かつて北海道日本ハムファイターズの本拠地として使われていた札幌ドーム*1の蔑称。
経緯
野球サッカー兼用のドームである札幌ドームはその構造の都合上、巻取り式の人工芝を採用している。芝の構造自体はナゴヤドーム(バンテリンドーム)など他の球場でも使われていたものであり、特段札幌ドームだけが異常という訳ではないのだが、問題なのは芝の下が堅いコンクリートであることであった。
特に外野手がこのグラウンドコンディションの影響を受けやすく、例を挙げると中田翔はこれが原因で膝を故障し外野手から一塁手への転向を余儀なくされたり、守備の名手だった陽岱鋼も膝を壊し持ち前の守備力を劣化させてしまっている。また、2021年9月11日のソフトバンク戦では近藤健介が打球を追った際にフェンスにぶつかった勢いで後頭部からグラウンドに身体を強打し負傷退場、脳震盪特例措置で登録抹消に至っている。
こうした背景もあって、なんJを筆頭に多くの野球ファンから「プレーしているだけで選手生命が縮まる球場」という揶揄を込めて、略称の「札ド」をもじって「殺ド」と呼ぶことが定着。しかも野球選手には上質とは言い難いグラウンドを提供する一方で、コストのかかる天然芝のフィールド*2をサッカー場として提供していることも、野球ファンの不公平感を煽る原因となっていた。
ちなみにたびたび比較対象として名前が挙がるナゴヤドームでも、かつては札幌ドーム同様にショートパイルターフ式巻き取り人工芝を採用していた*3ものの、そちらはゴムパッドも底に敷いて怪我対策をしていたため殺ド呼ばわりされることはなかった。
観客にとっても殺ド
球場としての欠陥は人工芝を取り巻く問題のみならず、防球ネットの不備も槍玉に挙げられている。2010年にはこの不備が原因でファウルボールが直撃して失明した観客が現れ、訴訟沙汰に発展した。
なお、この裁判では札幌高裁が札幌ドーム側の責任を否定した一方で日本ハム球団側の責任を認め、球団に総額約3357万円の支払いを命じるという結果になり、その判決の不可解さにも疑問の声が上がった。
サッカーでも殺ド
紆余曲折あって日本ハムが北広島市へ本拠地を移転したあと、今度はサッカーでも怪我や事故が相次ぎ、構造上の問題点がまたしても取り沙汰されることになった。
- 2024年3月10日に行われたJ1の浦和レッズ対北海道コンサドーレ札幌では、サッカー用の天然芝が明らかに荒れた状態になっており、浦和の2選手が負傷交代したほか足がつった選手も複数現れた。
これは2月の気温が10度以上まで上昇(札幌としては観測史上初)した際に雪が解けて芝が露出した後に再度降雪・低温になり、芝の育成と除雪のスケジュールに大きな狂いが生じたことが原因であり一概に札幌ドーム側の責任とは言えないのだが、やはり不満の声が相次いだ。 - 2025年3月9日の北海道コンサドーレ札幌対ジェフユナイテッド千葉戦にて、後半ロスタイムにダメ押しゴールを決めた千葉の呉屋大翔選手がゴール裏のサポーター席に行こうと看板を飛び越えた際、約3メートル下のコンクリートの地面に転落*4するというアクシデントが発生。
- なお、ドームのゴール裏にダイブしたのは呉屋選手で3人目*5ということもあり「なぜ安全対策を今までしていなかったのか」という批判も相次いでいる。
- なお、ドームのゴール裏にダイブしたのは呉屋選手で3人目*5ということもあり「なぜ安全対策を今までしていなかったのか」という批判も相次いでいる。
札幌市議の反論
「札幌ドーム叩き」のほとんどが「的外れ」といえるワケ…「薄い人工芝」「傾斜が急すぎる観客席」が批判されてきたが「そもそも野球のために作られた施設ではない」 | 週刊現代
https://gendai.media/articles/-/128532?imp=0
「勘違いしている人もいますが、そもそも札幌ドームは野球のために作られた施設ではありません。2002年、日韓ワールドカップの開催地の一つとして札幌が選ばれた。当時大きな競技場がなかったことから、札幌ドームの建設が計画されたのです。
しかしサッカーだけでは運営費を賄いきれず、赤字になってしまう。そこで当初から野球やコンサートなど多目的利用が検討されていました。2002年、2003年の段階では黒字で、多目的施設としてある程度採算が取れてもいたのですが、そこに日ハムが来てくれた。
札幌ドームは設立当時から現在まで、日ハムの試合以外にもコンサートやコンサドーレ札幌の試合、さらには就職関連のイベント会場や介護福祉士といった国家資格の試験会場などとしても活用されています。多目的での利用があることから、札幌ドーム側としても日ハムの要望に全て応えることは難しかったと思います。常設のプロ野球球団を呼ぶために札幌ドームが作られたのであれば、批判も理解できるのですが……」(成田氏)
さらにこの市議は「日本ハム球団の要望に合わせて芝を更新してきたし、各種設備も改修してきた。一方的に要望を無視してきたわけではない」と主張しているのだが、行ってきた改修の対象がチケット売り場やメインスタンドといった、いずれもアスリートファーストの観点からすると「的外れ」なものばかりでなんJ・なんGでは総ツッコミを浴びた。さらに言えば芝生を更新しても上述したバンテリンドームのような怪我対策は結局なされなかったため、これも「的外れ」と言える。
加えて、札幌市と札幌ドームサイドが
- 四者協議での秋元克広札幌市長による、札幌ドームの野球専用化の提案。
- 日ハム移転が現実味を帯びてきた段階での、札幌ドーム山川広行社長による「セ・リーグ興行を検討」発言。
- (日ハムの北広島移転決定後に)「セ・リーグの主催試合などができるだけ多くできないか交渉したい」という発言(ソース:平成29年度第20回定例市長記者会見記録「札幌ドームについて(2)」)
- 2024年3月期決算、6億5100万円の赤字が計上された件に対する「平日にプロ野球をやれたらいいが、やらせてくれないのでね」という山川社長のコメント。
…と、たびたび「野球のために作られた施設ではない」競技場でのプロ野球興業への未練を発信していたことをここに付記しておく。
余談:あいつまだ札幌ドーム知らねぇな
上沢直之が杉谷拳士との対談で「札幌ドームは打球が速い」、ヘッスラで血だらけになったルーキーに対して「あいつまだ札幌ドーム知らねぇな」とペラペラ人工芝をネタにしている。
該当部分は10:50~
堅いコンクリート床がきっかけでファンになった人
歌手の星野源が2019年に開催された札幌ドームライブの準備中グランドに降りた際、床が他のドーム球場よりも堅い事に違和感を持ち、ここでプレーしている選手に尊敬し、そこからファイターズに興味を持ちファイターズ贔屓の野球好きになった。
(2025年12月2日放送、星野源のオールナイトニッポンより)