シナリオ/一発だけなら誤射かもしれない

Last-modified: 2016-09-09 (金) 09:47:21

イベント名

一発だけなら誤射かもしれない

概要

シナリオ傾向:シリアス[無し] コミカル[有] ほのぼの[有] 恋愛[無し] 欝、人死に[無し] 百合、大統領ネタ[無し]

登場人物関係:登場人物の制限[] キーキャラクター[豊聡耳神子] 敵対キャラクター[]

攻略関係:イベント発生時期[] 総所要日数[] 他シナリオとの平行[] 戦闘難易度[] 攻略中ヒロインの関与[]


発生条件

  • 豊聡耳神子の√に入り、彼女の好感度が50以上。
  • 神子と鈴仙が知りあっている。
  • 蘇我屠自古から神子の前世の話を聞いたことがある。
  • 主人公が「ロマン」のスキル持ち。
  • 以上の条件を満たし、学校の図書館で特定の書物を読むと発生する。

攻略

一冊の本から硝煙の香り

―銃七乗の拳法―

 

閉鎖された空間における近接戦闘において世界最強を誇る究極の拳法。敵の攻撃位置を数々の過去の戦闘統計から予測。それを回避しつつもっとも効果的な攻撃位置に立ち、両手に持った銃で一方的な攻撃を加える。これが基本であり真髄である。
"銃とこの拳法で戦闘能力が七倍に引き上がる"が名前の由来。近年のスーパーコンピューターによる解析では、習得による攻撃力は一気に120%増量(当社比)風邪気味や頭痛生理痛、悩み事を抱えていて調子が悪い時であっても、その半分の60%(前年度比)はいけることが判明している。
尚この拳法を世界で最初に確立したのは名前で気づく者も多いが聖徳太子(本来の書き方は"将禿対死"であり、「頭が禿げるほどの経験を積んだ武将であっても、彼と敵対すれば死ぬしかない。それだけの凄腕である。」という意味。)彼が一斉に襲い掛かって来た十人の刺客を瞬殺したエピソードはあまりにも有名である。
彼の恐ろしさはシルクロードを越えて伝わり、欧州はアイルランドのひなびた漁村にまで知られていた。そのあまりの恐怖ゆえに、かのアルフレッド・ノーベルが対抗処置としてダイナマイトを発明したのはこれまた有名である。
拳法修得者が戦闘時に着用する黒いダブル合わせのロングコートは、当時華やかだった仏教文化の影響で"僧衣"と呼ばれ、この武術を極めた上位十二名のみがインターネットオークションや通販で購入できた激レアグッズである。
余談だが聖徳太子が終身愛用した当時最新鋭の戦闘拳銃・"久礼離駆願"(クレリックガン)("久しい者にはちゃんと礼を言うべし。たとえ遠く離れていても駆けつけてその者の願いを叶えよ。"が意味。)漢詩の一節が今も京都の嵐山博物館に展示されているが、エンタシスが見られる木製銃身には絡み合う二匹の龍が成功に手彫りされ、グリップには鳳凰を刻んだ象牙、和紙製の薬莢には翡翠が埋め込んであるという非常に凝った作りとなっている。
法隆寺の玉虫厨子、中宮寺の天寿国繍帳と並ぶ飛鳥文化を代表する貴重な文化遺産である。

 

ミンメイ・パブリック・カンパニー刊 ~ガーン!撃つだ死のう~ より抜粋

 
 

ある日の図書館にて斯様な本を読んでいると、上の内容が主人公の目に飛び込んできた。
飛鳥時代の時点で既にネットオークションが確立されていたことに色々思うところがあるが、そんなことよりも、文章中のある一文がやけに気になった。

 

この拳法を世界で最初に確立したのは名前で気づく者も多いが聖徳太子

 

その言葉で最初に脳裏に浮かんだのは、ヘッドホン装備のみみみさんだった。
何を隠そう、彼女は聖徳太子の生まれ変わりである。
普段は荒事に縁のなさそうな彼女であるが、もしかすると某クリス○チャン・ベー○ル主演映画級のガンアクションを使い手ではなかろうか。

 

半分は冗談。残りは純粋に興味。その胸奥はまさしく冗談半分である。
真偽はどうあれ、雑談のネタ程度にはなるだろう。

 

思い立ったが吉日。駄目元でちょっと訊ねてみよう。
そんなことを考えつつ件の書籍を元の本棚に押し込んで、主人公は彼女の下に行くことにしたのであった。

太子様困惑

「十七条の憲法? 原文の内容ですね、古文のテストも近いですから。
 ……え、法?
 いえ、それ以前に銃なんて滅多に扱ったことがないのが実情で……」

 

困惑する神子。他人の欲でその人のあらゆる事柄を理解できる彼女であるが、どういう訳か主人公にだけはそれが当てはまらない。
それゆえか、こうして読みが外れてしまうことが稀によくあるのである。
だがしかし……

 

じゃあ二丁拳銃でペイバックショット(水平撃ち)したり、ハイウェイでバイク走行しながら正確に発砲したり、「逮捕じゃない、退治だ」と断言したり、鬼軍曹のどてっ腹にM14撃ちこんだり、クワガタ野郎の眼前で「この距離ならバリアは貼れないな!」とかしたことないの?

 

眼前でまくしたてる主人公の妄言は、例え平時だろうとも読められるようなものではない。

 

「……一体、君に何が起きたんですか」

 

まくしたてる主人公だったが、半目の神子の一言で頭が冷える。

 

ごめん、なんかテンパった。

 

取り敢えず経緯を軽く説明することにする。

 

説明を聴き終えた太子は神妙な顔で一言。

 

「……思うに、それはその本の記述は虚偽のものではないでしょうか?」

 

……ですよねー。冗談半分のつもりだったし。

 

神子に謝罪し、その場を立ち去る主人公。
後には怪訝な表情を浮かべた神子が残された。

 

「ふぅむ……銃、か。
 ああ言ったが、何かが引っかかる」

 

「それに彼が興味を持つ事柄……やはり知っておいて損はないだろう」

 

とはいえ、彼女自身は銃について無学だ。
狩猟ならともかく、鉄砲に関しては最低限の知識しか持ち合わせていない。

 

「そう言えば……銃に関して丁度うってつけの人材が居たな」

兎追いし何とやら

「テッポーに興味が沸いた、か。なんというか驚いたわ。
……悪口ってわけじゃないけど、あんたには縁がなさそうなんだもの」

 

神子が言う「人材」とは鈴仙のことだった。
銃について詳しく知りたいと言ってきた神子を若干の不審が入った表情で不思議そうに眺める鈴仙。

 

「飛ぶ鳥を射抜くものが猟箭(ししや)から鉄砲に変わっただけのこと。どこもおかしくはありません」
「ライフルならともかく、普通ピストルで野鳥を狩るものかしら。
 ……銃に興味があるのは悪い気がしないけどね」
「どうやら教授して貰えるようですね。その道に関しては浅学の身ですがどうかよろしくお願いします」

 

その言葉を聞いた鈴仙は、胡乱気な表情を浮かべた。
面倒な言質を取られた、とでも言うように手の甲を額にあてた。

 

「んー……私、まだ何も言ってないんだけど」
「ふふ、先の先はお見通しですから。君も先ほど悪くないと申したでしょう?」
「……あぁ、もう。貴方の相手するとなーんか調子狂うなぁ」

長い長い映画鑑賞(予定)

「太子様、その大量のでぃぶいでぃは?」
「知り合いの者から借りたのです。オススメのガンアクション映画と太鼓判を押されて」
雁悪死四(がんあくしよん)…… それよりも映画ですと? 我も【興味があります。】」
「ええ、別に構いませんが。……しかし全て目を通すにはかなり時間がかかりそうですね」
「構いませぬ! 必要とあらば、週末も使いましょうぞ!」
「う。……それは……布都が嬉しそうでなによりです」
「やれやれ」

 
 
 
 

それから数時間後……時刻は4時を過ぎ、神子はテレビの画面を注視し、映画を見続けていた。

 

はしゃいでいた布都は数時間前に睡魔に完敗、神子の膝を枕にすやすやと寝ている。
屠自古は目を閉じて部屋の中をふわふわと浮いている。彼女は既に死んでいる身ゆえ、本来眠る必要はない。
しかし時折首がこっくりこっくり動いているところを見ると、やはり布都同様夢の世界に旅立ったのだろうか。果して寝ているのか寝ていないのか……

 

画面の中では映画の主役が二丁拳銃を取り回し、敵をバッタバッタと倒している。
見ている映画は、フィクションによくある「銃弾が何故か当たらない」主人公補正を設定に昇華した近未来SFガンアクション映画だ。

 

その主役のアクションを見て神子は既視感を覚えていた。

 

(始めてみる筈なのに不思議と見覚えがある)

 

(まるで遠い昔に忘れてしまったような……)

 

「……」

 

映画が終わり、スタッフロールが流れる。
その映像を見おさめ、神子はうんざりした表情で長い溜息をついた。

 

「……思い出した」

 

スタッフロールが終わり、テレビの中身がメニュー画面に移り変わる。

 

「生前の事とはいえ、己が編み出した護身術の名を忘れていたとは……記憶とはなんと移ろいやすいものか」

 

DVDを取りだし、テレビの電源を切る。
そして、寝息を立てる布都をソファへと運ぶ。

 

「……」

 

運び、そのまま毛布をかけてやる。
それを終えると、神子は踵を返してパソコンへと足を向けた。

 

「……取り敢えずネットオークションで検索しますか。まだあるといいけど、法衣」

ファイアワークス&ガールズリベリオン

 
WARNING!!
 
A OTHAR SCHOOLS
 
"SCHOOL OF GENTLEMAN"
 
IS APPROACHING FAST
 

唐突ですがビシージです。
ビシージ! VS「紳士学園」
昼休み中に校内放送が鳴り、敵襲を告げる。

 

『昼休みにかよ……』
『空気読めよあいつら!』

 

『ダディーヤナ先生、戦闘不能!』

 

『『早っ!?』』
『落とした辛味噌拾おうとして、階段から転げ落ちたんだってさ……』
『出陣前に自爆か!?』

 
 

……そんなこんなで、熱く長い一戦が始まろうとしていた。

 
 

「あーもう、うっとおしい!」

 

鈴仙が校庭に建てられたバリケードを盾に、迎撃する。
その傍で主人公も紳士学園生徒相手に応戦する。

 

今回は一段と面倒な相手が多いな……!
「まったく! 波紋使い出た時は生きた心地がしない!」

 

その波紋使いを主力がようやく抑え込んだところであった。
接近してくる紳士学園生徒を鈴仙が撃ち抜き、そこに主人公が連携を叩きこむ。

 

「ねぇ、主人公!」
何だ!?
「あんた、神子の奴になんか吹きこんだ?
 少し前に銃について教えてくれって言われたんだけどさ!」
銃声がうるさくて聞こえぬェ!
「あんた、神子の奴になんか吹きこんだ!?
 少し前に銃について教えてくれって言われたんだけどさー!!」
銃ー!?
そういえば、そんな本を見せた様な……。それで! どうしたー!?
「それで、銃のイロハそれなりに教えてあげたり、DVDとか貸してあげたんだけどさ!
 ほら、あのガン=カタの、クリ○スチャン・べ○ールが主役のやつとか!
 ……チッ、弾切れか! 主人公、弾!」
おいよ、銀玉持ってけ!
「ありがと! ……でさ、あの子、本当に初心者なの!?」
銃を扱ったことはほとんどないって言ってたが、何かあったのか!?
「聞いて驚かないで……あ、いいや。やっぱ却下! 聞いて驚きなさいよ!? 
 神子、練習で来た射撃場で初回スコア百発百中、後で十回連続やって、全く同じ内容叩き出したの! 
 おかげで周りのギャラリーから銃神様呼ばわりで、フィーバー状態よ? まったく練習どころじゃないわ!」
……え。

 

その時、屋上からひとつの影が飛び降りた。

 

「「!?」」

 

一瞬、不吉な影が頭をよぎったが、

 

影が敵陣と陰陽鉄学園側の境に音もなく着地したことでそれは掻き消えた。
結果として、その場のすべての視線が影に集まる。
屈んだ体勢から、ゆっくりと立ち上がる人影。
それは、

 

み、神子……?

 

黒いダブル合わせのロングコートを身に纏った豊聡耳神子その人だった。

 

唖然とする面々に一瞥もくれず、神子はその歩を進める。
――横から、どこからともなく白い鳩が飛び去った。

 

『な、なんだ……!?』

 

神子が両の手をクロスに構え、振り下ろす。
コートの袖から二丁の拳銃がするりと滑り落ち、両の掌に収まる。
それを見た紳士学園の生徒が戦闘態勢に入るよりも早く、
銃声とマズルフラッシュが走り、紳士学園生徒が吹き飛ぶ。

 

両手を交差した神子が、左右に向け迷いなく引き金を引いたのだ。
神子は視線を変えず、手を左右に大きく広げ、再度発砲。
敵が視界には入れないにも関わらず、素早く、正確に、確実に、撃ち抜く。

 

背後から迫る相手には銃を逆さまに向け、肩越しから振り向かずに発砲。
無秩序に乱射している訳ではなく、近い敵から確実に、薙ぎ払うように撃ち抜く。
機械の様に、無駄を一切排除した徹底的に計算し尽くされた動きだった。

 

やがて弾が切れたのか、銃を一回転しマガジンを廃棄。そのまま銃を傾けながら手首を軽く振る。
コートの袖からマガジンが現れ、再び銃を一回転。マガジンが銃に装填された。

 

そして、一方的な火砲の応酬が再開される。
神子はその場から一歩も動かない。
動くのは銃を持った両手のみ。
絶え間なく動く手の動きが彼女を千手観音の様を魅せ、マズルフラッシュの閃光が後光の如くその身を纏う。

 

やがて、大量の薬莢が地面を覆い、すべての敵が地に伏した。
場に噎せ返るほど濃い硝煙の香りが漂う。

 

それらの中で屹然と立つのは――豊聡耳神子。
その姿を、白い鳩が再び横切った。

 

「麻酔弾です。どうぞご安心を」

 

できねーよ。

硝煙の後には空飛ぶ白鳩

結局、戦力の大部分をを無力化され紳士学園は撤退。ビシージは成功となった。

 

「……家がガン=カタ使いの家系だなんて初めて知ったわ」
うどんげが溜息交じりに言葉を吐く。
「才能はあった訳か。後は土台だけが足りなかっただけで。にしちゃあ、色々はっちゃけすぎだけど」
「はい、君のおかげで勘が掴めました。……本当にありがとうございます」
「どういたしまして」
そう仰る今回のMVPの謝意を鈴仙は苦笑気味に返す。
聖徳太子の生まれ変わりだなんて大っぴらに言えないため、苦しい言い訳になったがどうにか納得してくれたようだ。

 

「ところで、主人公」
はい?
「あの、さっきの私、どうでした?」
神子からおずおずとそう尋ねられた。先程のガンアクションの感想だろう。

 

……。
素直にかっこいいと思った。
「かっこいい、ですか。……かっこいい」

「いえ、なんでもないです」

 

(――かっこいい、か)

 

(女子へ向けた賞賛ではないですね。……でも)

 

「ふふっ♪」

 

(――なんだか、嬉しいな)

 

「上機嫌ねぇ」
バンバンジャリジャリ機嫌よく薙ぎ倒してたしなぁ。実際あんなに暴れられたら気持よさそうだ。
「はぁ……鈍感」
……ウェ!? ナンデ!?

 

ビシージの後始末に追われながらもワイワイ騒ぐ生徒達。
彼らの学び舎、真昼の校舎をばさばさと白い鳩が飛び立った。

報酬/称号

  • 報酬「黒いダブルコート」
  • 神子の一部スペカが解禁。
  • 神子がスキル「射撃術Lv7」「ガン=カタ」「装填速度+」「弾道学」「銃装備」を習得。