シナリオ/次元コロシアムのイベント
ドラゴン・オブ・キングス
- ランペール
- 「ぬおおお!
貴公ら、羨ましいぞ!」
三大王との戦いが終わった後、突然ランペールが他の二王に向けて大声を張り上げた。
バルラーンが呆れたように応える。
- バルラーン
- 「……如何にした、ランペール? 羨ましい、とは」
- ランペール
- 「貴公ら、次から次へと武器を替えていたな?
あれほど多彩な武器を使い分ける武芸、見事であった!」 - オーグスト
- 「ありがとう、友よ。
しかし、君の技も素晴らしかったぞ」 - ランペール
- 「うむ。わしも伊達に龍王などと呼ばれてはおらんのだ……って違う!
技ではなく、品だ!
貴公らの武器、とてつもない逸品ではなかったか!?」
どうやらランペールはバルラーンとオーグストが用いていた武器が気になるようだ。
- バルラーン
- 「然り。余が蒐集せし武具、満足いくまで見ていくが良いぞ」
- オーグスト
- 「俺の武器はバルラーンほどの名品という訳ではないぞ?」
- バルラーン
- 「戯言を……。余の眼、見誤ることはない。
オーグスト。汝が用いし其の武器も相当の戦器であろうが?」 - オーグスト
- 「はは……まあ、それなりにはな?
どちらにせよ、バルラーンの秘宝ほどではないさ」
互いの武器のコレクションを見せ合うバルラーンとオーグスト。
それを見てまたもランペールが年甲斐もなく吠える。
- ランペール
- 「ぬおおおお!
実に羨ましい!
サンドリアにも貴公らほどの名品コレクションが欲しかった!」 - バルラーン
- 「……サンドリアには『聖剣』があると聞いたが?」
- オーグスト
- 「……聖剣?」
聖剣、という言葉を聞いてオーグストが怪訝そうな表情になる。
ランペールもまた、やや勢いを落とす。
- ランペール
- 「あれは……使って良い武器ではない。
使えない武器なら無いも同然だ……」 - オーグスト
- 「であれば、さきほどの黒龍はどうか?
あのような龍を従えるとは、流石『龍王』と呼ばれるだけあるな」 - ランペール
- 「ぬう……ヴリトラか」
ランペールが黒龍を見る。
ヴリトラは視線に気付くが、戦いに敗れた疲労と不快さで目つきは鋭い。
ランペールは続いて、蛇王ザッハーク、そして白龍ハーサーカを見る。
そして改めて驚いたような表情になり、三度声を張り上げる。
- ランペール
- 「……貴公らの連れている龍、かっこよすぎないか!?」
- バルラーン
- 「……は?」
- ランペール
- 「なんだあの三ツ首の巨龍は!?
なんだあの優美な白龍は!?
あんなものを出されては、うちのヴリトラが地味に見えるではないか!!」
ヴリトラが「!?」と目を見開いて驚愕の表情になり、ランペールを見た。
地味。ウィルム族の、真龍のヴリトラにとって、生まれてこの方初めて言われた言葉であろう。
同じ龍族のザッハークとハーサーカが憐れむような目でヴリトラを見た。
ヴリトラは助けを求めるように、龍ではない金虎テラクァルンを見る。
テラクァルンは虎の姿の魔獣だが、その体は子孫のダラクァルンよりも一回りも二回りも大きく、存在感はドラゴンと比べても劣らない。
体を丸めて寝る姿勢だったテラクァルンは視線に気づいてヴリトラを見返すと、戦友たるハーサーカをチラリと見、もう一度ヴリトラを見返して、それっきり寝る姿勢に戻った。
否定的な答えを得たヴリトラはさらなるショックを受け、首をうなだれて落ち込んだ。
- バルラーン
- 「……下らぬ。
彼奴は強い故、我が下僕とした。
それだけぞ」 - オーグスト
- 「ランペールよ。
友とは見た目ではない、そうではないか?
君の威光と同じく、友との絆は輝いているものだ」 - ランペール
- 「オーグスト公……うむ、そうだな」
老人の姿で現れた、サンドリアでは伝説的王であるランペールも、数百年以上昔の人物であるバルラーン、オーグストに比べればまだまだ若造だ。
古の王たちの威厳を受け、ランペールは未だ自分が途上にあることを知った。
- ランペール
- 「よし……このまま没しては歴史に名を残せぬ。
死ぬまでにもう二、三は伝説を作っておくとするか!」
ヴリトラはなにか嫌な予感を感じ、身震いした。