作品集188

Last-modified: 2014-07-29 (火) 07:21:00
彼方より  八衣風巻氏

【作品集】188
【タイトル】彼方より   【書いた人】八衣風巻氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/0/1377596576
【あらすじ】
私がこうして今回のことを記録しているのは、単に日記や備忘録としてではなく、私自身への強い戒めと、後悔によるものである。
あの気違いじみた出来事なぞ忘れられるはずもなく、さらには身に迫っていた危機から脱出できた喜びと、多量の恐怖が、私を支配している。
今この時でなければ、正確にあの災いを記すことなど不可能に違いない。
(本文より)

【感想】
さっくり読める短編ホラー。まだまだ暑いこの時期にはちょうどいい手頃な作品。
筋は単純ながら、あるいはだからこそよく出来ており、恐怖を書くと言う点では良く出来ている。
ただし、オチというかネタばらしが作品には必要だ、と思うお方には残念ながらお勧めできない。
恐怖とは不明の領域にこそ或るのである。

それからごく一部の嗜好を持つ方、具体的にはタイトル見て即座に創元推理文庫の黒い表紙が出てくる方々には★+1。
あのクドくて重たくて微妙に悪文なところを再現した翻訳文を実に上手く模倣している。

【五段階評価】

★★★☆☆(ラブをクラフトする人には+1)

赤蛮奇、月を眺めて考える  アイ氏

【作品集】188 【タイトル】赤蛮奇、月を眺めて考える
【書いた人】アイ氏 
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/188/1377937489
【あらすじ】
 人里で暮らす妖怪の、ちょっとした話
 (作品概要より)
【感想】
 タイトル通り、赤蛮奇の視点から彼女の日常とある事件が語られる。
 硬質な語りと妖怪らしいドライな思想、煤けきった生活にスケールの小さい事件。
 「人里でひっそり暮らす妖怪、赤蛮奇」というキャラクターが説得力を持って魅力的に表現されている。
 決して明るい話ではないのだが、それを感じさせない綺麗な締め括り方でお話は終わる。

逆さまの優しさ  Pumpkin氏

【作品集】188 【タイトル】逆さまの優しさ
【書いた人】Pumpkin氏
【URL】 ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/188/1377512366
【あらすじ】
 人の嫌がることを進んでやります
(作品概要より)
【感想】
 童話、御伽話、昔話……、そういった少し懐かしいような独特の雰囲気で話は進む。
 異変の主犯である正邪のその後の姿をコミカルに描いており、ほのぼのと楽しめる話。
 作中で正邪が語る、彼女の生き方と哲学は「鬼」を名に関する妖怪に相応しい格好の良さはあった。
 物語も雰囲気にふさわしい終わり方で、「めでたしめでたし」と言いたくなるような、よく出来た作品。

面霊気  こうず氏

【タイトル】面霊気 【書いた人】こうず
【分類タグ】秦こころ オリキャラ
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/188/1378733472
【POINT】3270 【容量】24.67KB
【あらすじ&感想】
 このSSがこの点数で留まっているのがどうにも理解できない……などといっとき思いはしたが、やっぱりしかたないのだろうなと今は思う。
 内容が悪いのではなくて、受け取り手側の好みなどが大きく関わっているわけだ。文体や語り口が重く、スラスラ読める「中秋」とはそこが違う。樋口一葉・泉鏡花とまではいかないが、森鴎外・中島敦が楽しめるくらいでないととっつきにくさは否めない。この点以外に、高得点でない理由は思い当たらない。
 オリキャラ中心で東方キャラが出てこない? 確かに直接的には出てこないが、間接的は10キャラ前後は出てくる。それも無理な出し方じゃなく、歴史的に戯曲的にと自然に登場してきて嫌味がない。むしろ直接的に登場しないからこそ素晴らしいのだと考える。
 それにオリキャラといっても、歴史上の人物だ。実際にたどったとされる生い立ち・最期を下敷きに、その性格・思考・変化を丁寧に生き生きと描写している。この重厚さに誰が文句をつけられようか。
 ……いや、やはり斬新すぎたのだろう。このSSが大いに理解されるにはもうワンクッション必要になるのだろう、時間やSSといった。
 東方キャラが登場しない東方二次創作。懐が広いと自負する人、もしくは、一行読んで「あ、大丈夫」と思った人は、是非一読してたもれ。