作品集64

Last-modified: 2011-03-10 (木) 21:43:19
サーカス八雲 yuz氏

【作品集】64
【タイトル】 サーカス八雲
【書いた人】yuz氏
【タグ】ほのぼの

【導入】
明日は橙の誕生日。藍は紫に橙の誕生日を忘れていないか尋ねるが、覚えているどころかプレゼントも用意しているという。安心した藍に紫はこう言った。「びっくりするようなプレゼントよ」
そして翌朝……

【感想】
なるべく無駄の省かれた文章が禅問答のようなやり取りを生み、何か面白い。大概の作品で藍と橙については分かり合っている設定が用いられているが、かみ合ってない二人と言うのも中々。
ただ文章をかなり削いであるせいか説明不足で唐突な感も否めないので、小説、というよりは小話的なテイストに近い。なのでじっくり読みたい人には向かないが、サックリSSを楽しみたい人向け。

まあしかし作者はあとがきを言いたかっただけな気がしなくもない。それをいいと思うか悪いと思うかはあなたしだい。

【五段階評価】
文章力  ★★☆☆☆
獣分   ★★★★★
総合評価 ★★★☆☆

あるふゆの、ちいさなかみさま みつき氏

【作品集】64
【タイトル】あるふゆの、ちいさなかみさま
【書いた人】みつき氏
【あらすじ&感想】
あるところに一人の老婆がいた。身なりは貧しく、家も古く、家族も夫に先立たれ、子供たちとは長い間あっていなかった。
そのため、唯一の持ち物である広く大きな畑も手がつけられず荒れ果てる始末。
ある夜、その畑に動く影を見た老婆。何者かと近づくと、そこにいたのは葡萄を模した髪飾りをつけた赤い服の少女だった。

秋の神様と人の交流を童話のように描いた物語。
老婆の優しさと神様の慈愛に心がとても温まる作品。
全体の長さもすっきりまとめられ、起承転結もはっきりとしているのでさらりと読める。
ほのぼのとした雰囲気が好き、冬になるのに頑張ってる秋の神様の姿が好き、とにかく秋が好き、という方は特に読むことをおすすめしたい。

【五段階評価】
文章力   ★★★☆☆
構成力   ★★★★★
温かさ   ★★★★★
風邪知らず ★★★★★

緑も紫もある話 沙月氏

【作品集】64
【タイトル】『緑も紫もある話』
【書いた人】沙月 氏
【タグ】まったり 百合? 雰囲気重視

【導入】
 避けることすら出来ない弾幕の中、二人は出会った。
逃げることも出来ぬ世界で、二人は触れ合った。
弾幕に包まれながら、二人は……。

【感想】
割と一発ネタなので多くは語れないですが、とりあえず続編希望な話。
短いけれど情景描写が良くてサラリと読めますが、
それ故に『もう少し読みたかったで賞』です。

あと小悪魔は自重せいwww
この小悪魔だけちょっと作品の雰囲気を乱している気がするのも残念なところ。

【五段階評価】
文章力  ★★★★☆(詞的な情景描写が素敵です)
ニヤニヤ ★★★★★(情景を思い浮かべれば、ニヤニヤ)
総合評価 ★★★☆☆(もう一ひねり、もしくは続きか何か。とにかくもう一つ何かが欲しかった)

大きな大きな私の向日葵  ほんわか長氏

【作品集】64
【タイトル】『大きな大きな私の向日葵』
【書いた人】ほんわか長 氏
【タグ】百合 ほのぼの 異色設定

【導入】
 今日ものんびり向日葵の世話をする幽香りん。
そこへ現れるはウソをつかぬことで有名な鬼っ子一人。
何用かと思えば一言、「ここの向日葵たちの大半は近いうちに枯れてしまうぞ?」
……なんですってぇーー!!!

【感想】
萃香×幽香という異色カップリング……珍しいほうだよね?
午前はほのぼの、午後は百合百合としているが、いかんせんその繋がりがいきなりすぎた。
異色カップルでイチャ甘やりたいのだから、しょうがなかったかもしれないが
違和感の方が強かったというのが正直なところ。
……百合は好きなんですけど、どうやら私シチュについて言葉にできないこだわりがあるみたいで(汗

百合を受け付ける人、甘々話に飢えている方には楽しめるかと思います。

【五段階評価】
文章力  ★★★☆☆(文章そのものはきれいだと思います)
構成力  ★★☆☆☆(展開がやや不自然。引っかかる人には引っかかるかも)
甘さ   ★★★★★ (誰か、少しでいい……塩分を……!)
総合評価 ★★★☆☆(悪くは無いけど題材・文章構成ともに人を選ぶ作品です)

『しゃがみガード』 陸猫氏

『しゃがみガード』 陸猫氏

登場キャラ フランドール 慧音 咲夜 レミリア

あらすじ
フランドールは慧音に家庭教師をしてもらうことになった。
ある時、フランドールの様子がおかしいことに気づいた慧音は、
彼女に何か悩みがあるのか尋ねる。
果たしてフランドールの悩みとは何か? 
そして、慧音が彼女に対して語った言葉とは?

ギャグもののようなタイトルとは裏腹に、心温まる一作となっています。
さほど長い話ではありませんが、内容は程よく詰まっています。
ちなみにタイトルの由来は……是非、最後まで読んでみてください(笑

ほのぼの度★★★★
読ませる度★★★
ミステリー★

吹き、荒れる、風 twin氏
ラストの文章は短いながらも、恋愛の怖さを思い知ることになる。

【タイトル】吹き、荒れる、風
【書いた人】twin氏
【あらすじ&感想】
「あれ、小さい」
霊夢の妖怪よりも怖い男だという冗談に騙され、初めて霖之助と出会った早苗は思わずそう零してしまった。
自分の失態に思わず謝る早苗と、そんな冗談に振り回される彼女を素直だと思う霖之助。
次第に交流を交わし、本という趣味の共通も相まって親交を深める二人だったが、その間には既にスキマ妖怪の思惑が隠されていた。

素直な少女の思いを描いた物語。
きめ細かい情景描写と早苗の少女らしさを綴った濃密な心理描写に、読み物好きにとって満足できる作品。
人間と妖怪の血を引いた異端であるという霖之助の葛藤にも注目したい。
そしてラストの文章は短いながらも、恋愛の怖さを思い知ることになる。
ただ、あまりにも濃密な地の文と全体の長さから読み終えるまでに息切れを起こすかもしれない。
読むときはたっぷりと時間のあるときをおすすめしたい。

【五段階評価】
文章力    ★★★★★
構成力    ★★★★☆
後のBADEN度  ★★★★★
読みやすさ  ★★★☆☆

早苗はふとしたことで知り合った霖之助に心ひかれていくが……。

【作品集】64
【作品】吹き、荒れる、風
【作者】twinさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1228215158&log=64
【あらすじ】
早苗はふとしたことで知り合った霖之助に心ひかれていくが……。
【感想】
他の作品より若干地の文が短めなので読みやすかったです。霖之助についての描写はなるほどと
思いました。若干、早苗が入れ込むのが早いかなーというのは気になりましたが。この作品は、
続きが非常に気になるものでした、はい。

四角いもの見つけた 藤氏

【タイトル】四角いもの見つけた
【書いた人】藤氏
【作品集】64
【あらすじ】

初冬のある日早起きした魔理沙は、魔法の森を散策している途中でなにやら“四角いもの”を見つけた。
見たことの無いその“四角いもの”を持って魔理沙はとりあえず霊夢のところを訪れ、そこで色々と弄くってみることにした。

【感想】

ネタ自体はよくあるものだが、あえてその正体を知るものを出さないで、知らないもの達の中で結論を出させたのは面白いと思った。よく分からないものがよくわからないまま終わるのも、幻想郷らしさと言えば幻想郷らしさ。各キャラクターのかみ合ってるのかいまいち分からない会話がよい。

ただ個人的に、◆少女○○中……、と文中に入れられるのは好ましくなかった。初投稿で、文章・構成自体は違和感のないものだったので、新しいものをまた投稿してくれるのを楽しみにしたい。

シェイクスピアを探せ! 電気羊 氏

【タイトル】 シェイクスピアを探せ!
【書いた人】電気羊 氏
【作品集】64
【あらすじ】
レミリア嬢がちいさな謎に挑む?
【感想】
氏の作品をつらつらと眺めてわかったことがあるのだが、
どうも文学系統に造詣が深そうな感じがする。
シェイクスピアって意外に知っているようで
知らないことも多いなと読んでいて思った。。。
肝心の内容だが、基本はキャラ重視。萌えとハートフルの中間小説という感じ。
さらりと読めていい。
ちなみに氏のホームページで追加シーンが読めたりもする。

ババァ様、隙間で誰かの手と手を繋ぐ

【作品集】64

【タイトル】ババァ様、隙間で誰かの手と手を繋ぐ
【書いた人】aho氏

【あらすじ】
毎日12時間以上眠り、いつもだらだらしている八雲紫。
そんな紫に対して、ある日藍が橙を、そして紫さえも驚かすような発言をする。
「紫様、たまには休んでくださいね」
橙はその言葉の意味が分からず、藍に尋ねる。しかし藍は笑ってはぐらかし、橙の手に簡単な地図を渡した。
答えを知りたければここへ行ってみるといい、という藍の言葉に従って、橙は一人その場所に赴くが……

【感想】
紫が長い時間眠り続ける設定を上手く使って、紫の幻想郷への愛情や八雲一家の和気藹々とした雰囲気を出している作品。ほのぼのとした雰囲気が好き、かつ特に八雲一家が好きなら好きになれるだろう。
ただし紫のキャラクターが完全におばあちゃんキャラなので、妖艶で何を考えているか分からない、といった紫が好きな人はあまり得意ではないかもしれない。

ともかく作者の紫愛が伝わってくることは必至。

【五段階評価】

文章力  ★★★☆☆
紫愛   ★★★★★
総合評価 ★★★☆☆

心模様 喉飴と嶺上開花 氏

【作品集】64
【タイトル】心模様
【書いた人】喉飴と嶺上開花氏
【あらすじ&感想】
ある日、疲労で倒れてしまった早苗が見た夢。それは幼い頃の記憶だった。
周囲に期待される巫女としての自分は完璧でなくてはならないという重圧。そうして積み上げた東風谷早苗は、霊夢によって打ち破られた。
その事実に苛立ちを隠せない早苗は思わず霊夢に……

早苗の葛藤を描いた物語。
早苗の少女特有の危うさと霊夢の優しさは読んでいて楽しかった。
作者はプチでの投稿が多く話を短くまとめるのに長けているせいか、全体の長さが短い。
そのため、話としてしっかり成り立っているが、描写が少なく少し物足りなく感じるかもしれない。
しかしさらりと気軽に読めるので是非とも一度は読んでみることをおすすめしたい。

【五段階評価】
文章力    ★★★☆☆
構成力    ★★★☆☆
霊夢の優しさ  ★★★★★
読みやすさ  ★★★★★

橋姫伝説の明 Phantom氏

【作品集】64
【タイトル】橋姫伝説の明
【書いた人】Phantom氏
【あらすじ&感想】
その昔、都の外れに立派な橋があった。
その橋には橋姫と呼ばれる者が宿っているという伝説があった。
その伝説を頼りにある兵士は、妻子が待つこの身が無事であるように願った。そして、その夜……

橋姫の優しさを描いた物語。
前書きに『橋姫に関する独自設定、独自解釈があります』と書かれているので前書き嫌いは読まず終いかもしれないが、読んでみると嫉妬する妖怪にこういった一面があるのかと感心させられる。
全体の長さが短いながらも、巧みな風景描写に物足りなさは感じないかと思われる。
読んだ後にはすっきりとした清涼感で満たされるだろう。

【五段階評価】
文章力    ★★★★☆
構成力    ★★★★☆
嫉妬     ☆☆☆☆☆
和み度    ★★★★★

魔理沙とキノコの物語 gu-min氏

【作品集】 64

【タイトル】 魔理沙とキノコの物語
【書いた人】 gu-min氏

あらすじ&感想
魔理沙はキノコ狩りの最中に一人の妖精と出会う。
その妖精は魔理沙のある行為が原因で一人ぼっちになってしまっていた。

魔理沙と妖精の交流話
私的にお姉さん的な魔理沙と幼女の交流話が好きだ、マリフラやマリチル等々
しかし2次設定なアリスが苦手なら注意が必要かもしれない。

この作品が気に入った人なら
作品集 53  『赤のレンガの麦酒日和』 まのちひろ氏
もお勧めできると思う。

 

【作品集】64
【タイトル】魔理沙とキノコの物語
【書いた人】gu-min氏
【あらすじ&感想】
梅雨に入り、いつも以上にキノコ狩りに精を出す魔理沙。
以前に集団で走るキノコに遭遇し、思わずマスタースパークを打ち込んだ場所でキノコ帽子の少女に出会った。
知り合いもいない迷子のようなその少女に何故こんなところにいるのかをたずねる。
少女は答えた。「みんなが殺された場所だから」

魔理沙とキノコの妖精の交流を描いた物語。
世話焼きでお姉さんのような魔理沙が楽しめる一品。
地の文が、三人称と一人称の間をうろつき、同じ言葉に漢字が使われる場合と使われない場合があるなど、気になる点は多い。
しかし、人の形をしていないものを排除しようと何も思わない人間が、形が人と似ているだけで同じことをするのを躊躇うという、人の矛盾した倫理観を題材にした話は面白い。
全体の長さとは裏腹にさらりと読めるテンポの良さがあり、母性的な魔理沙を好む人は満足する作品だろう。

【五段階評価】
文章力    ★★☆☆☆
構成力    ★★★★☆
題材の目利き ★★★★☆
魔理沙分   ★★★★★

「疎まれ者の礎」八重結界氏

「疎まれ者の礎」八重結界氏

・あらすじ
人間たちは勝利に沸いていた。
千年の時を越え、妖怪の山を打倒し、遂に人間は妖怪と対等の立場に立ったのだ。
妹紅は思いをはせる。
大罪人と呼ばれることになった親友のことを。

・感想
シリアス八重結界。千年後の幻想郷に立つ妹紅の話。
序盤に結果を書き出し、過去を描写したシンプルな構造。
話自体は壮大なのに、削りすぎてしまっているせいで勿体無いことになっている気がした。
収まりがつかなくなるせいかもしれないが、それでももう少し何とかなったのではという気がしてならない。
やや丁寧さに欠けると思う。
文章自体はつらつら違和感なく読める、が。
この話に入り込めるかは慧音や妹紅に共感出来るかに尽きる。
歴史を司る慧音だからこそこの選択だったのか、という気もしないではない。
それでも、読後感はあまりよろしくない。長くはないが、やや重たい話。
数いる脇役の中でも、レミリアはやはりおいしく光るキャラクタだと思った。

・簡易星
構成 ★★☆☆☆
文章 ★★★★☆
後味の悪さ ★★★★☆
総合 ★★★☆☆

スターダスト 柚季氏

【作品集】64
【タイトル】スターダスト
【書いた人】柚季氏
【あらすじ&感想】
冬の夜はとても綺麗だと教えられたフランは、興味に駆られ屋根に上る。
見上げた星は本当に綺麗で思わず手を伸ばす。けれど星に手は届かず、ふと隣を見るとそこには……

フランの皆への思いを描いた物語。
どこまでも優しいけれど自分を大事に扱わないこのフランは、ちょっと愛らしすぎる。
濃厚な心情描写とフランの素直な少女らしさ、そして紅魔館の面々の温かさは寒い夜に読むのが最適な作品。
作中のフランは冬の夜に惚れたようだが、残念ながらこの姉妹愛には雪解けも早まることだろう。

【五段階評価】
文章力    ★★★★☆
構成力    ★★★★☆
和み度    ★★★★★
体温     ★★★★★

雨の日は本に埋もれて MS***氏

【作品集】64
【タイトル】雨の日は本に埋もれて
【書いた人】MS***氏
【あらすじ&感想】
遊びに誘うために魔理沙の家を訪ねたチルノだったが、その矢先に外では雨が降り出した。
仕方なく家の中でじっと過ごすことになったチルノに魔理沙はあることを提案する。

雨降る中の魔理沙とチルノの一時を描いた物語。
変わらずの、教科書のように丁寧な文体と巧みな比喩表現は、小説の短編を読んでいる気分になれる。
文章から滲み出る静かな雰囲気は読んでいて非常に落ち着く。
反面、展開を楽しみたいという需要が多いSSの中では苦手に思う人もいるかもしれない。
一文一文を咀嚼しながらゆっくりと読むことで味わいが深まるため、時間がたっぷりとあるときに読むことをおすすめしたい。

【五段階評価】
文章力    ★★★★★
構成力    ★★★★☆
盛り上がり  ★☆☆☆☆
噛み応え   ★★★★★

かなわないもの 音無氏

かなわないもの 音無氏

歳を取って呆けた霊夢と、人間を止めた魔理沙の話。
霊夢が年取って死ぬ話は数あれど、呆けてしまっている話というのはなかなかないのではないだろうか。
そのボケ具合の描き方が実に容赦なく、現実的。
設定故に非常に切なくある意味救いのない話ではあるが、物語全体から漂う寂寥感が胸を打つ良作。
センチメンタルな気分に浸りたい人にお勧め。
同氏の処女作「ぼくのかんがえたれいむさんです」(作品集60)と読み比べてみるのも面白い。

つながるキカイ MUSi⑨氏

【作品集】64
【タイトル】つながるキカイ
【書いた人】MUSi⑨氏
【あらすじ】
ある朝、どことなくぼうっとしている早苗。
神奈子たちはちょっと心配するが、具合が悪いわけではなさそう。
そうしてどこかへと出かけていく早苗。彼女の向かう先は、河童の技師の河城にとりの元。
外の世界から持ってきた、とある機械を直してもらうため。
【感想】
機会と機械、これをうまく使ったSS。
幻想郷に来た今となっても、どこか外の世界を忘れられない早苗の葛藤。
それを母のように優しく解く神奈子。
そして「粋」な仕掛けを仕込むにとり。
登場キャラ全員がいい感じに動いていて、さくっと読めます。
初投稿の作者さまなので、これからのノビにも期待が持てます。
このレビューが第一歩を踏み出したMUSi⑨氏への後押しになっていただければ幸いです。
これからもがんばってください。

橙がグレました。誰か助けてください。 お腹が病気さん

【作品集】64

【タイトル】橙がグレました。誰か助けてください。
【書いた人】お腹が病気さん
【あらすじ&感想】

ある朝起きたら、橙が金髪になっていました。
すっかり動転して紫を叩き起こす藍だったが。

大枠の筋書きはほぼ最初に読み切れてしまう。
なのにきっちり面白いのが凄いと思いました。
藍と紫の掛け合いをお楽しみください。
どんなに強い妖怪、妖獣でも子供がグレたら怖いのだなあ。

いつか誰かが理想郷 イムスさん

【作品集】64

【タイトル】いつか誰かが理想郷
【書いた人】イムスさん

【あらすじ&感想】

「違うわ、それは違う」
幻想郷について語り合う巫女と妖怪。
そこで、目が覚めた。

きっちりと構成が考えられているんだろうなという作品でした。
受け継がれる想い。願いと成就。
色々と対比が上手いなーと思いました。
もう少し評価されてもいいかも。

時効 yuz氏

【作品集】64

【タイトル】時効
【書いた人】yuz氏
【あらすじ&感想】

魔理沙がくすねてきた封印が施された箱、その中身に何が?

ほのぼの幻想郷話。
箱の中身を予想させるようなシナリオになっており、中々開かない箱は周囲を巻き込んでいきます。
そして解放……。妖忌、そして妖夢の主を思う気持ちが滲み出た心温まる一作となっております。
最後まで読んだ貴方は「これだからyuz氏は」と言うでしょう。
 
 

【五段階評価】

文章力   ★★★★☆(温かさが伝わってくる)
構成力   ★★☆☆☆(可も無く不可もなく)
妖忌度   ★★★★★(良くも悪くも妖忌)
総合評価  ★★★★☆(雰囲気クラッシャー!)

でぃあちゃいるど 詩所氏
止まっていた魔理沙の時間がある切欠から動き出す。

【作品集】64

【タイトル】でぃあちゃいるど
【書いた人】詩所氏
【あらすじ&感想】

止まっていた魔理沙の時間がある切欠から動き出す。
それは事あるごとに加速していき……。

前後編に分かれている長編。
恋愛ものだが前半はギャグやほのぼので纏められています。そして後編は、
魔理沙や霊夢に対する印象が前後編でがらっと変わります。特に霊夢の浮世離れした考え方が現実的で。
甘いのとか期待している人は読まないほうがいいかもしれませんね。
元ネタが誰かの曲になっているようですが、聞いたこと無くても楽しめると思います。私は楽しめましたし。

【五段階評価】

文章力   ★★★☆☆(読みやすい)
構成力   ★★★★☆(キャラの動きが巧妙)
後味の悪さ ★★★★★(最後の会話が特に気持ち悪い)
総合評価  ★★★☆☆(感想にもあったけど賛否両論)

魔理沙は悪戯心から、香霖堂に侵入して霖之助の寝顔を盗み見る。

【作品集】64
【作品】でぃあちゃいるど 前編
【作者】詩所さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1228906365&log=64
【あらすじ】
魔理沙は悪戯心から、香霖堂に侵入して霖之助の寝顔を盗み見る。しかし、そのあまりに無防備な寝顔を見て、魔理沙は霖之助のことが頭の中から離れなくなる。
様子のおかしい魔理沙を霊夢とアリスが心配して宴会を企画するが――
【感想】
若干長めで、一部読みづらいところもありますが、魔理沙の乙女ぶり爆発なところが読んでいて非常に初々しいです。
そして、最後には思いもよらない展開になってビックリです。続きが非常に気になる終わらせ方ですね。

 

【作品集】64
【作品】でぃあちゃいるど 後編
【作者】詩所さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1228906635&log=64
【あらすじ】
宴会では、萃香と酒飲み勝負をしてひどい目にあった魔理沙。その醜態が写っているネガを回収をするために文のパシリをする魔理沙。そして、最後に訪れた場所で魔理沙が見たものは――
【感想】
これはもう、まさかこんな展開になるとは思いませんでした。これこれこうなるんだろうな、と高をくくりながら読んでいた自分が実に浅かったかを思い知らされたというか。
最後に至る過程が若干唐突に感じるのが気になりますが、このテのものは案外こうなのかもしれません。ネタバレが嫌なのでこれ以上は書けませんが、人を選ぶのは間違いないと思います。

お姉ちゃん。 宵闇むつき氏
ほのぼの、一言で言えばお姉ちゃん祭り。

【作品集】64

【タイトル】お姉ちゃん。
【書いた人】宵闇むつき氏
【あらすじ&感想】

普段から『お姉ちゃん』って呼ばれてたかしら?
ルナサが出すお姉ちゃん分に刺激されお姉ちゃんブームが。
幻想郷はお姉ちゃんを求めていた!

ほのぼの、一言で言えばお姉ちゃん祭り。
追記次項としてはお姉ちゃんのバーゲンセール。
特にあの方の「……ルナサお姉ちゃん」は破壊力抜群かと。
読んでいるこっちが恥ずかしくなってしまうほどの文章の書き方は長く文を書いているむつき氏の真骨頂かと思います。
個人的にはリリカが可愛かったです。

幻想郷に突如訪れたお姉ちゃんブームと、それに振り回される三姉妹。

【作品集】64
【タイトル】お姉ちゃん。
【書いた人】宵闇むつき氏
【あらすじ】
『お姉ちゃん』。それはライブでメルランの暴走をルナサに抑えてもらう為の、
リリカにとっては少し特別な言葉だった。ところがある日、
紅魔館でのライブを切欠に『お姉ちゃん』はリリカだけのものではなくなってしまい………
【感想】
幻想郷に突如訪れたお姉ちゃんブームと、それに振り回される三姉妹。
そこでプリズムリバー三姉妹の見せた絆は正直とても羨ましいと思う。ルナサ可愛いよルナサ。
なんかピリピリしちゃってるお前ら、みんなルナ姉に癒してもらうと良いよ。
 
 

【五段階評価】

文章力   ★★★★★(読んでいて悶えるとは……)
構成力   ★★☆☆☆(特に捻りは無いと思う)
お姉ちゃん 81回お姉ちゃん(ゲシュタルト崩壊)
総合評価  ★★★★☆(ルナサ永世お姉ちゃん)

ライブやコンサートの間だけ、リリカはルナサを『お姉ちゃん』と呼ぶ。

【作品集】64
【タイトル】お姉ちゃん。
【書いた人】宵闇むつき氏
【容量】約43kb(相変わらず50kbに微妙に届かなくてもレビューします)
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1228996319&log=64
【あらすじ&感想】
ライブやコンサートの間だけ、リリカはルナサを『お姉ちゃん』と呼ぶ。
(以上冒頭より抜粋)
演奏中にメルランの演奏のテンションを抑えるようにリリカがルナサへと伝える際に、口の動きで
普段では言わない呼び名である「お姉ちゃん」を使うのである。
姉妹が紅魔館へとお呼ばれして演奏を披露した後、咲夜はそのことを見抜く。
その語感の良さと己の何かに甘えたい心を刺激されたレミリアはそれを気に入り、
後日その「ルナサお姉ちゃん」という言葉は咲夜から魔理沙を介し、さらに天狗の耳へと入り幻想郷に広まることとなる。
ルナサはひとたび人妖と会えばお姉ちゃんと呼ばれ、レミリアや魔理沙と奇妙な姉妹のような関係を築いていた。
演奏活動の回数が増える中で、当然実の姉妹とのふれあいは減っていて――

やっぱり姉はどんな状況だろうと妹の味方であり愛を注ぐものなんでしょうか。
創想話においてフランドール・こいしのために身を投げ打つレミリア・さとりの作品は多いですし
プリズムリバーや秋姉妹の深い絆や相互愛を描いた話もなかなか多いです。
この物語は主に姉という立場について描かれています。
人情の機微の描写がしっかりとなされているため納得の行く、すんなり心に染み入る
そんな作品に仕上がっていると言えるでしょう。
★★★★☆(夢月幻月姉妹、綿月姉妹の作品には少し疎いのでよくわからんのです)

竹林の二羽 かづき氏

【作品集】64
【タイトル】竹林の二羽
【書いた人】かづき氏
【あらすじ&感想】
いつからか、妹紅の姿が気になり始めた鈴仙。
しかし、機会に恵まれなかったために一度も会話を交わしていなかった。
いつか話をしたいと思いながら、薬の材料採取に出かけた彼女はそこで運よく妹紅に出会う。

鈴仙と妹紅の不器用な恋愛模様を描いた物語。
作者は今作が初投稿ということだがこの新しい切り口の発想やテンポの良い展開には、今後も活躍が期待される。
どちらも恋愛に不慣れという初恋のような味わいは読んでいて悶え転がるかもしれない。
しかし妹紅のこの不慣れっぷりにはチキンと言わざるを得ない。鳥だけに。やかましいわ。

【五段階評価】
文章力    ★★★☆☆
構成力    ★★★☆☆
甘酸っぱさ  ★★★★★
恋仲の進展  ★☆☆☆☆

いっぱい だいすき 転石氏

【作品集】64
【タイトル】いっぱい だいすき
【書いた人】転石氏
【あらすじ&感想】
かなこさまはわたしがかぜはふりなのに けろちゃんがいると
けろちゃんとばっかおしゃべりする。
きっとわたしのなかよしって けろちゃんのなかよしより よわいんだ。(本文抜粋)

早苗の子供時代を描いた物語。
後書きで作者も書いているが、地の文が平仮名表記であるのをひどく読みにくいと思うか、演出と思うかで評価が分かれる作品。
しかし、どう思おうがその内容には悶えること必至。子供らしい愛情は読んでいて楽しく思えた。
早苗と二人の神様のやり取りにニヤニヤしたい人は読むことをおすすめする。

【五段階評価】
文章力    ★★★☆☆
構成力    ★★★☆☆
頬の筋肉   ☆☆☆☆☆
家族愛    ★★★★★

空に憧れるもの 鈴風忍氏

【作品集】64
【タイトル】空に憧れるもの
【書いた人】鈴風忍氏
【あらすじ&感想】
少女は小さな頃から空を眺めていた。
妖怪が飛び、魔女が駆け、巫女が浮かぶ空に強い憧れを抱いた。
ある日の少女は思い立った。空を飛ぶものに飛び方を教わろうと。

少女の空への憧憬を描いた物語。
誰しも子供の頃に抱く欲求を幻想郷という舞台で書いたこの話は、読み終わった後には子供の頃に戻ったような感慨を覚えるだろう。
特に盛り上がる展開のあるものではないが、なんとなく落ち着きたいという人は是非読むことをおすすめしたい。

【五段階評価】
文章力    ★★★☆☆
構成力    ★★★★☆
童心     ★★★★★
清涼感    ★★★★★

幻想人類覚悟のススメ aho氏

【作品集】64
【タイトル】幻想人類覚悟のススメ
【書いた人】aho氏

【あらすじ&感想】
少年が、妖怪の少女と出会い、そして……。
一言で言えば淡々とした、でもどこかキラキラしてるボーイ・ミーツ・ガールもの。
ギャグ度は低い。シリアスとも言い切れないし、ほのぼのともしていない。
多分、幻想郷における青春ドラマみたいなもんだろうか。

分類で「地雷っぽい」と作者自身も言ってるけど、そんな事はないと思う。
ただし、東方キャラの活躍や動きを見たい、って人は期待しちゃいけない。既存のキャラは殆ど出ないから。
ババァタグは作者のお遊びみたいなもんだろうな…ある意味一番の笑い所だけど。

【五段階評価】
総合:★★★★☆

題材が題材だけにね、やっぱり受け入れられない人は居ると思う。
あと「お前の解釈なんて別に聞きたくないよ」ってスタンスの人にも合わないかもな。
俺は凄く良いと思ったけど、そういう点を踏まえると星4つぐらいで。
個人的に「これが俺の思うすっげえ綺麗な幻想郷なんだけど、どうよ?」っていうaho氏の作風は二次創作者の原点だと思う。

 

【作品集】64
【タイトル】幻想人類覚悟のススメ
【書いた人】aho氏
【あらすじ】
『幻想郷に生きる人間として、責任を取らなくちゃならない――』

「僕」は釣りの最中に、人喰い妖怪の女の子に出会う。
人間と妖怪、種族を超えた奇妙な親交を深める二人。
いつの日か、「僕」は女の子に好意を寄せるようになる。
しかし、女の子の食人衝動は日を追うごとに大きくなっていき……

幻想人類に伝わる責任の取り方とは。
人間と人喰い妖怪、異なる者達は果たして共存できるのか。

【感想】
オリキャラ注意。だけど、この話はオリキャラじゃないとできない。
幻想郷の一般的な妖怪と少年の真っ当な恋愛話。
起承転結がはっきりしていて読みやすいのでお薦め。
ネタバレになるから詳しくは書けないけど、クライマックスでは予想を良い意味で裏切られた。
aho氏の作品はどれも後味が良いから好きだ。
但し、「僕」の恐怖が淡々としか感じられないのが残念。あっさり読み進められるのは長所なんだけど……
特筆すべき点は…女の子がもうどうしようもないくらい可愛いね!

紫はさりげなく皆勤賞。アンタ、凄いよ……

【五段階評価】
文章: ★★★★☆(実に読みやすい)
構成: ★★★★☆(地の文をもっと引き伸ばしてもいい気がします)
説得力: ★★★★★(幻想郷の常識…忘れていたかもしれません)
ニヤニヤ: ★★★★★(クリスマスには読むなよ?いいか、絶対に読むなよ!?)
総合: ★★★★★(深く納得させられました)

トリックスター 因幡てゐ Angelica氏
紅魔館へ薬売りに出向く鈴仙。

【作品集】64
【タイトル】トリックスター 因幡てゐ
【書いた人】Angelica氏

【あらすじ&感想】
 紅魔館へ薬売りに出向く鈴仙。
 ところは今日はてゐもなぜかついてきて……

 前半の淡々とした描写、紅魔館のやり取り、鈴仙のネガティブな思考が
少し鬱屈した空気をかもし出すが、読後感はそれをさっぱり忘れることができる。
何より、オチが綺麗。
 
【五段階評価】
総合:★★★★☆

 後は少しだけ肉付けというか、オチの具体的な様子を書いてもらえればうふふ。

どのキャラも非常に立っている。

【作品集】64
【作品名】トリックスター 因幡てゐ
【作者】Angelica(現みずあめ。) 氏
【内容】
 薬の訪問販売で紅魔館に向かう鈴仙となぜか着いてきたてゐ。上客相手にいたずらされないかと不安になっている鈴仙だがてゐはいつもと変わらない様子。
 そんな2人を待っていたのは明らかに荒れている紅魔館だった。
【感想】
 どのキャラも非常に立っている。色々と悩む鈴仙や色々と考えている永琳、色々と企むてゐに色々と悟っている輝夜。非常に綺麗に永遠亭である。
 ……と、ここまででもSSとして十分完結している。しかしラストに全てを持っていかれた。個人的には氏の作風の真骨頂と思う。
【キーワード】
 詐欺師, 胡蝶夢丸

幻想郷独身女性の会大会議 幻想と空想の混ぜ人氏

【作品集】64

【タイトル】幻想郷独身女性の会大会議

【書いた人】幻想と空想の混ぜ人氏

【分類】コメディ バージン 年増 独身 彼氏居ない暦=年齢 前作は作品集60

【あらすじ&感想】

真剣に結婚を志す幻想郷の女性たち、
今回、優秀なアドバイザーを招くことで会議は更に白熱する。
アドバイザーの的確な助言に電流が走る一同、
そして一人の会員の知識の源による問い掛けにより全員は己の成すべき事を知る。

この作品を読んで私は衣玖さんと結婚したくなりました。

【五段階評価】

シリアス  ★★★★★(会員の皆様は至極真面目です)
会員年齢  ★★★★★(適齢期ってレベルじゃねえぞ!!)
バージン  ★★★★★(90%を超える快挙)

私の名前を呼んでみろ! 大崎屋平蔵氏

【作品集】64
【タイトル】私の名前を呼んでみろ!
【書いた人】大崎屋平蔵氏
【あらすじ&感想】
「俺の胸の傷を見ても誰だかわからねえのか?」
「もう一度だけチャンスをやろう!」
……幻想郷の愉快な仲間がジャギ様状態になる話(←おおむね間違いではないはず)。
霊夢は皆の名前をちゃんと覚えていないのでは? という疑惑と、
そこから起きるちょっとしたお話を描いたほのぼのコメディ。
この疑惑の内容では、鈴仙あたりが特に苦労しそうな気もする……。
話は変わるが大崎屋平蔵氏、これでもう42作目だとか。
多作だけど安定している印象のある作家さんだと思う。

【五段階評価】
文章力  ★★★★☆(安定してすらすらと読めると思う)
ジャギ度 ★★★★★(俺は嘘が大嫌ぇなんだ!)
総合評価 ★★★★☆(さらりと読めるナイス短編)

疑似餌 電気羊氏

【作品集】64
【タイトル】疑似餌
【書いた人】電気羊氏
【あらすじ&感想】
こちらも多作な電気羊氏の短編。
あまりここで書くと、つまらなくなってしまう類の話だと思う。
まあ、作品一覧の分類タグで勘付く人は多いかも知れないけど。
ある青年が語る、奇妙な噂の話。
今日も緋想天の中で元気に対戦相手を狙っているであろう
「ゆかりんトレイン」発車駅の謎に迫る。
ただし、帰れなくなっても責任は負えませんよ、と……。

文章力      ★★★★☆(読みやすいけど、ちょっと誤字があった)
ぶらり途中下車度 ☆☆☆☆☆(一度乗ったら降りられない)
総合評価     ★★★☆☆(不思議な読後感が残る短編)

地獄のようにときめいて しかばね氏

【作品集】64
【タイトル】地獄のようにときめいて
【書いた人】しかばね氏
【あらすじ&感想】
天子が宿命のライバルと出会う話(で良いのだろうか)。
空気を読んでいない衣玖さんや突拍子もないオリキャラなど、
「この人は疲れ気味のようだ」という事がありありと窺えるギャグもの。
登場するキャラ同士の組み合わせは既に手垢の付いたネタではあるが、
その迷いなき錯乱ぶりは受ける人には受けるかも。

【五段階評価】
文章力  ★★★☆☆(地の文自体はまとも)
有頂天度 ★★★★☆(情熱大陸)
総合評価 ★★☆☆☆(心の広い人、ブロント語が分かる人向け)

雨降って地固まるか? 巻機山 花氏

【タイトル】雨降って地固まるか?
【書いた人】巻機山 花 氏
【あらすじ&感想】
幻想郷に。大型台風がやってきた!
 
やや季節は外しているものの、幻想郷に台風がやってきたというお話。
ほのぼの系統。
色々な人物が出てくるが、にとりが一番いい味を出している。
幻想郷に台風がやってくる、という事態があまりうまく想像できなかったが、よく考えたら幻想郷も日本の一部。台風がやってくることもあるのだろう。
考えれば発想はなかなか面白いのやも。
会話文が多く、ヤマもない。
 
【五段階評価】
文章 ★★★☆☆
構成 ★★☆☆☆
発想 ★★★★☆
 
 
 
【タイトル】雨降って地固まるか?
【書いた人】巻機山 花氏
【あらすじ&感想】
「無茶は判ってますよ! でも、こんなスクープ、滅多にないですから!」
幻想郷を直撃した大型颱風。この一大スクープをレポートするべく、激しい風雨の中、文は意気揚々と飛び立つが……。
 
台風という状況下における幻想郷の各地を描いた作品。
状況は結構大変なはずなのに、それでも逞しく、そして何処か暢気に過ごす幻想郷の面々が好印象でした。
ただ、個人的な好みによる部分が大きいかも知れませんが、描写の薄さがやや気になったかなと。
しかし、雰囲気が良いので、ほのぼのしたのが好きな方には、十分お勧めできる作品であると思います。
文の口調が商売口調から、プライベ-ト口調に変わるところでは、文スキーとしてニヤリとさせられました。
 
【五段階評価】
テンポ ★★★★☆(すらすら引っかかる事なく読める)
構成 ★★★☆☆(若干早足に感じられた。あと欲を言えばもう少し起伏が欲しい)
逞しさ★★★★★(みんなイキイキしてる)

 

「作品集」64
「タイトル」雨降って地固まるか?
「書いた人」巻機山 花氏

粗筋等は他の方が書かれていますので、個人的な見所なんかを書いてみます。

・にとりが可愛い。
 まずこれ。にとりが可愛い。凄く可愛い。
 特に人見知り故に人がたくさんいるところに出くわしちゃって引き返そうとするところとか、
 たくさんの人たちからお礼言われて照れまくってどもるところとか。
 風神録で「げげっ、人間!?」と言って逃げるにとりにときめいた人には大変お勧めです。

・守矢が一家だ。
 神奈子が合羽着て雨戸に板を打ち付けてる冒頭のシーン、個人的に大好きです。
 荒れ狂う嵐の中で金鎚振るってる姿とか、想像するともう似合いすぎ。
 所帯じみてるというかなんというか。溢れ出る生活感というか。
 諏訪子の方が合羽着ずにずぶぬれというのも実に「らしい」です。

・ぐるぐるぽん
 ぐるぐるぽんです。一文字も合っていないところがむしろ潔い。

 大型の台風が猛威を振るっている、という状況設定ですが、全体的に和やかで和気藹々とした雰囲気です。
 嵐の日に家の中に閉じこもって、静かに雨風の音を聞いているような気持ちになりました。
 にとり好きな方とほのぼの好きな方に特にお勧めな一品です。
 個人的には永遠亭の様子も見てみたかったなー、なんて。

紫の少女幻葬 電気羊氏

【作品集】64
【タイトル】紫の少女幻葬
【書いた人】電気羊氏
【あらすじ&感想】
珍しく朝から居ない主の部屋を掃除する藍。
最近の紫は閉じこもるかどこかへ出かけてばかりだが、その事について何も話してくれない。
話してくれない事について寂しさと自身の不甲斐なさを感じていると不意に現れた紫にこう言われる。

「藍、あなたはずーっと、私と一緒にいてくれるわよね?」

前作とは違った意味で長命かつ強大な力を持った紫の悲しさを描いた作品。
強大な力を持つがゆえに出来てしまうことが悲しさを持続させてしまう。そんな話。
霊夢が起こした小さな奇跡が素敵。

【五段階評価】
文章力★★★★☆(電気羊さんの文章は安心して読めます。)
作品テーマ★★★★☆(前作を踏襲しながらも新たな物を取り込んだのがgood)
霊夢素敵度★★★★★(前面に出てくる立ち位置ではなかったが、霊夢のさりげないセリフにしびれた)

Fragment 過酸化水素ストリキニーネ氏
あんた、覚りって妖怪の辿った顛末を知ってるかい。

【作品集】64
【タイトル】Fragment
【書いた人】過酸化水素ストリキニーネ氏
【あらすじ】
あんた、覚りって妖怪の辿った顛末を知ってるかい。
元から疎まれる能力を持っていた妖怪の大半は、些細なきっかけから魔女狩りにも似た最期を遂げていったんだ。
その中でたった二人、そうたった二人だけが生き延びた。
今ではその二人は、自ら地底に身を退いて静かに暮らしているんだが……。
哀れなのは、その二人は心を読める妖怪の姉妹だったってことさ。
【感想】
前作から今作にかけて、文章面でかなりの向上があった。
そろそろ自分のスタイルが確立できそうなのかな。
後書きで心揺り動かされることはなかったけど、さとりんとちゅっちゅしたいよお。
【五段階評価】
文章力★★★★☆(表現の重複が一部に見られた。)
文章構成度★★★★★(若干締めがあっさりしてたなーってぐらいなので)
姉妹度★★★★★(これだから姉妹狂いはいけない)

ある冬の日、いつも通りの、何も変わらない地霊殿の日常。でも本当はいつもとは違う。

【作品集】個人サイト(作品集64→削除)
【タイトル】Fragment
【書いた人】過酸化水素ストリキニーネ 氏
(2010/05/15時点)
【著者紹介】
 繊細な描写と一人称が持ち味の作家。スカーレット姉妹・古明地姉妹が主人公の作品が多い。
非常にメリハリのついた作風の持ち主で、甘々な関係の姉妹と報われない姉妹の両方を描くことが出来る。
甘い話は砂糖を吐くと表現したくなるほど甘く、暗い話は心に突き刺さるほど暗い。
伝わらない思いというものを巧みに表現することが出来るため、
シリアスな話を読んだ時の心に残るもどかしさは、他の作品とは比較にならない。
 諸般の事情で、過去の作品を一度削除し創想話から退いていたが、
第8回SSこんぺより投稿を再開している。
【あらすじ】
 ある冬の日、いつも通りの、何も変わらない地霊殿の日常。でも本当はいつもとは違う。
今日は私の姉の、古明地さとりの誕生日なのだ。
【感想】
 互いの事を思っている、でもそれ故に思いがすれ違い続ける地霊殿の物語。
設定が重い、文章が重い。描写力が高く、心情・風景の描写がありありと伝わってくるからこそ重い。
誰でもいいからあと一歩踏み出せば幸せになれるのに、
それが叶うことなく、お互いの思いが伝わらない古明地姉妹を見ていると非常にもどかしい。
 特に胸が締め付けられるのは終盤のこいしのシーン。
目に焼きつく、心が締め付けられるというのはこのような文章を言う。
【総合評価】★★★★★(古明地姉妹珠玉の逸品)

所謂“いい話”ではないのだけど、心を酷く揺り動かされる現象を感動と呼ぶなら、それをさせる事にこの作品は十分な力を持っていると思う。

【作品集】64
【作品】Fragment
【作者】過酸化水素ストリキニーネ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1229152875&log=64
【あらすじ】
どうして家族はこんなにも、もどかしいのだろう。
何程も判り合えないのに。何程も通じ合えないのに。愛着ばかりが先行して、手放すこともできないで、惰性のような愛情を持て余すだけ。
まだ私に心を読む力があったなら、私たちは判り合えたのだろうか。
~本文より抜粋
こいし一人称で描かれる、古明地姉妹の過去と今。そして誕生日。

【感想】
誰もかもが優しいのに、姉は妹を、妹は姉を心の底より大切だと思っているのに、それなのに何かが致命的にすれ違ってしまっていて、それが酷く悲しく、そして切ない。
物語の核となる部分に使われているのはオリ設定ではあるけれど、それに違和感を感じない、むしろ説得力さえ伴っているように感じるのは、それだけの描写力があるのと、キャラクターが立っているから。
一文一文全てからこいしの心情が滲み出ているような、そして時に心に突き刺さるような鋭い心理描写が当然のように飛び出すこの作品は、過酸化氏の真骨頂と言えると思う。後書きでは思わず鳥肌が立った。
所謂“いい話”ではないのだけど、心を酷く揺り動かされる現象を感動と呼ぶなら、それをさせる事にこの作品は十分な力を持っていると思う。お勧めです。

【5段階評価】
描写★★★★★(繊細にして美しく鋭利。心理描写の筆致においてとても独特)
構成★★★★☆(欲を言えば、終盤にもう少しボリュームが欲しかった……)
すれ違い★★★★★(容赦がないまでに重い。切ない……)
総合評価★★★★★ (古明地姉妹物の名作と言ってしまっていいと思います)

彼女は胡散臭い大妖 aho氏

【作品集】64
【タイトル】彼女は胡散臭い大妖
【書いた人】aho氏

【あらすじ】
幻想郷があまり好きではない「わたし」。
まわりの人はみんなのん気なのに自分は怒りっぽい。
「わたし」のそんなところを気楽に笑い飛ばしてくれる、その優しさがより自分だけが汚い存在で
あるように思わせる。
そんなある日、胡散臭いと言われている八雲紫に声をかけられて……

【感想】
一般人から見た八雲紫、そして幻想郷がすごく上手く表現されていると思った。
話全体を通して暖かい雰囲気に包まれていて、つまることなく最後まで一気に読めた。
紫が幻想郷を愛していることがよく分かります。
「きれい」な幻想郷が目に浮かぶ。
とにか幻想郷が、紫が魅力的の一言。

【五段階評価】
文章 ★★★★☆
構成 ★★★☆☆
あたたかさ★★★★★
総合評価 ★★★★★

厄い蟲  厄い土 三文字氏

54■厄い蟲  厄い土 / 三文字氏
おお厄い厄い。
人の鳴らす鐘鼓の音と、蟲の王と厄の神の幻想的な儀式。
映像が目に浮かぶようです。

やきとりはじめました 粒状斑氏

【作品集】64
【タイトル】やきとりはじめました
【書いた人】粒状斑氏
【あらすじ】
[やきとりはじめました] 「いや、ちょっと待て」
これまでの努力の全てを無にするかのようなのぼりを見てミスティアは思わず声を掛ける。
ところが入ってみると店を出す以前の問題で……
【感想】
テンポの良い作品。「ははは。よせよせ、掘りたくなるじゃないか」「もこ~ん///」など、
笑いを誘うやりとりがちょうど良い塩梅で練り込まれている。
なお、粒状斑氏といえばホラー作品が有名だが、この作品はホラーではない。この作品『は』……
すぐ隣にもう一つ氏の作品があるので、怖い話が好きならばどうぞ。

焼き鳥始めました 粒状斑氏

【作品集】64
【タイトル】焼き鳥始めました
【書いた人】粒状斑氏
【あらすじ】
[やきとりはじめました] 「いや、ちょっと待て」
これまでの文花帖設定の全てを無にするかのようなのぼりを見て霊夢は思わず声を掛ける。
ところがミスティアは平然と鳥を焼き始め……
【感想】
その隣の作品というのがこちら。こちらは粒状斑氏が得意とするホラー。
お化け屋敷は恐怖感をリセットするために一息つける所を挟むと聞いたころがありますが、氏はそれをマスターしているのではないかと。
非常に緩急のついた場面展開で、ほっと一息ついた次の瞬間に背筋が寒くなります。
粒状斑氏曰く、二つで一作品という扱いなので出来るだけ読んでみましょう。怖い話、グロい話がダメな人にはお勧めできませんが……

『夢の丸薬』 与吉氏

与吉氏
『夢の丸薬』
「そうね。早苗の作ったものの次くらいには美味しいかしら」(本文より抜粋)
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1228842285&log=64
一回読んだだけではわからないかもしれない。
もったいないことに、雰囲気いいね、で終わるかもしれない。
……もしかするとこの作品は、コメントを足してひとつの作品かもしれないです。
わからなかった人に真価を知らせてくれるでしょう。
恥ずかしながら私も最初はわからなくて、二回読んでやっとわかったとき、鳥肌が立つ思いでした。
この作品の醍醐味は、雰囲気だけではなかった。

作品読む→コメント見る→もう一回作品読む
この順番で読むと、ちょっと幸せかもしれないですね。

びいだま  反魂氏

【作品集】64
【タイトル】びいだま
【書いた人】反魂氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1229171657&log=64
【あらすじ&感想】
びいだまを一つ口に含んだ。
冬の硝子が、舌の表面を伝う冷たさ。
緑と紫色の絵の具が、混ざり合い泳ぐびいだまの表面の色彩を味わっていた。まるく歪んで見える、びいだまの向こうの景色を味

わっていた。
(本文より引用)

儚く綺麗で、そして切ない。
幻想郷の面々の日常と『色』を切り取った作品です。
ひとつひとつの場面が、美しい色を小さなガラス玉の中に閉じ込めた『びいだま』のようでした。

面白い新聞  粒状斑 氏

【作品集】64
【タイトル】面白い新聞
【書いた人】粒状斑 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1229014779&log=64
【あらすじ】
「昨日のあんたの新聞、面白かったわよ」(本文より)
霊夢にめずらしくほめられた文。そればかりでなく魔理沙にまでほめられた。
そのことに文字通り舞い上がる文。しかし……。
【感想】
文の書いたものに焦点を当ててかかれたホラー。
いくつものホラー物を投稿してくれている氏らしい、ぞくっとくる展開。
欲いえば、もうすこし追い込まれるシーンが見たかったけど展開考えれば蛇足だし、今も十分に面白い。

【五段階評価】
★★★★☆(文々。新聞に悪意を持ってない方向け)

【おまけ・作者しばりのオススメ】
2本で一作品、それが作者思い。注:事前にタグをご確認ください。
      →「焼き鳥始めました 」「やきとりはじめました 」(ともに作品集64)
もう秋だから→「そうだ、秋刀魚を食べよう 」(作品集64)

愛され体質ゆかりん  ナクト氏

ナクト氏の「愛され体質ゆかりん」は俺のエポック・メーキング的作品
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1228802180&log=64

いや、作者さんには申し訳ないが正直に言ってそれほど出来のいい作品でないことは分かっている
設定は滅茶苦茶、展開は急だし、取ってつけたようなギャグも百合要素も全てが調和しているとは言いがたい
ただやたらシリアスや長編が多い紫=メリー説作品にとって、この短さは異例であり、凄くお手軽だ
ひょっとしたらいつか原作で紫=メリー説が肯定されるとしても、これぐらいのフランクさで処理されるかもしれん
そう想像すると、この短さと荒削りさが却ってイイような気がしないでもない

何より、文中に透け視えるナクト氏の「こういうもんが書きたい」という初々しい欲望が凄く好きなんだ
自分も投稿を始める前は、こういう少し百合っぽくて、ギャグっぽくて、いい話が書きたいと思ってた
いつか自分の創作物の中で、こういう風な形で蓮子と紫を再会させたいと半ば本気で思っていたんだ
どんなに技術が足りなくても、どんなに単純で稚拙でも、その要望は私の創作を支える原動力だった
私はこういう見当違いのエネルギーを愛してる。だから初心を忘れそうなときはいつでもこの作品に戻っている

このレビューを見る方にはあるだろうか。こういう見当違いの情熱、振り向きも後悔もしない若さが
残っているなら何度でもトライしてほしい。平易な表現方法である文章の限界に挑んでほしい
そこには人間という生物の原初の輝きがある。我々は創作の上では自由なのだ