Intermezzo:Chapter4

Last-modified: 2012-12-01 (土) 04:51:32
 
 

 

オーメルのワンダフルヘヴン開発を阻害していたイレギュラーネクスト

 

その報復攻撃が「あのリンクス」によって防がれたことをきっかけに
アルゼブラがイレギュラーネクストを擁していたことが発覚し
オーメルとアルゼブラとで深刻な対立が浮き彫りとなりました

 

ですが、アルゼブラも一枚岩ではなく、立ち場を巡り内部分裂を起こします
中東の利権を得るため、内部分裂したアルゼブラを中心に、他の企業が集い
やがて、企業派と同盟派の二つの勢力の衝突という形で
戦いは火蓋を切りました

 

リンクス戦争が齎した災厄 
その再来であるこの戦争の勝敗が如何なものだろうと
取り返しのつかない事態になることは想像に難くはありません

 

しかし、企業は、人類は、結局それを顧みることはありませんでした
世界は再び、理念なき動乱へと突き進んでいきます

 

そして、地の底に封じられた存在もまた、戦禍の予感に誘われるように
産声を上げ始めようとしていました

 

―比那名居 天子の回想―

 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

世界移動シナリオ-ARMORED CORE Paradise of Stain編のイベント

Intermezzo:Chapter4

「『リンクス戦争について聞きたい』?」

 

「…はい」

 

「随分とタイムリーな話題ね。
 それは客観的な視点から、かしら? それとも私個人の感想?」

 

「…………両方を、です。パチュリー・ノーレッジさん」

 

「私の話で構わないなら。
 今の時間、レミィや妹様は寝ているし、咲夜も後の事で忙しい。
 流石に核心には関わっていないけど、それでいい?」

 

「お、お願いします」

 
 
 

「端的に言えば、リンクス戦争はアクアビット、レイレナード、BFF、インテリオルを
 中心とした陣営の敗北に終わったわ。深刻な汚染を代償にね。
 そして、その戦いの中には、常に「あるリンクス」の姿があった」

 

「リンクス……破壊天使かレオーネ・メカニカの鬼巫女でしょうか?
当時から存命する中では最も実力あるリンクスの一人と聞きましたが……」

 

「いいえ、妹様でもあのズドン巫女でもないわ。二人、いるのは間違いないけど。
 一人はコロニー・アスピナのジョシュア・オブライエン。
 もう一人のリンクスはね、「アナトリアの傭兵」或いは「レイヴン」と呼ばれていた。

 

 ……リンクス戦争の惨さを、体現したような人だったわ」

 

「リンクス戦争の惨さを……」

 

「AMS適性が低ければ低いほど、ネクストの操縦は困難になる。でもそれだけじゃないわ。
 リンクスにかかる負荷も、相当重いものになるの。
 AMS適性に優性であるレミィや妹様ですら、今でも時々吐くことがある。
 そして彼の適性は、粗製どころか、劣悪だった」

 

「……」

 

「政治的価値しかない存在、そう揶揄されていた。私を含め、誰もがそう思っていた。
 たった一人の粗製が、各企業が抱えるリンクス達を多く屠り去るなんて、わかる訳もなかった」

 

「たった一人で……!?」

 

「本人の技量の高さと、負荷の苦しみを精神力で全てねじ伏せた結果と聞いたわ。
 友人と一緒に企業を抜けた時、彼に遭ったことがある。
 ……遭うまでは鬼神のような人間だと思ったけど、そうではなかった。
 でも、見ていて胸が締め付けられるようだった。
 AMSの負荷によって、日常的な行為すら満足に行えなくなっていたのだから」

 

「……!」

 

「それでも彼は戦い続けた。彼自身が戦う理由のためにね。
 その延長線上とはいえ、私自身、彼には何度も世話になった。
 ……彼がいなかったら今の私達はなかったでしょうね。

 

 でも、それ程戦い続けても、
 結局、彼が守っていたものは消えてなくなってしまったわ。……コロニー・アナトリアは」

 

「何が、あったんですか……?」

 

「……ジョシュア・オブライエンの襲来。
 プロトタイプネクストに搭乗し、アナトリアの傭兵と殺し合った。
 二人は戦友だったそうよ。それまでの両者の間に何があったのかは分からない。
 でも、ジョシュアは死に、アナトリアの傭兵は生き残った。守り続けた場所を失って」

 

「どうして……?」

 

「企業の取引と聞いたわ。
 ……彼らは、リンクス戦争の惨さを、一身に受けた被害者。
 私からはそれとしかいえない。

 

 ……でも、それだけでは終わらなかったわ」

 

「え?」

 

「彼らは、ただ、生きる為に必要な行いと場所と、最低限の平穏を望んでいただけ。
 でも、周りからはそうとは受け取られなかった。

 

 都合のいい恐怖は、世界の常。
 危険視した戦力(イレギュラー)を始末したとほくそえんだ企業は……
 逆鱗に触れてしまったのよ。アナトリアの傭兵の、ね。
 思えば策を弄し、愚を犯すのは、常に企業だった。今回の事のように」

 

「……DRAK」

 

「……私達の功罪よ」