【神々】

Last-modified: 2020-07-12 (日) 03:50:41

“世界の蛇”が生み出した子供たちの中で、最も優美で賢い者たちが神々である。
彼らは期限なき永遠の命と、美しく強靭な肉体、溢れる知性と平穏を愛する心を持っていた。
穢れなきが故に純然であり、同時に人よりもはるかに遠くを見る知性を宿す。
だが、それ故に神々は地上から去ることとなった。
彼らは純粋で穢れない故に、苦悶の満ちる世界には適さなかった。


 

神々の特徴

神々は人によく似ているが、その上で神々の方がより優れた力と姿を持っている。
神々は完成している。だが、それ故に変貌を与える蛇の猛毒には耐えられない。
そして、それは永遠の時を生きることは出来ても、傷つけられ死なないわけではないことを意味していた。


神々はその出自故に、極めて蛇の寵愛を受けた種族である。
それは蛇の加護を操ることには長けるという形で端的に現れており、彼らはそれを介して人の子らに干渉する。
それは奇跡や神の御業と呼ばれる形で知られている。
 
人の子らもその名残は残している。
だが、その力は限りなく弱く、今では呪いと呼ばれるほどに落ちぶれてしまった。
  

神々の種類

神々はみな同等の肉体と精神を持つ。
だが、その住まう地域によっていくつか細かな差異を持っていた。
 

常春の神々

最も優美にして、気品あふれたとされる神々。
楽園の時代には常春の花園と樹林に居を構え、優雅な日々を過ごしたとされている。
平和を愛し、誰よりも穏やかな日々を好んだ彼らは、同時に偉大な知者でもあった。
彼らは優れた言葉の使い手でもあり、神々の中でも特に蛇の加護を操ることに長けたという。


彼らと原初の人の間に生まれた存在が、森の人とされる。

岩の神々

最も屈強な肉体と精神を持っていたとされる神々。
楽園の時代には蛇の鱗の陰間に工房を構え、様々なものを作り出していたという。
彼らは創造と工夫に喜びを見出す、生粋の職人だった。
彼らが生み出したものは神々の日々を充実させ、戦いの日々では岩の武具として神々を支えた。


彼らと原初の人の間に生まれた存在が、穴倉の人とされる。

猛き神々

神々の中で、最も勇猛に戦ったとされる種族。
巨大な体躯と勇敢な心、そして剛力を備えたとされる。彼らは他の神々を凌駕する強さを誇った。
彼らは武勇を貴び、それを常に磨き続けた。
いつ現れる敵を狩ることよりも、その力を高めることだけをひたすらに望んだ。
それは危うい性にも見えるが、彼らには飽くなき欲求はなかった。
彼らは、どこまでもシンプルな在り方を望んだ。


彼らの血を引いた人の末裔こそが巨人だとする声がある。


神々の王、“並ぶものなき”アルヴィンは猛き神々の頭目でもあった。

疾風の神々

様々な場所へと駆けていった、好奇心に溢れた神々。
彼らは肉体的な強さ以上に恐るべきほどの探求心と行動力を持ち、
それを満たすために様々な活動を精力的に繰り広げた。


他の神々よりも多くの土地に足を運んだ彼らは、猛き神々はと別の意味で頑丈だった。
風のようにと評された通り、彼らは環境に合わせて在り方に変化をつけられる。
それは何と神々の中で最も「死」に対して強い抵抗力を持っていたことからも、察することが出来るだろう。
その性質故に、長く地上への干渉を頃見た神々でもある。


火の人や影の人の多くは、この神々の血を引くものとされる。

水面の神々

碧玉のように真っ青な眼を持つ神々。
彼らは流れる水に最も近しい性質を持ち、それらと共に過ごすことを好んだとされる。


彼らの血を引く人の末裔が、海辺の人間や、人魚だとする説がある。

陰間の神々

蛇の鱗の陰間、暗い、暗い、「うろ」を好んだという神々。
彼らは我が身を隠す長衣を纏い、輝ける世界から一歩引いた眼を持っていた。
彼らは冷静で貪欲で、しかし分をわきまえた理性を持っていた。
常春の神々とは異なる力を生み出し、行使した。その力は生来のもののみに依らぬ、画期的な御技であった。
後に、その技法は穢れた神々の末裔が下界にて生きるための術に応用されることとなる。
それは「まじない」と呼ばれるものであった。


彼らの生み出した知識は、人の世にも広まり残っている。
また、後の時代に崇められる古き神人の一人、“暗き炎”のカーラーンはこの種の末裔とされる。

穢れた神々

更なる栄華を求め、蛇の鱗を剥がし、その奥に眠る力を求めてしまった神々の総称。
彼らは一つの神々ではなく、同じ試みの元に集った複数の区分の神々である。
元より探求心の強いものたちが集った形であるが、それが悲劇につながってしまった、悲しい存在である。
 
その愚行の果てに得たものは、毒気による神の証の喪失と、苦悶の世界で生きる素養という罰であった。


彼らはいつの日か、その咎を償う結果を出すまで、苦悶の世界を歩み続ける。
火の人と呼ばれるほどにかつての力を失っても、彼らは生き続ける。