作品集139

Last-modified: 2013-05-20 (月) 19:25:56
重力姉/妹  八重結界 氏

【作品集】139
【タイトル】重力姉/妹
【書いた人】八重結界 氏
【長さ】■■■■□(133KB 長編)
【あらすじ】
 ある日突然、さとりの第三の目が閉じてしまった。
心が読めなくなってしまったさとりは常に不安に襲われ、地霊殿は崩壊寸前に。
こいしは何とかして閉じてしまった眼を開かせようとするが……
【感想】
 さとりが心を病んで暴れるという描写が新鮮だった。
奔放な雰囲気と心を閉じたというこいしの設定と、落ち着いているさとりの雰囲気から、
地霊殿で心を病んでいる描写はこいしにされる事が多く、さとりが暴れるというのはなかなか見ないと思う。
 文章の先に微かに光る救いに対して古明地姉妹が進んでくれるように思い、
実際にこいしも進もうとして言うんだけど、そうは素直に事が運ばない。
その描写が非常に胸が締め付けられると同時に、後の展開が気になり一気に読んでしまった。
 果たして、さとりは、地霊殿はどうなってしまうのか。何故さとりの目は閉じたのか
それは作品を読んでのお楽しみという事で。

【文章】       ★★★★☆ (こいしの良い一人称)
【構成】       ★★★☆☆ (終盤がやや急展開。伏線を敷いておけばもっとまとまりがあったかもしれない)
【読み易さ】     ★★★★★ (長さが気にならない読み易さ)
【暗さ】         ★★★★☆ (物語全体に暗い雰囲気が漂う)
【総合評価】   ★★★★☆ (読んで損は無いと思う。口当たりは軽いけど胃に重い長編)

子供の頃よく遊んでくれた、近所に住む美人のお姉さん。あの人は今どこで何をしてるんだろうな  桜田ぴよこ 氏

【作品集】139
【書いた人】桜田ぴよこ 氏
【タイトル】子供の頃よく遊んでくれた、近所に住む美人のお姉さん。あの人は今どこで何をしてるんだろうな――
【長さ】■■□□□(21KB 短編)
【あらすじ】
 奪われた本を返してもらおうと(※香霖堂1,2話参照)博麗神社を訪れる朱鷺子。
最初は嫌な奴だったけれど、段々と霊夢への思いが変わっていって……
【感想】
 喜怒哀楽が激しくてぴょこぴょこ動き回る朱鷺子が可愛い短編。
タイトルの通り、朱鷺子が子供で、霊夢が近所のお姉さんみたいで読んでいて頬が緩む。
微笑ましい雰囲気が作品全体に溢れている、ほのぼのとした作品だった。
ところで朱鷺子さん、何でそんな物下に着てるんですか……

【文章】       ★★★☆☆ (水準程度。朱鷺子の一人称というのは珍しいと思った。)
【構成】       ★★★☆☆ (展開はほぼ一直線。捻りはあんまりない。)
【読み易さ】     ★★★★☆ (さらさら読める文章。読みやすい。)
【甘さ】         ★★★★★ (ニヤニヤが止まらない。)
【総合評価】   ★★★★☆ (朱鷺子好き、ほのぼの好きなら★5)

傀儡は気づかない  バターピーナッツ氏

【作品集】東方創想話139

【タイトル】傀儡は気づかない
【書いた人】バターピーナッツ氏

【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1298458506&log=139

【あらすじ&感想】
氏の代表作『チルノちゃんは弱い子』がツボに入り、ここ最近投稿を続けているのをみて気になっていたところ。
ほのぼの系を書いていたが今回の作品はガラリと作風が変わっていて驚いた。
シリアスというか妙に生々しい。醜悪な感情が作品から滲み出ている。
クセは強いが個人的に人間臭いキャラは好きなのでレビュさせてもらった。

【五段階評価】
★★★☆☆

エア・レス・キス・シンドローム  柚季氏
村紗に触れられるのだというなら、溺れるのも案外悪くないんじゃないか、なんて。

【作品集】東方創想話139

【タイトル】エア・レス・キス・シンドローム
【書いた人】柚季氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1298721362&log=139
【あらすじ&感想】
 村紗に触れられるのだというなら、溺れるのも案外悪くないんじゃないか、なんて。
 (本文中より抜粋)
 
 いわゆる現代パロディかつ百合作品。
 かつていじめによりプールで溺死した村紗と、女子高生一輪の物語。
 かなり戸口が狭いかに思えたが、読んでみると最後まで惹きつけられた。
 村紗がこれほどまで幽霊らしく書かれているのも珍しい。
 生者と死者の間の越えられない壁が、些細な日常を通して丁寧に描写されている。
 溺れさせる時にしか村紗は人間に触れないという設定もよく活かされていた。
 ただ、その丁寧さが人によっては冗長に感じられるかもしれない。

【五段階評価】
★★★☆☆(現パロ、百合が好きか嫌いかにより±1)

幻想郷ではなく、現代の高校を舞台にした現代パラレルものです。

【作品集】東方創想話139
【タイトル】エア・レス・キス・シンドローム
【書いた人】柚季氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1298721362&log=139
【あらすじ】
フェンスを越えた先にある「2」と書かれたプールの飛び込み台。
そこに彼女はいつもいた。
プールに居着いている幽霊、名前は村紗という。下の名前は知らない。
(本文より一部抜粋・改変)

【感想】
幻想郷ではなく、現代の高校を舞台にした現代パラレルものです。
まさに青春の最中を生きる一輪と、遠い昔に死んでしまった村紗。
いきなり遠くかけ離れた二人の距離に驚かされつつも、
そこから紡がれる物語は本当に爽やかな青春ガール・ミーツ・ガール。

舞台や登場人物の設定もさながら、やはりこの作品全体に流れる雰囲気がたまりません。クライマックスを超え、ラストを駆け抜けたあとの清涼感は

素晴らしいものでした。

私はあまり現代パラレルものを読まないのですが、
これは読んでよかったと素直に思える作品でした。
是非ともおすすめしたい一作です。

【五段階評価】
★★★★☆(現代パラレルの作品としてなら★5)

そそわには珍しい現代パロディ。女子高生一輪と幽霊少女村紗の話。

【タイトル】エア・レス・キス・シンドローム  【作者】柚季氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/139/1298721362
自分はムラいち好きで、この作者はムラいちを多く書かれてるため迷ったけれど、中でも一押しの作品を紹介。
そそわには珍しい現代パロディ。女子高生一輪と幽霊少女村紗の話。
幽霊と人間では互いに触れられないという設定からのストーリーが上手い。日常シーンも良い。
ラストもすっきりまとまっていて、まるで映画を見た後のような充実感が味わえる。

徒花  三下みのの 氏

【作品集】139
【タイトル】徒花
【書いた人】三下みのの 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1298376288&log=139
【あらすじ】
阿求は泣いたことがない。
阿求の夢に毎晩と現れる少女。その少女の涙の原因とは。
夢の少女の足跡を追ううちに、八代目御阿礼の子阿弥だった頃の記憶が少しづつ浮かび上がっていく。
果たして夢の少女の正体とは。
非常に幻想的な筆致で描かれる、阿求の記憶の物語。

【感想】
この小説の魅力はまずその文章が醸しだす幻想的な空気である。
単語や文章の選択が非常にうまくなされているうえ、
それでいて読みやすさを失わない文章力は見事といえる。

さらにこの描写を阿求の一人称として描くことで、
阿求というキャラクターがとても魅力的なものになっている。
この触れたら壊れてしまいそうな儚い美しさというかなんというか。

決して雰囲気一本勝負の小説ということではなく、ストーリーもしっかりしており、
毎晩の夢、幻想人とのやりとりとともに少しづつ真相が明らかになっていく構成、
ラストに明かされる真相など、単純に物語としても完成度が高いと思う。

【五段階評価】
★★★★☆
(ちょっとアレなくらいべた褒めしてしまったが、
はっきり言ってこの作品が500点アンダーなのは絶対おかしい。)

墓守り権平  yunta氏

【作品集】139
【タイトル】墓守り権平
【書いた人】yunta氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1298807256&log=139
【あらすじ】
無口な墓守りの権平は、ある日妖怪に命を救われる。
お燐と名乗るその火車は「権平の死体が欲しい」と言い、彼と行動を共にするが……。
不器用な権平と、お燐の明るさは、やがて大きなすれ違いを生む。墓を作るという事の意味、そしてお燐の本当の目的とは何か?
【感想】
口下手で人付き合いの出来ない墓守りの権平と、口が達者で明るい妖怪のお燐。
そんな対照的な二人が交流をしていき、少しずつ打ち解けあうお話です。
同じ「死体を扱う仕事」だけど価値観の違う二人。そして思いのすれ違いが切なくなります。
オリキャラとの絡みという事で、途中で人によっては敬遠するような部分がありますが、最後まで読めば恐らく納得できるかと。
成仏できずにこの世を彷徨う怨霊のような、じめじめした作風と読後感です。二週目はお燐が可愛くてしょうがなくなるオマケつき。
容量の見た目よりも読みやすさがあり、さくっと読めます。ただその影響か、もう少し心理描写が欲しいかなと思う部分もあり。
読者に想像させる部分がかなり多いように感じました。
【五段階評価】
★★★★☆(是非読んで欲しいおすすめ)

牡鹿クリムゾンブレイズ  イムス氏

【作品集】139
【タイトル】牡鹿クリムゾンブレイズ
【書いた人】イムス氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1298794966&log=139
【あらすじ】
 我輩は牡鹿である、胴体はもう無い。
 というのも、我輩は首の付け根から断たれて剥製とやらにされた挙句、壁に飾られているのである。
 だのにこうして視覚も聴覚も嗅覚も触覚も味覚も――そして意識、すなわち六感を維持できてしまうとは、さすがは悪魔の館だと納得するしかない。
            ――――本文より

【感想】
オリキャラ視点から進む紅魔館物。

なにより主人公クリムゾンブレイズさんが良い。
お調子者で好色なクリブレさんの軽快な語り口がイキイキと描かれたほのぼのとした作品。
容量もお手頃なので、手が空いたときにでもどうぞ。

【五段階評価】
★★★★☆

輪廻の蓬莱人形  zenteki氏

【作品集】139
【タイトル】輪廻の蓬莱人形
【書いた人】zenteki氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1298798214&log=139
【あらすじ】
 蓬莱山の竹の森。輪廻をやめた彼女に、太陽は昇るだろうか?
 忌々しい満月の夜に彷徨う人間たちのお話。

【感想】
使い古されたネタだけど、着眼点に光るものを感じた。
短いながらも、章ごとの題材だけで一つのSSが書けそうな濃密さ。
それが違和感なく絡んできて上手いなと思った。
ただ最後でちょっと急ぎすぎたかなという印象。
点数低くて埋もれてるけど、なかなか楽しめた。

【五段階評価】
★★★☆☆ (変化球多め、二次的な想像で楽しむような)

映画と秘封と秘封と猫と猫と秘封と秘封と映画と  スポポ 氏
物凄く文章が濃密な作品。

【作品集】139
【タイトル】映画と秘封と秘封と猫と猫と秘封と秘封と映画と
【書いた人】スポポ 氏
【長さ】■■■□□(67KB 長めの中編)
【あらすじ】
 テレビの中では黒煙の中に巨大な猫が映っていた。
猫はアゼルバイジャンに破壊と殺戮をばら撒き、核と共に消えた。
そのニュースを、遠く離れた京都のラーメン屋で見つめる蓮子とメリー。
【感想】
 物凄く文章が濃密な作品。巨大なネコが暴れまわるニュースや深夜のラーメン屋の描写は、
ジブリやマッドハウスのアニメ映画を思い起こさせるような、動作の一つ一つが想像できる緻密な文章。
必見は中盤から何度も登場する、蓮子のメリーに対する独白。物凄く長くて濃い。
メリーに相槌を打たせる暇も無く、ありったけの意見を詰め込んでまくし立てるセリフには圧倒された。
 この部分を読んでた感じたのが、蓮子とメリーが凄く大学生してるなぁ、ということ。
とある卒業式が中止となった高校で、校長が高校のサイトに記した送辞曰く、
大学に行く理由とは、「海を見る自由」を得るため、現実を直視する自由を得るためだという。
もしこれが正しいのならば、本作中のの理不尽に語り、叫び、泣く宇佐見蓮子は、理想の大学生であり、
その、友人の理不尽な行動を見つめ、理解してくれるマエリベリー・ハーンは大学生で出会うべき理想の友人なのだろう。
 残念なことに、現実では猫はニュージーランドに現れた後、日本にやってきた。
図らずも、文章の重みが投稿時よりも重くなってしまった本作、読んで抱く感想は人それぞれだと思うけど、読んでみてほしい。
【文章】       ★★★★★ (巧い。描写が綺麗だし、語彙も豊富。)
【構成】       ★★★★☆ (展開としては結構よくある流れだと思う。でも上手い。)
【読み易さ】     ★★★☆☆ (蓮子のセリフの所で-1。でも、この部分は読みづらくないと魅力半減だと思う。)
【総合評価】   ★★★★★ (どっしりした文章を読みたいと思ったなら、是非とも読むべき。)

異様に細かく生々しい描写と、リアルな世界観が相乗効果を生み出している作品

「映画と秘封と秘封と猫と猫と秘封と秘封と映画と」
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1298049422&log=139

異様に細かく生々しい描写と、リアルな世界観が相乗効果を生み出している作品
点数に表現しがたいパワーがあると思う。正直SSというには脂っこい話だけど満足感は凄い
これだけぶっ飛んでいて、力のある作品なら多少原作から外れていても読者はいるといういい例だと思う

忘暇異変録 ~for the girls of leisure  ケンロク氏

【作品集】139~148
【タイトル】忘暇異変録 ~for the girls of leisure
【書いた人】ケンロク氏
【URL】
(最初)ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1298132915&log=139
(最新)ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1309018685&log=148
【あらすじ&感想】
紅魔郷~緋想天までのキャラでのバトルもの。
全三日間の内容で、かなりの長編だが、読みやすい文章でテンポ良く進むので長さは苦にならない。
クジで3つのチームに別れ、大将を討ちとられたチームの負けになるが、
勝敗よりも、「全力で戦う」というところに重きを置いた内容になっている。。
そのため、ほぼ全編通して戦闘シーンが有り、このシリーズの見所もそこ。
バトルものが好きなら、今からでも最初から読むことをオヌヌヌしたい。

【五段階評価】
★★★★☆
ここまで長く続けられる根気には恐れ入る。
基本的に中二病っぽいが、恰好良いのであまり気にはならない。
むしろ若干の中二テイストを楽しむ作品。