの静葉  【書いた人】監督 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1293548525&log=134
【サイズ】20KB

【あらすじ】
狸を一匹、殺してきた――と。
枯れ葉のくずと土に汚れた無様な姿で、寒さと疲労に掠れた弱々しい声で、静葉は穣子にそう告げた。
そして、静かに、泣き崩れた。
<冒頭より抜粋>

今年の幻想郷は大凶作であり、農作物だけでなく山の草木や木の実、果実にいたるまでやせ細っていた。
とりわけ野生の動物にとっては生きることも厳しい状況である。
そんな中で静葉は、もう冬眠の時期はすぎていながら、いまだわずかな食糧を探しつづける狸の一団と遭遇する。
冒頭の言葉は比喩なのか、間接的に殺してしまったと思い込んでいるのか、それとも……。

【特徴】
タイトル、冒頭からも重い雰囲気がただよってくるように、残酷だが現実感のある幻想郷の自然が舞台となっている。
死の気配すら生々しくつたわる状況で、必死に生きる動物達、人間達と静葉、穣子の関わり合いは悲しさと切なさ、だがそれ以上に何か心に響くものが感じられるはず。
前半の悲しさで心が冷えてしまったところに、特大の温かさがしみわたってくるような作品だ。
奇跡でも、ご都合主義でもない救いがそこにはあり、過酷な環境の中でもそれが生まれる可能性があると示してくれた気がする。

【五段階評価】
★★★★★

全部スキマのせい  デルフィ氏

【作品集】134
【タイトル】全部スキマのせい
【書いた人】デルフィ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1293686239&log=134

【あらすじ】
「謎は全部解けた。犯人はスキマね」
相談を受けてそう結論付けたパチュリーの投げ遣りな態度に、阿求は抗議の声を上げた。
 こうして阿求がパチュリーを図書館に訪ね相談した理由は、先日阿礼の書付などを
納めた蔵で起きた盗難事件にある。盗まれたのは転生の儀を記した物だ。今まで目を
通さずにいたそれを失えば、稗田の役目もまた果たせなくなる。
 事件を聞かされた動かない大図書館は安楽椅子を揺らし、状況整理ではなく、目の前の
精一杯にめかしこんだ恋人を弄ることから始めた

【感想】
ガチな推理物かつパチュリー×阿求のイチャラブ物。ガチは両方にかかってます
どちらか片方にでも興味がある人にお勧め
両方なら読む前にトイレを済ませておくこともお勧め

転生ネタが軸になっているにも関わらず話が重くなりすぎてない
250kbの文章量でやれる、本筋のテンポを崩さないまま出る背景の説明や
登場人物にまつわるエピソード、時折はさまれる小ネタなどでだれることなく読みきれた
事件に関しての情報量も十分で、トリックの方法や登場人物それぞれについて
あれこれ考える楽しさに満足
パチュリーも阿求も可愛いです。というかみんな可愛い
劇中で語られる設定のいくつかは氏の他作品で共有してるので
そういった点が気に入ったのなら他も楽しめると思う。主にパチュリー×阿求

内容とは関係ないけど、メインのパチュリーと阿求の関係だけにとどまらず
セクシャルマイノリティを(性欲も含めて)きっぱりと肯定している点
特殊な舞台設定・理由付けや葛藤の段階を踏むことなく、あって当然の
自然な事として描写されていて嬉しくなった
ポリガミーについてもちらっとあって、いい意味でフリーダムな雰囲気

上司の木  スポポ氏

スポポ氏の「上司の木」は傑作っぽい傑作
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1293209272&log=134

よくもこんな無茶なネタでSS書けるなぁと毎度毎度感心するスポポ氏の作品
ネタは突飛だけど、それをちゃんとしたSSの体裁に仕立て上げる技には舌を巻く
何より霧雨の親父がいい味を出してる。タグに「霧雨の親父」が入ってないのが惜しいぐらい

Ring! Ring! Ring!  アガペ 氏

【作品集】134
【タイトル】 Ring! Ring! Ring!
【書いた人】アガペ 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/134/1293280557
【あらすじ&感想】
 クリスマスを共通項に3つの掌編を連ねた短編作品。内訳は霖之助と紫、美鈴と咲夜、
 ナズーリンと星の3組。それぞれが相手にプレゼントを渡すまでを描く。
 3つの掌編を繋げる役割として魔理沙が好い味を出しており、オムニバス的な形式面でも
 参考になるところが多い。尺は21KB、ポイントは1200、コメントは2件。
 ナズーリン編では思わずくすりとさせられてしまう寸劇も描かれており、最後まで飽きずに読めた。
 アガペ氏は他にも愛や信頼をモチーフに20以上のお話を投稿されている。
 高得点作品も多く、見逃していた方は作者検索で興味を惹かれるものを読むのも好いかもしれない。

気付かないふり視ないふり  深山咲氏

【作品集】134
【タイトル】気付かないふり視ないふり  【書いた人】深山咲氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/134/1293209738
【あらすじ&感想】
勇さと。
>雨滴が汗を拭った。
を前提にした、
>ぬかるみに、様々な雫が落ちた。
などの凝った表現がなかなか面白い。
中でも、言葉の裏側の心情を、表層と深層の二つに分けて並列表記しているところが、一言では表せない内奥をよく表している。
この表記は、話の中で何度も繰り返されているのだが、それは主旨に関わっている。互いに惹かれあっているのに、立場ゆえに、相手を思いやるがゆえに、自分の気持ちを素直に出せない・認められないという主旨である。複雑な立場や感情、人間関係をこの表現方法が象徴しているのかなと思った。
読点が多かったり、文の流れが明確でなかったりと、ぶつ切れのような印象を全体として感じたが、それも「はっきりとは言い表せない」という主旨に沿ったものであり、味なのだろう。
それぞれの小物がなかなかにくい効果を出している。