「あのリンクス」が着々と戦果を上げ
少しづつ周囲から注目されていた頃
世界中の興味は一つの地域へと向けられていました
ワンダフルヘヴン
中東の地底の奥深くより見つかった、未踏のフロンティア
技術体系、出自すら不明、一切が未知と危険に包まれた
得体のしれない遺跡
そうと知りながらも、企業はその利益を得るために
水面下で激しい争いを繰り広げていました
この時点で、うすうす気付いていた方もいたようです
天国、楽園の名を持っていた其処が
無機質な悪意を内包した
パンドラの箱だということに
―比那名居 天子の回想―
世界移動シナリオ-ARMORED CORE Paradise of Stain編のイベント
Intermezzo:Chapter2
「えーっと、伊吹と小野…じゃなくてオブライフが、俺がリンクスだって?」
「はい。話を聞いて来いと」
「久々に顔を見せたと思ったら、あ、あいつらなあ……」
「…教えてください、エース」
「……」
「……」
「ふぅ
……君がどうしてそこまで必死なのかはわからないが……
安易な興味や不純な動機やじゃないのは、確かだな。
その眼を見れば何となく察しはつくよ」
「……昔の事を弄り回すようで、ごめんなさい」
「いや、弄られるのには慣れているさ。最近はめっきり減ったけど」
「本質的には、レイヴンもリンクスも変わりないんだ。
報酬を糧に、雇い主に対し、走狗のように任務に就く。
でも、両者には決定的な違いがある。
此処で質問だ。
天子ちゃんは、リンクスって聞くとまず何を思い浮かぶ?」
「えっと…ネクストを動かす人……でしょうか」
「ははは、普通ならそうだね。じゃあ、ネクストがどういった代物か考えたことはあるかい?」
「確か、スクールの授業だと……AMSによってリンクスと機会を接続、思考をダイレクトに反映した動きによって、
実戦経験を持たない人間でも縦横無尽に動かし事が出来る。
そしてコジマ粒子を用いた技術を搭載し、ノーマルACを大幅に凌駕する戦闘能力を持つ……
! コジマ粒子……」
「そう、汚染源の大元と言っていい。
…当然、ネクストを駆るリンクスは、それに最も晒される存在だ。
ネクストに乗ることは即ち、搭乗者の寿命を、縮めてしまうことにも繋がってしまうんだよ。
俺が知るリンクスにも、汚染の影響で子供を残して逝ってしまった人達がいる」
「そんな……
じ、じゃあ、エースも……?」
「個人差があるから、たまに恐ろしいくらい長生きな人もいるけどね
うん、俺は途中から逃げた臆病者だけど、やっぱりそんなに長くないと思うよ」
「と、途中から、ですか? それに臆病者って…」
「そう、俺は臆病者だよ、10年経っても、リンクスとしてまだ戦い続けている人もいるんだ。
ある人は大切な人と場所を護るために、自分の身を構わず、今でも戦い続けている。
俺がレイヴンになったのも、その人の影響があっての事なんだけどね……
どうも、一生かけても追いつけそうにない」
「……」
「すまない、愚痴みたいになってしまったな。
でも、最後に覚えておいてほしい。
リンクスは、テレビや漫画の中のような、決して煌びやかな存在ではない
あくまで、この世界で死に近しい者達の一部だということを」