作品集82-2

Last-modified: 2013-02-28 (木) 15:02:25
東方反史抄 ~産み出されぬ白宝~  幻想と空想の混ぜ人氏
作者の名前を見て「あれ?」と感じた方も多いのではないだろうか。

【作品集】82
【タイトル】東方反史抄 ~産み出されぬ白宝~
【作者】幻想と空想の混ぜ人氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249365623&log=82

【あらすじ】
結婚を夢見る四人の乙女とそれを見守る教師が一人。
立派な花嫁になるために、四人+一人の心はひとつになった。
ぎせいしゃをだしたりもしたけれど、ケシーはげんきです。

【レビュー】
作者の名前を見て「あれ?」と感じた方も多いのではないだろうか。
私もその一人である。混ぜ人氏は、「ふんどしより生足」をパロった事もあるため、某作家のパロはこれで二回目であるのを忘れてはならない。
無駄に壮大かつ意味不明なノリとは違い、ドタバタ系独身ギャグにまとまっている。
某作家と同じ文章構成にしているのも見逃せない。(冒頭の意味不明文章、場所を~ ~でくくる、場面転換の記号には◆を使うなど。)
……正直ここまで完成度が高いものを投下されるとは思っていなかったので少々困惑している。

ケシーだからしょうがないか。

【作品集】82
【作品】東方反史抄 ~産み出されぬ白宝~
【作者】幻想と空想の混ぜ人さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249365623&log=82

物語 13点
設定自体はどこかで見たような話だが、単純ななかに面白さがあるのは後述のとおり表現力のおかげ。
登場人物のなかではちょっと慧音とレミリアが浮いているのが気になる。他はバ(スキマ)

キャラクター 12点
もともと無理のある設定なので、キャラクターどうしの連関をそれほど考えていないと思われる。
つまり、五人いるうちの慧音以外は代替可能。誰がどのポジションでもよいつくり。
司会進行役の慧音以外、個性をそれほど出せていない。

ストーリー 15点
内容自体は嫌いではない。シンプルながらも、そこに少女らしさを演出できればそれでよいと考える。
コメディとしての素晴らしさは確かな表現力に支えられている。

構成 12点
滝が流れるように一気に流れる感じ。構成を考えないで済むまさにショートストーリーとしての典型。
いっそ思い切りがあってよいのではないか。

表現 16点
コメディとしての面白さは、表現力に裏付けられているように思う。

総点68点
印象としてはキャラクターが多いかなぁ。
そもそもケシーとはいったいなんぞ。
極限まで絞れば、ふたりでも出来る話を、無理やり登場人物を増やしているところがある。
ケシーだからしょうがないか。

パルスィが妬ましすぎて病む話 過剰睡眠摂取症候群さん

【作品集】82
【作品】パルスィが妬ましすぎて病む話
【作者】過剰睡眠摂取症候群さん
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物語 10点
タイトルどおり。設定として変なところはないのだけれども突き抜けたところもない。パルスィの出した結論も、インパクトが薄い。

キャラクター 13点
パルスィのキャラクターをよく掴んではいるように思う。コメディとしての使い方も心得ている。
ありかなと思った。ただ、もう少し個性なりを出せれば、と思う。

ストーリー 11点
脳内で一人考えを暴走させて、脳内で一人結論を出すパルスィの一人称。
内容はほとんど無いに等しいが、
言葉をまくしたてるところはコメディとしてはあり。
メタネタいれたのは賛否両論ありえるだろう。

構成 10点
ある程度計算されたところもあって、いわゆる天丼していたところは、巧いなと。
ただそれ以外は妄想の垂れ流し状態で流れが無い。

表現 10点
もう少しだけ日本語として深みのある表現が欲しい。
コメディでは勢いが大事ではあるが、短文を重ねすぎている気がする。
上でも述べたがメタ表現による笑いは難しいので、その点もマイナス評価。

総点 54点
印象としてはパルスィのキャラをうまく表せているし、コメディとして成立してもいる点が良かった。
ただその内容が凡庸だったか。
表現力をもっとつければ良い作品ができそうだ。

爪に至る病 道標さん

【作品集】82
【作品】爪に至る病
【作者】道標さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249355053&log=82

物語 15点
魔理沙が病にかかった。少女なら絶対に忌避するような病に。魔理沙が乙女心全開な話。魔理沙の一皮剥けた脆さが描写したかったんだろう。
わりと良いものだ。

キャラクター 14点
脆くて壊れそうな乙女心の魔理沙。うーん、少女している。
いつもの魔理沙とはまったく異なるので、乖離しているものの、
病魔におかされているということが理由になっているかもしれない。
かわいい生物状態。

ストーリー 12点
魔理沙のかわいさを演出するために病魔に陥れるとはなんと鬼畜な作者。
実際にかわいいのだから卑怯だ。
テーマはそれだけのように思える。あと恥ずかしがらずちゃんと医者にはかかりましょう、か。

構成 12点
ちょっと冗長か。ただ、魔理沙の相手方を変えることで、魔理沙の違う一面を表現しているのだとすれば、巧い。

表現 12点
悪くはないのだが、わりと崩壊ギリギリな表現や難しい漢字を多様しているせいか、読み疲れる。
もっと簡易でわかりやすい表現にすれば、勢いのある文章だから、コメディとして完成度が高まるのにと思うと残念。

総点 65点
印象としては魔理沙の魅力を伝えることに特化している作品。
感想のなかにヘタレ魔理沙なる言葉があったが、まさにそれ。ヘタレ魔理沙かわいいよヘタレ魔理沙、する作品。
あと、足フェチ。

少女友情曲 天神門李槻さん

【作品集】82
【作品】少女友情曲
【作者】天神門李槻さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249353927&log=82

物語 10点
要するに過去バナ。魔理沙と霊夢の出会いが書かれてある。
想像の余地のあるところなので、面白いところではあるのだが、後で述べるようにストーリーとしての弱さがあり、発想やアイディアをうまく活かせていない。

キャラクター 12点
まさに霊夢と魔理沙といった感じで、キャラクターを適切に捉えている。
霊夢の描写が多く、彼女の性格の捉え方は巧い。

ストーリー 11点
非常に王道的ではあるのだが、そこにもう一つ個性を付け加えてほしかった。
言ってしまえば平凡すぎる。
ありそうな過去でありつつも読者を裏切るような展開も欲している。
読者はわがままで撞着した感情を抱いているものだ。

構成 11点
現代過去現代のサンドイッチ構成。ありがちではあるが、変に視点が錯綜するよりはいい。
しかし途中で出てきた彼女はいったいどういう役割なのか判然とせず。前振りだろうか。削ったほうがよかった。

表現 11点
最低限の日本語の文法は備えているが、擬音の多様、♪、三点リーダ、傍線等に頼りすぎな場面もちらほらと。誤字もちょっと多い。

総点 55点
印象としては、せっかくの過去。ふたりの主人公の過去の話なのに、あまりにも簡単すぎたというか、ありがちすぎたのがよくない。
漫画だと映像的な面白さがあるから良いのだろうが、言葉で読ませる場合はもう少し複雑な設定のほうがかえって良い場合も多いのではないか。
展開がジャンプだった。

ヘタレ→デレ 耳かきさん

【作品集】82
【作品】ヘタレ→デレ
【作者】耳かきさん
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物語 13点
ちょっと面白い設定かもしれない。珍しい天アリモノ。アリスが変態で天子はMというオーソドックスな二次設定の塊。
天子拗ねる。アリス会いに行く。ちゅっちゅ。
なにこの百合コメディ。

キャラクター 14点
テンション高くて、凄まじい濃さがあるものの、二次設定まみれで拒絶してしまう人もいるかもしれない。
特にアリスが変態なのは、納得いかない人も多そうだ。
個人的にはコメディだと割り切れたので、変態キャラクターこそが適役だと考え、この点数に。

ストーリー 11点
百合とコメディのカオス。
テンションが高いので、百合といっても、本来的なイメージのそれとは異なるような気がする。
きゃっきゃうふふの境地といえばわかりやすいだろうか。

構成 13点
王道的な構造で良いものだ。一度テンションを下げておいて持ち上げる。
霊夢と魔理沙は完全に踏み台状態だが、それも百合空間の形成のためにはしかたないか。

表現 13点
テンション高すぎる。コメディとしては合格点。
ただ勢いだけに流されすぎてしまっているので、読後感として残るのは『おまえらもう結婚しちゃえよ』的な感想だけ。
あまり複雑なことは書いてないから、逆によかったのだろう。

総点 64点
印象としては、勢い勝負の作品だなと。百合といってもドロドロはしていないので、単なる笑い話として捉えるのがいいかも。

ドキッ! 少女だらけの怖い話大会! らすぼすさん

【作品集】82
【作品】ドキッ! 少女だらけの怖い話大会!
【作者】らすぼすさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249327050&log=82

物語 11点
タイトルどおり怖い話をする話ではあるものの、その内実はコメディだった。
設定からすると百物語系列なのだが、どうだろうわりと手垢がついていないだろうか。目新しさは感じない。

キャラクター 13点
わりとよく書けているが、多すぎる。この程度の短い量では、何人かに絞ったほうがいい。
萃香に関してはよかった。
その他のキャラクターに関してはそれほど違和感を覚えない。
妖夢は脳内設定とのズレを感じたが、そもそも原作からして彼女はフリーダムな性格をしているから、これでもおかしくはないかもしれない。

ストーリー 12点
オチはそれなりに面白かったのだが、百物語は系統的にいってそれぞれの話が短編的な面白さを備えていたほうが良いと思う。
ひとつひとつの話の出来を考えると、予想がついてしまう話、よくあるお話だった気がする。
妖夢の話はうまくできていた。

構成 12点
それぞれの人物がそれぞれ話するだけであるから、山場はない。ただ、あとがきという名のオチは面白いといえる。

表現 12点
平均的といったところ。
ただ『その中で、おもむろに立ち上がったのは通常、こういった集いの中では少数である人間の霧雨魔理沙。』などわかりにくい表現もあった。

総点 60点
印象としてはよく見かける話ではあるけれど、会話も地の文もキャラクターを感じさせるから楽しめる。
キャラクターが多すぎ、散漫な印象になったのが残念。

魔界神異変 風月灯篭さん

【作品集】82 83
【作品】魔界神異変
【作者】風月灯篭さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249373753&log=82
   ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249554354&log=83

物語 14点
神綺が身代わり人形をつくり魔界を任せて、自らはアリスのもとへと向かうというお話。
この設定自体はよかった。

キャラクター 11点
神綺のキャラクターとアリスのキャラクターはよかったのだが、それ以外のキャラクターが軒並み空気。
30ページ程度の分量で、10人程度動かすイメージ。
物理的に無理です。

ストーリー 10点
中盤までは良かったけれど、途中からは安っぽいバトルものになってしまった。

構成 8点
ソードマスターヤマト。

表現 10点
けっこういい表現もあるのだが、いかんせん急ぎすぎ。
せいてはことを仕損じる。小説でも凱切。

総点 53点
なぜこんなもったいないことを。
せっかくのいいアイディアが最後の展開の早さですべてぶちこわされてしまっている。

阿求の守矢滞在記  鹿路氏

【作品集】82
【タイトル】阿求の守矢滞在記
【書いた人】鹿路氏
【URL】
(前編)ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1248751587&log=82
(後編)ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1248751779&log=82

【あらすじ】
阿求が守矢神社に取材に来たとき、
神社の神域で藁人形が見つかるという事件が起こっていた。
だれが何のために丑の刻参りを行っているのだろうか……

【感想】
切なくて暖かい愛憎ミステリー。
少し砕けた感じの阿求の一人称。情景描写も人物描写も丁寧な作品です。

丑の刻参りの原動力である愛憎という感情に対して
登場キャラ達がそれぞれの考えを持っているのが面白い。

阿求が可愛いです。
周りの人妖にことごとく弄られて憤ったり照れたりします。
また、テーマがテーマなので阿求の恋愛観も垣間見えるのですが、
これがまた甘酸っぱいのです。

カリスマが暴落しそうになりながらも神としての力と矜持を
格好良く見せた神奈子・諏訪子。
可愛い女を感じさせる文。
駄目すぎるオリキャラ烏天狗の道春。
わずかな出番でウザさを見せつけたさとり。
わずかな出番で綺麗に話を引き締めたパルスィ。
どのキャラも実に良い。

小傘、家.出.少.女をおんぶする  蛮天丸 氏

題:小傘、家.出.少.女をおんぶする  著者:蛮天丸 氏
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1248937824&log=82
(NGワードのため、タイトル改変)
短いですが、しっかり読めるし雰囲気があります。人懐こい優しい小傘ちゃんのお話。
★★★☆☆ 

本当に怖いモノ  ぷぷ氏
姉・静葉は、妹穣子の急激な信仰と体調の低下に悩んでいた。

【作品集】82
【タイトル】本当に怖いモノ
【書いた人】ぷぷ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1248623964&log=82
【あらすじ】
姉・静葉は、妹穣子の急激な信仰と体調の低下に悩んでいた。
それは守矢神社が信仰を横取りしたせいであったと考え、とうとう洩矢諏訪子の殺害と言う凶行に至る。
当然諏訪子には敵わなかったものの、諏訪子と和解することに成功。穣子もそもそも致命傷ではなかったとさ。めでたしめでたし、では終わらない。
【感想・ここが面白い・私的評価】
見所が二つある。
一つは諏訪子と静葉のやりあいと穣子のゆくさき。この作品の大筋。畏れられすぎることに嫌気が指している諏訪子の姿は感動的なまでに可愛い。
もう一つは、その先の、この作品のテーマ。
長年付き合っている静葉がその恐怖を知らないわけがないとは思うが、それでもこのSSで描かれている静葉は酷く幼いような印象を受ける。
ひょっとしたら、また、絶望に染まる静葉を見れるのではないだろうか。期待。
それにしてもいやぁ、本当に○○って怖い。
グロは一箇所のみ。ねちっこい描写じゃなく、SS上必要だからさらりと拷問している感じで、割りと大丈夫だと思う。
【五段階評価】★★★★★(この短さで二つの読みどころを用意した手腕に乾杯)

秋姉妹主人公は珍しい

ぷぷ氏の「本当に怖いモノ」
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1248623964&log=82
秋姉妹主人公は珍しい
出来はどうだか知らないが、思考を止めない感じが好き

合々傘  反魂 さん

【作品集】82
【タイトル】合々傘
【作者】反魂 さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249146866&log=82
【あらすじ】
雨降りそそぐ魔法の森。
魔法使いの二人、雨道を行く。
一つ傘の下、まるで恋人のように。

【感想】
 まるで詩を読んでいるかのような綺麗な文体で描かれた一作です。
 合々傘で作られる小さいけれど、二人だけの世界。近いけれど、これ以上近寄ることができない。この距離感が絶妙です。
 アリス視点で語られるため、彼女の心情に目が行きがちになりますが、魔理沙の言動や行動もとても上手く描かれています。
 お互いを想い合っているのに、照れや関係の変化に対する恐れで先に進めない。
 読者はやきもきしながらも、二人を応援したくなってしまうことでしょう。

【五段階評価】
★★★★☆(アリマリ好きなら+1)

歴史談義  デン 氏

【作品集】82
【タイトル】歴史談義
【書いた人】デン 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/82/1248711632
【あらすじ&感想】
 原作から少し時間の経った人里、寺子屋の校長になった慧音と歴史教師の美鈴が仕事上がりに
 「油ギットギトのとんこつラーメン大盛り替え玉二丁に半チャーハンセット」を食べまくる話。
 2009年の作品。尺は18KB、ポイントは5160点、コメント数は22件。
 タイトルの通り歴史に関する真面目なお話になったかと思ったら意外な人物が乱入したり、
 三國志の太史慈が役立たずだったり、ラーメン屋が全焼したりする。
 素直な気持ちでアカデミックに笑える。こんな作品なら作中の2人のごとくいくらでも食べられそうだ。

 この作品には続編が2つ投稿されており、メタネタ、パロネタ、歴史ネタが多めで氏の持ち味のようだ。
 2010年の3月を最後に投稿が途絶えているようなので、それ以降に創想話にやってきた人はデン氏の作品を
 ひとつ読んでみることをオススメしたい。きっと楽しい気分になれるはずだ。

 なお、氏の投稿作を読む場合は作者名クリックか「SSさがすよ」等から作者検索することを推奨する。