猫屋敷

Last-modified: 2024-11-29 (金) 09:08:28

埼玉西武ライオンズの本拠地・西武ドーム*1の蔑称・愛称。「屋根付き」「自然共生(強制)型球場」とも。
なんJに限らず野球ch野球板など、古くからネット上では広く用いられている別称でもある。

概要

1979年、ライオンズの所沢移転に伴い屋外球場「西武ライオンズ球場」として開業。さらに1998年には「屋外球場に屋根を被せる」という類を見ない方法でドーム球場化し*2、西武ドームと改称した。しかし、外壁は部分的にしか設置されず、外壁のない部分は骨組みのみで外気吹きさらしという中途半端な構造*3の球場となった。

この中途半端な構造とした理由は、「税法上、完全ドームとするより固定資産税を節税できるから」であるとされたが、国税庁は「西武ドームの屋根は完全ドーム球場と同等であり、固定資産税上でも優遇できない」と判断したため、肝心の節税という恩恵は受けられず本末転倒な結果になっている。

以上のことから、「ドーム球場ではなく屋根の付いた奇怪な何か」という意味合いで、ライオンズの別名「猫」と組み合わせて「猫屋敷」という呼び方が生まれたものと思われる。
元々は蔑称の意味合いが強かったが、現在では普通に西武ファンも使用しており愛称となっている。

球場の難点

  • 上記の構造ゆえ、ドーム球場の長所の一つであるはずの空調設備は設置できず*4、かといって屋根があるため屋外球場のような風通しや開放感もない。そのため春先・秋は極寒、夏場はサウナ状態*5、さらに荒天時は雨風が吹き込む有様*6となっている。
    • 観客にとっても酷な観戦環境のため、オフシーズンにライブなどのイベントが開催されると「何も知らない人々が凍死する」というスレが立ったりする。
    • 実際に命名権を取得しているベルーナのキャラクター「べるーにゃ」(偶然だがこのキャラクターも猫である)に夏はサウナ、冬は冷凍庫だと指摘されてしまった。
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    • なお、2017年12月から行われた改修により一塁側・三塁側のベンチ内には個別型空調が完備された。
  • 西武ドーム周辺は西武球場前駅含め、多摩湖・狭山湖周辺を中心に文字通り森林地帯である。夏季あたりになると、、蚊、など所沢の森に住む昆虫軍団が大挙して場内に侵入し、夏休み終盤には大量の蝉の死骸が落ちていることも。
    • 外野守備中の平田良介(中日)が「(蜂を刺激すると怖いので)ココには打たんといて」と念じていたというエピソードがあるほか、2019年9月1日には甲斐野央(ソフトバンク)が、2021年6月9日にはエドウィン・エスコバー(DeNA)が左腕(利き腕)をそれぞれ蜂に刺されるという実害も発生している。
    • 2013年5月5日にはカラスの襲撃を受けたハトがグラウンドに落下する事件が起きた。
  • 地形と西武球場前駅の位置の都合で、出入口が事実上バックスクリーン裏の1ヶ所にしかなく*7、後述する激しい混雑の原因となっている。
    • 加えて山を削って作られたことから、内野席へ行くルートはウォーキングコースじみた急な坂道となっている。店舗は外周をぐるりと囲むように設けられているため、物販の利用にも一苦労である*8*9
  • コンビニは駅前の1店舗しかなく、試合前やイベント開演前は大混雑となる。しかも球場との間には信号機付きの横断歩道があり、これはこれで別な渋滞が発生する*10


アクセス

球場の所在地は埼玉県所沢市*11だが、中心部から離れた郊外にある。
至近に西武球場前駅があり、池袋から約30分で直通する特急列車も運行されており都心からのアクセスは良好。他方、路線網の関係で埼玉県内からの鉄道アクセスは不便である*12

加えて、試合またはイベント終了後1時間前後は、西武球場前駅内外で混雑が慢性化している。同駅には狭山線と山口線(レオライナー)が乗り入れているが、どちらも構造上列車本数が限られており*13、さらに山口線は新交通システムの小型車両4両編成なので収容力が低く、本数も少なければ終電も早い*14ためである。鉄道以外の交通として西武バス・立川バスが多摩都市モノレール上北台駅・JR立川駅*15まで運行されており、都内多摩地区からのアクセスには便利だが、鉄道との利用客分散にはなっていない。

それでも、通常の野球の試合であれば帰宅タイミングが分散し混雑が酷くならない場合もあるが、コンサート等のイベントではプロ野球より電車利用の来場人数が上回るイベントが多く、ほぼ全員同じ帰宅タイミングのため、駅前ではまともに動けないレベルの混雑が発生する。プロ野球の場合、西武ファンは埼玉県民や西武線沿線の東京都民が圧倒的に多いため多くが途中駅で降りてしまい池袋時点では空いていることも多数だが、コンサートの場合は大多数が池袋まで向かってしまうので、池袋行きの場合は終点まで混雑したままであることも多い。

選手の証言

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虫に襲われるライオンズの選手たち

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関連項目

Tag: 西武 球場 交通機関


*1 ネーミングライツ(命名権)により名称は何度か変更されており、2024年現在の名称は「ベルーナドーム」である。
*2 当初から屋根を載せられる設計にはなっていた。
*3 この特徴から、ドーム球場なのに場外ホームランが出たことがある。また、密閉されていないことで消防法上は屋外扱い(=内部で火が使える)になっている。この利点を活かすためか予算の都合かそれとも構造上の制約か、はたまた別の理由があるのかは定かではないものの、後年の改修においても密閉化(完全ドーム化)はなされていない。
*4 送風機やスプリンクラーは存在する。
*5 ドーム球場でありながら、他の屋外球場と同様に夏場は休日でもナイトゲームで開催されている。さらに、ドームに慣れているはずの西武の選手でさえ熱中症を発症する事があり、2020年8月にはプロ19年目中村剛也が試合前練習で熱中症を発症し、2024年には4月にも関わらず高橋光成が熱中症とみられる症状で登板後に病院で診察を受けた。
*6 オープン戦など季節によっては雪が降り場内に吹き込む場合も。2018年のオープン戦はドームなのに2℃になった日があり、投手陣が寒さで練習できなかったというエピソードまである。なお、屋根が未完成だった1998年シーズンは雨天による試合中止が数試合存在したが、完成後の1999年以降は「荒天時に雨風が吹き込んで試合が中止になることがある」ということはなく、雨天中止になった試合はいずれも台風や豪雨による交通機関の乱れや観客の安全を考慮してのものである。
*7 バックネット裏にも一応出入口が存在し、駐車場の利用には便利である。しかし車で来場する観客が少なく、鉄道利用の客にとっては駅とは真逆の方向となるため、あまり使われていない。
*8 外周ではなく座席にあるコンコースを使えば坂道を上らなくてもよい構造にはなっているが、店舗はないうえあまり広くない。
*9 最前列を除いた一般席以外の大体の場所(トイレ含む)に階段を使わずに行くことができるため、全面的なバリアフリー構造として評価する向きはある。
*10 すぐ近くに歩道橋は存在するが、高低差が大きいため利用者の多くが横断歩道に流れている。
*11 一塁内野側の裏にある道路が東京都(東大和市)と埼玉県の都県境になっている。新型コロナウイルスの影響により東京都におけるイベント開催制限要請が発動された際は、この道路一本の差によりギリギリ無観客試合を免れた。
*12 埼玉県内で西武線が他社線と直接接続している駅は東飯能駅(池袋線とJR八高線)しかない。そもそも埼玉県の鉄道網自体、東京と群馬・栃木方面を結ぶ路線が南北方向へ多数通過している一方、東西間の連絡は弱く、結果的に県内の主要都市同士の連絡は希薄になっている。
*13 共に全区間が単線で行き違いが可能な駅が1つしかないため。
*14 1時間に2-3本の運転本数で、西武球場前駅からの終電は22時20分発(土休日は27分発)多摩湖行き。なお、野球・コンサート開催時は10分間隔に増発され、終了時間に応じて終電の繰り下げも行われる
*15 2023シーズンより道路工事の関係で土・休日の野球開催時のみ 2024シーズンは同年施行されたドライバーの労働時間規制のため試合開始後3時間30分後が終バスとなり更に使いづらくなった なお、コンサート開催日は駐車場が物販会場となりスペースがないため運行されない