作品集40

【作品集】40～43【タイトル】スカーレットに恋して【作者】ulea氏
【あらすじ＆感想】
最愛の主と永遠の時間を生きていこうと心に決め、
魔女の知識と自らの能力を活かして不老不死の薬を製作した十六夜咲夜。
しかし出来上がった薬は、一時的に寿命が延びる程度の効果しかない失敗作だった。
それでも彼女は、主人と共にいられる時間が僅かでも延びるのならばと出来損ないの薬に口をつける。
――それから数百年後、咲夜の主人であるレミリアはある不吉な運命を目の当たりにする。
それは彼女の従者が、近いうちに死を迎えるといったもので……

人間と妖怪の寿命の違い、それによって生まれる離別をテーマにした作品は少なくないが、
この作品ほど胸を打つ物は他にそうそう無いのではないかと思う。
話は主にレミリアと咲夜の二人を中心に、彼女らの心情を交互に描き出す形で進行していく。
登場人物達の悩みや葛藤がくどいほどに深く書き込まれているのが特徴的。
この文体を受け入れられるかどうかで、話が肌に合うかどうかが決まると思う。
あと、長い、とんでもなく長い。２０万文字。じっくりと腰を据えて読みたい方におすすめ。

【評価】
文章力★★★★☆　下手ではないが、人によって好みが大きく分かれそう
切なさ★★★★★　涙腺の脆い方はハンカチの用意を
総合点★★★★☆　全体の構成に少し難があると思うけど、それ以外は極めて良

【作品集】40～43
【タイトル】スカーレットに恋して　（全6話）
【書いた人】ulea 氏
【ポイント】5070（最終話）
【レート】12.13（最終話）
(2010/05/15時点)
【あらすじ】
　「咲夜が、近々死ぬらしい。」そういう運命を感じ取ったレミリア。
その方法を模索しているうちに咲夜が出来損ないの薬で寿命を延ばしていることを知る。
何とか咲夜が死ぬことを回避しようとするレミリアだったが、
竹林の勢力や慧音との衝突、行動が読めない咲夜の動きから順調にはいかず……
【感想】
　ulea氏のデビュー作。レミリアと咲夜、寿命の長い吸血鬼と短い従者のいつか来る別れというテーマを扱った作品。
それだけだと陳腐なテーマだけれども、その過程に謎解きや戦闘があり、しっかり緩急の付いた展開となっている。
　「シンペイ蛙」や「ブライダル幻想郷」など、以降のulea氏にみられるような、
精緻な風景描写や登場人物達の悩み・葛藤の濃密な描写、そして激昂し自分の思いのすべてを叩き付ける長い独白は
この作品の時から既に確立されており、物語をより一層引き立たせている。
　逆に言ってしまえば、主要な登場人物は自分に素直になれない不器用な人物か、
歪みのある人物として描かれているため、そのような描写が苦手な人は肌に合わないだろう。
　全話合計すると504KBとなる大長編だが、二転三転する物語の展開や、
息つく暇もなくぶつけあう登場人物達の感情に圧倒され、長さを忘れて読み通してしまう。
そして、それだけに全てが終わった後に待っていた、最後の場面が非常に切ない。
ハッピーエンドでもバッドエンドでもない、だからこそ非常に悲しい話。SSで泣きたい人は是非。
【総合評価】★★★★★（胸が締め付けられるシリアスストーリー）