作品集87

Last-modified: 2013-11-16 (土) 15:53:23
腕ずもう  TAM氏
クール系、文中では小憎たらしいキャラが板についてきたナズーリンの、化けの皮が剥がれるお話。

【作品集】87
【タイトル】腕ずもう
【書いた人】TAM氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253602529&log=87

【あらすじ】
腕ずもうをしよう、と一輪が言いだした。

【感想】
クール系、文中では小憎たらしいキャラが板についてきたナズーリンの、化けの皮が剥がれるお話。
とにかくナズーリンが可愛すぎで悶えます。
後半の一輪とナズーリンの掛け合いも非常にツボでした。

ほのぼの家族な感じのお話でした。

【作品集】87
【作品】腕ずもう
【作者】TAM氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253602529&log=87

【あらすじ】
腕ずもうをする流れに私、こと一輪は心の中でガッツポーズを決めた。

【感想】
ナズーリンを愛でるお話です。
インテリを気取るナズリンが崩れるさまが実に可愛い。
ほのぼの家族な感じのお話でした。

【5段階評価】
文章★★★☆☆
構成★★★☆☆
四股★★★☆☆
総合評価★★★☆☆

ラストのオチまで含めてほのぼの色が強いので読みやすい。

TAM氏 『腕ずもう』★★☆☆☆+★
非力なナズーリンに一泡吹かせようと一輪が腕ずもうをしようと提案して、という話。
喧嘩してしまった二人の仲直りするまでの過程をコミカルに描いている。ラストのオチまで含めてほのぼの色が強いので読みやすい。
ただ、展開が早足でもう少し書き込める部分もあったのでは、とも思わせる。展開自体もよくあるものでもうひとひねり欲しいところ。キャラの魅力に頼っているようにも思える。
キャラの掛け合いが好きな人なら星3~5。

後書きにあるテーマが良く表現できていて、一輪とナズーリン好きにはたまらない。

【作品集】87
【タイトル】腕ずもう
【書いた人】TAM氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253602529&log=87

【感想】
軽いドッキリを仕掛けたつもりが相手がマジになってどうしよう……という経験は誰にでもあるはず。
ちゃんと謝る、それを受け入れる。そういったやり取りで割と優しい気持ちになった末に謎の感動。
後書きにあるテーマが良く表現できていて、一輪とナズーリン好きにはたまらない。

【5段階評価】
文章★★★★☆(特段引っかかりなく読める)
構成★★★★☆(きちんとまとまっている)
総合評価★★★★☆(展開が展開だけに少し気恥ずかしくなるけれども)

友達のHした回数が気になる年頃  超空気作家まるきゅーさん
タイトルが全力で釣ってきているので、釣られるのが礼儀というものです。

【作品集】87
【作品】友達のHした回数が気になる年頃 「お勧め!」
【作者】超空気作家まるきゅーさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253606912&log=87
【あらすじ】
村紗とぬえがHした回数について話し合っているのを聞いた聖。聖からその話を聞いた星は、すわ命蓮寺の一大事と立ち上がる。
【感想】
タイトルが全力で釣ってきているので、釣られるのが礼儀というものです。オチの方向性はすぐに分かりますが、どう落とすのか最後まで気になって読めるのが、オチが先に読める話の利点であり、難しい所でもあると思います。
この作品の場合は、聖とナズーリンのコンビが生き生きと描かれていて最後まで楽しく読めました。ヘタレ星はブームになりそうな予感。

タイトル通りの話。

超空気作家まるきゅー氏 『友達のHした回数が気になる年頃』★★★★☆
タイトル通りの話。
明らかにこちらを迎え撃とうとするタイトルに語り口、そしてアイディアが絶妙のユーモアをかもし出す。
氏のアイディアの魅せ方は相変わらず、さすがと言える。真相までの回りくどい語りが読む側をやきもきさせ、先は一体どうなっているのかという気にさせる。
ただ、文章が横に短くぎっしり詰まっているので若干読みづらい。

ぬえの正体が見たひ  じじじさん
Sぎみな村紗とMぎみなぬえがいいコンビです。

【作品集】87
【作品】ぬえの正体が見たひ 「お勧め!」
【作者】じじじさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253531943&log=87
【あらすじ】
村紗がぬえを弄ぶ話。
【感想】
アウトとセーフの境界に挑戦しているSSです。Sぎみな村紗とMぎみなぬえがいいコンビです。描写的にわりときわどいので好き嫌いがはっきりと分かれると思いますが、短めでサラっと読めるので苦手な人でも最後まで読み切ることができるのではないでしょうか。
ぬえがひどい目にあいすぎている気もしますが、まあ、たぶん愛だから仕方ない。

村紗に振り回されるぬえを描いた話。

じじじ氏 『ぬえの正体が見たひ』★★☆☆☆+★
村紗に振り回されるぬえを描いた話。
裸は決して性的ではなく、その裸を通してなにを描くかによって決まる。この話では、描写面があざとく感じるところもあり、

ラストも投げてしまったような印象。
この雰囲気がいいんだ、という人なら星3~5。

千年の輪っか  深山咲氏
一輪と船長がともかく可愛い。

【作品集】87
【作品】千年の輪っか
【作者】深山咲氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253580072&log=87

【あらすじ】
命蓮寺のある風景

【感想】
星蓮船終了後の命蓮寺の人たちの風景です。
一輪と船長がともかく可愛い。
それに輪をかけて白蓮さんが可愛い!
白蓮さんは普段ぽけぽけな感じのキャラとして定着してきた感があります。
そんなお話。

【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★☆☆
千年★★★★☆
総合評価★★★★☆

一輪可愛い、白蓮可愛い、みんな可愛い。

【作品集】87
【タイトル】千年の輪っか
【書いた人】深山咲氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253580072&log=87

【感想】
姐さんにやってあげたいことリストを作ったはいいが、なかなか実行できない一輪。そんな彼女に絶好の機会が……。
一輪可愛い、白蓮可愛い、みんな可愛い。何だこのハートフル可愛い命蓮寺、ニヤニヤが止まらないじゃないか。
文章も読みやすく、一輪の心情が素直に流れ込んできて割と満たされた気持ちになれる。

【5段階評価】
文章★★★★★(読みやすい)
構成★★★☆☆(構成に妙味のある作品ではない)
総合評価★★★★☆(何かもう色々満足したのでレビューやめかけた)

深山さん特有の柔らかい文体で、一輪の聖への想いが綴られる。ひどくあたたかな家族愛のそれ。

【タイトル】千年の輪っか  【作者】深山咲氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/87/1253580072
星蓮船本編直後の、一輪視点で語られる命蓮寺。
何かと姐さんの世話を焼きたいけれど、それは他のメンバーも同じで、いまひとつ出遅れてしまった一輪だが……。
深山さん特有の柔らかい文体で、一輪の聖への想いが綴られる。ひどくあたたかな家族愛のそれ。
さりげなくムラサとのやりとりも良い。

甘い香り  柚季氏
地霊殿に帰宅したこいしを迎えるさとり達。

【作品集】87
【タイトル】甘い香り
【書いた人】柚季氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253551577&log=87

【あらすじ】
地霊殿に帰宅したこいしを迎えるさとり達。

【感想】
 まず、後書きに述べられた作者の目標。これは完璧に達成されています。それを支えるのが文章。難しい言葉が有るわけでも、気取った言葉があるわけでもありませんが、素晴らしい文章です。作品の空気を完全に伝えることが出来ています。
 内容は雰囲気物と言った感じで、読者の想像に任せるためかぼかした所がありますが、文章と相まっていい味を出していました。ただ、確実に人を選ぶ内容なのは確かです。ほのぼのやギャグを求めている人には会わないでしょう。
 かくいう自分も苦手です。内容自体には共感できませんでした、ですが、この文章には引き込まれたことが否めません。

遠くて近い、とでも言えるような二人の絶妙な距離感がたまらない作品。

柚季氏 『甘い香り』★★★★☆
久しぶりに帰宅したこいしの話。
遠くて近い、とでも言えるような二人の絶妙な距離感がたまらない作品。
空と燐がしつこくならない程度に抑えられながら書かれており、また文章自体も余分なところをそぎ落としたかのような切れ味がある。

特別な日に飲むためのお茶  Pumpkin氏
一応霖之助×霊夢の作品でしょう。

【作品集】87
【タイトル】特別な日に飲むためのお茶
【書いた人】Pumpkin氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253608916&log=87

【あらすじ】
霖之助と博麗の巫女の一日。

【感想】
 一応霖之助×霊夢の作品でしょう。タグに嘘はありません。ですがとんでもない変化球で攻めてきた作品でした。霖之助タグで敬遠する人こそ逆に面白いのかも。
 意外な展開を見せる作品でしたが、伏線はしっかり張られていたので違和感はありません。後半の霖之助と霊夢の会話は暖かさと優しさの中に微かな切なさがあります。
 ただ、後書きにもありましたが、香霖堂の「幻想郷の巫女と十五冊の魅力」を知らないと伏線が伏線だと気づけないかもしれません。話が展開する所で多少疑問を感じる可能性も。ただ、それでも作品の肝には影響がないとは思います。

ショートストーリーのお手本のような展開は必見。

Pumpkin氏『特別な日に飲むためのお茶』★★★★★
敬老の日の霖之助と霊夢の話。
読み始めは店主と常連客の勘定対決の駆け引きを楽しむんだな、と思っていたが、中盤からおや? と思わせて後半できっちり伏線を回収するその構成が上手い。
ショートストーリーのお手本のような展開は必見。
人物同士の掛け合いも自然で、この軽妙で正統な落とし話は読んでいて実に爽快。

民間伝承 ~The Unknown Creature~  GUNモドキ氏

GUNモドキ氏 『民間伝承 ~The Unknown Creature~』★★☆☆☆
里の人間を襲った犯人を捜すために奔走する慧音と霊夢と妹紅の話。
読み終わってまず思ったのが妙な言い方になるが、もったいない、というもの。様々な要素に手を広げすぎて、収拾がつかなくなったような印象。
サスペンス風に料理したかったのかはわからないが、ぬるいホラーのように思える。舞台や人物がしっかり整っているだけに残念。

この月の下 ~Bad end ver~  立待月氏

立待月氏 『この月の下 ~Bad end ver~』★★☆☆☆
里の人間を襲った犯人としてルーミアを始末しようとする慧音、そこにアリスが現れて……という話。
氏が冒頭で警告しているように純粋な悲劇。後味も抜群に悪く、そういった話が好きな人にはたまらない作品。
気になったのは、本文が長い割に物語を進める上で重要な部分の展開が早足になっている点。たとえば、ルーミアの人食いとしての不安や諦念の描写にしても、あっさりしすぎている印象を受けた。

この月の下  立待月氏

立待月氏 『この月の下』★☆☆☆☆+★
里の人間を襲った犯人としてルーミアを始末しようとする慧音、そこにアリスが現れて……という話。
氏の作品である『この月の下 ~Bad end ver~』の結末を変えたもの。
この作品は前作の悲劇を無理にハッピーエンドものに変えた話で、氏が後書きで書いているように前作よりも出来が悪いように思える。
前作の長点は、陰りともリリカルとも言える雰囲気が話の持ち味として活かされていたところ。それがこの話ではほとんどなくなってしまっている。
結末も、事態の解決の形を提示しないままに次の展開に移ろうとするもので、途中で投げ出されたという印象を受けた。
救いのある話が好きという人なら星2~4。

とある妹は憂鬱でござる【よっちゃん編】  白々燈氏

白々燈氏 『とある妹は憂鬱でござる【よっちゃん編】』★★☆☆☆+★
豊姫と依姫の日常をコミカルに描いた話。
私的には、氏はキャラクターの心情に訴えた話こそ上手いのだが、どうにもこういったドタバタしたコメディーは切れ味が足りないように思う。
ああここは笑うところなんだな、と淡々と眺められるような具合。あくまで個人の印象なので、星3~4。

復讐の終焉と新たな役目 (前編・後編)  えんぽり氏

えんぽり氏 『復讐の終焉と新たな役目 (前編・後編)』★★★☆☆
レミリアとパチュリーの出会いの話。
誰にでも予想のつきそうな結末なのに、この文章には最後まで読ませる力があった。
前編のやたらと多い改行など気になる点もあるが、バトルの話が好きな人におすすめしたい。

雨上がり傘  千と二五五氏
退屈だというレミリアの相手に咲夜が連れてきたのは小傘だった、という話。

千と二五五氏 『雨上がり傘』★★★★☆
退屈だというレミリアの相手に咲夜が連れてきたのは小傘だった、という話。
臆病だけれど人恋しい小傘、驚かずむしろ妖怪を驚かす咲夜、二人の対比が読んでいて非常に面白い。
雰囲気はハートウォーミング。驚くようなオチはないが、落ち着いた読後感となる。

可愛い小傘ちゃんと優しい咲夜さんを、糖分控えめで堪能できます。

【作品集】87
【タイトル】雨上がり傘
【書いた人】千と二五五 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253543455&log=87
【あらすじ&感想】
―咲夜の幸福を祈ったとき、小傘はいつもの飢えが和らぐのを感じた。
 確かに、感じたのだ。

ある雨の日、退屈なお嬢様に「面白そうな奴をもってこい」と何時ものごとく
無茶振りされた咲夜さんは、めんどくさくなって適当にそこらを飛んでいた小傘ちゃんを
つれて帰ります。貧弱一般妖怪の小傘ちゃんにお嬢様は興味を示しませんが、咲夜さんはなぜか
気に入った様子。小傘ちゃんは一日だけ紅魔館で過ごすことになり、咲夜さんと触れ合います。

特別なことは何も起こりません。それでもこのSSには一貫したテーマがあり、
「書きたいこと」がしっかりと定まっています。
過度にベタベタしない登場人物たちは、一次の東方の雰囲気に良くなじみ、かつ原作が触れていない
部分、原作にかけている要素を十分に補完しています。
文章は過剰な装飾が無く読みやすいです。その上、淡白になり過ぎて
登場人物はとても魅力的に書かれています。お嬢様は子供っぽくて我侭で偉そうですが威厳があり、
咲夜さんは瀟洒で天然で、少しだけやさしく、小傘ちゃんはひもじくて寂しいけど健気で明るい。
そんな三人が、何時もの日常をのんびりと、でも一生懸命に生活している。そんなお話です。

可愛い小傘ちゃんと優しい咲夜さんを、糖分控えめで堪能できます。ぜひご賞味を。
【五段階評価】★★★★★ 今回読んだ中で一押しです。

Nowhere  aho氏

aho氏 『Nowhere』★★★★☆
科学信仰に負けた妖怪の話。
私的には、氏はキャラメイキングが上手いと思っている。オリジナルのキャラクターを既存のものと絡める書き方が非常に自然的。
雰囲気はノスタルジーに耽った滅びの美学とでも言える。この後味の悪さ、無自覚の悪意を受け入れられるかどうかで評価が分かれるように思える。
惜しいのは、後書きにもあるように作中に書き込むべき要素を話の中で活かせなかった点。本文も削っても問題のないように思える部分がいくつかあるため、それらを作中に盛り込むこともできなくはなかったはず。

アーリーデイズ上・下  十把ひとからげ氏

十把ひとからげ氏 『アーリーデイズ上・下』★★★★★
妖忌の過去を描いた話。
この話は恋愛譚として見てもいいのだろうか。失う過程をむざむざと見せ付けられることのおぞましさがよく読み取れる。
妖忌の少年特有の仕草が新鮮であり、また驚くほど自然と馴染むものだった。逆に言えば、そこまで濃密に書き込まれているということ。
作中に用いられる表現も雰囲気に合っているものを選び、それぞれの種族の特色も色濃く描かれている。特に人間の面の描写は素晴らしいと思える。
細かい点にも気を配っており、再読に耐えうる名作だと言える。

百万回死んだもこ  ゆでまご氏

ゆでまご氏 『百万回死んだもこ』★★☆☆☆
妹紅と慧音の成り行きを描いた話。
読み終わってまず、あぁ死ぬってそういう、とタイトルに納得。
ほどほどの長さなのだが、どうにも物足りなさを感じる。
こういった情緒的な話は当事者たちの感情のぶつかり合いや他者の介入などにより切れ味が増す。しかし、この話では二人だけの世界で、結末に向けての互いの衝突もすんなり解決してしまっているので説得力などに欠ける。

阿求の幻想落語~怠惰な死神  智高氏

智高氏 『阿求の幻想落語~怠惰な死神』★★★★☆
死神を題材にした阿求の落語の話。
タイトルからもわかるように終始、落語調で書かれている。隙あらば上手いことを言おう言おうとしているな、と思わせる雰囲気が漂う。
落語をテーマにしているだけあって、テンポよく話が進み、ラストは綺麗に落とす。
言葉遊びの上手い氏ならではの展開は、見事の一言。
欲を言えば、話の面白みがもう少し欲しいところだったが、さっくり楽しめるので万人におすすめできる作品。

私は、ゆっくりになりたい  じんのじ氏
霊夢がゆっくりするまでを描いた話。

じんのじ氏 『私は、ゆっくりになりたい』★★★☆☆
霊夢がゆっくりするまでを描いた話。
タイトルからもわかるようにゆっくり霊夢が主軸となっている。
背景から気を配っており、奇をてらっているはずなのに少しも奇異でなく、子供心と親心のすれ違いを見事に書ききった。
問題はあまりにも本文が冗長であること。
途中の新聞記事の部分など削っても問題のない部分もあるように思えるので、文章すべてがどうしても必要とは言えない。
読めば面白いと確かに思えるだけに、読者を突き放す形になってしまっている点が残念。

ある夜の博麗神社に、空から饅頭が降ってきた。

【作品集】87
【タイトル】私は、ゆっくりになりたい
【書いた人】じんのじ さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253624762&log=87
【あらすじ】

ある夜の博麗神社に、空から饅頭が降ってきた。
何者にも縛られない博麗霊夢を、「れいむ」は「ゆっくり」させることができるだろうか?
ほのぼの良い話。

【感想】
「ゆっくりしていってね!!!」系SSの中でも個人的に五指に入る良作。
健気なゆっくりがかわいい。若干ツンデレな霊夢もかわいい。
それと紫が非常にイメージ通りなキャラクターで、違和感なく読むことができました。
長編で展開が冗長であることは否めませんが、時間があるときにゆっくり読むことをお勧めします。

──何てこと。早く、早くもう一人の私をゆっくりさせてあげないと!

【作品集87】

【タイトル】わたしは、ゆっくりになりたい
【書いた人】じんのじ 氏
【サイズ】157.50KB
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253624762&log=87

【あらすじ】
 どこかにある、もう一つの幻想郷。そこの住人たちは、みな「ゆっくり」過ごしていた。そんな折、ふと紫が漏らした一言が、れいむを動かした。
『あちらさんは皆、忙しなくしてたっけ』
──何てこと。早く、早くもう一人の私をゆっくりさせてあげないと!

【感想】
 僕は、他人には他人の価値観があることを想像できず、自分の考えこそが世界の心理だと思い込んでいる人間が嫌いです。文字になっていようと、絵になっていようと、映像になっていようと、そういう人物が出てくると無性に荒んだ気分になります。そんな人間の書いたレビューですので、どうか生暖かくスルーしてやって下さい。

 「ゆかり」「紫」、「れいむ」「霊夢」の二つの表記があることが、二つの幻想郷が存在することを読者に納得させるための舞台装置として良く動作していました。また、「何か」が起こったことを察知した幻想郷の住民たちの行動にも、説得力がありました。得体の知れないものを拾った霊夢の焦燥、紫に「霊夢そっくり」と言われ、口では否定しつつも内心はそう感じる部分があったからこそ家に匿ったという内面を上手く表現できていると感じました。疎ましく思いながらも、やっぱり自分に似ているとどこかで思っているからついつい世話を焼いてしまう。そういう複雑な心の動きが読者にも伝わる文章力に感心しました。
 出会い→反目→別離→仲直りといういわば王道でありながら、霊夢の内面を丁寧に描写することで説得力に溢れる展開になっていて良いとも思います。

【五段階評価】
★★☆☆☆(しつこいようですが、主観で付けました)

ゆっくり可愛い。納豆巻き食いたい。

【作品集】87
【タイトル】私は、ゆっくりになりたい 【書いた人】じんのじ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/87/1253624762
【POINT】2410 (2013/11/11時点) 【容量】142.4KB
【あらすじ&感想】
情景描写や論理的つながりに少々引っ掛かりを覚えはするものの、王道な展開。ゆっくり可愛い。納豆巻き食いたい。
霊夢のツンデレっぷりが微笑ましいゆかれいむ目的で読んでもいい。
話を圧縮するか、ところどころにネタを挟むと良かったかもしれない。
感想コメントがやや殺伐としているので、苦手な人は注意。

幻想論理 上・下・蛇足  ぜろしき氏
秘封倶楽部が幻想に到るその過程を描いた話。

ぜろしき氏 『幻想論理 上・下・蛇足』★★★★★
秘封倶楽部が幻想に到るその過程を描いた話。
一言で言うと謎解き。最後にはきっちり解答を提示してくれるので、なるほどと理解できる。
また、この手の話にしては珍しい部分が多く見受けられ、新鮮味を感じた。ネタバレを避けるために具体的なことは記述できないが、こういった解釈もできるものなのか、この人物が登場するとは、などと思わせる。
作中で既存の幻想郷の住人の名前を明確に出さなかったのは時系列を考慮してのことだろうか。
それぞれの章の始まりにある森博嗣の春の引用文は、話の構成上必要不可欠なガジェットであるとは言えないように思えるが、物語との調和は取れていて、不自然では決してない。

とある活動の日、蓮子は『向こう側』へと足を踏み入れてしまう。

【作品集】87
【タイトル】幻想論理 上 (上・下・蛇足構成)
【書いた人】ぜろしき氏
【容量】約155kb
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253626966&log=87
    ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253626999&log=87
    ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253627020&log=87
【あらすじ&感想】
タグ通り秘封倶楽部のシリアスもの。
とある活動の日、蓮子は『向こう側』へと足を踏み入れてしまう。
後日メリーは蓮子と自分の見た夢の話をするが、夢と言いつつも夢の世界で拾ったという紅魔館のクッキーと竹林で拾った天然ものの筍を
持ってくる。そしてどこかおかしくなる蓮子。
メリーは何所の世界に立っている?境界とは何なのか?
そして境界を視るメリーが蓮子に与えた影響とは。

未来世界で幻想を追う彼女らにぴったりの文章です。納得の行く、そしてもの悲しい物語でした。
蛇足は本当に蛇足であると言えますが個人的な感情としてやはりあって嬉しいものです。
しかし確かにとあるコメの指摘通り余韻を損なっている、とも取れるものでしょう。
作者のぜろしき氏は森博嗣の作品が好きで随所にその特徴が現れています。
ただ自分も最初は森博嗣作品は未読であったので読んでいなくても問題は無いと思います。
★★★★★(秘封世界は作者のあの短いテキストから捻出する世界観がハッキリ分かれていて面白いです)

全てはあの墓地へ続く列車から始まった

【タイトル】幻想論理
【書いた人】ぜろしき氏
【URL】
ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253626966&log=87
ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253626999&log=87
ttp://coolier-new.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253627020&log=87
【あらすじ&感想】
全てはあの墓地へ続く列車から始まった
宇佐見蓮子の異変の原因はどこにあるのか、不気味で暗い未来を予想させる冒頭が臨場感を際立たせる。
秘封倶楽部5枚のCDに沿ったストーリーだが読んでいても読んでいなくともこの薄氷の上に立つような雰囲気は否応なしに味わえる筈。
秘封長編の中でももっと評価されるべき他と思う作品

―――――――――チル裏――――――――――

ちなみに私は蛇足の雰囲気が一番気に入っている、あくまで個人的な感想なのであしからず

――――――――ここまで――――――――――

Rainy day  帰ってきた目玉紳士(目玉紳士ジャック)氏

帰ってきた目玉紳士(目玉紳士ジャック)氏 『Rainy day』★★☆☆☆
小傘のもとで少女が雨宿りする話。
内容や氏のやりたかったことはよく読み取れるのだが、この手の終始和やかな雰囲気のある話はユーモアや切れ味を持たせることで面白みを増す。
そのため、もう少し短くまとめるか、そうでなければ展開にひとひねり加えて色々な要素について書き込めばいいように思える。

今昔八雲紫物語(short) ~ 秘封倶楽部の崩壊と…  メリーの羊氏

メリーの羊氏 『今昔八雲紫物語(short) ~ 秘封倶楽部の崩壊と…』★☆☆☆☆
秘封倶楽部の幻想郷冒険譚。
冒頭の警告にあるように、別作品の背景を用いて自身の物語を描く手法は短編でも稀にある。
しかし、この話では自身の物語という側面がほとんどない。つまり、作者の持ち味が見当たらない。
また、文字で表すべきところに矢印などを用いたり、年表のように出来事のみを綴るなど、小説としての体をなしていない。
短い一文に対してあれこれ想像することが好きな人は楽しめるかもしれない。

鴉は主人の膝で丸くなる  白々燈氏
手触りは笑劇かと思いきや、さとりの心の機微を描きつつもほのぼのとした家族談話。

白々燈氏 『鴉は主人の膝で丸くなる』★★★☆☆+★
さとりが空のことを想う話。
手触りは笑劇かと思いきや、さとりの心の機微を描きつつもほのぼのとした家族談話。
冒頭も作中のテーマを描く要素の一つとしているが、こうもその後の展開でしんみりさせられると余計な部分に思える。一度読んで、もう一度読み返してみると、冒頭の部分だけやはり異物のように感じてしまった。
しかし、その後の展開は前述したように情緒的であたたかな気持ちになれる。語りだしが気にならなければ星4~5。

一歩間違っていたら存在しなかった幸せな場所のお話。

【作品集】87
【作品】鴉は主人の膝で丸くなる
【作者】白々燈氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253639601&log=87

【あらすじ】
地霊殿メルトダウン。

【感想】
一歩間違っていたら存在しなかった幸せな場所のお話。
すこしだけ考えさせられるお話です。そう考えると神奈子さま実に外道。
頬がゆるみっぱなしのお話でした。

【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★☆☆
学ラン★★★★☆
総合評価★★★★☆

スカーレットなファミリーのお話  マンキョウ氏

マンキョウ氏 『スカーレットなファミリーのお話』★★☆☆☆
タイトル通り、紅魔館の住人たちの騒がしい日常を描いた話。
分類には「オリキャラ」とあるように、オリジナルの登場人物が作中でトラブルを巻き起こす。
雰囲気はほのぼのに近い。コメディー色も強く、文字の表現などから見て、ライトノベル好きなら読んでみて損はないように思う。
気になったのは、そのオリジナルの登場人物たちが本当に話に必要なのかと思ってしまえる点。既存のキャラクターに挿げ替えても話として成り立ってしまいそう。
また、メタフィクション的要素が作中の雰囲気には合わないように思える。
ここまで独自の世界観を構築できるのであれば、そういった要素を切り捨てて、一貫性を持たせるともっと面白くなるのでは、という印象を受けた。

道行く先に  パレット氏

パレット氏 『道行く先に』★★★★☆
白蓮の魔法を学んだ過去についての話。
分類では「掌編」とあるが、読み終わった後の印象としては「回想」。白蓮の、過去に魔法を学んだというシーンに、神綺を上手く絡めた作品。
後書きにもあるが、神綺と白蓮という組み合わせはまったく馴染みのないものではない。また、この組み合わせでは時系列が……と思ったがそれについても氏のサイトで補足されている。
色々な要素を書き込むこともできたが、それをせずに短くまとめたこのコンパクトさが魅力。
旧作ファンに、是非とも読むことをおすすめしたい。

ズタズタの両手。  ワタナベ氏

ワタナベ氏 『ズタズタの両手。』★★★☆☆
私と死なない? と問うフランドールに答えを出す霖之助を描いた話。
不条理ホラーのまま終わってしまうのかと思ってしまった。深読みになるかもしれないが、作中のテーマが面白い。
誰からも相手にされない歯がゆさや焦燥感に振り回され、周囲の思いもしないような行動に出る子供ならではのフランの発想を、短い文章からよく描けている。
一文ごとに改行して、左右の余白を大きくさせることで言い知れぬ不安や寂寥感を掻き立てる手法は、こうした「孤独な子供もの」とでも言えるジャンルの話に上手くはまっている。
惜しいのは、背景を描かずにいきなり本題に入ってしまったこと。書きたいことが先走ってしまっている印象。
本文の短さも手伝って、読者を突き放すつくりになってしまっている。

パチュリー様はお年頃?  みたらしいお団子氏

みたらしいお団子氏 『パチュリー様はお年頃?』★★★★★
本契約をついに結んだパチュリーと小悪魔のその後を描いた話。
微笑ましくもしみじみとする愉快な短編。
これぞ青春と思わせる爽快恋愛譚、で終わらない展開が面白い。人知れぬレミリアの悩みや、助言役がフランであるなど、話にもひとひねり加えている。
なによりもオチが秀逸。
ある程度の予想はつく話。だというのにこんな方向に行くとは想像もしなかった。

天国発幻想郷行き  礫氏

礫氏 『天国発幻想郷行き』★★☆☆☆
来世に選べる人生が三つ、チルノとレミリアと紫、さてどれを選ぼうかという話。
分類に「森奈津子リスペクト」とあり、後書きにもあるように「天国発ゴミ箱行き」という話がもとらしいのだが、私個人はその話を知らないのでそれを前提にしてのレビューとなる。
こういったメタフィクション的視点で堂々と描く話は珍しい。だが、その雰囲気がなかなか上手い具合に抑えられているので読みやすい。
しかし、中盤では悪いように作用している。行き過ぎていると言い換えてもいい。
ラストの語りはメタフィクションならではと思わせるものもあり、それだけに残念に思える。

『幻想郷は本当に全てを受け入れるのか?』『Anywhere』  アステルパーム氏

アステルパーム氏 『幻想郷は本当に全てを受け入れるのか?』『Anywhere』★★★☆☆
妖怪の存在についての考察の話。
テーマからもわかるように、キャラクターを通じて氏の主張を話の形にしたもの。最後の一行でちゃっかりオチをつけるあたりが、氏らしいとも言える。
内容も理解できるし、氏の考えも頷けるものなのだが、何故二つに分けたのだろうか。
この長さとテーマなら一つの話にしても十分に成り立つ。むしろ、二つに分ける意図がよくわからない。

痴話喧嘩  耳かき氏

耳かき氏 『痴話喧嘩』★★★☆☆
宴会に参加したアリスだが、天子は場に馴染んでいるのに自分は……という話。
情緒不安定が過ぎるアリスだが、これを気難しい乙女の心の機微として表現しているのであればおそるべき完成度を誇る作品である。
惜しいのは視点が混濁していること。話は短くまとまっているのに、このせいで読みづらさを感じさせる。

Lilac  籠無 切子氏

籠無 切子氏 『Lilac』★★★☆☆
紅魔館の日常を描いた話。
咲夜の立場を考えなければ無邪気な友情ものにも思える。しかし、咲夜の視点から見ればまったく別の物語にもなりえるだろう。
短くまとまっているのだが、どうにも読みづらく感じるのは、詩のように名詞が地の文に多く散らしてあるからだろうか。
地の文が丁寧語であるときと、そうでないときがあるのが気になった。

毒の在渦  百円玉氏

百円玉氏 『毒の在渦』★★★★☆+★
妖怪として目覚めたメディスンを描いた話。
作中の蝶々と蛾を妖怪側と人間側に当てはめた対比が見事にはまっている。
メディスンの背景や理屈にならない感傷をきっちり書ききっていて、話にのめり込みやすいつくりになっている。
地の文の表記で気になるところもあったが、万人におすすめしたい。バトル描写が好きな人、救いのないドロドロした話が好きな人なら星5。

星熊勇儀と漢のつまみ  葉月ヴァンホーテン氏

葉月ヴァンホーテン氏 『星熊勇儀と漢のつまみ』★★★☆☆
タイトル通りの話。夜中に読むのは大変危険な作品。
作中の雰囲気は陽気でのんびり、といった印象。
勇儀とパルスィというお決まりの組み合わせだが、飽きない程度に盛り込まれている。主役はあくまでつまみ。
できれば、もうひとひねりなにかしらの展開がほしかったところだが、こういったお洒落なラストもまた味といえば味。

REVERIE  Phantom氏

Phantom氏 『REVERIE』★★★☆☆
早苗の前に一人の外来人が現れる話。
分類にあるように「実在の人物」をモデルにした人物が登場するのだが、これがオリジナルの人物とはまた違った持ち味をしていることに驚いた。
幻想郷の住人ではない視点から幻想郷を見れば実際にはこうなってしまうのか、と想像するのもまた楽しい。
やや展開が早足になってしまった点が惜しいところ。

悪魔の契約  万年初心者氏

万年初心者氏 『悪魔の契約』★★★☆☆
契約を結んでしまったため、死を迎えるパチュリーの話。
こういった死についての話は、素材が重いためどうしても長くなってしまいヘタをすれば冗長になる。
この話ではパチュリーの死が本筋でありながら、短くまとめてあり、結末も切れ味がある。
気になったのは、博麗大結界の部分。話にまったくといっていいほど必要なく、取ってつけたように思えること。

今日も元気に水難事故  renifiru氏
微笑ましくも、しみじみとできる良質な短編。

renifiru氏 『今日も元気に水難事故』★★★★☆
聖に恩返しがしたい、けれど自分の能力では叶わないと思い悩む村紗、そこに小傘が現れて……という話。
村紗の能力についても交えつつ、その向き合い方を提示した結末は読んでいて実に爽快。
不幸体質という要素を付け加えた村紗が、驚くほど馴染むものだった。キャラクターの持ち味が活かされている。
微笑ましくも、しみじみとできる良質な短編。

子供っぽい村紗×小傘ちゃんと見守る聖さん達のお話。

【作品集】87
【タイトル】今日も元気に水難事故
【書いた人】renifiru氏

ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253722005&log=87

【あらすじ&感想】
子供っぽい村紗×小傘ちゃんと見守る聖さん達のお話。シリーズ物の第一作です。
糖分高めのコメディー。ほほえましい白蓮さんファミリーが好きな人向け
【五段階評価】★★☆☆☆

超人バーサス  沙月氏
千年以上の時差ボケのリハビリのために、慧音の寺子屋で授業を受ける白蓮を描いた話。

沙月氏 『超人バーサス』★★★☆☆+★
千年以上の時差ボケのリハビリのために、慧音の寺子屋で授業を受ける白蓮を描いた話。
読み始めから顛末の予想がつきそうな慧音と白蓮の組み合わせ。だが、話のラストには予想以上の面白みがあった。このあたりは氏のセンスが成せる技だろう。
気になったのは話としてのボリュームが不足していて、若干キャラクターの魅力に頼ってしまっている印象を受ける点。
授業を題材にしているため、一時間目はこれ、二時間目はそれ、という展開だったが、形式にとらわれずカットしたりシーンを切り取ってもっと短くしてもいいように思える。あるいは、尺を長くして色々と書き込むこともできたはず。
この雰囲気が好きなんだという人なら星4~5。

やだなにこの白蓮さんかわいい。

【作品集】87
【作品】超人バーサス
【作者】沙月氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253725826&log=87

【あらすじ】
慧音の寺子屋に白蓮さんがやってきた。

【感想】
やだなにこの白蓮さんかわいい。
千年の時差ぼけで頭がポケポケなのか素晴らしいぼけっぷりを発揮する白蓮さんです。
誰かがやるだろうと思ってたネタをオチに持ってきてるあたり、流石としか言いようが無い。
白蓮さんの可愛さ全開なお話でした。

【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★★☆
授業★★★☆☆
総合評価★★★★☆

カリスマ?なにそれおいしいの?  ほむら氏

ほむら氏 『カリスマ?なにそれおいしいの?』★★☆☆☆+★
館の者が全員いなくなる夢を見たレミリアは、自分が不甲斐ないままでは皆がいなくなってしまうと思い込み……という話。
テーマとなっている家族愛を見事に書ききっている。上に立つものだからこそ付き纏う不安に惑わされるレミリアの描写が上手く、事態の原因まできちんとフォローしておく気配りもまた嬉しい。
ただ、ストーリーは少し読み進めれば顛末が大体想像できてしまうものだった。なにかしらの意外性を後々にも用意しておいて欲しかったところ。また、冗長にも感じる。長編のシリアス系にはよくある冒頭で意味深なシーンを切り取って読者を引き付ける手法はいいが、その後の構成ではもう少し削られる部分をそぎ落とし、飽きさせない工夫があるといいように思う。
アイディア自体は面白く、素晴らしいと思える点がいくつもあるだけに惜しいと思わせる作品。
家族愛が好きだという人なら星3~4。

おほしさまトレジャーハント  aho氏
宴会の場にどうしても馴染めないナズーリンを描いた話。

aho氏 『おほしさまトレジャーハント』★★★★★
宴会の場にどうしても馴染めないナズーリンを描いた話。
ナズーリンが主役なのだが、ネズミだけに鳥に食われてしまったような、ミスティアの独擅場。
視点を少し変えれば見えてくるものが違うのはなにも妖怪だけに限らず、仕事でも、自身についても言えることなのだなと思わされた。
作中の白蓮と魔理沙のシーンや、他の妖精とも仲のいいチルノ、ミスティアの屋台営業誕生秘話など、それだけで一つのエピソードができそうな素材を惜しみなく盛り込んでいる。また、冒頭の伏線を鮮やかに回収してのお洒落なラストや、テーマを見事に書ききっている手際は、見事の一言。
若干、中盤の説教に中だるみを覚えたが、万人におすすめできるほろ苦いほのぼのストーリー。

この物語はほのぼの系統、キャラの魅力を引き立たせる話です。

【作品集】87
【タイトル】おほしさまトレジャーハント
【書いた人】aho氏
【容量】自称62kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253746137&log=87
【あらすじ&感想】
異変に関わることにより避けられない道、宴会。
雰囲気にあまり馴染めず喧騒を嫌ったナズーリンはふらりと神社を出る。
歩くうち出会ったのはチルノや妖精たちを引き連れたミスティアであった。
妖精達は流れ星を見てこの辺りに落ちていると思い探し回っているらしい。
屋台の店主だけあって仕事上の愚痴をよく聞かされているミスティアは
優秀であり真面目なナズーリン故の悩みの相談に乗るのだった。

aho氏は作品によって雰囲気が大きく異なりますが、共通して頭に浮かんだものを
文章として形にするのが非常に上手いと感じます。
この物語はほのぼの系統、キャラの魅力を引き立たせる話です。
投稿当時(2009/09/24)はC76にて星蓮船が頒布されたすぐ後で
こういった中~長編はあまり数が出揃っていませんでした。
俺はあの短い会話と設定.txtからこんなメッセージを受信したぜというのが伝わってくる作品でした。
★★★★☆(意外でしたが文花帖には店主とは書いてあっても女将とは書いてないんですね)

就職れ、みりん  えんぽり氏

えんぽり氏 『就職れ、みりん』★☆☆☆☆
美鈴が紅魔館に入るまでの経緯を描いた話。
冒頭や分類での警告はないが、「みりん」「PAD長」「紫もやし」などの多くの二次設定が作中に盛り込まれている。そういった話が嫌いな人には読むことをおすすめできない。
しかし、こういった原作とかけ離れた世界観で構築された話こそ、二次創作の醍醐味とも言えるのかもしれない。
分類では「ほのぼの」とあるが、作中の雰囲気は「シュール」に近い。
プロットは整っているのだが、視点が混濁していて読みづらさを感じさせる。また、無理やり綺麗にまとめようとする力任せのラストや、途中で改行されている台詞など、荒削りな部分が目立つように思える。
就職活動をしている人は読んでみるといいかもしれない。

妖怪の、正体みたり、――  新戸氏
ずるりべたり、と呻きながらもうごめく謎の影の正体とは……という話。

新戸氏 『妖怪の、正体みたり、――』★★★★☆
ずるりべたり、と呻きながらもうごめく謎の影の正体とは……という話。
文字量が必ずしも面白さに比例するとは限らないという例のような作品。これだけの短さで一連のストーリーを描くことのできるその手腕に感動した。
余分な部分を一切なくしての流れるような展開は圧巻の一言。4コマ漫画のようにストレートで、抜群の切れ味がある。
ただ、前述している通り本文はとても短いため読んでいる最中は面白いが、読み終わったときには余韻がなく物足りなく感じるかもしれない。

短編です。

題:妖怪の、正体みたり、―― 著者:新戸 氏
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253794867&log=87
短編です。人を驚かすにいたるアイディアは面白いですがそっけなさすぎて感情移入できませんでした。

熱血! パワフルドッジボール!!  白々燈氏

白々燈氏 『熱血! パワフルドッジボール!!』★★★★☆
人里で行われるドッジボール大会に参加する魔理沙と愉快な仲間たちを描いた話。
全編を覆うユーモアあふれる雰囲気と、パロディー上等のストーリー、そしてあえて描写をカットすることで勢いに任せた怒涛の展開、それぞれが上手い具合に噛み合っている作品。氏はこんな話も描けるのかと驚かされた。
ラストもそんな方向に着地させるとは、と思わせる味わい深いもの。
結局何だったのかが明かされなかった優勝賞品が気になるところだが、万人におすすめできる良作に思える。

霖之助の時間、ウサギの時間  テルヒト氏

テルヒト氏 『霖之助の時間、ウサギの時間』★★★★☆
タイトル通り鈴仙と霖之助、それぞれの時間に対する考えを描いた話。
幻想郷の住人と外界の人間、あるいは単純に妖怪と人間の体感時間の違いについての考察もの。後半では実にらしい霖之助が見られる。
テーマに対する描写が非常に上手く、初投稿とは思えない文章力があるように思う。また、構成もしっかり整えられており、読みやすい。
ラストによる妙な読後感が気になったが、一度は読んでおきたい作品。

千、落陽  いこの氏
ぬえとの酒の席で、村紗はふと過去を思い返し……という話。

いこの氏 『千、落陽』★★★★★
ぬえとの酒の席で、村紗はふと過去を思い返し……という話。
海の底とは確かに見えないからこそ想像を掻き立てる人間にとって正体不明の恐怖をもよおす。そう考えるとぬえとの組み合わせが絶妙にマッチしていると感じさせる。
情景描写が抜群に上手い氏ならではの、どこかほろ苦く切ない読後感がたまらない。海と太陽の美しい叙景の対比も見事。ついでに酒への情熱も読み取れた。
ただただ静かに語られる彼女たちの言葉が心を打つ、良質な短編。

一人称が実に柔らかく、感性に溢れたものとなっています。

【作品集】87
【作品】千、落陽
【作者】いこの氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253809754&log=87

【あらすじ】
「船長!」 正体不明に声をかけられた。

【感想】
村紗船長とぬえのお話。
一人称が実に柔らかく、感性に溢れたものとなっています。
詩的、幻想的。しかしその正体は、不明です。

【5段階評価】
文章★★★★★
構成★★★★☆
お胸★★★★★
総合評価★★★★★

下らない事  耳かき氏

耳かき氏 『下らない事』★★☆☆☆+★
宴会の場に参加しないアリスが気になった天子は、周囲に後押しされるように彼女の家へ向かったのだが……という話。
好きになり始める理由は「気になるから」程度でいい。そういった少女特有の心情を描こうとしているのはわかるのだが、どうにも描写不足が目立つので独りよがりになってしまいがち。しかし、そういった悲劇のヒロインの立場に酔っている表現こそ少女特有の心情とも言えるので、氏がそう狙っているのであればやはり話としての完成度が高いように思う。
視点の混濁は変わらないのだが、まるで地の文が突っ込みを入れているようなシュールさがあった。ただ、数字の表記が漢数字であるときとそうでないときがあり、これが読みづらさに拍車をかけた。
どうにも氏の話は、評価が難しいように思える。氏の意図を読み取れているのか、それとも私のただの深読みなのだろうかと前作に続き思い悩んでしまった。
そのため、星は2~4という曖昧な評価にさせてもらった。

ウィッチメン ~深淵もまた見つめる~  神谷涼氏

神谷涼氏 『ウィッチメン ~深淵もまた見つめる~』★★★☆☆
人里に魔法を放った罪で取り押さえられた魔理沙の歴史をつかもうとする慧音だが……という話。
後書きには「ウォッチメン第六章から一部の場面を抜粋した」とあるが私は元ネタを知らないので、それを前提にしてのレビューとなる。
二度三度読み直すことで、ここはこういうことだったのか、これはこのように噛み合っているのか、と徐々に持ち味が活かされる作品。
話が進んでいくうちに全景が見えてくる構成が上手い。
冒頭で警告しているようにキャラクターが氏の色に染まっているので、その違和感を苦痛に感じるかどうかで評価が分かれるタイプの話だと思う。

星狩りの夜  ちゃー氏

ちゃー氏 『星狩りの夜』★★★★☆
宝塔の代金を支払いに霖之助のもとを訪れた星とナズーリン、主人の能力で返金すると言うナズーリンだが……という話。
与えられることで本当に救われる人は意外と多い、ということに気づかされる初々しい恋愛譚、ではないところに着地させる展開が上手い。雰囲気をがらりと変えるこの展開は読んでいて非常に面白かった。後書きを読む分には狙って描いたものではないようだが。
手触りは騒がしくないコメディーだったが、読み進めるうちに話にぐんと引き込まれ、言葉遊びを用いたラストでは温かな主従談話に落ち着かせた作品。
特に星の乙女振りを堪能したい人におすすめしたい。

転ばぬ様に歩いていこう  大崎屋平蔵氏

大崎屋平蔵氏 『転ばぬ様に歩いていこう』★★★☆☆
魔理沙の少女的側面を描いた話。
生物の死は二段階あり、まず肉体が死に、次に存在が死ぬ。この話はその向き合い方を慎重に描こうとしている。描こうとしているのであって、結局ラストまで描けずに、時間による解決という諦観の形で終わってしまったという印象が残る。
先へ先へと読む気にさせる構成の妙があり、読者を上手く引き付けている点は上手い。

輝夜のお仕事がんばる!  万年初心者氏

万年初心者氏 『輝夜のお仕事がんばる!』★★★☆☆
輝夜には「姫」以外にしている仕事が二つある。一つは盆栽監視員。もう一つは……という話。
輝夜と仕事という二つの要素が含まれる話は多々あるが、この話はありきたりの結末ではなく一ひねり加えたラストに迎えられる。
後書きの意味するところは、輝夜が姫様として永琳に接するときは閻魔さまのような心になれる、というところだろうか。面白い。
視点で一人称と三人称が混濁している部分があり、それが惜しいと思わせる。

想造  ulea氏
想像を映像に変換する機械が発明され、精神病である友人が被験者に選ばれた。

ulea氏 『想造』★★★★☆
想像を映像に変換する機械が発明され、精神病である友人が被験者に選ばれた。彼女の脳には幻想郷という世界があって……という話。
東方Projectに限らず、誰もが一度はゲームでも漫画でも創作物に対してなら考えるようなありふれたメタフィクション的発想を、独特の筆致で見事に覆い隠してしまった作品。
再読に耐えうるタイプの話が多い氏にしては珍しく、読後感が解釈的な面から見れば非常にいいものに思える。
読み進めている途中で仕掛けに気づかされるやわらかい構成で、後書きでも書いているがアイディアが先走ってしまったようだった。
分類には「暗い」とあるが、個人的には大分抑えられていると思うので万人におすすめできる。

とても暗い話なので読む人を選ぶのではないかと思いますが

【作品集】87
【タイトル】想造
【書いた人】ulea氏
【URL】 ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253881730&log=87
【あらすじ&感想】

 ヒトの脳波を電子機械で認識可能な形式へ変え、映像や音声での出力を可能にする脳波変換技術(マインドエンコーディング)の被験者に選ばれたのは、
 重度の精神病と診断されている少女――他ならぬ私の友人だった。

 

※の作品は読まなくてもわかる作品です。ただ単にダークな作風が平気かどうかということですんで。
とても暗い話なので読む人を選ぶのではないかと思いますが、個人的にはあえて一次設定を無視するSSもアリなんじゃないかと思います。
原作を尊重せず、無視して書くものと、尊重した上であえてそれを壊していくのは似て非なるアプローチですし。
なので私はこの作品をとても楽しめました。
オススメです。

【五段階評価】
★★★★☆(人を選びます)

永遠亭老夫婦  aho氏

aho氏 『永遠亭老夫婦』★★★☆☆+★
輝夜と永琳の会話が近頃は素っ気ないように感じ、不安になる鈴仙にてゐが一計を案じる話。
いい意味での会話いらずというほのぼのとした恋愛小説。言葉はいらない、とはこういうことなのだろうか。
てゐの鈴仙に、つまり読者に向けての丁寧な説明が非常に読みやすくさせていて、話にのめり込みやすい。
ただ、描きたかったことが若干、奇麗事に感じるような印象を受けた。単純に、あぁいい話だったね、で終わってしまうように思える。
和やかなムードが好きなんだという人なら星4~5。

妖怪博士の憂鬱  すこぶる氏
妖怪信仰と科学信仰の決闘を描いた作品。

すこぶる氏 『妖怪博士の憂鬱』★★★★☆+★
科学的見地からあらゆる怪奇を迷信だと人々に納得させる妖怪博士、井上円了はある日女学校で一人の金髪の生徒を見かけ……という話。
タイトルからもわかるように「こっくりさん」などの謎を解明したことで有名な井上円了を主軸に置き、妖怪信仰と科学信仰の決闘を描いた作品。
見方を変えると途端に当たり前の風景が不気味に歪み始めるもので、その描写が抜群に上手い。時代がかった語り口調やテンポのいい展開は、読み手をぐいぐい引き付ける力を持つ。
冒頭とラストに登場する蓮子とメリーの部分が話として必要不可欠であるようには思えないことが残念。しかし、単純に削ってしまってはあまりにオリジナル色が強くなってしまうので、必要であると思わせる程度になにかしらのエピソートを挟んでみるといいのかもしれない。
歴史的な側面も描かれているのでそういった話が好きな人なら星5。

時は明治時代、欧米の価値観の流入によって科学的思考が持て囃されるようになるその過渡期。

【作品集】87
【タイトル】妖怪博士の憂鬱 【書いた人】すこぶる氏
【容量】約61kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253907539&log=87
【あらすじ&感想】
時は明治時代、欧米の価値観の流入によって科学的思考が持て囃されるようになるその過渡期。
学者・井上円了はまだ大日本帝国各地に蔓延る旧時代的な怪物の噂を科学的に解決して回っていた。
そんな考えに深く賛同するとある女学院の院長に招かれ講義を行うことになったのだが、
講義後最後列に座していた金髪の『不思議』な美少女に「コックリサン」さんの原理を解説した
前回の講義について妖しい笑みと共に問いただされる。その少女は自らをお稲荷様の使いと称し
円了の心底にある想いを指摘して。

ちなみに井上円了という人物は実在しています。この話の井上円了はそれを元としたフィクションらしいですが。
井上円了の功績として「こっくりさん」の解明、京北学園の前身となる中等学校の創立や
今に残る東洋大学の前身となる機関の設立といったものが代表的なものでしょう。
さて物語の方ですが、文明開化における幻想の衰亡という幻想郷成立時のことを描いた話となっています。
時代がかった言葉使い、ノスタルジアを感じさせる周囲の描写でもって
雰囲気満点、当時に引き込まれるような作品となっています。

『創造』の孤独。  ワタナベ氏

ワタナベ氏 『『創造』の孤独。』★★☆☆☆
幻想郷を模したディオラマを作る霖之助、それを見た紫は……という話。
綺麗な描写と静かな語り口が上手い。
ただ、描きたかったテーマを色々と詰め込みすぎたようにも思える。つまり、ストーリーが整然されていない。
重めの雰囲気が好きな人は読んでみるといいかもしれない。

からかさ、えがお  八重結界氏
笑顔とは本来攻撃的なもので、と。

八重結界氏 『からかさ、えがお』★★★★★
人を驚かす方法を学ぶために阿求のもとをたずねた子傘だったが……という話。
笑顔とは本来攻撃的なもので、と。顛末を一言で表すと虎の威を借る狐。
子傘が驚かせるのに成功して終わりかなと思わせておいて、もう一歩先に踏み込んだラストが見事な作品。オチの見当がつけやすい話なのだが二段オチになっているところが上手い、とも言える。
一生懸命に頑張る子傘の姿も堪能できる、オチにこだわった軽妙な落とし噺。
万人におすすめできる、かろやかな短編。

今日も今日とて驚かすことに努力を惜しまない小傘のお話。

【作品集】87
【作品】からかさ、えがお
【作者】八重結界氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253940238&log=87

【あらすじ】
阿求は、小傘にある提案をする。

【感想】
今日も今日とて驚かすことに努力を惜しまない小傘のお話。
阿求と小傘と言う組み合わせでほんのりにっこりな物語です。
阿求が相手に選んだ妖怪がまたえげつない。性格悪いんじゃないかと疑ってしまうお話。

【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★★☆
真の恐怖★★★★☆
総合評価★★★★☆

軽いコメディーです。

【作品集】87
【タイトル】からかさ、えがお
【書いた人】八重結界 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253940238&log=87
【あらすじ&感想】
ちっとも驚いてくれず、AQNの元に相談にいった小傘ちゃん。AQNは驚いてくれそうな相手を紹介します、が…
軽いコメディーです。オチも秀逸。それほど長くないので、気軽にどうぞ。
【五段階評価】★★★☆☆

パラダイス  耳かき氏

耳かき氏 『パラダイス』★☆☆☆☆+★
変態という名の紳士である永遠亭の面々に狙われる幼いアリスを守ろうとする天子を描いた話。
書きたいことを書きたいように書いたという印象。つまり、展開が勢い任せであり、キャラクターの魅力のみが持ち味で安易とも言えてしまう。
こういった二次創作らしいとも言えるような、原作からかけ離れた雰囲気は懐かしくも感じさせる。
その雰囲気が好きだという人なら星2~3。

「恋するナズーリンはせつなくてご主人様を想うとすぐ  もるすあ氏

もるすあ氏 『「恋するナズーリンはせつなくてご主人様を想うとすぐ』★★★☆☆+★
命蓮寺にいる者と距離を置いているナズーリンが白蓮の助けを得て、皆と仲良くなろうとする話。
とぼけた白蓮の作戦を実行しては失敗するナズーリンの描写が読んでいて面白い。また、冒頭から読み手を引き付ける話題の展開も見事と思える。
メタフィクション的要素が話に合うように感じるかどうかで評価が分かれるタイプ。
そういった面白みが好きだという人なら星4~5。

とある夏の日の話  くしゅあ氏

くしゅあ氏 『とある夏の日の話』★★☆☆☆
衣玖が紅魔館のパーティーに誘われたと知ったが一緒に行きたいと素直に言えない天子を描いた話。
こういったほのぼのとしたものは驚くべき展開を組み込みにくいため、話のテーマを浮き彫りにする描写をすることなどで話としての完成度を高めることができる。
この話では、美鈴のエピソードが大部分を占めるため、天子と衣玖について描きたかったテーマが雰囲気だけに留まっていてあまり見えてこない。
スラップスティックな味わいでも持たせて軽妙な勢いで乗り切るなどの工夫がほしいところ。

微妙な立ち位置  でれすけ氏

でれすけ氏 『微妙な立ち位置』★★★★☆
白蓮から一日の休みをもらった星はナズーリンと仲良くなるために一緒に出かけようと提案するが……という話。
距離感をテーマに描く場合、この組み合わせは最高の素材の一つだと思える。主従の形から一歩先へ行きたいという想いがよく見えてくる。
タイトル通りの内容で、従者と仲良くなろうとする星と、主人とはビジネスライクな関係であろうとするナズーリン、それぞれの心情を上手く対比して描けている。また、話もよくまとまっており読みやすい。
ただ、互いを受け入れる過程がやや短いようにも感じた。
もう少し衝突やすれ違いのシーンを書き込めば、情緒的な奥深さを感じさせるようになるかもしれない。

正体不明な妖怪のがんばり物語  石之助氏

石之助氏 『正体不明な妖怪のがんばり物語』★★★☆☆
ぬえと霖之助の日常を描いた話。
描こうとしているテーマがよく読み取れる作品。正体不明だからこそ理解してほしいと思う一面が妖怪らしくなく、そこが愛らしいと思わせる。
惜しいのは、展開がこぢんまりとしていて短さが物足りなさにつながる点。物語のシーンを切り取って並べたような印象。
この話ならもっと色々なエピソードを書き込むこともできたように思う。中盤の過程にしても描写を省略してしまっているのがもったいないと思わせる。

どうか夢のままで-fragment/4-  猫井はかま氏

猫井はかま氏 『どうか夢のままで-fragment/4-』★★★★★
パルスィと幽香の出会いからその後までを描いた話。
冒頭にあるように、氏の作品であるfragmentシリーズの最終話。
氏の話はドロドロしているようでその実、純朴的。互いがそれぞれを気になるきっかけが本当にちょっとしたことで、実に王道的な恋愛小説らしい雰囲気を一貫している。
ラストまで隙がなく、悲恋の持ち味を色あせることなく描ききっている表現力はさすがの一言。
このシリーズの作品を未読の人には、すべて読んでほしいと思わせる魅力がある良作。

禁断の恋  renifiru氏
冗長にせず、コンパクトにまとめた短さは魅力に感じる。

renifiru氏 『禁断の恋』★★☆☆☆
一目見た瞬間にあなたに恋をした、けれどこの恋は叶わぬもの……という話。
これは分類が卑怯に思える。
最後の一文に向かって幾重もの伏線を張りめぐらせてゆくタイプの物語とも思ったが、これは一ネタでびっくりさせるタイプの物語。いわゆる、一発ネタもの。
そのため、ラストのインパクトに任せれば話の面白みがついてくる。この話はそこにずいぶんと頼っている印象。
アイディアとしても凡庸で、同性愛という単語が出てきたところで大体の想像はついた。
冗長にせず、コンパクトにまとめた短さは魅力に感じる。

一目見た瞬間に、あなたに恋をした

【作品集】87
【タイトル】禁断の恋
【書いた人】renifiru 氏
【ポイント】12850
【レート】14.41
(2010/05/16時点)
【あらすじ】
 一目見た瞬間に、あなたに恋をした   (本文より引用)
【感想】
 タイトルとタグと序盤で読者を引き付け、
最後の一文で全部をひっくり返す、一発ネタのお手本のような作品。
短すぎず長すぎず、ちょうど良い長さであるのも良い。
一発ネタは総じて好きじゃないという人でなければ読んでいて損は無い。
【総合評価】★★★☆☆(百合というより……)

東方反史抄 ~人を捨てた僧侶が一人~  非共有物理対氏

非共有物理対氏 『東方反史抄 ~人を捨てた僧侶が一人~』★★☆☆☆
ケシーの会合の場に出ることを求められた白蓮は、ケシーを見極めようとするのだが……という話。
ケシーとは何なのかのおさらいもできる話。ケシーは現代でいうところの常任理事国のようなものだろう。
割と回想のシーンに重点が置かれていて、原作との距離を縮めようとしている工夫が見られる。
だが、そうするとケシーという独自設定が異物のように思えてしまう。ケシーはこの話の持ち味なのでそこを自分から抑えてしまってはもったいない。
政治上の駆け引きとでも言えるような心理戦の要素があるので、その点を突き抜けて描ければ話の切れ味も増すのではないだろうか。

あなたの楽園  パレット氏

パレット氏 『あなたの楽園』★★★★☆
幻想郷のシステムを外の世界と対比しながら描いた話。
分類に「オリキャラ」とあるが、まったく関わりのない独自のものではないのであまり気にならない。キャラクターや出来事ではなく、世界観を主軸に描いた作品。
書きたいことは読み取れるのだが、紫がこう考えているだろうというオリキャラの考えがやや独善的に感じた。押し付けがましいというか、結局作り手が喜ぶ形にさせるささやかな傲慢さが垣間見える。
しかし、私的にそう感じただけで、この解釈の仕方は評価が分かれる要素ではない。五人読めば五通りの感想が出てくるタイプ。
顛末をぼかさずにきっちり書ききっていて、綺麗な形で終わるストーリーは見事。

少女発狂中  真心氏
謎解きの類型に当たる。

真心氏 『少女発狂中』★★★★☆
美味しそうな肉を食べる霊夢が気になりその肉はなんだと聞く魔理沙だったが……という話。
謎解きの類型に当たる。やたらと出てくる「肉」という単語と分類を見れば真相が透けてしまうが、今回はその既に想像できてしまう真相の形、つまりわざとらしさが上手い具合に働いている。
真相を感じ取っている読み手からすれば解答が提示されたときには、やはりそうだと快哉を叫びたくなるところ、なのかもしれない。
惜しいのは結末までもありふれたものである点。そこだけはひねっていれば文句なし、というところ。しかし、この話は「肉の正体とは」という謎が主体であるため、その謎が解かれた後であればこういった決着ですんなり終わってしまってもいいのかもしれない。

遠い昔の博麗霊夢は、妖怪を狩っていた。何匹も、何匹も。

【作品集】87
【タイトル】少女発狂中
【書いた人】真心氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1254029229&log=87
【あらすじ】
遠い昔の博麗霊夢は、妖怪を狩っていた。何匹も、何匹も。
時は変わり、霊夢は、謎の肉を食べていた。魔理沙がその肉を奪い食べると、とてもおいしいことに気づく。
この肉は何の肉なのだろう。調べてみよう。
【感想・考察】
ところどころ突っ込みどころが多数。幻想郷に冷蔵庫があるか。ヴワル図書館って古典的すぎだろ。
まぁそれはさておき、食人思想に回帰する霊夢と、それを受け止める魔理沙というストーリーは良い。
ただ、霊夢と魔理沙が二人歩み始める前の、まりさが抱きしめるシーンが、あまりにもあざとすぎて拒否反応が出た。
百合苦手な人は注意。
あー、あえて今この作品の大きな謎のような物を明かした。
誤解を恐れず言うと、それはこの作品が単なる謎解きミステリーとは別のものを持っているからである。
意図したものかどうかは知らないが、この作品は変な喩えではあるがダチョウ倶楽部みたいな魅力がある。
かなり真相へのヒキが、ぐいぐいとクる。上手い。
……まぁそれは安易に想像できるオチであることの裏返しでもあるんだけれども。
[幸力]★★★☆☆(二人揃い絶望へと歩いていく)
[鬱力]★★★☆☆(鬱い部分は前半だけ)
[グロ]★★★★☆(人間の生きたままの解体シーンが出てくる。無理な人は無理)
【総合評価】★★★★☆(ストーリーだけなら★5にしたいレベルだった)
話は変わるがいくら不意打ちのグロにビビったからと言って暴言吐くのは……
表現の自由が作者側にもあるとは言え、一応不意打ちグロ見せられたあなたのほうに正義はあるのでつつましく注意して欲しい

ちびさくやの冒険  えんぽり氏

えんぽり氏  『ちびさくやの冒険』★★★☆☆
ティータイム中のレミリアのもとに、自分を魔王呼ばわりする子供が突然やってきて……という話。
幼少の頃の咲夜の、悪魔を倒すまでの冒険譚。こういった真面目真面目してる咲夜はなかなか見かけないので新鮮。
いきなり背景も語らずに本題に入っているがその構成が上手い。物語の全景が徐々にわかってくるつくりは読み手の視線を進めるよう促がす。
ただ、過去の咲夜の冒険譚はよく描けているように思えるのだが、それを通して何を書きたかったのかがいまいち見えてこない。話としての面白みがないと言える。
あまり暗くせずに、軽妙な雰囲気を一貫させた手際が光る作品。

二人の距離  京本祐一氏

京本祐一氏 『二人の距離』★★☆☆☆
最近妙に自分に優しい紫が気になった霊夢は、その理由を聞き出そうとするのだが……という話。
言うまでもない、というような結末のぼかし方が上手い。
ただ、展開が早足で、書きたかったテーマに対して文章がついていっていない印象。中盤のそれぞれの人物とのエピソードなどもっと書き込んでもいいように思う部分がある。
また、その話の展開も理路整然としておらず、たとえば霊夢が無理にお金を稼ごうとするところも理由が気になるからといってそこまで無理するようには思えず不自然に感じる。
良いところも確かにあるのだが、悪いところも目立つ惜しい作品だった。

日蝕をもう一度  EXAM氏

EXAM氏 『日蝕をもう一度』★★★☆☆+★
日蝕を見逃してしまったルーミアは霊夢と一緒に見てみたいと考えるが……という話。
ルーミアの愛らしさと愛されっぷりを主軸に描いた日常談話。この話はずいぶんとルーミアの魅力に助けられているが、そこが持ち味の作品と言える。
Exルーミアという二次設定要素もあまり背景を描かずに盛り込んでいるが、言葉の後に事実がついてくるとでも言うようなこの手法のおかげで冗長になっていない。
日常的な出来事を描いているので特に驚くべき展開や上手いと思わせるものはないが、息抜きに最適のほのぼのとした良作。

超サイヤ人「聖白蓮」  もるすあ氏

もるすあ氏 『超サイヤ人「聖白蓮」』★★☆☆☆
命蓮寺ファミリーのある日常を描いた話。
ここのところ勢いのある氏の作品なのだが、今回の話はDBネタのスペルカードを書きたいがために作ったんだろうなと思わせる。
勢いに任せてしまっていながら途中で失速してしまった印象。切れ味があまりない。
冒頭の伏線の描写とオチは上手いと思える。

私は傘であなたの小傘  白々燈氏
ほのぼのとしていながらコメディーの要素を盛り込まれた読んでいて楽しくなる作品。

白々燈氏 『私は傘であなたの小傘』★★★☆☆+★
いつものように神社でのんびり過ごしていた早苗、そこに子傘が早苗に衝撃的な一言を……という話。
ほのぼのとしていながらコメディーの要素を盛り込まれた読んでいて楽しくなる作品。ラストの早苗の告白が実にお洒落。一昔前のプロポーズのようだ。
気になったのは、文と椛のエピソードがストーリー上必要であるとは思えない点。しかし、日常談話ではストーリーに奥行きを持たせるのは難しいため、主軸のキャラクター以外を必要不可欠な位置に立たせるのはなかなかできることではない。
そう考え、あくまでおまけの要素として見ることができるなら星4~5。

糖分劇高のこがさな。

【作品集】87
【タイトル】私は傘であなたの小傘
【書いた人】白々燈 氏
【あらすじ&感想】
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1254060272&log=87
糖分劇高のこがさな。もはやバカップルレベルに到達しています。白々燈さんはこのほかにも小傘が出てくるSSを何本かあげていますが、どれも愛玩動物として飼いたい可愛さです。
アイスクリームを食べたい気分のときにお勧めです。
【五段階評価】★★★☆☆

さて、今年もこの季節がやってきました  ハリー氏

ハリー氏 『さて、今年もこの季節がやってきました』★★☆☆☆
大晦日の博麗神社はいつもなら大人数で宴会のはずだが、今年は三人しか集まらず……という話。
雰囲気がシリアスとコメディーの中間で、どっちつかずの印象。
メタフィクションの要素があり、話に勢いを加えるのかと思えば、唐突なシリアス色。視点の混濁も手伝って、読み手が話にのめり込みにくいつくりになっていると言える。
結末もお決まりの大団円。可もなく不可もなくといった味付けの薄い話だった。

かくして時は残酷に  蛸擬氏
リリカルな雰囲気の作品が多い氏であるが今回はいい意味で裏切られた。

蛸擬氏 『かくして時は残酷に』★★★★★
幻想郷で初めて出会った霊夢は自分のことを忘れていた、どうしてだろうと考えるアリスだが……という話。
リリカルな雰囲気の作品が多い氏であるが今回はいい意味で裏切られた。こういった話も書けるのかと驚かされる作品。
タイトルや冒頭の空気とは打って変わっての展開が見事。取り上げている題材も非常に面白い。
そして、なるほどこういう話かと落ち着いたところでの二段オチも上手い。
中盤以降の行間と比べて、冒頭の行間の開け方が違うのが気になったが、シリアスの雰囲気を出すための演出だとも考えられる。
読んでいて上手い、面白いと思わせる良質な短編。

霊夢は、アリスのことを覚えていない。

【作品集】87
【作品】かくして時は残酷に
【作者】蛸擬氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1254124042&log=87

【あらすじ】
霊夢は、アリスのことを覚えていない。

【感想】
残酷、時。
そして書き出しを読んでどんな物語なのかなんとなく察しがつきますが、
思いっきり予想を裏切ってくれました。
ある意味ホラー。良く考えるとホラー。
だから細かいことは考えちゃいけない。

【5段階評価】
文章★★★☆☆
構成★★★★☆
寿命★★☆☆☆
総合評価★★★★☆

灰色の薄明かり。  ワタナベ氏

ワタナベ氏 『灰色の薄明かり。』★★★★☆
霖之助と慧音と永琳、三人の恋愛模様を描いた話。
妙に人間味のある霖之助が読んでいて新鮮、かつ面白い。
氏はこういった心情に訴えるような話が本当に上手い。ステレオタイプの大人の恋愛のような、雰囲気を重視した作品。
現実的に種族の差を考えれば必ず立ちふさがる問題についてよく描けているように思える。
霖之助と慧音と永琳、それぞれの関係の背景についてをもう少し書き込んでほしかったところだが、このままでも問題なく読める。

咲夜のお茶会  いすけ氏
雰囲気はほのぼの。

いすけ氏 『咲夜のお茶会』★★☆☆☆
メイド長主催のお茶会に招待された霊夢と魔理沙だったが……という話。
雰囲気はほのぼの。
テーマは日常談話なのだが、本当に世間話程度で終わってしまっていて話としての旨みがない。淡々とした描写がそれに拍車をかけているように思える。
イベントを用意しておく、人物の魅力に頼ってみる、などの何かしらの工夫が欲しいと思わせる作品。

のんびりした空気が好みでした。

【作品集】87
【作品】咲夜のお茶会
【作者】いすけ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1254133686&log=87

【あらすじ】
人間たちのお茶会。

【感想】
ほのぼのとした、人間組だけのお茶会です。
のんびりした空気が好みでした。
レミリアの乱入を是と見るか否と見るかで若干味付けが変わります。

【5段階評価】
文章★★★☆☆
構成★★★☆☆
乙女★★☆☆☆
総合評価★★★☆☆

ぬえの苦手を克服しよう!  じじじ氏

じじじ氏 『ぬえの苦手を克服しよう!』☆☆☆☆☆+★
ぬえの苦手なものを克服させようとする村紗と白蓮を描いた話。
話自体はしっかりしていて、冒頭から結末まで整然としている。ナズーリンの子供らしい潔癖症のような側面も読んでいて面白く思う。
しかし、いかんせん場違いに思える作品。
分類には下品とあるが、これはただ不快というものではなく性的な描写を描こうとしている節があるように思える。
そのため創想話の作品として評価できない。
楽しければいいじゃないかと悪乗りできる人なら星3~4。

東方中田史  神谷涼氏

神谷涼氏 『東方中田史』☆☆☆☆☆+★
てゐに赤ちゃんの作り方を教わったチルノと橙だったが……という話。
創想話のこれまでの作品を見るに、エッチな話は受け入れられるが、性的な話は受け入れていないように思える。
この話はコミカルな雰囲気も手伝って小学生がするようなエッチな話程度に抑えようとしているが、使っている単語が良くなかったように思う。
単純に赤ちゃんができてしまったと誤解した事実だけでも話は成り立つように思えるのだが、それを単語の形にしてしまったのだから場違いの作品となってしまった。
また、話としての面白みもイマイチ。大抵こういった誤解したまま突き進む話は最後では間違いだったのかと気づいて、という展開だがこの話はそのままゴールしてしまった。もちろん、そういったストーリーもありだが、短さや描写不足も相まって放り投げてしまった印象を受けた。
タイトルにもある単語に嫌悪のない人なら星2~3といったところ。

閉じた瞳と地底の兎  FoFo氏
こいしが地上から新しいペットを連れてきたのだが、そのペットとはてゐで……という話。

FoFo氏 『閉じた瞳と地底の兎』★★★★★
こいしが地上から新しいペットを連れてきたのだが、そのペットとはてゐで……という話。
さとりの視点で語られる話であるため登場する人物が一人を除いて、台詞と共に心の中も描かれている。
こういった覚の種族的要素を持ち味とした話は珍しい。そのためか、後書きでは発言・内言・地の文が散らばっているとあるが、終始隙がなくきっちり読みやすいように書ききっている。
こいしの無意識干渉、てゐの一貫した取り繕い、それぞれのさとりへの付き合い方など、一つ一つはよくある発想だが、それを上手く組み合わせることによって新鮮に思える印象を受ける作品となっている。物語の魅せ方が秀逸とも言える。
作中のさとりは能力が発覚した後のてゐの反応に驚いているが、これはてゐが異端というより、さとりがペットたちのような裏表のない者との付き合いに慣れてしまったからではないだろうか。
終盤でのさとりが幻想郷の住人たちと会話するシーンも、迫害していた昔との時代の移り変わりを感じさせる。
などというように、この話は色々な背景をあれこれ考えることができる。こういった読者に想像の余地を残す書き方が非常に上手いと思えた。
長さはあるが、冗長ではなく満足感を与えるもの。
万人におすすめできる、切なくもほのぼのとした傑作ストーリー。

てゐとさとり、嘘を吐く者と嘘を見抜く者。

【作品集】87

【タイトル】閉じた瞳と地底の兎
【書いた人】FoFo氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1254154990&log=87
【あらすじ】
 妹のこいしが、地上界で新しいペットを捕まえてきたらしい。
 そのペットというのが、息を吐くかのように口から嘘が出てくる奴で、
 裏表のありすぎる性格を持った忌々しい地上の兎妖怪。
 そいつの名前は、因幡てゐ。
 私は彼女が大嫌いなのだ。

【感想】
 てゐとさとり、嘘を吐く者と嘘を見抜く者。ある意味水と油のような関係の2人が出会ったとき、一体どんな想いが生まれるのかという作品。
 さとり視点で進む物語だが、さとりの能力である読心を上手く表現している。
 こいし以外の心をちゃんと読んでいることを伝える作品は実はそんなに無いのではないかと思います。
 登場キャラの掛け合いが全て魅力的なのも良い。
 FoFo氏も明言してるように登場人物の発言と内言が少しごちゃついていた感もあるが読みにくいわけではありません。
 
【五段階評価】
 ★★★★★(個人的には鈴仙にも注目してほしい)

~個人的お気に入り本文抜粋~
 (言えないよ。そんな偉そうなこと、私には言えないよ)

古明地姉妹の心温まるこころの物語。

【作品集】87
【タイトル】閉じた瞳と地底の兎
【書いた人】FoFo氏
【容量】約92kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1254154990&log=87
【あらすじ&感想】
さとりはこいしがペットを拾ってきたことを知る。異変後に交流が出来たとはいえ、まだまだ厄介事が残る
地上と地底の関係を刺激したくないさとりは拾われたペットを早急に地上に追い返すことを画策する。
しかもそのてゐと名乗る兎と会ってみれば文字通り心にもない言葉を発し続ける腹黒兎と判明、
呆れたさとりはすぐさま脅して追い返しにかかろうとするが、こいしに強く突っ撥ねられる。
翌日、その弁舌と性格で早くもペット達の間で一目置かれる存在となろうとしていたてゐに対し
さとりは2人きりとなった時を見計らって本心を聞き出そうとした。しかしてゐの心理的な面での怜悧さを
改めて感じることとなる。その夜、地底へと潜って地霊殿を嗅ぎまわっているという兎がやってきたらしいが――

古明地姉妹の心温まるこころの物語。てゐをさとりと絡ませることでより思案しやすく
共感を覚えやすくなっていると思います。無論てゐがただの引き立て役で終わる訳はありませんが。
妹が瞳を閉じてしまったことにまだ後悔を残す姉としてのさとり、
一旦閉じてしまった後だとしてもまだもう一度他者の心を覗いても大丈夫になりたいと願うこいしの関係が絶妙でした。
特にこころに深い関わりを持つ覚り自身の想うことでも、自分は他人からどう思われているかということに
答えを覗けるとしても気になるものなのでしょうか。そんなことを思いました。
永遠亭側の描写も人(?)物が自然に動いていてこれ無しではこの読後感はなかったでしょう。
★★★★★(コメント通り「文句なし」そう思わせてくれる物語です)

好奇心は天狗を呪う  デン氏

デン氏 『好奇心は天狗を呪う』★★★★★
香霖堂にある呪いのアイテムを持ち前の好奇心に駆られうっかり触れてしまった文は……という話。
霖之助と外来の道具の相性は抜群にいい。この話はその相性の良さを最大限に活用している。
テンポよく繰り出される言葉遊びを用いたキャラクターの掛け合いは、西尾維新を彷彿させる。また、流れるような展開やささやかな伏線にバトル描写など、実に丁寧な話作りをしている印象を受けた。
おまけのような要素ではあるが、さりげなく描かれている紫の乙女らしさも上手い。
長さはあるが、先へ先へと気になる構成になっているので非常に読みやすい。
万人におすすめできる、愉快な良作。

おぼろげな夜  パレット氏

パレット氏 『おぼろげな夜』★★★★☆
霊夢が布団に入って眠っていると、魔理沙がやってきて連帯保証人になってくれと言うのだが……という話。
翳りや情緒的な雰囲気が氏の持ち味のように思うが、この話はふわふわコメディ。
地に足のつかない危うさのような。宙を浮かぶとこんな気持ちになれるのかもしれない。
絵本のような不条理さがあり、それが面白みにつながっている。
特別にコミカルな筆致というわけではないのに、どこかおバカめいてると感じられる独特の空気を堪能できる作品。

博麗の巫女は死んでしまった  ほむら氏
慧音先生から語られる博麗の巫女の役割なお話。

【作品集】87
【作品】博麗の巫女は死んでしまった
【作者】ほむら氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1254214841&log=87

【あらすじ】
お前たちには話さなければならない。博麗の巫女が死んでしまったときのことを。

【感想】
慧音先生から語られる博麗の巫女の役割なお話。
慧音の真意を良く考えるとちょっとぞっとするお話。
アリスが現れてからが本編だと思いました。

【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★★☆
半額★★★☆☆
総合評価★★★★☆

博麗の巫女の役割、妖怪の在り方、その関係を描いた話。

ほむら氏 『博麗の巫女は死んでしまった』★★★★☆
博麗の巫女の役割、妖怪の在り方、その関係を描いた話。
読み始めは妙だなと思いつつも進めてみると、なるほどこういうことだったのかと理解できる伏線の数々に驚かされた。
ばらばらに開いている行間も、時間がないと焦る語り部も、唐突なポエムも、すべてが演出として効果を発揮している。
発想自体は定番であるが、話のつくりが非常に上手いと思える作品だった。

船の上の宴会  H2O氏

H2O氏 『船の上の宴会』★★★☆☆
ナズーリンと星を中心に描いた宴会模様。
小傘のエピソード、恋心を知られ焦るナズーリン、主なのに主らしいところをなかなか見せられない星など、それぞれを愉快に描けている作品。
ただ、視点が混濁していて読みづらさを感じさせるところや、若干冗長になっているところが気になった。

魔理沙とチルノのお胸くらべ  匿名氏

匿名氏 『魔理沙とチルノのお胸くらべ』★★☆☆☆
暑さから逃れるためにチルノに会いに行く魔理沙だったが……という話。
キャラクターの持ち味をしっかり描けていて、中だるみしないように無駄な部分を省いたつくりはいいが、短い。短いことは悪いことではないが、この話の短さはもうこれで終わりなのか、という物足りなさにつながる。
いくら日常談話だとしても、ストーリーにもう少し展開が欲しいところ。

『向日葵セラピー ~First days~』『向日葵セラピー ~Last days~』  sio氏

sio氏 『向日葵セラピー ~First days~』『向日葵セラピー ~Last days~』★★★☆☆
偶然が重なって不治の病の少女の面倒を見ることになった幽香だったが……という話。
まず、オリジナルのキャラクターの魅力を話の持ち味として押し出そうとしているので、オリジナル要素を嫌う人には受け入れがたい話になっている。
二次創作では素直でない優しさを持っている、という風に描かれることの多い幽香と不治の病の少女という要素があれば、先の展開がある程度予測できてしまえる。そしてこの話はその例に漏れず、定番と言える顛末となっていた。
オリジナルのキャラクターである少女は非常に良く描かれているように思える。キャラメイキングが上手いとも言える。
精神的に成熟している面も見せれば、子供特有の感情を抑えきれない幼さも書き込まれていて、十代少女の危うい心の機微を見事に表現できている。
また、話の内容も単純に幽香と少女の触れ合いから別れまでに止まらず、どのような病に対しても救える手段を持っている永琳の葛藤も描かれている。
惜しいのは、先ほども記述したように顛末が読み手の予測の範囲を超えられなかったこと。そして、幽香と永琳のどちらの心情もストーリーの要素として書き込んでしまったため、無理にまとめようとしているような印象を受けたこと。
素晴らしいと思える点もあれば、残念だと感じるところもあるが、オリジナル要素を好む人は是非とも読んでみることをおすすめする。

美鈴と空とアンニュイなお仕事   幻想と空想の混ぜ人氏

幻想と空想の混ぜ人氏 『美鈴と空とアンニュイなお仕事』★★☆☆☆+★
いつものように門番の仕事をしていた美鈴だったが炎天の暑さに参ってしまい……という話。
雰囲気は終始シュール。冒頭から美鈴の様子をうかがっているチルノの存在が、結末に向けての要素、伏線として描かれている点は上手い。
美鈴の視点からの描写で淡々と進められ、長さもないので読んでいて物足りなくも感じた。オチも結局、唐突に出しても許されるベクトルのものに頼ってしまっていて、ストーリーとしての完成度は低いように思える。
キャラクターの魅力を持ち味としているので需要はありそう。

時が示すもの  えんぽり氏

えんぽり氏 『時が示すもの』★☆☆☆☆
氏の作品である『ちびさくやの冒険』のバックストーリーのようなもの。
前半は咲夜の経緯を、後半はバトル描写を主軸としている。前半は問題なく読めたのだが、後半のバトルシーンで気になる点がいくつかあった。
バトルシーンを文章にするには、視点にもよるが動きを描写不足だと思わせない程度に書き込まなければいけない。この話ではその動きの描写をもっと書き込んでほしいと思う部分がいくつかあった。
また、幽香視点とはいえ、咲夜の思考や心情などの内心を括弧で括って表現してしまっている点が安易に思える。幽香視点ならば、咲夜のそういった部分は動きとしての形で描写して、それに対して幽香が補足するようにすればいい。
漢数字と算用数字が混じっているところも気になった。

八雲式マーボー豆腐の作り方  不夜城レッド氏

不夜城レッド氏 『八雲式マーボー豆腐の作り方』★★★★☆
紫に自分の式神を作るよう命令された藍だったが……という話。
手触りはほのぼのとした話かと思ったが、苦労あり挫折ありという成長を描いたストーリー。
冒頭の軽妙な掛け合いで読み手を引き付け、中盤では藍の出会いや葛藤を描き、後半で綺麗にまとめるという構成が見事。
展開も想像していたものとは違ったところに着地させられたと感じられる、一ひねり加えた発想がある。
ただ、最後のおまけが本当に蛇足に思えるところが残念に思う。言わぬが花というもの。

酒と鬼とそれから恋  白黒林檎氏

白黒林檎氏 『酒と鬼とそれから恋』★★☆☆☆
霖之助と萃香の恋愛談話。
霖之助と萃香の組み合わせを書きたかったのはわかるが、背景や心情の変化がほとんど描かれていないので顛末が不自然に感じる。必要なシーンをところどころ抜いてしまっているような印象。
そういった点が、読み手を物語にのめり込みにくいようにさせていると思う。

続・下らない話  耳かき氏

耳かき氏 『続・下らない話』★★☆☆☆+★
冒頭にあるように氏の作品である「下らない話」の続編。
タイトルの真意や、お洒落なラスト、揺れ動く不器用な乙女心の機微の濃密な描写、それぞれが光る話に思えた。
ただ、ストーリー自体はいいのだが、やはり視点の混濁が読みづらくさせる。
また、今回は一応天子視点で進められていた話だったが突然アリスの視点に変わる部分があり、さらに混乱させられた。
物語が濃いだけに、形式のミスが目立ってしまう作品だった。

アリスVSレミリア 前編 後編 (87/89)   設楽秋 さん

【作品集】87 89
【作品】アリスVSレミリア 前編 後編
【作者】設楽秋 さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1254035063&log=87
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255242398&log=89

物語 11点
タイトルどおり。バトル物で半分ぐらいはバトル描写にさかれている。
アリスが強いというのはわからないでもないが、誰もかれも喧嘩っ早いので、戦う動機の面で弱いかもしれない。
バトル描写はけっこう力をいれて書いている。
弾幕ごっこではないからしょっぱなから幻想郷のルールぶっとばしているが、まあそれはお約束と考えるべきか。

キャラクター 11点
レミリアがアリスを馬鹿にするという点をマイナスに感じる人はいるかもしれない。
その他にもアリスがやたら強かったり、フランがやたら壊れてたりと、キャラクターの原作との乖離はけっこうある気がする。
そこを許容するにしても、フランの再生が目標だとすれば、紅魔館だけでよかったと思う。
永遠亭のメンツははっきり言って蛇足なメンツ。魔界のメンツも無駄に話を長引かせる原因になっている。

ストーリー 12点
メインテーマがわかりにくい。
フランの再生。簡単に言えば友達がいなくてうじうじしているのをなんとか救うというのがテーマであれば、
ここまで長引かせる必要はなかったのではないだろうか。
文庫本換算で120ページほどもある中編のうち半分ほどはバトルに費やされていることから考えると、
単純にバトルしたかったのだろうと考えるほうが自然かもしれない。
バトルにいたる契機には、そこそこ紙面をさいており、自然に書けている。評価できるポイント。
魔界での二人のバトルは面白くはあったが、上記のフランの再生が目的だとすればいらないし、永遠亭のメンツの話は無駄とさえ言える。
中編程度の分量であれば、もっと圧縮してもよかったかもしれない。

構成 11点
何を書きたいのか最後までわからない創りになっていて、枝葉が多い。
けっこう複雑で、何が起こっているのか理解するのに時間がかかる。
バトルものがやりたいなら削ったほうがよかったところも多く、フランがラスボスなら同じく。
アリスの復活というネタがどうも浮いているのか。

表現 13点
バトルものを単調にせずに、おもしろく書けている点は評価できる。
説明する力もある。
ただ、構成がグダいせいで、表現力に枷がかかっているようにも。

総点 58点
印象としては散漫。120ページ程度は創想話としてはかなりの分量ではあるものの、
その分量で収まりきれないほどのネタを詰め込みすぎている。
書きたいことが多すぎたのかもしれない。

初々しき藍紫色  霜月 継夜氏

初々しき藍紫色  霜月 継夜氏

ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1254273393&log=87

霖之助物&恋愛物の中でも特にオススメの一品。
大人な恋愛の中に混ざる少女的恋愛。一言で表せば、「ドイツもコイツも可愛いなあもう」である。
読後感はよろし。ニヤニヤする事間違い無しの作品。