キャラ攻略/宇佐見菫子

Last-modified: 2015-07-20 (月) 10:24:45

 
 


ルート概要

宇佐見菫子の攻略ルート。
夢の世界を流離う異界よりのストレンジャー、菫子。
怪異も幻想も無い世界で生きる菫子がネ実市で出した答えとは?
学園モノには珍しく“セカイ系”に属するストーリー展開。

出現条件

  • 夢の世界に二回訪れる。
    • 二回目に訪れたダンジョンで「少女の悲鳴」が聞こえるイベントが発生する為、その階層の何処かにいる菫子を助ければ出現条件はクリア。
    • 最初の一度を無視しても以降、三回まではチャンスが有る。
      4度目に菫子の悲鳴を無視すると次の夢の世界で……「どうやら、悲鳴が聞こえなくなったようだ」とモノローグが表示され、菫子とはその周回では出会えなくなる。
      • 菫子の悲鳴が聞こえなくなった翌日に紫と会話すると、菫子を夢世界で救助し『対処』を施した事を匂わせる台詞を吐く。

フレンドリスト登録条件

  • 相互好感度70以上。以降は菫子が物質世界に出現可能となり、電話(厳密には電話を通じたテレパスで)呼び出せるようになる。
    • 夢の世界では菫子にプレゼントを渡せない(持ち帰れない為受け取らない)為、戦闘や会話でのやりとりでしか上げれない。考慮すべし。

ルート攻略

  • 主要イベントの多数が夢世界で発生するため、PCが自由に夢世界に入れない場合他の攻略キャラとの好感度調整で苦労する事になるので、可能な限り事前周回で夢世界への突入手段を入手しておくべき。
    • 初回プレイの場合は素直に他の女との関係を絶とう。
  • 相性の良いキャラクターはブロントさん、内藤、獣様。逆に相性の悪いキャラは汚い忍者、墨樽、リューサン、痛風。
    これは菫子が焦がれる『幻想性、空想性』を持つ奇人変人か、菫子が厭う『現実性』を持つリアリストかで分かれている。
    特に、菫子からすれば空想の権化であるタルタルでありながら、筋金入りのリアリストである墨樽との相性は最悪で、好感度ダウンの選択肢会話数が一番多い。
    • 餡刻は菫子側の好感度上昇率は高いが、餡刻からの上昇率が極めて低いという例外ケース。普通の日常を狂おしく求める餡刻からすれば菫子の行動理念は理解出来ず、菫子は厨二の化身が如き餡刻が大好きと言う相容れ難い関係。
  • 菫子には隠し好感度として『現実度』と『幻想度』が存在。
    • 『現実度』は菫子が持つ、菫子本来世界への思いであり、未練。
      『幻想度』はファンタジアな世界である学園モノ世界への思いであり、憧憬。
    • 『現実度』は「現実を思い込させる会話選択肢」で上昇、例としては(菫子の世界において)普通のテストや真っ当な家業の話題。『幻想度』は魔法やファンタジーの話題、或いは菫子の世界ではありえないような突飛な返答で上昇。
  • 最終的には、クライマックスで2つの世界の境界に立った菫子の『学園モノ世界への縁を断ち切り現実におけるたった一人の超人として帰還』TRUEルート『元の世界との縁を断ち切り学園モノ世界での普通の人間として生きる』のGoodのルート分岐に現実度と空想度が影響してくる。
    • 相性が良いキャラはGoodルート、悪いキャラはTRUEルートが選ばれやすい。
  • 秘封倶楽部ルートに突入した場合は、上記の話とは全く異なるストーリーが展開される。

序盤

  • 夢世界での菫子との出会い。
    幻想が空想でしか無い世界を生きる少女は、夢の世界で何を見るのか。

『探しものは何ですか』

  • 夢世界に再び訪れたPCは、甲高い少女の悲鳴を耳にした。
    幻聴かとも一瞬思ったPCではあったが、あの本には夢界に入れる者同士が邂逅する可能性に付いても記されていた。そして、夢世界での死は心の死であるとも。
    見ず知らずの相手ではあるが、誰かが死ぬのを黙って見ているのは後味が悪い。
    PCは夢幻の迷宮を走り、悲鳴の元へと向かい始めた。
  • 「きゃあっ、このっ、この!」
    悲鳴の元へ駆けつけたPCが見たものは、眼鏡を掛けたマント女子が見たこともない魔物――恐らくはナイトメアに襲われている姿。
    眼鏡マント女子は何やら魔法の様な力で抵抗しているようだが、多勢に無勢。
    義を見てせざるは勇なきなり。PCは得物を抜き払って助太刀に向かった
     
    「助けてくれてありがと……本当に危なかった……」
    PCと共にナイトメアの群れをぶちのめした眼鏡マント女子は、緊張からかへたり込んでしまった。
    「偶に危ない夢も出るんだけど、あんなに出たのは初めてで……本当にありがとう」
    重ねて謝礼を述べる眼鏡マント女子はどうにかと言った様子で立ち上がると、興奮気味に自己紹介を始めた。
    「私、宇佐見菫子って言うんだけど。貴方は? 誰かの夢? それとも……私と同じエスパー?」
    PCはどちらでもないと答えた、自分は現実に肉体を持った存在であるし、夢に入ったのも異能ではなく知識故だと。
    「そう……普通の人間なんだ……ってんなわけ無いでしょ! 普通の人間がなんであんなモンスターと戦えるのよ!」
    一瞬気落ちした様子の菫子であったが、何故か突然怒りだした。
    その怒りがPCには理解できず、モンスター退治なんて幼稚園児でも出来る事じゃないかと反論する。
    PCの返答を聞いた菫子は暫く唸ると、オドオドしながら質問をしてきた。
    「ねえ、ねえ……あなた、人間?」
    PCはそうだ、と答えた。
    「人種は?」
    見れば分かる事をと思いながらも、PCは自分の人種を正直に答える。
    「うそ……まじ……じゃ、じゃあ……」
    続けざまに幾つも質問をしてくる菫子、返答の度に菫子は興奮の度合いを高めていった。
    「異世界人!」
    そして爆発した。
    「普遍的無意識に繋がってるのは人間だけでそれも地球人だけだと思ってたけど、まさかまさか異世界ともつながってるなんて何て新発見」
    何やらブツブツ唱え始めた菫子に怯え出したPCは、その場を去ろうとするがPKで動きを止められた。
    「待ちなさい! いい、あのね……」
    菫子は説明を始めた。自分はPCの世界とは別の世界の人間であり、恐らくは唯一のエスパーであると。
    そして、可能であればこれから夢の世界を一緒に冒険したいと。
    機関砲の様な勢いでまくし立てる菫子に困惑するPCであるが、『夜明け』を感じ取った。
    消え行く体、菫子も同様に。
    「また会いましょうね! また! 夢の中で 夢の中で!」
    薄れ行く意識の中で菫子の叫びを聞きながら、PCは目覚めた。
     
    以降、夢の中に入るとダンジョンの入口に菫子が出現。
    話しかける事でPTに入れることが可能となる。
    ここから菫子がPCの世界に現れることが出来るようになるまでが序盤。

中盤

夢の中の絆を辿り、PCの現に現れた菫子。
肉体を持ってネ実市を歩む菫子の語る懊悩に、PCは耳を傾ける。

『見つけにくいものですか』

  • 「じゃあ、またね!」
    いつもの様に夢の中で菫子と別れたPC。
    いつもの様に温みの中で取れない疲れと共に意識が目覚める、ふと、覚えのない温みがあった。
    スピリットでは無い、明らかにヒュームの重さ。
    疑問と共に瞼を開いたPCの体の上には、顔見知りが困った顔で笑みを浮かべていた。
    「ま、またねって言って、早かったね……アハハハ」
    紛れも無く宇佐見菫子である。しかも、薄着のパジャマの。
    何というオンリーワンのレアアイテム。
    そして、同居人達が部屋に向かう気配を感じ取ったPCは凄まじい絶望に囚われた。
    • PCによってこのシーンでの騒動は全て違うが、最終的には同居人達は納得する。
      尚、最悪の修羅場が見れるのは博麗神社に同居している状態のブロントさん。霊夢と菫子のキャットファイトCGも取得できる。
  • 一先ず落ち着いたPCの家、しかし問題は残っており、その問題はTVのチャンネルを変えながら異世界の情報に心躍らせている。
    「異世界っていうからびっくりどっきりだけど、テレビは変わらないのね。芸能人のゴシップとか政治とか……と言うか日本語なのね……」
    菫子の脳天気な様子に頭を抱えるPC、お前それでいいのかと。
    「いや、夢でこっちに来たんだったら夢で戻れるでしょ? たぶん」
    多分ってお前、お前も学校とかあるだろうと問うPC。すると明るげな菫子の顔に翳りが差す。
    「別にいいのよ、単位は取れてるし。どうせ部活にも入ってないし……パパやママは私の能力を知ってるから、いきなり消えても一日二日じゃ心配しないわ」
    複雑な菫子の事情が見えてきたPCではあるが、PCからすればそれどころではない。
    一先ず、この様なややこしい事態に強い警察に連絡しようとしたPC。
    すると、室内に裂け目が――隙間が生まれた。
    「驚きましたわ。まさか境界を超えてかの世界から人が訪れるとは」
    隙間から這い出してきたのは、陰陽鉄学園学園長である八雲紫。
    普段は厭らしい笑みが浮かんでいるその顔も、今は微かな驚愕を浮かべていた。
    何入り込んでるんだ警察呼ぶぞ、不法侵入に怒りを露わにするPCをぴしゃりと黙らせた紫は説明を始める。
    曰く、自身も夢世界と現実世界の行き来を楽しむ者であると。
    曰く、菫子の言うとおり再び眠れば、夢世界を通じて元の世界に帰る事は可能であると。
    曰く、“然るべき筋”には話を通しておくので、夢を通じた世界転移が問題に成ることはないと。
    「ですが、控えた方が良いでしょうね。覗き込む物は覗き込まれる、相互干渉は必ず何かしらの影響を及ぼしますから。それだけ言いに来ましたので……あ、そうそう今日の欠席はノーカンにしておきますから、その子に服でも買ってあげなさい。一日中その格好という訳にもいかないでしょう」
    言うが早いが、紫は懐から取り出したギルの小袋を置いて隙間から帰って行った。
    あまりの展開に呆然とするPC、だが菫子の瞳は対照的に輝いていた。
     
  • 以後、菫子は夢の世界以外ではなく学園世界でも出現することが可能となり、フレリス交換がこの時点で行われる。訓練なども行える様になるのでスキルはここから鍛えよう。
    因みに紫から貰えるギルの量は500ギル。菫子はパジャマ以外に装備をしていないすかんぴん状態なので、パジャマスキーでなければ実費を切ろう。
    次の段階への以降は『5回以上の呼び出し』『10回以上の夢世界での冒険』『相互好感度80以上』『物質世界でのデート3回』が必要。それらを熟したら次のイベントが起こる。

『鞄の中も、机の中も』

ふとある日の平日、朝起きて学校に行こうとする主人公。
その前に、何故か菫子が立っていた。
「やっほ」
気軽な挨拶であるが、表情は暗い。何かあったのか?と問うPC。
「ちょっとね……ねえ、これから学校だと思うけど、サボって一緒に冒険しない?」

 

ここがルート突入分岐。
サボって菫子に同行すればルート確定、断って学園に行けばルート突入不可に。

 

ただごとでは無い菫子の顔色を見たPCはわかったと即断、菫子と一緒に過ごす事にした。

  • する事はデートでも冒険でも構わない。
     
    「あーっ楽しかった!」
    日が暮れ、一日も終わろうとする頃、PCと共に過ごした菫子は楽しそうだ。
    今なら答えるかもしれない、PCはあちらの世界で何があったのかを聞いた。
    「ちょっとね、くだらない事よ。イジメとか、家庭内戦争とか、そう言うの」
    家庭でのイザコザはともかく、イジメなら超能力でどうにでもなるのではないかと問うPCに、菫子は悲しげに笑った。
    「こっちの世界ならともかく、私の世界でそんな事したら化け物扱いよ。この世界でも化け物扱いはあるみたいだけどね……私の世界では私がオンリーワン。どう転ぶかはわからないけど、まず人間としては生きれなくなる。窮屈なのよ、私の世界」
    掛けるべき言葉が一瞬見つからないPC。
    持つべき力を振るう事以前に、力を持つことすら許されない世界など、PCの常識では考えられない悪夢の世界だ。
    「でも別にいいのよ、私にはこっちの世界もあるし。辛かった時やもやもやとした時は、こっちで発散するんだから!」
    明るく言った菫子の表情は、何処か悲しげであった。
    横からその顔を眺めていたPCは、辛い時は今後も付き合うよと約束をした。
     
  • 以後、菫子を平日に呼び出すことが可能になる。
    • 朝昼や年末年始の一切を問わない、呼ばれれば菫子は必ず来る。来てしまう。
       
      ここまでが中盤の展開となる。

終盤

八雲紫の警告を無視して世界を超え続けた菫子、果てに綻びは訪れた。
幻想の無い世界の悪夢に侵されるネ実市。誰も知らない都市伝説が具現化する異変の発生。
異変を終わらせるただ一つの手段は、向こうの世界との縁を断ち切ること。
避け得ぬ別れの選択を迫られた菫子とPCは、決断を下す。

『探したけれど、見つからないのに』

 

中盤後、菫子を3回以上呼び出すと発生。

 

今日も今日とて菫子と共に日々を送るPC。
呼べば連日とでも訪れる菫子はいつも楽しそうにしている。
PCは内心、このままで良いのかと悩んでいるのだが、どうしていいかも解らない。
そう思いながらネ実市メインストリートを歩んでいた二人は、悲鳴が上がるのを聞いた。
「行きましょう! 誰かが危ないなら助けないと!」
凛々と輝く目の菫子、明らかに人助けよりもその先にある非現実な危機に心が踊っている。
思うところのあるPCではあったが、誰かの苦難を見捨てては置けないし菫子を放置するわけにも行かない。
その先に待ち構えていたものは、未知のモンスター。否、妖怪であった。
3m近い白ずくめの大女が「ポポポポポポ」と唸り声を上げながら、男の子を襲っている。
子供が危ない。駆け出すPCであったが、菫子は戸惑いを浮かべていた。
「八尺様……? なんでこっちの世界に?」
何をしている! PCの叫び声に我に返った菫子は、謎の大女へと挑みかかった。

 

八尺様との戦闘。
見た目通り?のフィジカルお化けで一発がとても重い上、対魔法耐性が高い。
物理系のスペカかアビリティで一気に沈めよう。

 

菫子と共に八尺様を倒したPCは、襲われた子供を介抱しながら携帯で天狗ポリスを呼んだ。
とっととこの変質者を逮捕してもらわないとなと呟くPCと、苦いものを浮かべている菫子。
すると、二人の前で八尺様は黒い“靄”になって消え失せていった。
駆けつけてきた天狗ポリス、状況は明らかにPCと菫子が不審者。
一先ず、近場の署に連行されてしまうPCと菫子であった。

 

数時間後、二人は釈放される。
子供の証言があった事と、引取人が現れた為だという。
PCと菫子の前に現れたのは――八雲紫。
普段、怪しく余裕に溢れている理事長の顔には、紛れも無い怒りが浮かんでいた。
「何れこうなる事はわかっていました。宇佐見菫子さん、あなたのモトリアラムに対する猶予として見逃してはいましたが……こうなった以上は手を打たねばなりません。私と来なさい」
あれよあれよと隙間に拉致されるPCと菫子、着いた先は紫の王国である学園長室。
異次元的少女趣味な椅子に腰掛けた紫は、静かに語り始めた。
「今、何が起きているか分かりますか? 夢の実体化ですよ。貴方にはスピリットの現実化と同質の現象といえば理解しやすいですか? もっとも、アレはナイトメア寄りではありますがね」
ナイトメアが実体化したのか? PCは真っ先に浮かんだ疑問を問う。
「性質としては似ていますが、根本が違います。ドリームイーターは夢世界の支配者が作り上げた『法則』。先ほどあなた達が戦ったのはドリームイーターでは無く、夢世界から這い出してきた正真の悪夢です。但し、異世界の」
紫は菫子に厳しい視線を投げかけた。
「貴女は、アレがなんであるか知っている筈ですね?」
「八尺様……ネットで話題になったオカルト。で、でも私の世界には妖怪なんていない筈だし、こっちの世界では八尺様の都市伝説なんてないし」
「つまり貴女の世界にはあるのですよ。そして、この世界に実体化したのです、貴女を通じて。エルム街の悪夢が夢を通じて現に現れる様に、ね。もっとも、鉤爪頼りの変態殺人鬼と妖怪では危険性がまるで違いますが」
八雲紫は語りだした。
夢と現は完全に隔たれている訳では無いのだと。
夢の世界で手に入れたアイテムが持ち帰れるのはそう言う事なのだと。
そして、スピリットが現実に現れる様に、『夢』が現実に現れるケースもあるのだと。
「そして、夢の出口は夢見人しかありえません。分かりますか、あのオカルトは貴女の夢から現れたのですよ」
PCは反論をぶつける。菫子の夢を通じて現れたのならば、スピリットが自分の所に現れたのと同様、自分の前に現れなければ可笑しいと。
「貴方が思っているより状況のスケールは大きいのですよ。いいですか、彼女はただ夢見の才能があったのではなく、境界を超える力を持っていたのです。そして、彼女は夢の世界の壁を超えてしまった。菫子さん、思い当たる節はありませんか?」
「確かに、彼とあった時の夢は何時もと違っていたわ。出てくるお化けの強さも……」
「そう、即ち貴女は幻想に焦がれるあまり、無意識の内に夢世界に穴を開け、あちらとこちらを繋いでしまったのです。ただ夢世界で会うだけならばまだ問題は起こらなかったでしょうが、貴女は物質世界に幾度も現れた……夢と現、貴女の世界と私達の世界、世界の境界が緩み始めているのですよ」
このままでは、途方も無い事になると紫は断言する。
「次元の修復は私と“然るべき筋”で行います。しかし、その前にしなければならない事が幾つかあります――まず、貴女について」
菫子をジロリと見る紫、その金の瞳は何処までも冷淡であった。
「ハッキリいいますが、貴女を殺すと幾つかの問題が即座に解決します。どうしますか?」
「わ、私は……」
「質問を変えましょう。生きたいですか?」
菫子は大きく目を見開いた、心の臓を射抜かれたように。
何言ってんだババアと怒るPCを抑える菫子。
「私は、死んでいいよ。どうせあっちの世界は辛いし、ならこの世界が救えるなら別にいい」
菫子は笑っていた、悽愴な虚無の宿った、疲れた笑みであった。
「どうせ私は向こうの世界での価値なんて無い、家族にさえ能力を使わないように気を使わないといけないし、使えない超能力なんて持ち腐れ。けど、こっちの世界で私は輝けたの。貴方と出会えてこれまで楽しかったわ、本当に楽しかった、本当の人生を生きてきた気がするわ」
菫子の瞳には涙が浮かんでいた。
悲しいから泣いているのか、楽しいから嗤うのか。
菫子は、PCの瞳を真っ直ぐ見た。
「……世界を救うための女子高生の死に様はさぞかし記憶に残るでしょう。ああなんて美しい死。なんて価値のある死。私は世界の為、有意義に死んだってみんなに伝えてね?」

 

此処で選択肢。
「菫子を見送る」が菫子が愛を告白しながら自殺するNormal分岐。
「菫子を止める」がGOOD、TRUE、BAD類への分岐となる
ここからは、GOOD以降の分岐を記す。

 

PCは吠えた。そんな事は無いと、自殺に価値は無いと。
何より自分は菫子に生きていて欲しいと。

 

この時、PCの精神が高ければ『抱きしめる』と『キスをする』の追加選択肢が出現。
通常は抱きしめる行為なのだが、キスした際の菫子と紫の反応は必見。

 

PCに抱きしめられた菫子はポロポロと涙をこぼし始め、やがてわぁわぁと泣き始めた。
命を永らえた喜びではない、誰かに望まれたが故の涙であった。
「お熱いことですわね」
其処に水を差す紫。
PCは菫子を殺そうとするならば、全力で相手取る決意を固める。
「そう怖い顔をしない。死ねば解決が早まるのは本当ですが、死を必須条件と言った覚えはありませんよ」
そう言う紫の顔には優しい笑みが浮かんでいた。
「何より、私は教育者です。子供を生贄にする最善などクソ食らえですわ、安心なさい“然るべき筋”は黙らせます。ですが……その代わり、幕はあなた達が引かなければなりません」
紫は言う、世界の結合を阻止するには菫子の世界から顕現したオカルト、都市伝説達を斃さねばならないと。
「私は市長の承認の元、ネ実市に結界を敷きました。顕現したオカルト共はこの街から出ることは出来ませんし、新たに現れる事も無いでしょう。ですが、それはこの街があちらの世界に悪夢に侵食されるリスクと引き換えです……今後、ドリームイーターを初めとした夢の化生は境界を超えて来るでしょう。放置し続ければ、世界は終わります。阻止する為には、半年以内に顕現したオカルトを狩り尽くしなさい」
紫は言う、顕現したオカルトは街の何処かに潜んでいると。
紫は言う、彼らは『あちらの世界』の存在である菫子以外では滅ぼす事が出来ないと。
紫は言う、都市に満ちる噂を集めれば、必ずオカルトにたどり着くと。
「貴女を殺してしまえばこの苦労はなくなります、あちらとの最も強い接点……夢世界との門は肉体を持つ菫子さんですからね。貴女を殺せばか弱い噂共など自然と消えます。それでも生きると言うのですから、その分の苦労を背負わねばなりません。楽な人生など、どこにも無いのですから」
菫子とPCは頷いた。
「そして、先に言っておきますが最後には……完全に接点を断たねばならなくなります。今後二度とこの様な事態が訪れぬように、あちらの世界とこちらの世界の接点を。夢も含めてね」
動揺する菫子を意にも介さず、紫は静かに言葉を紡ぐ。
「進路選択ということです。こちらに留まるのならばあちらを捨てねばなりません、あちらに帰るというのならば、こちらを諦めねばなりません」
どうか、後悔のない決着を。
紫はその言葉を最後に二人を隙間に叩き落とした。

 

ここからが最終盤。
期間以内にネ実市に出現した都市伝説の怪異を倒せばGOODかTRUEが確定する。
出現する怪異は『お菊さん』『ターボババア』『黒ずくめの男』『花子さん』『隙間女』『メリーさん』『怪人赤マント&青マント』『口裂け女』『小さな緑の小人』『ネッシー』。
全てに専用イベントが組まれており、基本は噂を聴く→調査する→倒すの流れでクリアする。
半ばまで倒すと菫子の告白と共に、『現実度』『幻想度』による最終ストーリー分岐が発生。
TRUEルートとGOODルートで発生するサブイベントが異なるので、コンプには双方クリアが必須。
そして、全てのオカルトを倒した後、夢世界に出現する最終オカルト『宇佐見菫子のドッペルゲンガー』を倒した時、エンディングに突入する。

 

オカルト撃破に失敗すると夢と現実が入り交じる世界崩壊ENDとなる。

GOODルート『まだまだ探す気ですか、それより僕と踊りませんか』

TRUEルート『探すのをやめた時、見つかることもよくある話で』   

関連イベント一覧

エンディング一覧

TRUEEND 『深く秘められた、始まりの記録――夢の外で』

最後のオカルト、宇佐見菫子のドッペルゲンガーを倒した二人。
それは、約束された別れの始まりであった。
「――さようなら。ずっと、愛してる」
微笑みながら別れを告げた菫子の体は粒子となっていき――少女は夢の世界から消えた。

 

「ううん……」
そして、菫子は瞳を開けた、彼女の世界で、自分自身の現の場所で。
あの世界は結局自分にとって何だったのだろうか。
力を振るえた楽しい夢? 
別れが待っていた悲しい夢? 
神が刹那のネバーランドを与えたのか?
菫子には解らなかった。
ただ、二度とあの心地良い人々には会えないという確信だけが残っていた。
それでも良いと思った。あの人たちは、あの楽しい街は一炊の夢。
優しくて温かい、けれども儚く美しい幻想の街。ネ実市。
自分の夢で壊してはいけないのだ。

 

菫子は、頬を伝った温みを拭い去ると、決意した。
変わろう。今の自分を変えよう。
夢の様な自分にはなれなくても、夢で生きた自分に近づく事は出来る。
だが、切欠がない――どうしよう。
今まで人を遠ざけてきた菫子は、素の自分で友達の作り方など解らない。
今の環境への対処法も解らない。
しかしやらねばならない、何の為にこちらを選んだのか。
菫子は頭を抱えてひたすらに悩み悩み悩んだ。

 

その時である、菫子はある事に気がついた。
この世界にも不思議はあるはずだ、向こうの世界ほど表立っていないにしろ、どこかにはきっとある。
なにせ此処に自分がいるのだ、他にいてもおかしくは無いだろう。
「見てなさいよ……きっと探しだして、その先の秘密を暴いてやるわ」
新たなる決意と共に、菫子は口元をニィと釣り上げた。
それは、夢の向こうで数多くの人々が浮かべていた、未知に挑まんとする冒険者の笑みであった。

 

GoodEND『夢の中へ、夢の中へ』

時は流れ――4月。
始まりの季節、陰陽鉄学園も新たなる生徒を出迎える。
その中に、新たな制服に身を包んだ宇佐見菫子が居た。

 

「ううん!」
菫子は清々しい気分であった。
かつて上手く行かなかった学園生活への恐れが無い訳では無い、しかしこちらの世界での自分は一般人、超能力もよくある個性の一つに過ぎない。
排他される恐怖も、超越者故との孤独とも無縁な世界、文字通り対等な関係を築くことが出来るだろう。

 

「(それもこれも、“あの人”のお陰)」
夢の世界を孤独に彷徨う菫子を救い上げた一人の男。
菫子からすれば空想の権化たる白馬の王子様。
もっとも、何もかも完璧という訳では無く、付き合っている内に菫子も“彼”の碌でも無い面をまざまざと見せつけられてはいるのだが、今となってはそれも含めて愛おしい。
彼には彼の仕事があるのでこの場には付き添っていないが、帰る場所は彼の場所。
夢の様な世界の中、菫子が真に孤独足ることは二度と無い。
それを思うと菫子の胸は高鳴るのだ。

 

その時、ふと菫子の目を過る物があった。
自身と同じように真新しい制服に身を包んだ、家族に連れられた新入生の姿。
「………」
元の世界に置いてきた家族。もう二度と出会う事のないかつて。
菫子とて一切の未練や悔いが無いといえば嘘になる、だが菫子は選択を成した。
もう二度とやり直せない運命の選択を。
「けど、また作る事は出来るわね」
喪った物は戻らない、過去を望んではならない。しかし未来を作る事は出来る。
「……ま、早くても三年後かな」
自分と彼とで作る、自分の未来の象徴に思いを馳せながら、菫子は新たなる始まりの門を潜った。

 

NORMALEND『夢、違え』

BADEND 『少女夢獄』

コメント

  • 実にいい出来だと思わず関心が鬼なるがあもりにも誤字がおおすぐる推敲はちゃんとするべきそうするべき -- 2015-06-20 (土) 21:57:32
  • 添削推敲を怠る恥知らずな書き手が居た! 地道に修正するので堪忍するべきそうすべき -- 2015-06-20 (土) 22:50:28