作品集49

Last-modified: 2013-02-28 (木) 15:00:28
「陽気な妖忌 ~切れるものなどなにも無い場合~」 大崎屋平蔵氏

作品集49 大崎屋平蔵氏 「陽気な妖忌 ~切れるものなどなにも無い場合~」
作品集53 大崎屋平蔵氏 「陽気な妖忌 ~日々是鍛錬の場合~」

陽気な妖忌シリーズ。もっと評価されるべき。さて、みなさまは魂魄妖忌というキャラクターをご存知でしょうか。
東方好きならば、まず知っているでしょう。魂魄妖夢の祖父にあたる方です。半人半霊は妖夢と同じ。
その性格は厳格にして質実剛健という言葉が実に似合いそうな人物。公式キャラクターではあるが
一切のイメージが存在しないため、実はどんな外見なのかは謎に包まれています。ZUN氏の回答から
老人である、ということは確定のようです。まぁ、非常に貴重な男性キャラという立場もありますな。
そんな妖忌ではあるが、このタイトルは如何なものか。本文中は如何にも古強者という印象。
ううむ、渋い。言葉の節々に重みを感じる、が、しかし、はて……、妖夢はどこか場に不釣合いな言葉を耳にした。
日々是鍛錬においては、共に競い合った古くからの友が眠る団子屋にて妖夢に人生を説く。
過去を語る漢の背中が涙を誘うものである。生きるとはなんぞや、そう語り終わったとき、妖忌は駆ける。
妖夢もそれを追うが、その先に待っていたものは剣士とはまた違った、新たな人生との邂逅であった。
ここから感想。面白い。ただその一言に尽きる。何故この作品が2000点程度で埋もれているのか、不思議でならない。
私が100点を入れた数少ない作品の一つである。もっと評価されるべき。そして続きを書くべき。
短い分、とても読みやすいので、いざ作品を読む滑り出しに最適。しかし、これ一つで満足できるので注意されたし。
まぁ、ここまで思わせぶりなことを書いておいてなんだが、これは陽気というかお茶目というのではあるまいか。

文章力  ★★★★☆(この話の長さでは判断しかねる、が、普通に上手いと思う)
読み易さ ★★★★★(さっくり読めるありがたさ。短いながら満足できる)
意外性  ★★★★★(こういうの大好き。読んで知るべし)
面白さ   ★★★★★(ベスト5に入るくらい大好きだ)

チルノと食べ盛りの…… さねかずら氏

【作品集】--49

【タイトル】チルノと食べ盛りの……   【書いた人】===さねかずら氏
【あらすじ&感想】
 
 ある日のこと、チルノは暇を持て余していた。
 そんな時に、湖で釣り糸を垂らしている人間を見かける。
「あっ人間!」
 暇だったチルノは、好都合とその人間相手に悪戯を仕掛けようと策を練る。
 そして、思いついた悪戯を実行し、その成功に一人笑うのだが……

 本作に登場するのは、チルノと太公望。ジャンプ版らしいですが、私自身は特に原作の方をイメージして読みました。
それでもサラッと入ってきます。
 策を練るチルノ、それに対する太公望が素敵。
 馬鹿でもないチルノが中心のお話で、とても温かい。太公望も嫌味にならない程度の描かれ方で読みやすい。
 サラッと気軽に読んで、チルノにほんわかするが良かろうさ。

【五段階評価】
ほのぼの度 ★★★★☆(まったりするが良かろう)
爽快度   ★★★★☆(会話がすっきりしていてとても読みやすい)
チル度   ☆☆☆☆☆(凍結しています)
コール度  ★★★★★(瞬間冷凍で、新鮮なまま食卓に届きます)

舞茸みなかった? ぐい井戸・御簾田氏

【作品集】49
【タイトル】舞茸みなかった?   【書いた人】ぐい井戸・御簾田さん
【あらすじ&感想】
喧嘩をする神奈子と諏訪子、それを止めようとするいつもの守矢神社の光景だった。
だが、神奈子には諏訪子と二人で話しておかなければならないことがあった。

コミカルな部分も多数含み脱線も多いながら、話の軸にぶれが無い。
二柱が実に魅力的に描かれています。
ラス前もラストも上手い。小道具の使い方も上手い。
もう少し点数が伸びても不思議じゃない作品です。

すきやきの夜/過ぎ去りの夜 まのちひろ氏
文明開化の頃を生きた、ふたりの「あや」の物語。

【作品集】49
【タイトル】すきやきの夜/過ぎ去りの夜
【書いた人】まのちひろ氏

【あらすじ】
文明開化の頃を生きた、ふたりの「あや」の物語。

【感想】
今まさに進行中の「すきやきの夜」と、はるか昔の「過ぎ去りの夜」。
場面をせわしなく交互に切り替えながらも、ストーリーは円滑に進んでいく。
その構成力の高さと、「あや」同士の友情を優しく、そしてほろ苦く描き出す筆致に泣かされた。
「実は純情な射命丸」というキャラ付けが好きな人なら、間違いなく楽しめるはず。

これを越える“あや”モノは無いんじゃないかな

【作品集】49
【タイトル】すきやきの夜/過ぎ去りの夜
【書いた人】まのちひろ氏
【長さ】69KB
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1203562218&log=49

 *【名前しか公式設定のないキャラ】が登場します。(本文一行目より)

【あらすじ】
“あや”の体に突如起きた異変。それは一夜限りの夢。しかし彼女は誰よりも現実と向き合っていた。
「私は大いに忘れっぽいんですよ」
――二人の“あや”が“過ぎ去りの夜”を翔る。

「鍋奉行の紫だね」
「すき焼きは鍋じゃないって言ってるでしょうが!蹴るぞ!」
――紫のこだわりが“すきやきの夜”に響いた。

【感想】※(2010年3月20日まとめ現在)
「ダブルスポイラー ~ 東方文花帖」という新作のタイトルを見た時、真っ先に思い浮かんだSSがこれ。
二年前の作品に当然新作のネタバレなどあるわけがないので、委託待ちの人でも安心。
内容は、過去の幻想郷で起きた異変を描くシリアスな“過ぎ去りの夜”と、
会話のみで話が進んでいく現在の“すきやきの夜”の、二つの時間軸が交互に描かれ進んでいく。

“過ぎ去りの夜”は、序盤はコメディチックな描写も多くテンポ良く進み、中盤からぐいぐい引き込まれ、終盤で大いに泣く。
紫が過去を今に重ねてしまう部分や、文々。新聞の名前の由来など、俺の涙腺を刺激する描写が多くて大変困った。
最終戦での掛け合いで“あや”が言ったセリフがとても印象的。

“すきやきの夜”は、会話文のみで進行する事もあって、テンポは良いけどちゃんと情景を想像できないと面白さ半減。
例えるなら、ラジオでコントを聞いてるような感じ。
あらすじにも書いてある通り紫がやけにテンションが高いけど、最後まで読めばその理由も何となく察することができると思う。
俺はレビュー書いてる今気付いた。

二つの夜はお互いに伏線が散りばめてあって、一回で全てを理解するのは難しいかも。今気付いた事もあるくらいだし。
俺が最初に読んだ時は約70KBと結構長めの文章を、読んでは戻り読んでは戻りを繰り返しながら読み進めてた。
それはつまり、そうしても苦にならない程作品に引き込まれてたわけで。
……そういえばこれ、名前しか公式設定無いって事はある意味オリキャラモノなんだよね、しかも最強モノ。
だけどキャラがしっかり立ってる上に強い理由も納得できるから不快感は無かった。

★★★★☆ 星は4.5で。これを越える“あや”モノは無いんじゃないかな

騙されたと思って読んでみて!

【作品集】49
【タイトル】すきやきの夜/過ぎ去りし夜
【書いた人】まのちひろ 氏
【URL】
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1203562218&log=49

【あらすじ】

あやとあや。
片方のあやは屈託のない珠のような笑顔で、
片方のあやはちょっと悲しそうな顔をしながら、
二人は夜空をかけた。

そして一方、博麗神社では奇妙な鍋が行われている。

【感想】
二人のあやの物語。現在と過去を交互に積み重ねて、淡々と紡がれていく物語。
決して有名とはいえませんが、まのちひろ氏の筆致は柔らかく繊細で、心に自然に染み入ってくる文体です。
ポイントこそ高いとは言えない作品ですけども、そのクオリティは非常に高いと思います。
物語の意味に気づいたときには、完全に引き込まれたあとだと思います。
騙されたと思って読んでみて!

【総合評価】★★★★★(好きな作品は星の数ほどありますが、読み返すのは貴重でした)

過去は未来に、未来は過去に繋がり、二つの夜は次第に一つの物語を生み出す。

【作品集】49
【タイトル】すきやきの夜/過ぎ去りの夜
【書いた人】まのちひろ 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1203562218&log=49

【あらすじ】
Side A、今よりも少し前の幻想郷。過ぎ去りの夜、二人のあやは身の回りに起きた異変を解決するべく、八雲紫の所へ向かっていた。
Side B、現在の幻想郷。すきやきの夜、八雲紫は伊吹萃香と射命丸文、とある人間と宴会を催す事になる。

過去は未来に、未来は過去に繋がり、二つの夜は次第に一つの物語を生み出す。

【感想】
読んですぐ分かりますが、文と阿礼乙女の物語。過ぎ去りの夜は割と独自解釈が強いか。
物語は交互に展開されますが、徐々に話が繋がっていく所が面白かったです。
過ぎ去りの夜は東方ならではの6stage構成、すきやきの夜は地の文無しの会話のみという拘りも自分にとっては好感触でした。
そして何よりも、二人のあやと八雲紫を巡る儚い物語。妖怪と人間の複雑な関係が非常にせつなかったです。
普段の明るい新聞記者である射命丸文のセンチメンタルな側面を見たい方には特にお勧めできるような作品です。

幻想郷と小さな魔女 前編  茶祖 氏

作品集49, 幻想郷と小さな魔女 前編 (茶祖 氏)
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1203534218&log=49
クロスオーバーの前後編もの。
まぁ、この時季ならわからなくもないかなーってお話。
書きたかっただけーってのは伝わるんだけども、話が唐突すぎてちょっと……って出来。

人と河童の絆 前編  東山良介 氏

作品集49, 人と河童の絆 前編 (東山良介 氏)
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1203282302&log=49
前後編の前編。オリキャラもの。ついでににとりが出てくる。
読みやすいし伝わってくるけど内容が結構アレ。
壊滅的ってわけでもないけど、「これはひどい」と「うわぁ」の中間程度くらいには、まぁ。

風甘  七氏 氏

【作品集49】
【タイトル】風甘
【書いた人】七氏 氏
【サイズ】182.38KB
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1203437625&log=49

【あらすじ】
 二月は主要な行事が無く、新聞のネタが無い。困った文は、最近外から来た守矢神社の面々なら何か知っているかもしれないと、早苗に尋ねた。そこで文は、「ヴァレンタインデー」というイベントがあることを知る。
 幻想郷中に特集を組んだ新聞を配り、明日はその盛り上がりを取材しよう。と意気込んでいた矢先、文に外出禁止令が降りてしまう。

【感想】
 新聞を配る過程が、配っているだけだとはとても思えない面白さ。それだけではもちろん無く、バレンタインという行事を知った住民の行動が、いちいち「らしく」て良かったです。
 文の外出禁止を知った椛の奮闘にも注目です。

【五段階評価】
★★★★☆

恋の始まり  更待酉 氏

【作品集】49
【タイトル】恋の始まり
【書いた人】更待酉 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/49/1203252582
【あらすじ&感想】
 今からちょうど5年前、2008年2月の作品。四部作構成の3つ目にあたる作品だが、
 単編でも楽しめる内容となっている。尺は33KB、ポイントは2720点、コメント数は10件。
 子ども扱いして譲らない霖之助と、見返してやりたくて分の悪い賭けをしてしまう
 魔理沙の2人を描く。今回は魔理沙が恋した切っ掛けに焦点を当てており、実家を
 飛び出す前の彼女が子どもらしく努力を重ねてゆく過程を中心に物語が進む。

 続く完結編である『恋の行く末』に「感無量」というコメントも残されている通り、
 四部作を通して読むことで底まで楽しめる作品のようだ。各作品の区切りも好いので、
 長すぎず短すぎず、シリーズ物を書きたい人にとっても参考になる点が多い。