猫屋敷

Last-modified: 2023-01-24 (火) 21:00:38

埼玉西武ライオンズの本拠地・西武ドーム*1の蔑称・愛称。「屋根付き」「自然共生(強制)型球場」とも。
なんJに限らず野球ch野球板など、古くからネット上では広く用いられている別称でもある。


概要

1979年、ライオンズ所沢移転に伴い屋外球場「西武ライオンズ球場」として開業。さらに1998年、「山を削って作られた屋外球場に屋根を被せる」という類を見ない方法でドーム球場化し、『西武ドーム』*2と改称した。その結果、外壁が部分的にしか存在せず、外壁のない部分は骨組のみで外気吹きさらしという中途半端な特徴*3の球場となった。
この中途半端な構造とした理由は、「税法上、完全ドームとするより固定資産税を節税できるから」であるとされるが、国税庁は「西武ドームの屋根は完全ドーム球場と同等であり、固定資産税上でも優遇できない」と判断したため、肝心の節税という恩恵は受けられず本末転倒な結果になっている。
以上のことから、「ドーム球場ではなく屋根の付いた奇怪な何か」という意味合いで、ライオンズの別名「猫」と組み合わせて「猫屋敷」という呼び方が生まれたものと思われる。
元々は蔑称の意味合いが強かったが、現在では普通に西武ファンも使用しており愛称となっている。

特徴

  • 上記の中途半端さ故に、本来ドーム球場の長所の一つであるはずの空調設備は設置できず*4、かといって屋根があるため屋外球場のような風通しや解放感もなく、春先・秋は極寒、夏場はサウナ*5*6、さらに荒天時は雨風が吹き込む有様*7となっている。
    • 観客にとっても酷な観戦環境のため、西武が日本シリーズに進出すると「何も知らない(セ・リーグ他球団)ファンが凍死する」というスレが立ったりする。
  • 西武ドーム周辺は西武球場前駅含め、多摩湖・狭山湖周辺を中心に文字通り森林地帯である。夏季あたりになると、セミ、蚊、ハチ、蚋など所沢の森に住む昆虫軍団が大挙して場内に侵入し、夏休み終盤には大量のセミの死骸が落ちている。
    • そのせいか、源田壮亮は虫が大の苦手だと公言しており外野守備中の平田良介(中日)が「(蜂を刺激すると怖いので)ココには打たんといて」と念じていた、というエピソードがある他、2019年9月1日にはソフトバンク・甲斐野央*8が、2021年6月9日にはDeNA・エスコバーが左腕(利き腕)をそれぞれハチに刺されるという実害も発生している。
  • コンビニは駅前の1店舗しかなく、試合前やイベント開演前は大混雑となる。
  • このようなネガティブな面が目立つ反面、郊外故に自然が豊富で、春は桜が美しく咲き誇り秋は紅葉が素晴らしい。一見の価値あり。

ドームエリア改修

西武ライオンズ創設40周年を控えた2017年11月15日、40周年記念事業の一環でメットライフドーム(当時の本拠地名称)エリアの改修計画を発表。
現存するNPB本拠地野球場として唯一周辺にサブグラウンド・屋内練習場・合宿所等の施設が揃うものの、老朽化に加え季節毎に発生するプレー環境の極端さも度々指摘され*9、選手流出の遠因とすら噂されていた。

このため「チームと育成の強化」「ボールパーク化」の2つを軸に、2017年12月から本拠地改修計画を実行。工事期間約3年・総投資額約180億円を費やし2021年シーズン開幕前の3月に改修が完了した。

チーム・育成の強化

チーム・育成の強化

  • ドーム内ベンチ
    上記の「春先・秋は極寒、夏場はサウナ」という状態の改善を図り、一塁側・三塁側ベンチ内各座席前方に個別型空調が完備された。
  • ライオンズトレーニングセンター
    新・若獅子寮に併設する形で新築。12球団最大級の広さと設備を導入*10
    またファンデッキからは室内練習の見学が可能で、外壁面にはビクトリーエンブレムと同じ「WE ARE ONE」を掲出している。
  • 新・若獅子寮
    “野球に集中する環境の提供”を目的に、老朽化が顕著だった初代若獅子寮に代わり、B駐車場だった敷地内に4階建ての建物として新築*11
    ライオンズトレーニングセンターにも隣接しており、野球に打ち込める環境を整備。
  • CAR3219(カーミニーク)フィールド
    西武第二球場を改修しスポンサー契約の締結を受け、新名称「CAR3219フィールド」となりリニューアルオープン。観客席240席・大型ビジョン(スコアボード)が新設された。
    また初代・若獅子寮跡地を利用し、ブルペンを拡張しサブグラウンドを新設。二・三軍の練習環境を整備。
  • 西武ライオンズ・オフィス棟
    球団事務所として獅子ビルに隣接する形で新設。レンガ調のアーチとガラス面が融合した外観。
ボールパーク化(サービス面の強化)

ボールパーク化(サービス面の強化)

  • メットライフドーム
    ドーム内の座席を見直し、外野芝生席*12を完全撤廃した上で席種を28種類に増加*13
    またドーム内の映像・音響機器を改修。メインビジョン「Lビジョン」の大きさを2倍に拡大。さらにサブビジョンを新設し、スピーカー・デジタルサイネージも増設。
  • 新・メインゲート
    西武ライオンズ球場開場以来、使用していた1・3塁側入場ゲートを撤去。ドーム正面に新メインゲートを設置。
  • 新・スタジアムグルメ
    改修以前よりスタジアムグルメに定評*14があり種類も豊富だったが、改修に伴い2021年シーズンからNPB本拠地最大規模となる全77店・メニュー数1000種類以上に拡大。特に一・三塁コンコースエリアが拡張され、新規21店を加えた全38店が出店。グルメに期待する観客は更に満足できる仕様になった。余談だがライオンズOB・米野智人氏がオーナーを務める「BACKYARD BUTCHERS」が、2021年シーズンより一塁側で新規出店となった。
  • トレイン広場
    新しいシンボルとして、西武鉄道の本物の車両*15に、ライオンズのチームカラーを中心に塗装変更などを施した「L-train 101」を設置。球場との映像演出と連動した演出を実装予定*16
    また広場の横にテイクアウト専門店「CRAFT BEERS OF TRAIN PARK」が先立って併設されており、多種多様なクラフトビールとオリジナルフードを提供する。
  • ライオンズ チームストア フラッグス
    600㎡超を誇る球団の大型グッズショップを新設。1階はライオンズグッズの販売、2階はライオンズグッズの販売やユニフォームの圧着サービスを実施。
  • 新・ファンサービス拠点
    ライオンズチームストアフラッグスの対面にファンサービスの拠点として「チケットセンター」「ファンクラブカウンター」「球弁」を新設。ドーム外ショップ「球弁」では選手プロデュース弁当や勝サンドを販売。また、建物上の新デッキ「ライオンデッキ」に、ボールパークの象徴となる白く巨大なライオンオブジェが誕生。
  • テイキョウキッズフィールド
    レフトスタンド後方、広さ約1,000㎡の敷地に建てられたオリジナルの大型屋外遊戯施設。所々にレオ・ライナやホームベースなどのデザインを施され、ライオンズや野球に触れながら遊べる。
  • 獅子ビル
    リニューアルオープン。2階には大型フードエリア「グリーンフォレスト デリ&カフェ」を新設。3階には新グッズショップ「ライオンズチームストア獅子ビル」・屋内こども広場「テイキョウキッズルーム」が存在する。
  • DAZNデッキ
    獅子ビルと3塁側コンコースを繋ぐデッキとして新設。大型ビジョン「DAZNビジョン」を新設し、試合の中継や映像コンテンツを放映予定。

アクセス

球場の所在地は埼玉県所沢市*17だが中心部から離れた郊外にあるため、埼玉県内からもアクセスが不便*18であるなど、不評を買っている。
しかも、地形と最寄駅・西武球場前駅の位置の都合で出入口が事実上バックスクリーン裏の1ヶ所にしかない*19上、山を削って作られたことから、内野席へ行くルートはウォーキングコースじみた急な坂道となっている*20*21

ただし、西武狭山線・西武山口線(レオライナー)の臨時ダイヤ*22により最低でも池袋方面や新宿方面へ出られるので、東京都心方面のアクセスは便利である。
系列の西武バスも多摩都市モノレール上北台駅・JR立川駅まで臨時バスを運行してくれる。
ただし試合またはイベント終了後約1時間前後は西武球場前駅内外で混雑が酷く、狭山線・山口線で遅延が発生するので注意が必要*23

選手の証言

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虫に襲われるライオンズの選手たち

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関連項目



Tag: 西武 球場 交通機関


*1 ネーミングライツにより名称は何度か変更されており、2022年3月からはベルーナドーム。
*2 当初から屋根を載せられる設計となっており、これを利用し1998年にスタンドに屋根を設置して西武ドームと改称、翌1999年にフィールドも屋根で覆う工事が完了した。
*3 この特徴から、国内で唯一ドーム球場なのに場外ホームランが出たことがある。また、後述するが密閉されていないことで消防法上は屋外扱い(=内部で火が使える)になっている。
*4 巨大な扇風機やスプリンクラーは存在する。
*5 ドームに慣れているはずの西武の選手でさえ熱中症を発症する事がある。事実、2020年8月には中村剛也(プロ19年目)が試合前練習で熱中症を発症している。
*6 そのため、ドーム球場でありながら夏場は常にナイトゲームで開催されている。
*7 オープン戦など季節によっては雪が降り場内に吹き込む場合も。2018年オープン戦はドームなのに2℃になった日があり、投手陣が寒さで練習できなかったエピソードがある(そもそも野球自体冬場に向かないスポーツと言える)。なお、屋根が未完成だった1998年シーズンは、日本シリーズ第3戦など雨天による試合中止が数試合存在したが、完成後の1999年以降は「荒天時に雨風が吹き込んで試合が中止になることがある」ということはなく、今までに雨天中止になった試合はいずれも台風や豪雨による交通機関の乱れや観客の安全を考慮してのものである。
*8 この日は千賀滉大も6回のマウンドで虫に纏わりつかれて格闘していた。
*9 特に金村義明は旧若獅子周辺に有刺鉄線が張ってあった事、第3球場を(嘗てオウム真理教が建設した建造物群を捩って)サティアンと呼称していた程であった。
*10 ドームと同様の人工芝を取り入れ、ブルペン5レーン・バッティング4レーンの専用ゾーンなどを設置。
*11 1階はトレーニングルーム、水風呂・サウナ付きバスルームを完備。2階のロッカールームにはNPBの球団施設としては初めてMLB仕様のロッカーを選手全員分設置。3階は管理栄養士による栄養面を考慮した食事が提供されるカフェテリアを新設。最上階にある寮部屋は20室から28室に増え、家具一式も新調された。
*12 開場時からの名物でもあったが、「『立つ→座る』を繰り返すスクワット応援」を行う広島東洋カープファンからは不評で、比較的空いている日だと、芝生席に飛んできたホームランボールに観客が群がる光景が中継で映ることもあった。
*13 バックネット裏エリアに「ネット裏パーティーテラス」「アメリカン・エキスプレスプレミアムラウンジ」。フィールドビューエリア後方に「フィールドビューソファ」。L'sテラスエリア3塁側ベンチ上に「コカ・コーラダグアウトトップシート」。内野エリア・ブルペンの真横に「ブルペンかぶりつきシート」。外野エリアは長年の名物だった芝生席を廃止し「クッション付き外野指定席」「パノラマテラス」「ユニバーサルデッキ」が登場。
*14 前述通り消防法上は屋外扱いのため、外野外周の飲食店ブースでは直火を使用した出来たて・アチアチの料理が提供できる。
*15 2020年11月に引退した西武鉄道新101系261編成の先頭車両だったクハ1262。晩年は主に西武多摩湖線などで活躍したが、かつては勿論西武球場前駅にも乗り入れていた。
*16 ※新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2021シーズンは当面の間利用不可。
*17 外野スタンドの外側にある道路が東京都と埼玉県の都県境になっている。
*18 そもそも埼玉県内で西武線が他社路線と接続している駅が3駅(本川越、東飯能、西武秩父)しかない。特に埼玉県のJR沿線からは一度池袋または新宿、高田馬場に出て乗り換える、JR武蔵野線で新秋津駅(西武池袋線秋津駅と徒歩連絡)まで出る、川越駅・川越市駅から本川越駅に乗り換える方法があるがいずれも非常に不便である。駅舎内乗り換え出来る池袋と高田馬場はともかく新宿-西武新宿、秋津-新秋津、川越-本川越のいずれもかなり離れており徒歩で5~10分かかる。
*19 バックネット裏にも一応出入口が存在し、駐車場の利用には便利である。しかし車で来場する観客が少なく、電車客にとっては駅とは真逆の方向となるため、あまり役に立っていない。
*20 外周ではなく中央の通路を使えば坂道を上らなくてもよい構造にはなっているがあまり役に立っていない。
*21 前述のグルメショップは外周をぐるりと囲むように配置されており、一応両翼に同じ店舗が多く配置されるよう配慮はされているが一塁側・三塁側の片方にしかない店舗も多く、しかもホームベース側は高級指定席エリアでありチケットを持っていないと入場及び通過も出来ない為、お目当ての店舗が席から遠い場合最悪内野席から反対の内野席までを外野側のキツい坂道を歩いて行って帰って来なければならない。
*22 野球開催に限らずコンサート等のイベントでも臨時ダイヤが組まれる。特に前者は池袋線への直通列車が大幅に増便されるため、乗り換え無しで地下鉄への乗換駅である練馬や池袋まで行ける事が多くなる。
*23 共に全区間が単線で行き違いが可能な駅が1つしかなく、運行間隔が開き列車本数を増やせない事情があるため。野球の試合であれば日によるが帰宅タイミングが分散し混雑が酷くならない場合もあるが、コンサート等のイベントではプロ野球より来場人数が上回るイベントが多く、ほぼ全員同じ帰宅タイミングのため、駅前ではまともに動けないレベルの滞留が発生する。