作品集179

Last-modified: 2014-06-07 (土) 00:30:46
バイオの宮古さん  うぶわらい 氏
秘封倶楽部の大学には不思議な学生の噂がある。

【作品集】179 【タイトル】バイオの宮古さん
【書いた人】うぶわらい 氏  【長さ】★ (15KB 短編)
【URL】 ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/179/1359420229
【あらすじ】
 秘封倶楽部の大学には不思議な学生の噂がある。
 バイオの宮古さんといわれるその学生は、
 膝を曲げた姿を見たことがなく、物凄い食いしん坊で、
 非常に力持ちな、分子生物学講座の院生だという。
【感想】
 秘封倶楽部のとある不思議な体験の話。
 学部や学科の入り乱れる総合大学だと、
 隣の学部じゃ何を扱っているのかわからないということもしばしば。
 それでいて、施設が分散しているために建物間を移動することもしばしば。
 研究室に配属されると、それが日課になることもしばしば。
 その結果、よく分からない建物に出入りする謎の学生の噂というものが誕生します。
 秘封倶楽部のやり取りに、大学1・2年生の頃を思い出し、
 淡々と種明かしをする宮古さんに研究室通いな今の自分を重ねてしまいました。
 すっかり日課な、袋にぎっしり詰まった潰したシャーレを捨てている姿も、
 知らない人から見たら異様な光景なんだろうなぁ……。
【総合評価】   ★★★☆☆ (大学らしい一コマを描いた作品)

冒頭の日常に入り込むちょっとした不思議から、終盤への段々と深いところへ持っていく展開は、実際世にも奇妙な物語めいている。

【作品集】179
【タイトル】バイオの宮古さん 【書いた人】うぶわらい氏
【分類タグ】宇佐見蓮子 マエリベリー・ハーン メリー 秘封倶楽部 宮古芳香 縦書き推奨
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/179/1359420229
【POINT】10360 (2014/05/24時点) 【容量】14.88KB
【あらすじ&感想】
 ドーモ、ミナ=サン。イチドクシャです。
 今回は、書くものが名文なのはチャメシ・インシデントだと名高いウブワライ=サンのSSを紹介させていただきます。ガンバルゾー!
 冒頭の日常に入り込むちょっとした不思議から、終盤への段々と深いところへ持っていく展開は、実際世にも奇妙な物語めいている。
 原作を知っている我々からすると、秘封倶楽部の前に宮古芳香が登場するのは驚きで、アイエエエエ!キョンシー!キョンシーナンデ!?と読み進めたい気持ちを書きたてる。ワザマエ!
 蓮子とメリーは、大学で噂の奇人・宮古の秘密を探ろうと、荷運びにかこつけて宮古の行く先についていくのだが、何と宮古は山へ登っていくのだった。ついていくしかない二人。カラダニキヲツケテネ!

>「蓮子、今のうちに見て。このくつ新しく買ったの」

 この洒落た言い回し。ポエット!
 一方で、

>「知りたいか? 何でも知りたいか? 隠してもか? 言わなくてもか? 見えない場所で焼いてもか? 中身が何でもか? 隠れてるのに知りたいのか? 中身が何か知らないのに中身が何か知りたいのか? それが知りたいのか? おかしいな? それでも知りたいか? どうしても知りたいのか?」

 この言い回しには狂気を覚えさせ、自分などは静かに失禁していた。ブッダシット!
 そのようにホラーな展開だと思わせながら、ラストには寂寥感がショッギョムッジョと漂う。現代医学の研究・実験の問題にも通じるものがある。実際奥ゆかしい。
 短編であるので、一読してみてはいかがだろうか。
 ……何、レビューを読んでも、面白そうに思えない?
 ハイクを詠め。カイシャクしてやる。

クリスマスだよ、マミゾウさん  筒教信者氏

【作品集】179

【タイトル】クリスマスだよ、マミゾウさん   【書いた人】筒教信者氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/179/1359731951
【あらすじ&感想】マミゾウが受けたインタビューが元でプレゼント交換が計画されるが…(28.71KB)

  1. ++
    古参の一人で最近マミゾウのほのぼの物シリーズを続けている氏の新作。
    中身は完全なクリスマスもので、お婆ちゃんと孫娘(?)がほのぼのしている。
    途中である事件が起こるが(カンの良い人ならタグだけでわかるかも)、その解決過程で伏線が…今後の展開に期待?
    基本二人に萌える話なので登場人物はそんなに多くない。大事件の解決やアクション等を求めるのは筋違い。
    日常物として質が安定していているので、上のやり取りで心が疲れた人には是非。
    …あの人の○○コスってやっぱ潜在的人気があるのか?

【五段階評価】
★★★☆☆~★★★★☆(ほのぼの好きかによる)

廻り、廻る、世界の中で  ワレモノ中尉氏

【作品集】179
【タイトル】廻り、廻る、世界の中で
【書いた人】ワレモノ中尉氏
【粗筋】守矢家を中心としたほのぼの系ストーリー
【感想】言葉遊び系が好きな自分としては、言葉遊び系のSSを書かれているワレモノ氏の新作!
っと思って読んでみたのは良いものの、赤で書かれた文章がある以外は特に何もないようなほのぼの系ストーリー
で、言葉遊びが無くともそれなりに楽しめた。
それがあとがきを読んで赤字とタイトルの意味を知ってあわてて最初からもう一回読んでしまった。
ほのぼの系、言葉遊び系が好きな人にお勧めします。

東方封神録  ケルビム氏

【作品集】179
【タイトル】東方封神録
【書いた人】ケルビム氏
【あらすじ&感想】
タグとタイトルが表す通り風神録のIF。常ならず弱気を見せつつも守矢神社に向かった霊夢だが、それを追ったのは魔理沙ではなく…

★★★★☆ないし★★★★★

前半までのややボタンを掛け違ったような鬱屈とした雰囲気と、魅魔参戦以降の緊迫感、
喝からの悪夢が覚めたかのような爽快感と空気の切り替えが見事。オチもひどい話(笑)でまとまりも良い。
構成も描写も丁寧でよくできていて、定番ネタのはずの「ここにいる」も使い方が非常に上手い。
単純に魅魔・旧作ファンのみならず多くの人に読んでほしい埋もれつつある傑作。

秋を彩る神様と夏に鳴く虫の話  レモネード氏

【作品集】179
【タイトル】秋を彩る神様と夏に鳴く虫の話   【書いた人】レモネード氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/179/1360057704
【あらすじ&感想】(概要無し)宿命と向き合う一週間、己が無力を痛感していた静葉が得た答えは…


これまでの会話主体ではなく基本三人称視点の話、登場人物も秋姉妹と蝉一匹だけ
描写の精度に部分差はあれど、昭和以前の小説を思わせる文章が特徴的
超短編でありながら非常にコンセプトが明確なのできっちり書けている
作者曰くこういうのは初の試みであったそうだが、概ね成功したと言えるのではないか

【五段階評価】
★★★☆☆(万人向けとは少し違う、あと細かい表現が所々ブレている)

戦闘妖精・春告  片隅氏
リリーホワイトを初めとした妖精達が戦争する長編。

【作品集】179
【タイトル】戦闘妖精・春告   【書いた人】片隅氏
【URL】
ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/179/1359993602
【あらすじ&感想】記憶にも記録にも残らない、妖精達の戦争(概要より)


リリーホワイトを初めとした妖精達が戦争する長編。敵の設定なんかは荒唐無稽だけど妖精ならではの戦法を使ったりデカい敵と戦ったりと無駄に熱い。
割と大規模な戦いだけどあくまでも大騒ぎしてるのは妖精だけというのもミソ。
オリキャラも出てはいるがあくまでもメインはリリー他原作キャラなのでそこまで自己主張もしてないと思う。

【五段階評価】
★★★☆☆(オリキャラ・バトルが受け入れられるならいいと思う)

ほぼ妖精たちの視点で進む作品で、お話そのものは、妖精たちの戦争を題材にしたエンタメ物、と読んでしまって何の問題もない。

【作品集】179
【タイトル】戦闘妖精・春告 【書いた人】片隅氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/179/1359993602
【あらすじ】
 <ニピー>。突如幻想郷に出撃した、謎の存在。それらは言葉を持たず、また非常に攻撃的な性質をしており、積極的に妖精達を襲撃している。
 姿形は妖精に酷似しており、一目では見分けがつかない。力も妖精と同程度であり、人間や一般の妖怪の間では妖精とほぼ同一視されている。しかし、<ニピー>には勘のいい人間や頭の良い古参妖怪、そして妖精達には分かる明確な違いが存在していた。
 それは、『一回休み』が存在せず一度死ぬと二度と蘇らないことと、妖精達にはない、不自然な自然の気を漂わせていることである。(以上、本文より抜粋)

 そんな<ニピー>たちと、妖精たちの戦争を描くお話。

【感想】
 ほぼ妖精たちの視点で進む作品で、お話そのものは、妖精たちの戦争を題材にしたエンタメ物、と読んでしまって何の問題もない。
 のだけど、読み進めてみるとけっこう別の見え方を提示される。
 ここからネタバレ注意。

 このお話、妖精たちは妖精たちでわりとガチで戦争しにいってます。上述したように、二ピーは言葉を持たないとされているので、まるっきり謎の不気味な存在、しかも自分達を攻撃するってことで、本気でやっつけにいってます。
 なんだけど、本気で戦争してるっていうのに、どこか悲壮感が無いです。ふつう戦争といえば、なんかいろいろ悲しい物事が付き物だと思うのですが、そういうのが無い。
 それもまあおかしなことではなくて、なぜかというと、妖精には『一回休み』があるからです。戦争でやられても、死ぬことはありません。このニピー、妖精を殺す特殊な能力があったりするわけでもなく、妖精たちは普通に復活します。
 ところで、あらすじ説明で本文から抜粋したように、ニピーには『一回休み』がありません。そしてこのお話は主に妖精たちの視点で描かれ、また妖精たちは本気で戦争していて、しかし妖精には『一回休み』があるのでお話に悲壮感は無い。
 これらをまとめるとどういう構図になるかというと。
 妖精たちの視点に入り込んで読んでるうちは戦争エンタメとして読んで問題ないのですが、ふと一歩引いてみると、これ妖精たちはすっごい無邪気に、また無自覚に、ニピーを『殺して』るんですよね。
 実は「一歩引いた」視点は作中にも導入されていて、これらのことは作中でも語られます。加えて、これが妖精たちの戦争として成り立っているのは、あくまでニピーたちが「妖精と戦争する程度」の弱者であって、また現状幻想郷に大きな影響を与えるでもないから(もしそうであれば人間や妖怪が動くであろう)……といったことも。そしてニピーが何者であるか、彼らの目的は何であるかといったことが明かされるにしたがって、このお話の、ひいては妖精たちの、(普通の人間から見ての)薄ら寒さ、残酷な冷たさが見えてきます。
 こんな感じで、戦争エンタメの裏側に妖精ならではの面白みが宿っていて、そこらへんがゾクゾクする作品でした。

【五段階評価では分け足りないので百段階評価】83/100点

メアリ・スーが自立するまで  enjoy@空の青氏

【作品集】179
【タイトル】メアリ・スーが自立するまで
【作者】enjoy@空の青氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/179/1360594337
【あらすじ】
無名の丘、スズラン畑で生まれたメディスン・メランコリーは、捨てられる前、まだ単なる人形だった時の自分を可愛がってくれた女の子に再び会う為、徐々に自分の身体を動かす練習をする。そして晴れて自分の身体を自在に動かせるようになったメディは、自分と同じ境遇の人形、スーさんと共に人間の里へ行くのだが……。

タイトルには『メアリ・スー』と入れてあるが、この場合は作品のジャンル的な使い方では無く単なる見立てとしての使用なので、作中に俺が出たりはしない。
コンセプトは花映塚のキャラ設定txtに少しだけある、メディの能力について。生まれたばかりという設定なので、ルイス・キャロルテイストの語り口調的三人称で書いている。少女の持つ願望と能力が合致したならば、作中での出来事もあるのではないかと考えた。
メディの傍らにいつもいる人形については二次設定的だが、メディが幼い少女と言う設定もあって皮肉屋的な味付けをしてある。
因みに28000文字程度の作品だが、投稿後5分で10点妖精が降臨した。

物理的に動けない大図書館  pys氏

【作品集】179 【タイトル】物理的に動けない大図書館   【書いた人】pys氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/179/1360662506
【あらすじ】
パチュリーは、若干動揺で汗ばみながらも、この一言に勝負を掛けた。

「ちゃ、ちゃうねん」
ーーーーーー
【感想】
物理的に動けないパチュリーを中心にどこか間の抜けた紅魔館の日常が回る。
26.73KBとあるが、会話がメインかつ特別頭を使う必要があるわけでもないため思うよりさらっと読めるのではなかろうか。
ところでこの「ちゃうねん」、作中で二度使われるのだが非常に破壊力が高い。かわいい。すごいかわいい。
いわゆる大阪弁、言葉そのものより身振り手振りにイントネーションだったりで感情を伝えるため、下手に言葉を探すより絶妙なニュアンスを表現できるこの単語をあの状況でチョイスしたパッチェさんに乾杯。

【五段階評価】
★★★☆☆(方言萌えなら更に+1)

夢のまた夢  うのこく氏

【作品集】179
【タイトル】夢のまた夢
【書いた人】うのこく氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/179/1360495335
【あらすじ&感想】
紅 美鈴が気がつくとそこにはメイド長の十六夜 咲夜が立っていた。
日差しも温かくなってきてついうとうとしてしまうような日。
太陽は頭上、真南の方角である。
珍しく昼寝のことを許してくれた咲夜に言われて美鈴は荒らされているという花壇に向かう。
踏み荒らされていた赤のアスターを片づけたところで一息いれたところで、ふと花言葉が気になる。
紅 美鈴が気がつくとそこにはメイド長の十六夜 咲夜が立っていた。

「ニガサナイ」

美鈴に「なにか」が起こったお話
いったいなぜこういうことになったのかは語られずに終わる。
物語を読みなれている人ならいくつか予想はできるだろうが実際のところはわからない。
読者も理解できない、どうにもできない真っ暗闇を美鈴といっしょに歩き続けるしかないのである。

椛の報告書  羊丸氏

【作品集】179
【タイトル】椛の報告書
【書いた人】羊丸氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/179/1360420507#commentformHeadding
【あらすじ&感想】
つまる話、上司の無茶ぶりである。
変化も無い日常は我慢できるし、上司の都合に振り回されるのにも慣れている。
それでも我慢できないことはあるし、我慢できないから啖呵をきった。
そういうわけで深夜の自室、椛の前には報告書。
ただの報告書ではない。『すごく』なる予定の白紙の報告書である。

「あるあるw」とは言えないまでも「わかるわかるw」とは言えそうな雰囲気がいい
真面目な椛とおかしな報告書たちがいまいち繋がらず、からこそおもしろかった
悩んで考えて、ドツボにはまった結果はみなさま予想の通り

義人  近藤氏

【作品集】179
【タイトル】義人
【書いた人】近藤氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/181/1364042740
【あらすじ&感想】
犬走椛は紅魔館のことを快く思っていなかった。
なぜならあの館からの夜毎の巨大な物音により、森に住んでいたものたちが姿を消したのだから。
変化があるのはしょうがない。 新参者の館によってそれまであった自然が奪われるのもしかたない。
どうせ自分があの夜の王相手にできることなんて何もない。残されたもので楽しむしかない。
そうなのだろうか? 『もしかしたら』があるのではないだろうか?
その時、椛の視界に射命丸文が横切った。 向かう先は紅魔館。
踏み出すきっかけだった。

熱い性格の椛、飄々とした文、少しとぼけた咲夜さん、カリスマのあるお嬢様
の、はずなんだけどコメントでも指摘されてるとおりどこかキャラの中身が見えない印象がぬぐえない
綺麗な文章で状況が描写されていると感じるから文章が悪いとは思わない
たぶん作者さんがあまり力を入れてないんだろう、コメントでそう言ってるし
良い作品だと思うけれど、静かかつ簡素に進んでいくところが物足りないと感じる人もいるかも

夕暮怪談「百物語」   猫井はかま氏

【作品集】179
【タイトル】夕暮怪談「百物語」 【書いた人】猫井はかま氏
【分類タグ】百合 霊夢×早苗 ホラー
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/179/1359450305
【POINT】約5000(2013/12/15時点) 【容量】22.69KB
【あらすじ&感想】
猫井氏の記念すべき100作目。「ホラー」タグで本年度暫定最高点のSS(まあ、タグのついてないホラーSSもあるけど)。100作品目に「百物語」ってのもニクい。

>参加者をぐるっと見回しただけでも化け猫に天狗に化け狸……百物語なんぞせんでもおまえらだけで十分百鬼夜行だ。集まった時点で完成してるわ。

といったようなところで笑いを取りつつ、ほのぼのと進行。ただ、霊夢の感じた引っかかりが刺のように残る伏線となっている。
それぞれの怪談は、恐怖を感じるには一歩足りないところがあって、関連性を疑ってみても、どうにも結びつかないので、このまんま脈絡なく終わるのかなーと思いつつ終盤に至ると、……おおっと!
頭がほどよく疲労した夜中に読むと、霊夢の気持ちが味わえるかもしれない。