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Backstory/Chronicles/Time_and_the_Astrologer

Last-modified: 2013-02-16 (土) 20:20:00

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初出

 
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Time & the Astrologer
暦と,とある占星術師の話
http://wiki.eveonline.com/en/wiki/Time_and_the_Astrologer_(Chronicle)

 

大国同士が接触し始めてすぐに発生した,取り決めなければいけない沢山の出来事のうちの一つに,世界標準時の制定が挙げられます.全ての国家は多少の違いはあれ,自分達の母星の自転と公転に基づいた「日」と「年」の概念を持っていたので,これが国家間のやり取りに多大な混乱をもたらしました.相互のコミュニケーションを円滑に行うために,全世界で同期されている時刻を取り決める必要があるのは明らかでした.

 

無論,どこかの国家の暦(こよみ)を世界標準時とすることは問題外でした.他の国家が絶対に同意しません.標準時には,全く新しい基準を用いることになりました.
当初,議論は学者のみで行われていたのですが,後に政治家が介入し,政治的意図を含んだ沢山の提案を行いました.しかし,やがて様々に出された提案は大きく分けて3つの案に集約されました.「Arithmetic」(数論)派,「Traditionalist」(保守)派,そして「25ers」です.3つの案はそれぞれ異なる分野の者達によって支持されることになりました.「数論」案は主に物理学者と技術者が,「保守」案は多くの歴史家と考古学者が,そして「25ers」案は生物学者と社会学者が支持しました.

 

「数論」派は,新しい暦は,どんな古い因習にも一切のしがらみを持たない,純粋に数学的な時を刻むべきだと主張しました.彼等はまた,この案は現在世界の物理的な志向に則しているとも主張しました.
一方「保守」派は,人類全員が唯一合意できるのは,古代地球で用いられた暦だけだと主張しました.全ての種族は(とりわけJove人とAmarr人は)多少なりとも古代地球暦に関する資料を保有していたので,これ等を組み合わせれば完全な地球暦を復元することは容易だったのです.
最後の「25ers」は,専ら宇宙に暮らす我々が考慮すべき唯一つの指標は,人体のみであると主張しました.すなわち,人間の体内時計のサイクルは,古代地球時間で言うところの凡そ25時間です.彼等は新しい時刻はこの基準を元に取り決めるべきだと主張しました.

 

無数の団体がこれら3つの案のどれかの擁護を主張し,長く難儀な議論が繰り返されました.「25ers」の支持勢力の一つに,Cerb Rausolleという名の精力的な若者に率いられたGallente人の小さな草の根組織がありました."Cerb Rausolle"という名は,実際には彼の占星術師としての偽名でしたが,ともあれ彼の努力により,意外にも大規模だった占星術師達の支持活動により「25ers」は大きな世論の支持を得ることに成功しました.しかし「25ers」が世論を味方に付ける一方で,「保守」派は政治家の支持を取り付けるよう努力していました.結局のところ,「保守」派の目論見は正しく,Jove帝国の巡洋艦"Yoiul"内で行われた人類の新暦を定める歴史的会合においては,議決権を有する政治家を多数抱え込んでいた「保守」案が成立することになったのです.

 

こうして,EVEの新暦が定まりました.新しい暦は1年を365日,1日を24時間と定め,4年に一度の補足日を設けることになりました.すなわち,古代地球で用いられていたであろう暦と同一です.後に「Yoiul会議」と呼ばれるこの会合の開催年をもって0EST(Earth Standard Time(地球標準時))とすることが定められました.今年で会合から105年が経ち,105ESTを迎えますが,多くの人々が我々の銀河系をEVE世界と呼ぶことから,新暦は今では専らEST(EVE Standard Time(EVE標準時))と呼ばれています.

 

さて,新暦制定には破れたものの,"Rausolle"は培った政治力と政治組織を無駄にすることなく,直ぐに次の標的を見つけました.その当時,宇宙船の所有者は,毎年船舶のライセンス更新に巨額の更新料を必要としていました.この巨額のライセンス制度が,全ての国家の重要な資金源となっていたことは勿論ですが,ほんの一握りの裕福なものだけしか宇宙ビジネスに進出することができないことの原因にもなっていました.この制度が宇宙間交易の促進を阻害しているばかりでなく,一般人が宇宙ビジネスに介入する機会を損なっていることは明らかです."Rausolle"と彼の組織は,(彼の組織はまだ「25ers」と呼ばれていました)この制度を改正するために政治活動を始めたのです.

 

当初,彼等は主にGallente連邦政府に対して活動を行っていました.しかしやがてCONCORDが船舶ライセンスの発行及び更新に関する監督責任を担うようになると,彼等「25ers」はCONCORDを政治活動の対象とするようになりました.

 

最初,CONCORDはこれ等の抗議活動を全く無視していました.しかし活動が激しくなり,世論を味方に付けるようになるとやがて関心を寄せるようになり,遂には世間の反発を恐れたCONCORDによって,ライセンス制度を検討する委員会が設立されるまでに発展しました.しかしながら,ありがちなことですが,委員会の冗長な議論は何ヶ月にも及びました.この間中,「25ers」は過激な抗議運動を繰り返し,幾つかの星系では大規模なゼネストまでもが計画されるようになりました.
1ESTを迎え,最初の新年を祝う式典がCONCORD本部で行われている最中,"Rausolle"は単身でステーションの周囲警戒システムに侵入しました.彼は爆薬を満載させた無人船を,当時,EVEで最も著名な人々が集まっていたこのステーションのすぐそばで自爆させました.彼はこの爆破によって誰も怪我などしないように,細心の注意を払いましたが,ステーションの何処からでも目撃できたこの爆破という過激なメッセージは,多くの人の関心を集めたのです.

 

約2ヵ月後,新しいCONCORDの規約が制定され,ライセンス料を廃止することが全ての加盟国によって可決されました.

 

無論,"Rausolle"の行為は犯罪であり,彼は指名手配の逃亡者となりました.「25ers」は解散し,彼は政治組織も地位も失いました.しかし,"Rausolle"は,瞬く間に生きる伝説となり,彼と「25ers」という組織は,不滅の名前を歴史に刻みました.今日でもしばしば,「25ers」を引き継ぐと名乗る組織が結成されることがあります.かつて,無名の若者が巨大な勢力を揺り動かしたように,彼等もまたEVEの世界を変えていくことを志しているのでしょう.

 

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