50kbレビュー

Last-modified: 2010-11-13 (土) 02:04:46

作品集ごとの方にまとめてくれている方がいますが、せっかくなので個別記事も作ってみました。

 
「50kbレビュー」
 仕事に疲れて東方に時間を拘束されることを幸福に感じる方々にオススメの中~長編
 長い故に本当に良くないと点数が伸びないとか色々言われてますがとりあえず50kbを越えてる作品で面白かったものをレビューして行きたいと思います。
 例によって不快ならNGに 
 また既にレビューされている作品も多いとは思いますが余程話題をさらって高得点の作品でない限りレビューしますのでご容赦下さいませ。
 最近早いのでとりあえず第一期の対象作品集は110~80(無印)となります。
 GWを長く取っている方も多いと思いますが時間のあるこの機会に読んでみては如何でしょうか。
(レビュアーより)
 
もう一つの風神録  詩所氏

【作品集】91・96・110
【タイトル】もう一つの風神録 -上巻- (上中下巻構成)【書いた人】詩所氏
【容量】約382kb
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1257688774&log=91
    ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1263207457&log=96
    ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272116986&log=110
【あらすじ&感想】
諏訪子ゆかりの地、信濃の諏訪を戦国時代主に支配していた武田家と諏訪子がメインの話。
時代に飲み込まれそうな一人の男を救った諏訪子、そして彼を取り立てた武田晴信(後に信玄)。
その男の名を春日虎綱という。後に高坂昌信として名を知られる男である。
この話は主に高坂昌信視点が多い。

武田家は川中島を巡って上杉家と幾度と無く激戦を繰り広げ、その4回目となる合戦である今回、
軍師である山本勘助考案の啄木鳥の作戦を実行したがそれを看破した上杉軍は妻女山の本陣を引き払っていた。
一刻も早く合流したい別働隊隊長の虎綱であったがそこには死を全く恐れない兵と死を操る程度の能力を持った亡霊が待ち構えていて――
(以上上巻)
諏訪子や亡霊との遭遇で青い髪の天人や鴉天狗もちょっかいを出してくるようになった高坂昌信。
領土拡大を目指すその武田家は北進を停止し少ない攻め先を絞り、紆余曲折を経て今川氏真との同盟を破棄、駿河へ侵攻する。
上洛を果たし、比叡山焼き討ちなど攻める理由を見つけ織田家との同盟も破棄、その同盟国の徳川と遠江で衝突。(三方ヶ原の合戦)
病を患う信玄の寿命も迫り来る。そしてこの戦国を眺める紫と文。
(以上中巻)
包囲網も瓦解し肥大化する織田家。武田家は遠江を手中に収め、徳川家をさらに叩くべく長篠城を攻めていた。
西の手が空いた織田は大軍と新兵器・鉄砲3000丁を携え援軍に来る。
織田の拡大を決定付けた合戦・長篠。その酷な顛末を予感した諏訪子と合戦に参加できなかった高坂昌信の想い。
何故雨降りしきる設楽ヶ原で織田は鉄砲を有効に使えたのか、ちらつく火の鳥少女の影。
(以上下巻)

大作です。そして東方分が薄いことも否めません。さらに挙げるとコメでもあったように歴史に詳しくないと
何で上杉と家臣は言っているのに信玄は長尾と呼び続けているのか等理解し難い部分もあると思われます
がそれを別にして物語に圧倒されます。このように雄大な話を纏め上げられるのは素晴らしいです。
武田の最大版図を築き、最終的に滅亡に追い込まれた勝頼を見た諏訪子はどう思うのでしょうか。
★★★★☆(流石に歴史好きでないと読み切るにはきつい物があると思いますが確実に薦められるでしょう)

幻惑ティアオイエツォン  山野枯木氏

【作品集】94
【タイトル】幻惑ティアオイエツォン【書いた人】山野枯木氏
【容量】自称71kb
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1261281850&log=94
【あらすじ&感想】
妖怪の山に不用意に立ち入ってしまった人間を妖怪の規範通り弾幕で襲う橙だったが、その人間を神として助けに割って入る穣子。
穣子と橙の弾幕勝負が前半のハイライト。
その後里の収穫祭が執り行われることとなり、静葉の信仰も集めるべく一計を考える穣子だったがひょんな事から仲違えをしてしまう。
静葉の説得に向かう橙。そして収穫祭で藍・橙・静葉・穣子の魅せた余興は美しく――

美しい情景が浮かぶような文章が感動させてくれます。見せ場と呼ぶべき箇所は是非とも脳内アニメでも作って
読んでみることをオススメします。また風神録にて台詞の無かった静葉が聾唖者という設定になっていますが、
氏の描く「永く生きる少女」らしさが現れているキャラも相まって良い雰囲気を出しています。
個人的に里でよくある光景「らしい」と感じる物語でした。
★★★★★(前半の弾幕シーンが必要かどうかはスレでも意見が分かれていましたが)

幻想論理  ぜろしき氏

【作品集】87
【タイトル】幻想論理 上 (上・下・蛇足構成)【書いた人】ぜろしき氏
【容量】約155kb
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253626966&log=87
    ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253626999&log=87
    ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253627020&log=87
【あらすじ&感想】
タグ通り秘封倶楽部のシリアスもの。
とある活動の日、蓮子は『向こう側』へと足を踏み入れてしまう。
後日メリーは蓮子と自分の見た夢の話をするが、夢と言いつつも夢の世界で拾ったという紅魔館のクッキーと竹林で拾った天然ものの筍を
持ってくる。そしてどこかおかしくなる蓮子。
メリーは何所の世界に立っている?境界とは何なのか?
そして境界を視るメリーが蓮子に与えた影響とは。

未来世界で幻想を追う彼女らにぴったりの文章です。納得の行く、そしてもの悲しい物語でした。
蛇足は本当に蛇足であると言えますが個人的な感情としてやはりあって嬉しいものです。
しかし確かにとあるコメの指摘通り余韻を損なっている、とも取れるものでしょう。
作者のぜろしき氏は森博嗣の作品が好きで随所にその特徴が現れています。
ただ自分も最初は森博嗣作品は未読であったので読んでいなくても問題は無いと思います。
★★★★★(秘封世界は作者のあの短いテキストから捻出する世界観がハッキリ分かれていて面白いです)

睡蓮の底  浅木原忍氏

【作品集】97
【タイトル】睡蓮の底【書いた人】浅木原忍氏
【容量】約43kb (偶に40kb台も混ざりますがこまけぇこたぁ)
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1263481192&log=97
【あらすじ&感想】
身寄りの無い子を引き取ったり保育のようなことを引き受ける白蓮寺のある施設。
姉妹と言われている村紗とぬえだが、ぬえが村紗の作ったボトルシップを燃やして沈めてしまったという。
二人の関係はどんなものなのか。ぬえの葛藤とは。

詳しくあらすじを書けば描くほどネタバレに近くなっていくのでこの3行でご容赦を。
浅木原忍氏は頒布したSS本や他作品でも秘封シリーズを展開されていますがその物語の一部です。
自分がこのシリーズから読み取った設定としては基本的に東方キャラの分身のようなオリキャラが秘封世界にいるという前提のようです。
それ故名前もキャラ名と同音に読めるような名前となっていてあらすじのようなキャラ名で書かれているわけではありません。
このシリーズは秘封の2人が東方キャラ間の謎を解明していくものです。特に東方設定に絡ませたその謎作りは素晴らしいと感じます。
★★★★☆(上のレビューと同じく秘封世界は(ry)

始まりの兎は、月を望む  pys氏

【作品集】105
【タイトル】始まりの兎は、月を望む【書いた人】pys氏
【容量】約37kb (更に30kb台も混ざりますがこまけぇこたぁ)
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1269445030&log=105
【あらすじ&感想】
赤子を世話する永遠亭の兎コンビ。赤子の母は出産後まもなく死んでしまったのだ。
ウサ耳を掴まれたり耳元で泣かれたりして散々な目に逢う鈴仙だったが、ようやくてゐと交代しあまり見ないてゐの困る姿を見ようとする。
しかしてゐは何故か子供慣れしていたのであった。そのてゐの前で月兎のプライドから放った言葉はてゐを怒らせる。
何故てゐは人間の子にそこまで拘るのか、そしててゐの描いていた夢とは。

涙腺が緩みました。てゐはしばしば永琳と共に老獪さを見せ付ける行動で描かれますが、
年をとっているということは(失礼)母性も備わっているということでもあります。
彼女が因幡の素兎本人(兎?)だとしてどのような思いで沢山の兎と共に暮らして来たのか。少し鈴仙が嫌な人(?)っぽいですが、
月の民はこんなものなのでしょうか。これも書く人によって変わるところであります。
★★★★☆(そういえばてゐメインだと昔話は不可避なのですね)

お狐様と夏の空|天女様が見た冬の空|彼女らが見た青い空  おやつ氏

【作品集】55・106・106
【タイトル】お狐様と夏の空|天女様が見た冬の空|彼女らが見た青い空【書いた人】おやつ氏
【容量】約172kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1212898690&log=55
    ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1269797474&log=106
    ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1269797783&log=106
【あらすじ&感想】
文やレミリアを足止めとして紫から逃げる藍だが、実は彼女もまた単独で異変の解決に向かっていたのであった。
そして雲界での衣玖との大激戦を演じるが、その間に首謀者は。
(お狐様と夏の空)
その夏の出来事により衣玖と藍は知人となるのだが、夏の異変により天子は博麗神社の地下に要石を埋めてしまった。
このままでは避けられない一大事が発生するので、衣玖は石の身代りとなり将来の大地震を防ぐという。
それは阻止したい藍と霊夢と天子。1vs3で止めようとするが実は衣玖の正体はとある神のようなものであって――
(天女様が見た冬の空|彼女らが見た青い空)
約50もの作品集を空けて書かれた藍を主人公とした物語。後ろ2作品はちょっぴりグロ注意やもしれません。
落ち着いている藍と衣玖の会話は東方キャラの中でも精神年齢が高そうなだけあって好ましい雰囲気です。
そして濃密なバトル描写、とにかく最高峰の妖獣の藍と龍宮の使い衣玖、天人崩れと博麗の巫女として格好良いものでした。
最初の作品は東方緋想天・藍ストーリーと作者が書いている通り、あの異変に藍が単独で参加していたらと存分に思わせる出来。
後編2作品は余り見ない天子の地子としての過去も描かれていますが、あの2人(?)の関係は確かに一言では語れないものですね。
★★★★★(キャーイクサーン)

盲目少女と太陽の光  ふじいつき氏

【作品集】100
【タイトル】盲目少女と太陽の光【書いた人】ふじいつき氏
【容量】約55kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1265695079&log=100
【あらすじ&感想】
オリキャラである盲目の少女はとある日診療所で長時間待たされ、外へと足を向けた。
そこでチルノの雪だるまを蹴っ飛ばしてしまうが、チルノとしゃべり友達となる。
初めてわけへだてなく話せる友達を得た彼女だがその後日、もうその目が治る見込みは無いと宣告されてしまう。
チルノを前にして泣き出してしまった彼女に、チルノはとっておきの場所へと連れて行ってくれると言う。
しかしその道中獣に襲われてしまい―

おてんば恋娘、正にコメの通りおてんばで優しいチルノの可愛らしさ、微笑ましさを描いた物語。
単純に言うならイイナハシダナーですが、問題はどんな話なのかというところでしょう。
感動ものの長編は廃れることは無いのだと思います。人は優しいものが好きなのですから。
目で見えない世界の描写にも注目して読むと更に作品の良さが浮かんで感じられます。
★★★★★(良い話でどんな感動を呼び込むか、というのが大事なのでしょうか)

UNDERGROUND|DAWN OF THE MODERN DEITY  佐藤厚志氏

【作品集】90
【タイトル】UNDERGROUND|DAWN OF THE MODERN DEITY【書いた人】佐藤厚志氏
【容量】約193kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1256505188&log=90
    ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1265572486&log=99
【感想】
これはあらすじが書き難いですねえ。凄く便利な言葉ですが、評価が分かれると思います。
色々と認められない読み手もいることでしょう。
ここまで書いて未完だと気付いた…
このスレッドでもよく話題になる「東方でやる必要」という問題に抵触しまくってる作品とも言えます。自分は好きですしまあ個人の問題。
所謂SFというジャンルの作品ですが、テンションの高くない湿っぽい雰囲気です。ひたすら淡々としています。
もの凄く続きに期待しています。
★★★☆☆(テンプレ通り「自分は楽しめたZE!」ってやつですね)

めーりんゆーしえ  Spheniscidae氏

【作品集】97
【タイトル】めーりんゆーしえ【書いた人】Spheniscidae氏
【容量】約59kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1263533936&log=97
【あらすじ&感想】
中国の歴史話。春秋時代と現在呼ばれる年間の話である。美鈴はとある城邑の祖廟に異常な穢れた気を感じ、潜入を試みた。
      ししゃく
中にいた男、士叔はあっさり美鈴の存在も正体も看破し、自らを殺すよう懇願する。
彼は重臣であり有能な男でもあり、当然意味が分からない願いである。が、何回も訪問を重ねるごとに
脈々と続く"家"の大事さを解かれ、心のどこかでそれを認めだした美鈴の言葉は。

大きな起承転結があり、心を大きく動かすような作品ではありません。
心にすとんと落ちる、納得の行く作品に仕上がっていると思います。
作中には読みの難しい人名等が出てきますが↑のようにルビも使用されていますので読みやすいのではないでしょうか。
共感するところも多い考えですが、そこが現在の美鈴と微妙に繋がっているあたりも巧みでした。
ちなみにこの士叔という人物は三国志にも出てきますが時代が違います。どちらも名君と言って通りますが別人です。
★★★★☆(時間がある時に読んでおくべきってのも何かおかしいですが)

東方文明ごっこ  FoFo氏

【作品集】95
【タイトル】東方文明ごっこ・前編 (前中後編構成)【書いた人】FoFo氏
【容量】約235kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1261774975&log=95
    ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1261774997&log=95
    ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1261775021&log=95
【あらすじ&感想】
あらすじをネタバレしない範囲で書くと藍と鈴仙の幻術によりみんながゲーム
『Civilization4』をプレイしているだけの話となる。

本当にゲームしているだけの話ですが、シミュレーションゲームが好きな方なら名前を聞いたことがある有名タイトル
ではないでしょうか。(信長の野望,シムシティ,A列車で行こうetc...)
未プレイ者でも楽しめたという感想もある通り、プレイヤー側は合計19人7陣営と膨大な数ですが
上手くキャラを立たせて尚且つ丁寧な説明がなされています。
状況整理を頭の中で整理しきるのはこのようなゲームに慣れていないと大分きつい…のでしょうか。
そして最後のにとりの一言、これはネタバレともなりますが
「そこには『幻想』っていう技術があるはず」
「『昔の人はお化けを信じてなかったらしいよ』なんて、笑い話で語れる時代がきっとくるって」
東方世界に感情移入してしまう性質なので涙が出てきました。
★★★☆☆(未来の幻想を語られると自分がアホみたいですが涙腺がマジヤバイ)

メイフラゎー契約  ら氏

【作品集】91
【タイトル】メイフラゎー契約【書いた人】ら氏
【容量】約91kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1258544371&log=91
【あらすじ&感想】
漫画の儚月抄のパーティ時、寒い外で一人寂しく警備に励む美鈴。
そこに同じく除け者となっていたフランドールが遊びに来て言うには、レミリアやパチュリーが月へ行くようだが
自分の知らないうちに咲夜や美鈴もどこかへ行ってしまうのではないか ということだった。
美鈴はフランドールのずっと一緒にいるよねという問いに対しもちろんですと肯定する。
翌日フランドールは結婚することを昨夜の発言をもととして迫る。
フランドールは吸血鬼、悪魔である。即ちこれは解除不能の悪魔の契約であって…

美鈴はこの後契約をどうにかしようと奮闘、奔走しますが…
長いギャグ作品は結構少ないのではないのでしょうか。無論長ければ長いほどネタの引き出しが必要となるので
余程笑わせ続けないと好評価は得られないでしょう。
そしてこの作品は得点5000点以上・レート12.35の評価を得ていますが、ギャグを書き慣れた作者の技量と
上手く挿入されたシリアスシーンにより読むと幸せになれる事でしょう。
ニヤニヤしつつのめりこんで読めるという素晴らしき作品。
★★★★★(どんな顔をして読んだのか覚えておきたかった)

鵺にも衣装  ネコ輔氏

【作品集】90
【タイトル】鵺にも衣装【書いた人】ネコ輔氏
【容量】約53kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1256499061&log=90
【あらすじ&感想】
「君は実に地味だな」
ナズーリンにこう言われてしまったぬえは聖に助言と協力を求める。
そして女の子らしく服装をお洒落にしようと思い立ったが一輪とは体格差があり服は借りられないので
星へと相談、しかし(服装確認的な意味で)脱いで欲しいと頼むと星は暴走。
結局村紗の部屋へと忍びこみ、可愛らしいセーラー服とキュロットを勝手に着てみる。
そこへお約束のように――

コメディ作品とタグにある通りにニヤニヤできる作品で、ぬえの気だるげな一人称で進みます。
女の子女の子するぬえが可愛らしくてたまりません。
一人称故に他の命蓮寺の面子の一挙一動もワンクッション置いて描かれ、それが良い味を出しています。
作中にあったオフに法衣以外でキャピキャピする一輪さんも見たいなあ…誰か書いて下さいお願いします。
★★★★☆(白蓮のあふれ出る母性もポイント)

縁河のすすめ  山野枯木氏

【作品集】86
【タイトル】縁河のすすめ 【書いた人】山野枯木氏
【容量】約48kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253410086&log=86
【あらすじ&感想】
妖怪の山で川下りを楽しんでいた小町は漁をしていたミスティアと出会い、その手伝いをする。
にとりの攻撃を受けたり、さらにヤマメ&キスメに助けられたりこちらも漁の手伝いをした小町は
ヤマメ&キスメをミスティアの屋台へと誘う。
2人(?)より先に到着した屋台には先客としてにとりがいた。しかしにとりが口走ったヤマメを捕まえてやるの一言、
にとりが昼間探していたヤマメは魚ではなく無許可で漁をしていた土蜘蛛妖怪の方のヤマメだったのだ。

山野枯木氏は今レビュー2作目でしょうか。
小町一人称の部分もあって粋な雰囲気を終始感じます。タグに目を惹かれました。
こちらの作品も大きなヤマといったものは無く、日常における起承転結といった感じでしょうか。
きっと小町も三月精とかでサボってる描写がありましたがこんな日常を過ごしてるんだろうなあ。
しかしこれで800点しかないのか…げに恐ろしきかな創想話よ…
★★☆☆☆(退屈と感じられるかもしれませんので)

おけのなかにいる  宵闇むつき氏

【作品集】86
【タイトル】おけのなかにいる 前編 (前中後編構成) 【書いた人】宵闇むつき氏
【容量】約158kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253296027&log=86
    ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253296036&log=86
    ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253296080&log=86
【あらすじ&感想】
今は昔、釣瓶落としとして妖怪化したキスメはルーミアとのコンビで人を襲い喰らっていた。
しかしある日の襲撃に失敗し、気を失ったキスメが目を覚ますと
キスメの正体の分かっていないであろう樵2人組に介抱されていた。男の名を緋一と蒼太という。
心を完全に開けないキスメだったが彼らは見知らぬ少女によくしてくれる。
それは緋一と蒼太の辛い過去があったからでもあり――

キスメ(ルーミアも)の過去話です。非常によく練られたと感じさせてくれ、感情移入をして読める物語です。
理不尽な出来事に対する怒りや悲しい現実といった感情をキスメと共感できます。
宵闇むつき氏は心理描写が巧みなのでしょうか、過去作を読んでものめり込めたという感想が多いですね。
地霊殿のオススメでキスメ作品と聞かれて名前が挙がることが多いSSでもあります。
★★★★★(そういえば丹波の赤井さんと籾井さんが最初に浮かんだけど関係なかった)

好奇心は鵺を殺すか?  Pumpkin氏

【作品集】86
【タイトル】好奇心は鵺を殺すか?【書いた人】Pumpkin氏
【容量】約77kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1253294881&log=86
【あらすじ&感想】
本物のエイリアンと聞いて目を輝かせて突き進む早苗により守矢神社で一泊することとなったぬえ。
とっさに記憶喪失のエイリアンを演じることとなる。
エイリアンだろうと鵺だろうととにかく正体不明のまま別れを告げようとしたぬえだったが失敗、
早苗に幻想郷各所へと連れまわされエイリアンであると吹聴される。
しばらく暮らし幻想郷の空気になじむ内にこのままでも良いかなと思い始めた矢先、ぬえに届いたのは
本物の宇宙人である八意永琳からの手紙であった。

ぬえの一人称で進む早苗B装備エンディングを主な下敷きとした物語。ぬえの一人称で進行します。
セチとかコスモクリーナーDとか呟く早苗さんと神奈子様が可愛い。宇宙はロマンです。
SSだと当たり前の展開に戸惑うぬえも可愛いですし正体を明かすべきか葛藤するぬえ、本当に『良い人』です。
「人を騙すのが、必ずしも悪では無いと言うことだけ心に留めていただければ幸いです」
ぬえの正体不明も形無しなのが幻想郷なんですよねえ。Pumpkin氏の書かれたように言葉のワイルドピッチが楽しい作品でした。
★★★★☆(ぬえの描かれ方は下手すればまだ名無しっ子より不定形ですね)

この身は誰の為に  臣民氏

【作品集】85
【タイトル】この身は誰の為に【書いた人】臣民氏
【容量】約60kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1252502835&log=85
【あらすじ&感想】
現代、次第に廃れて行く流し雛の文化。当然自分の存在価値や理由に雛は疑問を持つようになり。
ある流し雛の日行方不明の少女を探す男と出会うが、彼女はあまり流し雛をしていなかったと聞く。
罪の無い子が何故不幸に会わなければならないと男は嘆く、心の底から流し雛の意義を信じないまま。
あまつさえ彼女は人攫いの化け物扱いされ追われる羽目になり、紫に保護されることとなる。
現世にまだ希望を持ちつつも意義を見出せない雛は紫の誘いを受け入れるのか。

臣民氏は雛が一番好きなキャラが雛であると後書きに書いており、その意気込みが込められた物語となっています。
厄神として生まれた雛は悲しい運命に関わるSSが多いのですが、そんな彼女の葛藤がしっかりと表現されており、
また雛の魅力を引き出しています。
人間が好きな雛、健気で優しい雛が好き。そんな雛好きには特にオススメの作品です。
★★★★☆(流し雛、保存されていくと良いですね)

私が欲しいと貴女は言った  にゃお氏

訂正版の方です。
【作品集】85
【タイトル】私が欲しいと貴女は言った【書いた人】にゃお氏
【容量】約55kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1252227757&log=85
【あらすじ&感想】
本を愛した魔法使い、少女は一人の吸血鬼と出会う。
 その吸血鬼は少女に言った。『必ずお前を私のモノにする』と。
 本を愛した魔法使い、少女は笑い吸血鬼に告げた。
 『私が欲しければ力づくで』。吸血鬼は笑った。魔法使いも笑った。

 ――これは、そんな小さな小さな昔話。
(冒頭抜粋、レビュー力が足りないとも言う)
まさに天才の魔法使いとして生まれたとある魔法使いは、自らのための巨大図書館建設資金を調達すべく旅に出る。
旅先でレミリアと出会い、打ち解け、友人となる。そして彼女の両親に気に入られスカーレット家の館の隣に図書館を建設することとなる。
図書館は完成した訳であるが、ある日レミリアの両親は彼女を幻想郷という場所へと旅に出させると言う。

素晴らしい結末でした。これぞ紅魔組といった感じでしょうか、グッと心に来ました。
しかしながらこの感動を上手く言葉で表せないですが。
彼女らは『親友』ですね本当に。三月精でもまた2人の絡みが見たいなあ…
★★★★★(しかし後1作品で引退なさるそうです…心待ちにしています)

夜光ノ蟲  蛸擬氏

【作品集】85
【タイトル】夜光ノ蟲【書いた人】蛸擬氏
【容量】約43kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1251904646&log=85
【あらすじ&感想】
冬、人恋しくなったリグルは正体を隠し遊びに行った人里にて雑貨屋の男と知り合う。
年齢を隠し正体も隠し、春、夏と親交を深めるリグルと男。
知らず知らずの内に恋慕を抱いていたことを慧音に指摘された彼女は。

季節感がよく表された風景感溢れる文章で、またどこかもの悲しくもあります。
上っ面だけを見れば人里のオリキャラにリグルが惚れるだけの話でありますが
その文章力は妖怪であり少女である彼女の内面をよく描き出しています。
綺麗で悲しい物語、お見事でした。
★★★★★(春先か秋にオススメでしたがレティさん頑張りすぎでもう梅雨ですね)

雨ときどきパフェ  PNS氏

【作品集】84
【タイトル】雨ときどきパフェ【書いた人】PNS氏
【容量】約70kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1251309215&log=84
【あらすじ&感想】
藍の作ったババロアに釣られた慧音。そして『幻想ミラクルスイーツヘヴン』にお忍びでやってきた彼女だが
目的として、人と関わることを避けている妹紅を変えたい、それにはまず自分から変わっていきたいというものもあった。
しかし店でばったりと妹紅と出くわし、見栄をからかとりあえず値段の高い「アークエンジェルパフェ」
を常連の如く注文した彼女であったがそのパフェは…でかかった。

コメで言われていた某パフェの参考URL(雪印パーラー公式サイト) ttp://www.snowbrand-p.co.jp/restaurant/01_parfait_jumbo.htm
甘い。妹紅に見栄を張り続ける慧音も可愛いしとにかくパフェの描写だけで胸焼けが起きます。
無論甘味だけでなく年長者である妹紅の魅力やとにかく人の為に気を揉む慧音の物語としてもちゃんと纏まっています。
しかし早苗と咲夜の菓子屋とか行ってみたい…
★★★☆☆(あのパフェ1万円とな)

Fran'sTale集(作品名ではありません)  紅雨 霽月氏

【作品集】73・77・81・83・84・89
【タイトル】籠から飛び出した少女 前編 (前後編構成)|サブタレイニアンキャット 前編 (前後編構成)【書いた人】紅雨 霽月氏
      放さない、離れない 前編 (前後編構成) |初めての料理|酒にまどろむ|紅の歴史 前編 (前後編構成)
【容量】約719kb 
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【感想】
凄く長え。よってあらすじ割愛、申し訳ありません。一言で表すならフランドールの他キャラとの心温まる触れ合いでしょうか。
この一連のFran'sTale(このタグが目印)の作者、紅雨 霽月氏は現在連載中のこいフラ散歩録シリーズの作者でもあります。
内容は作品毎に分かれているので全てで1つの物語という訳ではありませんが、
設定を受け継ぎ完結した作品としては5本の指に入る長さではないでしょうか。
個人的には削れる場所もあるのではないか、またキャラの説明口調が多いのではないかとも思いますが
このようにフランドールの成長譚だけで719kbもの物語を紡げるのもひとえにキャラ愛故でしょう。
心温まる物語がきっちりした起承転結と共に描かれています。外に出たことが無い少女の人格とは。
★★★☆☆(こいフラ散歩録も完結したら…完結自体あるのでしょうか)

彼方より此方を  パレット氏

【作品集】83
【タイトル】彼方より此方を【書いた人】パレット氏
【容量】約57kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1250276435&log=83
死期が迫り、この世ならざる世界を瞳に映すようになったとある老人。
公園のベンチに佇んでいた所に夜空に時と場所を見る程度の能力を持った少女が話しかけてくる。
人と関わることを避けるようになっていた老人だが奇妙な『目』を持った者同士で
色々な話をするようになる。疎遠となっていた老人の孫の名はマエリベリーと言って――

蓮子とオリキャラ老人メインの過去話。蓮子の人格がよく現れていると思います。
アナログ写真が好きだと語る蓮子の論理には凄く頷けるものがありました。
フィルムに風景を焼き付ける、空間を切り取る。
オリキャラの使い方が上手い…夢が広がる物語です。
★★★★★(フィルムカメラは廃れないでしょうねえ)

10^-15の旅人  毛玉おにぎり氏

【作品集】81
【タイトル】10^-15の旅人 -前編- (前後編構成)【書いた人】毛玉おにぎり氏
【容量】自称約120kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1247521000&log=81
    ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1247522332&log=81
月の都。「彼女」は「姫」を守るべく八意xxと奇妙な距離を保ちつつ日々奔走していた。
ある日「姫」に縁談が持ちかけられ「彼女」は月ではほぼ手に入らない物を持ってくるよう
無理難題をを出して断るよう助言、最後の男には永遠と須臾を操れないと精製出来ない薬――
蓬莱の薬を持って来いと言い放つ。最後の男は必ず持ってくると他4人と明らかに違う態度で発言したが。

一連のレビューの中で最もオススメしたい作品です。誰がしゃべっているのか一旦読み返さないとキツイものが
ありますが、よくぞ書き上げたと言いたいです。
是非とも2度読んで「彼女」の心を理解することをオススメします。
月の都の描写、永遠と須臾を操るバトル、そして大きな起承転結の転。
点数でこういった作品を一覧から見逃してしまうのは自分の悪癖ですね。
★★★★☆(でもやっぱりもう少し誰が喋ってるかわかり易いと良かった)

Kira-Kira Seeker  某の中将氏

【作品集】81
【タイトル】Kira-Kira Seeker 【書いた人】某の中将氏
【容量】約133kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1247268630&log=81
魔理沙は学校の生徒として暮らす異世界にいた 夢を見た。
しかし夢だと分かっている上に何度も同じ夢を見る。
一体誰がこんなことをしているのか――

あらすじは短いですが真骨頂は可愛らしい学園ものとしての日常、
そして「境郷」の作者でもある某の中将氏の得意な大立ち回りでの最終決着が光ります。
氏の過去作品でもそうでしたが周りで多キャラを動かしつつ主人公はまっすぐ動いていく、
これが非常に上手いです。
オリ世界オリ設定なのにキャラをあまり変えることなく立つというのが東方の強みでもありますね。
★★★★☆(そういえば学園ものはどんな二次創作でも発生しますね)

Little Devil Prayer  ネコロビヤオキ氏

【作品集】110
【タイトル】Little Devil Prayer 【書いた人】ネコロビヤオキ氏
【容量】約82kb 
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1272034876&log=110
図書館を掃除していたパチュリーと小悪魔。古びた鏡が発掘され小悪魔はそれを貰い受ける。
約二週間後、何と鏡の中の小悪魔が勝手に動いている!
鏡の中の彼女は喋れないが何かに祈っている、そんな彼女に小悪魔は興味を持つ。
だがそれと同時に着々と小悪魔にとある変化が現れていて――

ネコロビヤオキ氏得意のほんわかする物語で、キャラが優しいお話です。
お手本のような起承転結と謎の解決は素晴らしい安定感。安心して氏の作品を読むことができる人も
多いのではないのでしょうか。
感動を呼び込む術にも長けていると思いますねえ。「優しい小悪魔」のお話。
★★★★☆(後の作品程感想が短くなっているのは気のせいだといいな)


レビュー作者追記(本人確認はトリップとか使わんと無理ですがまあこんな人を騙っても得が何一つ無いでしょう)
待って下さった方には有難う御座いました。そして遅延すいませんでした。
ダラダラ書いてるから「地獄のレイヴンロマンス」とかレビューしようと思ったら消えてました… 
次回は作品集49~1と114から書き終えた時点での最新作品集となります。
最後にこのWikiにレビューを写して下さった方、作者様方とやっぱり神主に感謝と礼を。