【人】

Last-modified: 2020-06-29 (月) 13:46:14

“世界の蛇”の力を得ようとした罪を犯し、汚れた神々の末裔。
「死」の満ちる世界を癒すことを使命として与えられており、それを完遂するためにこの世界に存在する。
限りある命となっている故に、その使命を完遂するために次代を作る機能を与えられ、
終わりの時が来るまで種を広げ、世界を救う手立てを見つけることを義務付けられている。
 
しかし、今ではその数も種類も増えすぎて、最早原初の使命を正しく理解する者は、限られている。


 

火の人

最も純正な穢れた神々の末裔。
「雷」でも「焔」でもなく、炉の「火」を手に入れたことで、万物を改変するという性質を手にした。
彼らは「火」を通して肉も木々も鉄も変えてしまう。
そうすることで、この苦しい世界を変えることを義務付けられている。それは性であり呪いである。


そして、ヒトが改変したものの中で最も優れ、恐るべきものは、「鋼」である。
この頑丈で鋭い金属は、古き時代の力を殺す恐るべき性質を宿していた。


最も地に満ちた人であり、さらに細かく細分化された外見と性質を備える。
ただし、彼らがどこまで同じ生き物であるかは最早神々にさえも定かではなく、
魔鬼以上に恐るべき害悪となっている可能性を持つ。


火の人は最も「死」の毒に強い耐性を持っている。
それ故に彼らはあらゆる土地に生息し、様々なものを力に変えることが出来る。
そのため、火の人は暗き力、輝ける空の力さえも広く我がものとした。


だが、裏返せば彼らは蛇の加護を半端にしか受け取れず、またその毒に長く侵されてしまうことも意味する。
故に、長く毒に触れ続けた人は魔鬼やあるいはそれに近しい化生へとなり果ててしまうことも多い。


人を脅かすものは魔鬼、クラウケン、竜の末裔、様々いるが、最も身近なものは人そのものである。
世界を治すという使命を与えられた人々だが、長い年月の中で彼らはその使命を曖昧に伝えてしまい、
更にその手法をめぐり意見を違え、互いに傷つけ合うようになった。
 

森の人

常春の神々と人の合いの子の末裔。
比較的蛇の加護が色濃い森林に居を構える、閉鎖的で美しい種族。
神々に次いで強大な力を持つが、神に近い故に増えにくく、また大気に満ちる「死」に敏感でもある。
優れた才能を持つ呪い師であり、勇敢なる戦士として振る舞う。


鮮やかな色合いの髪、光放つようにきらびやかな瞳、均整の取れた肉体と顔を持つ。
また、その肌はなめらかで薄い乳白色であり、鋭く長い耳と合わせてよく目立った。
その優美な姿は均一性が高く、美醜にこだわる火の人の間からは羨望の眼差しを送られる。


彼らは美しき常春の神々を始祖に持つが、同時に輝けるものたちへの崇拝も持つ。
木々に宿る精霊と、それを支える“太陽”と“月”を深く信仰する。
そのため、彼らは「火」に依る積極的な世界の改変を嫌い、連携と緩やかな変化による成長を貴ぶ。
 

穴倉の人

岩の神々と人の相子の末裔。
火の人よりも小柄であるが、屈強な体躯と繊細な加工の技術を持つ。
「火」を操る技は火の人が作り出した技術だが、彼らはそれをより高度に操ることが出来た。


彼らは大きな目と出張った鼻、黒いというよりは灰いろに近い肌を持つ。
また、屈強ながら小振りな体躯は独特の体格となっており、一目で彼らの種族を理解させる。
体毛は針金のように頑丈で、彼らはそれを誇り、男女問わず髭・髪を伸ばしそれに合わせて服を着飾った。


彼らは職人としての誇りに生きる者たちであり、それ故に気難しい。
一方で、彼らは新たな物事に貪欲である。
その性質は火の人にも近いが、貪欲な彼らですら怖れるほどの力強さがある。
ただし、彼らが知りたがるのは常に技術にまつわることである。特に、鋼の秘密を好んだ。

巨人

今では伝説と化してしまった種族。
猛き神々と人の間に生まれたものの末裔であるとされ、他の人と比べて倍以上の背丈を誇る。
彼らは屈強な種族であったが、その強さは神々の強さに近かった。それ故に、彼らは徐々にその数を減じていった。


長い歴史の中で、火の人と最も対立を重ねた人の一つである。
特に、英雄譚の一つと名高い『ガルバンの決戦』にて巨人と人の戦いには終止符が打たれ、その時に巨人族は滅亡したと伝わる。

牙の人

鋭い牙と真っ白な肌を持つ異様な種族。

影の人

火の人の子供程度の背丈しか持たない種族。

鉄火の人

鉄のように黒ずんだ肌と、赤い目を持つ好戦的な人種。
火の人とは元来同じ系譜にあるのだが、ある理由から種族が変じている。
 

鱗の人

体毛の代わりに全身をくまなく鱗が覆う、異質なる種族。
彼らがいかようにして生まれたか、書物にはほとんど残されていない。
しかし、後述の理由から彼らは人と竜の間に生まれたものの末裔だったのではないか、とされている。
『竜姫ドゥリンダリン』の逸話にもある通り、人と竜は古き時代であれば子をなすことが出来た。


彼らは我が身に生える鱗を特別なもの、“世界の蛇”からの贈り物と考えた。そして、それは偉大なる番人竜のそれであると。
そのため、彼らは竜に憧れ、竜を崇めるという独自の風習を持っている。
 

神人

いにしえの時代、まだ神の性質を色濃く持っていたとされる人。
あるいは、人になる途中の神々。
今を生きる者達よりも強く、優れた技と力を備えていた。
また、神に近しい故、秘法を駆使して不完全なる不死を実現していた、とも伝わっている。
いずれにしても、彼らは神々に次ぐ強大な力を持つ種族であった。


彼らは遠き時代、荒野であった世界を切り開くために数々の偉業を成し遂げたとされている。
今に残る多くの文明・技術・文化は彼らが作り出したものを源流に、発展していったものである。


しかし、その一方で彼らは決して万能の存在ではなく、互いの思惑の中をぶつけ合った。
その中には幾度もの悲劇があり、幾度もの悲しみがあった。
その末に、彼らはすでに表舞台からはその姿を消してしまったという。
伝説を除いて、彼らの姿を見ることはかなわない。そのはずである。