Backstory/INTERSTELLAR_TRAVELLING

Last-modified: 2013-01-03 (木) 19:13:54

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INTERSTELLAR TRAVELLING
恒星間航行

 

ここで、あなたがたの技術的な洗練のため、広大な宇宙を何分かそこらで縦横可能にする驚くべきジャンプ技術に関する詳しい説明を用意した。種族の祖先に関するとらえどころのない探求の歴史に関するさまざまな興味深い話もおりまぜた。EVE世界において最も認められた知識人によって書かれており、この世界に生きる者の知性と信仰への洞察力に富んだ瞥見である。

 

by Alain E. Topher

 
 

1 我々はどこからきたか?

いく世紀も人々は、人類がどこから来たのか思索してきた。今日では合理的疑の余地なく、我々の銀河で見つかったすべての種族と派閥は共通の源に起源をもつはずであるということが立証されている。

 

しかし、あらゆる人工物の断片をつなぎ合わせ首尾一貫した全体像にするのは難しいことがわかっている。とにかく、生物学的見地から人類が同一の惑星で進化したことは合理的であるようだ。たとえ多様な相違点が派閥間、派閥内にあったとしても、DNA構造の類似が明確に共通起源を示唆している。しかしだとしたら、ここで疑問がうまれる。どこにこの人類が進化をとげた伝説的惑星があり、どのように人類は幾多の離れた場所にたどりついたのか。

 
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我々の知っていることをみてみよう。今、恒星間航行が可能な種族が我々の宇宙を何千年か昔彷徨していたのは疑いの余地がない。多くの古代ジャンプゲートやその欠片が多くの星系に存在することが知られている。これらジャンプゲートが我々の祖先によって作られたものか、エイリアンによるものかは未知である。これらジャンプゲートはいくつかの奇妙な特徴がある。始めに、年代測定によるとすべてのこれらジャンプゲートは50年間から100年間の間に構築されたものであった。そして多くのジャンプゲートのデザインは場所によって少し違い、まるで別の人々によって構築されたかのようである。これらの事実から多くの疑問が生れる。なぜ、すべてが短い期間に構築されたか、そしてなぜそれ以来とだえたか。それらは同一種族により作られたのか、それとももしかしたら2つかそれ以上の対立する種族によってだろうか。

 

最も有力な説は、戦争である。紛争のみがこの多くのジャンプゲートの迅速な構築と、すべてがある日突然停止したようにみえることを説明づけることができる。だが一体誰が戦っていたのか。そして交戦国は今はどこに?恒星間戦争が可能な派閥が突然姿を消すとはとてもありそうに思えない。

 

ジャンプゲートの残余の配置を研究することによって、奇妙なパターンが現れた。ジャンプゲートは中心点(the central point)から蜘蛛の巣のようにくねっているのである。中心点とは何か?それは最初にそれを発見したAmarr人に知られた星系で、'Imlau Eman'とか'Mouth of God'と呼ばれるが、今日ではEVEとしてよく知られている。

 

EVE星系は不可解で今だ我々にとって謎だ。星系自体はそれほど印象的ではない。単にいくつかの宇宙塵と少し小惑星帯が青白い白色矮星を周回している。
しかし星系のはずれに何世紀もの間我々を当惑させている事象がある。この事象の中心には明らかになんらかの高度な文明によってはるか昔に建設された巨大な構造物がある。構造物はジャンプゲートに非常によく似ているが、我々のどんな宇宙構造物の何倍も大きい。ゲートは全体的に平らだが、そこかしこにまだ完全には解読されていない古来の言語による印がある。これらのうち最も大きな印が上端に、3字の語でEVEとある。この語の意味については学者間で十分には一致がなされないが、ほとんどの人は単にゲートの名前であると見ている。

 

今、すべての状況が、これが我々の祖先がこの世界に入るために使われたゲートであることを示唆しているが、このゲートとEVE星系全体に関する大規模な研究をよそに、いまだこのゲートに何千年か前何がおこったか明らかになっていない。

 

一般的ににいわれるには、極度にまぶしい強力な電磁乱気流がEVEゲートから発っせられているという。この乱気流はゲートの中からきていると見られていて、ゲートは実際に開いていて、電磁嵐はゲートが接続されている先からきているのだと信じられている。

 

ともかく、この乱気流がゲートの研究を非常に困難にしている。幸運なことに嵐は周期的に振動していて、1年かそれぐらいおきにより近くでの観察が可能になるほど弱まる。しかしそれでも乱気流は愚かにも近くまで彷徨するどんな船も引き裂いて断片にするほどである。

 

ゲートから発っせられるとほうもない明るさは、EVE星系に近い星系から夜空に揺れる輝く星として、簡単に見ることができる。また、既知世界の最も遠い領域の星系においても、望遠鏡の助けを借りて見ることができる。Amarr人は母星系はEVE星系からたった数光年であり、驚異のゲートへの最適な場所である。幾年も昔、まだ原始レベルの時、Amarr人は実際、空に見える奇妙な現象と古くからの信仰とを結びつけて考え、今日にいたってもEVEゲートはAmarr人国教において非常に重要である。

 

我々の祖先への探求は進み続ける。たとえ事実が我々をEVE星系に導いたとしても、それは道の終端であるようにおもえる。何十年にもわたる広域の研究は、この重大な問いの答えにまったく近づいていないようである。

 

2 最古のジャンプゲートと初の恒星間航行

一度Amarr帝国が宇宙に進出できるほどの技術レベルに達すると、活発に母星系の地図が作られはじめた。技術的制限によりこの探索には長い時間がかかった。ついに、Amarr人は母星系の外れにてジャンプゲートの遺跡に遭遇した。

 

遺跡の研究により、遺跡がほぼ無傷であったこともあり、Amarr人は自らのジャンプゲートを構築するのに十分な情報を集めることができた。遺跡のジャンプゲートは利用可能であったが、そのようなものは他になかったので明らかに接続先の他のジャンプゲートを欠いていた。なのでAmarr人は安定的にワームホールを星系に形成可能になる前に、2つのゲートを繋ぐために物理的にジャンプゲートを建設可能な船を送らねばならなかった。これらのゲート構築船はしばしば到達に何十年もかかるので、乗員は航海の間冷凍タンクに凍結された。近年になってやっとジャンプゲートなしに星系間をジャンプすることのできるジャンプドライブが生まれ、このジャンプゲートをつかった恒星間航行の前の多大な時間を必要とする準備を打開することができたが、今日でもかなり多くのゲート構築船が遠い星系へと配送中である。

 

しかし、忍耐は美徳であることをAmarr人は非常によく心得ていたので(訳注: 皮肉? 別に皮肉ではなく、強靭な忍耐力をもって成し遂げられたといえそうですね。odn808さん指摘thx)、彼等はAmarrの母星系からすべての方向に着実に拡大させていった。最初のジャンプゲート構築から2千年以上たった現在、Amarr人は何百もの星系を占領している。

 
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Gallente人とCaldari人は単純に彼らの母星が同じ星系にあったため、ジャンプゲート技術を比較的に同時期に発見した。これは700年強前のことである。Gallente人とCaldari人は、彼等の星系においてAmarr人のように比較的無傷のジャンプゲート遺跡を発見するという幸運には恵まれなかった。そのかわりに断片的な破片しか発見されなかったため、足場にするものがなにもなかった。それでも、これら断片が研究者を正し方向に導き、大くのジャンプゲート理論が試された。母星系の、連星系としてのもう一方の茶色矮性が発見され、ゲート研究は正しい軌道にのった。それからは初のジャンプゲート構築までそれほど時間がかからなかった。Amarr形式のジャンプゲートも、Gallente/Caldari形式も、どのようにゲートの別々の部分が正確に動いているかという小さな相違点はあるものの、共に共通の原理(次章を参考)で動いている。

 
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GallenetとCaldariの世界がはちきれそうなほど膨れあがるころ、ジャンプゲート建設のため船を近隣の星系に送るという大くの努力がなされた。Gallent人とCaldari人の他星系への大量の移住は、Amarr帝国が同時には1つの星系のみに植民し、進出のすべての面において国が厳格に制御したようには穏かに進まなかった。かわりに、個人企業である最初のCaldari企業が主として星系の調査の責任を担い、建築船を送り、入植者に領土を売った。約500年の間に、GallenteとCaldari、2つをあわせた発展は、Amarr人が2000年かけて行なった全発展とほぼ同じほどになった。

 

この件に関してのJovian人の技術的発展については知られていない。今日では彼らもジャンプゲートの機能を同じ原理によって使用しているが、いつどこでJovianがジャンプゲート技術を手に入れたかについて何もしられていない。しかし、興味深い事実が明らかになっている。Jovianの古き伝説によると、Jovianはジャンプゲートが崩壊する前のはるか昔、世界中に散っている古来のジャンプゲートをつかい星系間をジャンプしていたという。伝説ではゲートの製作者については述べられていない。

 

3 ジャンプゲート技術の原理

ジャンプゲートは連星系における重力共鳴を利用して作られた人工ワームホールを中心に作られる。この共鳴は天体の重力波の干渉なので、天体が大きければより干渉は大きくなる。星系内の惑星の位置や、重惑星の環の複雑な構造も多少この干渉に影響する。

 

連星系には巨大な干渉現象が存在し、そこでは2つの星の安定した双対構造をもった重力場が、2つの源からの波の波紋のように互いに干渉しあう。この安定した波形には連続した定常波が存在し、ギターの弦で作られるのと似ている。最も強い定常波は 1:1 干渉 (つまり、第一高調波)で、2番目に強いのは 1:2 干渉 (第二高調波)で、ここでは追加の固定節点が領域のちょうど2つの星の(もし質量が同じなら)中央に現れる。このようにこの後の他の干渉もなっている。(原文に説明図あり)

 
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接点では反対の方向からくる重力場の高周波の振動がエネルギー-運動量テンソルに強いせん断を形成する。普通の状況ではこの応力は高周波の重力子放射により消散してしまい、マクロな現象を作りだすことはない。

 

しかしこの応力が閉じこめられ、限られた空間領域にのみへの集積を強制されると、テンソル場は最終的には徐々に成長する四次元空間連続体内の構造のような高曲率の触手を発展させるに至る。より具体的には、触手は自己からより遠ざかろうとする自己回避4次元多様体を形成する。(訳注: self-avoiding 4-manifold)触手の先端では曲率が最大になり、時空間上で磁石のように実質的に振舞い、十分に高い曲率で最終的には離れた高密度領域に小さな触手を形成させるに至り、これが先端に届き自然と一体化しうる。(訳注:原文に説明図あり) この現象に似た現象として例えば、雷が地面に落ちるとき、下向きの雷の先端が実は地面から発っせられる小さな上向きの雷を形成し、2つが地面より上のどこかで一体化し、閉じた電気回路を形成する。

 
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ジャンプゲートの主装置は、質量ボソン球(訳注:mass boson sphere, 造語?) と呼ばれ、質量を媒介とし、重力波と強く相互干渉する基礎物理場(?)の一つに基づいている。この球は、鏡が光を反射するごとく、重力波を反射する質量ボソンプラズマで見たされている。プラズマの密度を調節し、テンソルせん断の損失に関与する高周波重力波を反射するようにすることで、この放射は球内に閉じこめられ、共鳴節点の重力応力の安定した純増加をもたらし、最終的には高曲率触手の形成に至る。これに似た例とおして、レーザーは、発振器を反射空洞に閉じこめることにより、完全に位相をそろえて、電磁エネルギーのビームを強めて作られる。

 

ワームホールの2端の距離は連星系の2つの太陽の質量と、ジャンプゲートがどの共鳴節点に位置しているかに依存する。2つのジャンプゲートを接続するには、試行錯誤的手法が必要で、しばしば何年も要する。これはテンソル場により作られる触手をどこで開くか制御したり導いたりできないからである。しかし、触手が成長するのと同時に、近隣の星系にあるジャンプゲートで臨界点を越えさせずに重力応力を形成させることで、まだ多くの試行が必要ではあるが、接続の可能性は統計的には増える。これは雷を伴う暴雨の時、金属棒を上げるのと似ている。

 

Amarr人により最初に作られた種類のジャンプゲートは一度ワームホールが形成され船が通過すると、他の船が通れる前に新しいワームホールが形成されなくてはいけないという制限があった。2つのジャンプゲートが再接続されるには何日か、あるいは何ヶ月かかかったので、通過には時間がかかった。ジャンプゲートの後の版では、ジャンプゲートがより長い間ワームホールを保持できるようになり、今日ではジャンプゲートはワームホール接続を幾十年もリセットされずに保持することができる。さらに初期のジャンプゲートは同時には一つのワームホールしか接続、保持できなかったが、今日ではいくつかのワームホールを同時に開けるので、同時に複数の他のジャンプゲートと接続することができる。

 

標準的な連星系ではジャンプゲートが第三共鳴節点に構築されたとすると、ジャンプゲートは約5光年の範囲になる。連星間の第二共鳴節点に構築すればより強力なジャンプゲートとなる。これらの節点は星系からかなり遠く(通常0.5光年ほどまで)、もっと重要なことにはより利用するのが難しかったので、利用されはじめたのはつい最近になってからである。他方、これらは通常のジャンプゲートよりずっと大きな範囲を持つ。

 

ジャンプゲート航行にはいくつかの厳しい制限がある。まず始めに、共鳴節点のため、ジャンプゲートは2つかそれ以上の恒星をもつ星系にのみ構築可能である。ここで事実上3つに1つの星系がジャンプゲート構築に不適合となる。

 

次に、ある星系においてある時点では1つのジャンプゲートのみが動作可能である。これは質量ボソン球による共鳴場における不安定な変動に起因するものである。もし1つ以上のボソン球が同時に同星系で活性化すると両方とも非常に不安定になり、動作不能になる。

 
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そして3つめとして、ワームホールの両端がジャンプゲートに接続されている時のみ、船はそれを通過して航行可能である。これはつまり、ジャンプゲート構築のためには船は、星系間の通常空間を航行しなければならないということである。この原因は触手の縦方向の次元にそった空間の極度な拡張、つまりワームホールの長さ方向の空間座標が拡張する一方で、動径成分は循環的に湾曲しているからである。ワームホールに入った宇宙船はその強い空間勾配に支配され、構造的完全性が危険にさらされる。これは船周辺の伸縮を局所的に対抗することで回避できる。ここで、質量ボソン球はゲートの仕組みにおいて2番目の役割を果す。船が質量ボソン球を通過する際、質量ボソンの単原子層が船表面に溶着する。(訳注:原文に説明図あり)この層が空間勾配に対する船の伸縮に対抗し、ワームホールを通過する間の船の構造的完全性を保つ。これは勾配が完全に消えることを意味するわけでなく、熟練の宇宙パイロットでもワームホールに入る時には'配水管に落ちる'という感覚を忘れない。

 

4 宇宙船の加速 : 最初のジャンプドライブ

高度な推進システムをもってしても、星系内の惑星間を移動するには数日か数週間もかかる。この航行を速める方法はそれゆえ、すべての人間にとっての重要な関心事であった。

 

船の速度を向上するためさまざまな取り組みがおこなわれたが、そのほとんどは大きすぎる燃料容量とコストか、適用範囲が限られすぎているかで、失敗におわった。最も成功した試みはMinmatter帝国のもので、重力を独自の方法で使用した加速ゲートを構築し、惑星間で船をパチンコで飛ばすものだった。これによって船は惑星間を依然よりずっと短い時間で飛ぶために十分な運動量を得ることができた。しかしMinmatterは恒星間ジャンプゲートを構築する方法を発見することはなかったので、この加速ゲートはMinmatterの母星系のみに限られた。(現在でも存在している。) 彼らは恒星間を航行できるより大きな加速ゲートの実験を始めていたが、Amarr人の侵攻を受け奴隷にされるより前にそれを建設する出番はなかった。

 

Amarr帝国自身は、成長し続ける宇宙帝国であったにもかかわらず、この点に関しての躍進することに対しては悠長であった。長い間、光速の約10%での航行で何とか済ませていて、彼らにはこの速度で十分に思えた。とうとう、彼らはジャンプドライブ技術の根底にある原理を新兵器技術研究の過程で偶然発見した。Amarr人の最初のジャンプドライブは約300年前に作られた。

 

GallenteとCaldariでは状況が違った。彼らの母惑星群は同星系に存在し、これはつまり、星系内通商が彼らの社会において、宇宙活動に着手した時からすぐに重要な要素になったということである。故に、星系内航行に対する満足のいく解決策を発見するかなり重要な動機があったのである。最初に建設されたジャンプドライブはCaldariの技術者により600年以上前に建設されたSotiyo-Urbaataドライブである。これは非常に巨大で、途方もなく高価で、ものすごく非効率であったが、うまく動いた。Sotiyo-Urbaataドライブは後のバージョンになるにつれ、Gallente人とCaldari人双方の社会的、技術的発展を大幅に加速し、疑われることなく、最も重要な発明の一つとなった。

 
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何世紀も前の昔始めてジャンプドライブが登場してから、ジャンプドライブは一層発展し、より安価に確実に、効率的になった。今のところSotiyo-Urbaataドライブと今日のドライブにはそう大差はない。両方とも同じ基本原理の上で動き、星系内の高速航行を可能にする。しかし最新のジャンプドライブは、たとえジャンプゲートがない場所においても星系を縦走できるので、真のジャンプドライブである。この革命的ジャンプドライブは、いまだ比較的貴重で高価であるが、ジャンプゲート技術と旧来のジャンプドライブ技術を組み合わせて全く新しい装置の一部を作り出した。

 

5 超光速航行、どのように?

では、超光速航行ができるわけとは?これは、量子電磁気学の分野における先端研究を通して発見された。劣化真空、これは全エネルギーが完全に除去された宇宙空間にある真空のことだが、これを生成し、拡張し船を包むようにすることで、宇宙船はこの劣化真空の泡を通して超光速移動が可能になる。劣化真空泡は摩擦がないだけでなく減摩性を持ち、物質(光を含む)はその中においては完全な真空の中よりも実質的に速く移動することができる。

 
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全宇宙船はジャンプドライブ装置を装備している。このジャンプドライブが2枚の双極円盤の間で繰り返し真空を'圧縮'し、中から外へ全エネルギー中性子とクオークを排出することで劣化真空を生成する。そして、増加しつづける劣化真空泡をそれが船全体を包みおわるまで拘束するためレーザー固定された場が形成される。船が包みこまれると超光速に入ることができる。ジャンプドライブの初期実験は技術的に非常に有望であったが、航法に関して問題が発生した。一度宇宙船が超光速に到達すると、通信や走査(スキャン)の目的などで、世界と干渉することが難しくなる。例えばコンパクト次元無線などのさまざまな実験がなされたが成功しなかった。量子力学の予測不可能な性質により、変動する速度から正確な時間計測ができるほど十分安定した真空泡を作り出すのが難しくなっている。最終的には解決策が見つかった。ジャンプゲートに使われる制御システムに似た重力キャパシタが、宇宙船が超光速の間、通常空間から重力信号を取得することができたことが発見された。キャパシタをそれらの信号の一つに固定して、そこへ航行する。ここで、一度重力井戸からのある一定の距離が得られると、泡は自動的に分散される。唯一の問題は、このキャパシタはある大きさ以上の重力井戸からの信号のみ効率的に取得できることで、最小のものは小さな月か小惑星群である。また、重力キャパシタが恒星の位置と比較し正確に目標対象へ調節するためには、目標までへの比較的狭い経路に重力井戸がないといけないので、結果的に船の航行できる領域はかなり制限される。これはジャンプドライブの使用法にいくらか制限を課すが、その星系のすべての大きな物を検出できればこれは大問題にはならない。さらに現在では宇宙ステーションやジャンプゲートに偽の重力井戸を構築することができ、宇宙船のジャンプドライブの一部である重力キャパシタにより検出できるので、それに向って飛ぶことができる。

 

ジャンプドライブのさらなる研究、特にジャンプドライブ技術とジャンプゲート技術を融合する目的の研究によって、より高度なジャンプドライブが利用可能になった。現在では星系間航行可能なジャンプドライブを宇宙船に取り付けることが可能だ。このジャンプドライブの初期のバージョンでは別の星系にあるジャンプゲートと接続し単にジャンプゲートを通ったかのようにジャンプできた。後のバージョンではジャンプゲートのある星系からジャンプゲートのない別の星系に飛ぶことができた。そして最新のバージョンでは、まだプロトタイプであるが、どちらの星系にもジャンプゲートがなくても飛ぶことができる。初期バージョンは単にドライブを星系の最も近い節点(しばしば1:4かさらには1:5の節点)と協調させ、船が通るのに十分な時間の一時的な小さなワームホールを作る。ジャンプゲートのない星系にジャンプするより上級バージョンのジャンプゲートは少し複雑だ。これは逆相対性理論の平坦な宇宙原理に基づき、絶え間なく高周波の中性子線を一斉照射し、極小宇宙ひもを通じて目標星系を探し出す。この調査は宇宙船が目標星系へのワームホール(もちろん共鳴節点を通じて。)を作るのに十分なデータを集めるために数日かかることもある。

 

6 著者について

Alain Embrosius TopherはGallente本星のCaille大学において応用物理と実験心理学の学位を取得した。Topherは才能豊かではあるがしかし型はずれな学生で、卒業後調査会社に入り、20年間離れた星系を彷徨し、天体物理学のデータを集めた。彼が常に異星人の文化に興味をもち、探検に奔走した中心的な理由は異星人の人工物を発見するという願望であった。今日までいまだ数千年前より昔の人工物は何も発見できておらず、数千年程度の物は明かに人に由来する物である。

 

調査会社にいる間に相当な額を蓄え、Topherはいよいよ自分の運を試し、数年間をいくつかの有望な星系の調査に費やした。彼一人もしくは2、3人のアシスタントを連れてのこの小旅行は非常に危険でそれゆえ非常に楽しい物だった。TopherはGallente連邦の最も大きなエンターテイメントネットワークの一つと交渉し、この冒険に関するビデオプログラムを作った。これはしばらくの間非常に有名であったが、出目の怪獣とかきらびやかな宝物があるわけでなかっったので、公衆はすぐに無関心になった。Topherはスポットライトの中で注目を浴び終ってから、ビデオプログラムにおいてもっと興奮する(そして金になる)小旅行にするため、この遠出を延期することと決めた。

 
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Topherは数年間ビデオスターとしての人生を生きることに満足すると、彼の中の科学者としての彼が注目を浴びたがった。荒れた惑星をもう一度走り回るのには年を取りすぎたように感じて、Topherはかわりに何らかのゲームのような形態をした教育番組と情報映像を作ることを決めた。やがて彼はまた大成功を収め、何十億ものGallente人にとって、彼の名は教育と知識を連想させる誰もが知る名前となった。

 

彼は現在90才前半で、最終的に非常に学術的な生活に落ちついた。彼がビデオプログラムに出ることは稀になり、代わりにほぼ人生で初めて純粋科学へ重点的に取りくんでいる。長年の仲間から、多くの奇妙な考えに基づいた調子のいいインチキと見なされていたが、近年の研究と論文で、同僚から(長いこと延び延びになっていたが)尊敬を集めている。

 

訳注

ここでジャンプゲートはゲーム内のジャンプゲートのことをいっていて、ジャンプドライブはゲーム内でWarp Drive Activateとかなるワープドライブのことを指している。

 

質量ボソン球(mass boson sphere)、質量ボソンプラズマ(mass boson plasma)、劣化真空(depleted vacuum)、劣化真空泡(bubble of depleted vacuum)、逆相対性理論(trans-relativistic physics)、極小宇宙ひも(infinitesimal cosmic string)(宇宙ひもは現実世界用語)、などはおそらく造語。

 

4章の理屈からいくと、星系内での船単独によるジャンプドライブは、目標近くに重力井戸が存在しないとだめで、これによりワープドライブ先として惑星や小惑星、フェイク重力井戸を形成できるジャンプドライブ、宇宙ステーションを選べるのは理に叶っています。deadspaceはそのため直接航行可能でなくあの青白い加速装置を通してのみ到達可能という設定だと思うのですが、missionの終了報告してからbookmarkしたdeadspace跡地に直接ジャンプできたり、Warp gangできたりするのは一体どのような仕組みによってだろうか。Waveミッションで回りに何もなさそうな場所にいきなりジャンプできるのも謎。

 

x km以内にWarpする、のxを自由に大きくとれないのは、重力井戸の設定でそれなりに説明ついている...のかな。

 

最近発明されたというジャンプゲートを使用せずに恒星間ジャンプできるドライブはドレッドノートなどに搭載されているらしい。両方の星系にジャンプゲートがなくてもジャンプできる上級バージョンではなく、それより前のバージョンのはず。

 

 

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