作品集204

Last-modified: 2015-04-29 (水) 21:05:45
星のむこう、時の底  るゐ氏

【作品集】204
【タイトル】星のむこう、時の底   【書いた人】るゐ氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/204/1425268966
【あらすじ&感想】
「それで、貴女は旅に出るのね」
「はい、そうです。私が、メリーを迎えに行くんです」

蓮子は10人の岡崎夢美に送られて世界を越えるたびに旅にへと出た。
教授と蓮子の行いによりおかしくなった世界から振り落とされてしまったメリーを探しに行くために。
いろいろな世界を渡り、メリーにとてもよく似た女性に会い、遥かな長い時間を。

「いままでお疲れ様。蓮子」

タグに「SF」と書いてある通りなんだか不思議な作品
ちなみに自分はSFの定義を知らないし、古典の有名な作品すら読んだことないので、
読みなれた人にとって本当にSFと感じるかは知りません。
ただしこの作品のメインは旅そのものじゃなくて蓮子の内面と決意っぽいので
不思議な世界の旅情を期待して読んでもあんまり満たされないかも。
「すこし不思議」な雰囲気で、「すこし不思議」な心持の蓮子の歩みを短くまとめな素直な気持ちで読める作品。

それはスポットライトではない  門司柿家氏

【作品集】204
【タイトル】それはスポットライトではない   【書いた人】門司柿家氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/204/1425977534
【あらすじ&感想】
あの楽しい学生時代を終えてから十年近く、
本人たちの予想とは反対に蓮子は京都で、メリーは宇宙でそれぞれに仕事をしていた。
宇宙では幻想郷の夢ばかり見てしまいなぜか眠ることのできないメリー。
宇宙ステーション生まれの八意××という名の少女に出会う蓮子。
しかしそんなことは関係なく二人は日々を過ごし、ときたま会い、新しい日々を過ごしていく。

大人になった秘封倶楽部の穏やかな日々の記録
豊かな情景描写で淡々とした日常が書かれていくのを静かに読み進めていくのはとても心地よかった
ラストの少し不思議な雰囲気は人によってちょっと読み取ったことに差が出るかもしれない

移りゆく世界に  五代良季氏

【作品集】204
【タイトル】移りゆく世界に   【書いた人】五代良季氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/204/1425729191
【あらすじ&感想】
年の終わりも近づき活気と静寂に包まれる幻想郷。
年末年始の特別号を飾るネタのために飛び回っていた射命丸文は魔法の森で一休みをしていた。
そこに偶然にも藤原妹紅が通りがかり射命丸はこれ幸いと話しかけることにする。
冬の空の下、今までもこれからも幻想郷を見ていくだろう二人の話題はその変化についてへと移り変わっていき……。

年の瀬にあまり接点のない二人がなにげない世間話をしながら歩いていくという、
簡単にまとめてしまえば「ただそれだけ」としか言えない話
しかしどこか寂しげな冬の景色の描写や、穏やかな会話の中で書かれる変わっていく幻想郷と人々になんとなく優しい気持ちにさせられる
もう春も近いものの、さっと読んで冬に浸るには申し分ない作品だった

フェアウェル,マイ・ヴィンテージ・デイズ  Cabernet氏

【作品集】204
【タイトル】フェアウェル,マイ・ヴィンテージ・デイズ   【書いた人】Cabernet氏
【URL】
ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/204/1424548292
ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/204/1424548395
【あらすじ&感想】
本居小鈴にとってはそれは突然だった。
なぜ私の友人は人よりも短い寿命を与えられ人よりも早く死んでいかなければならないのだろうか。
自分にはなにかできることはないのだろうか。
ただただ苦しむ日々を送っていた小鈴は、ある日再思の道で銀色の郵便ポストに出会い、その中に手紙を見つける。
それは友人が目を覚まさないとある少女のからのものだった。

Cabernet氏の厳しさや寂しさの感じられる幻想郷で、人間の少女たちの価値ある日々を落ち着いた雰囲気で書いた作品
幻想郷での出来事と秘封倶楽部の出来事の交差や、霊夢や魔理沙、咲夜と早苗といった人間の少女の今とこれから
そういったものが変わっていった幻想郷の日々を通して静かな雰囲気で書かれていて、
終わりは少し寂しいものがあったものの爽やかな読了感を得られる作品だった。

小悪魔のいる紅魔館  珈琲味のお湯氏

【作品集】204
【タイトル】小悪魔のいる紅魔館   【書いた人】珈琲味のお湯氏
【URL】ttp://coolier-new.sytes.net/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1427093355&log=204
【あらすじ&感想】
おとなっぽい。その形容詞の範疇にある程度の、確かにおとなはらた物腰の少女だった。司書風の服装は、そんな彼女によく似合っている。
「ああっもうっ、もうパチュリー様やばい。はぁはぁ、ふふっ」
「お前の性癖にはひとまず言及しないとしてさ、」

「…ところでさ、なんでおまえタメ口なの?」
「だってレミリアだし」

かつての小悪魔の寂しさと、それを打ち破った(っぽい)お嬢様の話
イタズラな雰囲気をもってのらりくらりとするかわいらしい小悪魔と、徹頭徹尾紅魔館の面々から雑に扱われるもそれでも主として構えて運命を操れるのだと言い張る

レミリア
たまたま一緒に過ごした二人のなんてことはない、優しげな一日

永遠亭の面々を書くことの多かった珈琲味のお湯氏の書く紅魔館
結構なストーリーもありそうで今後そういったところが書かれていくのも楽しみ

棘之庵 ~The end peacefully.  前編   百円玉氏

【作品集】 棘之庵 ~The end peacefully.  前編
【タイトル】142   【書いた人】百円玉氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/142/1302614881
【あらすじ&感想】
「稗田阿求、あと一年だけ現世に留まっていただきたい」
「それはまあ、ありがたいお話です」
次に目が覚めたとき、やけに暗かったので、しまった寝過ぎたと今度は直ぐ様、頭が覚醒した。
それでもお経が上げられていることになど気づきもしなくて、飛び起きた私は強かに額を打ち付けた。
途端に視界が明るくなり、頭を押さえて見渡せば、見知った人たちの見慣れぬ驚愕めいた顔ばかり。
私の葬式の最中だった。大いに、死ぬほど叱られた。

縁起の編纂が終わり、転生の準備も済ませ、あとは御迎えを待つばかりとなった三十路ごろの阿求が
なぜか閻魔さまから一年の猶予を与えられ、代々の御阿礼の子が少ない余生を過ごすという棘之庵で一人暮らしを始めての日常
さっぱりとしたというか、いい加減というか、そんな感じの阿求が小気味いい
ちなみにこれ現在「前編」「右編」「左編」「右斜め編」が投稿されている
これは読めばわかるが一つの話を区切っているというよりは、
それぞれで一つの話にはなっているので「棘之庵シリーズ」として見るのが良さそう

好奇心に殺されるシュレディンガーの蝶  烏口泣鳴氏

【作品集】204
【タイトル】好奇心に殺されるシュレディンガーの蝶   【書いた人】烏口泣鳴氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/204/1428253579
【あらすじ&感想】
「そう言えば、明日はトリフネが落ちるね」
「メリー、もしかしてまた夢でトリフネの中に入ったの?」
「待って! 待って、メリー! おかしいよ!」

「少しでも近くでトリフネの最期を看取ってあげましょう」
「違う! 行きたかった訳じゃない。また勝手に行ってしまったの!」
「蓮子? 蓮子! 居るの? 何処?」

「私が傍に居てあげるから」
「蓮子」
「だから泣かないで」
「ありがとう」

ただそこからくる理不尽に秘封倶楽部が巻き込まれて戦う話
けっきょく細かい説明はなかったんだけどけっきょくどういうことだったんだろう
悪いものではないし、つよく印象に残るけどいろいろ気になる部分も多く残っている
ちょっと他の人の感想も聞いてみたいわ
作品としてはけしてわるいものじゃないわりに評価低いのはバッドエンドだからかな?

世界は貴女を中心に廻っている  うたかた氏

【作品集】204
【タイトル】世界は貴女を中心に廻っている   【書いた人】うたかた氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/204/1428077941
【あらすじ&感想】
「おい霊夢、お前がこの世界の中心だとわかったぞ」
「この世界のな、中心なんだ」
「どういうこと」
お前には慣性が備わっていないように見える」

博麗の巫女、博麗霊夢が幻想郷の中心であると考えた魔理沙の説明から始まる
魔理沙のなんだかわかるようなわからないような説明で煙にまかれた霊夢は
思考のドツボにはまり日々弱っていくはめになる
そうして日々弱っていく霊夢のところにまた魔理沙が訪れ……

 

云々悩んで弱っていったり、魔理沙の言葉で立ち直ったりする霊夢がかわいかった作品
でも「自機」を通してしか幻想郷を知れなかったころは幻想郷の中心と言ってもあながち間違いではなかったのかも
まあどう考えたところで答えの出るものではないんだろうけれど

永訣の朝  みすゞ氏

【作品集】204
【タイトル】永訣の朝   【書いた人】みすゞ氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/204/1428591471
【あらすじ&感想】
慧音が死んだ。
春の初めのことだった。陽射しは段々と温かくなり、だけどまだ山の奥の方では雪が積もっている、そんな時季だった。
慧音は岩場に頭の中の物をすべてぶちまけて、冷たくなっていた。
竹林の中にある深い谷の底だったから転落して、顔面から落ちて死んだのだろう。
ふと、気が付くと慧音の手の中になにかが握られているのを見つけた。

「ずっと考えていたことがある」
「あの日見つかった死体は、本当に慧音のものだったのか?」

 

物語は妹紅が慧音の死体の第一発見者になったところから始まる
読者が感じる違和感と妹紅の疑念を重ね合わせてぐいぐいと引っ張ってくれてどんどん読めていった
変わっていっている輝夜の姿によって、変わることができず周りに置いて行かれた不老不死の存在の悲しさをより強く感じさせてくれる
物語の真相に行きつくための材料は作中に散らばっているので、なんとなく結末を予想しながら読んでみるのもいいかもしれない
ただしそこまで長い作品ではないし、完全な推理物というわけではないのは忘れずに

阿求と座敷童子  よみせん氏

【作品集】204
【タイトル】阿求と座敷童子   【書いた人】よみせん氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/204/1428939175
【あらすじ&感想】
座敷童子=おかっぱ頭、和服、猫かぶり
阿求=おかっぱ頭、和服、猫かぶり
座敷童子=阿求
阿求「だいたいあってる」

 

小鈴のたわいない冗談から阿求と幻想郷の座敷童の近似性を阿求自身が考えていき、
自分の境遇や周囲との関係に思いをはせ小鈴との関係に行きつく
自身の立場や幻想郷の現状にそれなりの気を遣いながらも少女としての側面を捨てずにいる阿求が可愛かった

ねぇ、どうかしら?  inuatama氏

【作品集】204
【タイトル】ねぇ、どうかしら?   【書いた人】inuatama氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/204/1426333469
【あらすじ&感想】
諦めてナイフとフォークを取ってまた食べ始める。決して、不味くは無い。のだが、しかし美味くもない。
食べる側として食欲をそがれるのは、これらの品々が手間も暇もかけて、かつ頭も捻って作られたであろう事がひしひしと感じられるからだ。
楽をしようと手を抜いて、結果不味い料理が出来ました、というのは判る。一人暮らしの魔法使いにとってそれは日常である。
しかし、手を尽くして別に美味くもない物を作りましたというのは判らない。理解不能である。

「食事の価値は――」
「ああ?」
「どう食べようが、どう評しようが変わりはしないわ」

 

短くまとまり、テーマ性も高く、各東方キャラのイメージも重視されて、文章も読みやすい一品だった
魔女になったことで人としてのいろいろなものを捨てることになるという現実になんらかの形で抗おうとするアリスと、
先達としてそれを冷たく観察しつつも、友人として気にかけずにはいられないパチュリーのやり取りは
書かれている言葉としてはそっけないものでありながらもなんだか温かみを感じることができる
魔女となって価値を失い意味のみの透明な世界を目指しつつも、人としての価値を見出し意味を求めない生き方をしていく
そんな二人にとってはこの作品内ではそれほど出番のない魔理沙は実に刺激的で代えがたい友人なのだと思う

あ、巫女は気にせず食べててください

ミラクルムーン  櫛橋氏

【作品集】204
【タイトル】ミラクルムーン   【書いた人】櫛橋氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/204/1429451719
【あらすじ&感想】
ありふれた普通のことを斜に構えて考えてみる、ということも新鮮なのだ。
やたらに長い時間を生きていると、なんでもいいから刺激がないと毎日が退屈で仕方がなくなってしまう。
考えすぎがよくないなんてことはよくあることだ。私はまだしも、神経質な人間にとってはなおさらだ。
「最近よく眠れているのかい? 慧音」
 鍋をつつく箸を止めて彼女に訊いた。
「あ、ああ……。大丈夫だよ。そんなこと急に訊くなんていったいどうしたんだ?」

 

慧音はなんとなく大人っぽく書かれることが多い印象があるがやはり少女だし、
教師という責任ある立場なら当然悩み事も多いはず
そんな慧音も長く生きてきたからか輝夜が絡まないからか穏やかな妹紅が優しく慰める
短いから要素や描写はあまり多くないので文章からなんとなく感じられる雰囲気を楽しむ作品

ただタイトルと内容の繋がりはいまいちわからなかった

天焦がす、核熱突破天然少女に花束を。  肥溜め落ち太郎氏

【作品集】189
【タイトル】天焦がす、核熱突破天然少女に花束を。   【書いた人】肥溜め落ち太郎氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/189/1381507671
【あらすじ&感想】
岩、埃、僅かばかりの苔、そして膨大な熱が支配する赤黒い世界、それがこの地獄だ。
生命の息吹なんて存在する筈が無い。誰もがそう考えていた。
それ程にとんでもない場所を、地獄へと作り変えようとした是非曲直庁(ぜひきょくちょくちょう)が何を考えていたのかは知らない。
ただ、必死に生きる彼らの居場所を散々に弄った挙句、瓦礫を残して去っていった彼らが碌でもない存在だというのは確かだ。
そんなこんなで地底世界を支配する物質には岩、埃、熱の三つに、倒壊した建造物が追加されるに至った。

その火焔猫は腹が減っていた。
既に二ヶ月は何の食料も口にしていない。別に火焔猫が無能であった訳ではない。ただ単に旧地獄跡とはそう言う世界だというだけの至極単純な理由である


最後に口にしたのは鬼に食い散らかされた地獄鴉の内蔵である。群れ丸ごとが餌食になったらしく、発生した大量の食い残しは小食な火焔猫の腹を満たすに

は十分な量だった。
しかし、火焔猫が仮にも恒温動物である限り、生きるだけでエネルギーは消費する。運悪く獲物を逃し続けた火焔猫は死の瀬戸際に立っていた。

「よろしくお願い致します。さとり様(クソ野郎)」
「地霊殿にようこそ。おりん」

 

さとりは地底に来て間もなく、今だ地霊殿に動物たちは住まず、燐は野良猫
そんな状態から始まる燐、お空、さとりの三角関係のラブストーリー
この作者さんらしくオリジナル設定をバリバリ突っ込んだ独特の世界観と適当に読み飛ばしても問題ない専門用語の嵐にまみれた作品
あまたの専門用語とそれについてる大量の横文字のルビの山はぶっちゃけ飛ばして読んでもたいして支障はありません
話の内容としてはさとりが地下に来てから地霊殿を立ち上げるまでの過酷な環境と状況が燐の視点メインで書いてある
獣たちが必死の生存競争を繰り広げるまさしく「地獄」と呼ぶにふさわしい場所でなにかを成そうとするさとり、
そんなさとりに素直にどこまでもついていこうとするお空、
妖獣としての生存本能の命令や自分のそれまでの一匹狼の生き方とのギャップに苦しみつつも離れずにいるお燐
それが重く強い文書んで勢いよく書かれていた

もっかい言うけど専門用語と大量の横文字のルビの山はだいたい飛ばしても構わないと思います
雰囲気づくりには一役買ってるとは思うけど、作品の中で生きてるとはっきり認識できるほどの意味は感じられないし

魔法使いの手紙  つばさ氏

【作品集】204
【タイトル】魔法使いの手紙   【書いた人】つばさ氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/204/1429569479
【あらすじ&感想】
ある日、アリスに魔理沙からの手紙が届いた。
「魔法使いをやめることにした。今までありがとう」
アリスは前にも同じような手紙を受け取ったことがあった。
その時は幻想郷中を周り、魔理沙を見つけて、持ちうる限りの言葉と態度で彼女を慰め、
彼女の苦しみを聴いてあげて。
だからきっと今度も魔理沙が立ち直るだろう、そうでなくても今度は相談してくれるかもしれない。
だからここで、彼女がいつどんな顔でやってきても良いように、待っていよう。
食器棚に置かれている魔理沙がいつも使っていたティーカップを見つめながら紅茶を入れ直して、手紙を戸棚へと仕舞った。

彼女が結婚した、という風の便りを聴いたのは、もう数年も前のことだ。
実家の魔法店を継いだらしい。お見合い結婚だったそうだ。それ以上の彼女についての一切を、私は知らない。

 

魔理沙とアリスの関係性がアリスの視点からのみ書かれている
魔理沙のよき友であろうとして、魔理沙が帰ってくる望みを捨てられずにいるアリス
はたして魔理沙にとってのアリスはどんな存在だったのだろうか
良き友だったのか、苦しみの元だったのか、ただの隣人だったのか
少なくとも今のところは「もう一度会いたい」と思える相手ではないのだろう
三通目の手紙は届かなかったのだから

天才と友達になる方法  銘宮氏

【作品集】204
【タイトル】天才と友達になる方法   【書いた人】銘宮氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/204/1426311721
【あらすじ&感想】
「私と、友達になってくれないか?」
「よかったら、私と友達になってください!」
「どうだ? 一つ、私と仲良く語り合わないか? OK?」

天才岡崎夢美はこう言った。
「天才に近づき取り入るにはどうしたらいいか、ここは一つ凡人の立場から検証してみようと思って。
 ほら、私って天才の気持ちはわかっても凡人の気持ちはわからないから」
彼女たちから見た幻の世界を観察、干渉することができる奇妙な実験器具「幻想テレビ」を使っての奇妙な実験が始まった。
岡崎教授の助手、ちゆりの仕事は「マリサ」というキャラクターでテレビの中の世界の天才「博麗霊夢」と友達になることだ。
凡人が天才と友達になるにはどうすればいいのか。
そんななんとも言えないしょーもない実験はこうして始まった。

「で、でも」
 口をついて言葉が出る。
「話相手くらいになら、……」

 

夢美教授とちゆりが「幻想テレビ」という器具を通して幻想郷を観測するという設定のお話
教授たちの世界が幻想郷の上位の世界とか説明されてるのが気に食わない人もいるかも
「マリサ」を操作して「博麗霊夢」と友達になろうと四苦八苦するというだけの話なんだけど、
繰り返される実験と、変わる霊夢の反応、それが最後の種明かしを読むとなるほどと思えて「霊夢」の反応の中身をいろいろ想像できる
最後の部分を読んだときはなんとも言えない気分になったけど、これが教授やちゆりにとって「実験」なんだということをはっきり教えてくれた

化けて出る確率  銘宮氏

【作品集】204
【タイトル】化けて出る確率   【書いた人】銘宮氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/204/1426688217
【あらすじ&感想】
「測定? 何の」
「化けて出る確率の測定よ」
「はぁ」

天才岡崎夢美はこう言った。
「この村紗ちゃんは舟幽霊という妖怪なの。今でこそ妖怪にまでなってしまったけど、
 元々は水難事故で死んだ哀れな幽霊だったのよ。そこで今回は、彼女を使って測定をしてもらうわ」
そういうわけで始まった実験。
村紗が船の上から身を投げて死ぬ瞬間を観測して幽霊になるかどうかを調べるだけ。千回ほど。
パソコンにつないで自動化したとはいえなかなか暇な実験。
この世界の村紗はどうも男と心中したらしい。なるほど、それなら未練もあるかもしれない。

ところが
「その結果」
「使い物にならないだろうから、もう提出しなくていいわ。今回の実験は失敗、っていうことね」

 

原作での村紗の死因ってなんだったっけ?
とにかくこの作品での村紗はけっこう最近な時期に男性と心中して死んだことになっている
まあ聖の年代と考えると水夫の服着てるのはたしかにおかしいからどっちに合わせるかってだけなんだけどさ
教授の思い付きの実験で幻想テレビを通して村紗を観察することで、死因の心中事件の裏側を見るという話
ミステリーっぽくてホラーっぽい感じになってる作品
ただどっちも「ぽい」で終わってるところなんかがちょっと物足りない感じ
今一歩工夫があったら読んでる方としてはもっと楽しめたかもしれない

あるいは古代のプロメテウス  銘宮氏

【作品集】204
【タイトル】あるいは古代のプロメテウス   【書いた人】銘宮氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/204/1427289188
【あらすじ&感想】
「課題?」
「よく考えたら私、あなたがどんなことに興味を抱くのかよく知らないのよ。
 だから今回は実験的に、あなた自身に研究対象を探してもらおうと思うの」
「はぁ」

天才岡崎夢美はこう言った。
「あなたが選んだ幻想の住人についてのレポートを出すように」
子供の頃は神童とも呼ばれていたちゆりが、それよりもはるかにいろいろぶっ飛んだ夢美教授に出された課題はレポート。
いまいち積極性の足りないちゆりに興味の対象を見つけさせるという試み。
そしてちゆりが選んだのは「宮古芳香」について。
ある程度は住人のデータが出てくるはずの幻想テレビなのになぜか彼女のデータだけは出てこないというのがその理由だった。
芳香の過去を探っていったちゆりが見たのは四人の少女がたった一つの青娥の弟子の座を争う姿だった。
彼女らを観察していくうちにちゆりは徐々に1人の少女に自分を重ねていき……。

 

幻想テレビと岡崎研究室シリーズ(勝手に命名)第三弾、宮古芳香編
東方キャラの過去話を展開しつつ、教授とちゆりのキャラクターを強く書いている作品
最初の誰が選ばれるかという予測から、ちゆりの心情描写を経て幻想テレビとちゆりの重なりが起こる
そして急な展開から教授の種明かしを経てのなんとも言えない不気味さを残していくオチ
もし今後もこのシリーズが続くなら教授とちゆりがどうなっていくのかとても興味がある