SS/妄想SS レイセンルート八章

Last-modified: 2013-11-12 (火) 09:24:50

妄想SS レイセンルート八章
倫理
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喫茶翠屋。
陰陽鉄学園の生活圏からやや離れた位置に立つ、知る人ぞ知る喫茶店である。
味よし値段よし美人ありと至れり尽くせりの内容で、学園からの距離にも関わらず、少なくない数の生徒が通っていた。
くつろぎ喫茶ベヒんもスの台頭により、学生客をいくらか吸われてしまったが、盤石はその程度では揺るがない。

なお、月光女学院からは翠屋とベヒんもスのどちらの方が近いかは定かでない。
少なくとも月女からの学生客が少ないことは確かである。向こうの敷地で済むものをわざわざ遠出してこの店に来る理由がない。
そんな翠屋の店内に、陰陽鉄学園生も月光女学院生も少ないことをこれ幸いと、内密の話に利用する男女の姿があった……

個人的な感想だが、恐らくお姉さまからの好感度は足りてると思うのさ。

「ほ、本当ですか!?」

マジマジ。もうときメモの友人くらい信じていいよマジ。
しかし、そこからが問題なんだ。

「問題……と言うと?」

つまりフラグが足りないんだ。
もっと言えば友情を愛情にすり替えるイベントが不足している。
今のままではいくら好意を稼いだところで無意味……でもないが、恋愛には発展すまい。

「そんなぁ」

嘆く必要はない。要はイベントを起こせばいいのだから。
ラノベやゲームじゃあるまいし、何か事が起こるのを待つより自ら進めるんだ。

「私が……でも、何も思いつきませんよ」

そのために自分がいるんじゃないか。
更に後ろには八意センセも控えているんだ。思う存分頼っていただきたい。
それと、こんな事もあろうかと……こんな事もあろうかと! 既に案は用意してある。

「な、なんですってー!?」

素晴らしいリアクションだすばらしい。きみはほんとうにネタを振りやすいなあ。
まあ、案といっても大したものではないが……そっちの祭りは9月にやるのだろう?

「あ、はい。9月の……ちょっと待ってください。
 えっと……××日ですね」

ならばよし! 祭りとかいかにも何か起きそうな舞台だと思いませんかね?
夏の夜……大輪の花火……はだける浴衣……近づく二人……!
すごくいけそうな気がしないか!

「浴衣お姉さま……ゴ、ゴクリ! これはいけますね!」

ネ実市の祭りを使おうかとも思ったが、ホームの外だと断られそうなので、あらかじめ避けておいた。
自分の先見の明を褒め称えても\よいぞ!/

「すごいです! 流石です! 惚れ惚れしちゃいます!
 ……これで満足ですか?」

バカにしやがってバカにしやがってバカにしやがって!
……とまあ、冗談はさておき。
このチャンス、乗ってみるかい?

「そんなの分かりきったことです。やりますよ、私!」

グゥーッド! その答えを待っていたんだ。
こちらでもいくらか案を練ってみたが、当人の意見が無ければ所詮は机上の空論でしかない。
早速すり合わせと行こうじゃないか。

「お待たせしました。コーヒー二つとショートケーキになります」

無駄に熱を込めて話していたせいか店員さんが来るのに気が付かなかった
思わず身を震わせる二人を見て微笑ましそうにする店員さん。
これには二人共赤面するしかない。

「二人共仲がいいんだね」

勘弁してください高町さん……

「あれ? お知り合いなんですか?」

知り合いと言うか、この店に来る奴は皆知り合いみたいなものだ。
何せ喫茶翠屋の看板娘ですから。

「にゃはは……もう娘って歳でもないんだけどな」

いやあ、まだまだ現役でしょうに……無駄と知りつつ高町さん目当てで来る客の多さと言ったら。

「無駄って、どういうことです?」

ああ、聞いて驚くといい。高町さんは……

彼の言葉を遮るようにして、高町さんが左手をレイセンに差し出す。
その薬指には永遠の輝きが。
思わず目を見開くレイセン。視線は左手に釘付けである。

「えっ……えっ?」

見えないよなあ。
自分も初めて聞いたときは大層驚かされたものだ。

「もう、おだてても安くはならないよ?」

既婚者の割に雰囲気が軽いと言いたいのだが……口にしないのが大人の醍醐味。

「それにしても、しばらく来ないと思ったらデートの相談だなんて、隅に置けないね!」

デート……だと……? ああ、成程。残念ながらそれは勘違いというもの。
自分のデート話ではなく、この子のデート話であって。

「うん? 同じ意味じゃないの?」

この子のお目当ては別の人で、自分はその相談を受けているに過ぎない訳で。
浮いた話には縁がない訳で。
だからその“全部わかってます”と言わんばかりの顔をやめろ。

「はいはい、分かってますよ」

何も分かっちゃいねえ!?
自分はともかくレイセンに迷惑だからやめてくれませんかねぇ!
レイセンからも何か言ってやれ!

「ふぇ……こんなに若いのに……」

お前は驚きすぎだ! てか歳はそんなに離れてないから。
若く見えるってか若いのよ。そう、確か……オット!
女性の歳はうかつに口にすべきではない。死にたくなかったらそうするべき。

「よくできました」

『Takamatiの構えが解除された。』

やべえ……口を滑らせてたらこの人何かする気だったよ……
歴戦の戦士のような威圧感がにじみ出ていた。おんなのひとってこわいや。
っと、脱線しすぎた。レイセン、戻ってこーい。

「ハッ! 私は何を」

夢の世界に旅立つのはいいが、自力で戻ってこれるようにしなさいな。
だらけきった間抜け面を見られたくなかったらな!

「そ、そんなにひどい顔してません!」

写真撮っとけばよかった。じゃなくて。
ホレ、このわからず屋に言ってやんな。

「……何をですか?」

自分とレイセンが付き合ってる訳じゃないって事をだ。

「んー……今、付き合ってますよね?」

「やっぱり!」

ナンデ!? レイセンナンデ!
いやなんとなく分かった! キミとボクの間には致命的な言語の齟齬があると思うよ!
深呼吸してよく考えて付き合うってそういう意味じゃないから。

「…………え、あっ! ちち違うんです付き合うってそうじゃなくて!!」

「誤魔化さなくてもいいのに」

「本当に違うんですってば!」

君はあれだよね、もう少し気を張って生活すべきじゃないのかな。
あと高町さんは人の言う事を素直に受け取って欲しい。

「言いふらしたりしないから安心して!」

「違うのにぃ~……」

……まあ、黙っていてくれるなら、もうそれでいいんじゃないかな。
こーひーおいしいです。

その後、高町さんは他のお客の注文を取りに行き、二人は開放された。
気まずい空気が流れた……二人して大急ぎでテーブルの上のものを片付け、脱出するより他にはなかった。
重い雰囲気の中、ケーキのひとかけらも残さなかったあたり、味は良かったに違いない。
みなさんも一度は翠屋にお越しください!(宣伝)

「散々な目にあいました」

自業自得じゃないっすかねぇ……
宣伝までしたからきっと要らないことは喋らないと思いたい。きっと滑りは悪くなったに違いないさ……
落ち込んでいても仕方がないので前向こう前。夏祭りが君を待っているぞ。

「もう夏休みも終わってますけどね……」

negative! reisen-changてばすごい暗い。
あー……そうだ! 浴衣を用意しようぜ!

「浴衣なら一応持ってますけど」

違う、レイセンの浴衣じゃなくてだな。
放っておいたらお姉さま方は普段着で来るかも知れないじゃないか。
せっかく誘ったのにいつもの格好で来られたら困る。目の保養的な意味で。

「確かに……でも、私が用意したものなんて着てくれるでしょうか?」

そこは問題ない。好感度は足りている筈なので、きっと着てくれる。
ダメなら八意センセのパワーを使ってでも着せるし。

「そこまでしなくても」

誤解されないように先に言っておく。
自分も二人の浴衣姿は見たいんです! かなり見たい! まあ、その場に同行するかどうかは分からないけれど。

「えっ」

えっ? どこかおかしいところがあったか?

「付いてきてくれないんですか!?」

お前のデートでしょう!?
自分は基本的に邪魔にしかならんしょ! 海んときは姉の方のご指名があったから行ったのであって。
元よりお前が始めたことだろうが……!

「それはそうですけど……うう、やれるかなぁ」

やれると思えばやれる。やれないと思ってる内はやれん。そういうものだ。
もうちょっと自分のことを信じてあげるといいよ。それだけの力は持っているんだから。

「や、やるだけ、やってみます……なんとか」

自信ないなあ。この調子じゃあ告白とか夢のまた夢なのではなかろうか。
そんな場面まで見守るつもりはないからな。

「うう……そうですよね」

いかん、余計空気が重くなってしまった。
浴衣を選びに行こう。お姉さまを君色に染め上げる作業に進むんだ。

「そうですね……」

この子は全く、一度落ち込むと中々浮かび上がってこないな。
もう少しこう妄想を楽しむといいのに。崖下的な。

「嫌ですよぉ、あんなタイツの真似みたいなことするの。
 アレにいい印象なんてないの知ってるでしょう?」

ですよねー。襲われたり襲われたりしたし。
例が悪かったと言わざるを得ない。

「海ではよりにもよってお姉さままで襲おうとするし……思い出したら頭に来ました」

いや銃を構えても崖下はいないから。
銃剣で虚空を切り裂いても虚しいばかりだから落ち着いて! そっち方面に元気になると危ない!

「まあ、都合良くタイツが生えてくるわけないですよね」

やめて生えてくるとか怖い想像しちゃうから。
あんなのが地面から出て来るとか、おぞましい図すぎる……

「やめてくださいよ……私まで想像しちゃいました、うぇぇ」

……行くか。

「……はい」

祭りは準備の時が一番楽しいとか言うけど、ありゃ嘘かもな……

「かもしれませんねぇ……」

「はい……はい……分かりました」

綿月豊姫は企みごとをしている。
それは妹である依姫にも関わりのある話である話である筈なのだが。

「はい、それでは」

どうにも豊姫は依姫に事の詳細を知らせてくれない。それが依姫には不満だった。
自分のみならず、かわいい妹分にとっても大切な話だと豊姫自ら言ったにもかかわらずだ。

「お姉様……」

今も誰かと電話で話し続ける姉の背中が、いつもより遠く感じる。
依姫はわずかに目を細め……

「またお願いします、八意先生」

な ん だ と。
電話の相手が八意先生と知るや否や、依姫は地を蹴り飛び出した。
この依姫の想い人が八意先生と知っての所業か、姉だけが独り占めするつもりか。悩みは露と消え、焦燥が燃え上がった。

「どういうことですかお姉様! ひとりだけ八意先生と話だなんて! 電話、その電話借りますよ!」

「あら~、もう切れちゃったわよ」

依姫のめのまえはまっくらになった!
その後真っ赤に染まった。そう、怒りが依姫の視界を赤く濁らせているのだ。

「おのれ……おのれお姉様!」

「待って、待って依姫! 刀はダメよ!」

すわ刃傷沙汰かと思われたが、姉の言葉が妹を縫い止める。
間一髪であった。依姫の行動が抜き打ちであれば、既に切り口が出来上がっていたかもしれない。
本気で怒っても加減が効いてるあたり流石は姉妹である。
しかし油断は出来ない。依姫の刀は今なお高所から獲物に踊りかからんとしているのだ。

「先生から情報が来たのよ! レイセンが私たちを祭りに誘うつもりだって!」

「……それがどうしたと言うんです」

上段に構えられた刀が振り下ろされれば割と危ない。豊姫は必死であった。
危機を逃れようと舌が高速回転する。リアル二枚舌になるのは勘弁してほしかった。

「けれど彼は来ないつもりらしいのよ!」

「彼、と言うと……あのレイセンの」

「そうそう、けど来ないでは困るわ」

綿月姉妹は実は百合に理解がある。
それは他でもない姉妹自身が女性である八意永琳に怪しい気持ちを抱いているからだ。
しかしだからこそ、既に想い人がいるのに他の子の気持ちを受け取る事はできない。

「また彼も誘うのですか?」

「あら? 依姫は不満なの?」

「いえ……確かにレイセンも懐いていますが……むむむ」

「何がむむむよ」

依姫はレイセンに対し、あくまでも姉貴分として振る舞うことでやり過ごすことを選び、
一方豊姫はレイセンに他に好きな人を見つけてもらい、自分達への想いを捨ててもらおうと思いついた。
果たしてその策に至ったのはいつだったか。そう、それは二人がベヒんもスで話をしていたのを見つけた時ではなかったか。

「大丈夫よ、きっと悪いようにはならないわ。私たちも彼も、あの子の悲しむ顔は見たくないんだから」

「そう、ですね。分かりました」

「うふふ……さあて、お祭りに向けて支度しなくっちゃ!」

かわいいかわいい妹分の幸せを願わない姉貴分などいない。
しかしそれが自分の幸せの妨げに成りうるとしたらどうか……誰だって自分の幸せを犠牲にしたくはない。
そこに飛び込んできたネギを背負ったカモ。これこそ天命に違いない。

「お祭りの前だっていうのに楽しくなってきたわ!」

「今からそれだと本番まで持ちませんよお姉様……」

「また何かあれば連絡するわ。それじゃあ……ふう」

「永琳、何してるの?」

「輝夜……そうね、天秤の揺れを眺めるお仕事かしら」

「何それ? 面白いの?」

「うーん……まあ、面白いと言えば、面白い?」

「質問に質問で返さないでよ。私もやってみていい?」

「ダメよ」

「なんでよー」

「だって輝夜は自分で天秤に重りを乗せちゃうもの。
 あくまで眺めるのが役目なんだから」

「ふーん。なんだかドモホ○ンリンクルみたいねぇ」

「見守る先に何かができるという意味では、そう遠くはないのかもしれないわ。
 どんな結末が待っているのか……不謹慎だけど、楽しみね」

「永琳ったら、悪そうな顔してるぅ」

複数の想いが絡みあう陰謀の宴!
果たして踊るのは誰か! 踊らせるのは誰なのか!
勝利の美酒を掴み取るのはただ一人なのか!?

次回、第九章! お楽しみに!
永琳の文句は私に言えっ!!

「輝夜……どこの電波を受信したの?」

「えっ。次回予告って必要でしょう?」

レイセンルート九章 完

露骨に引いた展開なのでつづく
遅くなって申し訳ないと言わざるを得ない。

な、なんですってー!?:ネタで返そうとしてるのではなく、大体その場の勢いが勝手にネタになるイメージ。
グゥーッド!:バービーでもオービーでもない! 二度と間違えるなッ!
高町さん:言わずと知れた魔砲少女。学園wikiのキャラ設定によると19歳の子持ち元魔砲少女。
negative!:FPSとか戦闘機ゲーとかで割と聞ける感じ。
元よりお前が始めたことだろうが:ACfaのナビゲーター……いいよね……
永琳の文句は私に言え:北斗の拳のご先祖様の時代を描いた漫画、蒼天の拳より。

前回のコメント返信
>ほう、あのたいやき娘を出すとは…。
>あいつも設定上サテキャやハモニカ砲使えるから月つながりで出てきたかと思ったら違ったでござる。
コメントありがとうございます。せっかくいるんだからチョコチョコこういうの出していきたいと思ってます。

>謀ったな!倫理さん!
君の父上がいけない……訳ではない。

>そして意外としたたかなレイセン。お姉さまと言われるだけはあるんだなーと。
伊達や酔狂でお姉さま扱いされてるわけではないぞ…!

>途中の子ネタがいい味だしてるwww
コメントありがとうございます。そう言ってもらえると嬉しいです。
自分では加減が分かりませんので。
倫理
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1.100点2011/12/30 21:30:14削除

   レイセンのリアクションやテンポ良いネタに終始ニヤニヤしっぱなしでした。
   オペ子いいよね!ね!

2.100点2011/12/31 05:40:43削除

   面白くなってまいりましたなぁ!
   良いですねぇこういうの!主人公もレイセンも綿月姉妹も永琳も良い空気吸ってるなぁ!!
   俺のテンションも熱風!疾風!状態ですよww
   次回は浴衣であの一部(?)カオスな夏祭りなのだろうか?あれも楽しみです。
   そして祭りで踊るってのは上手いですねぇ、座布団1枚。