作品集89-2

Last-modified: 2011-03-16 (水) 17:20:34
勘違いの館  神谷涼 さん

【作品集】89
【作品】勘違いの館
【作者】神谷涼 さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255190457&log=89

物語 15点
文がレミリアにインタビュー。
『勘違い』というフレーズを基軸に、レミリアのカリスマ分を補給する話。
カリスマ盛りマシマシなんで、カリスマなレミリアが好きな方は一瞬で篭絡されることまちがいなし。
傾向はギャグではなくシリアスでもなく、なんといったらいいか透明感のある衒学的な作品といった感じか。
読んでいくと、具象化された表現がほとんど無いことに気づくだろう。
だからこそ、一瞬で現実に引き戻されるトリガーが配置されているともいえるのかもしれない。

キャラクター 17点
おぜうのカリスマがすごい。

ストーリー 16点
抽象的に話を進めていって、最後に具体化させるんで、そこで読者は文に感情移入すると思う。
つまりは『気持ち悪さ』なりを感じることになる。この手法が最も巧いと感じたところ。
いわゆる言葉遊びに過ぎないのだが、不思議な読後感を得ることもできる。

構成 14点
ホラーもののような妙な緊張感。そして何かが来ると思わせる程度の構成能力。

表現 16点
レミリアの淑女と狂気の境界をうまく表現できている。
うそ臭い設定を嘘とも本当とも言い切れないように誤魔化すような、話の運びがうまい。

総点 78点
印象としては、ミステリー小説の匂いをほのかに感じる。
純粋な論理で読み解くと、レミリアが言うように『勘違い』の美しさも失われてしまうので、
カリスマに心酔するような気持ちで読むのが吉。

たまには進んで、また止まる  非共有物理対 さん

【作品集】89
【作品】たまには進んで、また止まる
【作者】非共有物理対 さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255198275&log=89

物語 13点
ナズーリンが主人公のものだが、一言では言いにくい。主題は星ナズと読み解くのが自然か。

キャラクター 13点
やや毒味があるキャラクターが賛否両論ありそうだが、最終的には収まるべきところに収まっている。
現実味のある描写といえるかもしれない。
ナズーリンの内面はよく描けており、愚痴っぽいところが可愛くもあり、もう少し泰然としていて欲しくもあり。

ストーリー 13点
ナズーリンが星と距離を詰めたいというのが主眼だとすると、ずいぶんそこに至るまでが遠い。

構成 11点
ナズーリンが拾いものをして、神社に行くという展開はいいにしても、うまいぐあいに後編とのかみ合わせができておらず、
断絶されているのがよくない。
最初から伏線をもっと書いておくべき。

表現 14点
『私は引いた、でも追いつかれた。……初めてだ』という表現にはセンスを感じる。
基本文章力としては12点だとして、上記センスに加点した。

総点 64点
印象としては、構成が良ければもっと良い話になったと思う。
キャラクターに毒味を混ぜることができるのは珍しいタイプの作者であり、数える程度しかいないので、そこは評価できる。
ケシーのようにとんがってはいない。

チルノのおうち  飛び入り魚 さん

【作品集】89
【作品】チルノのおうち
【作者】飛び入り魚 さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255203477&log=89

物語 13点
珍しくも成長がテーマな話。チルノは妖精なので子どものままであることに一種の誇りのようなものを持ってもいるが、子どものままであることは孤独や寂しさも生む。
古典的に言えば、ピーターパンみたいな感じなのだろう。

キャラクター 13点
成長がテーマなので、チルノ以外はそれぞれ大人なのであるが、
リグルのポジションが不明確で、チルノとの結びつきが弱かった。
結局チルノは妖精友達がメインだったのかとも思えると、リグルは浮く。さらにいえば語り手のみすちーも。

ストーリー 12点
ほのぼのしていて読後感も悪くない。
ただ、フックが弱く、読み流してしまいがちなのが厳しい点。
強烈なインパクトのあるシーン、いわゆる山場をもう少し盛り上げてほしい。山場を作ろうとしているのはわかる。

構成 14点
しっかりと構成を創ろうとしているのはわかるのだが、いかんせん表現力がおいついてないせいで、平坦に感じられてしまうかもしれない。
雰囲気作りは巧い。

表現 11点
結局のところ表現力に帰結しそうだ。
内容も構成も悪くはないので、後は集中させるべきところに分量を割いてみるとか、
強烈な印象を与える言葉を配置するように努めるとかするとよくなるかもしれない。

総点 63点
概ね満足できる作品になっているのだが、印象としては地味なものになってしまっている。
流れが速い創想話であるから、読み手を惹きつける要素をもっととり入れて欲しい。
真面目な話だからこそ、遊びの部分も欲しいといったところか。
ルーミアの属性などが、それにあたるかもしれないが、弱い印象を受ける。
タイトルも惹きつける要素が欲しかった。

ご隠居様のできるまで 前編 後編  いすけ さん

【作品集】89
【作品】ご隠居様のできるまで 前編 後編
【作者】いすけ さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255235357&log=89
 ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255235554&log=89

物語 13点
咲夜の老後ネタというか、回想ネタでもあるのかもしれない。
アイディア自体は誰もが考えるところだろうが、エピソードはわりと特殊。
けっこうざっくりとオリジナル設定を盛り込んでいて、二次創作的な楽しさがあるように感じる。

キャラクター 13点
物悲しさと柔らかい暖かさの両方を兼ね備えた咲夜のキャラクターが良いといえる。
いちおうレミ咲なのだが、遠くから描写しているので甘みはない。むしろ年代を経てしぶみがある甘さ。どんなだ。

ストーリー 13点
けっこういい話なのだが、終わり方がまさにフェードアウトなので、いまいち伝えきれていないのだと思う。
夕陽が沈んでいくような寂しい感覚が伝わってくるのだが、泣きは弱い。
泣かせる作品というよりは、ああこんなこともあったねと思わせるような、そんなぬくもりと、未来に対するなんともいえない暗い予感がいりまじったせつない感覚が近いか。
けっこう深いと思うのだが、尻切れトンボだと思われてしまうこともあるのだろうなといったところ。
テーマも一言では伝えにくいので、いろいろと厳しい作品。インパクトが弱い。雰囲気重視。最初の数行で波長が合わないなら、最後まで読んでも同じという類の作品。

構成 12点
回想と現実を交互に表現するのはいいが、ややこしくしてしまっている。
ついでに言えば、この程度の分量で前編と後編を分けるのも、読みにくさを加速しているようなきがする。

表現 13点
文章能力は高い。会話と勢いで押すのではなく、地の文できっちりと説明をこなせるタイプ。

総点 65点
文章力があるのになぜか点数は低い。
理由としては前作を読んでくれというのがまず面倒だったというのと、
前編と後編を分けて投稿している点と、印象が薄いような作風だった点が考えられる。
テーマがうすぼんやりとしているので、一言で表せるテーマをもとに書いてみるといいかもしれない。
複雑すぎた、ということか。

件の話をしましょうか  仲田チラス さん

【作品集】89
【作品】件の話をしましょうか
【作者】仲田チラス さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255263305&log=89

物語 12点
くだんと読む。くだんは予言の妖怪らしく、まあ要するにオリキャラである。
くだんの幻想入り的な話。

キャラクター 9点
紫は紫らしさが出ていた。くだんの少女に関しては、話が短すぎて特に感傷を抱かない。

ストーリー 10点
幻想入りというシステムは、妖怪が力を失うことによって生じる。
すなわち、人が忘れることによって生じるわけである。
くだんというのは災害予知の妖怪なわけで、あとは言わなくてもわかるな?
もう少し膨らますことができるなら、悲劇として大成したかもしれない。
まあ、なんにせよ短すぎてショートショートとして見ても中途半端。

構成 8点
短いので特記すべき点はない。
必然的な話の流れがないので書き散らした印象を持つしかなさそう。

表現 9点
台詞の前にキャラクター名という形式。○○「  」である。
悪名高いこの手法だが、手法自体によって小説の価値が減じることはない。
とはいえ、特異なツールは扱うのも難易度が高く、この作品では単に書くのを面倒くさがってるだけのようにも思える。

総点 48点
いろいろと足りないとしかいいようがないのだが、話の種みたいなものを作る能力はありそうなので、
まずは矛盾だらけで訳がわからなくなってもいいから、分量を増やすのがベター。

キレネンコが食ってたあれってなかなかおいしそうだと思うのだが  万年初心者 さん

【作品集】89
【作品】キレネンコが食ってたあれってなかなかおいしそうだと思うのだが
【作者】万年初心者 さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255272834&log=89

物語 13点
レミリア様がカリスマチックに語る。
説明難しいが、アイディアとしてはわりと見当たるような気も。
作者はこういう系統を作るのがうまい。

キャラクター 15点
レミリアがカリスマなのだが、それだけに収まらないところがいい点。

ストーリー 13点
あまり複雑ではないし、内容という面で充実しているわけではない。
雰囲気を創り上げる点では巧く、読者の共感を得られやすい空気を醸成。
言ってみればエンターテインメント重視。

構成 13点
作品としてはコレでよいのだが、作者の傾向としては結の部分に頼りすぎな印象も。

表現 14点
柔らかさと硬さをうまいぐあいに使い分ける程度の能力。

総点 68点
もう一歩。もうワンアイディア。何かがあれば化ける。
そういうポテンシャルは感じさせる。
いろいろな系統にチャレンジしてもらいたい。

秋の日に  ワレモノ中尉 さん

【作品集】89
【作品】秋の日に
【作者】ワレモノ中尉 さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255278974&log=89

物語 10点
野球もの。幻想郷の子どもたちと戯れる魔理沙。
べつに野球ものであるからといって点数的に左右されることはないのだが、そのアイディアが特に光ることもなく埋没していった感じ。
おそらく作者はほのぼの系統を書くのが得意なのだろうが、野球でほのぼのというのは若干食い合わせが悪かったのかもしれない。

キャラクター 11点
薄いのだが、ちょっとお姉さんポジションな魔理沙は珍しい。

ストーリー 10点
やはり分量不足が目立つため、特に盛り上がる場面が無いのが痛い。山場を作ろうという意図は垣間見えるのだが。

構成 11点
ショートショート程度の分量で、内容的には中編程度は必要なことを書こうとしているので、齟齬著しく、構成的に不恰好。

表現 12点
表現力としては悪くないが、若干「・・・」に頼りすぎ。

総点 54点
印象としては、分量をもっと多くしてくれないと何も伝わらない。
質よりも量というわけではないのだが、量で圧倒されるのも真実である。
短い量で伝えるにはショートショートの方式を学ばねばならず、
形式が曖昧なままで文章量が足りなければ、単純に伝達量が足りないことになる。
すなわち、感動なり感情なりを伝達することも叶わない。

幻実と現想の境  神谷涼 さん

【作品集】89
【作品】幻実と現想の境
【作者】神谷涼 さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255345348&log=89

物語 12点
幻想入りから現実へと神奈子が強制送還する話。
その幻想入りした人物へは一度も視点を移さないで、神奈子の独白のような形で進んでいくので、いわゆる「オリキャラ」ものではない。
ただ物語経験としてはずいぶんと外側から眺める形になってしまっているので、薄味なのは否定できないだろう。

キャラクター 13点
神奈子の神威が半端ない。一種のカリスマと言ってもよいかも。
受け手のキャラクター性を捨てているのも、おそらくは読者とダイレクトで繋がろうとした手法の一種なのだろう。
ただ、神奈子の理念がいまいちわかりにくい。
それはおそらくストーリーと関わってくる。ある種の疑念である。

ストーリー 10点
神奈子は結局『現実』を重視しているように見えるのだが、それが推奨される理由がわからない。
現実にいた人間にとっては送還されることは回帰であり、ふるさとへ戻るようなことであるから一般的には良いことだろうとい

うのはわかるのだが、
それは他方で幻想郷の否定である。
したがって、紫が怒りにも似た感情を見せたのは、論理必然の流れだというのもわかる。
神奈子が現実への帰還を推奨した理由についてはわからずじまいなので、勝手に想像するしかなく、
(幻想入りした)読者としてはさして考えることもなく現実へと帰還することになる。
葛藤が無いので、スルリと抜けていく感じ。
二人称の弊害といったところか?

構成 12点
途中から視点がガラリと変わる。
これは幻想側からの抗弁なんだろう。
仮にそういう構成だとすると、もっと争わせてもよかったように思える。

表現 13点
抽象的すぎて背景が感じられないが、二人称小説はもともとそういうものだろうと思う。
語りかける文章なので。
語り手の内面をもっと匂わせる必要はあるように思う。

総点 60点
小説としてはアリなんだが、二次創作としてはあまり面白味は感じられないと思う。
オリキャラは不在であるが、語りかける文章ではやはりわかりにくいところがあったというところか。

明日命日、出会いの昨日  mtさん

【作品集】89
【作品】明日命日、出会いの昨日
【作者】mtさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255346568&log=89

物語 10点
オリキャラの前に紫が現れて、うふふな話。
文庫本換算2ページで大長編のオープニングだけを切り取ったようなアイディア。
文庫本換算で2ページ。
断片化されたアイディアを提示されても、反応に困る。
黒歴史キャラクター設定集とかと同じで、言ってみれば垂れ流し感がすごい。

キャラクター 8点
見えてこないし、見えてくる文章量でもない。
紫の怪しい感じは描けているような気もする。

ストーリー 7点
わかったところだけを抜き出してみる。
主人公は「俺」である。
「俺」は片目がなく、なんらかの病魔によって脳細胞が破壊され、自我が崩壊寸前である。
「俺」は明日死ぬ予定である。
紫は「俺」の自我の境界が曖昧になっているから会えたという。
「俺」には「戦友」がいる。
「戦友」が死んだ。
「俺」も「薬を打ち込んで」死んだかもしれない。
自我が死に、次は此岸と彼岸の境界が待っている。
これらのことから推測するに、おそらくだが、境界の連続性を言いたかったのではないかと。
つまり、紫とまた会えてよかったねという話なんじゃなかろうか。

構成 10点
とりあえず、時系列の表現はできてる。

表現 10点
ダメってほどではない。とりあえず日本語として読める。

総点 45点
なにも浮かばない。
もしも次に何かを書くつもりがあるのなら、霊夢が饅頭を喉につまらせるとか、そういう単純で映像化できるような話を、克明に描写する練習をしてみるといいかもしれない。
あと、要読書。

ナイトバード・ケージ  あれな 氏

【作品集】89
【タイトル】ナイトバード・ケージ
【書いた人】あれな 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255452026&log=89
【あらすじ】
ミスティアが倒れた。彼女は闇の中にいる。
【感想】
チルノら友人たちの元気な姿が、かえってホラーパートの黒を深めているようです。
友情劇と対になった恐怖の物語。

【五段階評価】

文章★★★★☆
ホラーパートの文体が個人的に良い味。

構成★★☆☆+★×0.5
やや、オチに不満を感じるかもしれない。

恐怖★★★☆☆
我が身に思えば、恐ろしい。

総合評価★★★☆☆
友情は恐怖を打ち破る。彼女らの絆に★。

ベストプレイス  幽遊 氏

【作品集】89
【タイトル】ベストプレイス
【書いた人】幽遊 氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255803444&log=89
【あらすじ】
ムラサたち地底に封印されていた妖怪を連れ戻しに、命蓮寺を訪れた古明地さとり。
白蓮は彼女に相対するが…
【感想】
さとりんがサドいです。ムラサ達が地底に封印されていたことを思えば、さとりと聖蓮船キャラの組み合わせもアリ。
そんなことを気付かされました。

【五段階評価】

文章★★★☆☆
序盤、地の文が説明的過ぎる気もする。

構成★★☆☆☆
起承転結はあるのだけれど、展開を急いている。

キャラクタ★★☆☆☆
登場人物全員の心情の振れが大きい。
じっくり描写すれば違和感も無いのだろう。

総合評価★★★☆☆
この得点層に典型的な特徴を持つ。物語は全く問題ないが、文章量で物足りなさが生じてしまう。
展開の速さが気にならない方にはどうぞ。物語は十分しっかりしているので。

記者の宿命  でれすけ氏

【作品集】89
【タイトル】記者の宿命
【書いた人】でれすけ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255961724&log=89
【あらすじ】
ぬえと出会った文。新聞記者として妖怪の正体を暴く、そこに疑問を感じた彼女だが…
【感想】
人間と妖怪の根底にある関係を、ぬえの『正体不明』を端緒に文の『取材』という行為から切り取った作品。
珍しく、記者としての責任に思いを巡らす文が良かったです

【五段階評価】

文章★★★☆☆
訴えたいテーマを会話・地の文の両方で平易に読ませてくれる。

構成★★★☆☆
起承転結。まとまりの良さはそこにある。

メッセージ★★★★☆
『人妖の関係』という、ともすれば陰鬱にもなりかねないテーマを未来ある形で収めている。

総合評価★★★☆☆
各々のパーツをキャラクタに寄せてうまく調理出来ている。
テーマが明確なのも○。

最後の航海日誌  藤原海軍中将 さん
難しいジャンルへの挑戦という点では称揚されるべきなのだが、いま一歩。

【作品集】89
【作品】最後の航海日誌
【作者】藤原海軍中将 さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255351317&log=89

物語 9点
なんといったらいいか、八十八艦隊とかそんな系統の話。早い話が戦争物。
東方との繋がりで言えば、ムラサという名前だけというのが厳しすぎた。原作との乖離甚だしい。
もちろん原作と乖離してようがなんだろうがおもしろければいいのだろうが、そもそも戦争物を20ページで表現できるわけもない。
悠久の時の流れや、個人の力ではどうしようもできない歴史のうねりをなんとか切り開こうとするところに戦争物のよさがあると思われるところ、
明らかに分量が足りないのではないかと思った。

キャラクター 11点
発想として、ムラサの地位を無理やり割り振った印象があるので、そこがキャラクターの印象にも悪影響を及ぼしている。

ストーリー 9点
え、ちょ、待っ。
この話って結局、自己犠牲でがんばったムラサが
なぜか妖怪として覚醒して本来守るべきはずの他の船を沈めるようになってしまいました的な終わり方なわけなのか。
冷静に考えると、こ れ は ひ ど い。救いなさすぎ。
まあ妖怪としては上記のことはやらざるをえない強制力があり、それが生き地獄であって、
これを聖が救ってくれたのだとまで書いてくれれば
それこそ読者も救いようがあったかも。

構成 12点
最後の段落の直前まではよくできていたかも。

表現 12点
戦争物をよく読んでがんばって書いているのはわかるのだが、
専門的な用語はもう少し説明を加えたほうがよいかもしれない。

総点 53点
東方ではごく珍しいタイプの話で点数的に低くなるのはしょうがないとしても、
ムラサというキャラクターの属性と本質を擦り合わせるぐらいのことはして欲しい。
戦争物はキャラクター小説としての要素をごく薄めるのが常道なので、
かなり難しいジャンルだと思われる。
難しいジャンルへの挑戦という点では称揚されるべきなのだが、いま一歩。

東方キャラを使って史実物をやったという感じだがどうにも無理矢理。

【作品集】89
【タイトル】最後の航海日誌
【書いた人】藤原海軍中将 さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255351317&log=89

【あらすじ】
太平洋戦争末期。海上特攻として沖縄へ絶望的な突入をする戦艦大和。
その船の上には、悲壮な覚悟を固める艦長、村紗水蜜がいた。

【感想】
東方キャラを使って史実物をやったという感じだがどうにも無理矢理。
むかし流行った歴史アイコン漫画、今で言うとやる夫歴史物を思い出させる。
ムラサは水兵服なのは近代の水難者じゃないのか。じゃあキャプテンだし戦艦大和の艦長で……というつなげ方に無理があるように思える。
オチで他人を引きずりこむ自縛霊になった理由がきちんと説明されてないのも残念。
戦記物として素人向けにしては難しすぎ、ミリオタ向けにしては物足りない中途半端さも気になる。

そこに見ゆるは船の影  Closet さん

【作品集】89
【作品】そこに見ゆるは船の影
【作者】Closet さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255355252&log=89

物語 12点
早苗の星前日談。なんとなくまだ乗り気でない早苗が原作のノリノリな雰囲気とは若干違うが、
そんな移り気なところも早苗の魅力的なところかもしれないので、この点数に。

キャラクター 12点
早苗も神奈子もわりと自由奔放なところがあり、そこはプラスにもなりえるがマイナス要素のほうが今回は強いかもしれない。
言ってみれば、沸点低いというか、曲りなりにも神様ならという感じがしないでもない。
でも、概ね良かったというべきか。
諏訪子は地味にカリスマを発揮していた。

ストーリー 11点
神奈子「異変解決して」
早苗「気が乗らない」
神奈子「やりなさい」
早苗「神奈子様なんて大嫌い」
という流れになる。早苗がなんとなく乗り気でない心情を書き切っていれば短編として完成しただろうが、
どうも最後にはなぁなぁで終わってしまった印象がある。
日常を書いたという点で評価できるものの、短編的な空間、短編的なまとまりに欠けていたと言える。

構成 11点
話の流れを作り出す能力はあるものの、最終的にどう持っていくのかという視点が無かったのかもしれない。

表現 10点
読みにくいというか、日本語の扱い方がなってない。
例えば『感覚した』。動詞なのかー?

総点 56点
内容的には悪くないのだが、テーマ性が弱く、そこに表現的なまずさも加わって、最後までたどり着けなかった人も多そうだ。

幻想の空  飛蝗 さん

【作品集】89
【作品】幻想の空
【作者】飛蝗 さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255430357&log=89

物語 16点
発想は面白い。タグどおり各話が冒頭に帰結する。
といっても、各話に連関があるわけではない。
同じ結論に至ると言っても、冒頭は相当抽象的なのでインパクトは薄い。
何かもう少しうまく書くことができれば、面白い作品に仕上がったかもしれない。
とはいえ、こういう発想自体には面白さがあった。

キャラクター 11点
各話オムニバスになっているせいで、心情描写的には薄くなりやすい。
しかし、霊夢の心境はかなり珍しいかも。
ネタバレになるが、霊夢は魔理沙にわざと負ける。このシチュエーションがまず珍しいように思う。

ストーリー 11点
ひとつひとつが薄すぎるのと、各話の連関が無いので、ひとつひとつの話が心に残らないのが厳しい点。

構成 12点
この発想をいかすような各話の因果や一本に連なるテーマのようなものが欲しかった。

表現 12点
心情の機微を抽象性のなかに留めておくところがうまい。書き過ぎないところが。
ただ、今回はもう少し書き足してほしかった。具体的な描写を密にすれば、オチが同じという特性がいきてくるように思う。

総点 62点
発想の面白さを、ただのアイディアだけに終わらせるのではなくて、
内容面への充実へと連結させるとさらに面白いのではないか。
もちろんアイディアだけでも光る場合が無いわけではないが。

oratio  VJ KAGUYA氏

【作品集】89
【タイトル】oratio
【作者】VJ KAGUYA氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255462068&log=89
【一言粗筋】
封印が解かれたばかりで幻想郷のことをまだ良く理解していない白蓮は、
星の提案で添乗員役の魔理沙と共に幻想郷の観光をすることに。
【感想】
作品の雰囲気、キャラのセリフ回し、そして思いの外読みやすい文章が好印象でした。
ただコメントした多くの方が指摘している通り、悪い意味で風刺的、
作者の思考の押し付けが強い部分が多々見受けられたのが残念なところです。
ゆえに五段階評価は★3つ。個人的には面白かったよ!

スケキヨ  テルヒト氏

【作品集】89
【タイトル】スケキヨ
【書いた人】テルヒト氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1256140480&log=89
【あらすじ&感想】
ある日霖之助は傘立てに二本の足が逆さに突き立っているのを発見した。
あろうことかそれは傘の足で、なぜか人生相談をしてくるのであった。

かわいらしく必死な小傘と淡々と受け答えする霖之助、という非常にオーソドックスなSS。
そっけないけど人の情はある霖之助と空回りしつつも一生懸命な小傘のトークが楽しめる一品です。
【五段階評価】★★★☆☆

流れ星に願いを  Pumpkin氏

『流れ星に願いを』作品集89 Pumpkin氏
 (まだ読んでない人は何も言わずに読むんだ…!三魔女が好きなら必読。三魔女関連で最も感動した作品。何度読んだことか)★★★★★

ひつじ雲が俺を呼んでいる  サバトラ 氏

【作品集】そそわ89
【タイトル】ひつじ雲が俺を呼んでいる
【書いた人】サバトラ 氏
【URL】
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1255758680&log=89
【あらすじ】
『夏雲が俺を呼んでいる』と言い一輪と白蓮の二人と一緒に旅に出た雲山。
そこには壮大な物語が・・・あるはずもなく残された星の苦労話。
【感想】
星の、星による、星のための作品と言ってもいいと思われる。
二次のイメージではあるが、どこか抜けててで威厳がないが面倒見のよい
可愛いお姉さんというイメージをこの作品で見事に表現されている。
この作品を読めば慌てている涙目の可愛い星が思い浮かべられるはず。

「うんざぁぁあああああああん!!」

【五段階評価】
★★★★ (星好きなら+1)