作品集152

Last-modified: 2012-05-27 (日) 01:51:39
絶対大丈夫だよ!!いくら飲んでも朝が来るよ!!  orosiwasabi氏

【作品集】152
【タイトル】絶対大丈夫だよ!!いくら飲んでも朝が来るよ!!
【書いた人】orosiwasabi氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1313472942&log=152

【台詞抜粋】
「被検体01000。任務だ……地上の愚民どもに我らの優秀さを見せつけてやるのだ」
 こいつ等は弾丸だ。穢され汚らしく死んだ弾丸だ。
 そして、私も弾丸だった。

「どうかしら? 幻想郷は?」
「うん、とっても酷でぇところれす。こんな汚らしくてひでぇところみたことないです。
 ……ここのやつらぁ、神民裁判にかけられたぁらあ、全員即刻銃殺れすよぉ」

「幻想郷さいこぉー……」
 ―だが、喜劇にはそういう間抜けな弾丸が必要なのだ。

【あらすじ(主観入り)】
過去に囚われる優曇華。そのトラウマは平和なひと時に心中によみがえり。
幻想郷に入った今でも、彼女を苦しめている。
深く心に刻まれた傷は、宴会が空けても彼女を悩ませ続けるだろう。
鬱うつした気持ちは、きっと晴れあがる事はない。
その上幻想郷には他人の考えなんてお構いなしの、碌でもない奴ばかり居る。
だがここの汚れた住人たちは、どうしようもない過去に心囚われる暇すら奪ってくれる。
更に皆で集まり、悩んで飲んで、馬鹿して飲んで、吐いて寝るほどに飲んでも、絶対朝が来る。
馬鹿な奴らと馬鹿が出来る一日が来る。
きっとそれは幸せな事なのだ、なんてね。

【感想】
とにかく、文章が好きです。勢いがあって。
具体的にどのように好きかは上手く言えないけれど。
あらすじや上であげた台詞にピンと来た方はきっと合うと思います。
そして、宴会シーンが間にあるんですけど、泥酔状態の宴会を上手く表現できてると思いました。
オススメ。

庭師、山にて白狼天狗と相対すること  鞘の花氏

【作品集】152
【タイトル】庭師、山にて白狼天狗と相対すること
【書いた人】鞘の花氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1313509219&log=152

【あらすじ】
「栗ご飯が食べたい」。ある秋の日、呼びつけた妖夢に幽々子は言った。
 それに対し、人里で栗を買ってこようとする妖夢だが、幽々子はそれを止める。
 だんだんといやな予感がし始めた妖夢に、幽々子は告げた。
「聞くところによると、妖怪の山には豊穣の神様がいるらしいわ。そんな神様が住んでいる山の栗って、とても美味しいと思わない?」

【感想】
 幽々子の無茶振りを受け、妖怪の山へと踏み入る妖夢。そして、それを迎撃する哨戒天狗、椛。
 同じ刀を持つものが出会い、戦いの中で、互いに惹かれあう話。
 原作での絡みが無い二人の話だと、ややもすると地に足の着かない、どこか説得力のないストーリーになってしまいがち。
 しかしこの作品は、ひょんなことから遭遇し、互いに敵同士として刃を向け合い、互いをだんだんと意識するという
 その過程がじっくり丁寧に描かれているので、
 自然と胸に落ちていくような物語に仕上がっていると思います。
 キャラクター描写も丁寧で、生き生きしているのがグッド。
 どこか未熟さを匂わせる妖夢、仕事一筋の椛、脇役の文、とみんな魅力的です。
 堅い性格の二人が、命のやり取りの中で、互いの中に何を見出し、どう変わっていくのか。
 興味が湧いた人は是非物語を紐解いてみてはいかが。

魅惑のザッハトルテ  早苗月翡翠氏

【作品集】152
【タイトル】魅惑のザッハトルテ  
【書いた人】早苗月翡翠氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1313821916&log=152

【あらすじ&感想】
外の世界、JR駅前近くの某有名百貨店(作中で明言されてないが恐らく「そごう」)の喫茶店の前で、
周囲の注目を集める博麗霊夢と東風谷早苗。
外の世界の美味しいケーキを食べるために、わざわざやって来たらしい。
喫茶店の前でお目当てのケーキの魅力を語る早苗のウザ可愛さと熱気が何時しか周囲の観客たちまで巻き込んでいく。
ウザ可愛い早苗が好きな人、賑やかな雰囲気が好きな人にオススメ。

アリス洋菓子店  葉月ヴァンホーテン氏

【作品集】152
【タイトル】アリス洋菓子店
【書いた人】葉月ヴァンホーテン氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1313845343&log=152

【あらすじ&感想】
霊夢と魔理沙が向かった人間の里の洋菓子店、パティシエール「葉月」。
そこには、パティシエとしてせっせと働くアリス・マーガトロイドの姿があった。
洋菓子より和菓子の方が上だと思っている霊夢の考えを改めさせるべく、
アリスが提供するケーキとは。料理の描写に定評のある氏が、洋菓子の描写に挑戦した作品かと思いきや、
それだけでなくひたすらアリスと霊夢が可愛い話。アリス好きにオススメ。

或る男の手記  名前が無い程度の能力氏

【作品集】152
【タイトル】或る男の手記 【書いた人】名前が無い程度の能力
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1314373194&log=152
【あらすじ】
主人公は幼い頃、近所の小さな山に足を運ぶことが多かった。
あまり友人が多くなかったから、遊び相手が居なくて暇になると、決まって山に行って暇を潰した。
ある日、山に入った少年は、見覚えの無い場所を歩いていることに気付く。
妙に思いながらも山を彷徨い歩くうちに、湖にたどり着いた。
その美しさに目を奪われていた少年は、「もういいかい」と言う声に引かれるまま、その声の元へと導かれた。
果たしてそこで目にしたのは――青い髪に、透明な、虫のような羽を背負った、妖精のような――少女の姿だった。
少年は、心惹かれた。
ここに至る経緯を話すと、少女は帰り道を教えてくれた。少女は、同世代の子供とは全く違って見える。
道すがら、色々と話をするうちに、少年は増すところ彼女に惹かれていた。
共に居たいと駄々をこねる少年を、少女は優しく諭し、少年は自身の我儘を抑え、家路に着くことを決意する。
足を踏み出し、一度は振り返った。彼女は手を振っていた。
二度目もあった。遠くで彼女は微笑んでいた。
三度目に振り返ったときには、すでに少女の姿は無かった。
以来、山に行っても、湖にも少女にも出くわすことは無く、引っ越しでその地を離れる頃には忘れていた。
――あれは幻だったのだろうか・・・

【感想】
年を経た主人公が、昔体験した不思議な出来事を思い出し、文章に纏めるという体裁で話が進む短編。
一つ一つを噛み締めるように思い出される文章は、容易く読者に光景を思い浮かべさせる。
後書きで更に展開があるのも魅力。
タグが無いので倦厭している人も多いのではなかろうか。是非とも手を出して頂きたい。

★★★★☆

あたいの空  。氏

【作品集】152
【タイトル】あたいの空
【書いた人】。氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1313894942&log=152

【あらすじ】
 「灼熱地獄跡にひきこもっていた友人が帰ってきたことで、事情は少しだけ変わった。
 みんなで食事を取るようになり、会話も増えた。離れていた家族が一緒になったようなものだ。
 地霊殿も心なしか賑やかになり、自分の朝も少しだけ早くなった。」

お燐は主人のさとりから灼熱地獄から帰って来たお空の世話を任される。しかしお空は相変わらず好きかってに生活していて、そのフォローにまわりお燐の苦労は絶えなかった。

【感想】
お燐とお空の日常の話。内容に特に事件みたいなものは無いけど、二人の関係性が自分の中の東方キャラのイメージに近かったから今作品中では一番お気に入り。やっぱり東方キャラはこれくらい殺伐とした仲の良さでいてほしい。

彼女が仏教を捨てたワケ  幽霊A氏

【作品集】152
【タイトル】彼女が仏教を捨てたワケ【書いた人】幽霊A氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1314385245&log=152
【あらすじ&感想】
 神霊廟ネタバレ有り。神霊廟の5、6ボスたちに取材するはたて。
 史実に隠された、6ボスの歴史に残せない悩みとは……?
 
 若干キャラ崩壊気味のギャグもの。そりゃ仏教捨てたくもなるわと言いたくなる6ボスの悩める場面が売り。
 どういうオチが来るか予想は出来ていたのに、最後のオチで吹きだしてしまった。やられた。

名前の無い魔法  海苔缶氏

【作品集】152
【タイトル】名前の無い魔法【書いた人】海苔缶氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1314436123&log=152
【あらすじ&感想】
 読めない魔道書に出会った魔理沙。聖白蓮と親しくなった彼女は魔道書を解読してもらう。
 そこに書かれていた『魔法』は彼女の想像とは違っていたが、2人の魔法使いの絆はそれをきっかけに深まって行き……
 
 姉妹のように仲良くなる二人の姿が、何度も視点を変えてゆっくりと描かれる。
 この視点変更の回数が多すぎるのは賛否両論かと思われるが、視点変更の際は改行幅を多めに取っているので読んでてそこまでの混乱はないはず。
 若干キャラの感情表現が大袈裟な気もしないでもないが、ちょっと心に残るいい話を読みたければ。

店主は語りて、少女は蒐(か)りて  白雀氏

【作品集】152
【タイトル】店主は語りて、少女は蒐(か)りて【書いた人】白雀氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1314420858&log=152
【あらすじ&感想】
 ある秋の日、香霖堂にいつものように魔理沙がやってくる。
 しかしその魔理沙は霖之助を『香霖』と呼ばず『霖之助』と呼ぶなどどこかおかしい。
 霖之助もまた、魔理沙に面白い商品と言っては奇妙なものばかりを紹介し……?
 
 香霖堂、三月精、求聞史紀のそれぞれの書籍の設定を繋げて巧く話を組み立てた印象。
 注意深く読んでいれば途中で気がつく人も多いだろうが、そう来るか、と思わせる終盤の展開が上手い。
 最後まで読んでから、タイトルを見たり最初から読み直すと、オチを踏まえてよく考えて書かれているのが分かる。
 ところでこの話に登場したとある書籍キャラ、おそらくそそわでも初登場ではないだろうか?

流し雛と河童と  トロートン氏

【作品集】152
【タイトル】流し雛と河童と【書いた人】トロートン氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1314441528&log=152
【あらすじ&感想】
 最初からラブラブ状態のにと雛。溜めこんだ厄を神に渡すためににとりと少しの間離れることになった雛。
 そんな彼女を悶絶させる、にとりが言った一言とは……
 
 雛ラブなにとりの言動にたびたび理性を失くしかける雛の可愛さ、そして二人の甘いイチャつきっぷりが売り。ただしその分若干キャラ崩壊気味。
 短い文章の中で最低限必要な甘い描写とオチをしっかりつけており読みやすい。
 もうお前ら結婚しろ。いや、そのうちするか。

あなたと私のカップ麺  まりまりさ氏

まりまりさ氏の『あなたと私のカップ麺』は心温まるいい作品
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1314436599&log=152

田中角栄はかの小渕恵三を「ビルの谷間の美味いラーメン屋」と評したというがまりまりさ氏はまさにそんな感じ
ブレず媚びず顧みず、ただ黙々と佳作を量産し続ける氏を例えるならまさにビルの谷間の美味いラーメン屋だと感ずる

この作品もカップラーメンに関する話だけど、いやこれもいい。今回も中々の佳作だった
ただひとつ、運命を変えんとするレミリアの奮闘ぶりをギッチリ書けば傑作だったと思う

SO-NANOKA  晴れ空氏

晴れ空氏の『SO-NANOKA』が凄い。今作品集でも異彩の作品
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1314201207&log=152

奇妙な気分だ。うららかな日曜の昼下がりに全裸の見知らぬ男に土手で激しく叱責されるぐらい奇妙な気分だ
これは企業小説だ。短いし荒削りだしほとんど脚本にウブ毛が生えた程度のもんだがたしかに企業小説なのである
真保裕一のようなサスペンスあり推理ありではないけれども、スリリング?な駆け引きだけは若干その風味がある

願わくば晴れ空氏にはこの路線で突っ走っていって欲しい。奇を衒った小説路線ではなく、できれば
みちっと腹にたまるような東方企業小説を量産してほしい。ほとんどわけわからない注文だがそう思う

橋姫参り  斎木氏

【作品集】152
【タイトル】橋姫参り
【書いた人】斎木氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1313745259&log=152
【あらすじ】
地霊異変終結の半年後、地上との交流が再開した地底では恒例の納涼祭に花火を取り入れるということで沸いていた。
一方旧都の喧騒から離れた橋の袂ではヤマメとパルスィは雑談に興じており、そこへ勇儀が合流する。
地底でそれぞれ小さからぬ影響力を持つ三人が祭を投げ出して集まるのには当然やるべきことがあるのだった。
【感想】
悪く言えばやや起伏に乏しい、だが丁寧に穏やかな世界と空気を描いた一作。
割とシニカルなヤマメに殆ど妬まず神霊としての面の強いパルスィ、芸達者で苦労人の勇儀と
あまり馴染みのないキャラ作りの三者だが、丁寧に描写されているからか違和感なくすんなりと読めた。
花火や夏祭り、ひいては晩夏そのものにも通じる明るい切なさの表現は見事の一言。
弾幕ショーに背を向けて星見酒を選ぶ三人はまさにその気持ちの体現なのだと思う。
言ってしまえば地味でキャッチーなものに乏しい一作だけども、こういう作品があるからこそ各人の幻想郷は根付いて広がっていくんだと思う。
【五段階評価】
個人的には四ツ星、贔屓目抜けば多分三ツ星、間を取って三ツ半くらい。