作品集89

Last-modified: 2011-10-30 (日) 22:33:31
かくれんぼ  音羽氏
さぁ、かくれんぼの始まりだ。

【作品集】89
【タイトル】かくれんぼ
【書いた人】音羽氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255165350&log=89
【あらすじ】
 フランドール・スカーレットは目を覚ます。
 さぁ、かくれんぼの始まりだ。
【感想】
 モニターが涙で滲んで大変だった。
 創想話で結構な話を読んだがこんなに泣いたのは初めて。
 紅魔館住人の優しさと苦悩が上手く描かれていると思う。
 章の頭につく記号の意味などもしっかりと考えて読む必要あり。
 「死」をテーマにした作品だがしつこさが無くてよかった。

【五段階評価】
 号泣  ★★★★★
 文章力 ★★★★☆
 ギャグ ★★★☆☆
 ストーリー ★★★★★
 総合力 ★★★★★

【追記】
 作者様のブログに解釈が付け加えられていました。
 難解だったり背景気になるようなら一読してみてはいかが?

――もういいかい?

【作品集】89
【作品】かくれんぼ
【書いた人】音羽氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255165350&log=89
【あらすじ】
さぁ、みんなを見つけなきゃ!   ――フランドール・スカーレット
隠れましょう。それが貴方のためならば。   ――レミリア・スカーレット
この茶番劇に終止符を。   ――パチュリー・ノーレッジ
 
 ――もういいかい?

【感想】
とにかく涙、涙の作品でした。
若干コメディ交じりの序盤。そして一気に事態が急転直下し、クライマックスへ。 
台詞の一つ、描写の一つ一つに丁寧に伏線が張られている。
読み返せば読み返すほど味が出る作品。三回くらいは読むべき?

【5段階評価】
文章力   ★★★★☆
ストーリー ★★★★★
感動    ★★★★★
総合評価  ★★★★★

この物語は読まないほうがいい。読んでくれるな。そっと閉まっておきたいから。

【作品集】89
【作品】かくれんぼ
【作者】音羽さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255165350&log=89

物語 17点
この物語は読まないほうがいい。読んでくれるな。そっと閉まっておきたいから。
設定自体はさほど目をひくものではないかもしれない。ただし、マトリョーシカ人形は読み手の感情を根こそぎ持っていく破壊力がある。

キャラクター 15点
書き過ぎないところがいいところ。
フランの性格は子どもっぽさを残しており、その子どもっぽさが哀愁を誘う。絶妙といえる。
原作との乖離は若干見られるかもしれないが、時が埋めたと解釈すべきか。

ストーリー 17点
特に悪いところが無いので書くべきこともないのだが、フランが変に明るく振舞う様子が逆に涙を誘うのかもしれない。

構成 15点
起伏を作り出すほどの分量がないが、しっかりとした骨太設計ではある。

表現 16点
最後の台詞が巧い。

総点 80点
まちがいなく名作である。ただ行間に委ねすぎているところもあるので若干想像が要求される面もある。
二度読むことによって物語に深みがでる、そういう一粒で二度おいしい作品である。

こいしのグルメ~森の雑貨屋のドラ焼きとお茶~   H2O氏
実に分かりやすい某パロディです。

【作品集】89
【作品】こいしのグルメ~森の雑貨屋のドラ焼きとお茶~
【作者】H2O氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255176208&log=89

【あらすじ】
うわぁ。なんだかすごいことになっちゃったぞ。

【感想】
実に分かりやすい某パロディです。
確信犯に無意識なこいしが面白いです。
パロディ的にはもう一押し欲しかったところ。
のんびりとしたお話でした。

【5段階評価】
文章★★★☆☆
構成★★★★☆
ごろー★★★☆☆
総合評価★★★☆☆

こいしが散策中にフラフラと森の雑貨屋に迷いこんでドラ焼きとお茶を盗み食いする話。

【作品集】89
【作品】こいしのグルメ~森の雑貨屋のドラ焼きとお茶~
【作者】H2O さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255176208&log=89

物語 14点
こいしが散策中にフラフラと森の雑貨屋に迷いこんでドラ焼きとお茶を盗み食いする話。
ワンアイディアだけでオチもないのだが、こいしの雰囲気がまるで猫のような感覚なので、
その愛らしい様子をカメラさんが追いかけてるような気分になる。

キャラクター 16点
こいしのキャラクターがコミカルで好感がもてる。先にも述べたが動物的で葛藤や悩みとは縁遠いが、そこが良いところでもあると思う。

ストーリー 14点
山もなくオチもないのだがそういったことをすべて捨て去るからこそ、純粋に愛でることができる。
癒し系というかそんな感じ。印象っぽい書き方になってしまったが、要するに内容は無いに等しいのだが、読んで損な気分にはならない。

構成 12点
山もなくオチもないのだが、そもそもホームビデオで愛猫を映した作品みたいなのがあったとして、そんなのに山場とかオチとかが必要かという話である。

表現 13点
漢字で難しい字はできるだけ避けたほうがいいと思うし、重複表現も多いのだが、
短文を重ねているのであまり読みづかれないし混乱もしないところが良い点。

総点 69点
印象としては純粋に文章という意味ではまだ練る余地があるように思う。
ファンタジックな色彩をうまく物語に溶かす才能があり、そこが一番うまいと感じたところ。雰囲気作りがうまい作者なのだろう。
ちなみに食い逃げにさほど嫌悪感が湧かないのも、猫的なポジションだからだと解釈してみた。真偽のほどは読者にまかせたい。

嵐の夜に、お散歩を  道標氏
幻想郷に台風がやってきた!

【作品集】89
【作品】嵐の夜に、お散歩を
【作者】道標氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255187175&log=89

【あらすじ】
幻想郷に台風がやってきた!

【感想】
台風に翻弄される少女たちと、台風に遊ぶ少女たちのお話。
このお話で一番かっこいいのは神奈子さまでしょうか。
暢気な幻想郷に生きる妖怪たちの様が楽しかったです。
欲を言えばもう少し色々な人たちのを見たかった。

【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★★☆
目★★★☆☆
総合評価★★★★☆

各々の嵐のときの様子を俯瞰風景で描写した作品。

【作品集】89
【作品】嵐の夜に、お散歩を
【作者】道標 さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255187175&log=89

物語 14点
各々の嵐のときの様子を俯瞰風景で描写した作品。わりとほんわかしている雰囲気がある。子どものとき台風でなぜかわくわくした覚えがあるが、それは家族との連帯感が高まるせいかもしれない。シチュエーションとしてはグッド。

キャラクター 13点
嫌味がないキャラクターを書けているが、俯瞰描写なので内面を探ることはできない。そこがいい、という意見もありそう。

ストーリー 13点
オムニバスなんで特に特定のキャラクターを追うわけではないが、基本的には思いやりのある世界観である。
一言で言えばほのぼのなのだろうと思う。

構成 12点
オムニバスは構成としてはぶつ切りなので評価がしにくい。

表現 10点
俯瞰としての視点をつらぬいているため、キャラクターとの距離感が遠い。感情移入がしにくい表現である。そもそも日本語として壊れている部分もけっこう見受けられるため、短い文章ではあるけれど、読むのが困難。普通に書いていれば、設定もストーリーも悪くないので、非常に惜しい。

総点 62点
シチュエーションと話の運び方は巧いのだが、文章表現がいまいちなのが惜しいといったところである。

恋の奴隷  パレット氏
八雲紫のデレ期である。

【作品集】89
【作品】恋の奴隷
【作者】パレット氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255305731&log=89

【あらすじ】
八雲紫のデレ期である。

【感想】
霊夢と紫の、ほんのちょっとの駆け引きと
あたたかい感情のお話。ニヤニヤしながら読むの推奨です。
難しいことは考えず、会話の妙を楽しんでください。

【5段階評価】
文章★★★☆☆
構成★★★★☆
恋愛★★★★☆
総合評価★★★★☆

かなりストレートなゆかれいむ。

【作品集】89
【作品】恋の奴隷
【作者】パレット さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255305731&log=89

物語 14点
かなりストレートなゆかれいむ。
成就しないので、ビターテイスト?
ゆかれいむでのコツは、紫の弱さをうまく表現することにあると思う。
本作品の巧いところは、その見せ方である。

キャラクター 14点
紫の弱さの見せ方がうまかったように思う。
完全に弱くてダメダメとなるのではなくて、ギリギリのところで踏みとどまるのがいい。
言ってみれば、耐え忍ぶ恋という感じなのだろうか。
ちゅっちゅ好きにはちょっとツライかもしれないが、心情の微妙な色合いを出せるのは作者の力量だと思われる。
これが、後の壊れ系ゆかれいむになるとは、このときはまだ誰も予想していなかったのだ。続く。

ストーリー 13点
内面にフォーカスしているせいか、勢いが足りないところがあるかもしれないが、こういうゆったりとつむいでいくお話も味わい深い。
本来的にはこちらのほうが意味内容としては充実しているはずなのだが、瞬間風速的なパワーに負けた感じなのだろうか。
つまり、ゆかれいむは幻想入りしたのである。

構成 12点
構成という点で考えると、濃淡のつけかたをもっと色濃くしたほうがよかったかもしれない。
個人的には第三節の「霊夢に、飼ってもらいたいなぁって」を一番先に持ってきたほうがよかったのではないだろうか。
紫が霊夢の家にいるというのは、二次創作的なお約束のなかでは、さほど珍しいことではないので、
冒頭からするとさほどインパクトはなかったと言える。

表現 13点
過不足なし。あらわしたいことを必要十分に書いているため、説明という最も難しい点をクリアーしている。

総点 66点
印象としては、綺麗すぎたか。
物語的な収束がきっちり練られているので、そこは面白いのだが、
逆に言えば、まとまりが良すぎて、取りこぼされた面白さがあるように思う。
ビターな感じなので、ちょっぴり大人向けかもしれない。

えぼっとーんろえぼっと  ぜろしき氏
蓬莱人の回顧譚。

ぜろしき氏 『えぼっとーんろえぼっと』★★★★☆
蓬莱人の回顧譚。
何気ない日常の風景をただ切り取って見せただけの話であるため、展開に面白みを排していて目に見える動きが少ない。こういった話は読み手の趣味を大分選ぶので、手の出しにくい人も少なくないかもしれない。
しかし、日常の見せ方が圧倒的に上手いと思える作品。
タイトルは言葉遊びの類で、意味はない。だが、そういった趣向が作中の雰囲気も相まって実に綺麗な作品という印象を与える。
作中の輝夜の「生きるべきか、死ぬべきか」という問いに対しての永琳と妹紅の回答がどちらも「こうしたい」という答え方になっているところが面白い。
与えられる義務としての問いであるのに、自身の意志としての形で答えを出している。こういった書き方が、肉体的に成長しない蓬莱人の精神的な成長を感じさせる。
短いながらもよくまとめられていて、読み終わった後には読み手に色々と考えさせるつくりとも言える。
秋の夜長にふさわしい物語。

永遠の命についての考察ネタ。かぐもこ風味。

【作品集】89
【作品】えぼっとーんろえぼっと
【作者】ぜろしきさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255150952&log=89

物語 14点
永遠の命についての考察ネタ。かぐもこ風味。
端的に言えば、考察系であるからあまり物語としての旨みはないが、短編としてのまとまりをもっていて綺麗だと言える。

キャラクター 12点
キャラクターをあまり感じさせない作りになっており、おそらく誰でもよかったのであるが、永遠の命を持つ彼女たちをうまく配置していると考える。
関係は良好で嫌味がない。

ストーリー 15点
寂寥と希望の中間的な感情をうまいぐあいに表現できている。

構成 12点
基本的に起伏がないので、構成はあまり関係がない。ただし、短いのでそこまで気にはならないといったところ。

表現 15点
ほのかな美。数学的な表現。日本人的な琴線に触れるような綺麗な表現が多く、その表現手法に触れるだけでこの物語を読む価値はあると思わせてくれる。

総点 68点
印象としては、ともかく表現に力をいれたのだなとわかる作品である。感情を表すのがうまい作者だと思われるので、これから『不』の方向をあらわすこともできれば深い作品が創れるかもしれない。
ひたすら綺麗な作品もまたありだけれども。

10KBの短編。良い意味で平坦な展開。

【作品集】89 【タイトル】えぼっとーんろえぼっと  【書いた人】ぜろしき 氏
【あらすじ】
 永遠亭に妹紅が訪れると、輝夜は快く迎い入れる。
 それは、かつては決して見ることの出来なかった光景だった。
【感想】
 10KBの短編。良い意味で平坦な展開。
 竹林の光景と蓬莱人三人の長閑なやり取り、それに落ちついた描写が
 これまで何千回と繰り返されてきたという空気を上手く表現していたと思う。
 無限ループっぽい印象を受けた作品。
【文章】       ★★★☆☆
【展開】       ★★★★☆
【総合評価】   ★★★☆☆ (落ちついた雰囲気ののんびりした作品)

『自立人形への探求』『自立人形への愛情』  和菓子炬燵氏
読み手の好みによっては十分良作になり得る。

和菓子炬燵氏 『自立人形への探求』『自立人形への愛情』★★★☆☆
パチュリーの協力により完成したアリスの試作の自立人形が紅魔館で働く話。
前編後編と分かれているが、どちらも長さはあまりないため読みやすい。前編では自立人形の背景や成り行きが描かれ、後編では美鈴の視点から働く自立人形の様子が描かれている。
特に面白いと思えたのが前編。自立人形の製作に関してかなり踏み込んだ内容となっている。自立人形という独自要素があるが、ストーリーも整然とされていて不自然さを感じさせない。
惜しいのは後編の書き込み不足。後書きで書かれているように氏の考えあってのつくりなのだが、前編に対して後編の内容があまりにあっさりしすぎている。想像の余地を生み出す狙いが、物足りなさにつながってしまったように思う。
視点を変更せずに、一貫してアリスの自立人形に対する想いや行動を書き込めば、情緒豊かな雰囲気になると思う。
これは面白い! と思えるところもあれば、構成が甘いと感じるところもある作品。読み手の好みによっては十分良作になり得る。

読んで字のごとく、アリスの自立人形創作物語。

【作品集】89
【作品】自立人形への探求
【作者】和菓子炬燵さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255169798&log=89

物語 13点
読んで字のごとく、アリスの自立人形創作物語。パチュリーへと助力を求める。
理系的な話の展開と小悪魔のアクセントが巧いと思える。

キャラクター 10点
焦点がぼやけ気味なのが厳しいところだろう。
このあとの話が別の話として投稿されているが、本作品ではパチュリーの視点で語られている。
ただ、そのパチュリーが完全に後編ではギャラリーと化してしまっているので、やはりぼやけてるという評価をせざるをえないのではないか。
単発的に見てみると、アリスの焦燥やパチュリーの計算高さ、小悪魔のいたずら好きな様子はよく書けているのだが、
物語の中でキャラクターとしての立ち位置を考えた場合、あくまで単発的な動きに過ぎず、そこに大きな問題があるように思う。
群像小説でもない限り、誰かひとりの想いなりを形にするほうがわかりやすい。

ストーリー 11点
後編とあわせて述べる。

構成 13点
いわゆる引きが創られているのは巧いとも思えるのだが、後半にいたるまでが少々グダグダとしている。

表現 13点
丁寧に書かれている印象がある。おそらく作者は努力して書いたのだろうと思われる。
ただそういった場合、書かなくていいところを書きすぎてしまい、逆に書いて欲しいところが薄くなってしまう場合も多いと思う。
今回、如実に現れたのは、考察を重ねすぎて何が書きたいのか見失っているように見える点である。

総点 60点
印象としては書きたいというものを定める作業が足りなかったのではないかということ。
あるいは後編もあわせて一つの作品と見るならば、ぶつ切りの印象を与えかねないという点がよくなかった。
文章は丁寧に書かれている印象を受ける。がんばって書いているのだろうなというのはわかる。テーマを切り取る能力を磨けば、もっと巧くなりそう。

 

【作品集】89
【作品】自立人形への愛情
【作者】和菓子炬燵さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255170052&log=89

物語 14点
前提として上記作品を読んでいたほうがよいが、読まなくてもそこそこ状況はわかる話。
要するにアリスが創った人形が短い期間、紅美鈴のもとで専属メイドとして働く話である。両者の交流がメイン。ハートフル系。

キャラクター 12点
後編になると、キャラクターの焦点がずいぶん定まっていて、美鈴の内面をうまく描写している。だからこそ、前編のもたつきがもったいない。

ストーリー 13点
結局はほのぼのとした話が書きたかったのだろうという結論で落ち着いた。
だとすると後編だけをうまく切り取ったほうがよかったのではないかと思うのだが。
そうなると話の筋道を立てづらいのだろう。
代替案としては、アリスとアリスの作った人形の交流の話にしたほうがずいぶんすっきりとすると思うのだが、たぶん作者は美鈴が好きなんだろうと思った。
好きなら書く。それが二次創作のジャスティスである。

構成 12点
ここでは前編と後編を俯瞰する。はっきり言えば、ぶつ切りである。
前編と後編とのつながりはほとんど無いに等しい。
ゆえに後編だけを読んでも物語の概要はつかめるのであるが、これでは書きたいところだけをつまみぐいして書いているように思えてならない。
作者には忍耐が必要である。書きたいところだけでなくて書きたくないようなところもがんばって書いてほしい。
あるいは削る技術の問題であるとも思える。不必要なところを削れば、自分が書きたいことや表現したいことを圧縮して伝えることができるのではないだろうか。
冗長な作りになると多くの弊害を生む。

表現 14点
後編がおそらく書きたかったことなのだろう。優しいタッチで書かれていて作者の地力をうかがわせる。シンプルな作品ならもっと映えたかもしれない。

総点 65点
印象としては、前編と後編とのつながりや関係をもっと計算して欲しいところである。おそらく多くの読者は前編から読むのであろうが、前編から後編への移り変わりによって書きたいことにズレが生じているため、結局何が書きたかったのだろうという思いを抱かせかねない。
主観的には後編こそが主題であり書きたい部分であると判断したが、そうだとすると前編は冗長な導入部ということになってしまう。

カラス色少女  芽八氏
燐と空の出会いから今に至るまでを描いた話。

芽八氏 『カラス色少女』★★★★☆
燐と空の出会いから今に至るまでを描いた話。
動物の色覚について注目した写実的な発想が面白い。また、それぞれの登場人物が活き活きとしていて、ストーリーの要素として上手く絡んでいる。
燐の心情が実に丁寧に書き込まれていて、話にのめり込みやすいつくりになっている。
ただ、燐視点で語られている話であるが内心を書く場合に、括弧で括っているときと地の文にそのまま記述しているときがあり、そこが不自然に感じた。しかし、読みにくさにはつながらず、上手くまとめられているという印象。
燐や空、さとりが好きな人で未読ならばまず読んでみることをおすすめする。

印象としては、とても綺麗な物語。

【作品集】89
【作品】カラス色少女
【作者】芽八 さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255252045&log=89

物語 16点
事後。
といっても他意はなく、地霊殿の直後の物語。
お空が叱られるのを恐れてガクブル状態なのをお燐がちゃんと謝れよとアドバイスするお話というか、そんな感じ。
話の流れとしてはそんなに複雑ではないのだが、お燐の感覚が珍しい。
その一点につき、アイディアが光っている。

キャラクター 15点
友人思いのお燐は基本的に原作通りであるし、さほど違和感を覚えないところである。
先ほども言ったとおり、感覚の違いについての内面描写がうまい。

ストーリー 15点
結局、お燐はお空が大好きですというお話。
感覚を重視した話なので、どこか少女漫画の香りがする。
派手さはないが、色使いが優しい、そんな感じの物語。

構成 13点
丁寧な因果の流れが書かれてあって、腑に落ちた。
結の部分があっさりすぎるという意見もあるかもしれない。
しかし、そのあっさりが良いという意見もありそうで、なかなか難しいところ。

表現 13点
誤字は少ないが、多少存在。
おとなしめの文章で、すっと落ちていく。
気球が徐々にあがっていくような、そんなふんわり調子。
烈しい感動を惹起するものではないが、静かな感動が広がるかなと。

総点 72点
印象としては、とても綺麗な物語。
目新しいアイディアが一つ。
そのアイディアを基底に置くことで、凡庸な話の流れを瑞々しい感動へと昇華させている。

秋めく滝と河童と天狗  バーボン 氏
文体、情景描写が丁寧で非常に読みやすく出来上がっている。

【作品集】89
【タイトル】秋めく滝と河童と天狗  
【書いた人】バーボン 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255346100&log=89
【あらすじ】
 ある日、椛はにとりから山でライブが行われることを聞く。
【感想】
 ありそうな日常を椛目線で描いた作品。
 文体、情景描写が丁寧で非常に読みやすく出来上がっている。
 ただ、難しいことだけれど音楽の表現が惜しい感じがしたのと、椛の心理描写が少しあっさりしすぎかな、と。
 しかし、最後まできれいにまとまっていて、いい感じにニヤニヤできる作品だと思いました。
【五段階評価】 ★★★★☆

ゆる系のにともみな話。

【作品集】89
【作品】秋めく滝と河童と天狗
【作者】バーボン さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255346100&log=89

物語 12点
ゆる系のにともみな話。椛の性格が真面目なので、さほどゆるさはないものの、日常を日常のまま書いているため、いわゆる『事件』が無い作品。
あるとすれば、プリズムリバーのライブに、にとりが行くということだが、椛は行かないので、小さくまとまっている。
つまり、言ってみれば、ほのぼのな作品なのだろう。

キャラクター 13点
椛もにとりもあまり奇をてらわず、二次創作的な場で醸成された性格。
それゆえに、あまり違和感などは覚えない。
にとりのほうは視線が椛なので、よく書けているように思える。百合ではない友達関係もよい。

ストーリー 11点
ほのぼのしているのはいいし、最後の段落における結論もまた良しと言えるが、
いかんせん地味すぎた。
そこまで集中力を持続させるほどの魅力がなく、だらだらと書いているように感じる。
最初から最後まで椛がなにかしら積極的な行動を起こすこともないのが原因である。
キャラクターの原理は願望と行動が直結することによって結実すると考えたほうがいい。
文学作品なら、内面を重視する私小説の伝統があるが、
いわゆるラノベのような感覚では、『なにかすること』が大事だったりするわけである。
ただ、日常の話ということを考えれば、それもまた難しいのだろうか。

構成 11点
結はいいが、起と承までが長い。いわゆる転はないに等しい。

表現 12点
表現力はあるが、一定の調子で続くので、いわゆるアクセントが無い。だらだらと書かれてある日記のようなもの。
最後は力をいれてあるのか、よかったのだが、そこに辿りつくまでが難しそうだ。

総点 59点
印象としては、読ませたいポイントが後ろのほうにありすぎたのかもしれない。
最後のシーンが読ませたい場所だとすれば、そこに至るまでの過程が必然で結ばれていなければならないはずだが、本作品では椛の行動が無く、伏線が無い。
つまりはご都合主義になってしまっているのではないか。
そうすると、つまりは雰囲気を楽しむぐらいしか楽しみ方がないということになる。
ちなみに雰囲気のつくりかたは悪くなかった。

大と並の境1  アクアリウム 氏
とにもかくにも短い。

作品集(89), 大と並の境1 (アクアリウム 氏)
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255533352&log=89
タイトルからしてある程度期待していたけどな作品。
とにもかくにも短い。ここで区切って投下とかなんか意味あるのかと感じた。
それと前半の水増し感かな。ここはちょっと……

シリーズ物の序章。

【作品集】89
【タイトル】大と並の境1
【書いた人】アクアリウム氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255533352&log=89
【あらすじ】
ネタに困窮する射命丸。慧音の言葉を頼りに向かった阿求の所で、阿求の考えている計画を説明される。

【感想】
シリーズ物の序章。これだけで評価出来ないのは仕方ない。
文章は慣れない感じが見て取れるし、キャラの会話もどことなくぎこちない。
が、これからどういう風に話が広がるのだろうとは思える。決して期待出来ないわけじゃない、完走出来るのならば。

ナポリを見てから死ね  蛸擬氏
なんたって蕎麦を食うだけの話である。

【作品集】89
【作品名】ナポリを見てから死ね
【作者名】蛸擬氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255544126&log=89
【あらすじ】
 人里には幻想郷随一の蕎麦屋がある。そこには豊富なメニューがあるわけでもなければ、
常連客で店内がごった返すようなこともない。肝心の蕎麦の味だって、他に比べればお粗末なもの。
内装だって閑散としていて味気ない。飲食店だと言うのに寡黙で無愛想な老店主の接客態度など致命的だ。
唯一の救いは金銭の持ち合わせが少ない人にも優しい破格の値段くらいのもの。
しかし、それだってこの蕎麦の価値に見合った価格設定だと思うとちっともお得と感じることもない。
客足が遠退くのも頷ける。そんな閑古鳥が鳴く店の暖簾を一人の女性がかき分けた。ここは寂れたお蕎麦屋さん。
それでも、聖輦船の船長、村紗水蜜にとっては、その店は間違いなく幻想郷一の蕎麦屋だった。
【感想】
 ここから感想。短編のタグがある通り、短時間で読めるのが強み。短いだけでなく内容もすっきりしている。
なんたって蕎麦を食うだけの話である。他に飾る必要などあるまい。美味いか不味いか、それだけだ。
尤も、すっきりとした簡素な作品が好きな人もいれば、こってりとした濃厚な作品が好きな人もいるだろう。
それこそ、麺とスープだけの安っぽい蕎麦が好きな人がいれば、具沢山の妙味溢れる蕎麦を好む人もいるように。
この作品は、特に前者の皆々様にこそお勧めできる作品。SSの内容だけにあらず、SSそのものにも言えること。
失礼な言い方かもしれないけど、全体的に安っぽい。勿論、文章構成如何云々ではなく、イメージの問題である。
事実、必要な描写はしっかりと書かれているし、文章も丁寧。蕎麦は美味そうだし、ムラサは可愛いときた。
そも、蕎麦を食うだけの作品で濃厚な描写を為せる人など、今のところ一人しか知らない。
充分満足させるに足る作品に仕上がっていると思う。ただ、も少し改行して欲しかったのは本音。
昔っから安っぽい味が大好きな私は、このムラサとはいい蕎麦が食える、とそう思った作品でした。

文章力   ★★★★☆(上手い。水準以上だと思う。基準は何かと問われたら逃げるのでしないように)
構成力   ★★★☆☆(長さ的に構成如何の判断は難しい。と言うよりもどう判断すればいいのか判らん)
読み易さ ★★★★★(癖がなくまとまりの良い文章のおかげでさっくりと読める。長さも良好)
船長度   ★★★★☆(この作品のおかげでムラサ船長が好きになりました。次こそは新作で書く)
総合点   ★★★★☆(さっくり読めるが、人によってはお勧めできない。同じ趣向を持つ人なら必ず愉しめます)

ついかっとなってやった。そんなお話。

【作品集】89
【作品】ナポリを見てから死ね
【作者】蛸擬氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255544126&log=89

【あらすじ】
幻想郷一の蕎麦屋がある。
私、村紗水蜜は美味しくその店に通うのだった。

【感想】
水蜜船長の蕎麦好きがこれでもかと描写されているお話。
ナズーリンとの意見の相違もわかるというもの。
ついかっとなってやった。そんなお話。

【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★★★
怒髪★★★★★
総合評価★★★★★

ゆかれいむが幻想入りしてくれない  パレット氏
「ゆかれいむは鉄板だろ常識的に考えて…」などという発言たちが産んだ悲劇。

【作品集】89
【作品名】ゆかれいむが幻想入りしてくれない
【作者名】パレット氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255597235&log=89
【あらすじ】
「ゆかれいむは鉄板だろ常識的に考えて…」などという発言たちが産んだ悲劇。
しかし傍から見たらどう見ても喜劇。
次々とカップルに(物理的に)立ちはだかる壁の前に紫と霊夢が挑む。
間違っているのは私たちじゃない、世界の方だ。

【感想】
シリアスな話を投稿し続けてきたパレット氏のイメージを徹底的にぶっ壊してくれた作品。
前作の「恋の奴隷」のあとがきで見せた病気の片鱗が全面的に表に出ている。
いくつも誕生するマイナーすぎるカプは新たな流れを…生み出さないだろうなぁ多分。
タグにある「トラウマ」は別にさとりがどうとかって話ではない。
要するに「はーいそれじゃー二人組作ってくださーい」。
霊夢に共感出来ちゃう人にはトラウマが襲いかかる。
それ以外は安心してギャグとして読める作品。

パーフェクトゆかれいむ。

【作品集】89
【作品】ゆかれいむが幻想入りしてくれない
【作者】パレット さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255597235&log=89

物語 16点
パーフェクトゆかれいむ。
勢い勝負のアイディアだが、おもしろいのでアリだと思います。

キャラクター 16点
勢い勝負のキャラクターだが、おもしろいのでアリだと思います。
そもそもギャグのひとつのあり方として、過剰というものがある。
紫の霊夢が好きすぎるというキャラもひとつの過剰であると言えるだろう。

ストーリー 14点
コメディとしてみた場合、先述した過剰の原理が有用である。
パーティと称して、列記するのはその一環であるといえるだろう。
意味内容としては笑いの原理に満ちているため、さほど中身が無いとも言えるが、
そもそも笑いの本質は、無意味なことを息吹で吹き飛ばすことにあるように思う。

構成 14点
冒頭から、紫のキャラクターに違和感が無いようにしているのは巧いと思った。
あとは勢い任せで特にコントロールしていない。
オチだけは決めていたのだろう。

表現 14点
熱いパッション。ほとばしるリビドー。
そんなにゆかれいむがいいなら、君が泣くまでゆかれいむするのをやめない。
勢いを殺さない短い一言一言の威力が高い。

総点 74点
そもそも、コメディには論理的に解き明かすのが野暮だといわれる部分がある。
笑っているときに自分が何故笑っているのかを冷静に考えていたら、笑いが引っこむからだ。
そう考えると、点数をつけにくいジャンルと言えるだろう。
まず読んでみて、その流れと勢いのなかで、笑えたか否か。そういう自分の感覚を確かめて欲しい。
自分にとっては、良いコメディだった。

カンペキなメイド  ちるちる 氏
メイドとは……。カンペキとは……。

【作品集】89
【タイトル】カンペキなメイド
【書いた人】ちるちる 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255282683&log=89
【あらすじ】
 メイドとは……。カンペキとは……。自由に生きるものからみた一人の人間の最期。
【感想】
 たんたんと進む物語がうまく雰囲気をつくっている。
 少し唐突な話な感じもするけれども、こういうのもありかなと思わせる一作。
 その一方で、個人的にはもう少し書いても雰囲気を崩さず、なおかつ訴えかけるものをつくれるように思えた。
 読む時間よりその裏にある物話を考えるほうが長くなるような、深い作品だった。
【五段階評価】 ★★★★☆

文脈で悟らないといけない作品。

【作品集】89
【作品】カンペキなメイド
【作者】ちるちる さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255282683&log=89

物語 11点
文庫本換算で2ページ分ほどしかない。
分量の少なさが詩的な雰囲気を演出しているのかなぁ……。
文脈で悟らないといけない作品。

キャラクター 12点
内面に踏み込まないので、そこもまた想像の領域。
そうやって想像させる手法はなかなかいいかもしれない。

ストーリー 11点
死にネタだからそれで終わりというわけではない。死にネタにもいくらでも見せ方はある。
たとえばこの作品では、咲夜のメイドとしてのプライドが主眼だろう。
分量を割いてくれれば珍しいタイプになったかもしれない。
論理で追えないので、文章を味わう感じで。

構成 10点
さすがに短すぎるな。ただあらわそうとしていることもわかりやすいのでこの点数に。

表現 12点
この分量だと、いいのか悪いのか判別がつきにくいが。
ワンフレーズだけ心に引っかかりがあったので、もしかするとという可能性は感じさせる。

総点 56点
印象としては、咲夜の死にネタは共感しやすいというか、想像しやすいと思うので、そういった二次創作的な土壌に助けられている部分もあると思う。
かといって、そこにおんぶに抱っこというわけではなく、なんらかの新しい見せ方を示すことができるのなら、書く価値があるし、読む価値もある。
本作品については、分量の少なさゆえに可能性を感じるにとどまった。

あっさり味。そこにある筈の激情もさらり三途の河へ流れていく。

【作品集】89
【タイトル】カンペキなメイド
【書いた人】ちるちる 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255282683&log=89
【あらすじ】
死神のもとへ現れた完璧な彼女。それは人でも妖怪でも無い、メイドである。
【感想】
短篇です。淡白に交わされ、続き、そして幕を下ろす会話の妙が魅力。
多くを語らずとも心に訴えかける、そんな話でした。

【五段階評価】

文章★★★☆☆
あっさり味。そこにある筈の激情もさらり三途の河へ流れていく。

構成★★★☆☆
登場人物を突き動かしたであろう事件そのものは語られず、あくまで小町の目を介した物語。
故に不満に思うかもしれないが、キャラクタがそれを許している。

総合評価★★★☆+★×0.5
背後に広がるドラマへ想像が広がる。
そこに何を見、感じるかは読者次第といったところか。

引張試験  アステルパーム氏
諦めてにやけてください。

【作品集】89
【作品】引張試験
【作者】アステルパーム氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255357523&log=89

【あらすじ】
少女たちの秘め事。

【感想】
このお話の咲夜さんと美鈴の間には入り込む余地はありません。
だから諦めてください。
諦めてにやけてください。

【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★☆☆
隙間☆☆☆☆☆
総合評価★★★★☆

甘さで悶えさせる程度の能力。

【作品集】89
【作品】引張試験
【作者】アステルパーム さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255357523&log=89

物語 13点
甘いさくめーもの。油断できない甘さ。ショートショート的分量であるが、甘さ的にはショートケーキ的。

キャラクター 13点
ふたりが大好きなんだという方にお勧めの一品。

ストーリー 12点
ストーリーを目指しているわけでもないか。
あとがきのオマケはいちおうのオチを付けたかたちになるのかもしれない。

構成 12点
構成は無くてもさほど困らない。

表現 13点
甘さで悶えさせる程度の能力。

総点 63点
印象としては、これでいいのだという割り切りがあって、そこが良い意味でのまとまりを生んでいる。
それにしても、甘い作品ってもしかして、やおいなのではないかと最近思い始めた。
まあ、それでも良いのだろう。現に点数が需要の存在を証明している。

夜の神社へ融け逝く奇跡の裏側   絹氏
あえて伏せているのかもしれませんがこれは先に言っておくべきだと思う。虐待要素が含まれます。

【タイトル】
夜の神社へ融け逝く奇跡の裏側
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255199412&log=89
【作者】
絹氏
【あらすじ】
女子高生としての生活を送りながら一人前の風祝となるべく修行を積む「洩矢早苗」。
理不尽な厳しさを見せる母の元での「修行生活」を送る中、端々に微妙な違和感を抱く。
【感想】
あえて伏せているのかもしれませんがこれは先に言っておくべきだと思う。虐待要素が含まれます。
また、あとがきによるとパロディ要素も含まれているようなのですが
自分にはまったく元ネタが判らなかったので読んだままの感想です。
非常に読む人を選ぶタイプの物語。
虐待まがいの修行と無意識下?での2神との接触の間で混乱していく様子、
周囲は自分の状況を何も知らない高校での疎外感、酒に逃げる父と早苗に
虐待を行う母との生活の、逃げ場のない閉塞感などは生々しく描かれていると思います。
幻想郷を救いの地と扱うかと思いきや…、のラストも含め、この手の作風が好きな人は楽しめるかもしれません。
すみません、自分は苦手だった。

超絶暗めなんでご注意。

【作品集】89
【作品】夜の神社へ融け逝く奇跡の裏側
【作者】絹 さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255199412&log=89

物語 14点
早苗が児童虐待の対象。鬱な作品。超絶暗めなんでご注意。
ただ乙一とかの作品にもそういう系列の作品はあるし、挑戦的ともいえるかもしれない。
なので、評価したい。

キャラクター 9点
暗い。暗すぎる。星の早苗と比べると明らかにどん引きする程度の暗さ。もはや早苗という名前の別キャラクターといってもいいかもしれない。
ただ先にも述べたように、読者がどん引きするような児童虐待描写もあるんで、まあそういうことならそうなってもしょうがないような気も……。
ラストは幻想郷に来たことで記憶喪失になってる設定で、なんとか心の傷を修復したことで、原作との矛盾を消去しようとしているようだ。
でも無理を感じる。

ストーリー 13点
きちんとした内容と、選択の重要性をあらわしてはいるのだが、明らかに創想話の許容をオーバーしているように感じる。
もう少しマイルドにするか、表現力を高めて逆に突き抜けてしまえば、よいと思う。
本作品では突き抜けるほどのパワーが無いため、もやもやとした残留感が残る結果となってしまった。
そういうもやもや感を味わいたい人は読んでみて欲しい。

構成 13点
わりとかっちりとした創りになっている。
しかし説明不足のせいもあって、幕間の部分が何が起こっているのか瞬時には理解できない。

表現 11点
テーマが重いので、それに見合う筆力が要求された。
客観的にはさほど悪くないのだが、足りない感じを受ける。

総点 60点
鬱であるという理由で低評価にはしない。作品の雰囲気と評価は因果関係がないと考える。
ただ、投稿する場所の需要を考えると、とりあえず点数的な意味では高くなる。これはもうしかたがない真実。
結局は、作者が何を求めているのかという問題に帰結する。
読者は気分で10点を入れてもよい。作者は点数に一喜一憂する必要はない。
わりと無関係なのが作者と読者の関係の本質だと思う。

図書館遭難戦記  詩所氏

【作品集】89
【作品】図書館遭難戦記
【作者】詩所氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255436063&log=89

【あらすじ】
「パチュリーが魔法実験を行うとロクでもない事になる」
紅魔館の誰もが知る経験則である。
パチュリーの手伝いに狩り出された美鈴は、そのロクでもない事に巻き込まれた。
今回の貧乏くじの内容はこうである。

  1. 図書館内の100枚の紙を剥がさなければ外に出られない。
  2. 紙を剥がすと、剥がした人の服が1枚消滅する。
  3. 裸の人は紙を剥がせない。
  4. 図書館の内側にいるのは4人であり、全員の服を合わせても100枚に全然足りない。

つまり、遭難したのだ。紅魔館内で。
【感想】
面白いです。
図書館閉じ込めのルールが凝っていて、
そのルールを上手く使って話を転がしていると思います。
キャラ崩壊系ギャグ。ですが、パチェを除けば壊れぶりは軽目。
パチェだけは救いようが無いです。
また、まとめ方が非常にきれい。
ちょっと良い話だと思ってしまいました。悔しいことに。

幽々子が白い花を食べる話   ジーノ 氏
一輪の花をめぐる心温まるお話です。

【作品集】89
【タイトル】幽々子が白い花を食べる話
【書いた人】ジーノ 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255378794&log=89
【あらすじ】
 妖夢が見つけてきた白い彼岸花。それを見た幽々子は過去のことを思い出し……。一輪の花をめぐる心温まるお話です。
【感想】
 いい話だった。
 二人交互の視点で書かれているので、お互いの心情がよく分かり、それが作品の狙いとしてうまくはまっていると思った。
 少し文章が荒いかな、と思うけれど読みにくいと思うほどではない。
 長さもちょうどよく、お茶と団子を用意して読みたい一作。
【五段階評価】 ★★★★☆

発想が豊かで、白い彼岸花をうまく話の軸にしている。

【作品集】89
【作品】幽々子が白い花を食べる話
【作者】ジーノ さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255378794&log=89

物語 15点
ゆゆようむな作品。
発想が豊かで、白い彼岸花をうまく話の軸にしている。
幽々子は死に誘う能力がある。彼岸花には毒があるということで自己嫌悪のような感情があると解いた。
これは作者の解釈だが、ありえる解釈だと思う。

キャラクター 14点
幽々子が悩むというのは原作の描写だけからするとあまり想像がつかないところではあるが、物語的にはあっても良いと思う。

ストーリー 13点
主従関係の美しさ。ガシェット。オチと、綺麗にまとまっている。

構成 13点
幽々子の視点と妖夢の視点で書かれた一人称スタイル。どっちかに統一したほうがよいとも思える。
しかし、主従関係にスポットを当てた場合は、やはりどちらの視点も必要だったのかもしれない。
さほど混乱もしなかったので、これで良いのかも。

表現 13点
自省的かつ私小説的な一人称は日本の伝統芸能。

総点 68点
綺麗にまとまっている話なのだが、もしかすると幽々子のキャラクターに齟齬を感じた人も多かったのかもしれない。
それと最初のインパクトが不足しているせいか、点数的に振るわなかったのかも。
短編としてのまとまりはあるので、あとはショッキングな始まりを心がけると吉かも。
発想も基本ができているので、ちょっとぐらいはみだしたっていいさ。

Spica  白々燈氏

【作品集】89
【作品】Spica
【作者】白々燈氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255525497&log=89

【あらすじ】
フランドール・スカーレットには、とびきり一番、お気に入りの星がある。

【感想】
第一印象はステレオタイプ。どこかレトロな感じのするいいお話です。
約一名だけが捻くれていますけれど。
フランの子供っぽい無邪気な魅力が全開です。

【5段階評価】
文章★★★☆☆
構成★★★★☆
星空★★★★☆
総合評価★★★☆☆

会話して下さい。   ぜろしき氏

【作品集】89
【作品】会話して下さい。
【作者】ぜろしき氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255708055&log=89

【あらすじ】
蓮子、愛してるわ

【感想】
秘封倶楽部のさりげない日常のお話。
本当にさりげない蓮子のセリフがとても良い感じです。
秘封倶楽部には冬と鍋が似合うなぁと思う、そんな暖かいお話。

【5段階評価】
文章★★★★★
構成★★★☆☆
言葉遊び★★★★☆
総合評価★★★★☆

鈍感にだってほどがある  田北氏

【作品集】89
【作品】鈍感にだってほどがある
【作者】田北氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255871108&log=89

【あらすじ】
早苗は博麗神社に行く理由を見つけては足を運ぶ。

【感想】
霊夢と早苗の甘いお話。
ちょっと捻くれている霊夢がやっぱり嬉しそうなのが微笑ましいです。
本文もそうだけど、あとがきもなかなかのもの。
甘い甘いお話を秋の夜長にどうぞ。

【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★★☆
お泊り★★★☆☆
総合評価★★★★☆

コーカソイドは酒に強い  デン氏

【作品集】89
【作品】コーカソイドは酒に強い
【作者】デン氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1256018891&log=89

【あらすじ】
アリス・マーガトロイドは何人種?

【感想】
慧音先生が欲望の赴くままに行動するお話。
ええ、知識欲ですとも!
パロディというか、二次的な知識とトンデモ理論が好きな方に。

【5段階評価】
文章★★★☆☆
構成★★★★☆
王者★★★☆☆
総合評価★★★☆☆

むそうてんせい  ロディー氏
タイトルからは考えられないほどしんみり、ほんわかしたお話。

【作品集】89
【作品】むそうてんせい
【作者】ロディー氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1256059372&log=89

【あらすじ】
霊夢の胸に哀しみと鼻水がこみ上げてくる。

【感想】
タイトルからは考えられないほどしんみり、ほんわかしたお話。
タイトルとタグに良い意味でだまされた人も多いのでは。
霊夢の前向きな決意が心地よいお話でした。

【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★☆☆
七つの星の男☆☆☆☆☆
総合評価★★★★☆

緋想異変の時の事。地震で神社が倒壊してしまった霊夢。

【作品集】89 【タイトル】むそうてんせい  【書いた人】ロディー 氏
【URL】 ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1256059372&log=89
【長さ】■□□□□ (13KB 短編)
【あらすじ】
 緋想異変の時の事。地震で神社が倒壊してしまった霊夢。
 肌を刺す日差しの下で家財道具を引っ張り出していると、昔の思い出が蘇ってきて……
【感想】
 原作ではかなりあっさりしていた神社倒壊だったけれど、こういう描写も悪くないと思った。
 巫女になった時の事や家財道具に込められた思い出が蘇って、
 涙がこみ上げてくる霊夢の描写が良かった。
 綺麗にまとまっているオチで、読んでいて爽やかな気分になった。
【総合評価】   ★★★★☆ (おすすめ・するっと読める読みやすい作品)

舟幽霊は毘沙門天に恋をした  はるか氏

【作品集】89
【作品】舟幽霊は毘沙門天に恋をした
【作者】はるか氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1256062546&log=89

【あらすじ】
村紗には気になっている相手が居る。

【感想】
ちょっと甘いラブコメです。
ラブコメです。笑撃の告白シーンは意味を取り違えるとひどいことに。
ぽっかぽかするお話でした。

【5段階評価】
文章★★★☆☆
構成★★★☆☆
水周り★★★☆☆
総合評価★★★☆☆

A-B Repeat  新戸氏

作品名:A-B Repeat
作品集:89
作 者 :新戸氏
U R L :ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1256058919&log=89

気になる点もいくつかあるが、それ以上に面白い設定、話の流れだ
秘封倶楽部の最初の神隠し、マエリベリーが日本へ来た理由、蓮子という友人に対する感情
それらが乱雑に、だが小気味良く配置されていて、読む速度を速める

最初に言った、いくつか気になった点を上げるならば、口調のばらつきや、最後に蓮子が現れた理由などか
後者は、あえて説明しなかったとも取れるが、唐突であるため、クエスチョンを浮かべかねない
この様に悪い点を上げてはいるが、その分今後に期待出来る作者だろう
今作の面白いと感じた自身の感情をそのまま、次作への期待へと変えて次を待ちたいと思う

それにしても、イチャイチャちゅっちゅを語っていただこうかとコメントしたのは失敗だったか
二番目にコメント出来ると思ったら、間に一つコメントが入ってなんだか恥ずかしいことに

文々(あやや)。新聞  ぜくたんさん
自分の新聞に対する評価が低いことについて、文は小町に愚痴を言う。そして、立ち上がる小町。

【作品集】89
【作品】文々(あやや)。新聞
【作者】ぜくたんさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255350838&log=89
【あらすじ】
自分の新聞に対する評価が低いことについて、文は小町に愚痴を言う。そして、立ち上がる小町。
【感想】
冒頭にあるように、ちょっと過去の話。文がストーリーの都合上ダメ鴉っぽい面が少しありますが、その分小町がかっこよく描かれています。作者さんの小町愛が存分に伝わりました。
新聞についてはちょっと思う所がありますが、ストーリーの構成そのものはまとまっていると思います。

あやこまな作品らしい。

【作品集】89
【作品】文々(あやや)。新聞
【作者】ぜくたんさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255350838&log=89

物語 11点
あやこまな作品らしい。
基本的な設定としては、文の新聞不評に対する不満を、小町が解決するという様式なので、文がアホの子と化していると言ってもよいかもしれない。
そこらのさじ加減次第では不満が残る人もいるかも。

キャラクター 12点
上記のように文がアホの子というか、基本、sageてからageる寸法なんで、そこをどう捉えるかによる。
原作からすると、もうちょい頭が回るキャラのようにも思えるのだが。
ちなみに小町については、違和感なし。

ストーリー 11点
この作品は文が新聞を書いているのに、誰も読んでくれないという不満を解消するのが目標である。
目標の解消は基本なので、その点については良いし、おそらくはメタ的な意味で作者が作品を書くときの話をしたかったのではないかとも思える。
しかし、冷静に考えれば、新聞は面白ければいいという類のものではないので、
映姫は犯罪を生み出す覚悟を持って書けといった原作とは大きく乖離しているように思う。
つまり映姫が良いことをした、などと言うはずがないと考える。たぶん。

構成 12点
始まりの勢いは良いのだが、終わらせ方があまり練られていない感じをうけた。

表現 11点
物語の意味内容と感情を伝達する能力はある。
ただ微妙なところでもう一歩という印象だった。

総点 57点
印象としては、作品全体が悪くはない雰囲気で覆われているものの、新聞という特性と使命をあまり考えずに書かれているせいか、なんというか偽善めいたものを感じてしまった。
読み手がひねくれてるせいかも。

忘れられた神様  SPII さん

【作品集】89
【作品】忘れられた神様
【作者】SPII さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255185953&log=89

物語 12点
空から神様が降って来たという古典的なアイディアである。
ただそこからどこにも発展できなかった点は大きなマイナスだと思う。

キャラクター 12点
自称『神様』も霖之助もキャラクターとして薄さを感じる。
霖之助についてはらしさがあるので、違和感やマイナスのイメージは特に抱かなかったが、
逆に強烈に印象づけられることもなかった。もともと水のようなところがあるキャラクターなのでこれでよかったのかも。
『神様』については特定人をバキュームする魅力があるかもしれない。

ストーリー 11点
よくも悪くもたそがれた雰囲気があり、幻想郷の空気をうまく伝えている点は良い。ただ物語としての単純なパワーが足りない。

構成 11点
一応構成らしい構成はあったとも思える。
冒頭が出会い、意思疎通の不具合、霖之助の善意、交流といった感じで分けるとわかりやすいかもしれないが、
抽象的に書くのか具体的に書くのかの違いをうまく分けることができなかったのか、
いまいちピントがズレたようなぼやけた作りになってしまった感がある。

表現 11点
語彙がまったく足りていない。
あまり無理をせずに書いているので、伝わらないということは無いのだが、もっといろんな表現方法を覚えて欲しい。

総点 57点
今作品では表現力の無さと物語的な起伏の無さが直結してしまっている点が痛い。
表現力を高めることと、ストーリーの内容を充実させればもっと良くなると思う。
最新作では内用面を充実させることに成功している模様。