作品集168-2

Last-modified: 2012-09-26 (水) 11:28:57
夕日に連なる車輪の上で  白衣氏

【作品集】168
【タイトル】夕日に連なる車輪の上で
【書いた人】白衣氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338380317&log=168
【あらすじ】
 「そっか、自転車が無いんだ」と思った早苗は河童に自転車作成を依頼する。雛お姉様を見ながら信仰について考えたり、Geekな河童達に振り回されたりしつつも……河童&洩矢脅威のメカニズムはついに自転車の開発に成功したのである。
 MTBやクロスナー。ハイスペックな自転車達は幻想郷でも大人気だ。そんな中で十八段変速のママチャリにのった早苗に去来する思いとは――

【評価】★★★★☆

【感想】
 荒さが見える作品だとも思いました。
 コメントに詰め込みすぎという感想がありましたが、私も同感です。テーマにしてもエピソードにしても一作に詰め込みすぎているように思えます。
 ハイテンションな語りかけ口調な地の文でかなりカバーされてはいますが、文章が説明的過ぎるように見える箇所もありました。改善と成長の余地はまだまだあると思います。
 ですが、「先を読みたくなる」というSSの基本であって最大の魅力を存分に持った作品なのは間違いありません。
 キャラの立った人物を数多く投入してのスケールの大きなストーリー。エピソードがエピソードを呼び広がっていく飽きの来ない展開。要所要所を締める見せ場。その先に待つ感動。
 読者を話さず最後まで引っ張っていく能力を十二分に持った作品ですし、これはお勧め出来る一作でしょう。

さとりたんじょうび  ばつ氏

【作品集】168
【タイトル】さとりたんじょうび
【書いた人】ばつ氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338443642&log=168
【あらすじ】
 誘った人は誰も来なかった。私とおねぇちゃん。二人ぼっちのお誕生日会

【評価】★☆☆☆☆
  
【感想】
 「海藻の海苔じゃなくって、DeNAのノリでもなくて、紙とかを引っ付ける糊だよ、もちろん」の一文には不覚にもワロタ。
 私好みなのか、要所要所のネタは笑えました。ですがいかんせん読みにくい。
 こいしの一人称ということを意識してか、地の文は捉え所の無い心理描写が殆ど。長尺の台詞で説明を重ねていくという形ですが、不自然さと掴みにくさが先に立ってしまいました。
 こいしの一人称自体相当にハードルが高いと思います、無意識で考える存在の一人称と言う自体想像しかねるもので
 イマジナリーコンパニオンとして子供に好かれるという設定も盛り込みつつ、無意識の一人称に挑戦した気概やよしと思いますが、この話で選ぶ意味があったかも含め、成功したとは感じられませんでした。

トロトロ  トロトロ氏

【作品集】168
【タイトル】トロトロ
【書いた人】トロトロ氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338480255&log=168
【あらすじ】
 トロトロトロトロトーロトロ

【評価】★☆☆☆☆
  
【感想】
 文のリズムを楽しむ掌編。超短編はノリに合うかと作中のキャラクターを受け入れられるかが殆どだと思いますので、この幽々子像や文章が癖になる方ならば。

九天蒼路  直江正義氏

【作品集】168
【タイトル】九天蒼路
【書いた人】直江正義氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338515340&log=168
【あらすじ】
 斯くて、氷精は仁による理想の政治を志すに至ったのである

【評価】★☆☆☆☆
  
【感想】
 良く意味がわからなかった話なのですが、中国史や儒教にまつわる元ネタでもあるのでしょうか? 
 元ネタがあるにしてもないにしても、東方の二次創作としてはこれでは唐突で投げっぱなしなだけかと。

妹たちはにこりと笑う  ばかのひ氏

【作品集】168
【タイトル】妹たちはにこりと笑う
【書いた人】ばかのひ氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338522595&log=168
【あらすじ】
 落ち着いたフランちゃんの元に乱入してきたこいしちゃん。君の姿は私に似ていると思っていると――

【評価】★★☆☆☆
  
【感想】
 狂気とは投げ捨てるものなフランちゃんと不思議っ娘こいしちゃんのお話。
 可愛さ全開の会話で見せる前半はまだしも、落ちへ繋がる後半の流れは雑にも思えますが、妹二人の可愛さをアピールすることは出来ているのでそれが好みならば。

深海船長と大空大輪  ねるがる氏

【作品集】168
【タイトル】深海船長と大空大輪
【書いた人】ねるがる氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338560121&log=168
【あらすじ】
 とある島に住む村紗は、ある旅人に出会った。旅人の名は一輪。それは、二人がまだ人間だった頃のお話、そして、初めての友達のお話。

【評価】★★★☆☆
  
【感想】
 もったいない! というのが何よりの印象です。
 「捏造有」とタグにあるように、独自設定による過去話です。そしてこの独自設定による村紗のキャラクターも一輪との関係性は素晴らしく、淡々としつつも胸に来る筆致も素晴らしい。ですが、いかんせんあっさり過ぎます。
 ストーリーも文章も魅力的なのに、出会いと別れ、再会、そして現在をこの分量で書いたためダイジェスト感が拭えず、感情移入しきる前に話が進んでしまいます。
 あとがきで、作者自ら問題点があると書いています。ムラいちの日に合わせたと言うことで時間的制約もあったのでしょうが……語呂合わせの日付なんて無視して、満足行くところまで完成させてから投稿して欲しかったと思いました。
 じっくりと書ききれば間違いなく傑作になれるポテンシャルを秘めている作品と作者だと思いますので、次回作に期待したいと思います。

鳴蟲  夜歩しょうけら削夜氏

【作品集】168
【タイトル】鳴蟲
【書いた人】夜歩しょうけら削夜氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338562664&log=168
【あらすじ】
 私は畠芋子(はたけいもこ)。何の取り柄もない人間である。その私が何故、神隠しの郷に住むと云われる妖怪の賢者を訪ねるのか――(本文より)

【評価】★★★★☆
  
【感想】
 元ネタは未読なので、どういう意味で元ネタとしているのかはわかりません。ただ、この優美とも装飾過多とも言える文体は、泉鏡花を意識しているようには感じられました。
 これはもっと読まれて欲しいと思った作品です。
 ルビを多用したこの文体が横書きに合わないのはわかりますし、オリキャラ一人称。冒頭の霖之助が独特のキャラクターともあれば敬遠されがちなのはわかりますが……
 内容自体はかなり捉えやすい文章だと思います。そして独特の雰囲気が素晴らしい。
 かといって雰囲気だけの作品ではなく、微笑ましさのある小傘やメタなネタで愚痴る霖之助のキャラクターは好みでしたし、最後に捻りのあるストーリーも良質。
 雰囲気の良さと確かな内容を兼ね備えており、ぱっと見の印象に気圧されず読む価値はある作品だと思えました。

今朝何食べた?  ネコロビヤオキ氏

【作品集】168
【タイトル】今朝何食べた?
【書いた人】ネコロビヤオキ氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338564827&log=168
【あらすじ】
「今朝何食べた?」と聞かれても、パルスィには答えることが出来なかった。彼女には食への興味関心という物があまりに薄かったからだ。好きな人に作ってあげれば関心が持てるだろうと言われたけれど、自分の料理を食べてくれる相手がいるのだろうか……と悩む。そんな時に親友のヤマメと出会って――

【評価】★★☆☆☆
  
【感想】
「あまーい」という感じですね。地底組はみんな仲良し、ヤマメは前向きなパルスィの親友というマイルドな世界観を前提にして話は進んでいきます。
 ただ、パルスィは料理を食べさせる相手がいるのか悩む程の交友関係しかない。こいしの心は読めない=心を閉ざしているなどとある割には、実際の

描写がそう見えにくいというのは気になりました。
 それなりのボリュームはありますが、事細かな料理/調理の描写と甘さ描写が中心。前へ前へと進んでいくのではなくて深く掘り下げていく系統の作品。
 劇的な展開があるわけでもないので、料理描写が好き、ヤマメ×パルスィが好き。最低限このどちらかが無いと厳しいとは思いますが、この二点を兼

ね備えた方にはお勧め出来るかと。

紫「牛四頭と鬼を連れて天人の家をたずねるのが夢だったの」  電動ドリル氏

【作品集】168
【タイトル】紫「牛四頭と鬼を連れて天人の家をたずねるのが夢だったの」
【書いた人】電動ドリル氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338586154&log=168
【あらすじ】
 ババア、もとい永遠の美少女紫にストーキングされるてんこ。ご両親公認の仲になったりGNソードを持ったてんこタンク(男)にされたりとジェットコースター的日々を送った先に待つ孕ませとは――

【評価】★★★☆☆
  
【感想】
 タグと前書きで注意されてるようにキャラは大崩壊。苦手な人は苦手な作品でしょう。
 ただ、「好きな奴だけ読め」とは言い切れない誘引力もあります。
 私も読み始めは「ううん……」と渋い表情になりましたが、残念な頭のキャラが紡ぐネタに次ぐネタと天子の突っ込み、胡散臭さを通り越したキャラながらも一途さのある紫に引かれ、気がつけば読み終えていました。
 流石にこのテンションで引っ張るには長く、読み疲れする感もありますが、ここまで好き勝手に書かれれば心地よさもあります。
 前書きに臆せず、序盤だけでも挑戦してみる価値はある作品だと思います

永遠達のデギュスタシオン  ゲイヴルズの怪人氏

【作品集】168
【タイトル】永遠達のデギュスタシオン
【書いた人】ゲイヴルズの怪人氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338598175&log=168
【あらすじ】
 輝夜の持ってきたワインは2008年のシリウス――ボルドー産のワイン――だった。付け加えれば毒入りだ。かといってシルキーな味わいには変わりがなかった。もっとも、輝夜の唇の方がよっぽど――

【評価】★☆☆☆☆
  
【感想】
 リライトとありますが、原作は未読です。
 全体的に何を伝えたいのかはっきりしないな。と感じました。
 表面上は殺伐としつつ、奥底では深く繋がった関係が導く百合を書きたいのかなと思いましたが、そこにワインにまつわるうんちくやファザコン的思いが入れられて、焦点がどこにあるのかなと。
 話の軸がワインにあるのですが、それが要素を上手く繋げているようにも見えにくい。結果、唐突な感じが先立ってしまいます。それは衝動的な感を強める助けにもなってはいるのですが。
 妹紅の父への思い、それと輝夜への愛憎入り交じった感想の背景として、妹紅の父=藤原不比等=車持皇子説があるのでしょうが……有名ではありますが、あくまで二次の推測/考察なので、正直ワインのうんちくよりここをきっちり説明するべきだとも思いました。それが導くこの作品ならではの過去や心情も含めて。

言い方の問題  鈴木々々氏

【作品集】168
【タイトル】言い方の問題
【書いた人】鈴木々々氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338599597&log=168
【あらすじ】
 この所、藍は博麗神社の常連だった。今日も早苗や霊夢と談笑する藍。それをスキマから見つめる紫だけど――

【評価】★★☆☆☆
  
【感想】
 霊夢と早苗が日常を過ごしているのも、それを紫が見ているのも珍しくはないのですが、藍が混じるのは割と珍しいかもしれません。ただ、それを活かしきれなかった感も。
 霊夢と早苗の関係。紫と藍の関係。この二組の関係が描かれていますが、作品を描く上で両者の結びつきが弱いように思えます。他方が別の組に影響を与えている感が弱く、二つの要素が相乗効果の薄いまま平行しているように感じられました。
 どちらかというと紫と藍が中心には見えますが、冒頭と後半が紫と藍。中盤が霊夢と早苗。と焦点がはっきり分けられている構成もあって、全体的に散漫な印象があります。
 ネタはほのぼのとしつつユーモラスな感じで好印象ですので、スポットを当てる対象をどちらか一組に絞りきっていたほうがよかったように私は思いました。

おぜう様が執筆を始めたそうです。  書きたい人氏

【作品集】168
【タイトル】おぜう様が執筆を始めたそうです。
【書いた人】書きたい人氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338609244&log=168
【あらすじ】
 おぜう様が執筆を始めたそうです(タイトルより)

【評価】★☆☆☆☆
  
【感想】
 わかりにくいですね。咲夜さんはそれをちゃんと指摘してあげるべきだとメタ的な感想を抱きます。
 そもそも地の文が三人称と思いきや、恐らく咲夜のであろう一人称が混じったりでは高評価は出来かねます。
 内容にしても二人の過去に何かしらの独特なエピソードがあって、それが作中の二人の関係や心情に繋がっていると思うのですが、イマイチそれが見えてきません。
 最後の「from E.Y.S.M for R.S」も何を指しているのか……R.Sはレミリアとしても、E.Y.S.Mとは? そしてこの一文が何を表したいのか掴めませんでした。

孤高の王は傷付かない  金之助氏

【作品集】168
【タイトル】孤高の王は傷付かない
【書いた人】金之助氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338637074&log=168
【あらすじ】
 また、夢を見た。「お姉様……」もう、何度目だろう。「助けて……」そんな声を聞くのは――

【評価】★★☆☆☆
  
【感想】
 あとがきで示されているテーマはしっかり表現出来ているとは思うのですが……読んだ上で満足感があるかとなれば厳しいですかね。
 話が全く動いてないように思えます。前でも後ろでも、ポジティブでもネガティブでもいいのですが、作品を読み、登場人物に生じた物を見たい、共に味わいたいと思います。
 文章もそれ自体が悪いわけではないのですが、この作品では一つの事を十の言葉で説明しているように感じてしまいます。
 このテーマを描く上でこの終着点を選ぶのはよいと思いますが、そこまでの過程でもっと魅せて欲しいという感想です。

めりー@きゃんぱす  まおう氏

【作品集】168
【タイトル】めりー@きゃんぱす
【書いた人】まおう氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338598175&log=168

【あらすじ】
 古明地教授の後ろに見えた物は「境界」だった。気になって教授のあとを付けるメリー。そして観光旅行に来た幻想郷の面々と出会って――

【評価】★☆☆☆☆

【感想】
 外の世界へと観光にやってきた幻想郷住人とメリーの邂逅を描いた作品。
 東方自体魔界から幻想郷に観光旅行に来る世界観ではありますが、それにしても香霖堂で描かれた紫の行動等を思えば力業過ぎる感が否めません。
 そんな世界観だけに流石に説明はあるのですが、それも一人称の中に急に三人称で直接的な説明が入るなど、作品の中で自然に描けているようにも見えにくく。
 そこまでして幻想郷住人を外の世界に持ち出したわけですが、肝心のメリーとの絡みも浅い物なのが残念。
 秘封と幻想郷住人の絡みというのは二次創作ならではの魅力のある題材です。幻想郷の世界観を思えば絡ませる上で力業になるのはやむをえませんが、だからこそそれを忘れるくらいに気合いを入れて書いて欲しいと思います。

何の小悪魔なのか言ってから発言お願いします  天体観測と月のクレーター氏

【作品集】168
【タイトル】何の小悪魔なのか言ってから発言お願いします
【書いた人】天体観測と月のクレーター氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338660373&log=168

【あらすじ】
 司会の小悪魔です。ただいまより、第8回世界小悪魔サミット始めます。意見のある小悪魔は何の小悪魔なのか言ってから発言お願いします(本文より)

【評価】★★☆☆☆
  
【感想】
 面白く読めましたが、これだけでは足りないとも。
 原作設定が希薄な小悪魔は作者ごとに描き方が別れやすい。それを逆手に取ったメタなネタですが、ネタ自体はそんなに珍しくはないと思います。
 原作とは違った個性が作者ごとに生まれる。この作品だと多重人格的に描いていますが、このようなネタは二次創作やメディアミックスの定番かなと。平行世界の自分会議として描くなど手法は数あれど。
 だからこそ、ネタを使って何を書くかが大事になってくると思うのですが、この作品では分量からわかるようにネタを提示して終わりです。面白いのは確かなのですが、この作品ならではの要素が欲しいと思いました。

なんでもない一日ってのはさ、  月空氏

【作品集】168
【タイトル】なんでもない一日ってのはさ、
【書いた人】月空氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338607793&log=168

【あらすじ】
 我が家が爆発した魔理沙は、霊夢の世話になることにした。二人でお風呂に入ったり、ご飯を食べたり、一緒に寝たり。そんな、なんでもない一日のお話。

【評価】★★★☆☆
  
【感想】
 友情と百合の中間でやや百合寄りだなという作品。
 タイトル通り別になんでもない一日の話です。さしたる山の無い日常を描いた話。
 かといって退屈するでもなくさらりと読み切れるのは書き方の妙だな、と思いました。
 レビューに当たっては初回は何も考えずに読み、二回目以降は精読しているのですが、じっくり読むと魔理沙の一人称と魔理沙寄り三人称がコロコロ変わる視点が気になると言えばなるかもしれません。
 ただ、それ以上に掛け合いや表現のテンポが良いと思います。二人が食べている素麺のようにするすると入ってくる。
 緩い日常をしっかり読み切らせる作品ですので、そんなほのぼのを求めている方にはお勧め出来るでしょう。

らしくないことをしてみた  たぬきつねこ 氏
霊夢を案じる慧音の造形が独特の作品です。

【作品集】168 【タイトル】らしくないことをしてみた  【書いた人】 たぬきつねこ 氏
【URL】 ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338662850&log=168
【長さ】☆☆ (14KB 短編)
【あらすじ】
 それでも参拝客に来てほしいというのなら、暇を見つけては人里に来てみる事だな。
 顔を見せるだけでも大分違うものになるはずだ
(本編より抜粋)

【評価】★☆☆☆☆

【感想】
 霊夢を案じる慧音の造形が独特の作品です。自然、妖怪側ではなく人里側から捉える霊夢も独自な物となっています。
 ただそれ自体はいいものの、たぬきつねこ氏の中にある幻想郷の世界観を伝える技術をもっと磨いてもらいたいとも感じます。
 慧音の霊夢に対する親愛の情を見たい方にはお勧めできます。
 新人とのことで更に腕を鍛えてもらいたいでしょう。今後に期待したいところです。

世話焼き慧音先生が霊夢の世話を焼こうとする話。

【作品集】168
【タイトル】らしくないことをしてみた
【書いた人】たぬきつねこ氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338662850&log=168

【あらすじ】
 今日も今日とて妖怪がたむろする博麗神社であった。妖怪がいるとあっては留守にも出来ない。布教もままならないのでは参拝客が来ないのも当然であった。
 ならば他人に留守を預ければいいと慧音はいうけれど霊夢は他人には頼りたがず――
 
【評価】★★☆☆☆
  
【感想】
 世話焼き慧音先生が霊夢の世話を焼こうとする話。違和感は人それぞれかもしれませんが、少なくとも不快さのあるキャラクターではありませんし、タグとタイトルに構える必要は無いかと。
 そんなキャラクターは好きなのですが、プロローグですかね。キャラクター自体は魅力的なだけに惜しさを感じました。
 他人を頼りたがらない霊夢も世話焼き慧音も良い感じなのですが、慧音の考えに浅さ、というか作者の結論ありきな感じを受けます。後半が地の文の説明で押すだけな構成もあって。
 作中で具体的に何かが解決するわけでは無い事も残念。これからに期待できる展開だけに、もっと深く、先まで描けたと思いますし、そこまで期待したくなる作品でもありました。

幽霊包子なんよ  ゲイヴルズの怪人氏

【作品集】168
【タイトル】幽霊包子なんよ
【書いた人】ゲイヴルズの怪人氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338687130&log=168

【あらすじ】
 芳香の作る包子は実に美味であった。どれだけ美味かと言えば口からビームが出るほどである(比喩的な意味ではなく)
 これはビジネスチャンスだと飲食店を開業した神霊廟。店は大繁盛だったけれど、過労で芳香が倒れて――
 
【評価】★★★☆☆

【感想】
 氏の前作同様、こちらも原作は未読です。個人的には大ヒット。
 シュールなギャグ作品。そして徹頭徹尾淡々としています。「料理のさしすせそは?」→「砂糖醤油・醤油・酢醤油・せうゆ・ソイソース」のようなネタでも突っ込みや派手な反応は一切無し。
 表現にも斜め上ながら見事な発想力があり、文章でも魅せてくれる作品です。
 良くも悪くも「わけがわからない」作品ゆえに好みは別れると思いますが、ツボにはまれば破壊力は大きい作品ですので、試しに冒頭だけでも目を通してみる価値はあると思います。

Destructive Princess  RingGing氏

【作品集】168
【タイトル】Destructive Princess
【書いた人】RingGing氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338720458&log=168

【あらすじ】
「輝夜を殺すのは、気持ちが良いんだ」という妹紅が運んできたのは、グロテスクな輝夜の死体だった。その時の鈴仙には妹紅の考えが理解できないと思った。
 彼女は蓬莱人で、鈴仙は死を逃れられない存在だからだ。だが、生と死について考える内に次第に鈴仙には狂気じみた思いが生まれ、輝夜を壊し――

 
【評価】★★☆☆☆

【感想】
 こちらも原作は未読。
 グロ注意とありますが、必然性が感じられるので不快感はありません。
 ただ、コメントにもありましたが「読みにくい」と私も感じました。何故かと言えば、話が掴みにくいという事が原因でしょうか。テーマ無いし話の根底はなんだろう? と、再読時にも、あらすじを書くときにも考えていました。
 最終的には「いくらでも再生できる存在である蓬莱人」「壊れてしまえば治らない人間(兎)の鈴仙」の対比と解釈しましたが、殺し合う妹紅と輝夜の関係や、逃亡者である鈴仙、作中で「悪人」と称される永琳と、どのキャラクターにも重く、深いであろう要素が見えます。
 
 あとがきには「説明過多かもしれない」とありましたが、むしろ説明不足に思えました。一つ一つの描写は確かにそうかもしれませんが、その源であるキャラクターの造形、あるいは作者の考えを説明し切れていないように思えます。
 一人称ゆえ、狂気を孕んだ鈴仙の主観で語られることも掴みにくさの一因でしょうか。
 一つ一つの要素は魅力的だと思うのですが、一つの作品として見た場合取捨選択する余地はあったと思います。

バカ天才ボン  久々氏

【作品集】168
【タイトル】バカ天才ボン
【書いた人】久々氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338721313&log=168

【あらすじ】

もぐもぐと一時間三十七分に渡ってスルメをかみ続けていた永琳の元に客人が訪れた。チルノだ。天才の頭脳を持ってしても天真爛漫な妖精の考えは掴めない。チルノが凍らせたいと願うものも、永琳には想像も出来ないもので――

【評価】★★★☆☆

【感想】
 永琳とチルノ。対極にある二人がユーモラスに、正反対ゆえの相性のよさを持って描かれています。
 日常を描いたほのぼのとした作品。コミカルな文章で描かれる二人の関係と掛け合いが魅力的です。
 チルノらしい規格外の発想に、目を引く冒頭にちょっといい話な落ちがあり、ほのぼの短編ながら確かな満足感がありました。
 派手さはありませんが、安心して読める一作ですね。

お注射こわい  SARAyear氏

【作品集】168
【タイトル】お注射こわい
【書いた人】SARAyear氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338727344&log=168

【あらすじ】
 手紙を見た空は青ざめた。さとりのサインが記された手紙には、「予防接種のお知らせ」が収められていたのだ。あのアルマゲドン的激痛になど耐えられないとは思うけれど、主の命となればやむをえない。お燐になだめすかせられつつ病院へと向かい――

【評価】★★★★☆

【感想】
 良作ですね。落ちで勝負の作品ですが、ラストまで引っ張る力、引き立たせる力。共に見事です。この系統の作品の見本のような出来。作者の意図したことは十二分に達成されています。
 長々と語っては魅力をスポイルしてしまう作品ですのでこれ以上書く事はありませんが、お勧め出来る一作です。

新聞の描き方を忘れた天狗の話  clo0001氏

【作品集】168
【タイトル】新聞の描き方を忘れた天狗の話
【書いた人】clo0001氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338727444&log=168

【あらすじ】
 射命丸は新聞の書き方を忘れてしまっていた。恋人のチルノと遊び耽っていた事が原因のようだ。これはまずいと思ったはたては新聞の書き方を指導するけれど――
 
【評価】★★☆☆☆

【感想】
 文チルタグですが、チルノは登場しないので、惚気る射命丸を見て楽しむ作品でしょう。
 キャラクターにやや表面的な感じを受けました。射命丸はチルノにベタぼれ。はたては天狗社会の風潮を疎んでいて情がある。
 このようなキャラクターなのはわかりますが、その裏にあり、生み出している背景や性格などが上手く見えて来ません。作品以前に確立している前提としてあるだけで、作中で具体性と共に示せていないと感じました。
 チルノと射命丸は恋人だという独自設定を結論から示さないといけない作品ですから、キャラクターの描き方にはもっと拘って欲しかったと思います。
 惚気る射命丸は可愛い、という見せ所がはっきりしている作品ですので、そんな射命丸が好きな方にはお勧め出来る作品でしょう。

ヒップも志を奪うべからず  司馬漬け氏

【作品集】168
【タイトル】ヒップも志を奪うべからず
【書いた人】司馬漬け氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338728701&log=168

【あらすじ】
 緊張と恥じらい、若々しい肉のうねりによってお尻がぽよよんと動く瞬間。そこにこそ悟りへの道が開けるのである。
 そう信じる白蓮の元に、紫が訪れた。天子を預かって欲しいとのことだ。紫は、天使の写真を手渡した。その時白蓮に電流走る。天子はまさに天使であった。桃のような尻を持つ彼女は――
 
【評価】★★★★☆

【感想】
 尻ですね。タイトルもタグも、もちろん内容も。禅定とはなんだったのかと言うほどの白蓮の暴走が見所です。
 下ネタと言えば下ネタなのですが、下品さを感じる事もなく、この壊れた白蓮を自然に受け入れてしまう謎の説得力があります。それだけ白蓮のキャラクターが立っていますね。描き方が巧みだと実感できます。
 白蓮に対しての天子のキャラクターも良く、テンポとコミカルさを併せ持った文章がするすると入ってきて、あっという間に読み終えては良い意味で「馬鹿だなあ」と感じました。
 お勧めしたい一作です。非常に読みやすい作品でもありますので。

料理を変える魔法の言葉  天井桟敷氏

【作品集】168
【タイトル】料理を変える魔法の言葉
【書いた人】天井桟敷氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338730059&log=168

【あらすじ】
 幻想郷に外来人が迷い込んできた。幸い神社に辿り着くことは出来たのだが、あいにく霊夢は留守だった。間欠泉を止めるべく地底に赴いており、いつ戻るかもわからない。
 下界へと帰るまでの生活費を稼ぐべく、外来人は人里でお菓子教室を開く。そこに生徒として鈴仙がやってきて――
 
【評価】★☆☆☆☆

【感想】
 出だしからちぐはぐな感じを受けてしまいました。
 お菓子教室が生業となる(しかも抽選で当たらねば参加できないほどの盛況)世界なのに、半月分の食料を里で手分けして出すことは厳しいというのは違和感を覚えます。
 あとがきや裕福な永遠亭の描写を見るに、これにも意味があるのかもしれませんが……意図があるにしても無いにしても、あまり上手い表現方法ではないかなと。不自然さが先立ってしまいます。

 構成としても、前半は尺に対して伝えたい内容が殆ど見えて来ません。鈴仙によった視点もあって、オリキャラのパーソナリティーを把握することすらままなりませんでした。
 後半では全てを知っている紫とオリキャラの問答になりますが、話の軸にあるオリキャラを理解できていないままでは、思わせぶりな会話以上の事は掴めません。
 ラストも、解釈の余地があるというより解釈の材料が無いラストだという印象です。

魔王  和氏氏

【作品集】168
【タイトル】魔王
【書いた人】和氏氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338728701&log=168

【あらすじ】
 幽香が「魔王」と呼ばれていた頃の話。彼女は「王都」との争いに明け暮れていた。魔物達と共に、「自然域」にあだなす「害」を殺し続ける日々、そんな中で、幽香はある王女と出会い――

 
【評価】★☆☆☆☆

【感想】
 読みにくいと感じました。

舞台設定からして非常にオリジナル要素が強い作品です。しかしそのオリジナルの世界観がまずどのようなものかわかりません。舞台となる「王都」の絵からして全く絵が浮かびませんでした。

 文章にしても一緒くたにして「害」や「魔物」と呼ばれるモブキャラが多数。にも関わらず地の文で説明されるのがほぼ幽香の思考のみ、セリフ中心で進める形式では誰が何をしているのかすら理解しがたく。
 「おい。新しい魔物の誕生だぞ」から始まる回想場面に至っては、ここに何人の人物がいるのかすらわかりません……
 自然破壊への警鐘といった思いは強く伝わってきます。作品全てが比喩なのでしょう。ただ、物語が理解できないのではテーマ以前だと思ってしまいました。

森近霖之助と美須麻流珠  和氏氏

【作品集】168
【タイトル】森近霖之助と美須麻流珠
【書いた人】和氏氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338728701&log=168

【あらすじ】
 香霖堂にやってきた魔理沙。アリスに連戦連勝と会って彼女は浮かれ気分だった。霊夢達を呼び宴会を開くほどに上機嫌である。
 翌日、霖之助はある道具を拾ってきた。それは「美須麻流珠」の欠片。神速の勝利を約束してくれる道具、つまり神速のレーザーを放てる道具だ。「美須麻流珠」と共に、浮かれ気分の魔理沙を止めるべく霖之助は決闘に望む――
 
【評価】★☆☆☆☆

【感想】
 読む前は「美須麻流珠」はオリキャラとでも思っていたのですが、調べたところ古事記に記された勾玉の異称のようです。原作に登場した草薙の剣と繋がりますし、それを用いて決闘に挑む霖之助。
 発想は素晴らしいと思うのですが、こちらもやはり読みにくいというのが先立ってしまいました。
 霖之助、あるいは香霖堂の魅力は、彼の斜め上の発想と、論理的なトンデモ思考だと思います。その点では十分なものがあるのですが、それを魅力に繋げきれていないとも。
 原作においては、魔理沙や霊夢に対しての解説、その中にある「たとえ話」が有効に機能していて、霖之助のキャラクターを引き立てると共に、読者が理解できるようになっているのでしょうが
 この作品のように「つまり。紅とは超能力発現+超能力発現 >> 超能力+超能力 >> 超えるを超えるはこえるをこえるは超越 >> 超越能力」等と霖之助の思考をそのまま流されるだけでは厳しいですね。

宵闇閑話  Mongreldog氏

【作品集】168
【タイトル】宵闇閑話
【書いた人】Mongreldog氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338745346&log=168

【あらすじ】
 ある雨の日の事、ルーミアは少年に出会った。彼を見て、「あなたは食べてはだめな人類ね」とひとりごちるルーミア。そして、彼女はかつて食らった人間の事を思い出す――
 
 
【評価】★★☆☆☆

【感想】
 個人的には好きな作品でした。二度目は冒頭から涙腺にくるものが。
 ただ、片手落ちの感があります。オリキャラの男にしてもストーリーにしても素晴らしいものがあると思いましたが、肝心のルーミアの書き方が不足しているように思えます。
 ルーミアは一般的には「頭が残念な感じ」と思われている。そんな事はないと独自のルーミア像を造った。それはいいのですが、私の中では原作のルーミアと、この作品における輪廻を説くルーミアが上手く繋がりません。原作においては、特にそのような事への関心や知識があるとは示されていませんから。
 このルーミア自体は好きなのですが、キャラクターに説得力や背景が感じられなかったのが残念でした。現在→過去→現在→過去→現在の構成もこの分量では落ち着かない印象があります。
 ストーリーとキャラクターは素晴らしいので、書き込みがもっとあればと惜しさを感じた作品でした。

手紙のこころ  あやめ氏
終わった世界に住むこいしの元に、一枚の手紙が届いていた。

【作品集】168
【タイトル】手紙のこころ
【書いた人】あやめ氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338791200&log=168

【あらすじ】
 終わった世界に住むこいしの元に、一枚の手紙が届いていた。姉からの物だ。消印の無い、どうやって届いたのかもわからない手紙。そして、外界へ旅立った妹の帰りを待ちわびる手紙。
 読み終えて、胸にぽっかりと穴が空いたかのような気持ちになったこいし。そして、一人の少女と出会い――
 
【評価】★★★☆☆

【感想】
 雰囲気の表現が見事だと思います。こいしと、その心を示すかのような退廃した世界が短いながらも印象深く切り取られており、読んだあとの余韻は趣深いものでした。
 ストーリーで魅せるという作品ではなく、地味と言う面もありますが、作品に流れる寂寥とした空気には確かに引きつけられるものが有ります。
 私の表現力ではこの作品の色合いを表現出来かねるので、是非目を通していただきたい作品だと思いました。

退廃的な空気とこいしちゃんがうまくマッチしていているように思えます。

【作品集】168
【タイトル】手紙のこころ
【書いた人】あやめ氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338791200&log=168

【評価】★★☆☆☆
【あらすじ】
世界は終わった。現世は壊れたビルが立ち並び、人々は皆ホームレスのように、飢えをしのいで生活をしている。
そこに、こいしはいた。

【感想】
 初投稿、にしては特殊な設定で小綺麗にまとまっているように感じられました。
 退廃的な空気とこいしちゃんがうまくマッチしていているように思えます。
 世界感とこいしちゃんを合わせて、空虚な感じ、なんとも言えない喪失感を得ることができます。
 ただ、考えようによってはかなり生意気なこいしちゃんが生意気なまま終わっているように見えてしまいました(ちょっと穿っているかも)。
 心情に強い変化もしなければ、ちょっと不自然なところがあっても親切な解説なんてない。
 こういった要素が良い意味でも悪い意味でも、物寂しさプラスワンという印象でした。
 音楽で例えるとsus4を鳴らしたまま演奏者が倒れたような感じです。わかりにくいでしょう。ほら空虚でしょう。

美しい調べは恋の糧。続けてくれ、その歌を。  怪力線氏

【作品集】168
【タイトル】美しい調べは恋の糧。続けてくれ、その歌を。
【書いた人】怪力線氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338803417&log=168

【あらすじ】
 輝夜に恋い焦がれる永琳は惚れ薬を作ったのだが、あいにく蓬莱人に薬は効かない。そこで魅了の魔法を教わるべく魔理沙を攫ってきた。
 魔理沙もまた同様の悩みを抱えていた。アリスに恋をしていたけれど、魔法使いに魅了の魔法をかけようとしてもすぐに露見してしまう。そこで、二人は互いの技術を交換し、お互いの恋を成就させるべく惚れさせに向かう――

【評価】★☆☆☆☆

【感想】
 魔理沙はアリスの何処に魅力を感じているのか、永琳は輝夜のどこに魅力を感じているのか、と言う点が見えて来ませんでした。「何故好きになったのか」はわかりますし、他の作品を読んだ経験による一般論を当てはめれば理解することは出来ますが。
 百合タグを付けて恋愛をネタにするなら、そこがしっかり伝わってこないと、この落ちを前提に読み返しても薄く感じてしまいます。
 作者なりのそれがあるからこそ、同じカップリングがいくらあろうとも、作品独自の魅力と感情移入する要素が生まれて、飽きずに読める物となると思いますので。
 構成としても、永琳と魔理沙の掛け合いは協力と言うより単なる技術交換に留まっているように見えます。そうすると魅力は感じにくく、落ちもとってつけた感の方が強くなってしまいました。

パチェリーとレミリアの一日  シグ氏

【作品集】168
【タイトル】パチェリーとレミリアの一日
【書いた人】シグ氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338816662&log=168

【あらすじ】
 退屈だったレミリアはパチュリーを引き連れ博麗神社に向かうのであった。

【評価】★☆☆☆☆

【感想】 
 人名を間違えただけで評価を下げはしませんが……流石にこれでは文章の時点で辛い評価になってしまいます。
 校正不足以前に、説明と心情と行動が取捨選択のないまま羅列されているようにしか見えません。内容に関してもレミリアとパチュリーが博麗神社に向かい、煎餅を食べたという事実がある以上はないと感じました。

ドヤァえもん  ハリー氏

【作品集】168
【タイトル】ドヤァえもん
【書いた人】ハリー氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338822971&log=168

【あらすじ】
 各地に乱入する布都が珍騒動を巻き起こす。

【評価】★☆☆☆☆

【感想】 
 あらすじが非常に端的になりましたが、布都を主役にした小エピソードによるオムニバス形式の作品です。
 ネタ自体は好きな物もあったのですが、全体として脈絡がなさ過ぎるかなと。ネタ、というか言い回しにパロディが多いのですが、それに頼りすぎていて流れや舞台でネタを強めるには足らないと感じました。おかしな状況を思わず受け入れてしまう力が。
 ─紅魔館、図書館にて─の下りはパチュリーと誰が話しているのかもわかりません。小悪魔か妖精メイドか、それとも咲夜なのか。絵を想像できないのではネタ以前とも思ってしまいます。

いけ好かないあいつ  海苔缶氏

【作品集】168
【タイトル】いけ好かないあいつ
【書いた人】海苔缶氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338827387&log=168

【あらすじ】
 いけすかない白蓮を困らせてやりたい、と思う神子。そんな時、命蓮寺が聖輦船による日帰り魔界ツアーを開くという話を聞いた。「宝船から生臭坊主を突き落とそう」という青娥の薦めに応じて、聖輦船に乗り組む神子達。
 しかし、口先では青娥に合わせていても、いざ突き落とさんとすると躊躇してしまう。迷っている間に床が抜け、白蓮と神子は魔界へと落ちていく――

【評価】★★★☆☆

【感想】 
 前半部はややだれ気味かもしれません。「白蓮を魔界にたたき落とす」という目的はあれども、神子にその気がないため、ぐだぐだした感が。神子が白蓮を疎んでいるのはわかりますが、それもくどいかなと。
 冒頭に山場を提示→回想→山場に戻ると言う構成は、書き出しのインパクトはありますが、同時に先が気になる、という魅力を奪う諸刃の剣でもあります。そのハンデを補うだけの魅力には欠けるとは正直感じました。
 一方、回想終了からの後半部は魅力的です。一筋縄ではいかず、ずれた魅力も持った白蓮。白蓮との会話を通して神子も活きてくる感がありますし、「いけすかない」という感情が、作品を通してしっかり変わっていくことには読後の満足感があります。
 キャラクターの造形にしても、ストーリーにしても魅力的。所々の軽いネタもいいスパイスになっているのですが、後半部まで読みたくなる訴求力が弱い点と、全体的に説明が直接的過ぎるように見えるのが惜しい所でしょうか。
 作品の根底であるキャラクターもストーリーも良質ですので、今後に期待したい作者だと思いました。

ヒトリゴト  書きたい人氏

【作品集】168
【タイトル】ヒトリゴト
【書いた人】書きたい人氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338886604&log=168

【あらすじ】
 フランドールの独り言。

【評価】★★☆☆☆

【感想】 
 独白体のSS、というよりは詩と呼んだ方がよいのでしょうか。ストーリーやネタがどうこう、と言う作品ではなく、文章で楽しむ作品だと思います
 個人的には好きな作品ではあるのですが、荒い作りという感想にもなります。まず、語呂が良くないのが難だと。
 詩的な形式で、フランドールの独り言という設定もあるなら、そこが第一に気を使う点だと思います。散文で表現するのは実に難しい。だから詩には定型があると言うのもわかりますが、文章で勝負となればそれを求めてしまうのも確かです。表現にしても、特別に表現でアピールするには足らないでしょうか。
 ただ、このフランドールにしても作品にしても、独自の魅力はあります。それを感じる事も出来ました。

Roots  深山咲氏

【作品集】168
【タイトル】Roots
【書いた人】深山咲氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338887407&log=168

【あらすじ】
 ドアの向こうには、幾つもの異世界と紅魔館が待っていた。留まることは出来ても、戻ることは出来ない異世界を渡り歩く咲夜。そして、咲夜は己の……いや、レミリア以外が存在しない紅魔館に訪れた。
 一人きりのレミリアを見て、放っておけないと咲夜は思うが――
 

【評価】★★★☆☆

【感想】 
 咲夜の心情が巧みに描かれていると思いました。単にレミリアを慕っていると結論を示すだけではなく、そこに至るまでをしっかりとくみ取る事が出来ます。言葉と表現を尽くす文章も功を奏しているのでしょう。
 内容に関してはあっさりした、やや物足りない感もありますが、コメント返信を見るに不必要なものはばっさりと切り捨てているのでしょうし、主題である咲夜とレミリアの関係、思いに関してはしっかりと描かれて、伝わってくる作品でした。

復讐/ボタンの秘密/珍味な旅  EUROPE氏

【作品集】168
【タイトル】復讐/ボタンの秘密/珍味な旅
【書いた人】EUROPE氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338905198&log=168

【あらすじ】
「復讐」
 フランドールは今までに四度、その腕を失っていた。もっとも、少し間をおけば回復する吸血鬼にとっては大きな問題ではなかった。たった一つを除けば出来ないことなど無いのだ、しかし、五度目に腕を失い――

「ボタンの秘密」
 ある妖精メイドは、紅魔館のマスターキーを受け取った。咲夜に信頼された証だ。喜びから職務に励むのだが、どうしても気になることがある。「絶対に押すな」と咲夜に念押しされたボタンの事だ。それが頭から離れず、好奇心から押してしまい――

「珍味な旅」
 幽々子と桜を見るかと白玉楼に訪れた紫。だが、彼女の目に映ったのはさめざめと無く妖夢と、満開になった西行妖だった。当然、幽々子の姿も見えない。それでも現実を認めがたいままに幽々子を捜し歩く紫だが――

【評価】
「復讐」★★★★☆
「ボタンの秘密」★★★☆☆
「珍味な旅」★★☆☆☆

【感想】
「復讐」
 三作の中でもっともショートショートらしいと思いました。分量も千数百字という短さですが、目を引く冒頭、ラストの切れ味、引き込まれる語り口、東方のキャラクターを活かした背景と見事な一作。お勧めしたい作品です。

「ボタンの秘密」
「押すなよ! 絶対に押すなよ!」というボタンの話。ネタがネタなので驚きには欠けますが、その先にもしっかりと見所や描かれている作品です。

「珍味な旅」
 アイデアないし謎を提示しようと言う意識が先行しすぎているのか、キャラクターに不自然さを感じてしまいました。種明かしにしても唐突に設定を説明されているような感が。
 実在する民話から取られたネタ自体は面白いと思うのですが、作品と形式に上手く噛み合っていない印象が有ります。

迷子の鳥  シグ氏

【作品集】168
【タイトル】迷子の鳥
【書いた人】シグ氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338921225&log=168

【あらすじ】
 四季映姫の元に、小町が空を連れてきた。どうやら迷子になり、三途の河の畔へ迷い込んだらしい。二人は空を地霊殿まで連れて行くことにした。

【評価】★☆☆☆☆

【感想】 
 点と点だけで描かれる構成と、自己紹介から始まる説明的な文章が相まって、物語ではなく構想を説明されているように見えてしまいました。空を連れて行く話なのに道中で影も形も見えないのもどうかと。
 それと、原作を知っているのかに疑いを持つほど、原作と反する描写が多い(各所の位置関係。空を飛べない映姫と小町。三途の河を平然と生者が越える世界観など)のも難です。
 必然性と説得力の下に、原作を壊すのは二次創作の醍醐味ではありますが…… 

100 million miles  サブレ揚げ氏

【作品集】168
【タイトル】100 million miles
【書いた人】サブレ揚げ氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338925082&log=168

【あらすじ】
 最後のオペレーション更新から79万時間2002秒が経過。修理用資材はとうに底をついていたが、「飛び続けること」という第一の使命に従い、R-12――レイヴンカイト級空中空母――は何処ともわからぬ場所を飛び続けていた。そして、R-12は天子と出会う――

【評価】★★★★☆

【感想】
 オリキャラが主人公にこの冒頭とあって、取っつきにくさもありますが、それが生み出す味と魅力はそれ以上のものです。
 自立意志を持つ機械と人の交流。SFでは定番のテーマかもしれませんが、ありがちなSFではなく、良質の東方の二次創作と思えるだけの幻想郷観と魅力的な天子のキャラクターがあります。
 オリキャラのキャラクターや彼女に纏わる背景も、作品で語られぬ点まで想像したくなる魅力が感じられました。

 個人的に惜しいのは、未来兵器であるオリキャラのスペックについて細かく描かれ、天子とのバトルが山場の構成にもかかわらず、バトルシーンがほぼカットされている事でしょうか。私の場合、そこで物足りなくも思えてしまいました。
 ですが、そこは本筋を描く上でどうしてもという必然性は無いのでしょう。作者独自の味を持った世界で魅力的なキャラクターが描くテーマには影響はありません。
 オリジナルな要素と幻想郷が互いを引き立てる、素晴らしい作品でした。

メイドは熱い紅茶を淹れる。  俺式氏

【作品集】168
【タイトル】メイドは熱い紅茶を淹れる。
【書いた人】俺式氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338947205&log=168

【あらすじ】
 珍しいお茶が手に入ったと美鈴に紅茶を振る舞う咲夜。相変わらず美味だった。どんなコツがあれば美味しく入れられるのか問いかける美鈴、すると「やっぱり愛情かしら」と咲夜は答える――

【評価】★★☆☆☆

【感想】
 思いや関係が最初から――語るまでもないこととして――確立していて、作中で何かが生まれると言うよりはそれを確認するという作品だと思います。
 めーさくが読みたいんだ。という声には十分応えてくれる作品でしょう。後半部の二人の描き方には魅力が有ります。
 逆に、興味ない読者でもめーさくいいね、と言わせるには物足りない、あるいは感情移入させるだけの起伏や背景の描き方が足りないとも感じました。「好き」という事はわかりますし、その上での描写は可愛らしくは描けているのですが、それを生み出す素が見えて来にくいというのでしょうか。

夜の墓場の大変態  久々氏

【作品集】168
【タイトル】夜の墓場の大変態
【書いた人】久々氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338993102&log=168

【あらすじ】
 誰かを驚かせようと潜む小傘だが、夜の墓場に訪れる人間などそうそういない。暇を持てあましているとリリーホワイトが現れた。この際妖精でもと思い驚かせたのだが、予想以上のハイテンションで怖がるリリーホワイトに振り回される――

【評価】★★☆☆☆

【感想】
 珍しい書かれ方をしているリリーホワイトが見所でしょうか。あとがきに「疾走感」をテーマにしたとあり、リリーホワイトと小傘の掛け合いがコミカルに、テンポ良く描かれています。
 ただ、ある程度は意図的なのでしょうが、思った事や行動を逐一口に出しているような書き方が個人的に引っかかったかもしれません。ややぎこちなく見えて。
 展開も弾みは上手く付けられたと思うのですが、ラストがとってつけたようで、安くまとめてしまったように感じました。

白狼天狗は空に焦がれる  あおみす氏

【作品集】168
【タイトル】白狼天狗は空に焦がれる
【書いた人】あおみす氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1339047673&log=168

【あらすじ】

 椛は、生来飛ぶ力を持っていなかった。もっとも、それを補ってあまりある脚力のおかげで、天狗としての実務をこなす上での不都合は無かった。

 しかし、守矢の出現騒動にあたっての人間との邂逅、優雅に空を飛び回る様を見て、椛の心には空を飛びたいという思いがくすぶり始める。椛は空を飛ぶ方法を探すべく幻想郷を回るが――
 
【評価】★★★☆☆

【感想】
 空を飛べなくなったではなく、元から飛べないというのは珍しい設定かもしれません。そんな設定が有効に機能しており、タイトル通り空への憧れを感じさせてくれる作品です。
 椛にキャラクターに関しては原作での描写が非常に少ないだけに、作者ごとの個性が表れる点ではありますが、無骨な感じの椛は上手く作品にはまっていたと感じました。
 コメントにある魔理沙の心情が掴みにくい、と言う点は私も感じたところで、特に後半でストーリーを進めることを優先しすぎて、あっさり感が強いとも思えますが、ユニークな設定を上手く物語に出来た作品だと感じました。

献血  arca氏

【作品集】168
【タイトル】献血
【書いた人】arca氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1339057647&log=168

【あらすじ】
 レミリアが出血多量で倒れていた。驚きながらもなんとかせねばと思うフランドールである。
 
【評価】★★☆☆☆

【感想】
 シュールな雰囲気とリズムを楽しむ作品でしょう。本来あらすじも不要、開いて読む以外この作品の味は感じられないという所で。
 文字媒体ならではの強みを活かしたシュールな表現や展開には味があります。一方、この雰囲気に入り込めないと掴みにくく、くどさを感じるだけともなるかもしれません。
 長所と短所が一体になっている作品では有りますが、それだけに独自の魅力はあります。

月都バッカーズ  平安座氏

【作品集】168
【タイトル】月都バッカーズ
【書いた人】平安座氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1339081102&log=168

【あらすじ】
 毎朝ジョギングで静かの海を三周することが、綿月姉妹の日課であった。二週目を終えたところで月夜見に呼び出され、二人はジャージ姿のまま宮殿に出向く。永琳探索の進捗状況はいかに、と問うオッサン――月夜見――であるが、もとより探す気など無い二人は――
 
【評価】★★★☆☆

【感想】
 月夜見タグとは珍しい。原作では名前のみなキャラクターであるので、作者の個性が強く表れるのでしょうが、この作品ではオッサンです。となれば当然のようにギャグ作品でした。
 パロネタやメタネタが、ハイテンションな突っ込みと共にテンポ良く投入されていきます。綿月姉妹の書き方も含めて、ハイテンションなギャグらしく人を選ぶ面もあるでしょうが、個人的には非常に楽しく読めました。

夜天の異変  ユウカ 氏

【作品集】168
【タイトル】夜天の異変   【書いた人】ユウカ 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1338724191&log=168
【感想】
『混沌の称号者』ユウカ、『秩序の称号者』ナティ
と、かすっただけで目眩がしやがる作品