Top > Backstory > Chronicles > Methods_of_Torture_The_Gallente

Backstory/Chronicles/Methods_of_Torture_The_Gallente

Last-modified: 2009-01-04 (日) 15:20:08

Copyright © CCP 1997-2009
原文はCCPに著作権があります

 
methods_gall.jpg

Methods of Torture - The Gallente
拷問法 - Gallente

 

雨が降り続いていた。この星のこちら側半分は気象が非常に厳しかった。今や時は夜で、ほとんど皆が暖かい、安全な寝床に引きこもっていた。外では、蒸気が排水路の格子から立ち上り、雨が石を打つパラパラと言う音が聞こえていた。

 

どこからか、駆け足で水を跳ね上げる音が聞こえてきた。

 

 

Sebastian (セバスチャン) は走りに走った。肺は焼けるように熱く、息を吸うごとに炎が咽を駆け下っていくかのようだった。頭はズキズキと痛み、視界はどんどん霞んでゆき、脚は疲労と寒さで麻痺したようで、だがそれでも彼は走った。路地へ駆け込んで走りぬけ、また曲がり、他の路地へ、駆けては曲がり、振り返ることなくジグザグに走り抜けた。

 

ついに彼は、木の柵に阻まれた袋小路の終端で立ち止まった。柵にもたれかかり、あえぎながら手を頭の上に上げた。雨が彼を無慈悲に打ち据えていた。

 

彼らの到着には何の警告も、前触れの音もなかった。彼はただ背中に刺された痛みを感じ、突然の目まいに襲われた。

 

彼は膝からくずおれ、世界は暗転した。

 

 

最初に気づいたのは匂いだった。甘く、腐ったような、むっとくるような甘さだった。しかしその中にもかすかに何か、強く、他の全ての匂いを圧するような感覚があった。その匂いは彼に、病院へ行った時のことを思い出させた-平板な潔癖さの匂いだった。

 

彼は椅子に座らされていた。両手は背中で、足は椅子の脚に縛られていた。頭は固定されているようで、動かせなかった。視界はまだ霞んでいて、明かりは薄暗かったが、誰か他の人間が部屋の中で座る音を聞いた気がした。

 

「おい」彼は思い切って声を上げた。

 

返事はなかった。

 

「なあ、これがあのクラッシュ*1の袋のことだってんなら…」

 

「違うな」声は言った。それは男の声で、低く、やや引き伸ばされたような訛りがあった。その言葉は「ちがぁうなぁ」のように発せられた。

 

「クラアァァッシュのことだと思ってるよ。ここで何をしているかわかってないのよ」他の、より高い声が言った。

 

「今にわかるさ」3人目が言った。その声でSebastianのうなじの毛が逆立った。とてもクールな*2声だった。

 

誰かが立ち上がる音がした。彼は汗を噴き出しながら、取り乱すまいと努めた。かすかな影が目の前でひざまずき、その男の両の膝から、ピストルの銃声のような音が2回聞こえた。片手が彼の肩に置かれた。

 

「いろんなことをやってくれたね、わが友、賢きわが友よ」最初に話した声が言った。「いろいろね」彼はため息をついた。「とてもお前の…お前のことを気に入らない人がいるんだ。わかるな?お前に本当に失望させられた人たちだ」

 

Sebastianの目の焦点は次第に合ってきた。目の前にいる男は背が低く、筋肉が脂肪に変わり始めた頃のような、ずんぐりした体型であった。その髪型、髭、そして服は全てきっちりと整えられていたが、不潔で汚れていた。疲れたような目をしていた。

 

部屋の中にはテーブルがあり、二人の男がそばに座っていた。一人は精力家のように見えた。ひどく痩せていて、ぼろぼろの靴とズボンを着ており、ボタンのないシャツからは、トースターラックのような*3あばら骨がのぞいていた。短い髪は逆立てられていた。その目は見開かれてまばたきもせず、極端なにやにや笑いのせいで歯茎の上まで見えていた。

 

テーブルにいるもう一方の男は小ぎれいにとりすました格好をしていた。完璧にまっすぐな姿勢で椅子に腰掛けていたが、ゆうゆうとくつろいだ様子に見えた。その動き全てが穏やかで正確であった。右手でなにか小さな、細長い金属をもてあそんでいた。Sebastianは、もう一人の完全な"キチガイ"*4と正反対なこの男を"クール"*5と呼ぶことにした。

 

目の前にしゃがんでいる3人目の男が、一番人間らしく見えた。彼に付けるクソッタレなカ行のカ名*6が思いつかなかったので、単に"カルロス"*7と名前を付けた。

 

低い声で"カルロス"は言った。「ここでしばらく過ごすことになる」彼は立ち上がった。「そしてお前の使い道がわからないかどうかを見極めることになっている。お前には自身がいかに役に立つかを示してもらいたい。お前の賢さが答えを出してくれることに期待しよう」彼はテーブルの方へ歩いていき、椅子を引き出して座った。

 

"キチガイ"が何かを持って立ち上がった。「とっても楽しくなるよ」彼は言った。「これが何だかわかるかな?普通はくるみ割り器って呼ぶんだけど、僕らはそんな呼び方はしないのよ。僕はこれを単にワニって呼ぶのよ。痛いよ。あー、本当に痛いのよ。ほら、試してあげるよ」彼はSeb*8の小指をつかんで真っ直ぐに伸ばし、ワニでそれをくわえこんだ。

 

Seb (= Sebastian) はそれをなんとか引き抜こうと、空しくあがいた。「わかるよ、わかる」"キチガイ"はにやにや笑いながら言った。「これで安心してくれればいいけど、こいつは後できみにやる奴に比べたらと全然痛くないよ」彼は強く締め付けた。ワニから大きな破砕音が聞こえ、Sebの悲鳴にかぶせるように、"キチガイ"が叫んだ。「ねぇ、片方の手にどれだけの骨があるか知ってるかな?思ってるよりたくさんあるのよ!全部見つけてあげるのよ!」

 

 

さらに何本かの骨が折られ、うち一本がSebの指の皮膚を突き破ってトゲのように飛び出したところで、"クール"が"キチガイ"の肩に手を置き、黙らせた。"クール"はSebの上に身を乗り出していった。「ねえ君、これで全ておしまいにできるんだよ、今すぐにね。私の友人が先ほど言ったようにね。我々が君にやっていることを終わりにできるんだ」

 

「どうやって?!」Sebは泣きながら、吐き出すように言った。「何でもやる!盗みもやる!殺しもやる!言われたことはなんでもやる!だから頼む、何をやれば言いか教えてくれ、何でもやるから」

 

"クール"は彼を、うんざりした様子で見た。「君に見せたいものがある」彼は言った。「焦点は合うかね?目は見えるかね?」

 

Sebはうなずいた。

 

「なるほど。よろしい。持ってくるとしよう」ガタガタ言う音が聞こえた。重い頭を上げ、Sebは"カルロス"が道具を乗せた台車を押して来るのを見た。だが、それが何なのかはやはりわからなかった。

 

台車は彼の目の前まで運ばれ、"クール"がそこから一本の細長い金属の棒を取り上げた。「このものは刺し貫くために使うのだが」"クール"は言った。「私はこれを、他のものを指すために使っている。中には手袋無しでは絶対に触ってはいけないようなものもあるからね。この台車の下の棚にある瓶には色々な酸が入っている。この緑がかったものは皮膚用で、黄色いものは傷口用だ。どれほど痛むかは想像もつかないだろう

 

「さて、その隣の頑丈そうな、ワイヤーが出ている黒い箱は、小型の発電機だ。ワイヤーを色々な所に入れて使う。そしてその隣の半透明の大きなプラスチックの箱、これは注射器と皮下注射用の針が備えてある。ほとんどが使用済みでとても汚れているが、気にしないことにするよ」

 

彼は台車の一番上の棚を指した。「これが基本だ。色々なメスが置いてあるのが見えるだろう。この小さいのが私のお気に入りだ。見たまえ」彼が棒で指したメスには、ほとんど刃が付いていなかった。むしろ、尖った刺すもののようだった。「客人が時々、我々のすることから逃れようという絶望的な試みから、目を閉じてしまうことがある。だから、固定具や棒やネジや、そういったものを使ってこじ開けるかわりに、まぶたを取り除いてしまうことにしているんだ。単純で、効果的で、多くの手間を省いてくれる」

 

「メスのとなりにはもちろん普通のナイフもあるし、他にも色々な刃物がある。ここにある鋭い、科学的な品物に進歩を感じるかもしれないな」彼は台車の片端を示し、金属の棒で反対側の端を指した。「こちらの他愛もない品から、こちらの切れ味の悪い道具のささやかなコレクションまで。どれも役に立つがね。例えば、このあたりを試してみようか」

 

彼は棒を置き、二つの無骨な鉄製の物体に柄を取り付けた。ひとつは槍の穂先のようで、もうひとつも似ていたが、片側に大きな金属のブロックが取り付けられていた。「これは、ハンマーとノミと呼ばれている。重いが、それは良いことで、つまりある程度の力を加える必要があるからだ。ノミをこのように、君の関節にあてがう」彼はSebの上に身を乗り出してノミを肘の内側に当て、ハンマーを優しくノミの上に当て、チンという音を立てた。「そしてハンマーをこのように全力で打ち付ければ、君の間接に食い込むことになる。とても素晴らしいよ、とてもね」

 

彼は道具を台車に戻し、ほかの何かを拾い上げた。「そしてこれはプライヤー*9と呼ばれている。だが、このはさむ方の先端が変わった形に曲げられているのに注目してもらいたい。これには理由がある。先端の小さなトゲが見えるね?これは君の舌用なのだよ」

 

「しかし君はこれを止めることができる」彼は付け加えた。「私はただ問いの答えを聞きたいだけなのだよ」

 

「どんな質問だ?」Sebは、泣くのを止めようとしながら言った。「何でも答えるよ」

 

「我々は君をどう使えばいいのか?これが全てだ。これが質問だよ。君はどんな役に立つ?」

 

「それは…」Sebは言いかけた。3人が彼の前に、完全に沈黙して立っていた。「わからない」

 

"クール"はためいきをついた。「では残念ながら、これでおしまいだな。では、始めようか」

 

彼はテーブルまで行き、先ほどもてあそんでいた小さな金属製の物体を手に取とって、無造作にぶらぶらとさせながらSebastianのところへ戻ってきた。湧き上がる恐怖とともにSebastianはそれが、黒い斑点が先端についた長い鉄釘であることに気づいた。「何が望みだ?」Sebastianは言った。「頼むから、何が望みか言ってくれ。何でも話すし、ほしい物があれば取ってくるから」

 

「我が友人も私もすでに尋ねた」"クール"は言った。「そして君は返事すらしなかった。君の使い道を見つけられないなら、我々にはどうすることもできないな」

 

「私としては…そうだね、これ」彼は、釘を手の中で前後に転がしながら言った。「君にはこれから始めよう。終わるまでにはもっとずっとたくさんのことがあるが、おそらく君も、自分の体に無事な部分が何一つ残らないということがわかってもらえるかと思う。けれどもこの錆びた、鈍い、長い釘は」彼はそれをSebastianの顔の上へ持ち上げ、「君の目に入れるためのものだ」絶叫に次ぐ絶叫の中でSebastianの右目が最後に見たものは、ゆっくりと深く押し込まれていく釘であった。

 

 

彼らはそれを、打ち込まれた杭のように突き出させたまま、そこに残した。ゼリー状のものが周りに滲み出したので、"クール"はそれをハンカチで軽くふき取った。「釘が滑り落ちだすのを望んではいないだろうね?」彼は言った。「ちなみに、これが君の頭を固定することにした理由だよ。個人的には、頭を振り回せるようにして、短い人生を見せてくれる方が好きなのだがね、だが君はひょっとしたら…ははっ・・・釘を強く叩いて脳に打ち込んでしまうかもしれないからね。それでは困るのだよ」

 

 

「ああああああ!いたいいいいいい!止めてくれ!止めてくれ止めてくれ止めてくれ!」

 

「君は何ができる?」彼らは叫んだ。

 

「何をするのか知らないんだ!」

 

「まだ足りないな」彼らはわめき、作業を続けた。

 

 

「頼む、そっちの手は止めてくれ。頼むよ、ああ、頼む−」

 

「君の使い道は何だ?君の使い道はなんだね、賢き友よ?」

 

「それそれはそれは−わからない。わからないんだよ!何でもあんたがたの言うとおりにするよ!何が望みなんだ?」

 

「それは答えじゃないな。まず一本目の指から始めようか−」

 

「ああ、嫌だ!頼む!」

 

 

「気を失ったようだよ」

 

「そんなことはない。見たまえ、まだ何か呟いているだろう。またワイヤーを貸してくれないか。ありがとう。3にあわせてくれ、いや、4にしようか。いくぞ…いけ!」

 

「ああああああ!」

 

「当たりだね」

 

 

「殺してくれ、殺してくれ、殺してくれ、頼む、殺してくれ−」

 

「なぜさ?まだ半分も済んでいないよ」

 

「殺してくれ、殺してくれ、殺してあああ」

 

「ね?」

 

 

「もっと酸がいるよね?」

 

Sebはもはや意味のある言葉を発することができず、ただ音と絶え間ないすすり泣きを発するだけだった。

 

「もっと酸を、もちろん」

 

 

全てが終わって、"カルロス"は道具を片付け始めた−手入れするのではなく、ただしまい込むだけで、注射器と皮下注射針は、取り出した場所へ−最後にSebastianが頭を上げた、左の方へ−戻されていった。無事なほうの片目はまたぼやけていて、全てが視界の中で浮かび上がったりぼやけたりしていた。"カルロス"をはっきりと見ることができ、すぐにただの大きなピンク色の霞のようになり、そしてまたはっきりと見えた。

 

「なぜ?」Sebastianは言った。

 

「何だって?」"カルロス"はそちらを見ずに、片付けを続けながら言った。

 

Sebastianが言葉を紡ぐのにはかなりの時間がかかった。「なぜ?何が望みなんだ?」彼はようやく言い終えた。涙は流れず、悲しくもなかった。そんなものは何も残っていなかった。「何が望みなんだ?」

 

"カルロス"は残りの道具を静かにしまい込んだ。そしてSebastianの元へ歩み寄り、目の前にしゃがみこんだ。「本当にわからないのか?」彼は言った。

 

「わからない」

 

「明日になれば、誰かがお前の死体を見つけるだろう。お前が捕まったあの路地裏に、ちょうど今お前がしているような格好で。そしてうわさは広まる。そうすれば我々は、このエリアで他の盗っ人や薬中に煩わされることが随分少なくなる。私たちの仕事を、お前のような人間に邪魔されることなく進められるというわけだ」

 

「それで、問いは?」Sebastianは聞いた。

 

「正解なんてないさ」"カルロス"は答えた。「これが」注射器を一本持ち上げ、「これが最後の一本だ。これで楽になれる」彼は身を乗り出して、注射器の中身をSebastianに注射した。「まず視力がなくなり、それから意識もなくなる。しばらくしたら、お前の死体を取りに戻ってくるよ」

 

「ありがとう」Sebastianはいった。

 

「いいってことよ」

 

「ありがとう」Sebastianは言った。「ありがとう。ありがとう。ありがとう。」そして静かになった。

 

"カルロス"はしばらく待ってから、Sebastianの脈をとった。「光に還れ」言って最後の注射器をしまい込み、部屋を後にした。

 

<<back





*1 Crash。EVE世界で流通している麻薬のひとつ。まっとうにプレイしていてもひょんなことから手に入ったりするので、かなり広く流通している模様。 精製したもの はBoosterの原料にもなるようだ。
*2 calm
*3 と言われてもわからんでしょうが、私もわかりません。多分こんなのでしょう。
*4 Crazy
*5 Calm
*6 C-word
*7 Carlos
*8 Sebastian
*9 こんなの