作品集57

Last-modified: 2011-03-06 (日) 21:26:49
イチジクの花 MS***氏

イチジクの花 MS***氏
「あまいですね」「もうすこししたら、もっとあまくなるわ」
鈴仙と姫が語るお話。それだけと言えばそれだけだし、雰囲気だけのSSと言っても多分そうだと思う。
ただ、その雰囲気が素晴らしくいい。姫と鈴仙の信頼が文面がらにじみ出るようなそんなお話です。
あと、ひらがなをこれだけ上手に活用している作品はあんまり無いんじゃないだろうかと。
短く読後感がさっぱりしてるのでので、手軽にさらっと読みたい人にお勧め。

むしのね 藤村流氏
「……痛かったんだよ、みんな……」

むしのね 藤村流
「……痛かったんだよ、みんな……」
森の中で出会った人間と奇妙な交流を始めたリグル。しかしその人間の目的を知って……。
ほのぼのと思いきや、中盤よりとんでもなく深刻な話に。
愚かな人間と、リグルの悲壮さと、叩きつけられる感情が酷く胸を打つ。
構成に所々たるみと呼べるような場所があるし、設定も少し不自然に感じた場所もある。
しかし、美しい筆致はそれを十分補えるものだと思う。
深すぎる読後感にしばらく浸っていたい。そんな人にお勧め。

妖怪でも人間でも昆虫でも、生きるためには何かを殺さなくてはいけない。

【作品集】57
【タイトル】むしのね
【書いた人】藤村流 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1216477454&log=57

【あらすじ】
じとじとと暑い夏の日のこと。
リグルはある青年と出会う。

【感想】
静かで悲しいお話。
妖怪でも人間でも昆虫でも、生きるためには何かを殺さなくてはいけない。
だからといって、殺された側は納得がいくだろうか?
ましてや残された者が、そう思えるだろうか?
そんなことを投げかけたSSだと思います。
少しネタバレになるかもしれませんが、印象に残った青年のセリフ。

「ない」

これに絶望と戦慄を覚えました。

天空のデリカテッセン(前)(後) 反魂氏

天空のデリカテッセン(前)(後)
「……平常が幸せになるってことは、絶対にあり得ないと思う」
おおざっぱに言えば、天子が料理を作る話。
話の流れとしてはコメディなのだけど、書き方がシリアスのそれなので幾らか雰囲気に乗りにくい部分がある。
しかし、随所に仕込まれたギャグのセンスにはパワーがあるし、
文章もとても上手いので、センテンスを噛み砕いていくだけでお腹一杯になれる。
そして最後はちょっといい話に。
「ぜんじんるいの、ひそーてーーーーん!!!!!」

神遊び Closetさん

神遊び Closetさん

忘れ去られると消えてしまう神様と見えないものを見てしまう少女の交流。
祭りも含めた雰囲気の良い作品でした。
儀式を伝えてしまう気持ちが伝わってくるし、その儀式を伝えられたことが、
エンディングにつながっているのかなって気がしてとてもよかった。

いい女になる条件 道標さん

いい女になる条件 道標さん

ど百合だそうです。注意。
霊夢と早苗さんが仲良くしているのがとても幸せそうで良かった。
早苗さんの○○するところはちょっと展開が急すぎるかなって思わないでは
ないですが、そこを差し引いても面白かった。霊夢がもう少し色気づいてくれたらw

幻想入りさせてみました 詩所氏

幻想入りさせてみました 詩所氏

あらすじ
怖い話を聞いて帰ってきた妖夢は、
幽々子から「白玉楼に伝わる幽霊の掛け軸」の話を追い打ちで聞かされる。
その夜、寝付けない妖夢は掛け軸を確認するために部屋を出た。
そして何かがおかしい事に気が付いた。

話が進むにつれて混乱させられます。
何が本物で何が偽物かわからない。
事実がどんどん嫌な方向に転がっていく気持ちの悪さ。
ラストがブツ切りになっていて、その後どうなったのかさっぱり読めない。
タネはいらない。理不尽な物ほど怖い。という人にオススメです。

備えあれば憂いなし  ネコ輔 氏

【作品集】57
【タイトル】備えあれば憂いなし    【書いた人】ネコ輔 氏
【あらすじ】
地震が起きるとい伝える、衣玖さん。緋想天の衣玖ストーリーの展開。
でも実際は地震は起こらなかった。そうしたら幻想卿の住民達はどういう反応をするだろうか。
【感想】
裏ストーリーというかエピローグのような。
読むと「確かにこうなりそうだ」という説得力。後半の展開とまとめ方が素敵。
登場キャラの感情の変化がよく伝わってきて、読後感がさわやか。
普段熱い話を書く作者だからフィーバーした衣玖さんが…とか思ったけどそんなことはなかった。

【五段階評価】
発想   ★★★★★
文章力  ★★★★☆
登場人物の表情  ★★★★☆
総合評価 ★★★★☆

痣が残る程に  ねじまき式ウーパールーパー氏

【作品集】57
【タイトル】痣が残る程に 【書いた人】ねじまき式ウーパールーパー氏
【あらすじ】

霊夢が死んだ。
そこから静かに幻想郷へと拡がっていく波紋。

【感想】
ダメです。ワガママです。この文ちゃんは。
自分の気持ち折り合いがつけられていない、霊夢の残滓にいまだ引き摺られている迷惑ものです。
だが、それがいい。

個人的にウーパールーパーさんは、広げに広げた大風呂敷の話のほうが好きですねぇ。
もう少し話の中にトリックが仕込まれていれば、味わい深かったかもしれない。

【五段階評価】
文章★★★★☆(違和感なし)
構成★★★★☆(塩が一つまみ足りない)
天狗道★★★★★(鴉天狗はワガママでないと務まらないのだ)

阿礼少女   反魂 氏

【作品集】57
【作品】阿礼少女
【作者】反魂 氏
【あらすじ】
 ふと思い立ち、阿求はかつて綴った手紙を引っ張り出す。
 紙面に広がっていたのは十二か三の頃の乙女な阿求。思わず赤面してしまうのだった。
 追憶に手を引かれ、阿求は碁盤の上に一つの棋譜を並べ直した。それは彼と打った、最後の一局。打ち掛けの一局。
 出せずじまいの手紙を手に、今もなお心の奥底で燻り続ける想いがあったと、阿求は知る。
 そのとき襖が開き、ある報せが――

【感想】
 くんくん、なんか匂うぞ。どこから匂ってるんだ。
 窓が開いてるのかな?料理してるのかな?香水?紅茶?
 いや……ち、ちがう!これは文字の匂いだ!文字から良い香りがする!ウヒョー
 香り立つ文章が織り成す物語は、どこまでも切ないアキュストーリー。
 思わず机の中からラブレターを引っ張り出してしまった人もいるだろう。そいつは間違いなくリア充だから我々の敵である。

文章★★★★★:この物語にはこの筆致じゃなければ駄目。
構成★★★★★:切なさで殺しにかかってくる布石。

紅魔アローン 目玉紳士さん

【作品集】57
【作品】紅魔アローン
【作者】目玉紳士さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1215581790&log=57

【感想】
フランちゃんのお留守番。犠牲者、天子、衣玖
某映画をモチーフとしています。天子の頑丈さに驚愕。妹様は無邪気な上に強いからたちが悪いですな。とりあえず、天子はひどい目にあうのがデフォということを再認識しました。というか、デフォなために感想を書きづらかったりします。無念。
ここまでが、紅魔アローン2(作品集80)の一応の前提。読まなくてもまあ大丈夫ですが。

耳かき TUKI氏

【作品集】57
【作品】耳かき
【作者】TUKI氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1215690010&log=57
【あらすじ】
ある日の博麗神社。膝枕で眠ろうとする魔理沙を起こすため、霊夢は耳かきを始める。
【感想】
えろーい。作者は間違いなく耳フェチ。
とかく文章の上手さと言うと比喩の巧みさのような技巧面に偏りがちですが、平易で読みやすく、それでいて光景が見事に浮かぶ文章も素晴らしいと思うのです。その点をこの作品は見事に満たしていると感じます。
描かれるキャラもとにかくかわいいです。さくっと読める短編ですので、是非。

【5段階評価】
文章★★★★★
構成★★★★☆
イカロ★★★☆☆
耳フェチ★★★★★
総合評価★★★★★

虹龍の夢、紅龍の未来 前編  にゃおさん

【作品集】57
【作品】虹龍の夢、紅龍の未来 前編 「お勧め!」
【作者】にゃおさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1216597885&log=57
【あらすじ】
レミリアは、父が残した負の遺産として、紅魔館を憎む妖怪たちに殺し合いを申し込まれる日々に心を摩耗させていた。そんな
ある日、レミリアの前に一人の妖怪が現れる。彼女は虹美鈴と名乗った。
【感想】
シリーズもの9作目。かなり長い長編の前編。慧音というか、読者の我々が抱いていた疑問、なぜレミリアがここまで美鈴に執着しているかの解答編になります。
レミリアたち紅魔館メンバーと、虹美鈴の出会いと交流の話。紅美鈴との名前の違いから二人の関係はどうなんだろうと考えながら読み進めていくことになります。虹美鈴が紅魔館においてなしとげたことの数々に色々な驚きを感じます。そして、この先に待つ何かしらの悲劇を孕みながら後編へと続きます。

虹龍の夢、紅龍の未来 後編  にゃおさん

【作品集】57
【作品】虹龍の夢、紅龍の未来 後編 「お勧め!」
【作者】にゃおさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1216597968&log=57
【あらすじ】
ある日倒れてから、急速に容態を悪化させていく虹美鈴。衰弱の理由は、レミリアに語った彼女の正体にあった。
【感想】
これまた長いです。しかし、その長さが気にならないほど先が気になるストーリーです。これまで以上の作品群以上の独自設定、というよりも完全にオリジナルの設定を、ほぼ無理なくストーリーに練りこんでいるのは驚愕です。
いくら何でも幽香と幽々子が強すぎなのが気になるというか、東方の世界設定的に無理あるところが若干あるのと、紅美鈴に対する最初期の扱いに矛盾があるように感じられるのが難点です。
ただ、そこ以外は、本当によく作られたストーリーだと思います。多少設定に無理があろうと、話として面白ければ受け入れられるという良い見本だと思います。このSSは本当に感動できました。

ふうじんしょうじょ  電気羊氏

【作品集】57
【タイトル】ふうじんしょうじょ
【書いた人】電気羊氏
【URL】
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1215541116&log=57

【あらすじ&感想】
早苗さんの幻想入り
読みやすく、散りばめられた描写が話をうまく引き立てていると感じました。
幻想入りの場面の神奈子様の台詞を深く考えると切ない。
悪く言ってしまえばありがちな構成ですが、それを感じさせない書き方でした。

王道を、面白く退屈させないような文を書けるって羨ましい。レビューに通じるものがあるかもw

【五段階評価】
★★★★☆ -1  中盤の突発的な台詞を許容できる人と雰囲気にそぐわないと考える人では評価が変わりそうです

いたずらガーディアン  MS*** さん

【作品集】57
【作品】いたずらガーディアン
【作者】MS*** さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1217473712&log=57
【本文容量】9KB
【あらすじ】
本を盗んでいる魔理沙に目もくれず本棚相手に何かをしているパチュリー
疑問に思った魔理沙は小悪魔に質問します
【感想】
こちらの小悪魔はいかにも司書、といった感じの落ち着いた子です
しかしできる子ってレベルじゃねーぞこの小悪魔

初手、第8手白の歩をd8へ(戴冠)  yubi氏

【作品集】57
【タイトル】初手、第8手白の歩をd8へ(戴冠)
【書いた人】yubi氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1215539302&log=57
【あらすじ&感想】
アリスの目標、完全自立人形についての鋭い考察をした作品。
生命とは何か、自立とは何かという思索は、ハイデッガーの論を思い起こさせる。
また、人の心が孕む矛盾を肯定的に捉えるその姿勢は、人間存在を愛していなければ取れないものだろう。

しかし、しかし何より、ひたすらに文章が美しい。文字列を追うだけで、ケレン味たっぷりに
気取って見せたアリスの声が聞こえてくるかのようである。
こうした、音として美しい文章が私は大好物である。一人になれる時間があれば、
声に出して読んでみてほしい作品だ。

【五段階評価】
★★★★☆

北京の蝶の羽撃きが紐育に嵐を齎す小話  ねじ巻き式ウーパールーパー 氏

【作品集57】
【タイトル】北京の蝶の羽撃きが紐育に嵐を齎す小話
【書いた人】ねじ巻き式ウーパールーパー 氏
【サイズ】157.75KB
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1215768254&log=57

【あらすじ】
風が吹けば盲人が増え、三味線の生産量が増えるので猫が減り、鼠が増えるので桶がかじられ、
最終的に桶屋が儲かる。
つまり、

――橙が危ない。

【感想】
 そんな頭の悪い暴走の仕方をした藍は、起こってしまったことを無かったことにするため、桶屋からつぶすことにした。
 藍はこの後、野球やベースボールの薀蓄と共に幻想郷中を飛び回り、関係者に天誅を下そうとします。バットで。最後に狙うは風を起こした張本人である文。災難です。
 最後は宴会のシーンです。凄いのは、藍の暴走の被害を受けた者が、そのラストシーンで皆、笑っていることです。どうやってあれを団円に持ち込んだのか、訳が分かりません。

【五段階評価】
★★★★☆(野球好きなら1.0、興味が無いなら-1.0。良くも悪くも野球メインです)

禅寺寿司  飛び入り魚氏

飛び入り魚氏の『禅寺寿司』をみんな読もうじゃないか
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1216007909&log=57
みすちーがとにかく可愛い。それでいて登場人物全員が憎めなく、応援したくなるヤツらばかり
良質短編コメディでありんす