作品集146

Last-modified: 2011-07-07 (木) 19:42:08
霧雨魔理沙は顧みない ~博麗地下のスキマ基地~  I・B氏

【作品集】146
【タイトル】霧雨魔理沙は顧みない ~博麗地下のスキマ基地~
【書いた人】I・B氏 【代表作】「霧雨魔理沙の非常識な日常」シリーズ
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1306241937&log=146
【あらすじ】
ある日、魔理沙はスペルカードルールを守らない野良妖怪に遭遇し、(火曜日の)アリスにピンチを
助けられる。その後、その妖怪を霊夢の所に行き、預ける。すると、翌週には野良妖怪はアリスと弾幕ごっこを
していた。不思議に思い、霊夢にその事を尋ねるが紫に預けていて知らないと一言。
そのことを疑問に思い、マスターの所に行き、火曜日のアリスとともに博麗神社の秘密に迫る。(第3作)
(幻のキャラ出演、第1作は読まないと理解しづらい)

【感想】投稿ペースの速いお方。自分の話の展開を確立してて、安定感がある。
キャラの使い分けも良い。紫×アリス親密説?
霊夢に対する描写は若干物足りなさ、突飛さを感じた。

【五段階評価】旧作補正込み
 ★★★★☆(これはッ!!自分一人で楽しんではいけないッ誰かにッ他の誰かに薦めねばッ!!)

阿Q正伝  The Ralf/A.Mies 氏
この作品、そうだな、最初の数行を読めばその良し悪しが分かると思う。

【作品名】『阿Q正伝』
【書いた人】 The Ralf/A.Mies 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1306461687&log=146
【感想等】
さて、レビューだ。
この作品、そうだな、最初の数行を読めばその良し悪しが分かると思う。そこで『アリだ』と思った人はそのまま読み進めると良い。きっと満足するだろう。
内容はタイトルの通り。阿求を主人公に、その日常を描いた作品。それでも山無く落ち無く意味も無く・・・と言った訳でもなく、読んでいて飽きさせない作りとなっている。
この、飽きさせないと言うのがミソ。要は、文章が上手いのだ。レビューもこの一言で片が付く。
読ませてくれる作品。ゆったりじっくり読みたい人はどうぞ。

【個人的評価】
★★★★★ と、五つ星。
でもこのべた褒め具合、何か良く分からない波長が合ってしまっただけかも知れないので、人に勧めるのなら

【評価】
★★★★☆ の四つ星にしておこうかと思う。

とある日の阿求の描いた中編。

【作品集】146  【タイトル】『阿Q正伝』  【書いた人】The Ralf/A.Mies 氏
【長さ】 ■■□□□ (29KB 中編)
【あらすじ】
 なにを必死になって伝写しているのだろう?連日連夜の転記作業に追われ、阿求はふと考えてしまう。
後ろ向きな不毛な論議を頭の中で行いながらも作業を一段落させると、机の上に見慣れない壺を見つける。
【感想】
 とある日の阿求の描いた中編。見所は会話と思考の表現。
忙しい時に起きがちな、後ろ向きで不毛な考え事が非常にそれっぽいと思った。
文章はかなり読みやすい。ストーリーを進めるのに重要なテーマがある訳ではないけれど、
止まる事無くストーリーは進んでいくので、するすると通り抜けるように最後まで読むことができた。
 その一方、展開はしっかり練られているように感じた。初読だと色々と見過ごすと思う。
惜しむらくは文の描写。気性激しすぎるんじゃないかと思った。展開としては仕方が無いのかもしれないけれど。
 読みやすく、展開もしっかりしてるので、この評価はもったいないと思った作品。
流しても力を入れても読める作品なので、手に取って見てほしい。
【文章】       ★★★★☆
【展開】       ★★★☆☆
【総合評価】   ★★★★☆ (おすすめ。読み易さは作品集146でも随一だと思う。)

幽谷響子のジャパニーズシリコダマヤッホー  KASA氏

KASA氏の「幽谷響子のジャパニーズシリコダマヤッホー」
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1306160342&log=146
尻子玉の描写が異様に生々しくてエロティックだった。ただその描写だけで評価できる
KASA氏のタダでエロい描写が出来る技術はある意味才能だと思ってる

白蛇の早苗【完結編】下編   蕗氏

【作品集】146

【タイトル】白蛇の早苗【完結編】下編
【書いた人】蕗氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1306258065&log=146
【あらすじ&感想】
既に今作で9作目にわたり、総容量約400KB程度の長編。
諏訪信仰の闇をオリジナル設定も交えて、書かれているがシリアス一辺倒ではなく、
むしろ、ほのぼのと基本的には進む。

ついに、諏訪子に対峙し、神楽を行う時!!
遠き過去も回想され、クライマックスかと思いきや、紫の提案で早苗のミシャグジ様姿お披露目
宴会が催される。ある者はその畏怖と圧倒的力を感じさせる御姿に見とれ、ある者は早苗に弄ばれる(笑)。
その間に、諏訪子は「楽しい楽しい神遊び」の準備を淡々と整えていた・・・。
もう、諏訪子は神遊びしか見えず、早苗は自分の存在が消えようとしているのか―――


諏訪子と早苗がついにぶつかり合うのを期待していたんですが、宴会の話が長すぎて、
個人的には期待はずれとしか言えないです。
ミシャグジ様モードの早苗さんのいつものはっちゃっけぶりは悪くなかったです。
最後の決戦の前に、宴会でどんちゃん騒ぎも展開として分からなくもないですが、内容の6割くらいはちょっと・・・。
うみねこのEP6の愛についてくらい冗長に感じました。
【五段階評価】
★☆☆☆☆ 期待していた展開がなかったので、申し訳ないですがマイナス補正がかかってます。(実際は星2)
      酷評しつつも全部読んでいるので完結まで読みたいとは思っております。

春の姉妹のお仕事  双角 氏

【作品集】146
【タイトル】春の姉妹のお仕事
【書いた人】双角 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1306553962&log=146
【あらすじ】
妹のリリーブラックと姉のリリーホワイトは今日も幻想郷中に春を伝える仕事に行くことにした。
白玉楼、紅魔館、博麗神社、山に彼岸に竹林、魔法の森、どこも誰もが優しく、暖かい。
「春は独占なんて出来ないものなの。
 独占しようったって、誰にでも自然に訪れるものだからねー」
仕事を終え、二人仲良く、シチューを食べ、お風呂に入り、次のお仕事まで休むことにした。

【感想】リリーホワイト、ブラック別人説の時点で、原作設定重視の人(私も含む)は抵抗があるかもしれない。
お話もよくあるほのぼのとした日常物だろう。
それでも、それは心地よく、飽きがこない、不思議なもの。幻想郷は悪人のいないまさに理想郷なのだろうか。
春同様、幸せもまた、独占しようとするのではなく、相手を思いやれば、自然と訪れるのかもしれない。
【五段階評価】
★★★★☆
リリーがメインなのは好きです。内容重視の物が好きな方には向かない。

ワルプルギスの夜に  くろの 氏

【作品集】146
【タイトル】ワルプルギスの夜に
【書いた人】くろの 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1306547222&log=146
【あらすじ】
魔理沙は山菜取りの帰りの激しい雷雨の日にアリスの家を訪ねる。
ふと、アリスは今日はやることがあると言う。
「幻の茸を採りに行くのよ。――それも本当、今日の夜しか採れないの」
魔理沙は興味津々だった。だが、「魔理沙、貴女も命が惜しければ、森の南側には決して来ないこと。いいわね?」
高圧的な態度で私を頷かせると、満足したように人形を数体従えて家の戸を開け、アリスは出て行ってしまった・・・・・・。

【感想】
アリスは本当に魔理沙を心配している。そして、彼女には少し眩しかった。
私は揺れ動く感情が好きではない。素直になれなかった。アリスの精神が弱ったわけじゃない。
ただ、一人への怯えや不安、動揺があっただけだろう。
魔理沙は無計画に見えることもあるが純粋にただまっすぐに向かっていく――

やや設定に綻びが生じているのマイナス点。
アリスは優しく、魔理沙はかっこよく、素直でそれぞれそのキャラらしかったです。

【五段階評価】★★☆☆☆

弾劾裁判  桜田晶 氏

【作品集】146
【タイトル】弾劾裁判
【書いた人】桜田晶 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1306426483&log=146
【あらすじ】
その日、是非曲直庁にて一つの裁判が行われていた。
常とは違うその裁判の席を担当することとなった新米閻魔に、被告人は、一つの昔話を始める……。

【感想】
さらりと読める分量は好印象だなぁ、と読み終わって第一に。
ようするに、読み終えてから内容をどうこう思える程のインパクトは無かったように思われる。

咳一つない静寂の中での緊張感が、いまいち読みとれないというか。
三人称で語られているから各キャラクターの心情があまり示されていないのだろうけれど、それにしても情報が少なすぎやしないかなぁ、と。
「お話」の一場面だけをぽん、と切り取られ、かつ物足りない。
冒頭に新米がこの裁判の裁判官に任じられたシーン、それからもう少し細かい描写。
それがあればもっと面白い作品になったのでは、という感想で御座います。

総論としては、もったいない作品。

【五段階評価】
★★☆☆☆

「認知してよ」と少女に詰め寄られたら誰だって焦ると思う  超空気作家まるきゅー 氏

【作品集】146
【タイトル】「認知してよ」と少女に詰め寄られたら誰だって焦ると思う  【書いた人】超空気作家まるきゅー 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1306499061&log=146
【あらすじ】
妹紅「実はあの人が私の親父なんだ」
慧音「久々にワロタ」

【感想】
なんとまぁ突拍子の無い……と思いながら読んでいたけれど、作中キャラにはキャラなりにその思考に至った理由があるわけで。
くすくすと笑いながら、また時折ちょっと待てと突っ込みを入れながら読むことが出来た。
テンポのいい文章は、それだけでポイント高い。

いやまあ内容としてはそれだけなのですけれども。

妹紅さんと阿求さんが可愛かったです。凄く。特に最後のシーン。

【五段階評価】★★★☆☆

あなたと妹  まりまりさ 氏

【作品集】146
【タイトル】あなたと妹   【書いた人】まりまりさ 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1306570098&log=146
【あらすじ】
「咲夜」 「あなた、私の妹にならない?」お嬢様に突然、咲夜はそう言われた。
それは『妹』を演じてもらい、『妹』の一般的な行動パターンを把握しておくのも悪くはあるまい、と思ったからだそうだ。
レミリアと咲夜の姉妹ごっこが始まった・・・

【感想】
相変わらず甘いです。失礼な言い方ですが、安心と信頼のまりまりさクオリティーと言うべきかな。
咲夜の心理描写が欲しかったです。後書きは短いながらも秀逸。

(アリスが出てたのは全部見てますが、最近のは見てなかったので懐かしくなりました。)
【五段階評価】
★★★☆☆

悪の夢  超空気作家まるきゅー 氏

【作品集】146
【タイトル】悪の夢
【書いた人】超空気作家まるきゅー 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1306558567&log=146
【あらすじ】
カフェテラスでお茶をする蓮子とメリー。
新聞を読んでいたメリーに蓮子は尋ねる。
メリーは、それに答えて、「胎児の夢」と言った……。

【感想】
二章冒頭のメリーの言葉に胸を貫かれた……。
まるきゅーさんって言葉の選び方が独特ですよね。
なんというか、こう、読んでいてまとわりついてくるような感覚。
このお話もそんな空気が所々滲み出ていて……面白いんだけど、疲れる。
好みの問題ではあるんだけれど、自分はこう言う、キャラクタに『説明させる』ような話はあんまり好きじゃないなぁ……。
言葉選びとか、雰囲気は、大好きなんですけどね。

【五段階評価】★★★☆☆

幻想郷リーグ 第五幕  何かの尻尾 氏

【作品集】146
【タイトル】幻想郷リーグ 第五幕
【書いた人】何かの尻尾 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1306648837&log=146
【あらすじ】
3年前からは幻想郷リーグと銘打って野球大会を開くようになった。
もちろん言い出したのは八雲紫である。
そして、レミリア率いる紅魔館デビルレッツは低迷を続けていた。しかし、今年はドラフトとFAで5人
新戦力が加入。打線も大幅に組み替えられ、リリーフエースのレミリアを中継ぎエースに配置転換。
今年のペナントレースが開幕し、おおよそ全チームとの対戦も終わり、お互いの今年の戦力も少しずつ把握してきていた。
今日の試合は命蓮寺スカイズとの4回戦。 果たして・・・

【感想】
まず、非常に東方要素の少ない野球小説なので、野球のルール等が分からないと面白くない。
内容は純粋に野球してます。野球が好きなら、読む価値アリ。むしろ、小説で野球という題材を選んだのはすごい。

パチュリーについてはかなり疑問というか不満があった。
1.「パチュリーの投球フォームは一言でいうなら、窮屈そうなフォームだ。とにかく省ける動作は全部省きテイクバック、腕の振りもコンパクトに」
と書いてあるが、どう考えても窮屈は褒め言葉ではない。シンプルという言葉を使えば良かったかな。
2.第三幕でのパチュリーに関する説明
「先発なら80球が限界だし、中継ぎなんてさせたら一週間で故障するほどだ。」
先発80球までは今回も設定が活きていたが、パチュリーが中継ぎ要員にして欲しいみたいな話が
突然出てきたが、どう考えても策がないと無理。不自然すぎる。

「投球の中身はもう伸びしろがあまりないパチュリーは自身の投球術について考えた、すべて初球で打ち取れば27球で試合が終わる、それがパチュリーの理想であった。」
「レミィ、思いついたことがあるから今日は練習もうあがるわ。(そうと決まれば球数少ないピッチャーを研究よ!)」
そして、第五幕で先発したわけですが、その進展がまったく語られていないのが不満。

【五段階評価】
★★☆☆☆ 今回は納得いかない点があった。

ワールズエンド・ガールフレンド  夜空 氏
――物心付いた頃から、わたしは、ずっと、ずっと、ひとりぼっちだった。

【作品集】146
【タイトル】ワールズエンド・ガールフレンド
【書いた人】夜空 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1306667062&log=146
【あらすじ】
 ――物心付いた頃から、わたしは、ずっと、ずっと、ひとりぼっちだった。
 やまない雨。ざんざんと降り続ける雨の中、黒い鴉と一緒に、ゴミ捨て場を漁って残飯を貪った。
 ――モノクロの空を見上げながら、名も無き花と紡ぐ名も無き詩。
 ざんざんと降りしきる雨の中、くすんだ空気を吸い込んで想いを吐き出そうとした瞬間、わたしの目の前で美しい桜色の花が咲いた――
「……迷子の迷子の迷子犬さん。こんな雨に打たれていたら、風邪を引いてしまいますわ?」
「冷やかしなら、間に合ってるわ」

「まるでわたしのこと知ったような口聞かないで。わたしはあんな綺麗に咲くことなんてできないし、此処にいるのが相応しいゴミクズなんだから」
「私の言葉がそんなに信じられないのならば、咲かせてみせましょう。貴女に気付かせてあげるわ。今此処で咲き誇る風見幽香は、この世界に存在しない想像を超えるような美しい花であると言うことを……」
 
 モノクロの世界から空を吸い込んだわたしの瞳は色を失って、いつもの場所でわたしは空を見上げ言葉はない。
 セピア色に染まる景色の中で、名も無き花と彼女が置き去りにした薄桃色の傘だけが、色鮮やかに咲き誇っていた――
 貴女の夢の中でしか咲き誇ることができない風見幽香と言う名の花は、今此処で舞い散った。そして夢の花が咲き乱れる景色にわたしの花びらは葬られて、美しい世界は終わりを告げる――

【感想】
 大長編キター。登場人物は幽香と紫、映姫の3人。幽香の独白とまるで全てを超越した神の様な紫の話。
 お人よしなで純真な乙女心を持つ映姫がアクセントになってて良かった。
 心乾いた砂の器になった彼女に、その優しき愛は受け止められなかった。信じられなかった。
 多すぎた水はその心の器を壊し、流してしまうのだから。

 世界の終わり 終わりの"始まり"
 申し訳ないが、この部分については語るだけの読解力はない。ぜひ、読んでください。
 緻密で重厚な独自の世界観、読者に風景まで思い描かせるようなそんな感覚。
 ただ、甘い百合作品にはない。素晴らしさがそこにはある・・・。
 正直、私には語ることはおこがましいくらいの大作でした。

【五段階評価】 ★★★☆☆  私の好みではなかった。これより、「援助交際」の方が好き。

ここまであるキャラクターの一人称に焦点を絞ったSSを僕は少なくとも初めて読みました

【作品集】146
【タイトル】 ワールズエンド・ガールフレンド
【書いた人】夜空氏
【長さ】■■■■■(285.94KB 長編)
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1306667062&log=146
【あらすじ】
帰る家も家族もいない風見幽香と言う名前だけが残された色覚障害の少女は、生きることも死ぬことも選ぼうとせずゴミ捨て場で無常の日々を送っていた
其処に突如として咲いた一輪の花は、幻想郷で唯一枯れない薄桃色の傘だった。それをもたらした女性は名を名乗ることもなく「貴女はこの世界に存在しない想像を超えるような夢の花」と言って冷たくなった彼女の心を揺り動かす花と言う存在に憧れていた少女は、彼女と交わすキスの中で鮮やかに色付いた花の夢を見る。そして世界の終わりへと向けて運命の歯車は回り始める――

【感想】
ここまであるキャラクターの一人称に焦点を絞ったSSを僕は少なくとも初めて読みました
幽香の心の動きが事細かに描かれていて(もう台詞を話すごとに揺れ動く印象)彼女の中に去来する様々な想いの洪水に、読み手が飲み込まれそうになります
紫と出会うことで幽香の世界は間違いなく広がったのだけど、その代償として失ったたったひとつの大切な「もの」を諦めることができず、ひとりで生きると言う僕らが知ってる風見幽香になった彼女の悲壮な決意に胸を締め付けられました
たかが恋愛事でこの世界を終わらせようとするなんて発想は恋路を経験したことのない自分には到底理解しがたい話だったんだけど、その辺りを含めた幽香の心情回りの説得力が物凄いの一言に尽きる
そして最後に手向けるための歌が圧倒的にロックで、それが氏の考える幽香像なのかもしれません。アコギって優しい音がするけれど、この物語で幽香が弾く曲は全てが轟音と残響に包まれた鬼気迫るものがありました

コメントに「ここまでセカイ系を突き詰めたSSは初めて」と言う文章がありましたが、このSSは多分そのセカイSSではかなり上の出来なのではないでしょうか
正直無知でセカイ系とか全然知らなかったんですが、たまに作中で幽香や紫の話す「世界」についての定義及び輪廻転生なんて存在しないと言う花のたとえを用いた世界についての考察が非常に面白かったです
毎日世界では人が死んでいる。だけど自分達はそんなことを無視してへらへらして生きている。そんな矛盾を突く辺りは東方SSと言う枠組みを越えて作者の語りたいことが存分に語られていると思います
この部分に関しては百合嫌いな人でも十分楽しめると思います。多分作品の主眼のひとつとしてセカイ系と言うものがあったのではないかと推測しますが、現在流行ってる日常系へのアンチテーゼ的な部分があったのかもしれません
惜しむらくは、夜空氏がここまで世界がどうしようもないと語るのならば、一体どうすればいいのかと言うことに関して言及を避けていることでしょうか。文中からは正直、恋愛で救われるなんて甘ったれた部分で物事を捉えてるように見えなかったのですが……
物語の面白さだけなら援助交際の方がずっと展開にメリハリがあるけれど、内容の深さでとれば圧倒的に本作が上。普段は長編だ百合だと敬遠してる方も、丹念に織り込まれた色鮮やかな世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか?

【文章】★★★★と(★半分)
モノクロームの世界、太陽の畑の輝く景色が目に浮かぶような素晴らしい文章だと思います
幽香の心理描写も花をモチーフにした比喩が多く緻密に描かれていてGOOD.感情表現豊かな登場人物の描写は援助交際の比ではないと思う
★半分にしたのは>>23でも指摘があったようにあまりに心情描写が濃厚すぎて軽い気持ちで読むと飲み込まれてしまうこと。それが夜空氏の今の持ち味なのかもしれませんが……

【展開】★★★★☆
力の入った大長編ですが世界観や物語の構成は、長編で実績のある人らしく流石の一言
幽香の心理描写にあまりに文章を割き過ぎているため物語の動き方としてはやや冗長な印象です

【五段階評価】 ★★★★☆
濃厚な百合描写(特にキス)もウリのひとつだと思うので百合好きなら文句なしで★★★★★

不確定浮遊存在 ~where you want to get to

(自己レビュー)
【作品集】146
【タイトル】不確定浮遊存在 ~where you want to get to,【書いた人】まふ

【あらすじ&所感】
大図書館にて、いつもの日常。
小悪魔は仕事をサボり本棚の影で本を読みふけり、そんな様子をパチュリーは水晶玉観察する。
黒白の魔法使いも現れることもない、平和な一日。

そこに紛れ込んだ、一つの非日常。
突然の来訪者は大図書館の常連であり、魔理沙と同様に招かれざる客。
マエリベリー・ハーン。この時、齢十前後。
彼女は今日も今日とて夢の中を奔走し、何かを求めて捜し巡る。
そんな彼女を大図書館の主であるパチュリーは歓迎した。

マエリベリー・ハーンにとって、パチュリー・ノーレッジは夢の存在であり、
パチュリー・ノーレッジにとって、マエリベリー・ハーンは夢の存在である。

夢と現が交差するこの空間にて、二人は問答を交わしていく。


秘封倶楽部にて、よく扱われる題材を私なりに整理をさせて頂い、書かせていただきました。
読みやすいかと聞かれれば微妙だけど、出来うる限り、私の頭にある情報を正確に伝えられる様に心がけました。

この話を書き始めた時は二つのアイデアから出来ていまして、
一つはパチェとメリーのやりとりが書きたい。
もう一つは可愛い小悪魔が書きたいといったところです。

私は一度、変態チックに書いて可愛いけど残念な子にすると、
変態属性をそのままに可愛く仕立て上げたいとか思う、天邪鬼ですので。

パチュリーとメリーの会話は、二人ならこういう会話をするだろうという推測と憶測によるもので、
自然とああいう形で収まっていました。
台詞と地の文の割合が1:9くらいでやっと、心の安寧を求められる地の文フェチなので、
台詞間の地の文が多く、テンポという点では煩わしいところもあるかもしれませんが、
代わりに細かい描写や仕草には心がけてみました。

魔女っぽさを心がけたパチェと、小さい時からロマンチストの気のあるメリー、
そして、可愛い変態を意識した小悪魔。
組み合わせとしては、よくある様に見えて、そそわではあまり見ない組み合わせ。
少しでも興味を持てば見てやってください。

ついでに、同作品集の「倒錯的デイリーライフ」も話のつながりは一切ありませんが、
世界観は共通していますので、上を見て興味をもって頂ければ、ついでに見てくれると私が喜びます。
こちらは主にフランドールが一人称で、大図書館関連で色々と考察した話。
細かい世界観の描写や、細かい仕草の描写が好きな人に僭越ながらお勧めさせていただきます。

紅魔館としてパチェとフランの絡みはあっても、パチェとフランの単体同士でも組み合わせはあまりないと思うんです。

 

(上記のレビューを短くしたもの)
(自己レビュー)
【作品集】146
【タイトル】不確定浮遊存在 ~where you want to get to,【書いた人】まふ

【あらすじ&所感】
パチェとメリーで不思議語り。
魔女っぽいパチェ、ロマンサーメリー、変態小悪魔を意識した。
小悪魔、愛してる。

ついでに話の繋がりはないけど、世界観共通の「倒錯的デイリーライフ」もよろしく。
物語というよりも大図書館の考察系。
レミリアや美鈴や咲夜の絡んで来ない、純粋なフランとパチェの話。

細かい仕草や描写、地の文多めが好きな人に僭越ながらお勧めさせていただきます。

告げ口する眸  海綿氏

【作品集】146
【タイトル】告げ口する眸
【書いた人】海綿氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1306640839&log=146
【あらすじ】
 其れは昔の夢だった。
 其れは昔、置き去りにしてきた者たちの、夢だった。
 ある日、永遠亭に訪れたのは、地底の妖怪である古明地さとりだった。
 自身の飼っているペット、そのひとりが病気を患ってしまったので診て
 欲しい。そう言ったさとりに、永琳は鈴仙を行かせることにする。
 記憶を読まれることに怯えていた鈴仙は、同行し、地底を見て、そこで
 暗く鳴き叫ぶ昔の夢と対面させられることになる。
【感想】
 ひたすら暗い。そして文学チック。
 鈴仙が逃げてきたものに対して、さとりがその罪悪感を増幅させる。
 それは確かに八つ当たりなのだろうけれど、彼女の内側の闇に背筋を凍ら
 させられた。なるほど、これは追放される。
 長く生きているてゐと、永く生きなければならない永琳。
 同じ長命の妖怪でも、在り方からの思考の違いなど面白い。
 さとりがとても“悪役”をしているので、それが嫌でなければ読んでみて
 はいかがだろうか。
 私はこれを読んで、ドグラマグラが読み直したくなった。

おごりだ、よろこべ  今野氏

【作品名】『おごりだ、よろこべ』
【書いた人】今野氏
【思ったこと色々】
地底に迷い込んだ背広のお兄さんと、それに絡んでくる勇儀姐さん。この勇儀姐さんが男に語りかけていく形で物語は進行する。
基本的に姐さんしか喋らないし、男の方の台詞は一言も無いけど、それでもやっている事は良く分かる。伝わり易い文章だと思う。
ストーリー構成も良い。20kbに満たない分量ながらも情報量は多く、場面展開も多いから読んでいて飽きない。
特に締め方が好き。締めってのはやっぱり重要で、ここがキチンとしてると全体にも締りが出てくる。つまりオススメ。

【内容】
幻想入りしてしまった外来人の男が鬼に絡まれた。
男は不承不承、嫌々ながらも鬼の相手をする。なんたって、嫌だと言っても放してくれないのだから。
男は、何か目的があってこの地底に来たようだった。そしてそれを知ってか知らずか鬼は尚も男に絡んでくる。
まあまずは飲もうじゃないかと、鬼は男を店の中に連れ込んだ。

【評価】
★★★★☆ の星四つ。
ストーリー、例えば起伏が無いとかで嫌いな人も居るのかしら。
俺にとって重要なのは読み易い文章で、その点これは文句無しに良作。
ストーリーも、起伏はあると思う。面白いよ。そう、姐さんは話し上手なのだ。

厄日炒飯  やー氏

【作品集】146
【タイトル】厄日炒飯
【書いた人】やー氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1306939611&log=146
【あらすじ】
 なにをやっても、上手くいかない日というのはある。
 その日、十六夜咲夜もそうだった。
 自分の紅茶に砂糖を入れすぎて胸焼けしたり。
 新調したばかりのメイド服を破いてしまったり。
 そう……おゆはんの材料を、買い忘れてしまったり。
 何をやっても上手くいかない日というのはある。
 その日、十六夜咲夜は、自分の失敗に途方に暮れる中、一柱の神様に声をかけられた。
【感想】
 咲夜さんの、どうにもリズムに乗りきれないお話。
 短いながらも、しっかりと落ちていて構成が上手いと思う。
 登場人物たちの感情もよく表現されていて、感情移入がしやすかった。
 ちょっぴり瀟洒になりきれない咲夜と優しい厄神さまが見たいのなら、是非読んでみてはいかがか。

熱アリス学講義 第四回 恋心機関とその効率の導出について  アステルパーム 氏

【作品集】146
【タイトル】熱アリス学講義 第四回 恋心機関とその効率の導出について
【書いた人】アステルパーム 氏
【長さ】□□□□□ (4KB 掌編)
【あらすじ】
 恋心機関とは、2つのキャラクター間で動作する、可逆カップリングの一種である。
可逆カップリングは最も効率のよいサイクルであり、
恋心機関はそのもっとも単純なモデルであるため、理想のカップリングを考えるモデルとして重要である。
また、実際の人物関係は恋心機関より複雑で、不可逆な組み合わせを含む事も多いが、
限りなく近いものを作ることは可能であり、秘封倶楽部はこれに近い。  (Mukyupedia 恋心機関より引用)
【感想】
 ぶっ飛んだあらすじですみません。元ネタは理系大学生の頭を悩ます熱力学のカルノーサイクル。
どういうものかは検索すれば解説が複数出てくるので、そちらを参照して欲しい。
まさか、大学の時に散々悩まされた公式を創想話で見る日が来るとは思いませんでした。
「理想化したアリスの胸はC」や「マリサがパチュリーと仲良くする(等温吸熱)」などなど
あの式を見てどうやったらこうなるのかと思うようなパラメーターが多数。作者の想像力には感服する限り。
 そして、第二の見所はあとがきで出された課題に対するコメント欄の解答。
良く訓練されたと言わざるをえない濃いコメントが多数で、理系なら吹くこと間違いなし。
【文章】       ★★★★☆
【展開】       ★★☆☆☆
【総合評価】   ★★★☆☆ (理系なら+1。元ネタ知ってるなら更に+1。コメントも含めて楽しむ作品)

博麗さん家の迷探偵  夢見る飛行物体氏
個人的にはそこまで馬鹿にしたもんでもない、割としっかりと作ってある作品だと思う

夢見る飛行物体氏の「博麗さん家の迷探偵」を読んでみた
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1306787115&log=146

初投稿というわけであんまりふるってないのは仕方ないのかもしれないけれど、
個人的にはそこまで馬鹿にしたもんでもない、割としっかりと作ってある作品だと思う
具体的にここがダメだよね、とは言いにくいけれど、まぁなんつーか、印象に残らないのは確か
これにめげずに着実に研究に研究を重ねていけばよくなりそうではある

博麗神社で事件が起こった。

【作品集】146
【タイトル】博麗さん家の迷探偵   【書いた人】夢見る飛行物体氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1306787115&log=146
【あらすじ】
博麗神社で事件が起こった。霊夢にとっては何よりも重大な事件……賽銭(箱)泥棒である。
容疑者として集められた魔理沙、早苗、チルノ、咲夜(文?)の四人は困惑していた。
四人は天狗の新聞によって泥棒の話は知っていたが、どうして自分達が疑われたのか分からなかったためだ。
「犯人は現場に戻る」という言葉のみを根拠にして犠牲者への説明は終わり、霊夢によって恐怖の取調べが行われる。

災い天子て衣玖と為す  goma氏

goma氏の『災い天子て衣玖と為す』はなんかすごい
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1306757175&log=146

いやこれの評価ポイントはひとつ。ズバリ、衣玖さんの非常にセンスあるボケぶり
作者は誰からこんなセンスある言い回し、相槌を教わったのかと思うぐらい、全くテンションが降下せず最後まで面白い
壊れギャグでなくてもこんなのが書けるのか……と久しぶりに感心した。これぞ知的なギャグの書き方だとすら思う