【作品集】69
【作品】アカネノソラ
【作者】喉飴氏
【あらすじ】
ゆっくり休みなよ、と二柱に言われてひと時の休暇を得た早苗。
取材に訪れた文との何気ない一場面。
幼い頃は、景色が違って見えた。
幼い頃は、世界がもっと広かった。
幼い頃に見たあの空は、何よりも茜色だった。
大人になり、社会を知り、死んだと思っていたあの空は
幻想郷に、確かに今。
【感想】
誰もが一度は体験した原風景、理想を幻想郷の空に描くことができる良作。
茜空自体の描写は少なめだけれども、読んだ人なら思い出補正で美しい夕焼けを見ることができるでしょう。
しっとりとした作品でした。
【5段階評価】
文章★★★★☆
夕暮★★★★☆
優しさ★★★★★
総合評価★★★★☆
【作品集】69
【作品】デザートにあなたを
【作者】無在氏
【あらすじ】
「フランドール分が足りない」姉の突然の言葉に、フランドールはぽかんとする。とりあえずは、フランドール分の意味を尋ねることにした。
【感想】
甘さ・百合・温かさの三拍子が揃った作品。百合苦手な方には絶対見せられないけれど、姉妹のやりとりから感じる温かさは読んでいて良いものだったと私は思った。
【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★★☆
甘さ★★★★★
百合★★★★★
総合評価★★★★☆(百合苦手な方は決して見てはいけないよ)
【作品集】69
【タイトル】一つ人の世の生き血を啜り
【書いた人】SHOCK.S氏
【あらすじ】
パチュリーの生血を啜りたい。でも、病弱過ぎて吸えないじゃん。寧ろトドメを刺しかねない。
何とかならないものかとレミリアの相談を受けた美鈴曰く、「医食同源です、お嬢様」
こうしてお嬢様は親友に手料理を振舞う為、慣れぬ包丁を手にする事と相成った。
来る一週間後、パチュリーが自身の誕生祝賀パーティーにて目にするものとは。
【感想】
百年親友やってれば、ここまでツーカーになれるのさ! 夫婦漫才も含めてな!
とまあそんなお話
氏の前作「紫煙る西の空」を読んでいればお楽しみ要素が+α
主にパーティーでも水ばっか飲んでそうなあのお方とか…
一点だけ難点を言うと、キャラの会話や思考の流れが掴みにくい部分が人によってあるかもしれない
非常に互いを分かり合っている者同士の会話なので、色々省略されてるという感じ
まあそこはそれ、「言わぬが花」というのは何のことなのか考えながら読むのも一興でしょう
【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★★☆
総合評価★★★★☆
咲夜もとい昨夜のお楽しみ度★★★★★
【作品集】69
【作品】一割四分三厘にも満たない
【作者】ネコ輔氏
【あらすじ】
美鈴から貰った人形を壊してしまったフラン。そのことを泣いて美鈴に謝る。美鈴は人形を必ず直すことを約束した。
直すのが難しい状態だったが、それでも美鈴にはあてがあった。アリスだ。
アリスに依頼をするも、『等価交換』と言われ、ある条件が出された。その条件とは……
【感想】
長いけれど面白かった。バトル描写も分かりやすく、引き込まれていく文章内容。バトルのオチは正直読めてしまったのが唯一残念。
もう一つ、全体のオチが綺麗すぎて過程とのギャップを多少感じるが、それは深く気にする程でも無いだろう。
個人的には、強いアリスが久し振りに見れた気がして良かった。
【5段階評価】
文章★★★★☆
バトル★★★★★
白熱★★★★☆
構成★★★★★
総合評価★★★★☆
【作品集】69
【作品】扱い悩む鳥の日
【作者】鳩氏
【あらすじ】
霖之助が話した鳥頭という言葉の解釈に感銘を受けた朱鷺子は、友人の汚名を晴らしたいと彼に言う。
お礼欲しさに軽い気持ちで受諾した霖之助の元に現れたのは、霊烏路空。
ところが、店内で遊んでいる最中に空の力が暴走してしまう。
罰として、空はしばらくの間香霖堂で働くこととなったのだった。
【感想】
後半の霖之助と空の心情が一つの文章ではなく、別々に描かれているのは分かりやすいと思う。
解釈も興味深く、他人の考えを噛み締めるのが好きな人に好かれるかもしれない。
しかし、これは私の考えすぎなのか、二次創作の産物である朱鷺子という名称が小説全般に亘って書かれていたのは如何なものかとも思う。
「うにゅにゅー!」
この台詞で私の何かが壊れた。
きっといい意味で。
【5段階評価】
文章★★★☆☆
展開★★★☆☆
可愛さ★★★★☆
うにゅにゅー!★★★★★
総合評価★★★★☆
【作品集】69
【作品】チルノのお面
【作者】クシキ氏
【あらすじ】
香霖堂を訪れたチルノは赤と白の、古ぼけたお面を見つける。
霖之助の薀蓄(氷精用)が始まった。
【感想】
お面と生態系の話をチルノに分かりやすく説明する霖之助がなんともお兄さんチック。
話自体はよくある展開だと思いますが、いちいちチルノの描写が可愛い。
最後のプレゼントも素敵な演出ですし、チルノが可愛い作品です。可愛い!
【5段階評価】
文章★★★☆☆
展開★★☆☆☆
可愛さ★★★★★
総合評価★★★☆☆
【作品集】69
【作品】れみめい
【作者】guardi氏
【あらすじ】
夕暮れ時、今日も門番の仕事を真面目にこなす美鈴の元に主であるレミリアが訪れる。
「久しぶりに貴方の弾幕を見たくなったのよ」
主の期待に答える美鈴は一つのお願いをする。
【感想】
夕暮れ時の、二人の妖怪と一人の人間の会話。
ちょっとした言い回しがなんとも良い雰囲気を醸し出しています。
それにしても咲夜さんは瀟洒過ぎ!
説咲夜、咲夜就到。
【5段階評価】
文章★★★☆☆
瀟洒★★★★★
虹色★★★★☆
総合評価★★★★☆
【作品集】69
【作品】ハルヨコイ
【作者】電気羊氏
【あらすじ】
死を忘れてしまった少女、藤原妹紅は滝にうたれながら考える。
何故あんなことをしてしまったのだろうと。
きづき上げた平穏は、こうもいとも簡単に崩れてしまのかと。
妹紅と慧音、妹紅と輝夜、交錯する思いは妹紅にどのような影響を与えるのか。
【感想】
77.7kの大作
登場するキャラクターは多いけど、それぞれの役割をきちんとはたし、その心情も上手くかけている。
最後のほうに若干グロい描写はあるが、さほど気にならない、というか話の流れ上それくらいしない
と伝えたいことが伝わらないのかもしれない。
【5段階評価】
評価★★★★★
【作品集】69
【タイトル】嫉狂い
【書いた人】イセンケユジ氏
【あらすじ】
里と共に歴史を刻んだ大橋が流れに身を削られ改築作業を行う事に。だがその前に、
何らかの形で今の橋の勇姿を残したいという声が上がり、絵画の鬼才、桂がその役を買って出た。
ある日桂が橋に出向くと、一人の少女がそこに倒れており………
【感想】
あらすじにも書いた通りオリキャラ・桂が主人公なのだが、
彼もきちんと幻想郷の住人として生きているという事に作者の並々ならぬ技量を感じる。
「オリキャラはちょっと…」だとか「最近、甘々なお話ばかりで食傷気味なんだ…」
という人に特にお薦めしたい作品。
【作品集】69
【タイトル】嫉狂い
【作者】イセンケユジ
【ジャンル】オリキャラ×パルスィ
【あらすじ】
人里にある男がいた。
絵画の鬼才として、また絶世の美男として持て囃されながらも決してそれに驕らぬ実直な性格は多くの者から信頼を得ていた。
そんな彼にひとつの仕事が任される。古くなって改築する橋を取り壊す前に絵にして欲しいというものだった。
何の変哲もない仕事。男は画材を持って橋に向かうが、そこで一人の少女と出会う。
彼の命日より3週間前のことである。
【感想】
人間と妖怪の禁断の愛と言えば聞こえはいいがマジで禁断だったようです。合掌
妖怪の原点が見られる話
【こんな人にお薦め】
ちょっと古典的な話が読みたい人
BADEND大好きな人
パルスィに子犬扱いされて興奮する人
【作品集】69 【作者】リコーダー氏
【タイトル】『天空の花の都へ』 ★★★★☆
――「よくやるのよ。こうして宛てどもなく、雲の間を彷徨うの」
レティ・ホワイトロックはそう言って、リリーを胸に抱いたまま、背面飛行を披露した。
耳がびゅうと風を切る。
春の妖精と冬の妖怪の在り方を描いた物語。読めば、空を飛ぶ程度の能力の気分を味わえる。雲の中の簡易旅行へご招待。
自然を題材にしただけに、話の運びも穏やかなもの。
長さも丁度良い具合。静かな雰囲気、綺麗なお話を好む方は一読することをおすすめする。
【作品集】69 【作者】超空気作家まるきゅー氏
【タイトル】『アジサイ色の魔法』 ★★★★★
――『離して。イヤ。離してよ』
「なんかするわけじゃないぜ。ちょっと試してみるだけだぜ」
『なにするつもりよ』
「接吻だ」
『魔理沙のバカ。変態。へちゃむくれ』
はぁどぼいるど蓬莱人形シリーズ二作目。思うに、人形たちの言動をここまで個別化したものも珍しい。
「人物が描かれている」ならぬ「人形が描かれている」作品。
そして、主人たるアリスはそんな人形たちを平等に扱っているというそのギャップがまた面白い。おしゃれなラストや人形たちの会話なども読んでいて楽しい一因。
【作品集】69 【作者】沙月氏
【タイトル】『ヒストリックマイシスター』 ★★★★☆
――いつしか、人々は悩みを聞いてくれる女性のことをシスターと呼び、馴染みの無いその小さな建物のことを教会と呼ぶようになりました。
奉る神の居ない教会で、今日もシスターは迷える子羊を導きます。
幻想郷の悩める住人の歴史を修正するシスターもとい慧音を描いた物語。
雰囲気を楽しむ作品だと思うのだが、中盤までの相談内容が軽妙で面白おかしいものであるため、終盤の落ち着いた話題に奇妙な落差を感じた。
一貫して見ずに、個々として読めばとても面白い。
【作品集】69 【作者】時風氏
【タイトル】『ねこ パニック』 ★★★★☆
――猫。紛れもなく猫。
魔理沙の気が触れたわけではない。
その証拠に
魔理沙の隣に立つアリスとパチュリーは、魔理沙が猫に霊夢と呼びかけても不思議そうにはしない。
その猫はやはり霊夢であった。
パチュリーと猫の交流を描いた物語。この話は、終盤のみに集約されていると思う。
つまり、それまでは猫の愛らしさを理解するための準備期間。
なんにしても猫は愛らしい。この一言に尽きる作品。
【作品集】69
【作品】わたしのおひめさま
【作者】猫井はかま氏
【あらすじ】
狂気を自覚しているある人物の一人語り。
【感想】
例えるならブラックコーヒー。
甘さが一切ない、文字通り狂おしいまでの愛情。
いわゆるラノベ体の作りになるのかな。
甘い甘い話で虫歯が出来そうな人に、是非。
【5段階評価】
文章★★★☆☆
甘み☆☆☆☆☆
狂気★★★★☆
総合評価★★★☆☆
【作品集】69
【作品】射命丸ヴェロシティ
【作者】沙月氏
【あらすじ】
射命丸文は二人の魔法使いから怪しい依頼を受けた。
早速急行した魔法の森で彼女が見たものとは。
【感想】
射命丸の取材風景。表題の通り加速されている思考描写と様々な表現の擬音が面白いです。
全編通して感じるのは射命丸の一方的な善意。
ただ良かったねだけに終わってない印象の作品でした。
最初の一文が一見さん殺しで大分損をしてる気がします。
【5段階評価】
文章★★★★☆
加速★★★★★
構成★★★☆☆
総合評価★★★☆☆
【作品集】69
【作品】月に叢雲、花にとまるは紅白の蝶
【作者】蕎麦犬氏
【あらすじ】
一人静かに酒を飲む霊夢の元に風見幽香が訪れる。
【感想】
静かな会話の一場面。
読み進めているうちにニヤニヤしてしまいました。
氏の書く幽香に母ちゃん的優しさを感じました。
幽香=ドSと言う認識を持っている人に読んで欲しい作品です。
【5段階評価】
文章★★★★☆
母性★★★★☆
構成★★★★☆
総合評価★★★★☆
【作品集】69
【作品】厄神様の独り言
【作者】宵月氏
【あらすじ】
人から忌み嫌われていた厄神、雛。
ある時、自分をお姉ちゃんと呼んでくれた子供と出会う。
【感想】
ホラーではなく、幻想郷の常識では「よくあること」だと思います。
ぶっ飛んだ世界観の幻想郷に馴れた人にとっては、ある意味わかりやすい展開。
言い換えれば、安心して読める作品。
今後に期待したい作家さんの一人です。
【5段階評価】
文章★★★☆☆
構成★★★☆☆
期待★★★★☆
総合評価★★★☆☆
【作品集】69
【作品】さとりとこいしの姉妹喧嘩
【作者】宵月氏
【あらすじ】
喧嘩をして家出したこいし。
バレンタインデーをたずねて早苗の元へ訪れる。
【感想】
バレンタインSS。
喧嘩をしたその後は……。
期待を裏切らない甘い作品に仕上がっていますが
故にもう一味あっても良かったかも。
下地がしっかりしてきているのでよくある展開からの
発展に期待しますよ!
【5段階評価】
文章★★★☆☆
構成★★☆☆☆
期待★★★★☆
総合評価★★☆☆☆
【作品集】69
【作品】おにぎり
【作者】大根大蛇氏
【あらすじ】
幻想郷にやってくる前の萃香と勇儀のお話。
お山で寄り付く化け物を倒す日々の萃香。
ある時、同じ鬼の勇儀がやってきて……。
【感想】
過去話ということでそれなりの設定がしてありますが
違和感を覚えること無く、すんなりと話に入っていけます。
おにぎり=鬼切りだから萃香が嫌いなのかナァと
洒落めいたことを思っていたけれどそんなことは無く。
勇儀は姐御ポジションが良く似合うなぁ。
【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★★☆
姐御★★★★★
総合評価★★★★☆
【作品集】69
【タイトル】おにぎり
【書いた人】大根大蛇氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1234549239&log=69
【あらすじ&感想】
前略
「この化け物がっ」
その言葉を聞いて私は噴き出さずにはいられなかった。ああこりゃ、何て可笑しいのだろうって。
何が可笑しいかって、言ったそいつの見た目が可笑しい。全身毛むくじゃらで突き出た口にはずらりと牙。どう見たって山犬。そんな奴がご苦労な事にわざわざ二本の脚だけ立ち上がって、ついでに人の言葉まで喋ってくる。
で、その喋った言葉が化け物、ときたもんだ。
「お前のその口で言えたものかよ」
始まりで帰った人も多いかも。
萃香と勇儀姐さんのお話です。
大根大蛇さんの作品はキャラクターが可愛らしくてイキイキしていて大好きですね。
何もない日いんわんだーらんどだとか、買い物行こう、壹圓持ってだとか。
【五段階評価】
★★★★☆
【作品集】69
【タイトル】サクラサク
【書いた人】電気羊氏
【あらすじ】
上海の様子がおかしい。
夜、リビングの窓から外を眺めていたのだ。ただの魔法人形が自立して行動するなどありえないことなのに。
アリスと魔理沙の二人は、外へ行きたいらしい上海についていく事にした。
はたして上海はどこへ行くつもりなのだろうか……
【感想】
アリス一人称。途中までのネガティブ加減が結末を映えさせる。
ずっと連れていた人形が突然意思を持ったら不安になるよなあ、普段クールに振舞っている分。
それと上海可愛い。なでなでしたい。ほお擦りしたい。ぎゅって抱きしめたい。
【作品集】69
【作品】とある日の地上、地下、外
【作者】そこらへんの人間以外氏
【あらすじ】
バレンタインSS。
魔理沙と霊夢、さとりとパルスィ、蓮子とメリーの三本立て。
【感想】
それぞれのお話が完全に独立しているので短編集みたいな感じで読めます。
バレンタインSSに相応しく糖度は十分。
オススメは蓮子とメリーのお話。
いい感じに病んでる蓮子が面白かったです。
一本に絞って楽しみたかったのが残念。
【5段階評価】
文章★★★☆☆
構成★★★☆☆
糖分★★★★☆
総合評価★★★☆☆
【作品集】69
【作品】海をしらない彼女たち
【作者】いこの氏
【あらすじ】
御阿礼の子の前に、突如として紫が現れる。
紫が御阿礼の子に訊ねた事とは……
【感想】
この作者さん独特の雰囲気が、読む人を選ぶかも知れないが、是非一読して欲しい作品。
幻想郷にいるのに海の音が聞こえてくるような作品
【作品集】69
【作品】その笑みの奥にあるもの
【作者】和菓子炬燵氏
【あらすじ】
里で開かれる天狗の写真展のネタを捜して、射命丸は悩んでいた。
何かインパクトのある写真をと思っていた矢先、ある友人の天狗が一枚の写真を持ってくる。
そこには、俄かには信じ難いものが写っていた。
【感想】
王道と言えば王道の、射命丸の取材話。
それなりに重たいテーマだが、短くあっさりと調理してあって読みやすい。
オリキャラが絡むものの、幻想郷の1コマとして違和感無く読めるハズ。
読後はさわやか、且つ色々と考えさせられる作品。
個人的には応援中の若手さん。是非一読を。
【作品集】69
【タイトル】神々が恋した幻想卿
【書いた人】毛玉おにぎり氏
【あらすじ&感想】
>「『『『『『 faith(信仰)!!faith(信仰)!!faith(信仰)!!faith(信仰)!!faith(信仰)!! 』』』』』」
Faithfull faith!(すごいカオス!)
霊夢が幻想卿を見つけるため、神様を訪ねる話
【作品集】69
【タイトル】純白の乙女
【書いた人】傷と顎鬚氏
【あらすじ】
深々と幻想郷に降り続いていた雪もやがては止み、降り積もった雪が織り成す銀世界を太陽がまばゆく照らす。
惜しみなく天より浴びせられる陽光は、とある薄暗い店内を明るく照らす光源となって降り注いだ。
普段は読書することも儘為らぬ薄暗いそんな時分に、そんな天然の光明を賜っては、やるべきことは一つしかあるまい。
店の主、森近霖之助は、自然の気まぐれにも似た太陽の恩恵に与って相も変わらず読書に勤しんでいた。
そんな折、不意に鳴らされる店のカウベル。本に集中していた霖之助は、良い所だったのに、と僅かに名残を惜しむ。
しかし、件の紅白に白黒とでは、まず考えられぬ上品な音色に、来客を予見してか、霖之助は相応の態度で迎えた。
来店して来たのは、魔法の森の人形遣い、アリス・マーガトロイドと、紅魔館のメイド長、十六夜咲夜。
どこか珍しい組み合わせに、霖之助も普段の無愛想に僅かに驚きを張り付かせた。
数少ない上客のご来店に、霖之助はお茶を振舞うつもりであったが、逆に振舞って貰う形で、三人は談話に落ち着く。
しばしの会話の末、霖之助は、ふと、アリスが店内のある商品に目移りしていることに気が付いた。
【感想】
ここから感想。まず文章が巧い。特徴としては抑揚がなく、どこかしら淡々としたイメージを受ける。
会話文も淡白で、余計な物を感じさせない、ある意味では本当にらしい描き方をしていると思う。
これだけ書くと山場が存在しない冒頭からの惰性に任せた作品と捉えられてしまうかもしれないが
そもそもの日常って、一定の水準をキープして綴られるものなんじゃあないか、と読んでいるうちに自然と引きこまれる。
本当にあっさりとした作品で、毒気を感じられない、タイトル通り、純白なイメージの作品。
読みやすく、オチも二つの意味で綺麗で、キャラクターを大事に描いているあたりも好感が持てる。
最近アリスに熱が入ってきたせいもあってか、もっと評価されてもいい作品だと思う今日この頃。
【作品集】69
【タイトル】湖のリッコシェー
【書いた人】ハゲ氏
【あらすじ】
些細な事から咲夜とケンカしてしまい、紅魔館を飛び出した美鈴。
そんな中、タイミング悪くレミリアが体調を崩してしまう。
パチュリーは、魔法の森に生えている薬草を調合するのが良いと言うのだが………
【感想+作者レビュー】
リッコシェー楽しいよリッコシェー。俺の最高記録は23回。
これはうかうかしてると美鈴に抜かれてしまうかも…ってか咲夜さん凄すぎ。
美鈴の行動が少し子供っぽすぎたり、展開が駆け足気味だったりと色々粗が目立つ。
が、物語の起承転結はけっこうしっかりしているので、あと二、三作作品を書いて、
キャラの心理の動きの描写や物語の肉付けがしっかり出来るようになれば、
ほのぼの系作家として結構大きくなるんじゃないかと期待している。
【作品集】69
【タイトル】湖のリッコシェー 【書いた人】ハゲ氏
【あらすじ】
些細な事から咲夜とケンカしてしまい、紅魔館を飛び出した美鈴。
そんな中、タイミング悪くレミリアが体調を崩してしまう。
パチュリーは、魔法の森に生えている薬草を調合するのが良いと言うのだが………
【感想+作者レビュー】
前回のレビューやコメで指摘されていた「心理描写の薄さ」「悪い意味での急展開」を見事に修正、改善してきている。
それもそのはず、7000字程度から13000字程度へ大幅加筆修正がなされているのだ。
のんびり、ほのぼのな紅魔組(主にめーさく)が好きな方は是非。
文章量が倍近くに増えているのに作品のテンポ、雰囲気を損なう事無く、作者の幻想郷を上手く広げている。
そして、コメで結構厳し目の意見を書かれてもそれをしっかりと受け止め、
自らの糧として、この作品を黒歴史としてお蔵入りさせる事無くより良い作品に昇華させてみせた事に驚いた。
二作目は全く違う作風のテンポの良いギャグ(今の所前編のみ)を発表していて、こちらもオススメ。
作品集:69
題名:『幻想郷バレンタインデー縁起』
作者:もずる氏
粗筋:さなれい!さなれい!
感想;コテコテの百合ではなく、ほのぼの和み系で、けれど甘く。
親ばかな二柱を始めとして、決して奇抜ではないけれどもしっかり描かれた人物像、
そして所々で暴走しつつ揺れ動く早苗の心情、しっかりした風景描写などなど、
読者のことを考えて(やや説明過剰の感もあるものの)とても丁寧に作られていて好感が持てる。
冒頭にコバルト文庫のページ設定で~という但し書きがあって、まさにそんな感じの作品。
次作にも期待大。
【作品集】69
【作品】別れ紅
【作者】稲生氏
【あらすじ】
もしわたしの記憶に色をつけるなら、それは赤色で、最初に気がつかせたのは魔理沙だった。
(本文より)
【感想】
様々な紅が幻想郷には存在するけれどこれはちょっと毛色の違った紅のお話。
幻想郷の少女の節目を描いた物語。
思わずほぅ、とため息をついてしまいそうな鮮やかな心理描写、お見事でした。
投稿頻度は少なめだけど高品質のSSを生み出す注目の作家さんです。
【5段階評価】
文章★★★★★
構成★★★★☆
紅い★★★★★
総合評価★★★★★
【作品集】69
【作品名】マルク・シャガールのように空を跳ねる河童と、些か残酷なさとりの妖怪
【作者名】佐藤厚志氏
【あらすじ】
心を読む妖怪、さとり。地上で忌み嫌われた物の怪どもが跋扈するこの深い深い地底に
厳かに存在する大きな屋敷、地霊殿に彼女は居た。
ただっ広い屋敷には、奉公する使用人もいなければ、住人も片手の指で足るほどにしか存在しない。
その代わり、とでも言うかのように、屋敷には沢山の動物たちが住み着いていた。
言葉を持たぬ動物たちであったが、心を読めるさとりにしてみれば、言葉の隔たりなどは無いにも等しい。
そんな彼女に惹かれ、彼女を慕って集った動物たちの相手をするのが、彼女の日常であった。
一見すれば便利に思える能力だったが、彼女自身はその能力を、己の有様を厄介だ、と辟易する。
安楽椅子に身を委ね、誰の思念も情念も入り込ませない、介入されない静寂を噛み締めいた時分、一匹の猫がさとりを訪ねた。
猫の名は燐。いつしか妖怪に相成った彼女は、人語を解し、心を読ませるまでもなく、口頭で来客の訪問を告げた。
出張販売を銘打ってやってきたのは地上の河童。彼女は奇想天外な商品の目録を開き、必死に達者な弁舌を振るう。
最初こそ興味津々だった燐も、やがては飽きて、そっと退室してしまった、そんな折。
さとりの忌まわしい力は、どうしようもなく彼女の心に魔の手を伸ばす。彼女の心に触れたさとりは、そうして彼女の真意を知る―――
【感想】
ここから感想。文章が巧い。読み終わってから気付いたけど、サジタリウスの沈黙の作者様だったか。納得である。
正直、レビューの文章がチープすぎて、逆に作品を貶めてしまっているような気がして為らないが、それはそれ、これはこれ。
語彙が豊富で実に羨ましいという作者側の視点と、読んでいて飽きさせないという読者側の視点で双方から評価できる。
さとりの一人称で話が進むのだが、文章全体にどこか物悲しさを感じるのは、それが彼女の深層心理の表れか。
このSSからは、本当に静かな印象を与えられる。しんみりとしたストーリーは、素直にすとんと心の奥底に感慨を残す。
全体の話は短くまとまっており、それとなく難しい語彙も存在するが、気にさせることもなく読ませてくれる作品。
静かにはじまり、静かにおわる。それ以上、言葉は必要あるまい。言葉ではなく、ただありのままの心で感じるストーリー。
文章力 ★★★★★(ナチュラルに巧い。語彙も豊富でどこか捕らわれない描き方)
読み易さ ★★★★☆(前述したよう語彙は豊富だが、無い頭では辞書をひかなければ意味が判らなかった)
感慨深さ ★★★★☆(物悲しげなさとりの心象が、素直にじんときた)
静々しさ ★★★★★(全体的にしとしととした雰囲気を感じる。とても静かに流れるストーリー)
総合評価 ★★★★☆(大々的には難しいかもしれないが、ひっそりと、でも確かに評価されるべきSS)
【作品集】69
【作品】メリーチョコ
【作者】反魂氏
【あらすじ】
百花繚乱の洋菓子の百鬼夜行――その最後一個にしようかどうするか、
制限時間に追い立てられながら迷っているそのプチケーキはこれまた奇しくも紫色だった。
秘封倶楽部の結界の色だ。ブルーベリーのほどよい甘さを孕んだなめらかクリームをトッピングした魅惑的な洋菓子、
何の因果かこの上なくすっげえ紫色。
信じられないくらいパープル。世界はすべて紫色に染まるのか。(本文より)
秘封倶楽部三周年の日、魔の巣窟ケーキバイキングにやってきた蓮子とメリー。
果たしてメリーは、蓮子に感謝の意を告げることができるのだろうか。
【感想】
半分以上がケーキバイキングの話なのに、
恐ろしい文章力でつらつらつらーっと最後まで読める作品。ついでにバレンタイン、って感じ。
ブルーベリーケーキが食べたくなります。
蓮子とメリーがちゅっちゅしてればいいって人から、独特な文章の味を楽しみたいって人にオススメ。
【5段階評価】
文章★★★★★
芸能人★★★★★
構成★★★★☆
総合評価★★★★☆
【作品集】69
【作品】アリスネコステラ
【作者】ネコ輔氏
【あらすじ】
「どうしてこんなことになっちゃたのかしら。」アリスは悩んでいた。
それもそのはず、その頭上からは猫のものと思しき耳が生えていたからである。
【感想】
段々ネコっぽくなって余裕を失っていくアリスがお茶目。
役に立たないアドバイザーにも注目。
【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★★☆
猫度96点
総合評価★★★★☆
【作品集】69
【作品】バレンタインデーにしっと 「お勧め!」
【作者】幻想と空想の混ぜ人さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1234567775&log=69
【感想】
突撃!パッパラ隊のしっと団パロ。当然パルスィで。
最新作品集ではありませんが、まさかパッパラ隊のパロを読めるとは思ってもいなかったので。しっと団は最高に面白いです。
感情がストレートに出ているので、元ネタを知らなくても面白いと思います。そして、オチとして使われる幻想郷入りの属性の扱いが面白かったです。これはぜひ2号も出してほしいところ。
【作品集】69
【タイトル】アルバイト輝夜3
【書いた人】久我拓人氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1233843542&log=69
【あらすじ】
ミスティアの屋台に行こうと思い立った霖之助と魔理沙。
霖之助、魔理沙、輝夜の三人の、お酒と料理を交えたやり取り。
【感想】
抜群の安定感。ほのぼのっぷりがブレない。
前作、前々作が気に入ったのならば、とりあえず読めば良い。あまり多くを語るようなSSじゃないね。
【作品集】69
【タイトル】アルバイト輝夜・バレンタインSP
【書いた人】久我拓人氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1234545262&log=69
【あらすじ】
バレンタイン。輝夜の出すであろう難題が気になった霖之助は、ミスティアの屋台に行く。
【感想】
もう自分がレビューする必要もないんじゃないか……と思うような、信頼と実績のアルバイト輝夜シリーズ。
輝夜のカリスマは恒例の物だから置いておくとして、阿求がやたらと可愛いです。
【作品集69】
【タイトル】紅美鈴と夢の国
【書いた人】yamamo 氏
【サイズ】110.52KB
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1233811107&log=69
【あらすじ】
いつものように居眠りしていた美鈴がふと気づくと、目の前には
>砂糖菓子で作られたような色とりどりのファンシーな家々が立ち並び、空に浮いている建物や巨大なクマのぬいぐるみが置かれていたりする。
>空はペンキで塗り潰したような派手なピンク色で、小さな三つの太陽が心地良い光をさんさんと降り注いでいた。
こんな風景が待ち受けていた。そして、突然降りかかる「おめでとうございます!」の声。
実はそこは、仕事中に1000回居眠りした人だけが招かれる理想郷だったのだ。
食事にも居住にも困らず、しかも現実では時間が経過しない。そんな夢の国を丸一日堪能した美鈴だったが、ついに紅魔館に帰りたくなってきた。案内役の少女に帰り方を訪ねると、予想だにしない答えが待ち受けていた。
「え? 帰れませんよ?」
美鈴の奮闘が今、始まる。
【感想】
最初のシーンと、夢の国のシステムの説明でなんとなくオチが読めてしまったのが残念でした。ですが、全体的な完成度は非常に高く、また、オリキャラメインの話でありながらその人格を分かりやすく書けていると思いました。また、伏線もきちんと張っており、安心して読める作品になっていました。
個人的には、小町が出てきたら面白かったんじゃないかなあ、なんて思っています
【五段階評価】
★★★☆☆(格闘美鈴が読みたいなら+1.0)
【作品集】69 【タイトル】紅美鈴と夢の国 【書いた人】yamamo 氏
【URL】 ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1233811107&log=69
【長さ】★★★★★☆ (110KB ボリュームのある長編)
【あらすじ】
ある春の昼下がり。ぽかぽかと照り付けてくる日差しに負け、美鈴は眠りの世界へ。
すると突然、「おめでとうございます!」と見た事も無い人物から声を掛けられる。
仕事中に居眠りを千回した人がたどり着けるという理想郷へと招待されたらしい。
何でも手に入り何もしなくて良い世界を最初は楽しんでいたものの、
だんだん元の紅魔館での生活が恋しくなり……
【感想】
美鈴主人公、ある方がヒロインな長編。誰かは序盤の舞台設定見れば結構簡単に分かってしまったり。
オリジナル色が強いけれど、箱庭に収まった世界設定のため自分は気にならなかった。
お気に入りは前半の夢の国を散策する場面。
全く知らない場所を楽しくぶらついているという感じが伝わって来た。
ラストシーンも必見。起承転結がしっかりと組まれた、オリジナルな設定を上手く調理した作品。
ただ、逆にしっかりとまとまり過ぎていて途中から展開が読めてしまったのが残念な所。
【文章】 ★★★★☆
【展開】 ★★★☆☆
【総合評価】 ★★★★☆ (ポップな雰囲気の彩り豊かな作品)