猫屋敷

Last-modified: 2025-10-21 (火) 09:36:32

埼玉西武ライオンズの本拠地・西武ドーム*1の蔑称・愛称。「屋根付き」「自然共生(強制)型球場」とも。
なんJに限らず野球ch野球板など、古くからネット上では広く用いられている別称でもある。

概要

1979年、ライオンズの所沢移転に伴い屋外球場「西武ライオンズ球場」として開業。さらに1998年には「屋外球場に屋根を被せる」という類を見ない方法でドーム球場化し*2、西武ドームと改称した。しかし、外壁は部分的にしか設置されず、外壁のない部分は骨組みのみで外気吹きさらしという中途半端な構造*3*4の球場となった。

この中途半端な構造とした理由は、「税法上、完全ドームとするより固定資産税を節税できるから」であるとされたが、国税庁は「西武ドームの屋根は完全ドーム球場と同等であり、固定資産税上でも優遇できない」と判断したため、肝心の節税という恩恵は受けられず本末転倒な結果になっている。

以上のことから、「ドーム球場ではなく屋根の付いた奇怪な何か」という意味合いで、ライオンズの別名「猫」と組み合わせて「猫屋敷」という呼び方が生まれたものと思われる。
元々は蔑称の意味合いが強かったが、現在では普通に西武ファンも使用しており愛称となっている

球場の難点

  • 上記の構造ゆえ、ドーム球場の長所の一つであるはずの空調設備は設置できず*5、かといって屋根があるため屋外球場のような風通しや開放感もない。そのため春先・秋でも寒く、夏場はサウナ状態*6、オフシーズンの冬に関しては凍死するとネタにされるレベルの極寒。さらに荒天時は雨風が吹き込む有様*7となっている。
    • 観客にとって酷な球場だが、ドームに慣れているはずの西武の選手でさえ熱中症を発症する事があるなど選手にとっても過酷。*8
    • ライブなどのイベントが開催されると「何も知らない人々が(夏は暑さ、冬は寒さで)死ぬ」というスレが立つのがお約束
      他にもBanG Dream!(バンドリ!)やラブライブ!サンシャイン!!などのメディアミックスプロジェクトがライブを行っていたが、これら両アニメのファンからも「ベルド暑すぎる」との声が頻出した。
    • 実際に命名権を取得しているベルーナのキャラクター「べるーにゃ」(偶然だがこのキャラクターも猫である)に夏はサウナ、冬は冷凍庫だと指摘されてしまった。
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    • なお、2017年12月から行われた改修により一塁側・三塁側のベンチ内には個別型空調が完備された。
    • 2025年7月8日には暑さ対策として大規模ミストの稼働が始まったが*9、湿度が上昇し逆効果であるとの批判もある。8月9日には追加対策として屋根から屋外に水が流れ落ちる「BIG WATERFALL」が導入された。
  • 西武ドーム周辺は西武球場前駅含め、多摩湖・狭山湖周辺を中心に文字通り森林地帯である。夏季あたりになると、、蚊、など所沢の森に住む昆虫軍団が大挙して場内に侵入し、夏休み終盤には大量の蝉の死骸が落ちていることも。
    • 外野守備中の平田良介(中日)が「(蜂を刺激すると怖いので)ココには打たんといて」と念じていたというエピソードがあるほか、2019年9月1日には甲斐野央(ソフトバンク)が、2021年6月9日にはエドウィン・エスコバー(DeNA)が左腕(利き腕)をそれぞれ蜂に刺されるという実害も発生している。
    • 2013年5月5日にはカラスの襲撃を受けたハトがグラウンドに落下する事件が起きた。
  • 地形と西武球場前駅の位置の都合で、出入口が事実上バックスクリーン裏の1ヶ所にしかなく*10、後述する激しい混雑の原因となっている。
    • 加えて山を削って作られたことから、内野席へ行くルートはウォーキングコースじみた急な坂道となっている。店舗は外周をぐるりと囲むように設けられているため、物販の利用にも一苦労である*11*12
  • コンビニは駅前の1店舗しかなく、試合前やイベント開演前は大混雑となる。しかも球場との間には信号機付きの横断歩道があり、これはこれで別な渋滞が発生する*13


アクセス

球場の所在地は埼玉県所沢市*14だが、中心部から離れた郊外にある。
至近に西武球場前駅があり、池袋から約30分で直通する特急列車も運行されており都心からのアクセスは良好。また試合開催時は池袋線直通のほか、新宿線*15への直通列車もわずかながら運行されており、西武線沿線からのアクセスは便利である。他方、路線網の関係*16で埼玉県内からの鉄道アクセスは不便である*17

加えて、試合またはイベント終了後1時間前後は、西武球場前駅内外で混雑が慢性化している。同駅には狭山線と山口線(レオライナー)が乗り入れているが、どちらも構造上列車本数が限られており*18、さらに山口線は新交通システムの小型車両4両編成なので収容力が低く、本数も少なければ終電も早い*19ためである。鉄道以外の交通として西武バス・立川バスが多摩都市モノレール上北台駅・JR立川駅*20まで運行されており、都内多摩地区からのアクセスには便利だが、鉄道との利用客分散にはなっていない。

それでも、通常の野球の試合であれば帰宅タイミングが分散し混雑が酷くならない場合が多いが*21コンサート等のイベントではプロ野球より電車利用の来場人数が上回るイベントが多く、ほぼ全員同じ帰宅タイミングのため、駅前ではまともに動けないレベルの混雑が発生する。プロ野球の場合、西武ファンは埼玉県民や西武線沿線の東京都民が圧倒的に多いため多くが途中駅で降りてしまい池袋時点では空いていることも多数だが、コンサートの場合は大多数が池袋まで向かってしまうので、池袋行き*22*23の場合は終点まで混雑したままであることも多い。そのため、西武球場前駅での乗車を諦めて近隣の駅まで歩く人も少なくない。近隣の駅は西所沢駅*24、上北台駅*25、多摩湖駅*26が挙げられる。

選手の証言

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虫に襲われるライオンズの選手たち

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関連項目

Tag: 西武 球場 交通機関


*1 ネーミングライツ(命名権)により名称は何度か変更されており、2024年現在の名称は「ベルーナドーム」である。
*2 当初から屋根を載せられる設計にはなっていた。なお、近隣に併設されている二軍本拠地である西武第二球場(命名権名称は「CAR3219フィールド」)にはこのような構造はなく、通常の屋外球場である。
*3 この特徴から、ドーム球場なのに場外ホームランが出たことがある。また、密閉されていないことで消防法上は屋外扱い(=内部で火が使える)になっている。この利点(火が使用できることによる高品質のグルメの提供など)を活かすためか予算の都合かそれとも構造上の制約か、はたまた別の理由があるのかは定かではないものの、後年の改修においても密閉化(完全ドーム化)はなされていない。
*4 開閉式屋根付きスタジアムにおいては屋根を閉めた状態でも完全な密閉状態にならず外壁が無い場所が存在するケースも多く、アメリカのMLB所属球団本拠地で複数見られるほか、野球場では無いものの日本でも大分ドーム(Jリーグ・大分トリニータ本拠地)など開閉式屋根付きサッカースタジアム等でそのような例が見られる。
*5 送風機やスプリンクラーは存在する。
*6 ドーム球場でありながら、他の屋外球場と同様に夏場は休日でもナイトゲームで開催されている。
*7 オープン戦など季節によっては雪が降り場内に吹き込む場合も。2018年のオープン戦はドームなのに2℃になった日があり、投手陣が寒さで練習できなかったというエピソードまである。なお、屋根が未完成だった1998年シーズンは雨天による試合中止が数試合存在したが、完成後の1999年以降は「荒天時に雨風が吹き込んで試合が中止になることがある」ということはなく、雨天中止になった試合はいずれも台風や豪雨による交通機関の乱れや観客の安全を考慮してのものである。
*8 2020年8月にはプロ19年目中村剛也が試合前練習で熱中症を発症し、2024年には4月にも関わらず高橋光成が、2025年には6月末に今井達也が熱中症とみられる症状で登板後に病院で診察を受ける事態が発生しており、特に今井の一件に関しては対戦相手の新庄剛志監督が「いや、危ない危ない。熱中症が危ない。(伊藤は)投げた方ですよ。この球場に関しては完投はなし」「(今井について)マウンドでトラウマにならないといいですね、急に来るのは怖いと思うから」と思いやる発言をしながら遠回しに西武ドームの環境について語っている。
*9 同日の『NHKニュース7』でも取り上げられたが、「ネット上で『サウナドーム』と揶揄されている」と紹介された。
*10 バックネット裏にも一応出入口が存在し、駐車場の利用には便利である。しかし車で来場する観客が少なく、鉄道利用の客にとっては駅とは真逆の方向となるため、あまり使われていない。
*11 外周ではなく座席にあるコンコースを使えば坂道を上らなくてもよい構造にはなっているが、店舗はないうえあまり広くない。
*12 最前列を除いた一般席以外の大体の場所(トイレ含む)に階段を使わずに行くことができるため、全面的なバリアフリー構造として評価する向きはある。
*13 すぐ近くに歩道橋は存在するが、高低差が大きいため利用者の多くが横断歩道に流れている。
*14 一塁内野側の裏にある道路が東京都(東大和市)と埼玉県の都県境になっている。新型コロナウイルスの影響により東京都におけるイベント開催制限要請が発動された際は、この道路一本の差によりギリギリ無観客試合を免れた。
*15 本川越方面。かつては西武新宿方面への直通列車もあったが2022年から道路工事の兼ね合いで運休中。
*16 そもそも埼玉県の鉄道・道路網自体、東京と群馬・栃木方面を結ぶ路線が南北方向へ多数通過している一方、東西間の連絡は弱く、結果的に県内の主要都市同士の連絡は希薄になっている。
*17 埼玉県内で西武線が他社線と直接接続している駅は東飯能駅(池袋線とJR八高線)しかなく、乗り換え可能な駅を含めても新宿線の本川越駅(東武東上線の川越市駅から徒歩約5分、東上線・JR川越線の川越駅から徒歩約10分)と西武秩父線の西武秩父駅(秩父鉄道の御花畑駅から徒歩約5分)くらい。これらの駅は全て、所沢から見て東京側の主要ターミナル駅である池袋・新宿方面とは逆方向にある。池袋線の池袋~所沢間で他社線と乗り換え可能な駅も練馬駅(都営大江戸線)、秋津駅(JR武蔵野線の新秋津駅から徒歩約5分)のみ(勘違いされやすいが練馬駅で接している有楽町線は西武有楽町線である)で、新宿線も高田馬場~所沢間には中井駅の都営大江戸線を除いて他社線と乗り換え可能な駅がない。
*18 共に全区間が単線で行き違いが可能な駅が1つしかないため。
*19 1時間に2-3本の運転本数で、西武球場前駅からの終電は22時20分発(土休日は27分発)多摩湖行き。なお、野球・コンサート開催時は10分間隔に増発され、終了時間に応じて終電の繰り下げも行われる。
*20 2023シーズンより道路工事の関係で土・休日の野球開催時のみ。2024シーズンより同年施行されたドライバーの労働時間規制のため試合開始後3時間30分後が終バスとなり更に使いづらくなった。なお、コンサート開催日は駐車場が物販会場となりスペースがないため運行されない。
*21 ライオンズ勝利の場合はヒーローインタビューが行われるだけではなく、ビクトリーセレモニーと呼ばれる演出が施されるため応援団主催の二次会開始が試合終了後10分以上後になることが多い。ビジターチーム勝利の場合でも他球場と同様にヒーローインタビューが行われ、応援団主催の二次会が行われるため帰宅タイミングが分散される。
*22 コンサートで設定される池袋行きは各駅停車と速達種別である準急・快速・急行がある。各駅停車は途中駅で必ず速達列車に抜かれるものの、西武球場前駅で待機している訳ではないため早く乗れる。速達種別の列車は西武球場前駅及び周辺の駅に待機している車両が充当され、コンサート終了時間に合わせて運行されるため発車時間が当日までわからず乗換案内アプリにも掲載されない。また、乗車してからも中々動かない可能性がある。
*23 野球開催日はコンサート同様に試合終了時間に合わせて設定される速達種別の池袋行きがある他、試合開始3時間30分後付近に特急池袋行き(この特急は試合時間関係なく発車するため乗換案内アプリにも掲載される。 その為試合が早く終われば利用する場合は発車まで待ちぼうけを喰らい、逆に試合が長引けば試合終了を待たずに出て行ってしまう 利用の見極めは慎重に)が発車する。各駅停車池袋行きは土日だけある。1本だけ新宿線本川越行きが、平日ナイターの場合は1本だけ全線各駅停車な元町・中華街行きがある。保谷行きや狭山線内完結となる西所沢行きも出現する。
*24 池袋線と狭山線が分岐する駅。西武球場前駅から来た電車は満員近くになっている一方、飯能・小手指方面から来た電車ならそこまで混んでいないため。尚特急と昼間のみ運行する快速急行は通過する為注意。
*25 先述したように多摩都市モノレールの駅。コンサート開催日はバス駐車スペースがないためバスが運行されないのもある。上北台までの徒歩ルートは東京都に入ってからすぐの多摩湖付近の歩道がないと思った方が良いレベルなので注意。接続路線としては玉川上水で西武拝島線、立川(多摩都市モノレールの立川駅は存在せず立川北駅と立川南駅に別れる 上北台からだと立川北の方が近いが間違えて立川南まで乗っても問題ない)で中央線・青梅線(青梅線は玉川上水で西武拝島線乗り換えし拝島からでも行ける)・南武線、高幡不動で京王線、多摩センターで京王相模原線と小田急多摩線(多摩センターの京王と小田急は正式な駅名は社名が付くが実質同じ駅である)がある。
*26 山口線の反対側の始発駅であり、この駅で多摩湖線と乗り換えとなる。山口線は先述したように輸送力が少ないため多摩湖から多摩湖線に乗車する場合は乗車することが容易。基本的に中央線に接続する国分寺行き4両編成であるが、普通の車両であるため通常は山口線からの乗り換え客全員を詰め込んでもまだ余裕がある。この他萩山で西武拝島線に接続する。西武拝島線は小平以東の西武新宿線に直通する列車が多く、西武新宿~小平間では概ね半分程度の列車が拝島線に流れ、小平駅で新宿線本川越方面の列車と拝島線拝島方面の列車が接続する。西武新宿から西武球場前に向かう場合は多くのケースで多摩湖経由が最速となる。仮に西武球場前駅を利用せずに新宿に抜ける場合は多摩湖駅まで徒歩して萩山で乗り換えるルートが最速となる。なお西武新宿駅とJR新宿駅は数百メートルほど離れているため、スムーズに乗り換えたい場合は一つ手前の高田馬場駅で下車し山手線に乗り換えて新宿駅に向かうのもおすすめ。