基本情報
- イデア名:Mildred
- 身分:吸血鬼
大聖堂の完成を目の当たりにするために、吸血鬼になる選択をした少女。
その後、ハイドレーヌの代に教会に所属し、セレネが所持していた聖剣フェルヴェールを使って悪魔を討伐している。
収録弾
- Blade Rondo -Night Theater-
- Blade Rondo -Lost Dream-
- No.87 秘蹟剣
- 教会の美の奇跡に敬意を払い、邪悪を葬る剣で報いた吸血鬼の少女の物語。
- VB.08 日陰者のミルドレッド
- No.87 秘蹟剣
Tradition
No.28 ブラッディダリア(ミルドレッド)
ミルドレッドは美しい青年に声をかけられた。街灯の明かりが川の水面に揺れていた。青年は吸血鬼だった。承諾なしに血を奪われることはなかったが、若い彼女は喜んで身を預けて吸血鬼となる。この決断には目的があった。二百年後に完成する大聖堂をどうしても見たかったのだ。彼女の心は芸術とともにあった。不老を家族に訝しまれる前に故郷を離れ、太陽を確実に避けながら諸国を回る。神は不浄の自分を嫌うだろうか。それとも渇きに耐え続けた自制心を祝福するだろうか。やがて完成された奇跡を目の当たりにした時、ミルドレッドは膝をついて涙を流し、このまま朝を迎えてもいいと思った。
No.87 秘蹟剣(ミルドレッド)
お嬢さん、と呼ばれてもミルドレッドは訂正しない。過ちに気づいていないのは五十か六十かという所の若造だったが、いちいち訂正するのも無粋だ。初老の男は肩口から黒い煙を発していた。ミルドレッドが斬ったからだ。悪魔は彼女の敵だった。
「聖剣? 吸血鬼が? お前は教会の手先なのか」
「言い草は気に入りませんがその通り。真に尊いもののしもべです」
悪魔たちの現象否認防御を紙のように破る聖剣フェルヴェール。それは吸血鬼のからだも灰に帰す危険物だったが、右手のガントレットが祝福を遮断せしめていた。悪魔は大きな黒鳥のような正体を見せて飛翔する。ミルドレッドは川に遮られるまで執拗に追撃した。彼女は吸血鬼でありながら教会に仕えている。美しいからだ。荘厳な美を芸術家たちに紡がせた営みに心から感謝をしている。かつては理解のない教皇に拒絶されたものだが、ハイドレーヌの代になって遂に帰依を認められたのだ。