作品集56

Last-modified: 2011-04-02 (土) 15:21:22
遅刻 ごんじり
自分が遅刻した事にも気づいていない遅刻者と、遅刻者を優しく見守るリグルの話。

遅刻 ごんじり
自分が遅刻した事にも気づいていない遅刻者と、
遅刻者を優しく見守るリグルの話。
短いのでさくっと読める。
遅刻者の周りのキャラ達と読者は、彼が過酷な状況に置かれている事を知っているが、
当の本人はのんきにしているのが滑稽で悲しい。

巡る巡る季節、その流れからズレてしまったモノの話。

【作品集】 創想話56
【タイトル】 遅刻
【書いた人】 ごんじり 氏
【URL】 ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1215272475&log=56

【あらすじ・要約】
巡る巡る季節、その流れからズレてしまったモノの話。

【感想】
この作品を読んで目を引くのは、主役の語り口から感じられる死の足音、でしょうか。
読者側が作品冒頭から薄々と、またはハッキリと主役の正体を掴んで行くにつれ、そして物語が進むにつれ、
死の足音が近づいてくるのが感じ取られ、物悲しいような切ないような感情が静かに横たわっていきます。
本来であれば、遅刻をしなかったならば、この主役は恋をし、大いに歌い、子を残し、そして死んでいっていたのでしょう。
しかし、結局何もすることはできなかった。自分が同じ境遇に置かれたらと思うと余計に哀しくなります。
が、大妖や秋神様の計らいが、そして優しい虫の王が、この主役の生に意味を与えてくれた。救いを与えてくれた。
だから、この主役も不幸ではなかったのだと思いたい。
逆に辛かったのは虫の王でしょうが。
秋の訪れに歓声を上げる子供たちと、秋の始まりに片隅でひっそりと静かに息を引き取る主役を見守る虫の王。
このコントラストが、今までも、そして、これからも遅刻者を見届けていくのであろう虫の王の心情を、より深く読者側に想起させているように感じられます。
この不器用な虫の王に、安息の日々が訪れるのを切に願ってしまいます。

【五段階評価】
秋恋し★★★★☆
物悲し★★★★★

お茶くみ上海人形 ペ天使B 氏

【作品集】56
【タイトル】お茶くみ上海人形 【書いた人】ペ天使B 氏
【あらすじ&感想】
先客万来アリス邸。上海の仕事はアリスの手伝いとお客様のお茶汲み。
今日も今日とて客が来る。上海人形、何を想う?

上海の一問一答……ではないが、上海視点で見る東方全キャラの一言感想SS。
テンポのいい文章でさらりと読める。時々の小ネタでくすりと笑える。
そして何よりも上海人形の可愛さは特筆に価する! 萌えるぜ!!

ほのぼの系なので特にヤマもなくあっさり終わるが、たまに読むと癒されます。
心に安らぎが欲しい時にどうぞ。

つばくらめの雨  あまぎ氏

【作品集】56
【タイトル】つばくらめの雨  【書いた人】あまぎ氏
【あらすじ】
神様は梅雨の世界、灰色の世界、雨の日独特のにおいがお気に入り。
もう梅雨という時期、うちの神社――守矢神社の拝殿、その軒下には毎年つばめがやって来る。
つばめがやって来たその日の夕飯は少しだけ豪華になる。
神様がつばめに感謝することがあってもいいんじゃない?

【感想】
諏訪子の一人称。
ギャグじゃない作品の諏訪子の一人称は珍しいと思う。
日本の神様らしいというか諏訪子らしい世界の見方・考え方が素敵。
上手く言えないが作品に流れる雰囲気がとても良い。
読後感はすっきり。

この世界に愛を  しかばね氏

【作品集】56
【作品】この世界に愛を
【作者】しかばね氏
【あらすじ】
※ジャンル:萌え萌えハートフルラブストーリー
※作者は、精神的な面で疲れ気味です。
※思いっきり媚びに媚びた「萌え要素」だけが全ての、何ともいやらしく、あざとい話です。
本文注意書きより。多分大体この通り?

【感想】
はじめから最後までネコミミ三昧。幻想郷のいたるところがネコミミです。
……と聞いて何かを期待したそこのあなた。作者はしかばねさんですよ? 
気を抜くな! MPと腹筋をごっそり持っていかれるぞ!
しかし、ゴジ○の背中? モケーレムベンベ? きっと無問題さ。
だって真のネコミミ好きを自認する諸兄なら、きっと萌え死ぬことだってできるに違いないのだから。

【5段階評価】
文章★★★★☆
ネコミミ★★★★★
作者は病気★★★★★

リトルデビル対空飛ぶドラキュラ!(吹き替え版) 目玉紳士さん

【作品集】56
【作品】リトルデビル対空飛ぶドラキュラ!(吹き替え版)
【作者】目玉紳士さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1214901525&log=56

【感想】
パチュリーが原因の異変。レミリアVSパチュリー、アシスト小悪魔。
B級映画っぽいタイトル。吹き替え版というあたりが作者のこだわりが見えたりします。クトゥルフ神話のアイテムが使われているのもB級っぽいですね。とりあえず、クトゥルフアイテムは便利です。とりあえず、文章が読みづらいのが何とも。あとは、レミリアは正気に見えるのに、なぜ戦っているのかがよく分からなかったり。いや、そこらへんはB級映画っぽいと言えば、非常にB級映画っぽいのですが。

彼女が遺してくれた物 梅凪 氏

【作品集】56
【ポイント】15850
【レート】12.03
※2009/08/18時点
【タイトル】彼女が遺してくれた物
【書いた人】梅凪 氏
【あらすじ】
「お暇を頂きたいと思います」
十六夜 咲夜はレミリアにこう言い、メイドを辞した。
自分の跡継ぎを残し、紅魔館の機能を損ねることなく……
【感想】
 メイド長の代替わり話は数あれど、このキャスティングは全くの予想外だった。
完璧で瀟洒なメイドから完璧で瀟洒なメイド達への引き継ぎ。
かなりのサプライズ人事なのだが、すんなり受け入れることができたのは、氏の文章力か、それとも咲夜の瀟洒さ故のものか。
 最期の最期まで完璧で瀟洒な従者を貫き通した咲夜の、人生の幕引きの物語。
こういう人生の幕引きが出来たなら、それ以上幸せな事はないんじゃないかな、と思う。

紅魔館の平凡な日常←傍観者  にゃおさん

【作品集】56
【作品】紅魔館の平凡な日常←傍観者
【作者】にゃおさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1214936738&log=56
【あらすじ】
美鈴は人里に私服を買いに行くことにした。その付き添いを巡って、レミリア、咲夜、アリスの思惑が交錯する。
【感想】
シリーズもの8作目。このシリーズの中では短めです。平凡ではないですが、日常のワンシーンといった感じです。
美鈴を巡ってのレミリアと咲夜の変態ぶりと、アリスのお母さんぶりがいかんなく発揮されています。咲夜のある台詞が妙に印象的です。あと、小悪魔の悲鳴が。

『火の鳥 ポテト編』  ら氏

【作品集】56
【タイトル】『火の鳥 ポテト編』
【書いた人】ら氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1214572590&log=56
【あらすじ&感想】

こちらも食べ物に関するネタがテーマ。凄くまったりした妹紅の語り口が心地良いです。
道中のネタは相変わらず面白いのですが、ところどころで尺を取りすぎな印象。
のんびりニヤニヤしたいな、と時間に余裕のある方に相性が良さそうです。

貴方のレミリアは笑っていますか?  幻想と空想の混ぜ人 氏

【作品集】56
【タイトル】貴方のレミリアは笑っていますか?
【書いた人】幻想と空想の混ぜ人 氏
【ポイント】9190
【レート】11.59
(2010/05/19時点)
【あらすじ】
 戦いに敗れた霊夢が落ちてゆく。それを受け止めた紅魔館の館主は手を下す。
もうこれで何度目だろうか、私はいつまで霊夢を殺し続ければいいのだろうか。
【感想】
 東方紅魔郷をボス視点から見た作品。あくまで紅魔郷であり、紅霧異変でない事が重要なポイントである。
紅魔郷における霊夢とは何なのか、Easyでレミリアまで到達できない理由は何か。
それらが、苦悩するレミリアと共にしっかりと描写されている。
STGの主人公ということに着目し、霊夢に対する新しい解釈を投げかけた作品。
読んでいてハッとなる。そして紅魔郷をクリアしていない事を申し訳なく思うだろう。
【総合評価】★★★★☆(ちなみに自分は未クリア……)

天人と妖精  華月 氏

【作品集】そそわ56
【タイトル】 天人と妖精
【書いた人】 華月 氏
【URL】
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1214325701&log=56
【あらすじ】
天子は退屈だったので下界を回っているといきなり氷が飛んできた。
【感想】
天子・チルノ・大妖精のほのぼの
猪突なチルノ、苦労人の大ちゃん、ちょっとお姉さんな天子の
3人の織り成す雰囲気を楽しむ作品。
どうでもいいけどテンジンとニンジンって似てるよね!

「良いも悪いも。「友達」ってそんな許可求めるもんなの?」
【五段階評価】
★★☆(2.5) (この作品が気に入ったなら作品集67「天人と妖精と冬の妖怪」もどうぞ)

わたしのいたいばしょ  某の中将 氏

【作品集】 そそわ56
【タイトル】 わたしのいたいばしょ
【書いた人】 某の中将 氏
【URL】
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1214692012&log=56
【あらすじ】
天人のトップクラスの人物が博麗神社へ埋め込んだ要石を引き上げる事が決定された。
それにより今までにない地震が幻想郷を襲う事を知らされた天子は引き上げを阻止するために奮闘する。
【感想】
オリキャラ注意とあるがきちんと描かれているしオリキャラは死滅しろ!
って人でもない限り気にならないと思います。
あらすじは簡単に書いてますが地震が起こる事が自分のせいだと知り悲しみにくれる天子、
引き上げを阻止するために動く決意をするまでの苦しみなどがあり見ごたえがあります。
オリキャラと衣玖も天子を影から見守る描写があってグッド。
ただ最後の紫とのやりあいで締めるのは作品の雰囲気を崩していて残念。
多分わざと書いてないのだと思うのだけど個人的には母親に突き放されてから
天子が雄叫びをあげるまでにどうして決意を固めるにあたったのかもう少し描写があればなあと思う。
他作品とは一味違った天子を楽しんで下さい。

「私がそうするのは、これからも私が楽しみたいから。地上で楽しく遊びたいから。ただ、それだけ」

【五段階評価】
★★★★★ (天子スキーならぜひともおすすめしたい作品)

寝子の夜  稲生氏
一人と一匹の交歓の記録。

【作品集】56
【タイトル】寝子の夜
【作者】稲生氏
【本文容量】32.7KB
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1214746372&log=56

【あらすじ】
ある雪の日、霊夢は猫を拾った。
そして半年の後、霊夢は夢と現の隙間に浮かぶ蜃気楼を見る。

【感想】
一人と一匹の交歓の記録。
手を出しゃ逃げられ、踵を返せば懐かれる、気づけばこちらがあの子の虜。
猫の相手をするのってこんな感じですよね。
夏の熱気が画面の向こうから漂ってきそうな表現力はさすがの一言です。

お櫛くわえたドラ猫おっかけて、裸足で駆け出す霊夢さん

【タイトル】寝子の夜
【書いた人】稲生 さん

【あらすじ】
お櫛くわえたドラ猫おっかけて、裸足で駆け出す霊夢さん
辿り着いたのは、不思議な不思議な、街。
いったいここはどこだろう?
しゅがないから、なあお、と、彼女は鳴いてみるのだった

【感想】
いわゆる、雰囲気系SSと呼ばれる類
エンターテイメント性が極めて薄く、知的な好奇心を刺激する要素も極めて浅い
見所は、実に表情豊かに語られる幻想郷の有り様、日常、情景
霊夢の目を通して描かれるそれらこそが、主役と言っても良い
なので、人によっては、「気取った文章で書かれただけの、なんの面白みもない自己満足作品」と取られてしまうかも知れない
けれども、この作品の主役はあくまで、霊夢でも猫でもなく、幻想郷そのものだ。これが実にみずみずしい
娯楽映画でも漫画でも小説ですらない、あくまで風景画として書かれた、風景が主役であるこのSSに、面白みを期待するのは間違っているんだろうなあ
そんな事を感じる作品だった

史詠む月日 早苗と阿求  乳脂固形分氏

【作品集】56
【タイトル】史詠む月日【書いた人】乳脂固形分氏
【容量】約71kb
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1215271437&log=56
【あらすじ&感想】
少年が眼を開けてみると見知らぬ女性がいて、見知らぬ場所にいた。
沢で倒れていたところを救助されたらしい。らしいと言うのは、名前すらも忘れる記憶喪失となっていたからである。
上白沢慧音と名乗った女性はこの時代が止まったかのような場所の説明を始めた。
曰く、明治代に隔離された山奥であるということ。管理人は旅に出てしまったということ。
昔は小さいながら集落があり、自分は寺子屋の先生をしていたということ。
慧音との生活を続ける少年だったが、行動範囲はかなり制限されていた。道の向こうには崖しかないとも言われていた。
――とある日、いきなり慧音の態度がよそよそしくなり、家を長い時間空けるようにもなった。
疑問がつのる少年は、猫に導かれるままに禁止されている道を歩いていった。そこにあった世界は――

名無しだけどオリキャラ男がいきなり看病シーンから登場…ですが
そこで引き返すのはもったいない、そんな第一印象でした。
普通の少年と慧音が仲良くなっていく物語の中に悲しい現状を匂わせる単語を盛り込み
最後に見せられる衝撃と悲劇。東方のノスタルジック成分に惹かれる方が多いのは
やっぱり最近は都市伝説の中に怪異が詰まっていて自然の立ち入る余地が少ないからなんでしょうかね。
★★★★★(まあ昔への回帰が流行る日本は何だかんだ幸せなんでしょう)