Intermezzo:Chapter3

Last-modified: 2012-11-30 (金) 23:48:36
 
 

 

ラインアークの守護神ホワイト・グリントの戦線離脱
そして、カラードランク1のオーメル離反と独立化
半ば言いがかりに近い形で起きたラインアークの一戦を境に、世界の状況は大きな変化を見せます

 

中でもオーメルのプロトタイプネクスト投入という暴挙には
他の企業からも少なくない批判と疑問を噴出させることとなりました

 

その増長に最も反感を得ていたのは、盟友であるアルゼブラ社です
ラインアーク防衛線以前よりオーメルが行った
「ワンダフルヘヴンの開拓」を建前にしたアルゼブラの勢力圏である中東への介入

 

傲慢ともいえる行いが決定的となり、同社に異変が垣間見えるようになりました
最早、傍観者に過ぎない私ですら察せる程に

 

災禍の足跡は、既に聞える距離まで近づいていたのです

 
 

―比那名居 天子の回想―

 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

世界移動シナリオ-ARMORED CORE Paradise of Stain編のイベント

Intermezzo:Chapter3

「ふーん。エースの推薦で私のところまで来た、と。
 ……あ、楽に座って。今、コーヒー入れるからね」

 

「あ。ありがとうございます」

 

「いいの、いいの。で、私に聞きたい事って?」

 

「……ネクストについて、聞きたいんです。鈴仙・優曇華院・イナバさん」

 

「鈴仙でいいわ。リンクスについてときたら、まあ、次はそれよね」

 
 
 

「ネクストがどういったものか、についてだけど……
 簡単に言えば、「コジマ粒子を扱う人型機動兵器」
 この一点に尽きるかな。その時点でおっかない代物よね」

 

「……はい」

 

「平均的なネクストでも最高時速で1000kmを突破する。
 そんな化け物染みた速さでコジマ粒子をばら撒くのだから一種の汚染兵器ともいえる」

 

「それが本格的に懸念されるようになったのが……リンクス戦争、ですか?」

 

「そう。それまでは「温暖化よりも遥かにマシ」だなんて言われてたんだから苦笑するしかないわ。

 

 ……でもね、恐ろしい事はその性能よ」

 

「性能ですか?」

 

「コジマ粒子とその技術の搭載。
 尋常ではない加速度で進行方向を変えるクイックブースト。
 亜音速の壁を越えるオーバードブースト。
 通常兵器を無効化するプライマルアーマー。
 既存の兵器と一線を画すそれらは、当時の世界のパワーバランスを大きく変えたわ。

 

 反面、その高すぎる性能がパイロットであるリンクスを殺すことだってある」

 

「性能が、パイロットを殺す……?」

 

「少し調べてみればわかると思うけど、アスピナ機関が開発しているテスト機体がそれね。
 ネクストの利点である速度を徹底的に突き詰めた仕様だけど、
 あの機体のスピードはネクストが持ちうる耐G性能を明らかに超越している。
 テスト機体とはいえ、あれは人に乗せていいようなものではないのは確かよ」

 

「……」

 

「そして、プロトタイプネクスト」

 

「プロトタイプネクスト……ですか?
 確か、ラインアークで投入された、って……」

 

「ええ、従来のネクストを超える推力と火力を備えた原初のアーマード・コア ネクスト。
 そしてネクストの比ではないコジマ汚染と搭乗者へ極めて深刻な負荷を与える代物よ。
 ……「乗ったら死ぬ」くらいにはね」

 

「じゃあ、あのラインアークでのあれは…… ほとんど特攻兵器と同じじゃないですか……!」

 

「中にリンクスがいたなら、ね。
 ネクストの性能をつらつら挙げてみたけど、
 結局、一番恐ろしいのはそういった兵器を扱わせる人類なのかもしれない」

 

「…人類が……」

 

「最後に、あなたに教えておくわ。
 ネクストに使われているAllegory Manipulate Systemは、
 元々、あれは身体的な障害を抱える人の社会復帰を目的としたものだったそうよ。
 開発の第一人者であるイェルネフェルト教授が、重傷を負った自分の義娘を再起させるためにね。

 

 第一のテストケースだった彼女は復帰に成功したわ。
 でも、それは彼女が高いAMS適性を有していたからにすぎない。
 結局、AMSは個人の素養を大きく必要とする失敗作だったわ。
 けど……どうしようもない皮肉。
 社会貢献の技術が戦争の道具になるなんてね……」