作品集50

Last-modified: 2011-01-02 (日) 12:29:48
いあいあふらんちゃん。 人比良氏

「いあいあふらんちゃん。」
作品集:50
作者:人比良氏

あらすじ
紅魔館で働く彼女は名も無い妖精メイド。
ちょっと普通の妖精とは変わった羽を持っているという以外は、全く何の特徴も無いいたって普通の妖精。
ある日の真昼間、その彼女は、その羽でもって紅魔館のとある場所へと飛んでいた。
――噂話で聞いた、存在しない地下室を目指して。(本文より抜粋)

人比良氏のダーク系作品の一つ。
まず題名で吹くかもしれませんが、内容は半端じゃない戦慄をぶちかましてくれやがります。
日本語が意味不明になってますがまあ気にせんでください。
ネタバレになってしまいますのであまり詳しくはいえないのですが、
「なぜ○○○の○○が○○なのか」ということについて、この解釈は流石と唸らせてくれる作品でございます。
不思議さを感じさせる独特な文体と表現に非常に惹き付けられるかと。
ぜひご一読ください。

発想     ★★★★★(前述しましたが、この発想はすばらしいかと)
文章力    ★★★★★(するする心に入ってくる文章です)
テンポの良さ ★★★★☆(とんとんとん、と軽く読めます。)

はかなき、いのちのために―― イセンケユジ氏

【作品集】50
【タイトル】はかなき、いのちのために――   【書いた人】イセンケユジ 氏
【あらすじ&感想】
霊夢は……私の目の前で、『彼女』の、抜けるように白い肌を、一瞬にして赤黒く染めた。
止めることは出来なかった。

『彼女』が、霊夢によって亡きものにされたことを、私は忘れない。
 ――東風谷早苗は、忘れない。
(本文導入部)

大切な『彼女』を無残にコロされた早苗さんの復讐劇。
二柱に止められても止まらぬ鬼と化して、虎視眈々と復讐の機会を伺う。
そして……惨劇が幕を開ける。

冒頭からは血生臭さがただようが、グロはないのでご安心。
惨劇の瞬間まで緊張感を高めつつ読んでいって貰いたい。

【五段階評価】
総合評価 ★★★☆☆(終わり方が読めてしまうかどうかで、面白いかどうかが分かれると思う)

博麗霊夢の物語 小言好兵衛氏
読み終わった後に改めて最終ステージへ挑んでみるのも一興か。

博麗霊夢の物語 作品集50
霊夢の或る未来を見つめる語り部と、その語り部に向ける想いを語るパチュリー。
次第に少女らしさを捨てて大人になっていく霊夢と、それを見つめる語り部が切ない。
独自解釈の趣が強いが、端的に短く纏められているので読みやすい。
読み終わった後に改めて最終ステージへ挑んでみるのも一興か。

謎に包まれているレミリアの能力に対する一つの独自解釈

【作品集】50
【作品】博麗霊夢の物語
【作者】小言好兵衛氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1204873028&log=50
【あらすじ】
レミリア・スカーレットは一人視る。博麗の巫女が辿る運命を――
【感想】
謎に包まれているレミリアの能力に対する一つの独自解釈。
パチュリーと咲夜との会話と、レミリアの独白が交互に綴られるが、本筋となるのは後者。感情を排した淡々とした描写がとにかく切ない。
短編ですが、構成の妙も感じました。文章に微妙な違和感を覚えた貴方、最後まで読めばその意味は分かります。
【5段階評価】
文章★★★★☆(個人的には★★★★★を付けたい)
構成★★★★★
切なさ★★★★★
百合★★★☆☆
総合評価★★★★★

やまいだれ 奈利氏
どうして、急にこんなにも変わってしまったのか。

【作品集】50
【タイトル】やまいだれ
【書いた人】奈利氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1204850349&log=50
【あらすじ】
どうして、急にこんなにも変わってしまったのか。
何故、こうも変ってしまったのだろう?
心が荒みきった霊夢は、厄神に出会い――

【感想】
とにかくダーク。
あまりに人を選びすぎる作風で、評価は真っ二つに分かれそう。私自身は基本的に甘甘な話、救いがある話好きなのですが、それでもこの作品には衝撃を受けたということを参考までに書いておきます。
ラストはハッピーエンドなのか、それともバッドエンドなのか。救いはあったのか?ここも意見が分かれそうなところ。読み終えた貴方、どう思いますか?
あと雛様怖すぎ!
【五段階評価】
文章:★★★★★
構成:★★★★☆
鬱:★★★★★
黒百合:★★★★☆
厄神様の恐怖:★★★★★★★★★★★★★★★★
総合評価:★★★★★
文章には最高評価を付けましたが、軽快さや流麗さといった要素は全くなく、とにかく「力で押す」文体。しかしそれが持つパワーがまた凄い。読んでいて圧倒されるような感覚を味わいました。
この内容にこの文体はぴったりでしょう。心の弱い私は読んでいて何度か心が折れそうになりましたが。

背徳系鬱の頂点

【作品集】50
【タイトル】やまいだれ
【書いた人】奈利氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1204850349&log=50
【あらすじ】
アリスと魔理沙と霊夢はいつも三人だった。やがてアリスと魔理沙の距離が縮まり、三角のバランスが崩れ始める。
その憂さ晴らしに霊夢は雛を虐殺せしめんとし、逆に雛の厄に取り付かれ、博麗の巫女は堕ちてゆく。
【感想・考察】
いっつも意図的にこの感想考察欄は鬱物に慣れ切って退屈になった人間のような文面になるようにしているのだがこれはその通りとはいかない。少し放心してしまった。伊達に今も語り継がれる名作というわけではないようだ。
陰鬱とした三角関係、霊夢の飢えへの苦しみ(マイ○ス○ラ○バー氏のアレを思い出す精度の描写で)
最終的に厄は二人を結んだわけであるが
この作品には霊夢と雛への歪んだ愛が纏めて叩きつけられおぞましいオーラを放っている印象がある。
ただ、この際他の大妖怪が出てこないなんて言うのは二人のセカイには野暮としても
アリスと魔理沙に復讐を考えないのが不自然であると思った。
名もなき厄神一つになる前に幻想郷最強と厄神様が二人を華麗に惨殺して
それから晴れやかに未来に二人で歩き出す、そんなエンディングを見たかったと言える。
まぁ、それをしないからこそハッピーエンドであると感じた人もいると思うし、色々難しいところ。
ただ一つ言えるのは、精神病等の治療には「病識」という、要するに自分が病気であるという気づきが必要で
この結末もまた霊夢が本来の気づきと別の気づきを得た、と、ただそれだけのハッピーエンドであるということ。
これを読んだら鬱物全てに惚れ込んでしまいそうで、親しい友人にはオススメすることができなさそうだ。
というか、注意書き書かなくてもいいかもねって感想がついてたのは驚き。
SS自体のパワーによってはそこまで許されるのか、妬ましい妬ましい……
[HE力]★★★★★(彼女たちは幸せでした)
[鬱力]★★★★★(途中までは読みたくないと思ったレベル)
[グロ]☆☆☆☆☆(飢えた霊夢の描写に注意)
【総合評価】★★★★★(背徳系鬱の頂点、このレビューを追いかけるのならまずはここから

蝶々の日々 MS***氏

【作品集】50
【作品】蝶々の日々
【作者】MS***氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1205156760&log=50

【あらすじ】
「私、縁談決まったわ」
霊夢は鉄瓶を取り、こちらに背を向けて言う。
(本文より抜粋)

【感想】
最初の一行が全てな作品、と思った。
咲夜、魔理沙、霊夢。かつて少女だった彼女らが大人になったころの、日常を切り取ったお話。
死別物や老衰物は結構良く見るけど、こういう風に大人になった霊夢たちというのは新鮮に思えた。

【5段階評価】
文章  ★★★★☆
構成  ★★★★☆
あの頃 ★★★★★

紅美鈴~みんなに愛される程度の能力~  にゃおさん

【作品集】50
【作品】紅美鈴~みんなに愛される程度の能力~ 「お勧め!」
【作者】にゃおさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1205300940&log=50
【あらすじ】
紅魔館の門番、紅美鈴は毎日理不尽な暴挙を受けていた。それは紅魔館の住人たちの歪んだ変態的愛情の発露であったが、ある日ついに美鈴は家出する。
【感想】
レミリアを筆頭とする紅魔館メンバーの変態ぶりがアレです。しかし、いっそ潔い故か下品さを感じないのが不思議。美鈴が皆から愛されていることと、愛されて当然な美鈴のキャラクターが巧みに描写されています。やはり、文章の読みやすさは非常に大切だと思いました。
この作品のように読みやすいと、多少長くても読むのが疲れません。もちろん、ギャグ風味であることと、勢いがあることも要因のひとつではありますが。

オトナのダブルクォーテーション  冬扇 氏
レミリアとフラン、どちらが大人であるかを決めるためリドルが始まる。

【作品集】50
【ポイント】24050
【レート】14.68
※2009/08/19時点
【タイトル】オトナのダブルクォーテーション
【書いた人】冬扇 氏
【あらすじ】
 レミリアとフラン、どちらが大人であるかを決めるためリドルが始まる。
【感想】
 キャラの行動・発言が全てにおいて想定の斜め上を幻想風靡並みのスピードで疾走していき、それでいて軸は外さずしっかりと締めているのが凄い。
 キャラクターが清々しいほどに変態だが、それ以上に普通の東方創作ならまず出ないぶっとんだ発言に注目。例えばこんな感じ
「フラン、貴方はいつの間にかこの姉と共にある麗らかなシャンゼリゼ通りをはずれ、八王子インターチェンジに並んでしまっているわ。……考え直してフラン。その道の向こうには奥多摩しかないの。」
 電車の中なのに思いっきり吹きました。もうこの人の語彙力とセンスには勝てる気がしない。
ナンセンスギャグの頂点と言っていい作品。

随所でフランの魅力が強調されているのですが直前直後で色々と台無しだよw

【作品集】50
【タイトル】オトナのダブルクォーテーション
【書いた人】冬扇氏
【容量】約92kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1204851688&log=50
【あらすじ&感想】
ピアスを付けたいと言うフランドール。それが思春期から来るいわゆる"オトナ"になりたい願望から
来るものだと看破したレミリアは、全五問のリドル(なぞかけ)でフランドールに"オトナ"である
自らをフランドールに見せ付けようとする。
第一問、オトナたる者は社会・世界を見渡す目を持つべきである。それを踏まえた今最も憂うべき問題とは?
レ「老々介護」フ「環境破壊」

ギャグ作品を語る際には必ず名前の挙がるこの作品、現在(2010/11/9)レート14.45・25000点とかなりの評価を既に得ています。
冬扇氏のギャグはどう考えても幻想郷に無いであろう単語が頻発する癖に違和感をぶっ飛ばす勢いで
笑わせてくるからネガティブな意味じゃなくズルい文章です…
間を置かずに攻め立ててくるギャグはネット上の個人サイトだからこそ盛り込めるネタがふんだんに盛り込まれ
吹き出す、あるいは不気味にニヤニヤすること請け合いです。
スレで度々出る某前市長のネタは特にこの作品のカオス度を表しているでしょう。
随所でフランの魅力が強調されているのですが直前直後で色々と台無しだよw
★★★★☆(完全なる壊れギャグなのでまず読まない方もいるでしょう、それでもオススメ)

Yakumo’s pledge 前編  詩所 氏

作品集50, Yakumo’s pledge 前編 (詩所 氏)
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1204835136&log=50
オリキャラの出る八雲(?)IFもの。
ネタとしては俺好みなんだけど、読むに当たって「こうなんですがわかりますよね?」感が凄い。
んで、読み進めていって後書き。いやいや……

風に乗りて歩むもの ~ 春一番、まわる! 厄神さま (1)  一野干 氏
連作ものの一作目。早く本題に入れと感じた作品。

作品集50, 風に乗りて歩むもの ~ 春一番、まわる! 厄神さま (1) (一野干 氏)
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1204760758&log=50
連作ものの一作目。早く本題に入れと感じた作品。
注意書きはどこいったんだよというか。語り部もとにかくまどろっこしい。
まぁ、連作ものの一作目だからとはいえ、これ単体の評価しろとなるとね。
点数どおりだな、と。

まず分割の必要はなかったかなあと惜しみたいものです。

【作品集】50
【タイトル】風に乗りて歩むもの ~ 春一番、まわる! 厄神さま (1)(2)(3)(4) (全4話構成)【書いた人】一野干氏
【容量】約55kb
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1204760758&log=50
    ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1204760786&log=50
    ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1204760800&log=50
    ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1204760871&log=50
【あらすじ&感想】
霊夢の元に押しかけ騒がしく酒を飲む萃香と雛。時は春、雛祭り時。
一方その頃、結界の遥か上空ではある飛行機が危機を迎えていた所であった。
ニュースと共に神社に現れた射命丸文が言うには、外の世界の「飛行機」とやらが幻想郷に落ちてきたらしい。
「エルニーニョ」「ラニーニャ」だか名乗る二頭の天馬と共に。

まず分割の必要はなかったかなあと惜しみたいものです。
冒頭の注意書き通りの大地雷、オリキャラがスペルをぶっ放して住民と戦う話であります。
そこを許せる人でも読み始めてすぐ気付く違和感。そう、この話は全編通じて落語の噺家が
演じた言葉をそのまま文章に起こしたような、そんな特殊な話し言葉で書かれているのです。
こんな文章が書けることにまず嫉妬もとい尊敬しますねえ。能力を身につけた上で、
さらにそれを東方にぶち込むことによって誰も真似することの出来ないような作品になっています。
色々と寛大な方は是非どうぞ。いやあ出会えて良かった。
★★☆☆☆(超を付けるオススメですがどう考えても★2つがピッタリのような)

夏が好きな妖精  八重結界氏

【作品集】50
【タイトル】夏が好きな妖精
【書いた人】八重結界氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1205343263&log=50
【あらすじ&感想】

 始まりはいつだって輝かしく、光って見える。例え、その先にどんな結末が待っていようとも。
 レティは胸に手を当てて、あの日のことを思い出した。
 どうせ今生の別れとなるのなら、幸せな記憶を思い出したい。そう、呟きながら。

 

 八重結界さんの比較的初期のシリアス作品。
 八重結界さんはシリアス作品を書くときには物語の核心部分というか、心臓部を描かないようなものを隠す癖がありますが、
 それが特有の味ということで(おくうの愛した葬式などそれが顕著)
 この作品は点数こそ奮わなかったんですが、物語の面白さとしてはレベルの高いものでした。
 あまり人には薦めたくないものの、この流れならば・・・!
【五段階評価】
★★★★☆

鈴仙と狂気の夜  暇人KZ 氏

【作品集】50
【タイトル】鈴仙と狂気の夜
【書いた人】暇人KZ 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1204318815&log=50
【あらすじ】
ある夜に鈴仙はおかしな夢を見て目が覚め、喉の渇きを押えようと台所に向かう。
向かった台所では暗闇の中動いていた永琳に出会う。
「ところでレイセン。月の都のことなんだけど。」(本文より)
そして鈴仙は、月の話を永琳から振られた。
【感想】
後書きいわく、時間軸は花映塚の後。それを生かした作者初のホラー。
鈴仙目線で話を見ているとなお引き込まれます。
夢って、時に怖いものですよね。

【五段階評価】
★★★★☆(鈴仙は良い子だよ、そうだよね?派向け)

【おまけ・作者しばりのオススメ】
完全で瀟洒  →「咲夜と手品講座」(作品集54)
ギャグしんみり→「伊吹 萃香がやってきた」(作品集68)