ここでは、ごくシンプルなシングルプレイヤーシナリオの作成手順を紹介し、シナリオの基本構造を理解してもらいます。様々なイベントを盛り込んだ複雑で素晴らしいキャンペーンに挑戦するのは、その後でも遅くはありません。
シナリオの構成要素
ごくシンプルなシナリオを構成するパーツはだいたい次のような物です。
- シナリオをパッケージするためのフォルダ
- _main.cfg 書類
- シナリオフォルダとシナリオファイル
- マップフォルダとマップファイル
つまり、基本的なシナリオを構築するために、あなたが作成するシナリオファイルは3つだけなのです。それでは個々のファイルの中身を説明していきます。
ここからはWML(Wesnoth Markup Language)について、ある程度の知識が必要になります。WMLって何?という方は次に進む前に「完全な初心者のためのWMLガイド」に軽く目を通してください。とりあえず、第5章まで読めば十分です。
_main.cfg を用意する。
ここでは、できうる限りシンプルな最小限のシナリオを作ろうとしているので、_main.cfgはとてもシンプルな物になります。
早速見てみましょう。
この例はWesnoth 1.12での記述例です。1.13以降のバージョンでは記述が若干異なる部分があります。
#textdomain wesnoth-Simple_Scenarios [textdomain] name="wesnoth-Simple_Scenarios" path="data/add-ons/Simple_Scenarios/translations" [/textdomain] [campaign] id=Simple_Scenarios name= _ "Simple_Scenarios" abbrev= _ "SiSc" icon="items/axe.png" image="data/core/images/portraits/orcs/transparent/grunt-6.png" first_scenario=01_Simple_Scenarios define=CAMPAIGN_SIMPLE_SCENARIOS difficulties=EASY,NORMAL,HARD difficulty_descriptions={MENU_IMG_TXT2 "units/orcs/leader.png~RC(magenta>red)" _"Leader" _"(Easy)"} + ";*" + {MENU_IMG_TXT2 "units/orcs/ruler.png~RC(magenta>red)" _"Ruler" _"(Normal)"} + ";" + {MENU_IMG_TXT2 "units/orcs/sovereign.png~RC(magenta>red)" _"Sovereign" _"(Hard)"} description= _ "It is Simple Scenarios." [/campaign] #ifdef CAMPAIGN_SIMPLE_SCENARIOS [binary_path] path=data/add-ons/Simple_Scenarios/ [/binary_path] {~add-ons/Simple_Scenarios/maps} {~add-ons/Simple_Scenarios/scenarios} #endif
こちらはWesnoth 1.13以降での記述例。difficultiesとdifficulty_descriptionsがCAMPAIGN_DIFFICULTYマクロに変更されています。
#textdomain wesnoth-Simple_Scenarios [textdomain] name="wesnoth-Simple_Scenarios" path="data/add-ons/Simple_Scenarios/translations" [/textdomain] [campaign] id=Simple_Scenarios name= _ "Simple_Scenarios" abbrev= _ "SiSc" icon="items/axe.png" image="data/core/images/portraits/orcs/transparent/grunt-6.png" first_scenario=01_Simple_Scenarios define=CAMPAIGN_SIMPLE_SCENARIOS {CAMPAIGN_DIFFICULTY EASY "units/orcs/leader.png~RC(magenta>red)" ( _ "Leader") ( _ "Easy")} {CAMPAIGN_DIFFICULTY NORMAL "units/orcs/ruler.png ~RC(magenta>red)" ( _ "Ruler") ( _ "Normal")} {CAMPAIGN_DIFFICULTY HARD "units/orcs/sovereign.png ~RC(magenta>red)" ( _ "Sovereign") ( _ "Hard")} description= _ "It is Simple Scenarios." [/campaign] #ifdef CAMPAIGN_SIMPLE_SCENARIOS [binary_path] path=data/add-ons/Simple_Scenarios/ [/binary_path] {~add-ons/Simple_Scenarios/maps} {~add-ons/Simple_Scenarios/scenarios} #endif
「完全な初心者のためのWMLガイド」で出てきた _main.cfg とほとんど同じです。違うのは難易度設定が「EASY,NORMAL,HARD」と、3種類に増えたくらいです。
お気づきでしょうが、シナリオを作っているはずなのにタグが[campaign]になっています。[scenario]というタグは存在しますが、これはシナリオファイルで使用するタグです。
キャンペーンとシナリオの違いを考えて見るとその理由がわかると思います。そうです、違いはシナリオの数だけなのです。「完全な初心者のためのWMLガイド」はキャンペーンを作るといいながら、シナリオは一つだけでした。
キャンペーンとシナリオは実質的に同じ物です。シナリオとは、シナリオが一つだけのキャンペーンというわけです。
シナリオファイルとマップファイル
「完全な初心者のためのWMLガイド」を見たならば、あなたはシナリオファイルとマップファイルを用意する事ができるはずです。
あれと同じものを、ファイル名やキャンペーン名を今回の _main.cfg に合わせて作成したなら、ごくシンプルなシナリオの完成です。
試しにそのシナリオをプレイしてみてください。
たとえ、どんなに単純なシナリオだとしても、自分が作ったものがゲームの画面に映し出されるのを見たら、ちょっと嬉しくなりませんか?
この記事はこれで終わりです。あなたはシナリオ(ついでにキャンペーン)の作り方の基本部分をマスターしました。
次にあなたは、ユニットにちょっとした会話をさせたりマップ上にアイテムを配置したり、とにかく個性的な仕掛けを作りたくなるかもしれません。
ここにその方法は書いてありませんが、それを学ぶためのヒントを教えましょう。
他の人が作ったシナリオやキャンペーンをテキストエディタで開くと、そこに素晴らしい教材があることに気づくはずです。