Tradition/カシミア

Last-modified: 2021-12-18 (土) 18:21:14

基本情報

  • イデア名:Casmia(カシミア)
  • 身分:人間

修道院に入れられたものの、反逆を起こし脱走した少女。

収録弾

Tradition

No.88 ぶっつけ鉈(カシミア)

 

カシミアの暴乱は夜明けまで止まらない。身寄りのない少女を格調高き貞淑な婦女へと叩き上げることで有名なノーゼリア修道院。シスターたちによる厳粛な支配教育がカシミアにだけは通じないのは、彼女がこの修道院の偽善を看破していたからではなかった。ただ従いたくないのだ。服従が出来ない。精神的圧力で反抗心を奪おうとする侮辱的な試みには断固として反逆する。ある日には院長を袋詰めにして焼却炉に放り込んだ。傲然と理不尽を跳ね除ける彼女はほかの少女たちの感心を招いたが、社交の通じない相手と知れてからはすぐに孤立する。反省はしないが傷ついた。恨んだ。誰も許せない。

 

カシミアが院から脱走し、去り際に院に火をつけたのは膨れた水滴がやがて落ちるのと同じくらいに自然なことだった。火事は悲惨だったがみな彼女の失踪に安堵し、あえて追いかけようとする者も現れない。カシミアは修道院を取り囲む深い林の中へ。

 

行き先も見えないままさまよっていると、彼女の後を歩く一つの小さな姿があった。いくら追い払ってもついてくる、変わり者の少女。文句を言っても言い返さず、小突いても泣きわめかない。カシミアは遂に根負けし、彼女がそばにいることを許す。幻かと思ったが幻だった。彼女は誰とも折り合えない。