作品集180

Last-modified: 2013-10-09 (水) 14:20:29
隧道  zenteki氏

【作品集】180
【タイトル】 隧道  【書いた人】zenteki氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/180/1360704642
【あらすじ&感想】幻想郷の裏側を「覗き見た」話、そこに在る幻想は本当に幻想ですか
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(致命的なネタバレを避けるため抽象的な感想になります)
まずタグが無い、タイトルもイミフ、これだけで読まない人も出る事だろう
中身も隠喩と謎に満ちており、二三度読み返す労力は欲しい
媚びも甘えも一切無いが気に入る人はきっと気に入る影のある作品
内容はある結末を通した幻想郷の独自解釈、独特の配役にセンスが光る
SS作者さん、特に宮部みゆきや京極夏彦好きなら一読の価値は十分ある

【五段階評価】
★★★★☆(読後詳細な解説が欲しければコメント欄に書けばきっと誰かがしてくれる)

にわかにキョンシー  鹿路氏

【作品集】180

【タイトル】にわかにキョンシー  【書いた人】鹿路氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/180/1361344976
【あらすじ&感想】ある日、華扇が畑に大根を掘りに行ったら隣に芳香が生えてた
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かなりの古参である氏の新作。今作のジャンルは日常物。
この人選だと色々展開を選べるが、まさか同棲物に持っていくとは思わなんだ。
三人のキャラ付けもしっかりしていて独特のユルい魅力に溢れている。
ただ芳香の挙動故か多用される会話文で読者が少し混乱しやすいのが難点。
過去作に比べイマイチ点数が伸びなかったのは氏の文体が悪い方に作用したか…

【五段階評価】
★★★☆☆~★★★★☆(3.5、読後に漂う残り香のエロスが良かった)

幻惑ミスディレクション  zenteki氏

【作品集】180
【タイトル】幻惑ミスディレクション  【書いた人】zenteki氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/180/1361571962
【あらすじ&感想】紅魔館に忍び込んだ魔理沙は咲夜に見つかってしまうが……
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すっかり変化球作家のイメージ漂う氏の新作ショートショート。
短いながらも大胆な発想で読者を驚かせる手品のような作品。
概要にある通り、五分でさっくりと終わる掌編なのだが……
読む人によってはその五分が何倍にも膨らんだり止まってしまったりするだろう。
短い作品の中に意外性と時間の主観性までも取り入れた快作。

【五段階評価】
★★★★☆(短いので是非一読を)

カマイタチ戯談  ことやか氏

【作品集】180
【タイトル】カマイタチ戯談 【書いた人】ことやか氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/180/1361728177
【あらすじ】
「カマイタチって事は名の如く、鎌・鼬、鼬の仕業に違いないわね。鼬ってすばしっこくて……」
「いや、カマイタチと言えば三兄弟の悪神だろ?一人目が転ばして、二人目が斬る、三人目が薬塗るって奴じゃないのか」
「二人ともちょっと古いですね、カマイタチの正体は強風や旋風で、真空状態ができる事によって皮膚が切れてしまうのです!ブラックジャックで見ました!」
(作品より一部省略しつつ抜粋)

 神社の縁側に並んで座る霊夢、魔理沙、早苗は、それぞれ足に切り傷を負い、包帯を巻いていた。
 これはカマイタチの仕業に違いないと頷き合うも、三人の思い浮かべるカマイタチの像はまったく異なるものだった。

【感想】
 ことやか氏は作品集178で初投稿、これが三作目なのだが、氏の作品の今のところの特徴として、まず一つ、とにかく『らしい』というのがある。
 霊夢や魔理沙、早苗らといった、『キャラクターのそれっぽさ、原作っぽさ』というのもあるんだけど、それだけではない。やや説明しにくい、実際雰囲気的なものではあるのだけど、たぶん『お話自体が原作っぽい空気』というのが一番近い。
 原作の中でも、三月精や香霖堂、茨歌仙、鈴奈庵あたりの、短編連作系漫画。これらの漫画作品の、幻想郷のちょっとした風景、出来事を描こうといった空気が近い。
 ……ただ、近い、というからには、これらの作品ともまたやや違う感触があって……おそらく氏の作品は『幻想郷のちょっとした風景』よりも『妖怪のいる風景』と言った方が正しく性質を示していると思う。妖怪のいる場所で巫女さんをしている霊夢の日々、そこを通り過ぎてゆく、東方のキャラクターではない妖怪たち(基本的に霊夢の視点で話が進んでいて、これもまた、原作っぽくも良い意味で異なる味わいをかもし出してる。原作で霊夢の視点はほぼ描かれないし)。
 そしてもう一ついい感じの味付けとして、境界に居る霊夢さんを視点主にしていることもあってか、外の世界との繋がりを意識させられる部分が多く、それに伴って、妖怪の在り方とかそこらへんへの感傷が自然に作品に溶け込んでいる……という感じのがある。なんかここまで書いてて、香霖堂三月精鈴奈庵を足して三で割って霊夢視点にした感じ、とか言ってみると早い気がしてきた。
 なんか「カマイタチ戯談」よりも作者の作品全体について書いてしまったような気がするが、とにかく「カマイタチ戯談」自体もそんな感じでいい雰囲気の作品なので、ちらっと覗いてみてほしい。1作品20kb未満くらいなので、波長が合うようなら過去作もぜひ。

【五段階評価では分け足りないので百段階評価】74/100点

必殺仕事人外 『ヤマメ、結婚祝いを贈る』  片隅 氏

【作品集】180
【タイトル】必殺仕事人外 『ヤマメ、結婚祝いを贈る』   【書いた人】片隅 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/180/1362464058
【あらすじ&感想】
晴らせぬ恨み、晴らします……要するに必殺仕事人のパロディ。
大工仕事の帰りに、人里の居酒屋で近々祝言を挙げるという若者の話を聞くヤマメ。
その帰り、ヤマメは閻魔に妖怪の善行として人里に巣食うドブ(人間の法で裁けない悪党)を掃除(始末)するように依頼される。初めは断るヤマメだったが、人里に通ううちに事件の深みに迫っていき……

接点があってもおかしくなさそうなのに何気に珍しいヤマメとマミゾウのコンビ。ヤマメとマミゾウさんの掛け合いとか言い回しとかが個人的に好き。
幻想郷の、しかも人里という人間にとって閉塞した空間で起きる人間の悪行をヤマメとマミゾウが解決する話。外道の外道っぷりがいかにもって感じ。
あと、とにかく出てくるオリキャラが死ぬ。結局出てきた人間で生き残ったのはモブの二人だけだったり。円満解決はしないので後味は悪いと言えば悪いが一応元ネタに沿っているし、個人的には安っぽい勧善懲悪じゃない必殺シリーズが好きだからよかったと思う。

【五段階評価】
★★★☆☆~★★★★☆(グロ描写とかあるしスカッとする話じゃないから個人差は大いにあると思う)

寂しさと終焉の象徴  がらくた置き場 氏

【作品集】180
【タイトル】寂しさと終焉の象徴   【書いた人】がらくた置き場 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/180/1362147022
【あらすじ&感想】
タグにもあるが、霖之助と静葉の話。
今まで見たことなかった組み合わせだが、香霖堂で霖之助が紅葉の考察をしている、
口授で静葉の出現場所に魔法の森と明記されている、など絡みの余地は大いにある。
肝心の内容だが、いかにもって感じの霖之助と、大人のお姉さん(性的な意味ではない)な静葉との
落ち着いた雰囲気の、感じのいい作品になっている。

余談だが某イラスト投稿サイトの百科事典には霖之助のカップリング一覧、みたいなスペースが
あるが秋姉妹だけ露骨に省かれている、というか多分忘れられている?
穣子はともかく、静葉は前述のように妄想をふくらませる要素があるのに、非常にもったいない。
静葉ファンの俺としても、霖之助との作品がもっと増えて欲しいものである。

【五段階評価】
★★★☆☆~★★★★☆ 割と万人受けしそうな作品。

のみまりさ  ベータ 氏
後悔の場面だけを的確に切り取った、魔理沙のとある日の一コマ。

【作品集】180 【タイトル】のみまりさ  【書いた人】ベータ 氏
【URL】 ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/180/1362328837
【サイズ】7.58KB 【得点】5190 【レート】12.88 (2013/04/23時点)
【あらすじ】
 最悪の寝覚めを迎え、霧雨魔理沙は後悔していた。
 理由は明白。アルコールである。
【感想】
 後悔の場面だけを的確に切り取った、魔理沙のとある日の一コマ。
 見事なまでに酒に呑まれたダメ魔理沙。
 飲み過ぎる、二日酔いで後悔する、でも翌日には飲んでしまう。
 このダメさは、自身が経験したり、そういう経験してる人を
 間近で見たりすると実感できるだろう。
【文章】       ★★★☆☆
【展開】       ★★★☆☆
【総合評価】   ★★★☆☆

>便器は私の全てを受け止めてくれる。便器あいしてる。

【作品集】180
【タイトル】のみまりさ 【書いた人】ベータ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/180/1362328837
【POINT】5710(2013年10月9日時点)【容量】7.58KB
【あらすじ&感想】
>便器は私の全てを受け止めてくれる。便器あいしてる。

 頭痛と嘔吐感に襲われ、便器を抱きしめる魔理紗。吐く。ゲロを。飲みすぎたことをひたすら後悔しながら。
 語り口は軽妙洒脱。ところどころにネタを挟みつつ、話の展開は筋が通っている。さらっと読んで楽しんで、酒飲みとしての「あるある」に頷ける作品。