作品集83

Last-modified: 2014-11-18 (火) 00:30:36
鈴蘭畑の舞踏会 燃焼羅刹さん

【作品集】83
【作品】鈴蘭畑の舞踏会
【作者】燃焼羅刹さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249376123&log=83

物語 11点
家族愛だと思ってたら、いつのまにか一線越えてた(キスのみ)。
何を言っているのかわからねぇと思うが(略)。
アリス×メディのお話。
どうしてもその一線を越えることに納得がいかないというか、
メディが幼すぎて家族愛にとどまっていたほうが設定としては綺麗だと思う。
作者がやりたいならしょうがない、とは思うのだが。

キャラクター 13点
メディとアリスの精神世界を綺麗に書けているところが良い点。
パルスィが完全にかませポジションなのが気になるところだが、
それも小さなエピソードをはさむことで、突然の振りではなくしているから許容されうる。

ストーリー 12点
少々盛りこみすぎな感じがする。短編にしてはエピソードが多すぎて、場面の移り変わりが唐突に感じられるかもしれない。
家族愛までなら納得できるし、アリスは母親役であるほうが納得できると思う。
メディの内面でアリスを恋愛対象にする意味がわからない。
違和感の正体はメディが幼いせいもあるが、アリスがそもそも王子様としては適していないからだと思われる。
こてこての百合好きならイケる話なのかもしれない。
ラストはさすがに無理だった。

構成 12点
もっとすっきりした構成にしたほうがいい。冒頭は引き込む力があった。

表現 13点
メディとアリスの交互視点切り替えには一長一短があるように思う。
総体的には日本語としてそれほどおかしいところはなく、読める文章。
力の入れ具合が全体として平坦なのが惜しいところで、
もっと盛り上げるべきところはじっくり描写する、そうでないところはさらりと流すようにして欲しい。
ずるずると流れていってしまう感じ。

総点 61点
印象としては、家族愛からそれ以上に切り替わってしまう設定が受け入れがたかったので評価が低くなった。
家族愛にとどまるのであれば、評価があがりそうだ。
筆が走りすぎたのか、確定的な言葉を書いてしまったのが原因。
家族として好きなのか、恋愛対象として好きなのかをもっとぼかして書けばよかったのではないか。
創想話の読者的にはどうなんだろう。多数が違和感なく読めるのだろうか。

ただ、恥ずかしい目に遭うお話  飛蝗さん

【作品集】83
【作品】ただ、恥ずかしい目に遭うお話
【作者】飛蝗さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249392850&log=83

物語 14点
藍がただ恥ずかしい目に遭うお話である。原因は藍の主の思いつき。
発想やアイディア自体は誰もが考えつくところであるが、多くの読者が望んでいる発想かもしれない。
書かれるべくして書かれた気がする。

キャラクター15点
藍は真面目な雰囲気があるから、崩せばギャグになる。性格のギャップこそがコメディの基本である。
紫が少女趣味しているのも一種のギャップといえるかもしれない。
生き生きとしたキャラクターである。

ストーリー 13点
適度な萌え成分をくどくなりすぎない程度に盛りこんだ、秀逸なコメディ。
コメディに内容を問うても無意味だ。

構成 13点
紫から藍にバトンタッチするのは、考えどころかもしれない。藍が主人公なら藍視点でずっと進めても良いと思うからだ。
しかし、原作の紫はあやしい雰囲気であるから、キャラを崩している。
そういうふうに紫を使う以上、紫の視点から入るのは必須だったのだろう。
場面の切り替わりが早いので、ちと展開的には早く感じる。

表現 14点
コメディですよーというフラグが最初から立っており、わかりやすい文章だと言える。
コメディではこれぐらいわかりやすいほうがいい。
漢字もっと開いて、句点最後は取って、♪のあとは一文字空白、などと思いはするものの、しょせん瑣末なことである。
総じてペパーミントのような爽やかな文章。くどくなくてよい。

総点 69点
特に悪いところが見当たらないし、ギャグとして突き抜けているのがよかった。
まあギャグというのは合う合わないがあるから、個人的にウケたのかもしれない。
恥ずかしがる藍を幻視するのが最高の味わい方である。

二人で夕餉を 柚季さん
タイトルとタグに偽りなし。

【作品集】83
【作品】二人で夕餉を
【作者】柚季さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249404513&log=83

物語 13点
タイトルとタグに偽りなし。美鈴と咲夜がただご飯を食べる話。
この系統は創想話においては本当に強い。数も多い。しかし廃れることがない。
求められているからだろうか。

キャラクター 17点
非常に丁寧に書かれてあって、美鈴と咲夜の関係がメインディッシュ。しかしそれ以外の絡みも捨てがたい。

ストーリー 13点
ただご飯を食べるだけ。
しかしご飯をともに食べるというのは信頼関係をあらわす手段としては最高なのかもしれない。

構成 14点
一見するといらないように見える部分も実は伏線になっているという驚きがある。
まあそうはいってもただご飯を食べるだけのお話なので、ドラマツルギーとしての効力は薄いのだが、漫然と書かれているわけではないところが素晴らしい。

表現 15点
非常に丁寧に書かれている。百合とも信頼関係ともつかない微妙な色彩が非常に巧い。

総点 72点
印象としては、ともかくほんわりと暖かい空間。
毛布のなかでくるまっているような気分になる。

お夕飯を食べる。

【作品集】83
【作品】二人で夕餉を
【作者】柚季氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249404513&log=83

【あらすじ】
お夕飯を食べる。

【感想】
タイトルどおりの、唯それだけのお話です。
しかしながら咲夜さんと美鈴の仕草などが丁寧に描写されていて
ほんわかします。
おなかが減ってくるお話でした。

【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★☆☆
胃袋☆☆☆☆☆
総合評価★★★★☆

タグにもある通り「ただご飯食べる話」。

【作品集】83
【タイトル】二人で夕餉を
【書いた人】柚季氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249404513&log=83
【あらすじ】
「ちょっと痩せたんじゃない」
 十六夜咲夜はアリス・マーガトロイドからそう指摘される。
 確かにその通りで、ここ最近はちゃんとした食事を摂っていなかった。
 後に図書館で美鈴とばったり遭遇。小悪魔の計らいもあり、
 美鈴が作った食事を二人で食べる事になったが……。

【感想】
タグにもある通り「ただご飯食べる話」。
それなのに話に引き込まれるのは作者の力量が故だろう。
描写がとても綺麗。それも詩のような回りくどい綺麗さではなく、
情景がそのまま頭に浮かぶような感覚だった。
特に小悪魔の動作一つ一つや、咲夜と美鈴の食事シーンが素晴らしい。
心情描写がくどくないのも好印象だった。
素朴な物語だが、だからこそここまで心にすっと入ってくるのかもしれない。

【五段階評価】
★★★★★(プッシュする気持ちを込めて)

ちょっと変わったさとり妖怪 アルサさん

【作品集】83
【作品】ちょっと変わったさとり妖怪
【作者】アルサさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249407112&log=83

物語 15点
さとりは家族の心は読まないという自分ルールを課していた。
たったこれだけの設定を芯に長い緩やかな雨の日は始まる。
しかしこのアイディアのうまさは後になればなるほど効いてくる。スルメのような設定だ。

キャラクター 18点
お空とさとりが思いっきり家族愛している。それにしてもアホな子のお空も、クールなさとりも可愛らしい。

ストーリー 18点
心を開いているからこそ心を読まない。
この心境は矛盾しているといってもいいが、だからこそ綺麗なのかもしれない。
心を読まないがゆえに言葉をつくすなんて、覚り妖怪としては変人なのかもしれない。
お見事としか。

構成 15点
長いが、展開は急ではない。語られる内容も少ないから、ゆったりとした余裕のある構成。
物語に感情移入がしやすい展開の緩やかさだと思う。

表現 16点
泣く子には弱いんですよ……。ええ。
さとりの冷静な自己分析も相当な技術力が要求されると思うが、きちんと書ききっている。

総点 82点
印象としては、お涙頂戴に弱いと一発でもってかれそうだ。
最初の暗い雰囲気で回れ右してしまう読者もいるかもしれないが、そこはぐっと耐えるべき。

グラス越しに見た夢次元 蛸擬さん

【作品集】83
【作品】グラス越しに見た夢次元
【作者】蛸擬さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249409805&log=83

物語 11点
岡崎と霊夢が再びめぐり合って酒を飲みかわす話。
最初に断っておくが、旧作を知らないので、ちょっと感応しきれないところがあった。
どれほど旧作が知られているのかというのも疑問。
その点に関しては、手当てがなされてあって、丁寧だった。
わからない人でもなんとなくわかる話ではある。

キャラクター 10点
上にも述べたが旧作を持っていないので性格の是非がつかない。
ただ岡崎からの一方的な話になっていて、霊夢がそれをはいはいと聞くのは、らしい関係ではあるような気がする。

ストーリー 13点
酒をくみかわしながらその主題となっているのは科学と魔法(幻想)か。
今回は科学側からの一方的な羨望になっており、幻想側がそれを受け入れたにすぎない。
これは物語の構造的にも岡崎が来訪するというかたちをとっておりまちがいない。
最後に今度はこちらに来てほしいと岡崎が誘うが、未来においてストーリーは完結するわけか。
なかなか綺麗な創りだといえる。

構成 11点
ドラマとは無縁だが、酒を呑むときにドラマチックさはちっとも必要ないのでこれで良いのだろう。

表現 13点
ナイスワーク。わりと地の文がかたまっている印象があるが、会話の応酬とはまた違った趣がある。
行間薄いよ何やってんのというふうに指摘されることはまずないだろう。
逆に言えば、最初に詰まってる文字を見たときに、う、とならないかと、老婆心ながら思ってしまう。

総点 58点
印象としては、旧作キャラというのの知名度補正がマイナス方向に働く可能性がどれほどあるのだろうかということだ。
しかもストーリーラインはほとんど酒を呑むだけという言ってしまえば地味なものなので、なおさら感じる。

火焔猫燐の最も長い日 熊の人さん

【作品集】83
【作品】火焔猫燐の最も長い日
【作者】熊の人さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249456090&log=83

物語 12点
地霊殿の裏方を描いた作品。お燐が主人公なのは当然か。
裏方から書くのはいいが、ただそれだけに終わっているのが惜しい。
もう一つアイディアを付け足す感じで書けていれば良い。

キャラクター 13点
お燐が奔走する姿がかわいらしく書けている。特にパルスィとの絡みはなかなか良かった。
ただ、地霊殿に沿っているためか、一人あたりにさいてある量が少なくなってしまっている。
ヤマメと勇儀は少しは違うがすんなり同意を得られるところが似ていて、面白味がないともいえそうだ。

ストーリー 12点
お燐の心情はよく理解できるしよく書けてある。
最後にお空視点になるのは、まるで走れメロス状態。
ただ、ぱそこんはいらないと思った。

構成 11点
地霊殿に沿っているので、中盤の面白味はない。
急いで追いかけるシーンがあるもののそれだけでは、心を揺さぶるには足りないか。
ただ、日常、非日常、日常というふうに、回帰しているのは良い構造だと思った。

表現 11点
わりと読みやすい文章で、展開のありきたりさがここでは逆に活きてくる。
どうなるのかというのがおおざっぱに読んだだけで伝わるので、あまり読みづかれず、咀嚼する必要もない。
さらっと読めるところがいい点。

総点 59点
はっきりと友情が感じられて、そこは微笑ましい。パルスィのシーンはけっこう良い感じだと思う。
ただ、ぱそこんが要らないガジェット。ここで冷めちゃう人もけっこう多いかもしれない。
甘いオレンジジュースのなかに、うめぼしいれたような違和感。
上澄み液を飲むだけならそんなに味は変わらないだろうが、そんなものを飲みたいと思うかという話である。

塵よりよみがえらない 目玉紳士さん

【作品集】83
【作品】塵よりよみがえらない
【作者】目玉紳士さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249465474&log=83

物語 11点
死にたくて死ねない妹紅が超ネガティブモードになる話。
そして慧音が心配して一計を講じる。
王道的なアイディアだ。ただ、それだけで終わってしまったのがちょっと残念。上滑りしたアイディアという感じ。

キャラクター 10点
壊れ気味ではあるものの、キャラクターの同一性を損なってはいない。
きちんと慧音は慧音、妹紅は妹紅とわかる。
ただ、それだけというのはどうも。

ストーリー 9点
論理的な流れが無い。妹紅が死にたいと思うのはわからないでもないが、霊夢への協力まではわかるが、そのあとは不条理。
不条理ギャグとしてみても、中途半端で、いったい何が書きたいのかわからなかった。

構成 9点
シンプルでいいのだが、ストーリー自体が不条理なので、構成も無意味になってしまっている。
最後に少しだけ意味があるような気はする。

表現 11点
あまり無茶をしていない等身大の文章なので、読みやすくはある。

総点 50点
印象としては、核になるアイディアは悪くないのだから、行間を埋める能力が欲しかった。

Tuning Sanryuさん

【作品集】83
【作品】Tuning
【作者】Sanryuさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249477007&log=83

物語 10点
アリスが魔理沙に恋慕の情を寄せて、狂っていくお話。
その恋慕の情が充填率98パーセントから始まるので、読者置いてきぼり。

キャラクター 11点
アリスの内面の闇の部分を書くことには成功している。
しかし、置いてきぼりの状態で書けたところで、やはり置いてきぼりなことは変わらないわけで。

ストーリー 9点
最初からクライマックスといえばいいか。シーンとシーン。行動から行動が飛んでいる感じ。
おかげで、読者が首をひねってる間に終わってしまう。
書きたいところにもっと分量をさくべきだった。

構成 10点
飛び石を伝うような感じなので、展開が速いが、冒頭の段階でアリスの心情が直接的に書かれてあるおかげで、
とりあえず話の筋を追うことはできる。

表現 12点
詩的な雰囲気をまとっており、物悲しさと狂おしい感じは読み取れた。
ストーリーの面の弱さが無ければ、もっと読み手に訴えることができたかもしれない。
そういうポテンシャルは感じる。

総点 52点
読者に状況を教えるということ、いわゆる「説明」というのはもっとも難しい部位であるが、
それを二次創作だからといっておろそかにしてはいけない。
感情も説明されなければ伝わらない。
説明不足な作品だと言えるだろう。

夫婦杯 道草さん

【作品集】83
【作品】夫婦杯
【作者】道草さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249482183&log=83

物語 15点
あることについて霖之助が悩んでいると勇儀が一肌脱ぐ話。
短編としてはこのぐらいのアイディアがちょうどいい。
核となるアイディアがしっかりとしていれば、おのずと書くべきことも定まってくる。

キャラクター 15点
粋。

ストーリー 15点
肩に力をいれない自然体で書かれてある。
盛り上がるところもないのだが、言葉ではうまくできない対等な関係が書かれているのが珍しい。
キャラクターの配置がうまかったのだろう。

構成 14点
最初に何が悩みなのかと読者に考えさせる点が構成としては巧いか。

表現 14点
リーダビリティ重視。
複雑なことは書いていないし、複雑な説明もないが、そもそもストーリーを複雑にしすぎていないからこそ、そういう簡単な表現が活きてくる。

総点 73点
短いながらも良い雰囲気をまとっており、もう少し彼らの関係を眺めていたいと思った。

氷結遊び 臣民さん

【作品集】83
【作品】氷結遊び
【作者】臣民さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249486283&log=83

物語 15点
チルノとレティが遊ぶ話。
なんといったらいいか、遊ぶといってもその意味は多種多様であり、彼女達の場合、その遊びはかなり高度な気がする。
芸術といってもよい領域に達しているような。
でも芯の部分は想いを表しているに過ぎない。そこが心を打つ。

キャラクター 15点
チルノが高校生ぐらいの精神年齢のように見える。
はっきりいって頭が良すぎて、「誰この子」となりそうだが、作者もわかっていて書いているのだろう。
会話ではずいぶん和らげているし、あまり思考に耽溺しているわけでもないから許せる。

ストーリー 18点
テーマはわりと多岐に渡っているように思う。チルノが遊びに興じるのはレティに褒められたいためであり、
それは自分という個性をぶつけることである。
チルノは自分の個性が作品の品質を落とすと思っており、そこに悩みが見える。
普遍的な言い方をすれば、チルノは自分がわがままだということがわかっていて、わがままを言えば、レティが困ることを知っている。
ということか?
この時点でもはやチルノは道理のわからない子どもではない。
けれどその繊細さは中学生や高校生程度の少女の雰囲気。
絵になる。

構成 14点
最初が冗長に感じるが、落ち着いた雰囲気を出すことに成功している。

表現 18点
わかっててやってるんだろうなという感じがするので、チルノというキャラクターの弾性が問われている感じがする。
この文章はとても詩的で、自省的なのだが、チルノの性格として、違和感が生じないかが問題。
文章自体は『文学少女』あたりを想起してもらえるとわかりやすい。

総点 80点
印象としては、少女漫画。
なんでもないところで転ぶドジっ子のように、なんでもないところで反省する。
綺麗だが、根暗ともいえるし。
詩的だが、自省的すぎるともいえるし、
透明だが、繊細すぎるともいえる。
作者さんは頭が良いのだろうが、そういった作者さんはいろいろといいたいことが増えすぎてしまい、書きすぎてしまう傾向にある。
削る技術を身につければもっとよくなりそうだ。
個人的にはかなり好きだが、創想話のデフォルトなタイプの作品とは異なっているため、ウケが良いか悪いか予想がつかない。

夏祭り ちゃいなさん

【作品集】83
【作品】夏祭り
【作者】ちゃいなさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249489334&log=83

物語 13点
夏祭りという独特の空間。
そこに美鈴と咲夜がでかけていくというお話。
あの空間には必ず日常を逸脱した非日常的な空気がまとわりついている。
非日常的な空間だからこそ、やたらと楽しく、普段のクールな咲夜もどこか柔らかくなってしまうということか。

キャラクター 13点
咲夜さんが完全にツンデレになっていて、え、こんなキャラだっけと思うことしばし。
けれど、妙にはまっていたから素養はあるのだろう。
レミリアたちの立ち位置も理解のある保護者といった感じで、なかなかいい。

ストーリー 12点
甘い。糖分がおおめなので、ニヤニヤしてしまうのを必死で押さえる必要あり。
テーマや意味などは無いに等しいが、ともかく甘さを演出することに成功しているから、これでよいのだろう。

構成 12点
百合だろうがなんだろうが、恋愛っていうのは基本的に一対一の関係だから、二人っきりというのはけっこう重要。
それをうまい具合に配分しているように思う。
最後にギュっすることに必然性が感じられるのも、実はレミリアたちが途中で参加したせいだと思われる。

表現 13点
ちょっと描写としては薄いのだが、
書かなくてはいけない(あるいは書きたかったというべきか)二人っきりのシーンには紙面をさいている。

総点 63点
印象としては、最初っから咲夜がデレモード入ったツンデレ性格になってしまっているので、
そこを許容できるかどうかが評価のわかれめ。
あまあまな関係が好きな人からすれば、たぶんおなかいっぱいになれる。

ヒマワリの咲かない季節 浅木原忍さん
人が死んだりしない小さな謎を秘封倶楽部が解決する。

【作品集】83
【作品】ヒマワリの咲かない季節
【作者】浅木原忍さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249505488&log=83

物語 14点
作者が言うとおり、加納朋子や北村薫の雰囲気をまとった日常系ミステリー。
人が死んだりしない小さな謎を秘封倶楽部が解決する。
この発想はなかったとまではいかないものの、かなり特異。

キャラクター 15点
百合と友情の境界というか、ギリギリなところで踏みとどまっているような危うさが良い。
二人の関係は健康的に見える。

ストーリー 15点
謎に向かう姿勢と、謎が解かれたあとの結果が素晴らしい。
この作品はなぜそうしたのか(ホワイ・ダ・ニット)系列であり、逆に言えば犯人はすぐに知れるのだが、
解かれた謎はすっきりとした読後感をもたらすだろう。
ちなみにマーガレットの花言葉は、「心に秘めた愛」「真実の友情」のどちらなのだろう。
謎がひとつ残され、次回作への期待も高まる。

構成 14点
もともと加納朋子にしろ北村薫にしろライトノベル寄りではあるものの、ライトノベルそのものではない。
そういうわけで、あまり動的ではないのはさほど問題ないところである。
ただし、ミステリーは謎に向かう時間を引き延ばす傾向があるところ、簡単に解きすぎたというところあるかもしれない。
謎に謎を重ねることで、少しは時間を延ばしているが、まだ足りない。
もったいぶって欲しかった。

表現 16点
非常に洗練された綺麗な文章。
ストーリーがミステリーなので論理的でなければならないが、
あえてそこに逆行するような書き方をしているのが素晴らしい。
論理(ロジック)ではなく、幻想(マジック)なのです。

総点 74点
言い忘れていたが、背景が現代っぽいので、幻想郷を読みたい読者にとっては、ニーズが違うかもしれない。
百合とも友情ともつかない微妙な関係が好きな人にとっては好物。
ミステリー好きにも好物。
ちゅっちゅ。

すこし不思議でSFです。

【作品集】83
【作品】ヒマワリの咲かない季節
【作者】浅木原忍氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249505488&log=83

【あらすじ】
「小さい頃の私って、あの綿毛って絶対タンポポじゃない別の何かだと信じてたのよね」

【感想】
秘封倶楽部の、ほんのちょっぴり不思議なお話。
すこし不思議でSFです。現実から乖離しすぎない程度のお話。
蓮子とメリーの少女っぽい会話だけでやられました。
こんな秘封倶楽部、よいです。

【5段階評価】
文章★★★★★
構成★★★★★
ダンデライオン★★★★☆
総合評価★★★★★

ギュッと ネコ跳びさん

【作品集】83
【作品】ギュッと
【作者】ネコ跳びさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249508745&log=83

物語 13点
あったか紅魔館もの。全員がラブラブすぎて、甘さに悶えることが可能。
それだけなのだが、需要はありそう。

キャラクター 15点
フランの可愛らしさ、レミリアのカリスマ、咲夜の微変態、美鈴の安心感。
フランは子どもっぽさが通常比の三倍程度はありそうな。
子どもっぽすぎないかという批判は成り立つだろうが、逆に、なにこのフランかわいすぎるという評価も成り立つ。

ストーリー 14点
おもしろいことに破壊する能力ではなく、強靭な肉体自体への嫌悪へとうまい具合にすりかえられている。
だからこそ、美鈴も対処が可能なのである。
これは捏造ではないし、ありうる可能性として考えられる。
あまあま空間なのは良いが、ちょっとした挫折などをいれこむとストーリー的には面白くなっただろう。
もっとも、前提条件として、失敗した状態から始まっていくので、本編は成功の物語と捉えることもできる。
なかなか良かった。

構成 12点
構成としては、視点の移り変わりが多いことが気になるが、それ以外は及第点だと思われる。

表現 14点
優しい文体で、甘くてアットホームな雰囲気を出すことに成功。
フランのかわいらしさもきっちり伝えることができている。

総点 68点
ひたすら甘いのだが、エピソードのインパクトは弱め。
フランドールをはじめとして、登場人物全員がラブラブモード入っている。
癒しの空間もたまにはいいものだ。

静寂の時間 Revyさん

【作品集】83
【作品】静寂の時間
【作者】Revyさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249525920&log=83

物語 10点
霊夢、魔理沙、咲夜が死んだ。彼女たちの死を嘆き哀しむ霖之助というお話。
死をトリガーにして、感動を呼び起こす作品は枚挙に暇が無いので、別に悪くはない着想ではある。

キャラクター 10点
霖之助の脆い一面は原作には無いものなので、ありうる可能性の探索という意味では悪くなかったのではないか。
まあ、違和感はあるが。

ストーリー 10点
死んだ。哀しい。と、ただ機械的に反応しているだけのように思える。
理性の強さをもっと書けていればなぁ。
ただこれだけだと、生ある者の死者への傲慢ともとれるし、感情をただ垂れ流しているだけのように読めてしまうだろう。

構成 10点
ずいぶんと唐突な。

表現 11点
短すぎるせいか、感情もするすると抜けていく感じで、表面的にしか伝わらない。
哀しいという感情だけでももっと表現できればいいのに。
ただ声を荒げるだけでは本当に哀しいとは言わない気がする。
哀しさの表し方がどうも弱い。

総点 51点
表現力の問題かなと思ったのだが、焦点とすべきは行動原理のほうかもしれない。
人が悲しいときにどういう行動をとるか。書き手は当然予測して書かないといけないわけだが、そこがうまくいかないと、
はてこの登場人物はなぜ哀しんでいるのだろう、どの程度哀しんでいるのだろうとなってしまい、
読者と作者の間の、作品に対するズレが生じてしまう。
霖之助の哀しさはちょっぴりしか伝わらなかった。

少女を見守るおにーさん 如月翔さん

【作品集】83
【作品】少女を見守るおにーさん
【作者】如月翔さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249535872&log=83

物語 13点
特に何事もなく終わっていくただの一日。
魔理沙と霧之助の信頼関係がかいまみえてよかった。
ただの一日だからこそ描けるのかもしれない。

キャラクター 13点
らしい感じに書けている。
魔理沙がちょっと生意気な妹状態な風味。
というのも、霧之助の視点があるからだろう。

ストーリー 12点
しんしん。がさがさ。ぱりぱり。ひりひり。すやすや。にやにや。

構成 12点
同上。
雪は音を吸収するイメージがあって、最初からこの物語は静かなイメージだと思わせることに成功している。
冒頭は短いながらも秀逸だ。
雨でもいいところを雪にしたのが良い。

表現 12点
雰囲気を出すことには成功している。

総点 62点
風呂の描写をなぜかすっとばしていた。
湯上り魔理沙もなかった。
あくまで妹であるポジションに固執するためにあえて削ったのだろうが、
遺憾の意を表明したいと思います。

ヘタレ→??? 耳かきさん

【作品集】83
【作品】ヘタレ→???
【作者】耳かきさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249540049&log=83

物語 13点
続きものなので読んでいたほうがわかりやすい。
天アリもの。両想いなんで、そこは前提として読んでいくべき。
ルーミアの設定は、ティンときた。

キャラクター 16点
ついに天元突破した天子とアリス。
本当にありがとうございましたとしか言いようが無いバカップルぷり。
霊夢と魔理沙と人形たちは完全にパターングリーン。パルスィです。
物語のところでも述べたがルーミアがいい味を出している。

ストーリー 13点
BGMは『今日の日はさようなら』でいかがでしょう。

構成 13点
一種のターニングポイントに向けて、ちゃくちゃくと伏線を積み上げるところが良い。

表現 13点
あいかわらずのテンションの高さ。
パロネタも入っているが、わからなくてもテンションで乗り切れる類のもの。

総点 68点
勢い勝負のラブコメではあるものの、前よりも洗練されてきているような気がする。
今回は一つの山場であるから盛り上がりがあった。
次はちゅっちゅしちゃいそうだ。

tune the rainbow Pumpkin さん

【作品集】83
【作品】tune the rainbow
【作者】Pumpkin さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249555525&log=83

物語 12点
前作と続いている設定らしく、フランがとてつもなくいい子。
ただエンドマーク後のいわば後日談なので印象は薄い。

キャラクター 14点
レミリア視点でフランのいい子ぶりを描写する。
レミリアの内面がちょっと暗いが、そこもまた持ち味かもしれない。
カリスマというよりは良きお姉さんタイプ。
性格改変とifの境を揺らいでいる感じ。

ストーリー 12点
何がしたいかはわかる。
要するに前作で終わったあとの日常。取り戻すべきハッピーエンドのエンドマーク後の話をしたかったのだろう。
終わったあとの話なのでドラマ性がやや薄く、他愛のない話に終始する。
他愛のないことだからこそ輝く日常。
普遍的。
だが、ひとつの小説としては少々退屈。

構成 12点
今回はオーソドックスにレミリアの視点で攻めており、冒頭から最後まで揺らぎがなかった。
一貫性はあるものの、吸引力がなく、冒頭からして落ち着きすぎているかもしれない。
インパクトが足りない。

表現 12点
指輪やぬいぐるみで喜ぶフランのシーンはうまく書けていた。
ただレミリアが例によって自責の念にかられているせいか、全体的に彩りが暗い。

総点 62点
印象としては、これ単独ではやはりインパクトに欠けるし、描写も薄く抑えられていたように思う。
青色系の水彩画のような作品。

寿命の灯火 twinさん

【作品集】83
【作品】寿命の灯火
【作者】twinさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249563488&log=83

物語 13点
小町が迷子の少女に御伽噺を聞かせる程度の話。
アイディア自体は古くからあるものだ。話を聞かせるという構造も。ただ、完成度は高い。

キャラクター 14点
語り手は基本的にキャラクター性を捨てさることによって語り手足りえるわけで、
純粋に語るだけの存在であれば、空気のような存在にならざるをえないのだが、
小町は語りながらも、語ることが一種の行動になっているため、そこにキャラクター性が見出されるように思う。

ストーリー 14点
難解だが、オーソドックスな解釈としては、以下のようなものが考えられる。
少女は生に疲れて、迷っている。小町は過去の想起か、あるいは御伽噺か、少女に語りかける。
そうすることで、少女は孤独から救済され、生きる力を取り戻す。
また、小町もおそらくどこかで癒されているのだろうと思われる。
小町は少女を過去の自分に重ね合わせていたという解釈がもっとも単純で、もっとも納得できる。
だから、少女が現世へ帰るのは、小町にとっても救いだったのではないか。

構成 13点
共感を生み出す構造なのは巧いなと思う。
最初の一歩引いた見方から、小町へとフォーカスするのも巧い。

表現 14点
一芸だし個性だとは思うが、さすがに漢字はもっと開いてほしかった。
読み手がバカなのがいけないのだとは思うが、ともかくつっかえて、辞書引いたり、ググって読みすすめる形になってしまった。
疲れる。
個性は十分。
優しさください。

総点 68点
文章力はあるのだが、創想話の読者層から考えるともっと漢字を開いていたほうがいいのではないかと思った。
もちろん、そこが売りだとも思うのだが、単純に伝えたいことを伝えるのがメインなのか、文章の格調高さがメインなのかという話である。
伝えやすさをもう少し重視してもいいのではないかと思うのだが。
物語は深みがあって、個性も十分感じられた。
文章力もあいまって、オリジナリティは十分。

二尾が成長するようです デンさん
なにこれこわい。

【作品集】83
【作品】二尾が成長するようです
【作者】デンさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249568877&log=83

物語 16点
なにこれこわい。最初から変ではあったが、いきなりパロネタ全開のカオスに。
短いので読んでもらうしかないが、ノリは西尾維新。不条理さはマサルさん。

キャラクター 15点
完全にコワレなのだが、配置が憎らしい。大妖精である。
あの清楚で可憐で真面目キャラな大妖精を語りとして据えることで一層カオスが際立っていると思われる。

ストーリー 12点
今の僕には理解できない。

構成 14点
途中からいきなりエントロピーが増大するので、唐突に感じられるかもしれないが、笑いの構造としてはうまいのかもしれない。
ドっと笑いが生じた瞬間にはもう終わっていて、妙な余韻が残るようになっている。

表現 13点
意味不明さのなかに、理路整然とした流れを作り出す妙技。
天然でやってるなら恐ろしい。
故意ならさらに恐ろしいが。

総点 70点
パロネタを廃して、同じような勢いのあるコメディを造ることができれば、普遍的に面白いのだろうが、
今のままだと一部のコアなファン向けだろう。
ただ、まあわかりやすいネタではあったから、わりとよかったかもしれない。
基礎的な力があって読みやすい点も好印象。

レベルアップして三叉の尻尾を手に入れたい橙。

【作品集】83
【作品】二尾が成長するようです
【作者】デン氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249568877&log=83

【あらすじ】
レベルアップして三叉の尻尾を手に入れたい橙。

【感想】
なんというか、なんというかもう。
パロディです。3に関係があります。かませです。
4の方も予想は出来てましたが読んでて
イメージが浮かんできてしまったので私の負けです。

【5段階評価】
文章★★★☆☆
構成★★★★☆
餃子★★★★☆
総合評価★★★★☆

大ちゃん一人称という珍しいこのお話。

というわけで、デン氏の『二尾が成長するようです』をみんなで読もう!
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249568877&log=83
大ちゃん一人称という珍しいこのお話。橙の成長を見守る親友と主人、というシチュエーションなのだが……
根幹部分がパロネタで構成されているが、実にパワーがある。分からなくても普通に笑えるのだから凄い
あとがきにもしっかりとネタを仕込む氏の徹底ぶりに感服。想像力豊かなそこのキミにドゾー

スイカップ デンさん

【作品集】83
【作品】スイカップ
【作者】デンさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249569068&log=83

物語 15点
おっぱい、それはロマン。
おっぱい、それはあこがれ。
おっぱい、それは勲章。
おっぱい、それは夢。
おっぱい、それは友情。

キャラクター 16点
さとりにしろ他のキャラにしろ、実にコメディしている。さとりであることの必然性はほとんど無いに等しいが、よくよく考えるとこれでよいのだと思える不思議さ。
計算高いな作者。

ストーリー 14点
コメント欄が「www」で埋め尽くされるのを幻視した。

構成 13点
無いに等しいが、最初から最後まで一気呵成。

表現 14点
完全にやられた。特に最後のオチには。
コメディには過剰さが必要だが、この作品の過剰さには目を覆いたくなる。
なにしろスイカップがたくさんである。

総点 72点
コメディとしては完成しているのではないだろうか。
深みとかあまり考えずに、読んで笑ったら負け。
だとすれば最初から最後まで敗北していたとしか言いようが無い。

さむしんぐこーるど<easy> りーくーさん

【作品集】83
【作品】さむしんぐこーるど<easy>
【作者】りーくーさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249570709&log=83

物語 12点
夏にはご用達のチルノ。
リアルにチルノものが増えてる気がする昨今である。
チルノの子どもっぽさが巧い具合に物語を牽引している。

キャラクター 13点
チルノと霧之助は基本的に相性が良いと思われる。
なんだかんだいっても紳士的な霧之助と子どもっぽいチルノは相補的な関係である。

ストーリー 12点
ほのぼのとギャグの合いの子。
しかしデジャブも覚えるような。

構成 12点
暑いからこそ、チルノが魅力的に思えるわけで、最初のシーンはそれなりに効能があるのかもしれない。
オチもまあ予想はつくだろうが、綺麗に落としている。

表現 11点
ちょっと誤字が散見される。
ただ、涼しい描写は読んでいるだけで気持ちよさがあったように思う。

総点 60点
印象としてはいろいろと惜しい感じ。
何を書いてよいのか何を書くべきでないのかをはっきりさせると良いのかもしれない。
キャラクターのバランスがうまかったので、あとはストーリーを形作る努力をしてみるとよいかも。

あたい、フランス人になりたい 七々原白夜さん
タイトルどおりなぜか仏蘭西である。

【作品集】83
【作品】あたい、フランス人になりたい
【作者】七々原白夜さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249577951&log=83

物語 16点
これはひどい。タイトルどおりなぜか仏蘭西である。
もはや意味など問うのがバカらしくなってくるほどの前提条件。

キャラクター 13点
バラバラに描きすぎていて、群像劇っぽい。それが狂乱を表すのに一役買っている。
ただ散漫になり過ぎないように注意を。

ストーリー 14点
収束しないストーリー。フランとレミリアのキャベツごっこは冒頭の数ページしかないが白眉の出来。
魔理沙のエピソードもなかなか面白い。

構成 13点
竜頭蛇尾。小説としては実は正しい姿である。冒頭しか読まない人がほとんどだからだ。
ただし、完成度から考えるとやはり首を傾げざるをえない。
レミリアとフランのシーン。
魔理沙とチルノのシーン。
そして大妖精とチルノのシーンにわけてみると、
後ろにほうに行くに従って、完成度が落ちているような気がするのだがどうだろう。
単純な読み手の趣味の問題だろうか。
ただ最後のシーンは収束せず、そのまま投げっぱなしであるから、落ちるべきところに落ちてない。
そういう投げっぱなしオチもあるにはあるのだが、完成度が落ちているように感じてしまった。

表現 14点
微エロ表現が巧いのはいいことだ。
サア等のカタカナの使い方もうまく、表現力がある。
可読性も高い。

総点 70点
発想が斜め上で、コメディとして面白い。
ただやや散漫な印象があり、不条理にしても、オチをすっと落として欲しいところだと思った。
文章は達者で、キャラクターの書き方もまずいところはなかった。

ぶっ飛んでいるという意味では今も昔も創想話一だと信じて疑わない。

七々原白夜氏の「あたい、フランス人になりたい」が面白い
ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249577951&log=83

七々原白夜の作品はほかにもいろいろお気に入りがたくさんあるんだけど一番これが好き
ぶっ飛んでいるという意味では今も昔も創想話一だと信じて疑わない。東方関係ないのに凄く東方っぽい
読後にはある意味の徒労感と清涼感が混在すること請け合いの一作

確かめに行こう ぱじゃま紳士さん

【作品集】83
【作品】確かめに行こう
【作者】ぱじゃま紳士さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249636944&log=83

物語 12点
さとりの心を読むことについての物語。
着想としては、スタート地点。ここから先、なにを述べるのかが重要なのだが発展はあまりしない。

キャラクター 11点
さとりが陰鬱。暗すぎて読んでいて爽快感はない。
それどころか不快指数が高い。
けれど、こもった感覚がおそらく地下世界の様子をあらわしている。
景情一致が意識して書かれてある。
巧くはあるのだが……読んでいるとこちらも気が滅入ってくる。さとりは原作だともう少し飄々としていると思う。

ストーリー 11点
展開も暗い。特にお燐との会話はこっちまで暗くなってくる。こいしとの会話も憂鬱になることまちがいない。
メランコリーといえば聞こえがいいが、なんといったらいいか、働き疲れたサラリーマン的な疲れ方なので、読んでいて「ああ……」といった気分に浸れる。
創想話ではもっと若さがほとばしるようなストーリーのほうが良いのではないかと思う。
もちろん書きたいものを書いてもいいのは当然であるが、これはあまり読まれないだろう。

構成 12点
ラストの余韻まで気が滅入るようにしなくても……。
バッドエンドはあってもいいのだが、カタルシスは無いに等しいので、ずーんと沈んでいく感じ。

表現 13点
読める日本語。

総点 59点
文章は変なところがなく、シンプルに読ませてくれる。
ただ全体的に暗いイメージのまま続くので、読んでいると息苦しい。
イメージを破壊するような明るいキャラクターが欲しい。こいしは表面的には明るいが残虐性が垣間見えて適切ではない。
作者が意図的に廃したであろうお空こそが、この作品では必要だったかもしれない。

彼女の厄日 小宵さん

【作品集】83
【作品】彼女の厄日
【作者】小宵さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249637416&log=83

物語 11点
椛の何気ない一日を記した話ということになるだろうか。

キャラクター 11点
椛のキャラクターは語り手なのではっきりしているところなのだが、問題は関係性を描いていないことかもしれない。
誰との絡みに焦点を当てればいいかわからず、あえていえば主人公の椛なのだろうが、椛も何かをしたいと思っているわけも、何をしているわけでもないので、魅力という意味では薄いかもしれない。テーマ性がないからキャラクターが生きてこないということか。

ストーリー 10点
これは展開が微妙すぎる。小説はジグゾーパズルと同じで、すべてのピースが相互連関していないといけないところ、
本作品は、どうにも垂れ流している感が漂っている。
まとまった形が無いため、つかみづらい。
何が一番伝えたいところなのかわからない。

構成 10点
同じく構成らしい構成がないためドラマといったものが構築されていない。
盛り上がる場面をあえてあげるとすると、釣る場面か。

表現 11点
コメディタッチで軽快なところが良いところ。
少し勢いに流されすぎてしまって説明として弱いところがある。勢いを殺さずに状況がわかるようになればよいのではないか。

総点 53点
ストーリーとキャラクターは相互に無関係ではなく、ストーリーがキャラクターの魅力をひきたてるし、逆もまたありえる。
まずは何を書きたいかを明確にすればよいのではないかと思った。

歴史談議・お替わり一杯  デンさん
歴史談義に花を咲かせる話。

【作品集】83
【作品】歴史談議・お替わり一杯
【作者】デンさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249646618&log=83

物語 13点
歴史談義に花を咲かせる話。美鈴が主人公で、慧音が聞き役ということになる。神々もいるよ!
アイディアのピースは面白い。

キャラクター 13点
美鈴の解釈が斬新であまり読んだことがないタイプ。性格自体はさほど揺れていないので、バックボーンの解釈が珍しいということになるだろうか。
紅魔館での扱いはやはり薄幸だった。
そんな彼女も、らしい、と思える今日このごろである。

ストーリー 12点
若干、書きたいものが定まらないまま書いている印象。
あとがきに書いているとおりなのだろうが、それだけではドラマツルギーが成立しないのは明らか。
タイトルどおり、談義である。談義だけで物語が成立することもあるだろうが、これでは世間話。
基本がコメディなので笑えるシーンもあり、全体としての空気もほっこりしていて良いが、中途半端かもしれない。

構成 12点
冒頭のどっちつかずな表現は良かった。
オチ、あるのだが、談義との関係ではさほど効果的とはいえなかったかもしれない。

表現 13点
さっくり読める。まるで炒飯のような味わい。お替わり何杯でもいけそうな感じ。胃もたれもなさそうだ。

総点 63点
書きたいところが、談義自体だと笑いどころが定まらず、全体としてうすぼんやりした読み物になってしまっている。
もっと、談義するのなら歴史的事実について書きこむ必要があるだろう。
そもそも談義は一歩離れた見方になってしまうので、感情移入がしにくい。それゆえにコメディ作品としてはマイナス要因かもしれない。
その間隙を利用して笑いをとれるようになると最高レベル。
基本がコメディなので、どっちつかずな印象を抱かれかねない。
発想はおもしろく、地力も確か。

今語られる驚愕の歴史裏。

【作品集】83
【作品】歴史談議・お替わり一杯
【作者】デン氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249646618&log=83

【あらすじ】
今語られる驚愕の歴史裏。

【感想】
歴史談義。その流れを汲む続編です。
会話のテンポが良く、人物の書き分けも上手い印象があります。
おかげでサクサクっと読めますよ。
神様の赤裸々な遊びが明らかになります。ついでに美鈴の正体も。

【5段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★★☆
赤壁★★★★☆
総合評価★★★★☆

文々。新聞いかがですか? 風月灯篭さん

【作品集】83
【作品】文々。新聞いかがですか?
【作者】風月灯篭さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249651075&log=83

物語 10点
慧音が文に『悪いこと』も記事にしてはどうかと持ちかける話。
悪いことというか、人間にとって有益な情報かもしれない。
根本にあるアイディアは悪くないのかもしれないが、発展させることなく終わってしまった。

キャラクター 11点
慧音も文もうすっぺらいキャラクターになっているが、少なくとも特徴を捉えることはできている。

ストーリー 10点
行儀が良すぎて、いい意味での破天荒さが足りない。
次に何が起こるか簡単に予想がつき、しかもその予想が裏切られることもなく、その通りになる。
厳しいな。

構成 9点
ストーリー展開すら練られていないので推して知るべし。

表現 9点
ごく短時間に書いた印象。
慧音は先生という立場柄、一定程度は頭が良いように見える発言をしなくてはならないところ、この作品は表現が薄いせいか、
慧音の性格に違和感が生じる可能性は高い。ストーリーも短いのでそんなことを分析する間もなかったが。

総点 49点
印象としては、作者は書き急ぎすぎている気がする。
確かに読んでもらうのは楽しいし、最初は書き急いでしまうものだが、まずは冗長になってもいいぐらいにだらだらと長く長く書いていい。
前作のほうが良い点数をつけたのにはわりと理由があるところで、冗長で展開も早かったが、書きたいという意欲が見て取れたからである。
削るのはまだ先の話。
今はともかく水増ししてでも長々と書くほうがうまくなる時期かもしれない。

泥にまみれてつないだその手は 蛸擬さん

【作品集】83
【作品】泥にまみれてつないだその手は
【作者】蛸擬さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249653581&log=83

物語 15点
ツンデレ映姫が天子にツンデレ説教する話らしい。
そもそも組み合わせが希少なうえに、ツンデレもどきな映姫も珍しいと言えるかもしれない。

キャラクター 15点
映姫はツンデレではない。思うにツンデレとは人形化するようなものであって、メタレベルでは対象物として扱うに等しい。
一見するとヒステリーを起こしてコントロールしにくいように見せて、最終的に暴れ馬を御するような征服欲求を満たすもの。
けっこう、罪深いものかもしれない。
本作品の映姫は、単純に同属嫌悪しているだけだったり。
だからこそ良い。

ストーリー 14点
非常に丁寧に書かれてあって好感が持てた。
映姫がなぜ天子に拘泥するのかがやや不明なところもあるものの、馴れ初めから書いてあることから、納得できる。

構成 13点
五衰は死の徴候らしい。ひとつの盛り上がりが意識されている。
霊夢のシーンでは小休止があったりと、うまい創り。

表現 14点
三人称と一人称の混在型。映姫視点。たまに天子の考えも入るが、基本は映姫なので読み違えることはない。
客観的に書くために三人称を採用したのだろうと思われる。
感情の機微を表現するのがうまく、その機微をツンデレ(仮)と称してもよいかもしれない。

総点 71点
悩みがあるキャラクターは、ドラマを生む言動力にある。
印象としては映姫の内面をかなり深く書いているせいか、そこからストーリーが派生しているようだ。

焦がさないで 司馬漬けさん

【作品集】83
【作品】焦がさないで
【作者】司馬漬けさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249673633&log=83

物語 13点
小傘と霖之助のお話。
終始コメディのかたちを崩さないなかなかの良作。

キャラクター 14点
小傘と霖之助の相性は良いほうだろう。
ヘタレキャラである小傘と勘違い系の霖之助は、まるでボケにボケを重ねたような味わいがある。
小傘が純粋でかわいらしい。けっこう一途?

ストーリー 13点
コメディとしてなかなか良い味つけ。ラストのシーンは予定調和だろうと思われる。
ご都合主義ということなかれ、水戸黄門のように完全な黄金パターンなのだ。
予想は立つので驚きはないが、安心感のある作りである。

構成 13点
上でも述べたとおり安心できる構成である。
盛り上がりには欠けるものの、じわじわと味わえる作りになっており、落ち着いた作風とあいまってなかなかの出来。

表現 14点
読みやすい文章だろう。
丸呑みシーンには、なにかイケナイ感触があってよかった。

総点 67点
印象としては、よく出来た完成した作風といった感じ。
よくも悪くも香霖堂系列の作品は終始場所の移動が無いので、落ち着いた作風にならざるを得ないが、その閉鎖した空間においてもドラマを作ることは可能である。
フルハウスみたいなものだと思えば。

お嬢様は容赦の無い大変に冷たいお方です みたらしいお団子さん

【作品集】83
【作品】お嬢様は容赦の無い大変に冷たいお方です
【作者】みたらしいお団子さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249736029&log=83

物語 14点
レミリアと霊夢のひと夏のアバンチュールもの。
発想が可愛らしい。今だからこそ使えるアイディアかもしれない。

キャラクター 14点
レミリアがカリスマを発揮している。
これから先、ブレイクするのかそれとも貫き通すのか、わからないまま進んでいくから、
ある種の緊張感が生まれている。
霊夢が焦る姿も珍しい。

ストーリー 14点
カリスマを発揮するレミリアとそれを恐れる霊夢というのは構造的には、危うさを演出しており、
そのアンバランスさが背徳の快感を生み出すこともありえるかもしれない。

構成 13点
起承転結でいえば、起承結という感じで、転換地点と結語の部分がほとんど接着している。
ショートショートとしてはまあそういう作りも問題ないだろう。

表現 12点
悪くはないので、レミリアはもっと尊大に、霊夢はもっと弱々しく描ければよかったと思う。
そぎ落とした表現なので、読みやすくはある。

総点 67点
ネタがいいので好印象であるが、冷静に文章だけを抽出するとまだまだ改善の余地がある。
言わずもがなで、文章ほど改善のしやすい部位はないので、そこさえ基本を抑えればまだまだ伸びそうだ。
伸びしろに期待したい。

いつまでも共に 百ノ夢さん

【作品集】83
【作品】いつまでも共に
【作者】百ノ夢さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249745220&log=83

物語 13点
創想話では古典といってもいいかもしれない寿命ネタ。
今回は霊夢。死んで欲しくないと思うのはレミリア。つまりレミ×霊。
この発想自体は伝統芸能なのでもはや何もいえない。たださんざん手垢がついたネタだけにこのアイディアだけでは足りないか。

キャラクター 12点
霊夢のキャラクターがかなり原作と乖離しており、ヒロイン風味なっている。
生に執着している時点で、霊夢らしさは失われている。ただそれに対する手当てがまったくなされていないわけではなく、理由をつけるためにかなり紙面をさいている。

ストーリー 12点
寿命ネタから、中盤のバトル展開まではそこそこ理由がわからなくもないのだが、
そもそも結論が納得できないというのはあるかもしれない。
これはこれでありうべき形ではあるのだが。

構成 11点
起承転結はあるものの、展開は早い。
ラスト近くをもう少し引き伸ばせばバランスはとれたかもしれない。

表現 13点
霊夢の絶叫シーンなど、よくもわるくもライトノベル的な感じ。
シンプルに心情を語るので重いテーマにギリギリついていっているような余裕の無さが気にかかる。
もう少しテーマが軽ければ、文章自体はまずくない。

総点 61点
個人的に結論部分が納得できなかった。それは納得できる理由に達していなかったということであるから、評価は低くせざるをえない。
霊夢というキャラクターが抵抗した結果かもしれない。

幕間劇~うちゅうのおぜうさま~ Sourpus氏
※注意 あとがきまでが本編です。

【作品集】83
【タイトル】幕間劇~うちゅうのおぜうさま~
【書いた人】Sourpus氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249794233&log=83
【あらすじ】
決定的な「何か」が欠けてしまった博麗神社の境内で、レミリアは空を見上げる。

【感想】
レミリアの心情描写や風景描写が綺麗なお話。
唐突な喪失に、レミリアは何を思い、何を感じたのかをしっかり描いている。
ある意味ありがちな寿命差による喪失の話とは一線を画している作品。

※注意 あとがきまでが本編です。

【五段階評価】
文章★★★★☆
構成★★★★☆
結末(あるいはオチ)★★★★☆
総合評価★★★★☆

地底へと向かった霊夢が死んだ。

【作品集】83
【作品】幕間劇~うちゅうのおぜうさま~
【作者】Sourpusさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249794233&log=83

物語 13点
地底へと向かった霊夢が死んだ。
ひとり地上で帰りを待っていたレミリアが悲しみにくれる話。
よくある系統だといえるが、ひとり残っていたという設定が一味違うところかもしれない。

キャラクター 14点
レミリアの悲しみをよく描けている。
霊夢は死亡しているだけなのでコミュニケーションは取れない。
死者に対する一方的な恋慕。

ストーリー 12点
話としては単純で、あらすじから逸脱するところはない。
レミリアと霊夢の交流が作中では書かれていないので、死に対する直接的な感情しか湧かないところが残念なところだと思う。
言ってみれば、『死』に感動しているだけのようにも思える。
霊夢の死が哀しいとするのならば、もう少し理由が必要かもしれない。
ひとり残っていたから、納得できないというのは非常によく人間の心理をついているといえるが、補助線が必要かもしれないと思った。
あとがきはオマケのようなものだろう。

構成 12点
ショッキングな始まり方。
それからは死に伴う感情の揺さぶりを殺さない程度に、できるだけ端的に述べるように努めている。

表現 15点
霊夢の死に反応するレミリアの心情がよく書けている。
表現能力だけで見ると、もっと書けると思うが、書きすぎないところが今回は寂寞感を生んだのかもしれない。

総点 66点
印象批評すれば、死を書き、寂寥を描いた作品は高評価につながりやすい。
繊細で、じんと来る話は人の感性に直接働きかけるからだ。
短い分量で、綺麗にまとまっている。
しかし、あと一息、なにか欲しい。綺麗なだけではなにか物足りないように思う。

最初にドスンと落ちる急転直下な展開に驚いた。

【作品集】83 【タイトル】幕間劇~うちゅうのおぜうさま~  【書いた人】Sourpus 氏
【URL】 ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249794233&log=83
【あらすじ】
 博麗神社にはレミリア、魔理沙、紫といつものメンバーが集まっていた。
 しかし、そこにはいつもの騒がしさは無く、静寂な重苦しい空気が漂っていた。
 だって、――はもういないのだから。
【感想】
 最初にドスンと落ちる急転直下な展開に驚いた。
 でも、設定を考えればこういう事態も起こり得るかもしれない。
 レミリア目線で悲しみの中雨に打たれる描写が綺麗で、
 雨の中でのやり取りと心理描写が心にずっしり来た作品。
 ……と、ここまでなら良い話なのだが、急転直下な部分はもう1つ、
 あとがき部分に控えている。イイハナシダッタノニナー。
【文章】       ★★★★☆
【展開】       ★★★☆☆
【総合評価】   ★★★☆☆ (しんみりした気分になれる短編)

幻想夢双夜 geneさん

【作品集】83
【作品】幻想夢双夜
【作者】geneさん
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物語 13点
永遠亭と紅魔館の静かな夜。
対照描写?
悪くはないのだが並列的で、交差がほとんど無いところがなんとも。
胡蝶夢丸の使い方も表面的でもう少し深く食い込んでもよかった気がする。

キャラクター 14点
一番内面的にゆれがあったのはレミリアで、レミリアがよく書けていたと思う。
主人公格の鈴仙と咲夜は、若干ブレがなさすぎて面白味がない。
家族的な関係性を描くことに成功していて、そこは良いところ。

ストーリー 13点
長い割りには実が無い。結局、永遠亭と紅魔館でのストーリー的な交差はほとんどないに等しく、これならパラレルに別の作品として出したほうがよかったかもしれない。
胡蝶夢丸で寝入った咲夜を助けに行くレミリアには感動があり、祭りエンドも信頼関係を演出するにはよいものの、話の内容をもっと充実させて欲しかった。
トランプにしろUNOにしろ、それがあるからどうというわけでもなく、エピソードをそんなに小さくしてしまうなら、もともと鈴仙と咲夜をひきあわせる意味もない。

構成 11点
交互に視点を入れ替えて、永遠亭(鈴仙)と紅魔館(咲夜ときどきレミリア)に分かれる。
正直なところ、これを分ける意味はほとんど無いに等しい。
最後あたりに妹紅だと思われる視点も入ってたりするが、これもいらないだろう。
ついでに言えば、物語の転機となる胡蝶夢丸を服用してしまうシーンが、全体の三分の一を進んだところであって、中編では少々展開が遅いと言わざるを得ない。
長い作品になればなるほど構成には気を使って欲しい。

表現 13点
変ではない。感動を呼び起こすところまではいかないまでも、ジンとくる表現もありなかなか良かったと言えるだろう。
最後は若干、感情がほとばしりすぎたか。

総点 64点
長い割りには構成がまずい。鈴仙の視点と咲夜の視点を完全に分割したほうがまだ綺麗だったかもしれない。
表現力はあり、キャラクターも書けているが、長いわりにはあまり盛り上がりもないので、読んでいて面白いなと感じられる部分が少ないといえる。
構成段階での失敗が響いたか。

Please Call Me `Mamasama`! 道標さん

【作品集】83
【作品】Please Call Me,`Mamasama`!
【作者】道標さん
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物語 13点
神綺がアリスにママ様と呼んでもらいたい話。そのために霊夢や早苗も巻き込まれて……。
発想としては悪くなく、新しい関係を作り出している。
溺愛系コメディとでも言えばよいのかも。

キャラクター 14点
神綺が良いキャラをしていて、そのキャラを中心に輪が広がる感じ。
霊夢と早苗が仲が良かったり、けっこうプラス補正がかかっているような気がするが、毒味がない。
コメディであるし、これで良いと思われる。

ストーリー 13点
もともと上記のようなあらすじであるし、内容という意味では特に目立った点は見当たらないが、
伝統的な『絶対押すなよ。押すなよ』系列にも似た、お約束のパターンを踏襲していて、良かった。

構成 13点
冒頭の勢いがあって、そこはプラスポイント。
神綺の話を挿入するのも悪くない。
ラストのオチは、やや甘さが残っていて余韻という意味で悪くなかった。

表現 11点
少々誰が何をしているのかわかりにくい側面があり、読みづらさが残る文章だったといえる。
コメディでは勢いを殺さない程度に崩すことも重要であるし、主語の省略も必要不可欠だと思われるが、
最低限視点を意識して書いていたほうがよかったかもしれない。

総点 64点
表現の仕方を工夫すると良いかもしれない。
一番わかりやすいやり方は視点の固定。誰の視点から書くか。三人称でも可能である。
あるいは物語の構成段階で、霊夢か早苗のいずれか一方を削ったほうがわかりやすかったのかもしれない。
書きたいキャラクターが先にあって、それに沿っている形に見えた。
それが良いことか悪いことかは微妙なところ。
要は、ストーリーかキャラクターか、どちらを重視するかの問題である。
※(表示がおかしくなってしまうので、+マークのタイトル部分の「,」を外しています)

スィームルグの挨拶 アンドレイ・ジラウジーニョさん

【作品集】83
【作品】スィームルグの挨拶
【作者】アンドレイ・ジラウジーニョさん
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物語 11点
離別というか死別の話かもしれない。正直表現が迂遠で抽象的でポエムだったので、何が起こっているのか具体的にはわからない。
そもそも詩的であることは、キャラクターを読みたい人にとっては、厳しい側面があるように思う。
詩はキャラクターを殺さざるをえないからだ。その証拠に本作品では固有名がでていない。タグにはあるのだが。
つまりその登場人物は普遍的で誰にもが当てはまるようなつくりになっている。
是とみるか非とみるかは微妙なところである。

キャラクター 9点
キャラクターは捨象されている。

ストーリー 12点
たぶん離別の話。砂漠で行き交う旅人がフェアウェルを交わすようなそんな感じがした。
グッバイと違って、フェアウェルはほのかに再開の希望が秘されているらしい。
おそらく魔理沙が死んで、霊夢が見送る、そんな話だったのかもしれないが、
魔理沙は魔法使いの国に旅立つと言っているのだから、死んでないということも考えられる。
こまけぇことはいいんだよ、ということなのだろう。
要するに二人が別れるときに、また会えるだろうか、と、そんな淡い期待を抱く詩的な感情を表した作品だったんじゃないかと。

構成 10点
風景画の印象なので、時間の流れをあまり感じさせないが、中盤の別れのところだけは時間がやや生きている感じか。

表現 12点
日本語としてまずいところがあるわけではないが、ちょっと借り物の匂いもしたり。

総点 54点
印象としては、この形式で点数を伸ばすのはかなり困難だろうという思いを抱く。
よくも悪くも詩に近いので、共感が得られなければ、味わうことも難しいかもしれない。

初めての料理 紅雨 霽月さん

【作品集】83
【作品】初めての料理
【作者】紅雨 霽月さん
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「初めての料理」
物語 13点
ひとりでできるもん状態。アリスの家でフランとこいしがお料理教室。先生役はアリス。
どうやら今回はさほど前作を読まなくても、大丈夫なようだ。フランがステアという名前の猫を飼っていること(サブタレイニアンキャットより)、
アリスとフランが知己の仲であること、フランとこいしが知己の仲であることを前提として抑えておけば違和感なく読めるだろう。

キャラクター 15点
フランは良い子で、これはもう積み重ねられてきた歴史みたいなものだろう。
前作と同じく人形たちがいい味を出している。こいしは位置的にはフランのライバルということになるのだろうか。
ヘタレミリアあいかわらず。

ストーリー12点
お料理を作る。それだけだが、心情描写が丁寧で好感が持てる。ただ長ったらしいという意見は確実に存在する。
ダシをとるには時間がかかるということなのだろうか。
面倒だから粉末状のを買ってきてしまいます。

構成 12点
最後の章立てが長すぎて、読者に想像の余地を残さない。
丁寧といえば聞こえはいいが、遊びの『場』がないためわくわくするような感覚は少ないかもしれない。
読み手を囚われた籠の鳥にしてはいけないと思うのだが。

表現 14点
丁寧の一言に尽きる。数行ごとに呼び飛ばしていっても、どういうことが起こっているのかなんとなくわかる。それほどに説明が密。

総点 66点
面白くないわけではないが、アイディアといえるアイディアがあるわけでもないし、展開がゆったりとしているので、キャッチーな部分が足りない。
ただ、そのゆったりさが、最終的にはなんらかの効果を生み出す可能性もあるかもしれない。
最後のシーンは伏線っぽい。
どこかへ向かおうとしているのだろうか。

真っ黒なスケッチブック ぷぷさん

【作品集】83
【作品】真っ黒なスケッチブック
【作者】ぷぷさん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249786451&log=83

物語 14点
ルーミアと少年の邂逅も。エスプリが効いているが、全体的にはダークというほどまでもない。

キャラクター 12点
名前を出さないで描写することは可能だと思う。オリキャラを記号化するにしても、その描写の仕方はあまり好みではなかった。
ただルーミアは妖怪らしさと人間的な優しさを混在させており、秀逸。

ストーリー 12点
あくまでルーミアが主人公で、積極的に働きかけるのはルーミア。
展開としては、ルーミアのほうが積極的に動きすぎていて、少年のほうが積極性を発揮できなかったと思われる。
最後の声無き会話はなかなか。

構成 12点
乗り越える作品。山場が意識して作られている。

表現 11点
もっと表現的に巧ければ、感動を呼び起こせるのだが、かなりの部分がシンプルすぎて、分量的にも少ない。

総点 61点
物語の類型としては珍しいので、そこに面白さがある。
短編程度の分量しかないが、つくりが短編ではないので、分量不足。
オリキャラに嫌味はないし、終わらせ方も毒気がないが、逆に典型的すぎた部分もあるのではないだろうか。
発想とギミックはいいのに、効果的に配置できていなかった。

ちっちゃい れいみゅ と ちっちゃい まりしゃ  ヤゴコロの祖先さん

【作品集】83
【作品】ちっちゃい れいみゅ と ちっちゃい まりしゃ
【作者】ヤゴコロの祖先さん
【URL】ttp://coolier.sytes.net:8080/sosowa/ssw_l/?mode=read&key=1249791557&log=83

物語 10点
タイトルの吸引力は結構あるかもしれない。
幼少時の霊夢と魔理沙の話。
ただ、回想形式なので物語に入っていきにくい。なぜこの形式を採用したのだろう。

キャラクター 10点
分量が少なすぎて、れいみゅ、まりしゃだが、だからといって何があるわけでもなく。
魅力的に書けているわけではない。

ストーリー 10点
短編を書こうとしていないので、毒にも薬にもならない話になってしまっている。

構成 10点
霊夢が回想するという形式をとるにしても、その回想する理由がなければ、意味不明になってしまう。
回想の最後の部分も、途中で切れた感じがして、あまり印象がよくない。

表現 10点
読者に感情を届けるには距離感も大事。
霊夢の回想形式にすることで、やはり距離感があいてしまったか。
霊夢の感想がちょくちょく入りこむことで感情的に寸断されてしまう。

総点 50点
形式的に失敗している。
もう開き直って、回想でもなんでもなく幼女幼女している霊夢魔理沙のほのぼの冒険譚でもよかったかもしれない。
それと、もう少し回想シーンの区切りをつけてほしい。
終わらない物語ほどかわいそうなものはない。