「AIのべりすと」とは

Last-modified: 2023-02-03 (金) 17:34:47

「AIのべりすと」はAIによる文章生成サービスであり、Webブラウザ上から利用出来る。
文章を数行程度入力すると、AIがそれに続く自然な文章を生成してくれるというもの。

🔰【初心者ガイド】初めての方へ

 

スペックについて

「AIのべりすと」のAIは、EleutherAIが公開している「Mesh Transformer JAX」という自然言語処理AIのフレームワークをベースに、Google TRCの協力のもと開発されたものである。
現在の言語モデル「とりんさま6.8B beta」時点では、68.7億パラメータ、約500GBのコーパスを保有している。
コーパスというのは大量の文章データをまとめたもので、AIを訓練する際に学習させるためのもの。
500GBのコーパスは文庫本で約174万冊分に相当し、内容も小説生成に特化した独自のものとなっている。
より強力なAIの開発も途中まで進んでいるそうなので、これからの進化にも期待である。

 

使用例

例として、「『AIのべりすと』の説明」をAIのべりすとで生成してみよう。
まずこちらで用意した文章が以下の通り。

 

「AIのべりすと」は、68.7億パラメータ、約500GBのコーパスからフルスクラッチで訓練されたAIによる、小説・文章生成サイトです。
自分で文章の冒頭を入力すると、AIがその続きを自動で生成してくれます。

 

上の文をそのまま「AIのべりすと」に入力してみる。
生成されたのが以下の通り。

 

「AIのべりすと」は、68.7億パラメータ、約500GBのコーパスからフルスクラッチで訓練されたAIによる、小説・文章生成サイトです。
自分で文章の冒頭を入力すると、AIがその続きを自動で生成してくれます。
入力した文字数に応じて生成時間が変化しますが、概ね1秒程度に収まるよう調整されています。
完成した作品はテキストファイル形式でダウンロードでき、様々なプラットフォーム上で動作します(macOS,iOS,Android)。
また、商用利用も無料で可能となっています。
【主な特徴】
・自分で書いた物語が読みたい方向け
・誰でも簡単に小説を書ける
・完成すればテキストデータとして出力できる
・執筆スピードは1万倍まで上げられる
・日本語以外にも対応

 

AIが生成した部分を太字にしているが、とても自然であることが分かるだろう。
今回は説明文形式のものだったが、小説は勿論、俳句やキャラクターのプロフィール等も生成できるので、是非色んな文章を入れて使ってみよう。

 

その他の使用例形式テンプレートも参考にしてほしい。

余談

元々、AIの開発はSta氏が現在開発中の新作ゲームである、「Starbirth」のサイドプロジェクトとして始まったもの。
ゲーム中に登場するキャラクターと会話ができるチャットボットを作ろうとしたところから始まったらしい。
そのため、「AIのべりすと」の開発・運営は現在Sta氏一人で行われている。凄い。

 
 

製作者のSta氏による説明

クラウドファンディングのページにて、製作者のSta氏により丁寧な説明がされているのでここに引用する。
近年の自然言語処理の進化についても触れているので、興味があれば是非読んでおこう。
引用元:AIのべりすと α2.0 | 日本最大級の文章・小説生成AI(Sta @ Bit192 2021/10/29 公開) - クラウドファンディング READYFOR

「AIのべりすと」について

Google TRCのご厚意により提供されたTPU(テンソル・プロセシング・ユニット)と、オープンソースコミュニティのEleutherAIによるTPU向けフレームワークであるMesh Transformer JAXを用いて、68.7億パラメーター、500GB(重複あり・文庫本にして約174万冊分)というコーパスを持つ日本語最大級のAIをフルスクラッチで小説生成向けに訓練しました。

 

書き出しの部分を書けば、その続きをAIが自動的に書き続けてくれます。現代日常系の小説、探偵小説、ロマンス、ホラー、サスペンス、ファンタジー、異世界転生もの(なろう系)など、どんなジャンルにも対応することができます。

 

それだけではなく
 1.AIと二人三脚でストーリーを作る
 2.途中で三人称や登場人物の一人称に視点を切り替える
 3.登場人物と質疑応答やインタビューする
 4.俳句を詠ませてみる
 5.AIが好きな映画のTOP10やレビューを書かせる
 6.そこまでのストーリーを要約させる
 7.キャラクターのプロフィールを生成する
など、すこしの工夫次第でさまざまな遊び方や機能を利用することができます。

なぜそんな事ができるの?

「AIのべりすと」のようなAIは自然言語処理AIと呼ばれます。このもっとも原始的な形が「マルコフ連鎖」と呼ばれる隣接する単語同士の出現する確率にのみ着目したアルゴリズム(でたらめな日本語で書かれたスパムメールを見たことがないでしょうか?)と言えるでしょう。

 

ここ2年、自然言語処理AIは「Transformer」の登場で一気に進歩しました。Transformerが何よりも画期的だったのはセルフ・アテンションと呼ばれる仕組みです。

 

例えば、「私はロボット三原則を守るAI、デイジーです」という文章を読み取った時、AIはまずこれを再解釈して「私」が誰のことを指しているのか推論し、「デイジーはロボット三原則を守るAI」という文に変換してから続きを生成します。

 

2020年にOpenAIが発表した「GPT-3」は、上記に挙げたような多種多様なタスクを自然にこなすことができるようにまでなっています。「AIのべりすと」のAIは、GPT-3をモデルとして開発した、ほぼGPT-3同様のスペックを持つAIであり、広義のインタラクティブ・ストーリーテリングAIに相当するものです。

インタラクティブ・ストーリーテリングとは?

「インタラクティブ・ストーリーテリング」とは、「バランス・オブ・パワー」「シブートの遺産」などのゲームを代表作に持ちゲームデザイン学の開祖といわれるクリス・クロフォード氏が2000年代から2010年代にかけて提唱した概念で、ストーリーラインがどのような形によっても事前に決められていないゲーム等のデジタルエンターテンイメント(クロフォード氏はこれを「インタラクティブ・メディア」と呼びます)のことを指します。

 

このジャンルは技術的な制約から長年停滞してきましたが、「Transformer」によって今まで不可能だった複雑な自然言語処理が可能となったことで一気に花開きつつあります。今年*1は特にブレイクスルーの年といってよく、文章から画像を生成したり、逆に画像を文章に変換したりすることがかなりの精度で可能になりました。まったく別分野のAIとAIを組み合わせたマルチ・モーダルAIは、ゲームやデジタルエンターテンイメントのあり方を変えていくはずです。


*1 2022年