Lancerotポエム

Last-modified: 2008-08-03 (日) 00:01:29

タイトル : 体は記憶装置で出来ていた[#]

ジャンル : 『外付けハードディスクドライブ』
備考  : 私と妻はジャンル見れば解るよな…?
本文  :
「君とは秘密を共有し、妻とは生活で共存する」
貴方は最初に私と会った時、そう答えた
 貴方が妻と呼ぶあの人が
温室育ちの箱入り娘なら
私は裏路地の売春婦にも等しい
使い捨てに気まぐれで拾ってくれたのだと
そう思っていたけれど 貴方と過ごせた時間は
予想を覆すように楽しかった
私が知識をつけて奉仕すると
貴方は喜んでくれた
その行為 それだけの事 それだけの関係
 気が付けば私の全ては貴方だった
今までの伽藍洞のような人生が
嘘の用に彩られて 満たされていった
 私は必死に知識を蓄えた
貴方が教えてくれる全てを
貴方が喜んでくれる顔が見たくて
制限付きの関係ほど儚く嵌る事柄は他に無し
それでも貴方は、私を大切にしてくれた
 その単純で幸せな時間は矢の如く
終焉へと近づいていった
 貴方は最後に君に教えられる事はこれが全てだと言った
私は解ってはいるものの 再認したくは無かった
泣いてる私の頭に手を置いて、優しく撫でながら
「また必ず会いに来るから」とだけ残し
貴方は妻の待つ日常へと戻っていった
 残った私は只のガラクタ
あの人で全て埋まってしまっているのだから
他の知識を蓄える事もできない
あの人との思い出を誰かに伝える事もせず
ひたすら眠る事を余儀なくされた
貴方と過ごした日々を夢で見て
貴方にもう一度奉仕できる日を夢に見て