作品集181

Last-modified: 2013-07-23 (火) 19:38:43
人間「聖白蓮」 第一話  門徒X 氏

【作品集】181
【タイトル】人間「聖白蓮」 第一話
【書いた人】門徒X 氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/181/1362806025
【あらすじ】
 これからの幻想郷の話をしよう――
 新勢力と評された三派閥の対談後、聖白蓮には一つの悩みが生まれていた。即ち……家の子らって仏教やる気なくね?
 各地で目撃された弟子達の戒律破りに凹んだ白蓮は、弟子達の素行を調査し始める。
 そして改めて確認した不埒な悪行三昧を前に白蓮はとある決意に至る。
 
「……地底には、悟りの境地に至ったと思われる妖怪がいると聞きます。
 その妖怪の姿を見れば、もしかすると貴方たちの気持ちも変わるかもしれません。
 私、決めました。その妖怪を入信させ、貴方たちの手本になってもらおうと思います」

 弟子達にそう宣言した白蓮は悟りの境地に至ったと思われる妖怪、古明地こいしをスカウトすべく行動を開始する。
 そんな彼女の前にこれより訪れる苦楽とは果たして……

【補足】
 現在までの話のスタンスとしては求聞口授で語られた命蓮寺を活かしてストーリーを構築しようとしている、と言った感じ。
 ある意味で新しい命蓮寺に挑もうとしているその姿勢は個人的に非常に好み。
 まだまだプロローグと言った段階なので今後話がどう転がるかは解らないが、
 プロローグをきちんと話として仕立てているので、良くある第一話……話? みたいな爆死とは程遠く、オリキャラも名無しモブレベルなので、
 この二つの要素を嫌厭して読まなかった命蓮寺スキーの方は読んでみるのも一興ではなかろうか。
 素直に今後を楽しみに出来るシリーズ物の気配がするので是非ともお薦めしたい作品。

【五段階評価】
 ★★★☆☆
 (★★★★☆でもいい気がするのだが連載物の宿命としてエターナルっちゃう可能性、またちょっと地の文が重い感じがしたので今後に期待という意味で星3つ)

漫談日和  みをしん氏

【作品集】181

【タイトル】漫談日和 【書いた人】みをしん氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/181/1362751903
【あらすじ&感想】ある日いきなり紅魔館に襲来した幽香がいつも通り門を守っていた美鈴と……おしゃべりする話。
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内容はネタバレ避けたら上に書いたことしか書きようがないけど、結構意外な組み合わせでおもしろかった。
最初はやっぱりそのうち一戦交えるのかなと思ってたら結局ひたすらのほほんとした会話で終わる。会話も言葉のドッジボールしてたりと東方っぽさが結構ある
とりあえず、ゆうかりん&メディ他ののラジオ体操と美鈴のフラダンスを是非見てみたいと思った

【五段階評価】
★★★☆☆~★★★★☆(のほほんとした雰囲気がいい)

歌姫、アイドルと出会う  ドゲスドウ氏

【作品集】181

【タイトル】歌姫、アイドルと出会う   【書いた人】ドゲスドウ氏

【タグ】ミスティア ヤマメ

【概要】1枚の写真を手に嬉しそうなミスティア。それは何かと尋ねる響子に、ミスティアは事の顛末を語りだす。

【感想】
活き活きと語らい笑うキャラを見ているこちらが楽しくなる作品
会話や地の分がテンポよく進行され、するすると心地よく読める
反面、高揚感をもたらすような盛り上がりに欠ける
盛り上がりを促せそうなネタが序盤にあるものの流されてるのが悔やまれる
焦点がそこにないだけと言えばそれまで
そのつもりで読めば非常に楽しい作品

【五段階評価】
★★★★☆
人によっては★3つかも。期待値込で4つ

ひまわり畑で餡蜜を  ねこやなぎ氏

【作品集】181
【タイトル】ひまわり畑で餡蜜を   【書いた人】ねこやなぎ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/181/1362927407
【あらすじ&感想】
夏の日、阿求は餡蜜を持ってひまわり畑に出向く。
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個人的なことを言わせてもらえば、幽あきゅは今まであまりしっくりこないカップリングの一つだった。
しかしこの作品を見て、なるほど、と思わせられる。そんな作品。
向日葵、というか花を愛する妖怪である幽香と逃れられぬ運命を背負った阿求の関係を綺麗に描いている。
幽あきゅキターと喜ぶ人はもちろん、幽あきゅって何だかなあ……と気が乗らない人にも是非読んで欲しい。

【五段階評価】
★★★★☆

ハンディ・ホウライ  白衣氏
少し切なくなって『ああ、綺麗だな』と思えるような作品。

【作品集】181
【タイトル】ハンディ・ホウライ   【書いた人】白衣氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/181/1363619907
【あらすじ】
どんなネタを前にしてもカメラのシャッターを切れなくなってしまった文。
どうしてシャッターが切れないのか、どうやら文の心に理由があるようで……

【感想】
明るくもしんみりと話が進んでいき、少し切なくなって『ああ、綺麗だな』と思えるような作品。最後にきちんと笑えるような終わり方なのも良い。
尚、白衣氏の作品の特徴として、邪魔にならない程度に過去作と話がつながっていたりする。この作品が気に入ったなら過去作も読んでみることをお勧めします。

【五段階評価】
★★★★☆~★★★★★(特に嫌われる要素も無く、綺麗に終わっているのでこの評価で)

文の手の内には今、なぜかカメラがないのである。

【作品集】181 【タイトル】ハンディ・ホウライ 【書いた人】白衣 氏
【URL】 ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/181/1363619907
【サイズ】84.1KB 【得点】4710 【レート】12.97 (2013/04/24時点)
【あらすじ】
 木枯らしすさぶ冬の幻想郷。紅魔郷に魔理沙が訪れると、
 そこには普段の門番ではなくブン屋の姿が。
 さらによく見ると、文の手の内には今、なぜかカメラがないのである。
【感想】
 ある時は上司命令に従い融通が利かなくなり、
 またある時は夜雀の屋台で上司の愚痴を零す、
 風神録以降、組織に属するキャラとして文が描かれることは多い。
 でも、今作のように班があってデスクがあって書類と格闘している姿は
 なかなか描かれなかったと思う。読んでいてまずここが新鮮に感じた。

 でも、これはあくまで舞台設定。物語の本筋はそこではなく、
 文と写真、文と新聞との関係に焦点が置かれた作品となっている。
 印象に残ったのが終盤の文・はたて・早苗の写真に対するやり取り。
 旅行先だと写真を撮りまくる自分。
 確かに、フィルムカメラで36枚に何百円も掛けていた子供の頃と
 携帯やスマホで何千枚と撮れる現在じゃ、写真に対する姿勢は
 全く違った物になっている。「たまにはファインダー越しじゃない景色見なよ」
 と言われたことのあるスナップ好きとしては、考えさせられるところがいくつもあった。
 世代の差、自由とは何なのか、そんなテーマが詰まった作品。
 と言っても、重苦しい作品ではない。登場人物が皆生き生きとしていて、
 深いテーマでも軽快にストーリーが進んでいて、とても楽しく読めた。
【文章】     ★★★★☆
【展開】     ★★★★☆
【総合評価】 ★★★★☆ (作品集181おすすめの長編)

猫のいた春  長久手 氏

【作品集】181
【タイトル】猫のいた春  【書いた人】長久手 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/181/1364267570
【あらすじ】
火事になればいいのにと思いながら、日々寝煙草を吸う妹紅。そんな妹紅の元に一匹の猫が……。

【感想】
所謂、動物の存在により心に彩りがもどるタイプのお話。
ただ、自堕落的だった妹紅の心が緩やかになってゆくまでの描写がとても優しく繊細。やや盛り上がりには欠けるが、だからこそ平坦な日常の中にある幸せをとてもよく描けてると思う。あと、妹紅も慧音も自然体なのに可愛いく書けてるのも良いと思う。
「感想を」
と言われた時に、うまく言葉にならない読後感があって、良いものを読んだなぁと温かい気持ちにしてくれる。動物が好きな人には特にオススメしたい作品。

【五段階評価】
★★★★☆~★★★★★(少なくとも、良いものを読んだとは思えるレベルだと思うので。動物好きや、妹紅と慧音が好きなら★5つもありかと。)

悟りでんぱ伝搬中  河岬弦一朗氏

【作品集】181
【タイトル】 悟りでんぱ伝搬中 【書いた人】河岬弦一朗氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/181/1363340229
【あらすじ】
 隠遁していた語り手(『コウ』と呼ばれる)の元に知り合いの女がやってきて、妖怪サトリを押し付けてゆく。
 コウはなし崩しにサトリと共に暮らすことになり、その中でサトリについて考える。
 覚妖怪と自意識やらなんやらの話。

【感想】
 まず最初にですが、これ、タグを見ないで読んだ方がいい。もし見てしまったら忘れて読んだ方がいい。登場キャラが書いてあるのだけど、作中のキャラをタグに書かれているキャラだと認識しながら読んでいこうとすると、たぶん違和感がある。最後まで読めばかなりしっくりとハマるのだけど。
 さておき中身は、言うなればサトリとの生活のシミュレート。心を読むというのがどういうことなのか、心を読むものと共にいるというのがどういうことなのか、そのあたりの思考、考察が語られる。
 思考の堂々巡りという空気も途中まではなくもないが、最後まで読んでみると意外ときっちり物語している感がある。というのも、終盤あたりで、この作品がこの語り手の長い物語の一幕であったことを意識させられるため(語り手が誰なのか言えないのであまり具体的なことは書かないが)。
 覚妖怪について真面目に考えてみたい人なんかには特にオススメかも。

【五段階評価では分け足りないので百段階評価】82/100点

【作品集】181
【タイトル】白狼天狗犬走椛 ~暇地獄変相図~ 【書いた人】逸勢氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/181/1363890200
【あらすじ】
 椛が暇に殺されそうになってる。

【感想】
 『東方堕落型少女』や『ベリベリナイスディ』なんかで記憶に留めている人も少なくないんじゃないかという逸勢氏の新作。
 東方キャラが何かを一つ踏み外して転がり落ちていく感じのお話を、ブラックユーモアやある種のシュールさ、現実社会のブラックなあるあるネタなんか交えて書く人ってイメージ(作品全部読んでるわけじゃないので偏ってたら申し訳ない)なんだけど、少なくともこの作品を見る限り、わりと同じような色のお話であるにもかかわらず、なんか以前よりも明らかにレベル高くなってるように思えました。
 んでどうしてか考えてみると、たぶんだけどこれ、筆力が普通に高くなってるのかなあと。筆力なる言葉の中身については諸説ありますしここでは触れませんが、ブラックユーモア、ある種のシュールさ、ブラックなあるあるネタ……これらを統括する、作品全体に漂う静かな狂気といいましょうか、これを文章やその語りの軽快なテンポなんかで、ついでにいくらかのコミカルさまでも交えつつ、読み物として表現できている感があります。
 文章を読んでいるだけで面白い(←個人差があります)、気づいたら読み終わっているタイプの掌編です。

【五段階評価では分け足りないので百段階評価】78/100点

満月の御伽噺  鹿野華氏

【作品集】181
【タイトル】満月の御伽噺
【書いた人】鹿野華氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/181/1364546828
【あらすじ&感想】
村紗水蜜が起きた時、砂浜にアンカーが突き立っていた
自分は一体どうしたのか、なぜここにいるのか、夜ごと見る不思議な夢はなんなのか
重いアンカーを、胸に引きずりながら進む村紗が荒れ果てた御堂で出会ったのは、
やたらぶっきらぼうで、かなりこわくて、けっこうやさしい、雲霞を纏わせた青い髪の女性だった

いわゆる過去物、キャプテン村紗の物語
生まれたて舟幽霊の村紗が自身の胸につながった碇の重さについて考えるお話
「どうして碇は重かったのか」というのは読む人によって差がでそう
しかしずいぶん男前の一輪さんだった
あんな男前な一輪さん初めて読んだ

十字架に花束を  青茄子 氏

【作品集】181 【タイトル】十字架に花束を  【書いた人】青茄子 氏
【URL】 ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/181/1363260939
【サイズ】5.73KB 【得点】3160 【レート】13.00 (2013/04/22 現在)
【あらすじ】
 永遠亭の待合室で3人の少女が座っている。
 ある者は泣き、ある者は冷静に待ち、またある者は憔悴しきっている。
 悪意を持った者など一人もいない、不幸な事故により、
 大妖怪八雲紫は意識不明により永遠亭の集中治療室にいるのである。
【感想】
 え、何?何が起こったのこれ?
 冒頭の部分を読むとこう思う人が多いんじゃないだろうか。
 青茄子さん特有の、読者をがっちりつかんでくる書き出しでこの作品も始まる。
 永琳が告げるゆかりの状況、罪悪感を拭えない霊夢と魔理沙、
 そして躊躇いと気負いからくる二人の数々の行動が生々しい。
 大きな失敗をしてしまった時、こういう行動をした経験のある人は
 結構いるんじゃないだろうか。
 中盤になって背景がすべて明かされると文章は一変。
 え、そんな理由?そんな理由で意識不明!?自分はそう思った。
 予想外。想定外。でも、最後はなんだかんだありつつも
 暖かくまとまった良い話だった。
【文章】      ★★★☆☆
【展開】      ★★★★☆
【総合評価】  ★★★★☆

とある月の逃亡兵  まふ氏

【作品集】181
【タイトル】とある月の逃亡兵
【書いた人】まふ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/181/1364529672
【あらすじ&感想】

「一度でも切ったら戻らないってのもあるのよ」

月からの逃亡兵、鈴仙・優曇華院・イナバは穢れに魅入られていた。
月と同じく穢れの存在しない場所、永遠亭。
そこで不死である輝夜と永琳、地上の住人であるてゐと共に過ごす中で鈴仙は穢れについて考える。
穢れによって寿命がある、私は穢れに魅入られている、私は寿命をどう思っているのだろうか。
突然鈴仙は月から自分宛ての電波を受信する、『次の満月、貴方を連れ戻す』

戦争で死ぬのも殺すのもごめんだ。

永夜抄の前日譚とでも言えばいいのか
穏やかな日常の中で鈴仙の穢れについての思いが薄く語られている
ただ、少し遠回り気味で読者の欲しい核心をぼやかしているように感じる
そこが少し物足りなかった

あと鈴仙が穏やかかつさっぱりとした感じだったのが印象的だった
たいていは変にはっちゃけたり、どこかうじうじしたキャラ付けが多いイメージだったから少し新鮮だった

その根はアスファルトを砕く  きのせい氏

【タイトル】その根はアスファルトを砕く(90.7KB) 【書いた人】きのせい氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/181/1362822500
【タグ】こいし さとり 燐 空 幽々子 妖夢 西行妖
【あらすじ&感想】
こいしが無意識の内に訪れた白玉楼。
そこで幽々子とこいしが出会い、それが契機となって思わぬ方向に事が進んで行く。
目を閉じた覚が解く、西行妖の過去にまつわる物語。

序盤を超えた辺りから面白くなってくる物語。
丁寧に織り込まれたネタの数々に引き込まれて、つい続きを読みたいと思い、そのまま最後まで読むことに。
白玉楼と地霊殿のメンバーが上手い具合に混ざり合い、最終的に真実に辿り着くのは読んでて面白かった。

こいしがメインとなる作品はあまり読んでなくて、メインに置いて、上手い具合に活用してる作品とは出会ったことなかったけど、
この作品のこいしは良かったなー、と。お空は和み。

【五段階評価】
★★★★☆
地霊殿と白玉楼という関わりの薄い勢力の出会いから丁寧に書いている作品なので、最初でちょっとだれてしまうかもしれない。
ただ、1章で見限ってしまうのは少し勿体無い。