シルエット

Last-modified: 2024-12-17 (火) 21:42:33

2022年オフ、福岡ソフトバンクホークスのスポンサーパーティーにてスクリーンに映し出されたもの。
転じて、ソフトバンクが2022年オフに実施した補強を指す。
また、「ソフトバンクが国内の他球団から有力選手を強奪する」という意味で使われることもあり、その場合は蔑称としての意味合いも持つ。

絵文字の「👤*1」で表される事もある。

概要

2022年のオフシーズンはFA宣言選手が例年に比べ多く、外国人選手も多くが自由契約となった。

この年に屈辱的な大逆転V逸を喫したソフトバンクは、来シーズンの優勝に向けて積極的な補強に乗り出し、まず11月21日にDeNAからFA宣言した嶺井博希の獲得を発表。
9日後の11月30日、ソフトバンクはスポンサーパーティーにて補強に意欲的であることをアピール。この時プレゼンの際に用いられたスクリーンには獲得予定の選手のシルエットが表示され、複数のスポーツ紙がこれを

  • 近藤健介(日本ハムからFA宣言)
  • ジョー・ガンケル(阪神から自由契約)
  • ロベルト・オスナ(ロッテと契約満了)

であると報じた。
近藤やガンケルはともかくオスナについてはシルエット発表時点では自由契約ではなかった(リリースされていなかった)にもかかわらず堂々と獲得を宣言されたことから、特にロッテファンからの反発が大きく*2、瞬く間に「シルエット」は蔑称と化した。一方で、この事がタンバリングだと言える確実な証拠はなく、そもそもタンバリング自体、FA選手獲得の間では、ソフトバンクだけでなくすべての球団が暗黙の了解で行っているため、黙って見守る事しか出来ないと考えるファンも一定数いた。

日刊スポーツの記事

【ソフトバンク】球団社長がオフの大型補強予告「積極的にやっています」3選手のシルエット映し
https://www.nikkansports.com/baseball/news/202211300001067.html


2年連続V逸に終わったソフトバンクが、オフの大型補強を予告した。11月30日、福岡市内のホテルで行われたスポンサーパーティー。後藤芳光球団社長兼オーナー代行(59)は「オフの補強と言えば、FAや外国人。これはチームに刺激をいい形で与えてくれるみなさんです。今年も積極的にやっています」と、恒例となった壇上でのプレゼンで熱弁。スクリーンに映し出された3選手のシルエットを見ながら会場に集まった支援者に訴えかけた。
シルエットの3人は、日本ハムからFA宣言した近藤、阪神退団のガンケル、去就が注目されるロッテ・オスナのもよう。「今、GMの三笠くんが鋭意活動中で、間もなく結果が出ると思います」と自信満々に手応えを明かした。


シルエットは本当に補強選手だったのか?

このスポンサーパーティーは非公開であり、実物のシルエット画像も公開されていない。シルエットが誰を指しているのかまでは明言しないメディアもあったほか、先述のように選手を名指ししたメディアも「…とみられる」「…のもよう」と曖昧な表現に終始しており、少なくとも実際のパーティーの場では選手名が明示されることはなかったと思われる。

しかしながら、先述の日刊スポーツのほかスポーツ報知デイリースポーツ東京スポーツといった大手スポーツ紙が軒並み選手名を明らかにしており、複数紙の記者に伝わるレベルで具体的な選手が判明する形の獲得表明であった可能性は高い。

画像

JwfOt1z.png

※上記の通り、この画像のシルエットは実際のスポンサーパーティーで表示されたものではなく、日刊スポーツが独自に作成したものと思われる。

実際に行われた補強

12月に入るとソフトバンクが各選手を獲得したとの報道が相次ぐ。12月10日にオスナ(1年契約6億円以上)、12月12日に近藤健介(出来高含む7年契約50億円以上)、12月20日にガンケル(1年契約1億6000万円)と契約合意したと報道され、すべてシルエットで提示されていた通りになった。
この3名と先述の嶺井に加え、後に新外国人のコートニー・ホーキンスやウイリアンス・アストゥディーヨ、レンジャーズ傘下をFAとなっていた有原航平を獲得
2022年オフだけで複数年契約の総額も含めれば80億円の大補強を行ったと報道された。

2023年のチームおよび各選手の結果

以上の補強によって優勝候補と期待されたソフトバンクは、シーズン序盤は順当に首位争いに加わっていたものの、中盤で失速し首位争いから脱落。優勝どころかBクラス転落の危機にまで陥り、この頃から一部メディアにおいても「大補強を実施したにもかかわらずチームは勝てなかった」と謗られるようになる。
最終的には昨年を下回る3位*3となり、クライマックスシリーズも1stステージで敗退となった。

ただし「シルエット」の補強で獲得した選手のうち、近藤とオスナは前評判以上の好成績を残しており、補強に関しては一定の成果を挙げた形となった。

  • ジョー・ガンケル
    • 0勝1敗、防御率5.82。一軍登板は5試合のみ。
  • 近藤健介
    • 打率.303(リーグ2位)、87打点(リーグ1位)、26本塁打(リーグ1位タイ*4)、出塁率.431(リーグ1位)。あらゆる項目で自己ベストを更新し、複数の野手タイトルを獲得。
  • ロベルト・オスナ
    • 3勝2敗26セーブ、防御率0.92。7月下旬までパ球団相手に無失点という圧倒的な成績を残し、ソフトバンクの新たな守護神としての地位を確立。


その後

  • 不振に終わったガンケルは、そのまま同年に退団となった。
  • 2023年オフも補強を続けたソフトバンクは、MLB復帰の可能性を含めて去就が注目されていたオスナと再契約。4年総額50億円超+出来高という日本円ベースでNPB史上最高年俸とみられる超大型契約での残留が発表された。なお翌シーズンの日シリで見事にやらかし、更にネタ化するというのはまだこの時点では誰も知る由もなかった…。

関連項目

Tag: ソフトバンク 契約更改 報道機関 蔑称


*1 「シルエット」で変換される。
*2 過去にはロッテの主砲として活躍していたアルフレド・デスパイネが札束攻勢でソフトバンクに移籍した事例があり、デスパイネ流出の二の舞を懸念するロッテファンは多かった。
*3 71勝69敗3分。3連覇したオリックスとは15.5ゲームの大差をつけられた。2位のロッテとはゲーム差無しだったが、引き分けが多かったロッテの勝率が.0001上回った。なおAクラスのチームには勝ち越すことができなかった。
*4 浅村栄斗(楽天)とグレゴリー・ポランコ(ロッテ)が同記録。