ドイツ軍冬季暖房機材

Last-modified: 2019-01-16 (水) 20:57:25

人も機械も凍る東部戦線でエンジン凍結を防止する有効手段として「缶を切ってそこにガソリン入れてエンジンの下で燃やす」が有名だが、ドイツ軍の写真では何やら温風を当てる布団乾燥機みたいなものが時々写っている。
あれはなんだろう?と疑問に思う人の為のページ

Ground equipment of the Luftwaffe
http://www.kfzderwehrmacht.de/Homepage_english/Trailers/Ground_equipment_of_the_Luftwa/ground_equipment_of_the_luftwaffe.html

上記のHPがドイツ空軍が運用した各種機材の掲載サイトだが、その中の項目に”Heating and keeping-warm devices:”というのがある。
これが暖房機材の項目である。

暖機運転の必要性

いまでこそ乗用車の暖機運転は必要無いが、昔は水温計の針が下限値よりも上に来るまで温めるものだった。
これには訳がある。
冬場にキンッキンッに冷えたエンジンというものは、それこそ隙間が空いているが、始動して動かし始めると、爆発燃焼に触れるシリンダーヘッドと弁周りが温まり始める。
だがそれ以外のリングやシリンダー周りは冷えて縮まっているために、膨張するシリンダーヘッドとの間隔が狭くなる。おまけに潤滑油も冷えると粘性が増して十分な潤滑が出来ない。
このような時に本運転で負荷をかけるとシリンダーにいつも以上の余分な負荷がかかり、寿命を縮める事となる。
だが敵が来たからと言って悠長な暖機運転をする余裕などは無い。
コックピットとエンジン回りを暖房する必要性はそこにあるのだ。

小ネタ

満州航空でも似たような機材を使用していた。
こちらは「カロー(火爐)」と呼ばれ、5ガロン缶を切って中で炭を燃やすもっと原始的なものだった。
航空測量私話 ~空と写真と戦いと~
https://www.lit.osaka-cu.ac.jp/geo/pdf/space17/17_51kojima.pdf
満州で写真測量を行っていたよもやま話の中の後ろの方に記述がある。
無論引火して1機が機材ごとオジャンとなっている。